あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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【ネタバレ有】アニメ映画「GODZILLA ゴジラ 怪獣惑星」感想と10の疑問点を解説!/3DCGの迫力映像が凄い!アニゴジSF3部作の第1作!

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【2017年12月9日更新】
かるび(@karub_imalive)です。

11月17日に公開されたゴジラの新作「GODZILLA 怪獣惑星」を見てきました。1954年のゴジラ第1作以来、世界初となる「アニメ映画」での3部作の第1作目となる作品です。本作は、映画公開後、一定期間が経過した後、NETFLIXで全世界に公開される予定で製作されました。配信まで待っても良かったのですが、せっかくなら大スクリーンで見たい!ということで行ってきました!

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、キャスト紹介や詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、後半部分でストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が一部含まれますので、何卒ご了承ください。できれば、映画鑑賞後にご覧頂ければ幸いです。

1.映画「GODZILLA 怪獣惑星」の予告動画・基本情報

▶「GODZILLA怪獣惑星」公式予告動画
※画像をクリックすると動画がスタートします


動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】静野孔文・瀬下寛之
【脚本】虚淵玄
【配給】東宝映像事業部
【時間】89分
【原作】前日譚ノベライズ「GODZILLA 怪獣黙示録」

本作で製作のコアとなったのは、監督を務めた静野孔文氏、瀬下寛之氏、そして脚本・原案を担当した虚淵玄氏の3人でした。それぞれの得意分野・代表作で実績を積んできている実力派の3人が今回目指した方向性は、

・アニメの強さを活かしたゴジラ映画を作りたい
・見たことのない世界観や風景を使った作品にしよう

ということです。

その結果、選ばれた方向性としては、現代でも近未来でもなく、20000年も先の遠い未来を舞台としたハードSF映画でした。徹底的に現代日本の抱える問題点をテーマに内包し、リアリティを追求して大ヒットした「シン・ゴジラ」とは対照的なアプローチであり、宇宙人も2種類出てきちゃいます(笑)

その設定やバックストーリーも綿密に用意されており、1999年~2048年までの、人類がゴジラとの戦いに敗退していく壮大な歴史を描いた前日譚「GODZILLA 怪獣黙示録」は、読み応え抜群でした。 

2.映画「アニメ版ゴジラ」人物相関図・主要登場人物・キャスト

本作は、主人公のハルオとその周りの宇宙船の乗組員達10名程度を描きますが、89分と短めな尺の中で、次々と人物が登場するため、できれば事前に少しでも人物相関図や主要登場人物はチェックしておきたいところです。

人物相関図

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引用:GODZILLA怪獣惑星オフィシャルHPより

主要登場人物

ハルオ・サカキ(CV:宮野真守)f:id:hisatsugu79:20171120111955j:plain
引用:アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』本予告 - YouTube
大規模公開されるアニメ大作映画では、必ずと言っていいほど起用されるものの、芸能人の2番手、3番手に甘んじることが多かった宮野真守。しかし、今回は文句なく主役での登場です。1作目ではまだ未熟な感じのハルオが、今後成長していく姿をどう演じていくか楽しみですね。

ユウコ・タニ(CV:花澤香菜)f:id:hisatsugu79:20171120112058j:plain
引用:アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』本予告 - YouTube
僕のようなアニメ初心者でも、何度もその名前を聞いたことがあるほどの実力派ベテラン声優がヒロインを担当。「3月のライオン」の川本ひなた役など、見た目はか弱い感じでも、芯の強い女性を演じるのが上手な声優さんだなと思います。

メトフィエス(CV:櫻井孝宏)f:id:hisatsugu79:20171120112132p:plain
引用:GALLERY|映画『GODZILLA 怪獣惑星』OFFICIAL SITE
古代大和朝廷時代のように、髪を再度で結い上げる「みずら」頭や、高い位置にあるエルフのような耳が特徴のエクシフ人神官。ハルオを持ち上げつつも、裏で何を考えているのかわからない、ミステリアスな存在でした。

エリオット・リーランド(CV:小野大輔)f:id:hisatsugu79:20171120112420p:plain
引用:GALLERY|映画『GODZILLA 怪獣惑星』OFFICIAL SITE
祖父、マーク・リーランドは、イギリスの諜報機関SISで諜報員として働いていました。ゴジラ殲滅を土産に中央委員会の政権交代を迫ろうとする、野心満々の司令官。全体的にキャラの薄い脇役の中では、キャラの立った人物でした。

3.前日譚も含めた、途中までの簡単なあらすじ

20世紀末、大気汚染・放射能濃度の上昇など、環境破壊が行き着くところまで発展した地球では、生物界で突然変異による巨大生物「怪獣」が世界各地で出現し、人間社会を大混乱に陥れた。人間と怪獣との戦いが常態化した2030年、究極進化した巨大生物「ゴジラ」が出現すると、人間はいよいよ怪獣との戦いに劣勢に立つようになった。

北米大陸、西ヨーロッパを完全に失い、窮地に陥った人類の元へ、エクシフやビルサルドといった異星人が相次いで来訪した。人類は、彼らからもたらされた科学技術を結集して、戦線を何とか立て直そうとした。しかし、3種の人類の連合政府による抵抗も虚しく、2046年、対ゴジラ作戦は完全に失敗に終わった。人類に残された道は、人工知能によって選抜された15,000人余りの人員を、オラティオ号、アラトラム号と2つの恒星移民船に乗せて、別惑星へと移住することだった。

2048年、約5,000人の人員を乗せて、移住先であるくじら座タウe惑星を目指したアラトラム号だったが、現地へ到着してみると、とても定住に適した惑星であるとは言えなかった。喫緊の飢えと乾きをしのぐため、同船の指導部は、亜空間飛行によって、再び地球へと帰還するという苦渋の選択を行った。

先行揚陸部隊が地球に降り立つと、亜空間飛行の影響により、前回地球を発ってから約20,000年後の世界となっていた。動植物や大気組成にも大きな変化がある中、彼らは一番見たくなかったものーゴジラーの生存を確認した。

偵察部隊を送ったが、相当量のダメージを食らった結果、揚陸作戦の指揮を取ったリーランド大佐が殉職した。変わって、急遽指揮を取ることになったハルオ・サカキ大尉は、方針を変更し、彼がかねてから温めていたゴジラ殲滅プランに沿って、退路を絶ってゴジラと戦うことを選択した。

ハルオたちは、ゴジラを隘路に誘導し、身動きを取れない状態にしておいてから、シールドを解除するための弱点を突き、シールドが弱まった一瞬を狙って、体内にEMPプローブを打ち込み、ゴジラを内側から爆砕する計画を立てたのだが・・・。

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4.アニメ版「GODZILLA 怪獣惑星」の感想・考察・評価

「前半は眠くなる・・・」との下馬評でしたが、最初から最後まで楽しめました

映画公開当日、熱心な映画ブロガーさんの記事や、Filmarksなどの感想を見ていると、多かったのが「中盤までは専門用語が多くて眠くなる」「後半までは我慢」という意見が目立ち、「あぁ、ネトフリ配信が前提の3部作の第1作ということで、どうしても作品単体で楽しませるっていう意識が薄くなりがちで、序盤は退屈になっちゃってるんだろうな」と警戒してました。

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前半は、船内での駆け引きが中心の地味な展開
引用:
GALLERY|映画『GODZILLA 怪獣惑星』OFFICIAL SITE

でも、事前に前日譚を徹底的に読み込んでいったことも奏功したようで、意外と専門用語にもついていけて、最初からしっかり楽しめました。例えば、評判の悪い序盤の恒星連絡船内でのシーン。地球人・エクシフ・ビルサルドと3人種が混ざった中央委員会の場で、長老指導者たちが権力闘争的なつばぜり合いをするシーンなんかは、ゴジラの話題すら出てこないんですが(笑)、意外に「銀河英雄伝説」みたいで、楽しめました。こういう密室での政治闘争劇は結構好きですが、前半までフルで楽しむのであれば、面倒ですが、やはり事前予習がカギとなるようです。

また、シン・ゴジラの手法に倣ったのか、難しい専門用語でダーッと早口で話すシーンは、いわゆるハードSFによくありがちな小難しい感じではあるのですが、良くも悪くも、この映画では、不思議と1度くらいセリフを聴き逃しても、あとで必ず別の登場人物がセリフ内でもう一度似たようなことを不自然に説明してくれる安心設計です。このあたりは、アニメ作品でも「ザ・日本映画」だったな(笑)と苦笑いであります。

復讐に燃えるハルオがゴジラ殲滅に乗り出す後半は、迫力満点!

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引用:アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』本予告 - YouTube

そして、長かった政治劇は、地球帰還派の勝利に終わり、反乱の責任を取って、独房に拘禁されていたハルオも、無事に地球降下作戦の第一陣へと参加できることに。地球にいよいよ降り立つと、ここでようやく待ちわびたゴジラとの初対面です!いや、確かに長かった。待ちくたびれました(笑)

レーダー上にチラ見せしたり、報告書内でちょろっと言及するだけに止め、ゴジラの登場を後半まで引っ張る、観客をジリジリさせる展開は、通称「ギャレゴジ」と言われる、ハリウッド版「ゴジラ」(2014)と似たような感じでしょうか。

しかし、一度対面してしまうと、今度はおっかなびっくりの遠隔攻撃に終止した「シンゴジラ」とは対照的に、ハルオの水を得た魚のようなカリスマチックな指揮の下、一気に近接攻撃に打って出る揚陸部隊。「進撃の巨人」での人間VS巨人での戦いのような構図で、迫力満点のシーンで楽しませてくれます。ゴジラは口から高周波砲を吐くし、ミサイルもゴジラにガンガン命中して、炎が出ていきます。このあたりのキビキビした「動き」の表現や、炎のリアルさ、各種計器類のデジタルっぽい画像は、3DCGアニメの長所がいかんなく発揮されており、ポリゴン・ピクチュアズの世界レベルの実力をひしひしと感じたのでした。初日は2Dで見ましたが、4DXにしとけばよかったと悔やみました^_^;

唯一の不満点は、ゴジラの造形。ちょっとバランス悪くない?

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引用:アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』本予告 - YouTube

一つだけ不満だったのは、ゴジラの造形です。今作では、ギャレゴジの影響なのか、やたら体がレスラー体型のような筋肉質なんです。それは良いとしても、ちょっと頭部が小さすぎませんかね?

パンフレットに「頭部は小さいほど知性が感じられる」ので小さくした、、、と書かれていたのですが、そうなのかな?これって、一般的には逆なんじゃないでしょうか?

▼参考:ティラノサウルスの頭部はもっと大きい!f:id:hisatsugu79:20171120120753j:plain

人間も恐竜も、その進化系統樹を追っていくと、知能が発達するに従い、頭部はどんどん大きくなるのが普通です。例えば、上記画像のように、白亜紀末期に北米大陸で恐竜の王として君臨、最終進化した肉食恐竜「ティラノサウルス」は、単に獰猛なだけでなく、知性も非常に発達していました。その分、過去のどの恐竜と比べても、脳容積が非常に大きく、頭部が大きかったのです。進化論的に見ると、頭部の大きさは、知性の発達を象徴するのですよね。

でも、今回のゴジラは、あまりに頭部が小さいのではないでしょうか?どうもこのあたりは、恐竜ファンとしては非常に違和感があって、見ていて気になって仕方がないポイントでした^_^;

しかし、ハルオの大義なき戦いは、奮闘むなしくラストの絶望的展開へ

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引用:GALLERY|映画『GODZILLA 怪獣惑星』OFFICIAL SITE

ところで、今回面白かったのは、20,000年後の地球の生態系描写でした。ゴジラへの熱核攻撃を繰り返し、極端に環境汚染が進む中で、地球から退避した2048年とは違い、明らかに生態系や環境レベルが元に戻っている様子でした。

ハルオたちが着陸した元丹沢地域では、ゴジラを生物界の頂点として、その亜種のような翼竜動物や、植物が熱帯のように大繁殖していました。人間が去った後、人間以外の動植物は環境に適応し、独自進化していたのですね。さしずめ、ゴジラはナウシカの「腐海」を守る「王蟲」のような存在だったということでしょうか?

ただし、この世界では、人間だけが住みにくい環境になっていました。ゴジラはもちろん、翼竜動物も人間にだけは凶暴に牙を向けますし、植物でさえ金属のように固く尖ってしまい、人間はうかうか触ることができません。つまり、20,000年後の地球では、ハッキリ人間だけが「お呼びではない」のです。

それにもかかわらず、父母を殺された復讐心から、ハルオは、歓迎されていない地球に降り立ち、人間の尊厳を守るためにゴジラに戦いを挑みます。ハルオたちの、知恵と勇気を集中させて、ゴジラを倒そうとする必死の行動には胸を打たれるんですが、なんかちょっと違和感があったんですよね。

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戦闘行為が、地球の生態系を再び破壊していく・・
引用:アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』予告 - YouTube

その違和感とは何か、というと、ハルオ達の戦闘がもたらした圧倒的な環境破壊でした。ハルオたちの対ゴジラ戦での作戦行動は、20,000年かけて回復した森を焼き尽くし、山を切り崩すなど、環境を大きく破壊してしまいます。一見、勇気ある行動に見えた、大成功に終わるゴジラ殲滅作戦ですが、皮肉なことに、ハルオ達がやったことは、かつて20世紀に驕り高ぶった人類たちが、地球上で行った破壊行為とあまり変わらないわけです。

だから、結末として、地球が人間を再び排除するため、より強力な怪獣を人類の前に送り込むのは、いわば当然の帰結ですよね。怒った地球は、森や大地と一体化していた眠れるゴジラを目覚めさせ、ハルオ達揚陸部隊を一瞬にして全滅させるのです。ハルオたちが決死の思いで倒したゴジラは、単なる前座に過ぎなかったのでした。

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体長300mに成長した、絶望的な大きさのゴジラ(親)
引用:アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』本予告 - YouTube

そして、先程倒したばかりのゴジラより5倍以上デカい超巨体の怪獣に迫られ、精も根も尽き果てたハルオたちの置かれた環境は、まさに絶望そのものだったことでしょう。本作の副タイトル「絶望は進化する」とはまさにこのことだったのだな、ときれいに腑に落ちました。

本作におけるゴジラの意味とは?

本作においても、従来の様々なゴジラ作品同様、ゴジラとは「人間に対する災厄」のメタファーであるのは間違いありません。

面白かったのは、ガイア理論のように、自然=地球が、あたかも一つの生命体であるかのように、明確に意思を持って、2万年ぶりに上陸してきた人間を排除しようとする姿勢でした。ゴジラの遺伝子を受け継いだ翼竜は、やたら人間にだけ敵意を剥き出しにして向かってきましたし、地球の植生全体が、金属質で鋭利な刃物のような質感に変わっていたり、金属質の花粉が大気中に充満し、無線通信もできません。ハルオ達の地球への無邪気な郷愁は、全く通じていなかったかのようです。

2作目以降、ハルオ達がゴジラに対してどういうスタンスを取るのか、あるいは地球に残って住んでいる人間たちが、どう地球と和解し、環境と折り合いをつけて生きているのか、そのあたりの描写が非常に気になりました。来年5月が楽しみです。

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5.映画「GODZILLA怪獣惑星」に関する10の疑問点~伏線・設定を徹底考察!~

本作をより深く理解するため、ストーリーや設定について、その要点となりそうなポイントを考察してみました。内容上、映画を1度見終わった人向けのコンテンツとなりますので、ここからはネタバレ要素が強めに入ります。予めご了承下さい。

疑問点1:今回移住しようとした「くじら座タウ星eとは?」

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引用:アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』特報1 - YouTube

くじら座タウ星は地球から11.9光年しか離れていない、最も地球に近い場所にある実在の恒星系です。船内にハイバネーション装置(冷凍冬眠装置)を持たないアラトラム号は、このくじら座タウ星系を目指しました。しかし、候補となる惑星は、上記の画像の通り、木星のような巨大な低気圧に覆われるなど、定住には適さなかったのです。

過去のハリウッド作品でも度々居住可能な惑星を持つ地球から最寄りの恒星系として、『夜明けのロボット』や『スタートレック』など、古今東西さまざまなSF作品において登場している、有名な恒星ですね。

疑問点2:移民船アラトラム号で、なぜハルオは監禁されたのか?

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引用:アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』予告 - YouTube

20年かかって到着したくじら座タウ星eが、まるで住環境に適さない惑星であることが判明したため、かねてから「地球帰還派」の筆頭格だったハルオは、ハッキリしない中央委員会メンバーに対して、移民用揚陸船に爆発物とともに立てこもるという、一種の武装蜂起を起こすことで、要求を通そうとしたのです。

しかし、ハルオにとって誤算となったのは、移民希望者代表が、ダイチ・タニだったことでした。ダイチ・タニは、両親亡き後、自分をアラトラム号にて父親代わりとして育ててくれたハルオにとっての大恩人でした。ダイチから「死ぬときは大地に足をつけて死んでいきたい」と懇請されてしまうと、ハルオには武装蜂起を継続する大義名分がなくなってしまいました。彼は、苦渋の決断として、武装解除して投降し、独房に監禁されたのでした。

疑問点3:ハルオの父、アキラ・サカキ、ハルカ・サカキとはどんな人物だったのか?

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引用:アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』本予告 - YouTube

前日譚ノベライズ「GODZILLA怪獣黙示録」によると、ハルオの父、アキラ・サカキは地球連合情報軍総合情報部の調査官を務めていました。彼は、2048年にアラトラム号への乗船を命じられるまで、世界中で怪獣に関する調査として、人々へのヒアリングをメインのミッションとしていました。そして、2039年パリで、女性兵士としてヨーロッパ方面で活躍していたハルカ・サカキとゴロザウルス、ジラ掃討作戦の最中に終了後に知り合い、意気投合して結婚。数年後、本作の主役・ハルオ・サカキが誕生しました。

アラトラム号への乗船直前まで、連合本部にて上層部と交渉をしていたサカキ夫妻は、かつて2045年にアキラ・サカキの護衛を務めたダイチ・タニに自らの息子、ハルオを託し、先にアラトラム号に乗船させます。しかし、後から遅れてシャトルバスに乗って船に向かう途中で、空港の滑走路で夫妻はゴジラの攻撃を受けて死亡したのです。

ちなみに、ハルオは、今回の地球降下作戦において、アキラ・サカキの調査報告書の中から、西ヨーロッパで回収したウィルヘルム・キルヒナー博士が残したゴジラ論文等を元に、ゴジラ殲滅作戦を立案しています。ハルオにとって、今回の作戦は、いわば父子共同作戦とも言える、思い入れの深い作戦だったのでしょうね。

疑問点4:ヒロイン、ユウコ・タニとハルオの関係は?

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引用:アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』本予告 - YouTube

本作で唯一の女性キャラクターとして登場した、パワードスーツの達人、ユウコ・タニは、ハルオ同様、幼少時に両親をなくし、アラトラム号の船内で、祖父、ダイチ・タニに育てられました。よって、ユウコ・タニとハルオは、親世代が親友同士の幼馴染でした。見たところ、家族のような、恋人未満のような関係なのでしょうか?

1作目では、ヒロインとしての個性は正直かなり薄めだったので、2作目以降(もし生き残っているのであれば)ハルオとの間に何らかの進展があるのかもしれませんね。

疑問点5:異星人エクシフの正体とは?彼らがもたらした科学技術と宗教とは?

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引用:GALLERY|映画『GODZILLA 怪獣惑星』OFFICIAL SITE

エクシフは、古代大和朝廷のような髪型、エルフのような耳を持つ、人間の2倍以上の寿命を持つ異星人です。彼らは、自分たちの母星、ペルセウス座BD+48°740恒星系の第4惑星エクシフィルカスを失った後、2035年、初めて公式にニューヨークに飛来しました。彼らは、ゲマトリア演算と呼ばれる独自の数学体系による未来予測技術と、他者への献身を教義とする宗教を持っていました。ゴジラとの戦いで疲弊し、神の恩寵を得られず裏切られた人々は、救世主のように現れたエクシフの教義に帰依していきました。

なお、彼らが用いるゲマトリア演算が古代ヘブライのゲマトリア数秘術と同じ名前を持っているなど、エクシフは2035年以前にも人類に継続的にコンタクトしていた形跡があります。彼らの最終目的は一体何なのか?第2作以降で明らかにされるのでしょうか?

疑問点6:異星人ビルサルドとは?彼らがもたらしたテクノロジーとは?

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引用:アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』予告 - YouTube

異星人エクシフにつづき、翌年2036年、異星人ビルサルドがロンドンに飛来しました。彼らの母星である、はくちょう座V1357恒星系の第3惑星「ビルサルディア」がブラックホールに飲み込まれたため、母星を捨てて地球にたどり着きました。平均寿命200歳と長命で、褐色の肌と強靭な体力を持ち、科学技術に優れたビルサルドは、ゴジラの駆逐と引き換えに、地球への移住を要望します。

2042年、地球人は彼らのナノメタル技術による対ゴジラ決戦用兵器「メカゴジラ」の開発に乗り出しました。4年後に完成したメカゴジラで、日本・浜松に上陸したゴジラとの「最終決戦」に臨みますが、失敗してしまいます。

疑問点7:地球降下作戦部隊を苦しめた、翼竜の正体は?

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引用:アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』本予告 - YouTube

地球へと降下した揚陸部隊が、最初に出会った動物が、この翼竜「セルヴァム」でした。そのフォルムは、まるでジュラ紀~白亜紀に独自進化した翼竜そのものです。金属性の体表、人間への敵意、攻撃性などは、まるでゴジラの翼竜版だなと思って見ていましたが、設定を見ると翼竜「セルヴァム」はゴジラから枝分かれして進化した、ゴジラとDNAの97%を共有する亜種だったようです。

疑問点8:ハルオ達が地球で遭遇したゴジラの正体とは?また、どうやってゴジラを倒したのか?

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引用:アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』本予告 - YouTube

ハルオ達が元丹沢で目撃し、交戦したゴジラは、実は20,000年前に地球へと出現したゴジラの体細胞から(無性生殖で)生まれた子供、「ゴジラ・フィリウス」だったことが判明しました。フィリウスとは、ラテン語で「子孫・子供・継承者」を意味し、キリスト教では、「神の子」を指すキーワードです。

本作でのゴジラは、動物ではなく、植物の超進化した最終形態として描かれました。体内に骨格はないが、動物のような筋肉運動が可能で、水と光からエネルギーを得ており、生きている限り成長を続ける、樹木のような存在です。体表面は金属質の強い皮膚で覆われ、体内から強い電磁気を周囲に発生させ、体表を守るシールドを形成するとともに、口や尾から電磁放射を行い、敵に攻撃を行います。

ちなみに、ハルオ達がゴジラ・フィリウスを倒した手順は、ザックリ言うと、以下のような手順でした。

1.ゴジラを元丹沢の山間地の谷間へと誘導
2.大規模ながけ崩れを起こし、ゴジラを足止め
3.ゴジラの体表面に火力を一点集中
4.露呈したシールドを解除させる弱点を探す
5.弱点に集中砲火し、シールドを解除
6.EMPプローブを打ち込み、自爆させる

となっています。ゴジラが米軍の熱核攻撃にも耐えたのは、一重にこの電磁的な「非対称性透過シールド」があったからです。これを解除してから、体内に巨大な注射針のような電磁パルスを発生させる装置を埋め込むことにより、ゴジラの体内で電流をオーバーロードさせて、自爆を誘発したのです。

疑問点9:ラストシーン~エンドロールの意味するものとは?

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体高約50メートルのゴジラ・フィリウスを倒した直後に、活動を開始したゴジラ。成長・巨大化を続けて、体長300メートル、体重10万トンとなった2万年後のゴジラは、散り散りになって逃げる揚陸部隊を、一瞬のうちに火炎放射によって焼き尽くしました。

ハルオもまた、揚陸艇の下敷きになって瀕死状態で倒れましたが、エンドロールにて、謎の少女に洞窟内で介抱されているシーンが映し出されましたね。他のメンバーの生死は全く不明ですが、パンフレットにも「この3部作では、ハルオの人間関係を掘り下げて描く」と書かれている通り、次回以降で、さらにハルオやその周辺人物とのエピソードやバックストーリーが明らかになるものと思われます。

また、エンドロール終了後に映し出されたのは、2018年5月に公開予定の次作「GODZILLA 決戦機動増殖都市」のイメージ画像でした。倉庫(または洞窟内)で赤く光るのは、2045年の対ゴジラ戦で使用・廃棄された、メカゴジラのパーツの一部でしょうか? 

ちなみに、「増殖都市」というワーディングからは、やはりNETFLIXにて公開された瀬下寛之監督の前作「BLAME!」を強く想起させるものがあります。遠い未来、AIと機械が人間を圧倒し、機械が宇宙空間上で、無限にジャングルのような都市空間を建設し続ける中、人間達が生き延びるために戦う、という独特の設定が魅力だったハードSFアニメ映画ですが、ひょっとしたら何らかのオマージュがこめられているのでしょうか?

疑問点10:今回、未回収となった伏線・設定は?続編はどうなるのか?

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ハルオの落としたペンダントの意味とは?
引用:アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』予告 - YouTube

本作は、アニメ版ゴジラ三部作の第一部として、次回作以降に未回収となったたくさんの伏線・設定を残しました。備忘録も兼ねて、次回作以降での、ストーリーにおける注目ポイントを記載しておきますね。

・ハルオが空港で落としたペンダントの意味は何だったのか?
・移民船アラトラム号で待機中の、約3400名の乗組員はどうなったのか?
・もう一つの移民船、オラティオ号に乗り込んだ約10000人の乗組員はどうなったのか?
・ラストシーンで登場した、ハルオを看病した謎の少女の正体は?
・メカゴジラの再登場はあるのか?その仕様や能力の詳細は?
・20,000年前に地球に残留した約7億人の人類はどういう末路をたどったのか?
・前日譚「怪獣黙示録」でまだ明らかにされていない2045年~2048年のゴジラとの戦いは明らかにされるのか?
・ビルサルド、エクシフは何を企んでいるのか?彼らの真意は?
・ハルオたちはどうやって300mに成長したゴジラと戦うのか?

6.映画パンフレットが素晴らしい!

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本作は、映画パンフレットが非常に丁寧に製作されており、満足度が高かったです。文句なくオススメできる、ハイレベルなパンフレットでした!以下、ちょっと中身を紹介しますね。

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まず、嬉しいのは専門用語や登場人物をきっちり整理してくれていること。登場人物は、劇中で説明されない設定まで、細かく記載されています。

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そして、映画内での印象的なシーンのビジュアルも満載。

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さらに、一番のおすすめは、映画内で、ハルオが恒星移住船の中でまとめ上げた【ゴジラ殲滅プラン】が中綴じとして封入されていたことです。これが、ハードSFらしく、本当に詳細でマニアックなんですよね。ゴジラの体組織についての描写や、前日譚で描かれなかった2046年以降の追加情報も記載されています!

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一応、Amazonなどネットでも購入できるようになっているようなので、購入先のリンクを置いておきますね。

7.まとめ

本作は、その中途半端な作品の立ち位置のため、熱心なアニメファン・特撮怪獣映画ファンの守備範囲から外れたのか、動員数や興行成績はやや苦戦中です。それでも、3DCGで新たなゴジラの世界を描き出し、新しい作品を作ろうとする意欲は良いと思うし、2作目、3作目はもっと面白くなってくると予想されます。個人的には非常に楽しめた作品でした。
それではまた。
かるび

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8.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

ファン必携!前日譚を描いた公式ノベライズ「GODZILLA怪獣黙示録」

サカキ・ハルオの父、サカキ・アキラが、ゴジラと戦った様々な軍関係者や政治家・科学者にインタビューを重ねていく形で、2048年までのゴジラとの戦いをまとめた報告書のようなタッチの前日譚ノベライズ作品。謎の多いアニメ映画版GODZILLAを紐解くには、是非読んでおきたい一冊!

映画「ゴジラ」シリーズを徹底解説!「新ゴジラ論」

ゴジラを論じているムック本や解説書は沢山ありますが、2017年秋現在の最新情報に基づき、特に「ゴジラ」1作目と「シン・ゴジラ」を徹底的に掘り下げて論じている良著。ゴジラの正体とは?または各作品のテーマや制作秘話は?様々なドラマがあったゴジラを一括して楽しめる作品です。

映画「ゴジラ」シリーズの配信はHulu一択!

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今回のアニメ版ゴジラを見て、本格的に過去のゴジラシリーズを見てみたい!と考えている方には、圧倒的にHuluがお薦め!僕は、今Netflix、Hulu、Amazon、ツタヤと4つ加入していますが、ゴジラシリーズの配信は、Huluが(ほぼ独占と言っていいほど)圧倒的に過去作を網羅しています。

現在、Huluにて、映画「ゴジラ」に関連する映画作品は、実に23作品が見放題となっています。ハリウッド版ゴジラも、平成ゴジラも、昭和ゴジラも全部HuluでOKです!

また、Huluの良いところは、何と言っても「加入後2週間は無料」で見れるところです。無料期間中に、一気に23作品見てしまえば実質タダで過去作品が復習できますね!

僕も、Huluは長年お世話になっていますが、今回の期間限定配信中に色々といいところだけつまみ食いしてチェックしました!レンタル代が浮いて非常にお得に復習できました! 

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