あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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「日本を変えた千の技術博」を詳細レビュー!大量600点の充実展示は見どころいっぱい!【展覧会感想・レビュー】

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【2018年11月29日最終更新】

かるび(@karub_imalive)です。

ここ数年、富岡製糸場が国宝指定されたり、全国各地の博物館ではご当地の産業遺産を収集展示する常設コーナーの整備が進んできたり、工場見学がちょっとしたブームになったりと、歴史的な技術遺産に対する興味関心が高まって来ていますよね。

そんな中、明治期以降における日本の科学技術の発達史をわかりやすく総覧できる力の入った特別展「日本を変えた千の技術博」が10月30日から国立科学博物館でスタートしました。

明治維新の文明開化から昭和の高度経済成長期頃まで、日本人のライフスタイルを大きく変えてきた様々な技術的な革新や発見を、全国から集められた貴重な産業遺産や重要文化財の資料展示で振り返る凄い展覧会です。

明治維新以降の約150年間で、我々の先人たちが苦労して積み上げてきた科学技術の歴史を振り返ることで、たくさんの学びが得られる良い展示でした。早速ですが、展覧会の感想や、見どころを徹底的に紹介していきたいと思います。

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「ルーベンス展」詳細レビュー!見どころ・鑑賞ポイントを徹底解説!巨大な宗教画・歴史画は迫力満点でした!【展覧会感想】

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【2018年11月28日最終更新】

かるび(@karub_imalive)です。

西洋美術史の巨匠として、誰もが一度は耳にしたことがあるけれど、実際に作品をじっくりとまとめて観た経験はあまりない・・・そんなイメージもある、17世紀前半に活躍した画家・ルーベンス。

そのルーベンスの画業を、イタリアとの関わり合いに焦点をあてて宗教画や歴史画の大作約70点で振り返る大回顧展「ルーベンス展」が国立西洋美術館でスタートしました。激しくて、ドラマチックで、西洋絵画を観る楽しさをしっかり感じさせてくれる素晴らしい展覧会になりました。一度行けば、二度三度とリピートしたくなる、非常にクオリティの高い展覧会です。

まだ会期が始まって10日程度ですが、僕もすでに2回行ってまいりました。早速、その見どころや感想などをまとめてみたいと思います!

※なお、本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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【詳細レビュー】フィリップス・コレクション展はハイレベルな西洋美術展!捨て作品なしのオール巨匠勢揃いでした!【展覧会感想・解説】

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【2018年11月29日最終更新】

こんにちは、かるび(@karub_imalive)です。
2018年も秋本番を迎え、各地では美術展が花盛り。僕が主戦場としている首都圏では、今年の秋は上野地区を中心に西洋美術の大型展覧会がどこも大好評。

そんな中、また一つ絶対に見ておきたいハイクオリティな西洋美術展がはじまりました。それが、三菱一号館美術館で開催中の「フィリップス・コレクション展」。1920年代~1930年代を中心に、西洋美術の世界的なコレクターとして名を馳せたダンカン・フィリップスが残した大コレクションの「いちばんおいしいところ」を選んで展示する展覧会です。

少し遅くなりましたが、2回見てきましたので感想レポートにまとめてみました!

※なお、本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。
※エントリ中、全ての作品はフィリップス・コレクションの所蔵作品です。

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空腹時の鑑賞は要注意?!「大江戸グルメと北斎」展は江戸の豊かな食文化が楽しく学べる展覧会!【美術展感想・レビュー】

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かるび(@karub_imalive)です。

ここ最近、書店に行くと新書や文庫、ムックなど買いやすい価格帯で、江戸時代の生活文化についてわかりやすく解説した書籍が増えました。江戸時代の庶民の生活についての新発見や新解釈が発表され、それまで常識とされてきた当時の時代考証が次々と覆っている中、ちょっとした江戸ブームが起きている感もあります。

僕も暇つぶしに江戸についての雑学本を手にとることがありますが、浮世絵や絵本などの図解資料を見ているといつしか時間を忘れて食い入るように見てしまうこともよくあります。

今回の展覧会「大江戸グルメと北斎展」では、すみだ北斎美術館が所蔵する豊富な浮世絵や絵本といったコレクションの中から、北斎や同時代の周辺画家・浮世絵師たちが描いた江戸時代の「食文化」が見て楽しめる作品約140点(前期展示・後期展示合計)が展示されています。

江戸時代の作家たちが残した浮世絵や絵本、肉筆画を楽しみながら、江戸時代の庶民の「食文化」を幅広く学べる展覧会となりました。早速行ってきましたので、簡単に感想・レポートをまとめてみたいと思います!

※なお、本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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巨匠たちの入魂作品が続々!特別展「皇室ゆかりの美術」【展覧会感想・レビュー】

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[2018年11月26日最終更新]

かるび(@karub_imalive)です。

平成最後の年となった2018年、来年の新天皇即位、改元を睨んで皇室関連のニュースが取り沙汰されることも多くなってきましたよね。30年続いた「平成」が終わろうとする中、一つの時代の歴史の区切りを感じさせるような象徴的な出来事や事件も多く報道されています。

そんな中、山種美術館ではタイムリーな展覧会として、特別展「皇室ゆかりの美術」が始まりました。山種美術館が所蔵する豊富なコレクションをベースとして、外部の美術館や個人から作品を集めて企画された、非常に力の入った展覧会でした。

早速ですが、館内の展示の様子や感想レポートを書いてみたいと思います!

※なお、本エントリで使用した写真は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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古代中国の超絶技巧!「神々のやどる器展」の凄すぎる造形美!【展覧会感想・レビュー】

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かるび(@karub_imalive)です。

日本がまだ縄文時代で、狩猟・採集生活に明け暮れていた時、大陸の中国では、すでに殷・周といった広大な国土を治める統一王朝が成立し、高度な青銅器文明が栄えていたことって知ってます?

学生時代、世界史が苦手だった僕は、恥ずかしながら40歳になって根津美術館で中国古代の青銅器コレクションを見るまでそのことを全く知りませんでした。

だって信じられます?古代ローマやギリシャなんかよりもはるか昔、3000年以上も前に、精巧な文様を刻みつけられた複雑な形をした青銅器を日常的に使っていた文明があったんですよ?

今回の「神々のやどる器」展は、泉屋博古館が所蔵する国内屈指の青銅器コレクションが集結した凄い展覧会です。数ヶ月前、チラシをひと目見てから「これは絶対行く!絶対レビューを書く!」と一人テンションを高めて待ち焦がれていた展示。早速、見てきた感想・レビューをまとめてみたいと思います!

※なお、本エントリで使用した写真は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

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プロフィール/ブログ「あいむあらいぶ」について

かるび(@karub_imalive)です。

いつも当ブログ「あいむあらいぶ」をご覧いただき、本当にありがとうございます。こちらのページでは、初めてご訪問頂いた方のために、当ブログ「あいむあらいぶ」と私こと「かるび」の自己紹介をしています。

管理人「かるび」について

ハンドルネームの由来

「かるび」というハンドルネームは、元々ブログを始める前、20代の頃に趣味のヘヴィメタルからインターネットの掲示板等で交流するために使っていたことに由来します。学生時代一人暮らしを始めた頃から20代の間は無類の焼肉好きだったので、焼肉を食べている時にハンドルネームを決めました。

とにかくインターネットが大好き

1995年、大学の情報処理センターでインターネットを知って以来、ずっとネットにどっぷり浸かっています。1999年頃にネット環境とノートPCを手に入れて以来、2ちゃんねるや趣味の掲示板などに入り浸り、テキストサイト全盛期から欠かさずネットと接してきました。

2002年頃から、当時(今も)趣味だったテキストサイト回りをするうち、趣味の掲示板を渡り歩くようになり、オフ会なども積極的に出席して、ネットを介して友人もできたりしました。「自分も情報発信してみたいな」と思いつつも、優柔不断な性格のため、なかなか本腰を入れて自分のサイト運営までには至らず。

ネットでアウトプットを始めるまで

現在のブログ「あいむあらいぶ」を開設する前に、3回ほど無料ブログを散発的に始めたことはありますが、仕事が忙しかったり、テーマが曖昧だったりで全て短期間で挫折。主にここまで「読み手」としてネットに関わってきました。

2012年頃、Facebookに興味を持ち、一時期は友達が1000人、フォロワーが1500人ほどになるほどどっぷり浸かっていましたが、情報発信のやり方やコミュニケーションに違和感を感じて休止。

そして、2015年になり、40歳の誕生日を迎えます。人間誰しも年を重ねて順番に老いていくのはわかっていたことですが、「40」という数字のインパクトに打ちのめされました。40歳という人生の折り返し点まで来たのに、未だに大好きなインターネットで何もできてない。会社生活以外で何もないのに、ただ仕事漬けのまま流されていく日々に危機感を覚えました。(遅いですよね/笑) 

そこで「情報発信する」ことで、何かが変わるかもしれない。Facebookでは上手く行かなかったけれど、ブログなら思ったことを好きなように発信できる可能性があるのでは?と思い直し、勢いでブログを開設しました。以前に無料ブログで何度か失敗しているので、今度こそ、という思いから、思い切って最初から独自ドメイン+有料会員でスタート。そして今に至ります。

思い切って会社を辞めた

ブログを始めてから、自分の中で下した一番大きな決断が、「会社を辞めたこと」。17年間、馬車馬のように働いてきたので、退職後1年間は、専業主夫として充電期間に当てることにしました。当時中小企業とはいえ、そこそこの要職に就いていたことから退職意志を表明してから時間がかかりましたが、2016年6月ようやく退職。以後は読書や映画、美術館通いなど、社会人になってから忙しくてできなかったことを楽しみました。

現在はライター兼ブロガーとして活動中

そして43歳となった現在、趣味として初めた映画・アートを活動の中心として、ブログや他のWeb媒体に寄稿するなど、ライター兼ブロガーとして活動中。未だに年収はサラリーマン時代の8割程度ですが、最低限健康で文化的な生活を家族とともに送ることができています^_^

ブログ「あいむあらいぶ」について

ブログ名の由来について

ブログ名は、中学生の時に初めて好きになったヘヴィ・メタルバンド、HELLOWEENの名作「Keeper of the Seven Keys Part1」のオープニングチューン「I'm Alive」から頂きました。「会社をやめたけど、まだまだここで頑張ってますよ」という意味も込めてつけました。どうですか、いい曲でしょ?(笑) 

ライターとしての活動実績

紙媒体

2018年10月、ライターとして初めて紙媒体のムック本制作に関わらせて頂きました。それが、「フェルメール会議」(双葉社)です。先輩アートブロガーの「青い日記帳」Takさんからお声がけ頂き、お手伝いさせて頂きました。

こちらでは、会議でのインタビュアーを務めるとともに、フェルメールの作品解説の約半数を担当しました。

Web媒体

◯週刊ニッポンの国宝100 Facebook担当
2017年9月~2018年10月にかけて、小学館の「週刊ニッポンの国宝100」SNS担当として、Facebookページにて「国宝応援団K」という名前で寄稿していました。

◯Webメディア「楽活」
こちらでは、ライター兼サイト保守担当として活動中。2018年1月~9月まで、約30記事を寄稿しています。(2018年10月~12月までリニューアル準備中)

◯和樂Webマガジン「INTOJAPAN」
2018年9月より、和樂Webマガジンにおいて、週1ペースで寄稿中。展覧会レビューや、日本美術をテーマにコラムを書かせていただいています。 

掲載広告について

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3.免責事項

当ブログ「あいむあらいぶ」に掲載された情報を利用される場合は、ご自身の判断と責任においてそれらをご利用ください。当ブログの情報を利用することによって生じたトラブルや問題に対しては、責任を負いかねます。予めご了承ください。

あいむあらいぶの近況

2018年11月16日時点で、トータルPVは約2200万PV。月間PV数はかなり変動があるのですが、概ね約50万PV~70万PVで推移しています。アート系の記事は女性読者が多く、人事労務やキャリア系、映画系の記事は男性読者が多くなっています。全体としては、女性読者が若干多くなっています。

お問い合わせや掲載の依頼など

お問い合わせや原稿・ブログ掲載の依頼などは、こちらへお願いします。2営業日以内に折り返しお返事いたします。

https://ws.formzu.net/fgen/S33068729/

 

美術展は2回目からが面白い!深い鑑賞体験が得られる展覧会「複数回鑑賞」のススメ

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かるび(@karub_imalive)です。

展覧会、好きですか?

僕は、以前サラリーマンを辞めると決めてから、それまで忙しくてできなかった趣味の一つとして、美術展めぐりをはじめました。それ以来3年間、がっつりはまっています。はじめはモネとかレンブラントといった西洋絵画の巨匠の展覧会を混雑に耐えながら回っていました。が、次第にSNS経由でいろいろな展覧会を知るようになり、日本画、陶磁器、茶道具、ファッション系、刀剣・甲冑類、書跡、産業系、サブカル、アニメ・・・等々、いろんな展覧会を回るようになりました。

気がついたら、ここ最近では春と秋のハイシーズンでは月20~30程度回るようになり、両足までどっぷりとアート鑑賞沼に浸かっている状況です。

このようにたくさんの展覧会を回り、量をこなす一方で、ふと昔の展覧会を振り返ってみると、「漠然とした印象以外に、何を見たのか全然思い出せない」ことがよくあることに気づきました。

もともと僕は映画やTVドラマなどを見てもすぐに内容を忘れていく方で、きっと記憶力があんまり良くないんだろうなとは思っていたのですが、やっぱり1度見た展覧会の内容はちゃんと覚えておきたいですよね。

そこで、展覧会に行ったら、関連付けて思い出せるように併設のレストランでご飯を食べてみたり、力を入れてブログに書いて残したりといろいろやってみました。その中でで、最大の成果を挙げるに至った取り組みがありました。

それが、今日ご紹介するシンプルな方法「展覧会の複数回鑑賞」です。

一度見たらそれで終わりにするのではなく、期日を変えてもう1度同じ展覧会に通う。このシンプルな方法で、割と劇的に内容を記憶に保持することができるようになりました。以降、詳細について書いてみたいと思います。

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凄まじい画力の猫絵師・陳珮怡の個展に行ってきた!【感想・レビュー】

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かるび(@karub_imalive)です。

上記の画像、どう見ても写真に見えますよね?!

でも、違うんです。これは写真ではなく、実際に岩絵の具で描かれた細密絵画の一部なのです。しかも、原寸大ではなく拡大部分画像なのに、全く筆使いの跡が見当たりません!すごすぎます。

最近の美術展では、「超絶技巧」という単語をしょっちゅう聞くようになりました。丁寧な手仕事で仕上げられた細密工芸や細密画の展覧会が一気に増えてきた感触があります。また、細密絵画ばかりをコレクションしたホキ美術館、陶磁器や七宝などの優品が世界的に注目される清水三年坂美術館など、「超絶技巧」系の作品を主に収集している美術館の人気も高まってきています。

そんな中、今回行ってきたのが、銀座「ぎゃらりい秋華洞」で開催されている「ネコ」の超リアルな細密画で注目されている台湾出身の画家・陳珮怡(チン・ペイイ)さんの個展です。

早速ですが、感想レポートを書いてみたいと思います!

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【2018年秋・冬の美術展】絶対おすすめの注目展覧会ベスト20!【見どころ・開催情報まとめ】

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【2018年11月11日最終更新】

かるび(@karub_imalive)です。

10月も後半になり、ようやく秋らしさ全開になってきました。秋といえばやはり芸術の秋。2018年秋も、首都圏・関西圏を中心に、過去最強クラスの西洋美術の名画・名作が続々と日本に上陸してきます!もちろん、それを迎え撃つ日本美術のラインナップも超豪華!国宝級の仏教美術はもちろん、日本美術史における巨匠たちをフィーチャーした展覧会が開かれる予定です。

そこで、本エントリでは、2018年秋~冬にかけて行われる各種展覧会の中から、”これは絶対見逃したくない”展覧会約20展を、簡単な見どころと開催情報を含めてまとめてみました。

それでは、順番にみていきましょう!

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