あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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映画「ぼくのおじさん」の感想とネタバレ解説!松田龍平のゆるかわ演技が最高!

【2016年11月17日更新】

かるび(@karub_imalive)です。

今年一番平和でゆるふわな映画との前評判だった、北杜夫原作の同名の児童小説を映画化した、「ぼくのおじさん」を見てきました。松田龍平と子役の大西利空との年齢差のある「相棒もの映画」は、戦闘やアクションシーンが一切なく、下馬評通りの平和な作品でした。

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興収、動員数的にはかなり厳しそうですが、すごく気に入りました。映画の感想を書いてみたいと思います。
※後半部分は、ネタバレ部分を含みますので、何卒ご容赦下さい。

1.映画の基本情報

<オフィシャル予告動画>

動画がスタートしない方はこちらをクリック

【企画】須藤泰司
【監督】山下敦弘
【脚本】春山ユキオ(須藤のペンネーム)

映画『探偵はBARにいる』シリーズの脚本・プロデュースで松田龍平とは2回めのタッグになる須藤泰司。監督は渋谷すばるが主演をつとめた『味園ユニバース』(15)の山下敦弘。優しさと共感が画面に溢れ出す監督独特の演出は今作でも健在です。

2.主要登場人物とキャスト

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(引用:日経STYLE)

主人公は、映画パンフレットの表紙にもある通り、おじさん役の松田龍平と、雪男役の大西 利空。マドンナ役(とあえて言おう)には真木よう子を配置。その他豪華な脇役陣で、コメディを彩りました。

おじさん(松田龍平)
兄の家に居候する自称「哲学者」で変わり者の雪男のおじさん。伯父さんではなく、「叔父さん」なわけですが、作中では名前がありません。ハワイでも「I AM UNCLE」とか言ってました。何やそのセリフ(笑)働かず、昭和の高等遊民のような生活を続けるが、ゆるふわで若い女性陣からは人気。

春山雪男(大西利空)
小学校4年生。学校の宿題で、おじさん観察日記をつけ始め、おじさんと行動を共にする。冷静でしっかりもの。なんだかんだでおじさんが大好き。

稲葉エリー(真木よう子)
ハワイ生まれ日本育ちの日系4世。画廊で個展を開くほどのカメラの腕前だが、ハワイで祖母の遺したコーヒー農園を継ぐためにハワイ島へ渡る。

青木伸介(戸次重幸)
老舗和菓子屋「寛政堂」の社長。エリーの元恋人。

春山節子(寺島しのぶ)
雪男の母親。居候のおじさんをあまり良く思っていない。

春山定男(宮藤官九郎)
雪尾の父親。居候のおじさんのお兄さん。

みのり先生(戸田恵梨香)
雪男のクラスの担任。雪男の作文を読み、おじさんが気になっている。

===↓ 以下ネタバレ含みます。ご注意 ↓===

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3.あらすじ(※ネタバレ有注意)

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小学4年生のぼく=春山雪男は、クラス担任のみのり先生から、作文コンクールで「自分のまわりにいる大人について」書いてくるように宿題を出される。自宅に帰り、しばらく机に向かったけれど、なかなか思いつかない。父は公務員の平凡な課長だし、母はいわゆる専業主婦だから。

机で唸っていると、そこへ春山家に居候するおじさんだった。おじさんから、マンガ「少年キック!」を買ってくるように頼まれる雪男。しかし、お金はなかなか出してくれないおじさん。僕がマンガを買ってくると、万年床でマンガをけらけら笑いながらおじさんは読み始めた。

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そこで、雪男は、この愛すべきぼくの“おじさん”をネタに作文を書くことを思いつく。タイトルは、「ぼくのおじさん」。

おじさんは、自称「哲学者」で、ドイツの哲学者「カント」が特にお気に入り。週に1回だけ大学で非常勤講師として働くほかは、いつも寝ていてなまけてばかり。そしてお金がない。猫のえさを横取りしようとしたり、動物園には連れて行ってくれなかったり、スポーツに誘ってもてんで体力がなくてだめだったりする。そして、自宅でも母親から、「万年床はやめてください!」とガミガミ言われる始末。

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ある日、そんなおじさんが、外出した帰りにお土産を買ってきてくれたが、それは、精巧に出来たおもちゃの巨大ムカデだった。それを見て本物だと思ったママは、気を失ってしまう。もちろん、その晩にママから大目玉を食らうのだが、のらりくらりとかわしてマイペースなおじさんなのであった。

また、休日になると、「思索の旅」と称して、雪男をつれだして、ママから昼飯代をせびるのだった。交通費を浮かせるため、電車で神田の古本街へでかけるおじさんと雪男。ファーストフードのカレー屋に入り、福神漬を「野菜」といって大量にふりかけたり、割引クーポンを差し出したら期限切れとなっていたり、彼らの思索の旅はなんともしまりのないものであった。

そんなおじさんを早く結婚させようと企んだのがママとおばさん。ママのすすめは断るも、画廊を経営するせっかちで強引なおばさんには弱く、しぶしぶお見合いに望んだおじさんなのであった。

お見合いの道中、人気和菓子屋の「寛政堂」で和菓子をお土産として調達して、会場へと向かうおじさんと雪男。「寛政堂」店頭では、マジメな若社長は自ら接客に励むのだった。

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そして、お見合いに臨んでみると、おじさんはお見合い相手である日系4世の写真アーティスト、稲葉エリーに一目惚れ。おじさんは、その場で卒倒してしまう。目が冷め、額から流れる血を見て更にダウン。

ようやく正気に戻ったおじさん。お見合いからの帰り道、エリーは祖母と母の跡をついでハワイの実家のコーヒー園を継ぐために、ハワイへと帰るとおじさんにつげる。一目惚れしてエリーにまた会いたいおじさんは、「ハワイへ留学します」と嘘をつき、その日からなんとしてもハワイへ渡航する方法を考え始めた。

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なんとかエリーにハワイで再会したいおじさんは、あくまで働かず、ビールやウィスキーの懸賞で当てようとして、空き缶を拾ったり、教え子に協力させたりして、大量のはがきに応募券をはりつけて応募しました。

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しかし、結局は全部落選。がっかり寝込んだおじさん。しかし、雪男の書いた作文が全国コンクールで入賞し、その副賞として保護者同伴のハワイ旅行が当たったため、おじさんと雪男はハワイに行けることになったのでした。「エス・イスト・グート」(これでよし)と、カントのセリフをうそぶくおじさんなのだった。

さっそくハワイに到着し、オアフ島のエリーの部屋で落ち合う二人。おじさんは、飛行機でビールをのみすぎてお腹を壊してトイレへ。そして、トイレから出たおじさんは、タバコが切れていることに気づき、そのまま部屋に戻らず、街にタバコを買いに行きます。戻ってこないおじさんを探しに行くエリー。

おじさんを探すにいったすきに、雪男がエリーの机に伏せて置かれていた写真立てを見ると、そこには白黒の「寛政堂」の御曹司のポートレートが写っていた。

結局、英語がうまく通じず、何とか話しかけた若者からは、タバコのかわりに大麻をつかまされてしまうおじさん。不幸なことに、ガサ入れに遭遇し、そのまま逮捕されてしまうのだった。

翌日朝、ホテルでおじさんと雪男が朝食を食べていると、そこへ寛政堂の御曹司、青木伸介が現れる。偶然の出会いに驚く。

朝食後、伸介と別れ、真珠湾の見える丘へエリー、おじさん、雪男の3人で向かうことに。そして街に戻ってくると、3人は偶然青木伸介と遭遇する。表情がこわばり、「もう会わないっていったのに!」と拒否反応をみせるエリー。エリーは、その場でおじさんにキスをして、「今はこの人と一緒になってるの」と青木に言い放つ。それを見て一人冷静に呆れる雪男。

そして、エリーの経営するホテルや農園があるハワイ島へ行く3人。そして、コーヒー農園「INABA FARM」へ。祖母の墓に手を合わせる3人。エリーから「オハナ(ハワイ語で「家族」)が来てくれたよ」と言われ、舞い上がるおじさん。

その晩、エリーの経営するホテルで夕食を取りながら、エリーの農園への情熱に心打たれたおじさんは、エリーにさらにアピールしようと、「力になりたいんです」と農園で働くことを申し出、エリーと雪男は、翌日、農園で体験労働をすることになった。

そこへ、エリーに対して、農園の経営が上手く行っていないことを伝える部下のボブ・トーマス。エリーは、独り祖母の墓の前へ行き、「どうしたらいいの」と弱音を吐いて佇んでいると、トーマスから、「日本の寿百貨店から商談のTEL」があったと吉報が入る。

一方、体験労働で早々に体力不足から倒れてしまうおじさん。気がついたら、ホテルに横たわっていた。そこへ、エリーを追ってやってきた伸介もホテルへチェックインしてきた。エリーをめぐり、トイレで睨み合うおじさんと伸介。そして、またしても冷静な雪男は、おじさんと伸介をたしなめるのだった。

雪男が寝た後も、夜通し酒を飲みながらエリーを巡って言い争う二人。寛政堂を弟に譲り、不退転の覚悟で来たという伸介。そして、翌日の朝、エリーのいる前で、エリーがどちらを選ぶのか決めよう!と二人は意気投合する。

雪男は、その夜、伸介と別れて自室に戻ってきたおじさんに、「エリーの部屋に伸介のポートレイトが置いてあった」事実をボソッと伝えるのだった。

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翌日の朝、エリーのコーヒー園で対決する二人。そこにエリーが来て、エリーは伸介を非難し始める。必死で過去の非礼を謝罪し、復縁を迫る伸介に対して、エリーは冷たく断るも、おじさんが伸介のエリーへの気持ちを伝える。すると、エリーは泣いて伸介の元に向かうのだった。「エス・イスト・グート」とつぶやくおじさん。

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翌日、そろそろ日本へと帰ろうか、と切り出す傷心のおじさんと雪男は日本へと帰国するのだった。(エンドロール)

帰国後、みのり先生に職員室に呼び出される雪男。みのり先生からは「また続編が読みたいなぁ」と言われるのだった。そして、今回のハワイ旅行で撮影したおじさんの写真の右隅に、小さくUFOみたいな円盤が写り込んでいたのだった。(それはまた別の話)という字幕がながれ、映画はここで終了。

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4.映画の見どころと感想(ネタバレ無し)

4-1.ひたすら超平和でゆるふわなコメディ映画

冒頭にも書きましたが、この映画は、今年一番の「平和でゆるい」コメディ映画だと思います。アクションシーンも戦闘シーンも一切なし。あるのは、小学生の雪男とおじさんの面白おかしい日常と、ハワイでの、さらにゆるい珍道中。

おじさんに扮したゆるくてかわいい松田龍平のトボけた新境地と、利発なしっかり者だけどおじさんが大好きな雪男を演じる大西利空のかけあいが絶妙な「相棒モノ映画」「バディもの」コメディは、老若男女幅広い層が安心して楽しめる出来になっています。

4-2.昭和の臭いがするのんびりとした空気感

映画完成後のインタビューで、今作を企画立案した東映の須藤泰司は「ギスギスした時代だからこそ、のんびりした空気感の作品が見たかった。だから原作小説のセリフをそのまま残した」と話しています。

「ぼくのおじさん」の原作小説が書かれたのは、今から45年前となる昭和高度成長時代の1972年。春山家の生活環境は現代に置き換えられていますが、おじさんの生活スタイルやセリフまわしは、いまより時間の流れがゆったりしていた昭和の自由人そのものです。「わぉ!」なんて言わないですからね・・・。

4-3.子役の大西利空が素晴らしい演技!

今回、松田龍平の相棒役に抜擢されたのが、実に7回にわたるオーディションを勝ち抜いてきた子役、大西利空(おおにしりく)君。彼の演じる雪男は、映画のバランスや雰囲気を左右する、一番難しい役どころです。

大人たちが言い争うシーンでは、常に冷静沈着にその場を仲介しますし、観察者として、大人の世界で起こる出来事を冷静に、時には軽蔑の気持ちを隠さず見続けています。要するに、ボケ役である相棒=おじさんに対して、ツッコミ役として、画面を引き締める必要があるんですよね。

しかし、その一方でダメダメなおじさんを沈着にフォローしつつも、おじさんに対する信頼と共感も表現することで、映画のあたたかみを引き出す演技ができていました。彼のおじさんへの温かい情愛のまなざしは、映画に松田龍平の醸し出す「ゆるかわ」だけではない、ほのぼのとした平和な温かみを加えていました。

5.伏線や設定などの解説(※ネタバレ有注意)

今作は、話の筋もわかりやすく、プロットを楽しむ感じの映画でもないのですが、一応今作でキーになりそうな設定や伏線をまとめておきたいと思います。

5-1.ハワイ到着後、おじさんが逮捕されてしまった理由

タバコが切れたおじさんは、エリーの家を出て売店でタバコを買おうとするも、お釣りがないため近隣のお店でタバコの購入を断られます。仕方なく、街でタバコを吸っていた若者に100ドル札を見せて声をかけると、奥まったところへ連れて行かれて、タバコではなく葉っぱを渡されます。これは、紙巻きタバコではなく、大麻だったんですね。

しかし、容量の悪いおじさんは、結局葉っぱの入った袋をつかまされ、それを手に持って街をうろうろしていました。そこへ、麻薬の売人への警察のがさ入れがあり、売人は走って逃げましたが、のんきに目立つように大麻を持って歩いていたおじさんは、現行犯で逮捕されてしまったというわけです。

5-2.ハワイのコーヒー園と稲葉エリーの関係

稲葉エリーは日系4世。日本滞在も長く、日本語は堪能ですが、日系人である祖母はハワイ島でコナ・コーヒー用のコーヒー園を開拓し、経営していました。戦後の苦しい時期を経て、母も祖母も亡くなり、後継者がいなくなったコーヒー園を守るため、エリーはフォトアーティストの仕事を辞めて、ハワイでコーヒー園の経営を継ぎました。

ただ、伸介の機転で日本の百貨店との取引が始まる前は、アメリカ本土への売り込みも伸び悩み、日本との取引も「円安」の影響で上手く行っていなかったため、それがエリーの悩みのタネでもありました。

5-3.エリーと伸介はなぜラストで復縁したの?

元恋人のエリーと一緒になるためです。伸介は、青木家が代々経営する和菓子屋「寛政堂」の跡を継ぎ、エリーにコーヒー園をあきらめさせる前提でしつこく結婚を迫ったと思われます。(直接そのシーンは描かれておらず、匂わす程度の表現)その強引な迫り方がエリーの祖母への思いを踏みにじり、エリーを傷つける結果となりました。そして、お互いの進む道を尊重しようとしたエリーから、伸介に別れを切り出していました。

傷心のまま、おじさんとのお見合いに臨んだエリーでしたが、エリーは伸介に未練を残していました。ハワイのエリーの自宅で、カメラと一緒に倒されてテーブルに置かれていた伸介の白黒のポートレイトは、エリーが撮影したものでしょう。

伸介は、ハワイへ単身乗り込んできますが、エリーへの最後の説得材料として、和菓子屋の社長業を弟に譲り、かつ、再三断り続けてきた寿百貨店への出店を、寿百貨店がエリーのコーヒー農園と取引を開始することを条件に決めてきたのでした。

それらの誠意が実り、心動かされたエリーは伸介と復縁を決め、おじさんは振られてしまったのでした・・・。

5-4.続編への伏線

今回、キャストや関係者のインタビューでは、(興収次第では)続編の制作を匂わせるような発言が結構ありました。毎回ヒロイン役が変わり、おじさんと雪男がコンビで活躍するストーリーなので、雪男の「成長」という賞味期限があります。

そういう意味では、原作では小学6年生だった雪男が4年生へと年齢が下がっていたのは、続編を見据えた設定だったと言えそうです。

また、エンドロール後のラストで戸田恵梨香演じるみのり先生が「続編がみてみたいな~」と雪男に話しかけた意味深なセリフと、おじさんの映る記念写真にUFOが写り込んでいた不思議な画像について「それはまた別の話」とテロップがわざわざ出たあたり、続編を前提とした伏線だったと思われます。

11月3日の夜時点で、残念ながら興収はベスト10に入っていない苦しい状況ですが、なんとか続編制作に期待が持てる動員を目指してもらいたいですね。

6.原作版との関連や相違点(※ネタバレ有注意)

6-1.原作は「どくとるマンボウ航海記」で有名な北杜夫

冒頭でも書きましたが、今作「ぼくのおじさん」の原作は北杜夫が1972年に出版した同名の児童向けです。作者没後、しばらく絶版となっていましたが、映画化決定とともに再版が決まりました。原作も映画同様、おじさんの不思議なダメダメキャラやゆるふわな行動原理は変わりません。映画→原作に入っても違和感はないと思います。

北杜夫といえば、代表作は「どくとるマンボウ航海記」「ぼくのおじさん」同様、児童向けにわかりやすく独特のユーモアを交えて描かれた、船医としての航海奇譚が楽しめる作品です。

作品中に出てくる「おじさん」のモデルは特にないそうですが、一部は北杜夫本人が医者になりたての頃、兄の家に居候した薄給の大学病院勤務時代の思い出を元に話の筋が作られたそうです。

6-2.原作との相違点

映画は、台詞回しや前半部分やハワイへの渡航はほぼ原作通り進行しますが、後半にオリジナルキャラのヒロイン役、稲葉エリー(真木よう子)が登場し、彼女を追いかける形でハワイへと渡っていきます。ハワイへ行ってからの行動は全く違っていますが、まとめてみると・・・

原作との相違点
・原作では雪男は6年生だけど、映画では4年生。
→続編を視野に入れて低年齢化させたのでしょうか?
・ハワイでの行動全般。
→ハワイでおじさんと雪男ははぐれてしまい、雪男はおじさんに「愛想がつきてしまい」おじさんを探すのを早々にあきらめてしまいます(笑)そして、雪男は地元の日系人、ヘンリー・佐藤にお世話になり、真珠湾などハワイ観光を堪能します。おじさんとはあとで合流するも、おじさんが先に日本に帰国するところで終わります。
・映画オリジナルのキャスト
→映画向けにヒロイン役、稲葉エリーが用意され、コーヒー農園、そして元恋人の青木伸介も原作には出てきません。原作のほうがストーリーがシンプルです。

7.まとめ

体感型の3D席が増えてきた映画館において、何の戦闘もアクションもなく、ほのぼのと平和に時間が過ぎていく映画の存在って貴重なんじゃないかと思います。興収的には苦しそうですが、週末に疲れた頭や体をクールダウンするために、この「ぼくのおじさん」を見てゆるっと癒やされるのはありかなぁと思いました。

釣りバカ日誌や寅さんシリーズなき邦画において、ダメだけど愛すべき大人を描いたゆるいコメディ枠がちょうど開いているので、是非続編も期待したいです。

それではまた。
かるび

8.映画を楽しむための小説やガイドなど

北杜夫の独特のユーモアがふんだんに盛り込まれた原作は、後半のストーリーが若干ちがうものの映画版とほぼ雰囲気は同じです。さらっと読めちゃいますので、映画が気に入ったら原作でもう一度違う角度から味わってみるのもいいですね。