あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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京のかたな展は過去最高の刀剣展!刀剣乱舞との強力タイアップも見応えあり!【展覧会感想・レビュー】

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【2018年10月4日最終更新】

かるび(@karub_imalive)です。

2018年の秋、今年最大級に注目したい美術展が関東・関西を中心に新しくスタートしています。関東では「フェルメール展」「ムンク展」「ルーベンス展」など西洋美術の巨匠を特集した展覧会が目白押し。そして、関西で特に注目したいのは、本稿で取り上げた「京のかたな」展です。

ここ数年、各地の美術館・博物館では、歴史系、工芸系の展覧会で、たびたび展示物の一部として刀剣類が展示されるたびに、刀剣コーナーの前だけ、熱心な刀剣ファンが列を作る、、、という光景がたびたび見られました。「刀剣乱舞ONLINE」の大ヒットに後押しされた「刀剣ブーム」によるものです。

今回の「京のかたな」展は、まさにこの刀剣ブームを追い風にした、至上最大規模の刀剣展となりました。全国の刀剣ファンが注目する熱い展覧会、早速見てきましたので、レポートしてみたいと思います!

※なお、本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て他媒体での取材も兼ねて撮影させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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山種美術館の企画展「日本画の挑戦者たち」は日本画入門に最適の美術展!【展覧会感想・レビュー】

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かるび(@karub_imalive)です。

近現代絵画を中心に、豊富な所蔵作品を誇る山種美術館では、年に数回、自館コレクション作品だけで構成される企画展を開催しています。今回開催中の企画展「日本美術院創立120年記念 日本画の挑戦者たち」は、明治~平成まで活躍中の近現代日本画の巨匠たちの代表作をたっぷり味わえる展覧会。コアなファンから、これから日本画を見てみたい!という入門者まで幅広く楽しめる、同館の総集編的な所蔵作品展となりました。

会期が始まってすぐに開催された内覧会に参加してきましたので、その様子を早速レポートしてみたいと思います! 

※本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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入江明日香展で幻想的な世界観に魅了された!髙島屋にてキャリア初の大回顧展が開催中!【展覧会感想・レビュー】

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かるび(@karub_imalive)です。

幻想的で細密な人物画で、ここ数年人気急上昇中のアーティスト、入江明日香。僕も、美人画を特集したムック本で最初に存在を知り、その後別の展覧会でクリアファイルや画集を購入してから、次の大規模な個展の開催を心待ちにしていたファンの一人です。

今回、デビューしてから初めてとなる大規模な回顧展が横浜・京都で開催されることになりました。9月19日から始まる、横浜会場(横浜髙島屋ギャラリー)の初日に、運良く取材させて頂くことができましたので、 感想を交えた展覧会レポートを書いてみたいと思います! 

※なお、本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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「狩野芳崖と四天王」展は、知られざる実力派絵師の傑作ズラリ!近代日本画の意欲的な美術展!【展覧会感想・レビュー】

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かるび@karub_imalive)です。

日本美術がブームとなって久しいですよね。2016年春、社会現象にまでなった伊藤若冲展をはじめ、歌川広重や葛飾北斎といった浮世絵の巨匠や、京都・奈良の古刹や仏師を特集した仏教美術展など、大都市圏で開催される企画展は、朝から行列ができることも珍しくなくなりました。

今まで美術史の中で埋もれかけ、低評価に甘んじていた画家たちも、熱心なファンたちによって少しずつ見直されてきています。鈴木其一、河鍋暁斎、渡辺省亭といった江戸末期~明治期の画家たちです。いずれも、美術館でのまとまった規模の回顧展がきっかけでした。

そんな中開催された本展「狩野芳崖と四天王」は、美術史の中で完全に忘れ去られた狩野芳崖の弟子だった4名の日本画家たちに新たに光を当てた意欲的な展覧会です。

知られざる実力派絵師4名の作品を掘り起こしつつ、横山大観、菱田春草といった、明治期の日本画壇を引っ張ったエースたちの作品も合わせて展示した、展覧会場はまさに「近代日本画づくし」!

早速、初日に行ってきましたので、簡単に感想・レポートを書いてみたいと思います!

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ブレイク前夜?!伝説の天才絵師、渡辺省亭の回顧展「SEITEIリターンズ!」が面白い!【展覧会感想・レビュー】

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かるび(@karub_imalive)です。

伊藤若冲、河鍋暁斎、柴田是真、五姓田義松・・・生前は実力・人気共に画壇トップクラスの天才絵師であったにもかかわらず、没後まもなく人々から忘れ去られ、そして近年になって再発見されてブレイクを果たした画家は、日本美術史の中でたくさんいます。

本エントリで紹介する渡辺省亭(わたなべせいてい)も、そのうちの一人。生前はパリに留学し、当時一流の西洋美術の巨匠たちと交流を持つなど華々しい活躍もありましたが、亡くなってからは完全に歴史の中で忘れ去られてしまいました。しかし、2017年頃から急速に注目され、再び「見つかりつつある」あるのです。

今日は、まさに再ブレイクをこれから果たすかもしれない、加島美術で開催中の渡辺省亭のミニ回顧展「SEITEIリターンズ!!」について、簡単に感想・レビューを書いてみたいと思います!

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「北斎の橋、すみだの橋」は橋づくしのユニークな展覧会!マニアックで面白かった!【展覧会レビュー・感想】

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かるび(@karub_imalive)です。 

開館1周年を越えて所蔵品の紹介も一段落したすみだ北斎美術館。2018年になってから、意外性のある企画展が続いています。この秋、9月11日から開催する企画展「北斎の橋 すみだの橋」が、非常に力の入った意外性あふれる展覧会でした。徹底的に「橋」に着目した、「橋」づくしとなったユニークな展覧会は見応え充分。内覧会で取材させて頂くことができましたので、以下、感想・レビューをまとめてみたいと思います。

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「世界を変えた書物展」で知の森に酔いしれる!掘り出し物的なオススメの超優良展覧会でした!【美術展感想・レビュー】

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かるび(@karub_imalive)です。

9月に入って芸術の秋がいよいよ到来。博物館・美術館でも一斉に秋の展覧会が始まりました。ムンク展、フェルメール展、ルーベンス展など、どれに行こうか目移りするくらい今年の秋は充実していますよね。

そんな中、秋の展覧会の先頭を切って上野の森美術館で公開された「世界を変えた書物展」が、掘り出し物的な凄い展覧会でした。以下、感想レポートにまとめました!

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映画以上の迫力!映画「散り椿」に合わせ、山種美術館で名作《名樹散椿》が特別公開!

かるび(@karub_imalive)です。

9月28日(金)に「散り椿」という注目の日本映画が公開されます。江戸中期における地方の弱小藩を舞台に、器用ながら誠実に生き、周りから愛された浪人剣士・瓜生新兵衛の生き様をケレン味や詩情たっぷりに描いた本格派時代劇映画です。

すでに原作も早々に読了し、あとは映画館に行ってブログに感想を書くだけとなっており、公開が非常に待ち遠しい今日このごろ。そんな中、映画の原作小説の表紙を飾る速水御舟の名画《名樹散椿》が、映画上映中に山種美術館の企画展「日本画の挑戦者達」で特別展示されることが決まりました。

今日は、簡単ですがこのタイアップ企画についてアートファンの立場からまとめてみたいと思います。(映画レビューは公開後に別途書きます!)

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【読書感想】「いちばんやさしい美術鑑賞」はアート鑑賞入門書のおすすめ決定版!(ちくま新書)

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かるび(@karub_imalive)です。

ここ数年、アート鑑賞ブームですよね。大型展覧会には長蛇の列ができますし、文化系総合雑誌では、春・秋のトップシーズン前は必ず「アート特集」が組まれるようになりました。また、ビジネス系の文脈でも「西洋美術史」(木村泰示)「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 」(山口周)など、アート関連書籍が平積みでベストセラーになる時代です。

僕もそんなブームにあやかって、2015年頃から本格的にアート鑑賞を趣味として始めた初心者のうちの一人です。フリーになり、わりと時間的に自由がきくようになったことをきっかけに、思い切り美術館巡りをするようになりました。2018年現在では年間100件程度展覧会を回りながら、色々と試行錯誤しつつ自分なりのアート鑑賞法を探しているところです。

ただ、実際に100%展覧会を楽しむには、ブルース・リーの名言のように、ただ「考えるな、感じろ」とはいかないものです。現代アートの展覧会では意味不明なオブジェに泣かされ、茶碗の展覧会ではくすんだ色をした井戸茶碗の良さがどうしてもわからなかったり。鑑賞のための知識やノウハウがないと、どう観ていいのかわからないんですよね。

書店や図書館に行くたびに、いろいろ美術の専門家が書いた「美術の見方」指南した書籍を漁ること2年。なかなか「これだ!」という決定版に出会えていませんでした。

そんな時、アートブロガーの大先輩であるTakさん(@Taktwi)が、ちくま新書から『いちばんやさしい美術鑑賞』という、【アート鑑賞】に特化した美術入門書を出版されると聞きました。

そこで、普段から割りと身近なところで交流させていただいている特権(?)を利用して、出版前に少しゲラを読ませて頂いたり、出版を記念してロングインタビューもさせて頂きました。 

そして、実際に発売された『いちばんやさしい美術鑑賞』を読んでみたら、大当たり!

西洋美術、日本美術、現代アートから工芸まで、幅広いジャンルを網羅しながら、各ジャンルから代表的な作品を題材として15点取り上げ、作品解説と並行して美術鑑賞のポイントを初心者でもわかるよう、わかりやすく語りおろしてくれていました。

本エントリでは、このアート鑑賞入門書『いちばんやさしい美術鑑賞』なぜ初心者にオススメなのか、従来の入門書とは何が決定的に違っているのか、僕の感想を交えながら書いてみたいと思います。

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「デザインあ展」(2018/東京展)は体験型展示が抜群の面白さ!大人でも夢中になれる楽しいコンテンツ満載でした!【展覧会感想・レビュー】

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かるび(@karub_imalive)です。

毎年7月~9月頃に開催される夏の美術展は、難しく考えなくても、大人から子どもまで幅広く楽しめる体験型展示が多くなります。そんな中、7月19日からNHK Eテレの番組「デザインあ」と連動した企画展、「デザインあ展 in TOKYO」が日本科学未来館でスタートしました。

「デザイン」の展示というと、なんだか難しいのかなぁ・・・と身構えていたのですが、行ってみてその面白さに圧倒されました。これは本当に面白い!!

ユーモア満載の体験型展示や没入感のあるインスタレーションを一つずつこなしているうちに、直感的にデザインの奥深さや面白さ、本質に気付かされていく、素晴らしい展覧会でした。

早速ですが、展覧会に行ってきた感想レポートを書いてみたいと思います!

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