あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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【展覧会感想】ピエール・ボナール展の見どころを徹底解説!豊かな色彩世界をガッツリ味わえる37年ぶりの大回顧展!【詳細レビュー】

【2018年11月4日最終更新】
かるび(@karub_imalive)です。 

「色彩の魔術師」と呼ばれる西洋美術の巨匠は数多くいます。ネットでちょっと検索すると、モネやマネといった印象派から、マティスやデュフィ、シャガールといったフォーヴィスムやそれに続く20世紀前半の画家たちが続々引っかかります。

今回、国立新美術館にて大規模な回顧展が開催中のピエール・ボナールもまた、豊かで意外性あふれる色彩感覚で、独自の作風を打ち立てた近代西洋美術の巨匠のうちの一人です。

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会場入口

郊外で描いた明るい風景画はまるでモネやルノワールのような印象派作品に見えますし、静かで落ち着いた室内画は、一見するとマティスのような作風にも見えます。

今回の「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」は、東京では実に37年ぶりに開催された大回顧展となりました。ほとんどのアートファンにとって、生でボナールの作品をこれほど大量に楽しめる機会は恐らく初めてなのではないでしょうか?僕も、じっくり2回展覧会を見てきました。少し遅くなりましたが展覧会の感想とともに、見どころをご紹介します。

※なお、本エントリーで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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【みどころ徹底解説!】快慶・定慶展は仏像ファン必見!大報恩寺の寺宝を堪能できました!【展覧会感想・レビュー】

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かるび(@karub_imalive)です。

2018年の秋は、特に首都圏を中心に仏像系の展覧会が非常に充実しています。中でも、快慶・定慶・行快ら鎌倉時代のスター仏師集団「慶派仏師」の仏像が勢揃いした展覧会が、東京国立博物館で開催中の特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」です。

2017年秋、同博物館で開催された「運慶」展は、会期中約60万人の観客を動員したブロックバスター的な美術展となりました。運慶を中心に、父・康慶や子・湛慶、弟子である康弁らが制作した、鎌倉時代の国宝がずらりと並んだ凄い展覧会でした。

本展は、そんな「運慶」展だけでは飽き足らず、もっと慶派仏師たちの活躍を観たい!という人にはうってつけ。前回の「運慶」展では紹介されなかった快慶やその弟子行快、そして運慶の個性的な弟子だった定慶の3人を中心に、たっぷりと慶派仏師の仏像の魅力を堪能できる展覧会です。

すでに2回足を運びましたが、見れば観るほど本当に良い作品ばかり。本エントリでは、出展されている仏像の魅力を中心に、展覧会の見どころや感想をお伝えしていこうと思います。

※なお、本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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今度の東山魁夷展はスケール感が凄い!唐招提寺障壁画の再現セットを見逃すな!【展覧会レビュー・感想・混雑対策】

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かるび(@karub_imalive)です。

10月24日から、国立新美術館で生誕110年を記念した回顧展「東山魁夷展」がスタートしました。東京では10年ぶりの大型回顧展となります。わずか36日間と非常に短い会期ながら、キャリア初期から絶筆となった晩期の作品まで、代表作がほぼ全て集結した、非常に力の入った展覧会となりました。東山魁夷の画業の集大成とも言える、唐招提寺御影堂の障壁画が美術館内に再現された展示は圧巻です。

さっそくですが、プレス内覧会にて取材をさせて頂くことができましたので、感想や見どころをレポートしてみたいと思います。

※なお、本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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日本美術を気楽に楽しもう!加島美術「美祭-BISAI-」は年に2回のお祭りイベント!【展覧会レビュー・感想】

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【2018年10月22日最終更新】

かるび(@karub_imalive)です。

ここ数年、日本美術が静かなブームを迎えています。50万人以上を動員した2017年の「国宝展」「運慶展」など、首都圏・関西圏を中心として、仏教美術や日本絵画の大型展覧会は大盛況です。書店でもずいぶん日本美術を特集した書籍が目立つようになってきました。

そんな中、もっと気軽に・身近に日本美術を楽しんで欲しいという思いから、自らの画廊を中心として様々なイベントを開催し、「日本美術を所有する」楽しさを伝えているのが東京・京橋にある日本美術専門の画廊「加島美術」です。

今回、お邪魔したのは、同画廊が所蔵する美術品を一挙に展示・販売する、春と秋の年2回開催されるイベント「美祭-BISAI-24」です。通常の展覧会のように観て楽しんでも良いですし、気に入ったらその場で作品を購入することもできます。早速、「美祭-BISAI-24」の感想や楽しみ方を紹介したいと思います。

※なお、本エントリで使用した写真は、主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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フェルメール展は、2018年秋最高の美術展!史上最多の9点が来日!【展覧会感想・レビュー・混雑対策】

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かるび(@karub_imalive )です。

2018年秋に開催される展覧会の中で、もっとも注目度が高い美術展「フェルメール展」がついにスタートしました。世界にたった35点しかないとも言われるフェルメール作品の中から、実に9点が東京・上野の森美術館に集結。展覧会のサブタイトルにも「それは、この上もなく優雅な事件」とありますが、確かにアートファンにとっては、もはやニュースというより「事件」レベルのレアな体験なのかもしれません。

これを逃したら、あと数十年はもうこの規模のフェルメール展は開催されないと思われます。まさに一生に一度の貴重な機会として、この「事件」をじっくり目撃しておきたいところです。

ラッキーなことに、初日のプレス内覧会で取材機会を頂くことができました。早速、感想を交えて、みどころやレビューをまとめてみたいと思います。

※なお、本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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京のかたな展は過去最高の刀剣展!刀剣乱舞との強力タイアップも見応えあり!【展覧会感想・レビュー】

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【2018年10月4日最終更新】

かるび(@karub_imalive)です。

2018年の秋、今年最大級に注目したい美術展が関東・関西を中心に新しくスタートしています。関東では「フェルメール展」「ムンク展」「ルーベンス展」など西洋美術の巨匠を特集した展覧会が目白押し。そして、関西で特に注目したいのは、本稿で取り上げた「京のかたな」展です。

ここ数年、各地の美術館・博物館では、歴史系、工芸系の展覧会で、たびたび展示物の一部として刀剣類が展示されるたびに、刀剣コーナーの前だけ、熱心な刀剣ファンが列を作る、、、という光景がたびたび見られました。「刀剣乱舞ONLINE」の大ヒットに後押しされた「刀剣ブーム」によるものです。

今回の「京のかたな」展は、まさにこの刀剣ブームを追い風にした、至上最大規模の刀剣展となりました。全国の刀剣ファンが注目する熱い展覧会、早速見てきましたので、レポートしてみたいと思います!

※なお、本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て他媒体での取材も兼ねて撮影させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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山種美術館の企画展「日本画の挑戦者たち」は日本画入門に最適の美術展!【展覧会感想・レビュー】

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かるび(@karub_imalive)です。

近現代絵画を中心に、豊富な所蔵作品を誇る山種美術館では、年に数回、自館コレクション作品だけで構成される企画展を開催しています。今回開催中の企画展「日本美術院創立120年記念 日本画の挑戦者たち」は、明治~平成まで活躍中の近現代日本画の巨匠たちの代表作をたっぷり味わえる展覧会。コアなファンから、これから日本画を見てみたい!という入門者まで幅広く楽しめる、同館の総集編的な所蔵作品展となりました。

会期が始まってすぐに開催された内覧会に参加してきましたので、その様子を早速レポートしてみたいと思います! 

※本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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入江明日香展で幻想的な世界観に魅了された!髙島屋にてキャリア初の大回顧展が開催中!【展覧会感想・レビュー】

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かるび(@karub_imalive)です。

幻想的で細密な人物画で、ここ数年人気急上昇中のアーティスト、入江明日香。僕も、美人画を特集したムック本で最初に存在を知り、その後別の展覧会でクリアファイルや画集を購入してから、次の大規模な個展の開催を心待ちにしていたファンの一人です。

今回、デビューしてから初めてとなる大規模な回顧展が横浜・京都で開催されることになりました。9月19日から始まる、横浜会場(横浜髙島屋ギャラリー)の初日に、運良く取材させて頂くことができましたので、 感想を交えた展覧会レポートを書いてみたいと思います! 

※なお、本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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「狩野芳崖と四天王」展は、知られざる実力派絵師の傑作ズラリ!近代日本画の意欲的な美術展!【展覧会感想・レビュー】

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かるび@karub_imalive)です。

日本美術がブームとなって久しいですよね。2016年春、社会現象にまでなった伊藤若冲展をはじめ、歌川広重や葛飾北斎といった浮世絵の巨匠や、京都・奈良の古刹や仏師を特集した仏教美術展など、大都市圏で開催される企画展は、朝から行列ができることも珍しくなくなりました。

今まで美術史の中で埋もれかけ、低評価に甘んじていた画家たちも、熱心なファンたちによって少しずつ見直されてきています。鈴木其一、河鍋暁斎、渡辺省亭といった江戸末期~明治期の画家たちです。いずれも、美術館でのまとまった規模の回顧展がきっかけでした。

そんな中開催された本展「狩野芳崖と四天王」は、美術史の中で完全に忘れ去られた狩野芳崖の弟子だった4名の日本画家たちに新たに光を当てた意欲的な展覧会です。

知られざる実力派絵師4名の作品を掘り起こしつつ、横山大観、菱田春草といった、明治期の日本画壇を引っ張ったエースたちの作品も合わせて展示した、展覧会場はまさに「近代日本画づくし」!

早速、初日に行ってきましたので、簡単に感想・レポートを書いてみたいと思います!

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ブレイク前夜?!伝説の天才絵師、渡辺省亭の回顧展「SEITEIリターンズ!」が面白い!【展覧会感想・レビュー】

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かるび(@karub_imalive)です。

伊藤若冲、河鍋暁斎、柴田是真、五姓田義松・・・生前は実力・人気共に画壇トップクラスの天才絵師であったにもかかわらず、没後まもなく人々から忘れ去られ、そして近年になって再発見されてブレイクを果たした画家は、日本美術史の中でたくさんいます。

本エントリで紹介する渡辺省亭(わたなべせいてい)も、そのうちの一人。生前はパリに留学し、当時一流の西洋美術の巨匠たちと交流を持つなど華々しい活躍もありましたが、亡くなってからは完全に歴史の中で忘れ去られてしまいました。しかし、2017年頃から急速に注目され、再び「見つかりつつある」あるのです。

今日は、まさに再ブレイクをこれから果たすかもしれない、加島美術で開催中の渡辺省亭のミニ回顧展「SEITEIリターンズ!!」について、簡単に感想・レビューを書いてみたいと思います!

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