あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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【ネタバレ有】「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2リミックス」感想・レビューとあらすじ解説/文句なしの大傑作スペースオペラ第2弾!

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【2017年5月18日最終更新】

かるび(@karub_imalive)です。

5月12日に封切られた新作「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2:リミックス」を見てきました。ここ最近のマーベル作品の中でも屈指の傑作で、間違いなくおすすめなスペースオペラ作品に仕上がりました!笑いも涙もある素晴らしい作品です!

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、ほぼ全編にわたってストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承下さい。

1.映画「GOTG2:リミックス」の基本情報

<「GOTG2」公式予告動画>
※下記画像をクリックすると動画がスタートします

動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】ジェームズ・ガン(「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」他)
【配給】ディズニー
【時間】136分

事前予想を裏切り、世界中で熱狂的なファンを獲得して大成功を収めた2014年の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」第1作から、引き続きジェームズ・ガン監督が引き継ぎました。

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(マーベル公式Youtube動画より)

元々はコメディ映画の脚本家だったジェームズ・ガン監督。前作「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」がハリウッドでの大作デビューでした。今作では、業界のレジェンド、シルベスター・スタローンに撮り直しを依頼しようとした時、びびって電話できなかった逸話など、若手監督らしいエピソードが微笑ましい限りです。(結局スタローンから申し出てきて結果オーライとなった)

2.映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2:REMIX」の 主要登場人物とキャスト

ヨンドゥ、ネビュラ、マンティスら、3人の仲間がが新たに「ガーディアンズ」のファミリー入りを果たしました。外見上も性格も、キャラクターの個性がしっかりしているのも本作の魅力です。

ピーター・クイル(クリス・プラット)f:id:hisatsugu79:20170512191359j:plain

クリス・プラットがハリウッドを代表する「アイドル俳優」へと成り上がるきっかけとなったのがまさに前作でしたが、2017年も「マグニフィセント・セブン」「パッセンジャー」などで堂々たる主演クラスを演じるなど、驕らず器用に演じ分けている印象。そして、各出演作品でかなりの確率でなぜか「裸」になるサービスカットが!(笑)

ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)f:id:hisatsugu79:20170512191348j:plain

「アバター」でブレイクし、「スター・トレック」のリブート3部作と本作シリーズなど、すっかりSF系大作でのイメージが強くなりましたね。本作では「剣」を持って戦う戦闘シーンにしびれました!

ロケット(声優:ブラッドリー・クーパー)f:id:hisatsugu79:20170512191916j:plain

アメリカの「最もセクシーな男性」ランキングで上位常連なブラッドリー・クーパーを壮大にムダ使いしているわけですが(笑)、声の収録シーンのメイキングなどを見るとかなり頑張ってるんですよね。しかし、今作は声もよかったけどVFX技術の確実な進歩によって、ロケットの生き生きとした表情が非常に楽しめました。

ベビー・グルート(声優:ヴィン・ディーゼル)f:id:hisatsugu79:20170512191243j:plain

こちらはもっと器用理由が意味不明なヴィン・ディーゼル。大人だった前作ならまだしも、今作はベビー・グルートということで声にはどこにもヴィン・ディーゼルの面影はありません(笑)しかし、VFX/CGでのベビー・グルートの可愛さは異常!

ドラックス(デイヴ・バウティスタ)f:id:hisatsugu79:20170512191618j:plain

元WWEプロレスラーから、完全に俳優へと転身したデイヴ・バウティスタ。特に2015年以降は、順調にハリウッドでのキャリアを深めつつありますが、本人は本作が一番思い入れがあるとのこと。しかし元レスラーって、ワイルド・スピードのドウェイン・ジョンソンといい、みんなハゲスキンヘッドなんですね・・・

ヨンドゥ(マイケル・ルーカー)f:id:hisatsugu79:20170512191543j:plain

とてもそうは見えなかったですが、すでに今年で62歳となるマイケル・ルーカー。近年は人気ドラマシリーズ「ウォーキング・デッド」シリーズの出演とこの「GOTG」シリーズくらいですが、ハリウッドでのキャリアはすでに30年以上のベテランです。

ネビュラ(カレン・ギラン)f:id:hisatsugu79:20170512191432j:plain

2016年「マネー・ショート」や、今年度エマ・ワトソン主演の「ザ・サークル」(2017日本公開予定)でも出演し、人気上昇中の女優です。言うまでもなく、他作品ではスキンヘッドではありません(笑)

マンティス(ポム・クレメンティエフ)f:id:hisatsugu79:20170512191307j:plain

カナダ出身の俳優で、本作がほぼ初めてのハリウッド大作作品での出演となります。どこか東洋的な顔立ちでしたが、オーディションでの大抜擢での起用でした。 

エゴ(カート・ラッセル)f:id:hisatsugu79:20170512191220j:plain

ハリウッド出演50年になる大俳優。2017年5月現在、「バーニング・オーシャン」「ワイルド・スピードICEBREAK」と本作に出演中で、偶然ではありますが、現在日本で上映されている大作洋画のほとんどで出演しているという無双ぶり!映画ではクリス・プラットから「本当にお父さんになってください」と迫られたのだとか・・・。

 

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3.結末までのあらすじ紹介(※ネタバレ注)

怪物アブリスクとの戦い

1980年、アメリカのミズーリ州。ピーター・クイルの母、メレディス・クイルは宇宙人のボーイフレンドとドライブを楽しんでいた。車を降りて、スーパーマーケットの裏手の雑木林に植えた「苗」を見ながら、彼らは熱い抱擁を交わしていた。

それから34年後。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」ファミリーは、ソブリン星の王族に雇われ、アニュラクス電池を捕食しようとしたアブリスクというタコ型の怪物退治のため、戦っていた。

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ベビー・グルートだけが一人悠々と音楽を聞きながら踊る中、彼らは必死に戦っていたが、外皮の固いアブリスクに苦戦していた。しびれを切らしたドラックスが怪物の体内へ侵入する中、首筋の弱点に目をつけたガモーラが剣で切り裂き、何とか怪物を倒すことができた。

戦いを終えたガーディアン達は、アニュラクス電池を持ってソブリン星の高官、アイーシャに謁見し、電池と引き換えの報酬として彼らが拿捕・換金していたガモーラの義妹、ネビュラの身柄を引き取った。ネビュラは惑星ザンダーで懸賞金がかけられたいたため、彼女を引き渡して賞金を受け取ろうというのだ。

惑星ベアハートでの父「エゴ」との衝撃の出会い

ガーディアン達が惑星ザンダーへと帰着しようと宇宙空間へ出た時、ソブリンから追手がやってきた。引き渡されたアニュラクス電池の一部がなくなっていた事に気づいたのだ。ロケットがポケットにいくつかくすねてきていたのだ。

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大量のドローンに追いかけられ、途中窮地に陥るも、謎の小人に助けられたこともあり、最終的には遠隔操作の無人ドローンの攻撃をなんとかかいくぐり、何とか別惑星系へとワープできたが、船に受けたダメージが大きく、そのまま彼らはワープした先の惑星ベアハートへとぼぼ墜落同然で不時着した。

途方に暮れたガーディアン達だったが、そこに別の宇宙船が降下してきた。中からは一人の女性とともに壮年の男性が現れた。

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彼は、名前をエゴと名乗り、なんとピーター・クイルの父親だというのだ。突然の出会いに戸惑うピーターだった。

一方、惑星コントラクシアでは、ヨンドゥ率いるラヴェジャーズの一団が逗留していた。ヨンドゥは、そこでかつて仲間だったスタカーと偶然出くわした。かつて、ヨンドゥは掟であった子供の人身売買に手を染めたことがスタカーにバレて、彼らの集団を追放されたのだった。一方、ヨンドゥは彼の率いる一団の内部でも、ピーター・クイルへの甘すぎる処遇などから、チームの有力者、テイザーフェイスや腹心、クラグリンから不満が上がっていた。そんな中、惑星コントラクシアにソブリン星からアイーシャがやってきて、ヨンドゥにある依頼を行おうとしていた。

ピーターは、突然の父の出現にショックを引きずっていたが、エゴの説明によると、母がなくなった時、ピーターを迎えにヨンドゥを地球に派遣したが、ヨンドゥがエゴの所に戻らなかったので、再会に時間がかかったのだという。

ガモーラの後押しもあり、ピーターは、グルートとロケットをネビュラの見張りとして惑星ベアハートへ留守番として残し、ガモーラ、ドラックスとともにエゴの惑星を訪問することにした。

エゴの「惑星」へ行くピーター、ヨンドゥの追跡

ピーターが去った直後、ヨンドゥ達は、アイーシャの依頼で、惑星ベアハートへ不時着したガーディアン達を追って彼らが墜落した森の奥深くへ到着した。ロケットが事前に準備したトラップで多くの犠牲を払いつつも、ヨンドゥはロケットを追い詰めた。しかしその時テイザーフェイスがヨンドゥを裏切り、ベビー・グルートを丸め込んで手錠を外させ、自由の身となったネビュラと連携し、ヨンドゥ、ロケット、ベビー・グルートを捕虜にしたのだった。

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一方、道中、エンパス(人の感情を読み取ることができる)でもあるエゴの従者、マンティスとも打ち解け、エゴの惑星に到着した一行は、エゴが「セレスティアル」という神に近い古代種族であること、エゴの実態は「惑星」そのものであること、彼が数百万年も生きて真価を重ねてきたことを知った。

ピーターは、それでも、エゴが母を地球に置き去りにしたことに納得が行かなかったが、父、エゴからエネルギーの制御の仕方を教わり、次第に警戒を解いていった。

ラヴェジャーズの船では、テイザーフェイスがヨンドゥ派のメンバーを宇宙空間へ追放した。また、ネビュラの提案により、彼らにガーディアンズに懸賞金がかかっている惑星クリーへ3名を連行することにした。ネビュラはその見返りとして、ガモーラを惑星エゴへ追いかけるための船を彼らに用意させた。

ヨンドゥとロケットは牢の中で打ち解けあい、夜になり船員達が寝静まった頃合いを見計らって、グルートにヨンドゥが矢を操るためのフィン(頭部に装着する制御装置)のプロトタイプをテイザーフェイスの寝室から盗み出させた。

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何とかフィンを盗み出すことに成功した彼らは、テイザーフェイス以外のヨンドゥを裏切った船員を全員「矢」で倒して船を掌握した。テイザーフェイスも爆弾で船本体ごと爆破し、彼らは脱出ポッドでガーディアン達のいるエゴの惑星へと向かった。しかしテイザーフェイスは死ぬ前にアイーシャに彼らの行き先を連絡していた。

エゴの真の目的、そしてエゴとの最終決戦へ

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エゴの星では、マンティスとドラックス、ピーターとガモーラはそれぞれ良い雰囲気になりかけていた。しかし、ガモーラはなかなかピーターに気を許そうとしなかった。ガモーラが一人になった時、ネビュラがガモーラを急襲してきた。ガモーラは洞窟へと逃げ込み、そこへネビュラの船が墜落炎上した。ガモーラは、ネビュラを何とか助け出したが、ネビュラはガモーラを構わず殺そうとした。ガモーラとネビュラはお互いの気持をぶつけ合い、和解した。洞窟から抜け出そうとした時、二人は大量の人骨を見つけたのだった。

エゴは、彼の真の目的をピーターに告げた。人類を徹底的に研究し、学んだ結果、彼の本当の目的は宇宙全体へと彼の存在そのものを「拡張」することだった。そのため、地球を含め彼の分身をあらゆる惑星へと植え付けたのだった。しかし、彼一人では宇宙全体のエネルギーを集め、拡張することができないので、様々な種族との間に「子供」を作り、彼の分身を作り出そうとしたのだ。

しかし、ピーター以外の子供は、エゴ同様「セレスティアル」としての特質を備えておらず、エゴは用済みとして子供たちを殺した。そして、ピーターだけが「成功」例なのだった。ピーターがインフィニティストーンを直に触っても死ななかったことからエゴがそのことに気づいたのだった。

エゴは、母、メレディスを愛してはいたが、彼の計画を優先するため、情を断ち切るためにも彼女の母メレディスに脳腫瘍を埋め込み、メレディスを殺したのだった。

それを聞いたピーターは我に返り、エゴを機関銃で乱射した。エゴは、突然のピーターの反抗に対してピーターを拘束し、宇宙中にばらまいた「苗」を起動させ、大量虐殺を開始した。そして、ピーターのウォークマンと母からもらったカセットテープを粉々に壊したのだった。

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エゴの真の意図を知ったガーディアン達は、再び宇宙を守るため、エゴに全員で立ち向かった。マンティスのアドバイスで、彼らは星のコア部分にあるエゴの「心臓部」を破壊することで、エゴを倒そうとした。

しかし、そこに運悪くヨンドゥ達を追いかけてきたソブリンのドローンが攻撃をかけてきて邪魔をしてきた。マンティスがエゴを一瞬眠らせることに成功すると、彼らは地底深い洞窟内にベビー・グルートを時限爆弾とともに送り込み、爆破を試みた。グルートは無事に爆弾を仕掛け終わると、彼らは順次脱出していった。

ヨンドゥの死

しかし、マンティスの催眠術が解けてしまい、ピーターは時間稼ぎのため最後までエゴと戦った。時限爆弾が爆発すると、エゴは死亡したが、惑星が崩壊を始めた。最後までピーターと残っていたヨンドゥが宇宙空間までピーターを連れ出し、1着しかないスーツをピーターに着せ、ヨンドゥ自身は宇宙空間で凍りついて間もなく死亡してしまった。

こうして、宇宙を救うことに成功したガーディアン達だったが、ヨンドゥを失った彼らは、手厚く彼の亡骸を葬ったのだった。ヨンドゥが死んでから初めて、ピーターはヨンドゥが父親同様の存在であったことに気がついた。

そして、ヨンドゥの追悼に、彼の昔のラヴェジャーズの仲間であるスタカー達も集まってきて、彼の死を偲んだのだった。

エピローグ~エンドロール

エピローグ1
クラグリンは、ヨンドゥの残したフィンを使って矢を制御する練習をしていたが、なかなかうまく行かなかった。そして、ドラックスに刺さってしまった・・・。

エピローグ2
スタカーは、ヨンドゥの死にインスパイアされて、マルティネックス、チャーリー、スターホーク、メインフレームら、彼の仲間とチームを作ることを決意した。(オリジナルのガーディアンチーム)

エピローグ3
アイーシャ達は、ガーディアン達を倒す新たな方法を模索していた。生命孵化装置から彼らが取り出したのは、「アダム」と名付けた新たな方法で生み出した彼らの最終兵器だった。(アダム・ウォーロック)

エピローグ4
グルートは、今や成長して思春期を迎えていた。ピーターがグルートに「根」をだらしなく這わせたままにするな、と叱りつけたが、グルートは無視してTVゲームに没頭するのだった。それを見たピーターは、苦笑して自分の思春期を思い出していた。

エピローグ5
スタン・リーは、「ウォッチャーズ」と座っていたが、延々と続く彼の昔話に飽きた「ウォッチャーズ」達は、彼の話を聞こうとせず、去っていった。

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4.ストーリーの感想や評価(※ネタバレ注)

前作を上回る、MCU史上最高傑作のSF作品!

映画キャッチコピー「ノリと笑いで宇宙を救う」とある通り、テンポの良いストーリー進行の中、ドタバタ劇に近い笑いと一転してしっかり描かれたシリアスシーンが波状攻撃のように流れていきます。第1作でキャラ紹介も完了している分、全ての時間を本筋のコンテンツとして消化できる2作目の強みを活かし、きっちりと前作の伏線も回収しつつ、監督のマニアックな趣味やこだわりも随所に散りばめた密度の濃い136分でした。

アクションシーンとヒューマンタッチなシーン、そしてラブロマンスなシーンもきっちりと織り込んで、センスの良い70年代テイスト満載の軽快な音楽に乗って、エンディングまであっという間でした。「まだ見ていたい!」と強く感じさせる、大満足な映画でした!

一方、クライマックスでは「父親」としての決意と覚悟を示したヨンドゥの死と、宇宙空間を彩る「宇宙葬(?)」のシーンでは否応なくきっちり泣かされる展開に。笑いだけでなく、感動も涙も用意されている。あぁ、これがまさにGOTGの世界だよなぁ!と心から満足できる映画となりました。

ベビー・グルートがあざといほど可愛すぎる!

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特に、前作で燃え尽きて「苗」となったグルートが、今作では「ベビー・グルート」として最初から最後まで非常にかわいいマスコット的なキャラに生まれ変わりました。

映画冒頭でガーディアンたちが必死で戦う中、一人音楽に合わせてコミカルに踊るシーンから、すでに観客の心をガッチリつかみます。小さいボディを活かして、中盤でのヨンドゥ、ロケットの脱獄を助けたり、クライマックスで時限爆弾を設置したり、まさに最終兵「木」として大車輪の活躍でした。ある意味、今作でのダントツの主役です。

土壇場までわからなかった「エゴ」の素性

そして、意外だったのが「エゴ」の素性でした。窮地に陥ったガーディアンズ達の船を助け、不時着した惑星ベアハートでの最初の出会いが非常に友好的だったこと、惑星エゴの美しい幻想的な風景から、途中までまさか彼が今作のヴィランになるとは思いもしませんでした。ミスリードにまんまとやられた・・・。途中まで、ピーターと「エゴ」が協力してソヴリン族のアイーシャと最終対決するのかと思っていました(笑)

こっちがラスボスかと思ってました・・・f:id:hisatsugu79:20170513045109j:plain

あとでWebで調べてみたら、関係者だけの先行試写会でも「悪役だと気づかなかった」観客が多かったようです。そこで、観客の反応を見て、ジェームズ・ガン監督がクライマックス直前まで「エゴ」を明確な悪役としてあえて描かないように土壇場で脚本を変更したのだとか。このあたりは、上手な演出だったと思います。

また、この「エゴ」は、GOTGシリーズの大成功で無名な存在から一躍スターに駆け上がったジェームズ・ガン監督自身や主演のクリス・プラットの心の中に生まれた「虚栄心」「驕り」への戒めの象徴でもあったといいます。

彼らは、映画撮影開始前に、環境が激変した今こそ、以前と変わらない平常心で映画撮影に臨もう、と誓い合ったそうです。確かに、出来上がった作品では前作同様気さくで「アホ」な感じのクリス・プラットが見れて良かったです(笑)

父親をめぐるストーリー

前作では数十年ぶりにピーター・クイルが母親との関係について自分のルーツを探る冒険譚でしたが、今作では、父親との関係をめぐる壮大な旅となりましたね。しかも、父親は、「実の父親」であるエゴと、「育ての父親」であるヨンドゥが鮮やかに対比して描かれました。

遠くにいて、長年手の届かないところにいて突然現れた「生みの親」に対して、四半世紀もずっと一緒にいて、不器用な形ながら自分をずっとそばで導いてくれていたのに,近すぎてその価値やありがたみに全く気付こうともしなかった「育ての親」。

育ての親「ヨンドゥ」は最後に死を賭して宇宙と息子を守る!f:id:hisatsugu79:20170513042924j:plain

ピーターは、物語ラストで一気に両方の親を失ってしまうわけです。その痛みは非常に大きなものでしたが、そこで彼が正気を保てたのは、2作目で「本当」の家族になれたガーディアンズの存在が大きかったのかなと思いました。

家族であり続けることを描いた第2作目

各キャラクターの抱える心の喪失感や、過去の関係性などが、より深く掘り下げられて描かれた本作。ジェームズ・ガン監督の言葉を借りると、「前作はガーディアンズが家族に「なる」までの過程を描いた作品だったが、今作では家族で「あり続ける」過程を描いた」とのこと。

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それぞれのメンバーが、自分自身の心の闇と向き合い、仲間と言いたいことを言い合い自己開示を重ねることで、少しずつお互いの溝を埋めていき、真の「家族」になっていくプロセスは深く共感できるものでした。

特に、強情で自分自身に一番素直になれずにいたロケットが、心を通じ合った自分の「分身」でもあったヨンドゥの死に対して涙していたラストシーンは、本作屈指の名シーンだったと思います。

5.伏線や設定などの考察・解説(※ネタバレ注)

本作では、もの凄い大量の伏線・設定、小ネタが全編に渡って仕込まれていましたが、ここでは特に自分が印象的だったものを取り上げたいと思います。

アニュラクス電池とは?なぜガーディアンズは怪獣と戦っていたのか?

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アニュラクス電池は、宇宙で一番高価な電池であり、ソヴリン星のメイン動力源でもあります。ネビュラは、換金目的で盗み出そうとソヴリン星に潜入しますが逆にアイーシャに捕まってしまいました。

ソヴリン星では、ガーディアンズと契約し、アニュラクス電池のエネルギーを好んで捕食するシーモンキー型怪物「アビリスク」を倒し、電池を引き渡す代わりにネビュラの身柄を拘束したのでした。あまりに高価なので、この電池をロケットが数ユニット盗み出したところからストーリーが動き出しました。 

ウインクする目は間違えてはいけない?

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今回、ロケットはいくつかのシーンでウインクをする目を間違えて相手を怒らせてしまいますが、いずれも「左目」を閉じていました。相手への好意を伝えるためには「右目」をウィンクしなければならないところ、「左目」をウインクしてしまっていました。この場合「相手が嫌いである」という正反対の表明とされるため、相手が怒ってしまったのですね。

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ちなみに、グルートが惑星「エゴ」のコアで、エゴを倒すために押した起爆装置のボタンも「左側」でしたが、偶然の一致だったのでしょうか・・・。

エゴの正体とは?セレスティアル族とは?

エゴの正体は、宇宙の古代種族「セレスティアル族」でした。彼らは何百万年も生き、半分「神」に近い正体であると言われます。「エゴ」は当初実態のないエネルギー体でしたが、何百万年もの期間をかけて、物質となり、惑星を形作り、人間の形態にも擬態できるようになったのですね。いわばその虚像が少しずつ拡大して大きくなっていく様は人間のエゴ=自我そのものを暗喩しているようでした。

父親「エゴ」は、なぜ母親に脳腫瘍を仕込んで殺したのか

エゴの最終目的は、自分自身を宇宙全体に「拡張」させて、宇宙と同化することでした。しかし、エゴはピーターの母メレディスが本気で好きになってしまい、これまで3度地球を訪れていました。しかし、これ以上地球に立ち寄って時間を使っていると計画に遅れが生じるため、ピーターを産んだメレディスを「用済み」として脳腫瘍を仕込んで殺害したのです。 

ヨンドゥはなぜピーター・クイルをえこひいきするのか

彼は、当初「エゴ」の指示で、エゴが宇宙の各惑星で残してきた子供たちの誘拐を担当していましたが、ある時、「エゴ」の真意に気づき、ピーターを回収後エゴに引き渡さず、自分自身の「子供」として育てることにしたのでした。

ヨンドゥ自身、若き日に惑星クリーで奴隷状態にあった時、スタカーに引き取られて父親のように育てられた経験から、知らず知らずのうちにピーターのことが若い時の自分と重なったのかもしれません。あるいは、自分の子供をひいき目で見るようになったのかもしれませんね。

スタローン演じるラヴェジャーズのメンバーについて

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ラヴェジャーズは、宇宙に100グループ以上散在する海賊集団の総称です。シルベスター・スタローン演じるスタカーは、かつてヨンドゥを奴隷状態から救出しましたが、彼がラヴェジャーズで禁じている「子供の人身売買」を行ったため泣く泣くヨンドゥを彼のグループから追放しました。

映画ラストで、腹心マルチネックスや、盟友であるチャーリー27、妻のアリータらとともに、ガーディアンズのようなチームを作ることを示唆していましたが、これは原作の「ガーディアンズ」の構成であるようです。今後の作品で、ガーディアンズとの協力関係などが見られるのでしょうか?

続編や、アベンジャーズへの登場はあるの?

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http://www.followingthenerd.com/movies/james-gunn-on-guardians-of-the-galaxy-and-avengers-crossover/

エンディングではっきり「The guardians will return」と名言されていましたが、エンドロールの内容と合わせると、次回作はアイーシャが新たな生殖方法で生み出した「アダム」こと、アダム・ウォーロックがヴィランとして立ちはだかることになりそうです。

アダム・ウォーロックとは、マーベル・コミックスで、「ファンタスティック・フォー」や「ハルク」などでシリーズ横断的に出てくる強力な悪役の一人です。登場は、「MCU」Phase4以降なので、速くて2019年夏以降でしょうか。

また、2018年、2019年に予定されている「アベンジャーズ インフィニティー・ウォー」前後編で、正式にガーディアンズメンバーが参戦することが決定しました。メインのヴィランが、GOTG1作目でも出てきた「サノス」になりそうで、下記の撮影風景動画では、クリス・プラットが抱負を語っていますね。

他には誰がどのような場面で出演するかは決まっていませんが、全員で60名以上のキャラクターが登場する忙しい展開になるとのことです・・・。

<アベンジャーズ(2018)撮影風景>
※下記画像をクリックすると動画がスタートします

動画がスタートしない方はこちらをクリック

6.パンフレットの出来が良い!ファンは特別版を絶対買うべき!

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僕は、見た映画は全作品で劇場版パンフレットを購入しますが、今回は文句なく素晴らしい出来!「通常版」(820円)「特装版」(950円)と2タイプありますが、迷わず「特装版」をチョイス。人物紹介・原作と対比してのマニアックな作品解説・キャストや制作陣へのインタビューなどマーベル作品の熱心なマニアにも納得の出来でした!これは迷わず買いですよ!!

7.まとめ

長くなってしまいましたが、本作は本編136分の間にもの凄い情報量が詰め込まれ語るべき伏線や設定が非常に多い作品です。喜怒哀楽全ての感情が詰まった、ハイレベルなMCUシリーズ屈指の傑作に仕上がった大作は、間違いなくおすすめです!

それではまた。
かるび

他にもレビュー書いてます!
【映画レビュー】2017年5月現在上映中映画の感想記事一覧

映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

オリジナルサウンドトラック「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス オーサム・ミックス」

今回も、前作同様ノスタルジックでセンスの良い70年代の名作13曲(+1曲)は、映画を見る前に聴き込むとより本編が楽しく見れます!また、普通にドライブ等でかけても非常にフィットします。僕も、映画公開前から何度もリピートして備えました!

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014)DVD/ブルーレイ

今作を見てから、再度1作目を復習すると、ストーリーの全体像やマーベル・シネマティック・ユニバースの中での位置づけ、各キャラクターの成長など、新しい発見があります!僕も今作を機に思い切って重要資料として購入しました(笑)

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー「コンプリート・ヒストリー」

マイナーな存在ながら、マーベル・コミックで初めてGOTGシリーズが発表されたのは1969年。約50年間のコミック作品の歴史の中でハイライトや要点が紹介され、映画との関連性・相違点などが良くまとまっています。マニア必携の原作コミックまとめ本です!

最強副読本!「マーベル宇宙の歩き方」

アメコミ研究家では第一人者として知られる光岡ミツコ氏の編集による、「地球の歩き方」ならぬ、「マーベル宇宙の歩き方」がGOTG2封切りのタイミングで発売されました。図解と徹底解説で、特に「マイティ・ソー」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズを中心としてマーベル過去作品の「横のつながり」が分かりやすく説明されています!これは買ってよかった!

【★5/25までの期間限定★】Huluでマーベル・シネマティック・ユニバース11作品が見放題!!

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現在、2017年5月25日までの期間限定で、Huluにてマーベル作品の特設コーナーが開設されています!前作「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」ももちろんラインナップされていますよ!

また、今後2018年、2019年の2部作で描かれる「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」にもGOTGファミリーが出演することを考えると、特に関連深い過去の「アベンジャーズ」シリーズや「アイアンマン」シリーズ、「キャプテン・アメリカ」シリーズは、復習しておきたいところです。

Huluの良いところは、何と言っても「加入後2週間は無料」で見れるところです。無料期間中に、一気に11作品見てしまえば実質タダで過去作品が復習できますね!

僕も、Huluは長年お世話になっていますが、今回の期間限定配信中に全11作品全てチェックしました!ここ最近のマーベル作品は情報量が多いので、何度見ても新しい発見があるのですよね。レンタル代が浮いて非常にお得に復習できましたよ! 

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