あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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天才肌の人に限ってメンタルが弱かったりコミュニケーション能力が足りないのはなぜなんだろう

かるび(@karub_imalive)です。

数カ月前、まだ前職であるSierにいる時に書いたのですが、アップできずに下書きのまま残していた雑記エントリです。

タイトルで、「なぜなんだろうか?」と書いておいて申し訳ないのですが、その理由を分析する、といった大上段から構えた有用なエントリではありません。何でだろう、不思議だなという単なる感想であります。なので、もしよかったらこのあとの雑談にゆるっとお付き合いくださいませ。

ソフトウェア開発の現場では天才肌の人が多かった

ソフトウェア開発の業界に長くいると、嫉妬しちゃうくらい才能あふれる天才肌のエンジニアと出会うことが多々ありました。

特に、前職でエンジニアの現役から退いて「採用」と「営業」の兼任スタッフ職に回るようになってからは、自社/他社を問わずいろいろなエンジニアと交流する機会が増えるとともに、「あー、この人は凄い。天才だ・・・」と思えるようなエンジニアとの交流も増えました。

そんな中で感じたのは、天才的な才能や素養をもったエンジニアに限って、メンタルが弱くて繊細でうつ気味だったり、体が弱かったりしたことです。また、性格に難があったり、そもそもしゃべりが不明瞭でコミュニケーション能力が欠落していたりするケースも多かった記憶があります。

だから、そういう天才肌の人に開発プロジェクトに入ってもらう際は、結構気を使いました。普通にアサインしても、ダメなわけです。天才肌である彼らの精神面、コミュニケーション面のフォローアップを十全に行える人材をそばに配置したり、彼らだけ特別扱いでプロジェクトに入ってもらったりしていました。

そうでないと、彼らの才能が活かされないからです。

天は二物を与えず、とはよく言いますが、彼らと接すると、いつもこの格言が頭から離れませんでした。世の中ってほんとよくできてるよね。って思っていました。

一方で僕は凡庸なエンジニアで、才能の限界を悟り4年でエンジニアを引退した

もともと、僕は新卒で社会人になった時に、メーカーでの事務職からキャリアをスタートさせました。事務職といっても、経理、総務等の裏方の仕事を全部こなすような感じの雑用係なのですが、その当時はオジサンたちがほとんどパソコンに触ったことがない、あるいは苦手な人が多かったのです。

だから、必然的に僕のような若手にパソコン関係や、ExcelやWordでの集計やデータ打ち込み作業の仕事が集中しました。どうせならOfficeアプリケーション上のデータを全部自動化させたら面白いかな、と思ってVBAにはまったのがきっかけで、プログラミングの面白さに惹かれ、20代後半から未経験からの「プログラマー」として転職することになったのです。

実は、転職する前から、プログラミングや基本情報技術者試験の勉強などを通して、自分にはITエンジニアやプログラマーとしての才能がなかったのはわかっていたのですが、一度きりの人生、どうしても仕事としてエンジニア職を体験しておきたい!という無謀な気持ちの方が勝って、ついうっかり(笑)、ソフトウェア開発の世界にエンジニアとして身を投じてしまったのです。

未経験で20代後半からエンジニアの業界に入ったこともあり、転職してしばらく最初の2年間くらいは、キャリアにおけるハンデを取り返すためには現場で意図的に仕事量を増やし、毎日終電まで自分を追い込んで仕事をしました。(※一昔前は残業することが美徳な時代だったので、むしろほめられた)

スパルタ的に追い込んで技術習得に取り組んだ成果もでて、ある程度は成果を残せて、プロジェクト現場でもサブリーダー的な位置づけまでにしてもらったし、会社の中でも管理職に早期昇格することはできました。

でも、結局4年目でITエンジニア職としては足を洗うことになりました。会社の中で営業職への公募があった際に、衝動的に手を挙げて、エンジニア職からあっさり引退したのです。

その一番の理由が、同僚やプロジェクトを通してエンジニアの仲間と仕事をする中で、「これはどう頑張ってもこの人には勝てん」という天才肌のエンジニアに何人も接してきて、自分のプログラマーとしての才能の限界を知ったからです。

「恐らくこのままマジメに仕事をしてても、エンジニアとしてはそこそこやれるかもしれないけど、上位トップ5%とかにはどうあがいてもなれなそうだ」という諦観から、あっさりエンジニアの道をあきらめることとしました。(※今思うと謙虚さのない不遜な考えだとは思います)

で、それ以来、会社の中で次世代のエンジニアを採用、育成、フォローアップする仕事の方に回ることになりました。

でも一歩引いたところから見たら、天才肌の人も結構問題を抱えていることがわかった

そして、いざエンジニアの世界を一歩引いたところから関わるようになると見えてきたのが、天才肌の人っていうのは往々にしてバランスが悪いという事実でした。

コミュニケーション能力も技術力も高くて、そのうえプロジェクトマネジメントまでできちゃう人なんて皆無なわけなんです。

現実は、むしろその逆でした。

素養あふれる天才肌の人はその分どこか別の面できっちり欠落しており、チームで仕事をする時は彼らを理解し、サポートできるチームメンバーがいて、初めて彼らの才能が開発プロジェクトで血となり肉となり生きてくる。そんなケースが山程あったんです。

芸術分野など見てもそうですね。ここ数年、よく美術展やクラシックのコンサートに行くようになりましたが、偉大な芸術家はみなどこかしらに問題を抱えていた人の方が多いかもしれません。

西洋美術史やクラシック音楽の歴史を学んでいくと、実際に天才画家や天才音楽家では通常より高い確率で精神に変調をきたしていた人が多いことがわかります。ゴッホは耳を引きちぎり、気を病んで自殺しますし、シューマンやチャイコフスキーも自殺してしまいます。

あるいは、性格に難があったり。ブラームスやベートーヴェンの気難しい系のエピソードはよく聞きますし、ミケランジェロの偏屈さや締め切りを守れないダ・ヴィンチのルーズな性格なども有名なエピソードですよね。先日「カラヴァッジョ展」が好評だったカラヴァッジョに至っては、殺人犯ですから(笑)

まとめ

雑談なので、結論らしい結論はないのですが、つくづく世の中ってよく出来てるんだなぁ、って本当に思います。ある分野で仕事をさせれば、ものすごく天才肌で才気あふれるのに、その他がまるっきりダメ、というのは、ある意味そこでバランスが取れているのかな、とも思ったり。

 

今後IT業界に戻るかどうかはわかりませんが、もし戻るのであれば、個人的には彼らのサポート役に回り、愛すべき天才である彼らが能力を十分活かせるような、「縁の下」的な仕事ができたらなぁと思う今日このごろです。

それではまた。
かるび