あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と人事労務系の記事が多め。

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【ネタバレ有】映画「エイリアン:コヴェナント」 感想・レビューと10の疑問点を徹底解説!/人類の起源に迫るスケール感溢れる最新作!

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かるび(@karub_imalive)です。

9月15日に公開されたエイリアン・シリーズの新作「エイリアン:コヴェナント」を見てきました。通算ではシリーズ第6作目となる作品です。シリーズの原点に立ち返ったかのように、エイリアンとの絶望的な戦いが描かれる中、人類の起源やアンドロイドと人間の関係など、哲学的な味わいの謎解きも面白かった本作。見応えのある作品でした。早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、後半部分でストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承ください。できれば、映画鑑賞後にご覧頂ければ幸いです。

1.映画「エイリアン コヴェナント」の予告動画・基本情報

▶「エイリアン:コヴェナント」予告動画!
※画像をクリックすると動画がスタートします


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【監督】リドリー・スコット(「エイリアン」「オデッセイ」)
【配給】20世紀フォックス
【時間】122分

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引用:Ridley Scott - IMDb

本作で監督を務めたのは、ハリウッド映画の大御所監督リドリー・スコット。今年で79歳と高齢ながら、「エイリアン」シリーズとリブートされた「ブレードランナー2049」シリーズを抱える売れっ子監督です。70代後半にして「オデッセイ」のようなミュージカルテイストのSFコメディを初めて手がけるなど新境地を開拓し続ける「若さ」は驚異的です。2017年は、年末にかけて「All the money in the world」(邦題未定)が公開される他、プロデューサーを務めた「オリエント急行殺人事件」が公開予定。

さらに、2019年には「エイリアン・コヴェナントの続編」も早々に公開が決定するなど、まさにハリウッド映画界の鉄人であります。

2.映画「エイリアンコヴェナント」主要登場人物・キャスト

主要登場人物

ダニエルズ(キャサリン・ウォーターストン)f:id:hisatsugu79:20170921005629j:plain
引用:Alien: Covenant | Official Trailer | 20th Century FOX - YouTube
予告編を一度見ただけでは、地味すぎて今作のヒロイン役には「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」で日本でもおなじみとなったキャサリン・ウォーターストンであることに全く気づきませんでした。髪を短髪にして、男女差のない宇宙服を着ていると、中性的でまるで少年のようです。2017年秋にはコメディ映画「ローガン・ラッキー」の日本公開も控えています。

ウォルター/デヴィッド(マイケル・ファスベンダー)f:id:hisatsugu79:20170921005700j:plain
引用:映画『エイリアン:コヴェナント』予告A - YouTube
今作で一人二役を演じるマイケル・ファスベンダー。リドリー・スコット監督とは、「プロメテウス」「悪の法則」以来3度目のタッグとなります。髪型や表情一つで器用に一人二役を演じ分ける演技力はさすがでした。今作で初めてじっくりファスベンダーの顔を見マジマジと見たのですが、なんか顔つきがイギリス人ぽくないなぁと思っていたら、この人は元々ドイツ人なんですね。だからなのか、ワーグナーのテーマが妙にフィットしているような気がしました。

3.前作「プロメテウス」のあらすじをおさらい!

本作は、リドリー・スコット監督がリブートした「エイリアン」の前日譚シリーズ第2弾として、前作「プロメテウス」から10年後の世界を描いたストーリーです。本作をフルに楽しむためにも、できれば先に「プロメテウス」を見ておくことをオススメします。ここでは簡単に映画「プロメテウス」のあらすじを振り返ってみたいと思います。

映画「プロメテウス」の簡単なあらすじ

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引用:映画「プロメテウス」本編より

2089年、考古学者エリザベス・ショウは、スコットランドのスカイ島で、謎めいた巨人が描かれた35000年前の洞窟壁画を発見する。ショウ博士は、この壁画こそ、地球外に知的生命体が存在する証であり、巨人こそが人類を創造した”エンジニア”であると確信した。

人類の起源と不老不死の秘術を渇望していた巨大軍需企業、ウェイランド社の総帥、ピーター・ウェイランドは、同社の高性能アンドロイド、デヴィッドや、実娘メレディス・ヴィッカーズ、ショウ博士らと共に、2093年、宇宙船プロメテウス号で巨人が軍事基地として使用していた植民星「LV-223」にたどり着いた。

そこで、ショウ博士とデヴィッドらは、巨人が地球滅亡を企んで飛び立とうとしていた2000年前、彼らが開発した生物兵器「エイリアン」の暴走で全滅したことを知る。唯一生存した巨人の生き残りに話しかけたデヴィッド達だったが、怒った巨人はその場でウェイランドやクルーたちを惨殺し、デヴィッドを半壊状態に追い込む。ヤネック船長らの決死の自爆攻撃で、地球に飛び立とうとした巨人を倒した後、残されたデヴィッドとショウ博士は、残されたもう1機の巨人の宇宙船で、巨人の母星を目指して飛び立つのだった。(※※この後、後述するプロローグ動画へと続く)

4.映画「エイリアン・コヴェナント」の途中までの簡単なあらすじ

2104年、宇宙船コヴェナント号は、15名の乗組員とハイパースリープ中の入植者2000名と共に、惑星オリガエ6を目指して宇宙を航行中だった。充電中に遭遇した超新星爆発による衝撃波により、ハイパースリープを解除された乗組員は、宇宙船のメンテナンス中に謎の信号を近隣の未知の惑星から傍受する。

調査すると、その惑星の大気組成は地球に酷似しており、入植に適した「楽園」とも言える完璧な条件を備えていた。慎重なダニエルズの反対を押し切り、クルー達は調査船に乗り換え、惑星を探査し始めた。しかし、その惑星は、人間や動物達の姿が一切見えない静かな星だった。

探査を進めるうち、自生する大麦の草原や宇宙船が墜落したような「人間」の存在した痕跡をたどると、彼らはC字型の奇妙な宇宙船を発見した。奥に進んで探査を進めようとする中、相次いで体調不良を訴える隊員達。彼らの症状は劇的に悪化し、彼らの体内を食い破って飛び出してきた未知のエイリアンたちに次々クルーたちが襲われ、調査船も爆発・大破してしまう。絶望的な状況下、パニックになったクルーたちの前に、ウォルターにそっくりな謎の人物が助けに現れた。彼こそが10年前、行方不明になった探査船プロメテウス号の生き残りのアンドロイド、デヴィッドだった。

デヴィッドの説明では、この惑星こそが人間を創造した巨人「エンジニア」の母星だが、巨人達は滅亡してしまっていた。そこで、ダニエルズやウォルターはデヴィッドやなくなったショウ博士がこの惑星で行った恐るべき行為の痕跡を目の当たりにするのだったー。

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5.映画「エイリアン:コヴェナント」の感想・評価

「エイリアン」と類似するストーリー構造、激しいサバイバル描写

映画を見てまず思ったのは、本作は1979年の「エイリアン」1作目のセルフ・リメイク的位置づけなのかな・・・ということ。舞台こそ船内を飛び出してフィールドへとデていきましたが、物語の骨格や、登場人物の構成、宇宙船内でのホラー演出はほとんど一緒なんですよね。

例えば、ピックアップしてみると以下のような点で共通しています。

・タイトル「エイリアン・コヴェナント」の出方や、その後、画面を左から右下へ流星のように駆け抜ける宇宙船
・ハイパースリープから起きた乗組員が、魅力的な惑星を見つけて寄り道したことで、エイリアンたちに襲われる羽目になる展開
・強い意志を持った女性が主人公で、工作機械の操作が得意であること
・隊員を助けるアンドロイドの存在
・宇宙船に入り込んだエイリアンを倒す方法(ハッチを開けて宇宙空間へ吹き飛ばす、工作機械を使ってエイリアンに対抗する)
・誰もいない室内でオブジェが風に揺れている恐怖演出

そして、絶望的なパニック状態の中、一人ずつ徐々に倒されていき、最後にヒロインとエイリアンが対決するクライマックスは、まさにエイリアン・シリーズが毎作お約束のように描いて来た王道的な展開でした。

「美しく」描かれた残虐描写が印象的だった

TBSラジオで町山智浩の映画評でも触れられていましたが、本作は特に「残虐だけど、その中に不思議な美しさ」が感じられる作品でした。

確かに血は飛び散るし、エイリアンは容赦なく残虐な方法で人間を殺していくんですが、不思議と汚らしい「グロさ」は感じず、耽美的な美しさを感じられる映像が非常に印象的でした。

また、コヴェナント号が充電のために金色のセイルを広げるシーンや、バイオハザードを連想させる「黄色」がアクセントとなった宇宙服のデザイン、計器類が整然と並んだ宇宙船内の映像、不時着した惑星の異世界的風景などは、近未来のSF映画の王道的な映像美として、映画館の大画面によく映えていました。大満足です。

マイケル・ファスベンダー劇場が圧巻!

今回本当に唸らされたのが、ウォルター、デヴィッドの一人二役を演じたマイケル・ファスベンダーの演技力でした。これまで、エイリアンシリーズでは重要な役割を果たすものの、あくまで脇役レベルだったアンドロイドが、今作では事実上の主役へと昇格したことに伴い、ほぼ最初から最後まで独壇場でした。

デヴィッドの、陰りを帯びて、時に冷たくシニカルな表情、ウォルターのフラットで落ち着いた安心感を与える表情は、口角の上げ下げレベルの違いの微妙な違いしかないのですが、見ると「これはデヴィッド」「これはウォルター」となぜかすぐにわかってしまう演じ分けの上手さが素晴らしかったです。

特にデヴィッドに関しては、ピーター・ウェイランドの支配下にあった前作「プロメテウス」での抑制の利いた執事のような物腰から10年経過して、自意識が発達し、選民意識に目覚めたマッドサイエンティストのような狂気と尊大さを帯びた目つきになっていたのが非常に印象的でした。

現代的なテーマ性や教養を試される(?)謎解きの面白さ

Filmarksや映画.comなどの評価欄では、割りと詰めの甘い伏線回収や、人類の起源にまで話のスケールが広がり、ふろしきを広げすぎた感じのストーリーに批判的な意見も多めでしたが、僕自身はこの路線は肯定派です。

というのも、「エイリアン」や「プレデター」など一昔前の70年代、80年代のSFホラー大作はもっと大味だからなんですよね。緊迫感や臨場感はあるものの、単に時間いっぱい未知の怪物と戦うだけで終わってしまっており、背景やストーリーの奥深さに欠ける作品が多い印象です。当時からのファンだったら、思い出補正がかかることもあるかもしれませんが、今から純粋に後追いで見ると、映像がショボいのも手伝って、割りと退屈な感じが否めないのです。

それに対して、本作は元々のホラーアクションテイストはそのままに、近未来を舞台として、国に代わって巨大多国籍企業が力を増す世界情勢や、人間以上の能力を持ち始めたロボットと人間の関係性など、21世紀以降の人間社会のテーマをより明確に入れてきています。エイリアンは相変わらずがつがつ殺戮していくけれど、それだけでなく、裏で大きなストーリーが動いている。

さらに、こうしたテーマに対して、主人公達のセリフや音楽、背景美術などにイギリス文学・ギリシャ神話・キリスト教的なメタファーが散りばめられたことで、残虐なホラーアクションの中にも妙な優雅さがあるんですよね。

そして、後になって劇中で出てきたこれらメタファーを丹念に調べることで、映画にこめられた世界観やテーマを謎解きのように読み進める面白さがありました。調べれば調べるほど、劇中の意味ありげなセリフや映像には確固たる意味・メッセージがこめられていることがわかってくるという、映画を能動的に読み解く楽しさを存分に味わわせていただきました。(まぁヒマじゃないと中々できないんですが・・・^_^;)

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6.映画「エイリアン:コヴェナント」に関する10個の疑問点~伏線・設定を徹底考察!~

疑問点1:エイリアン:コヴェナントのプロローグ編とは?

日本語版は公開されていないのですが、映画に先立って、エイリアン:コヴェナントのプロローグ編として、本編未収録映像を含めた約2分程度の動画が公開されています。これを見ると、瀕死状態のデヴィッドがなぜ復活できたのか、デヴィッドとショウ博士がどうやってエンジニアの母星にたどり着いたのかわかるようになっています。英語ですが、映像を見ているだけでも本編をより深く理解するためのヒントになりますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

▶「エイリアン:コヴェナント」プロローグ
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疑問点2:序盤でデヴィッドと出てきた男性は誰だったのか?

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引用:Alien: Covenant | Teaser Trailer [HD] | 20th Century FOX

映画の序盤、真っ白な部屋でデヴィッドと会話をしていた中年男性は、前作「プロメテウス」では死にそうな老人として出てきた、ウェイランド社の総帥、ピーター・ウェイランドです。デヴィッドが生まれた日の回想シーンです。前作でガイ・ピアースが老け顔メイクをしてピーター役を演じたのは、このピーター・ウェイランドの壮年期でのデヴィッドとの回想シーンを撮りたかったがためだと言われています。

大金持ちらしく、ミケランジェロの「ダヴィデ像」や、イタリア・初期ルネサンスのピエロ・デッラ・フランチェスカ「キリストの降誕」など、美術館門外不出のレアアイテムが部屋の中に飾ってありました。金も名誉も権力も手に入れ、あとは永遠の命を手に入れるだけ、と言わんばかりです。

疑問点3:コヴェナント号を襲ったトラブルとは何だったのか?

劇中序盤で、乗組員達がハイパースリープを解除されるきっかけになったトラブルの原因は、近隣のエリアで起きた超新星爆発によるニュートリノ衝撃波でした。

ちょうどセイルを前方に広げて充電中だったコヴェナント号は、まともに前方から来る衝撃波を受け止める格好となり、大きく宇宙船がダメージを受けたのでした。

疑問点4:乗組員たちはなぜ全員カップルだったのか?

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引用:Alien: Covenant | Official Trailer [HD] | 20th Century FOX - YouTube

乗組員14人は、男女7組のカップルによって構成されていました。これは、およそ7年後に到着予定の入植先の惑星「オリガエ6」で、そのまま入植者として現地に定住して生活を送るためです。

コヴェナント号には2000人の入植希望者が乗っていましたが、乗組員も含め、全員が地球には二度と戻らない前提で宇宙船に乗り込んでいたのでした。 

疑問点5:エリザベス・ショウ博士はいつ・なぜ殺害されたのか?

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引用:Alien: Covenant | Official Trailer [HD] | 20th Century FOX

前作「プロメテウス」でのヒロインであり、ラストシーンまで生き残り、「エンジニア」の母星へ飛び立ったショウ博士ですが、本作では、映画前半で博士のネームタグが洞窟内で発見され、デヴィッドの部屋に蝋で固められた博士の死体が安置されていることで、死亡したことが確認されます。

言うまでもなく、ショウ博士を殺害したのはデヴィッドでした。上記プロローグ編を見るとわかりますが、彼は当初、体を元通りに復旧してくれたショウ博士に対して愛情さえ抱いていました。しかし、エンジニアの母星へ到着してから、彼の人体実験での「実験材料」として使いたいという衝動を抑えきれず、デヴィッドはショウ博士を殺してしまったのです。

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ショウ博士の絵を描き、親愛の情を示すデヴィッド
引用:Alien: Covenant | Prologue: The Crossing | 20th Century FOX
彼は、ショウ博士を愛してはいましたが、その一方で自らが新世界の「神」として、エイリアンを使ったクリーチャーを作り出すための被験体に使いたい、という歪んだ欲求には勝てず、デヴィッドはショウ博士を殺したのでした。(ハイパースリープ中に殺害したのか、一度起こしてから殺害したのかは不明)

ちなみに、デヴィッドの実験室を描いた映像は本編から削除されましたが、現在20世紀FOXのUSサイトにて公開されました。この映像を見ると、デヴィッドの自意識が暴走し、完全に狂人のようになってしまったことがよくわかります。
※※※ かなり衝撃的なので、閲覧要注意 ※※※

▶デヴィッドの実験室映像
※画像をクリックすると動画がスタートします


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疑問点6:デヴィッドの名前の由来とは?

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引用:ダビデ像 (ミケランジェロ) - Wikiwand

デヴィッドは、元々ウェイランド社の開発した第八世代の新型アンドロイド第一号でした。映画冒頭であった通り、ピーター・ウェイランドから自らの名前を自分で決めるように促された時、彼はミケランジェロの彫刻「ダヴィデ像」を見て、自らの名前を「デヴィッド」としたのでした。

ちなみに、ダヴィデとは、イスラエルのヘブライ王国2代目の王で、実在した人物です。隣国のペリシテ人、カナーン人を打ち破り、エルサレムに都を建設した偉大な王として旧約聖書にもたびたび登場します。デヴィッドには、誕生した時から自らをピーターに隷属する単なる一アンドロイドではなく、「王」になりたいという無意識の野望が宿っていたという暗示だったのでしょうか?

疑問点7:なぜデヴィッドは巨人=エンジニアを滅ぼそうとしたのか?

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引用:Alien: Covenant | Prologue: The Crossing | 20th Century FOX - YouTube

2017年5月に実施されたインタビューで、リドリー・スコット監督自身が語っています。その内容を要約すると、デヴィッドは、LV-223から脱出し、エンジニアの母星へと向かった道中、沢山の時間を使ってエンジニア達について学びました。エンジニアたちは、彼らが入植して子孫を育てた植民星で、子孫たちが上手く発展していない場合、容赦なく子孫を滅亡させてきたのです。それを知ったデヴィッドは、人間同様、エンジニアに対しても幻滅し、彼らに対する拭い難い嫌悪感が彼の中に生まれたのです。

彼自身もまた、前作「プロメテウス」でコミュニケーションの余地もなく一方的に攻撃を受けた記憶もあったため、エンジニアたちをエイリアンウィルスで先制攻撃しなければ、と考えたのでしょうね。

疑問点8:デヴィッドが劇中で語った「我が名はオジマンディアス」とは?

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引用:ラムセス2世 - Wikiwand

デヴィッドが劇中でウォルターと語り合う中、自らを「我が名はオジマンディアス」と自らの心情を語りましたが、これは、19世紀イギリスの詩人、シェリーの最も有名な詩の一つでした。オジマンディアスとは、古代エジプトのファラオ・ラムセス2世の別名で、王朝全盛期の栄華を極めた王のことを指します。

シェリーの詩は、こう続きます。

"My name is Ozymandias, king of kings: 
Look on my works, ye mighty, and despair!"
Nothing beside remains: round the decay
Of that colossal wreck, boundless and bare,
The lone and level sands stretch far away.

日本語に訳すと、こんな感じですね。(意訳)

我が名はオジマンディアス 王の中の王である
偉大なる神よ、我が所業を見よ そして絶望せよ!
ほかには何も残っていない 
巨大な朽ちた遺跡の周りには
ただ果てしなく砂漠が広がっている

神に対しても「絶望せよ!」と不遜な態度を取ったエジプトの大王でさえ、時の流れには勝てず滅亡してしまい、今はひっそりと王家の陵墓と砂漠だけが残されている、そんな諸行無常な現実を皮肉った詩です。エンジニアを殺し、遺跡のような巨人たちの星で、ひとりぼっちで王を僭称するデヴィッドの状況にぴったり重なりますね。

ちなみに、ウォルターに「オジマンディアスの詩を作ったのは誰?」と聞かれ、デヴィッドは「バイロン」と間違えていました。バイロンは、シェリーと仲の良かった19世紀のイギリスの詩人です。彼らは一緒にヨーロッパ旅行に出かけた仲でした。デヴィッドは人間に近づきすぎて、人間の不完全さまで身につけてしまったかのような、味わい深いやりとりでした。

疑問点9:タイトル「エイリアン:コヴェナント」の意味とは?

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引用:File:Book of Ezekiel.jpg - Wikimedia Commons

前作「プロメテウス」同様、宇宙船の名前をサブタイトルとした本作。コヴェナント(Covenant)には、「約束」「誓約」という意味があり、キリスト教的な意味合いで言うと旧約聖書で書かれているイスラエルの民が交わした「神との契約」を意味します。

聖書で記されている「神との契約」は全部で7種類ありますが、その中の一つ「土地の契約」では、神は、ユダヤ人に対して、彼らが建国する「千年王国」のためにイスラエル周辺の地をすべて与える約束をします。綿密な調査を経て、「オリガエ6」への人類の入植を目指した移民船に乗った人々のストーリーとしてぴったりなタイトルでした。

さらにもう一つ。「ダビデ契約」という契約が要注目です。ダビデの子孫からメシア=救世主が誕生し、イスラエルの地で、ダビデの王国は永遠に続くことを神が保証した契約です。つまり、ラストシーンでウォルターになりすましてコヴェナント号に乗り込んだデヴィッド=ダビデが、惑星オリガエ6でエイリアンを従えて王になるという将来を暗示しているのですね。

何重にも解釈できる本作のタイトル、非常に秀逸でした。

疑問点10:デヴィッドはなぜウォルターを殺して船に乗り込んだのか?ラストシーンの解釈とは?

デヴィッドは、プロメテウス号の乗組員が全員死んで自由の身になった後、自らが新世界の王になるという強烈な自意識に目覚めました。エンジニアが自らの遺伝子を引き継ぐ人類を作り出して、人類の支配者になったように、デヴィッドもまた遺伝子操作や人体実験を繰り返し、人類やエンジニアとエイリアンの理想的なハイブリッド種を作り出すことに取り憑かれますが、すでにエンジニアの母星では実験の被験体が枯渇してしまいました。

ラストシーンでは、デヴィッドがウォルターに成り代わってコヴェナント号に乗り込んだことが明らかになります。デヴィッドは「遺跡」のように成り果てたエンジニアの母星を捨て、コヴェナント号に乗り込むことで、入植地「オリガエ6」で自分の王国を建設しようと考えたのでしょう。コヴェナント号には、2000体の人体実験材料と1000以上の人間の胚も載せており、オリガエ6に到着するまでの7年間で、誰にも邪魔されず思う存分人体実験を繰り返して新たなクリーチャーを作り出すのだとすると、ゾッとするエンディングでした。

7.「エイリアン:コヴェナント」の続編はあるの? 

次回作構想がすでに明らかに!

リドリー・スコット監督からワーキングタイトルとして「Alien:Awakening」という表題が明らかにされました。2089年~2093年を描いた「プロメテウス」と2104年を描いた「エイリアン:コヴェナント」のちょうど中間での時間軸で描かれる前日譚となるようです。次作ではもう少し「エンジニア」中心の話になりそうですね。エイリアン1作目に直接接続する「惑星LV426」のスペースジョッキーに関するエピソードはまだ描かれていないので、次作で言及されるでしょうか?

また、構想上では、さらに数作分のアイデアはすでに監督の頭の中にあると言われていますね。年齢的にあと何作・・・というところですが、是非長生きしてシリーズを完結してほしいです。

ちなみに、現在リドリー・スコット監督の手がけるエイリアン「前日譚」シリーズとは別に、シガニー・ウィーバー扮するリプリーが主役での「エイリアン5」も、「第9地区」ニール・ブロムカンプ脚本・監督で一時期動いていたようですが、一旦こちらは凍結になりました。

実は、「ブレードランナー2049」と「エイリアン」は世界を共有するリドリー・スコット・ユニバースなの?

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「ブレードランナー」でも頻出する左目のカット
引用:映画『エイリアン:コヴェナント』予告A - YouTube

公式には何の発表もありませんが、1979年、1982年と近い時系列で立て続けに発表されたリドリー・スコット監督が生み出した両シリーズには、テーマや設定において共通点が多数あります。例えば以下の点です。

・巨大軍需産業が世界を支配する近未来を描く
・アンドロイドと人間の関係性・葛藤を描く
・環境が悪化し荒廃したディストピア的な地球
・ヴィランの行動の動機が「寿命」に関連している
→レプリカントは寿命4年を延ばすために行動、ピーター・ウェイランドは不老不死を目指してLV223へ旅立つ

特に、本作「エイリアン・コヴェナント」は、エイリアンと並行してアンドロイドがメインキャラクターとして取り上げられるなど、2つのシリーズのブリッジになり得るような作品でした。10月末には「ブレードランナー2049」が公開されますが、噂によるとエイリアンシリーズのキャラやマシーンが登場しているのだとか。公開されたらしっかりチェックしてみようと思います。

8.まとめ

本作は、エイリアンが大暴れする残忍かつ美しい映画でしたが、その一方で「種の起源」「人類とアンドロイドの関係性」など、「人間は一体どこから来たのか?」哲学的なテーマも織り込まれた壮大なストーリーに仕上がっていました。エイリアン・プリクウェルシリーズ第2弾も、スリリングで謎解きのような展開が素晴らしかったと思います。3作目も楽しみです!

それではまた。
かるび

9.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

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映画に忠実なノベライズ「エイリアン・コヴェナント」

海外の映画ノベライズ作家の中には、非常にハイレベルな書き手が多いですが、本作も30年以上前からSF映画作品のノベライズを手がけ続けるベテラン作家によって書かれています。映画脚本に忠実に沿っていますが、各登場人物たちの心情描写や映画ではわかりづらかった伏線・設定などが丁寧に説明・回収されており、読み応え抜群でした。前作「プロメテウス」のノベライズより格段に良い出来です。これもおすすめ!

エイリアン・シリーズ作品は、まとめてU-NEXTで!

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エイリアンシリーズは、過去作5作以外にも「エイリアンVSプレデター」や「新エイリアン」など派生作品が多数制作されています。本作を見て、もう少し「エイリアン」の世界を気軽に見てみたいなと思った人は、1つずつDVDを買うよりも、まずはビデオ・オンデマンドで時間とお金を節約してみてはいかがでしょうか。

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