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東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と人事労務系の記事が多め。

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【ネタバレ有】映画「ハクソーリッジ」感想・レビューとあらすじ徹底解説!/メル・ギブソン監督の才能が炸裂した傑作!

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(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

かるび(@karub_imalive)です。

6月24日に封切られたメル・ギブソン監督の新作「ハクソーリッジ」を見てきました。今作も痛々しくリアルな残虐描写が炸裂!そして、悲惨で血みどろの戦場になればなるほど、それと対比的に主人公の心の強さや勇気が浮き上がる演出はさすがでした!

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、ほぼ全編にわたってストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承ください。できれば、映画鑑賞後にご覧頂ければ幸いです。

1.映画「ハクソー・リッジ」の基本情報

<映画「ハクソーリッジ」予告動画>
※下記画像をクリックすると動画がスタートします

動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】メル・ギブソン
(「アポカリプト」「ブレイブハート」「パッション」他)
【配給】キノフィルムズ
【時間】139分

10年ぶりに映画監督として復帰したメル・ギブソン。「アポカリプト」(2006)以来かなりブランクが空いての監督作品となりましたが、復帰第1作となる本作で幸先よくアカデミー賞「編集賞」「録音賞」の2部門で見事に受賞。

やはりこの人は私生活に問題はあったとしても、監督としての才能は抜群です!監督第2作「ブレイブハート」につづいて、通算5作品中、2作がアカデミー賞を受賞するという高打率!また、現場で実際に演じた俳優たちからも、「非常にやりやすい」と絶賛の声がありました。仕事をしている時はプロフェッショナルとしてきっちり振る舞えるのですね!

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(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

写真を見ると、もうすっかり現場を引退して、まるで熊尊師のようなお姿になってしまいましたが、これからは本格的に監督業に専念するのでしょうか?

2.映画「ハクソーリッジ」の 主要登場人物とキャスト

本作は、ハリウッド作品でもありますが、オーストラリア政府の資金的なバックアップを得て、オールオーストラリアロケ&オーストラリア出身の俳優が多く起用されて制作されました。 

デズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)f:id:hisatsugu79:20170624171911j:plain
(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

「アメイジング・スパイダーマン」シリーズ以来、線が細く青臭い感じを上手く欠点ではなく「個性」として取り込み、演技力を着実につけてきている印象。2017年公開の映画「沈黙」での悩めるポルトガル人宣教師役に続き、敬虔なクリスチャンを演じるのは2作連続となります。今作でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたのも納得の熱演でした。

グローバー大尉(サム・ワーシントン)f:id:hisatsugu79:20170624171724j:plain
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現在オーストラリア在住のイギリス人俳優。キャメロン監督の「アバター」で主演を務めたことで、世界的な知名度を獲得しました。続編「アバター2」での主演も内定しているようです。

スミティ・ブレイシー(ルーク・ブレイシー)f:id:hisatsugu79:20170624171626j:plain
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オーストラリア出身の若手イケメン俳優。主な出演作に「X-ミッション」(2015)「かけがえのない人」(2014)など。パンフレットでは、映画ライターのコラムで「女性ならまずはスミティをロックオンするだろう」と絶賛されていましたが、甘いマスクに見事な肉体美は、主演に足りないイケメン成分を見事に補完していました(笑)

ドロシー・シュッテ(テリーサ・パーマー)f:id:hisatsugu79:20170624171539j:plain
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オーストラリア出身の新進気鋭の女優。この役にかける熱意はすさまじく、オーディションだけでなく、実際に自分のiPhoneで撮影した動画をメル・ギブソン監督に直接送りつけて、アピールしたのだとか。この熱意を受けて、メル・ギブソン監督は、最後はSkypeで面接してOKを出したそうです。すごい時代ですよね・・・

トム・ドス(ヒューゴ・ウィービング)f:id:hisatsugu79:20170624172030j:plain
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「マトリックス」3部作、「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」など、SFやファンタジー大作で存在感を見せた味のある俳優。今回始めて知ったのですが、この人もオーストラリア出身です。戦後のPTSDに悩む苦しさが痛々しく伝わってくる素晴らしい演技でした。

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3.映画「ハクソー・リッジ」結末までの簡単なあらすじ紹介

プロローグ~沖縄本土での戦争シーン~

映画は凄惨な戦闘シーンで幕を明ける。日本軍の猛烈な火力の前に、生きながら炎に包まれて焼かれる者、手足を吹き飛ばされる者など、地獄のような様相を呈していた。そんな中、デズモンド・トスの心のなかでは、神の声が聞こえていた。「神は決して自らの子を見放さない。どんなに酷い状況であっても・・・」そして、デズモンドは担架に乗せられ、別の兵士に運ばれていった。

戦争の後遺症に悩む父、妻・ドロシーの運命的な出会い

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映画は16年前に遡る。デズモンドの幼少時代、彼の兄、ハルと二人で森の中を楽しく遊び回っていた。彼らの両親は健在だったが、父、トムは先の第一次世界大戦で心の傷を負ってしまい、戦後は酒浸りとなってしまった。そして、事ある度に妻や息子達を殴りつけるのだった。

彼ら一家は、プロテスタント教徒の中でも、特に聖書の教えに厳格なクリスチャンである、セブンスデー・アドベンチスト教会を信奉していた。ある午後のこと、兄弟げんかがエスカレートして、デズモンドは思わず兄、ハルを煉瓦で殴りつけてしまった。ハルは気を失ってしまい、デズモンドは途端に後悔の念に襲われた。デズモンドは、壁にかかっていた「十戒」のポスターを罪悪感とともに見つめていた。

15年後、デズモンドは地元の教会で働いていた。ある日、大きな叫び声が教会の外から聞こえて来たので、見に行ってみたら、見知らぬ男が車のパーツで足をけがしていた。足からは鮮血が止まらなかったので、デズモンドは急ぎ止血し、男を病院へ連れて行った。

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(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

そこで出会ったのが、生涯の妻となったドロシーだった。デズモンドは、ひと目見た瞬間からドロシーに一目惚れし、翌日デートに誘うのだった。

ドロシーとデズモンドは最初のデートで映画に行き、その帰りにデズモンドはドロシーに強引にキスをした。ドロシーは怒ったが、デズモンドが必死で謝罪すると、彼らは再びよりを戻した。実に古風で保守的なカップルだった。

一方、父親のトムは、兄、ハルが第二次世界大戦への従軍を志願したことに非常に失望していた。しかしハルは自らの信念・正義のために気持ちを曲げる気はなかった。

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(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

デズモンドは、別の日にドロシーとハイキングへ行った。子供の時によく遊びに行った見晴らしの良い丘に登ると、彼らは熱烈なキスをした。デズモンドは、看護婦を務めるドロシーから薬学についての知識を学ぶこともあった。それが後の戦場で生きてくるとは、その時は知る由もなかった。

そして、デズモンドもまた第二次世界大戦へ志願兵として参加することになった。そのことを伝えると、ドロシーは酷くうろたえた。デズモンドは、ドロシーに求婚すると、その場でドロシーは受け入れた。

軍隊入隊後に待っていた苦難

父・トムが息子二人の従軍に反対だったのは、かつて親友を戦場で失った悲しい経験があるからだった。息子二人にも同じ悲劇が繰り返されるのは見ていられなかったのだ。

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デズモンドは、ドロシーに別れを告げて、早速従軍前の訓練キャンプへ入隊した。ドロシーは、彼にお守り代わりに彼女の写真とバイブルを手渡した。そこで、彼はヌードで筋トレをするハリウッド、ナイフ使いの達人、スミッティなど、後に沖縄戦で生死を共にする個性的な仲間たちと出会った。そして、彼の直属の上司である、ハウエル軍曹はやたらと新兵たちに怒鳴り散らす鬼軍曹だった。

トレーニングが始まると、デズモンドは宗教上の信念から、銃に触ることを拒否した。彼は戦場で人を殺すのではなく、人を助ける衛生兵になりたかったのだ。また、土曜日は安息日のため、決して訓練には参加しようとしなかった。そんなデズモンドをハウエルは見逃さなかった。

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(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

デズモンドは、ハウエルの上官、ジャック・グローヴァー大尉のところへ連れて行かれた。グローヴァーは、戦場ではそんなワガママは通用しないと話した。

デズモンドにとって、やがて訓練キャンプは地獄のような日々となった。周りに合わせようとしないデズモンドを、仲間たちは容赦なくいじめ、小突き回した。スミッティは、ある日デズモンドから聖書とドロシーの写真を取り上げて、彼を挑発してみたが、デズモンドは自重し、それに応じることはなかった。デズモンドは、夜寝ている時にも殴られたりしたが、決して上官に対して誰がやったとは言おうとしなかった。

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(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

そして、キャンプが終わるころ、デズモンドは反抗的態度から、投獄されてしまった。悪いことに、その日はドロシーとの結婚式の予定日だった。ドロシーは、当日ギリギリまで式場でデズモンドを待ったが、彼は獄中から出ることができなかった。

後日、グローヴァ大尉はデズモンドを改心させようとドロシーを獄中まで連れてきた。デズモンドと再会したドロシーは、デズモンドを信じて待つと言った。

そして軍事法廷裁判が始まった。司法取引をして、罪を認め、不名誉除隊となって解放されるシナリオで進めていたが、直前になってデズモンドは潔白を主張する方針に変えた。審理はデズモンドに不利な展開となり、有罪宣告が色濃くなった時、彼の父、トムが法廷へと入ってきた。トムは、より上職の司令官から「良心的兵役拒否は憲法で認められており、デズモンドが信教上の理由から武器に触らないことには何の問題もない。」と書かれた手紙を審判長に手渡した。原告側は主張を取り下げ、デズモンドは釈放された。そして、彼はドロシーと改めて結婚式を挙げた。

沖縄上陸作戦への従軍

その後、デズモンドは太平洋戦争の沖縄攻略戦に、衛生兵として参加していた。彼もまた、他の兵士同様、戦場の最前線へと送り込まれることになった。難攻不落の前田高地は、アメリカ軍の兵士たちに通称「ハクソーリッジ(のこぎり崖)」と呼ばれており、ここ数日間、攻略が進んでいなかった。

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(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

戦艦からの援護射撃が終わり、いよいよ高地を登ると、戦場には無数の死体が転がっていた。そして、視界の悪い中、日本兵との壮絶な白兵戦が始まった。ほぼカオスのような乱戦状態の中、デズモンドは夜まで負傷兵たちの治療と救助に没頭した。

やがて、戦闘が小休止し、一端野営することになった夜、デズモンドはスミッティと語り合った。デズモンドは幼少時代に父親から受けたDVについてスミッティに語った。彼や兄弟が殴られるのは我慢できたが、母親が殴られた時、デズモンドは生涯で一度だけ父親に銃を向けたことがあったのだ。

一方、スミッティは幼い時期に両親が不在となり、孤児院で父母の愛を知ること無く育った。父親の愛情を受けられなかったという点で、デズモンドとスミッティは同じような境遇だったのだ。スミッティは、デズモンドに対して謝罪した。

翌日、日本軍は総攻撃で白兵戦に打って出てきた。両軍が超接近戦で入り乱れる展開となり、戦場は前日以上にカオスな状況となった。一端米軍はハクソーリッジの下まで撤退することになったが、デズモンドは戦場で負傷した将兵たちを夜になって一人になっても救い続けた。致命傷を受けたスミッティは、デズモンドの手当も虚しく死亡した。

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(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

デズモンドは、徹夜で救出活動を行った。夜が空けて、日本兵に追いかけられた時、近くの塹壕に入って凌いだが、日本兵は塹壕まで追いかけてきて、ギリギリのところで隠れ通すことができた。彼は負傷兵であれば日本兵、アメリカ兵を問わず救出し続けた。最終的に、彼がハウエル軍曹を助け出した時、すでに夜は空けていた。運び込まれた負傷兵達の数はものすごい人数になっていた。

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(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

彼もまた軽症を負っていたので、一端医療班で手当を受け、リフレッシュすることができた。グローバーは、デズモンドに対してこれまでの扱いを謝罪し、翌日の戦闘は土曜日=安息日だが、参加して欲しい、とデズモンドに懇願した。

そして、翌日朝。グローバー率いる攻略部隊は、デズモンドの朝の祈りが終わると、再びハクソーリッジを登り、戦闘が始まった。この日は、日本軍も自爆攻撃など、前日以上の攻勢で立ち向かってきた。

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(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

デズモンドは、グローバーの側に転がってきた手榴弾をキックして間一髪直撃を逃れたが、左足に爆弾の破片が刺さってしまい、担架で運ばれることになった。彼は負傷してもなお、ドロシーにもらった聖書を手放そうとはしなかった。

エピローグ

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引用:http://www.desmonddoss.com/medal-of-honor/

エピローグは、デズモンド・ドスや兄、ハル・ドス、ジャック・グローヴァー大尉などのインタビュー映像へと変わり、当時戦場の様子を談話で振り返る。デズモンドは、沖縄戦で75人の負傷兵を救い、1945年10月、良心的兵役拒否者として初めて◯◯勲章をトルーマン大統領から授与された。彼は1991年に妻ドロシーが死ぬまで幸せな結婚生活を送り、2006年に87歳で死去した。 

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4.映画「ハクソーリッジ」の感想・評価

極限まで戦争の悲惨さを描き出した戦闘シーン!

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(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

本作は、日本での公開は「PG12」と比較的緩い鑑賞制限しか設けられていませんが、冒頭、中盤、終盤と散りばめられた戦闘シーンは、まるでこの世の生き地獄のような残虐性とグロ描写にあふれた物凄い映像が続きました。

事前の広告宣伝で「あのプライベート・ライアンを超えた!」とありましたが、確かに戦争映画を見たことがない人が、心の準備なしにいきなり本作を見てしまったら、トラウマ級のすさまじい映像だと思います・・・。(実際、戦争シーンで何人か劇場から出ていき、戻ってきませんでした・・・)

そして、これがほとんどCG・VFX等の特殊効果を使うことなく撮影現場で実際に再現されたシーンばかり、というのが恐れ入ります。元から映像の「痛々しさ」には定評のあったメル・ギブソンですが、作品を追うごとにそのリアルなバイオレンス描写に磨きがかかっていきますね。戦闘シーンは怖くて泣きそうでした・・・。

宗教的な寓意が散りばめられた作品だった

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(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

しかし、メル・ギブソン作品は過去作から一貫して「ブレイブハート」「パッション」「アポカリプト」と、いずれの作品においてもキリスト教的なモチーフや寓意が最初から最後まで映像に散りばめられていますね。

今作も、ざっくり言うと、

デズモンド・・・イエス・キリスト
ドロシー ・・・聖母マリア

に置き換えて映画を見てみると面白いです。

例えば、映画序盤~中盤に出てくるヒロイン役、ドロシーは「純潔」(=聖母マリア)の象徴として不自然な程「青系」の洋服やグローブを多用しています。また、ラストシーンで負傷したデズモンドが担架で空中を運ばれていく様は、伝統的な「キリストの復活」(Resurrection)や、「空中携挙」(Rapture)を強く想起させました。

宗教的な寓意を超え、普遍的なメッセージを含んだ救出シーン

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(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

しかし、本作は強烈な戦争描写や、緻密な残虐表現がメインテーマだったわけではありません。むしろ、戦場での残虐表現が厳しくなればなるほど、それとは対照的にデズモンド・ドスが戦場で達成した偉業や、キリスト教的寓意を超えた普遍的な人間的価値がくっきりと浮かび上がってくるように計算されていました。

地上の生き地獄のような沖縄の戦場では、敵味方関係なく狂戦士達のように狂った野獣ように殺し合いをしている。その中で、神の声を聞いたドスが一人武器も持たず、敵味方関係なく、危険を顧みず、夜を徹して一人ひとりの命を慈しむように救っていく。そこには、人間の持ちうる最上の愛が見事に表現されています。

デズモンド自身はランボーやターミネーターのように決してマッチョなスーパーマンではなく、ごくごく平凡なのありふれた人間なんですよね。救出するときも重そうに引きずってますし。

そんな、一見どこにでもいるような普通の人であっても、人間は正しく信念と勇気を持つことで、大きな偉業を達成しうるパワーを内に秘めているんだ、というメッセージが鮮やかに伝わってきました。 

5.映画「ハクソーリッジ」をより楽しむための6つのポイント~伏線・設定を徹底考察!~

疑問点1:ハクソーリッジの意味とは?それは実際どこにあったのか?

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(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

ハクソーリッジ(Hacksaw Ridge)とは、太平洋戦争末期の沖縄上陸戦で、その主要な戦場となった「前田高地」のことを指しています。その切り立った150mの絶壁が、弓のこぎり(=Hacksaw)に見えたことから、米兵の間でこうあだ名がついたそうです。

ちなみに、「前田高地」は昔の浦添城の跡地であり、現在では第二次世界大戦の生々しい戦闘の息遣いを伝える観光地となっています。今作の映画公開に合わせ、浦添市の観光サイトに「ハクソーリッジ」の今の状態が見れる貴重な動画がアップされています。40秒ほどの短い動画ですので、是非!

<浦添市観光サイトの特別動画>
※下記画像をクリックすると動画がスタートします

動画がスタートしない方はこちらをクリック

疑問点2:デズモンドの信奉していたセブンスデー・アドベンチスト教会とは?

デズモンドの実家の壁にかかっていた
「十戒」のポスター(実物)
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デズモンドの一家は、熱心なクリスチャン一家でした。彼らはセブンスデー・アドベンチスト教会という、アメリカ国内でもあまり知られていない、急進的なプロテスタント系の宗派を信奉していました。デズモンドが兄をレンガで殴り倒した後、壁にかかっていたのは「モーセの十戒」をわかりやすく絵で表した教会のポスターです。彼は、これを見てひどく動揺していましたね。

彼らの信奉したセブンスデー・アドベンチスト教会は1840年代に成立した新興の宗派で、聖書の教えに非常に厳格に守ろうとしていました。(現在は世界中で1800万人の信者がいるそうです)

特に彼が軍隊に入隊してからも守ろうとした戒律として、

・「モーセの十戒」第6項「殺人をしてはいけない」
・土曜日は何をしてもならない「安息日」である

という2点が、陸軍内で大きな波紋を呼んだ問題点となりました。

また、教えとは直接関係ないですが、デズモンドは生涯ベジタリアンを貫き通したそうです。(スミッティと塹壕で過ごした夜、肉を食べようとしませんでしたね)2017年2月には映画上映に触発されたのか、アメリカ動物愛護団体から表彰を受けています。

疑問点3:良心的兵役拒否者とは?

銃訓練を頑なに拒否するデズモンドf:id:hisatsugu79:20170625095147j:plain
(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

デズモンドは、軍隊に「良心的兵役拒否者」として参加していました。良心的兵役拒否(conscientious objection)とは、宗教や良心などの個人的な信念に基づき、戦争などの兵役を拒否することです。彼は、「志願兵」として兵役には就きましたが、宗教上の理由から、どうしても「銃に触らない」「土曜日は休息日とする」という戒律を守らねばならず、部分的に「良心的兵役拒否者」に該当しました。

もっとも、本人の中では自らを「良心的協力者」と定義しており、喜んで兵役を務めていたのです。ただ、「人殺しだけはしない」と決めていただけでした。ただし、映画中でもデズモンドが酷いいじめに遭ったように、1940年代当時、実際はこういった「良心的兵役拒否者」は臆病者、卑怯者として偏見の目で見られていたようです。

ちなみに、デズモンドは「良心的兵役拒否者」として史上初めてアメリカの「名誉勲章」(Medal of Honor)を受けた人物となりました。

疑問点4:デズモンドは最終的に何人を助け出したのか?

助け出した負傷兵で溢れる救護テントf:id:hisatsugu79:20170625095321j:plain
(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

史実でも、映画中でも彼が助け出した人数は「75人」とされていますが、彼の同僚たちの見積もりでは、ゆうに100人は越えていたとの証言もあります。しかし、控えめなデズモンドの自己申告によると、「約50人」だったとのこと。表彰にあたり、では真ん中を取って75人にしようか、ということで落ち着いたそうです。(案外適当ですよね・・・)

しかし、映画では描かれていませんが、彼は1944年にもグアム島の戦い・レイテ島の戦いにおいて、同様に多数の負傷者を救い出したことで、戦功章として「ブロンズスター」を授与されておりトータルでは100人以上救助したのは確実なようです。

疑問点5:本作で描かれなかった沖縄戦のエピソードとは?史実との違いは?

沖縄に上陸する米軍の様子f:id:hisatsugu79:20170625100305j:plain
(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

本作は、特にデズモンドの信念や思想面については、非常に史実通り描かれていますが、実際の戦闘シーンはいくつかの場面を合成・改変し、単純化されています。

デズモンドが実際の戦闘に従事した期間は、映画で描かれた「3日間」ではなく、ハクソーリッジ攻略戦が終わるまでの1ヶ月間程度でした。さらに、彼が戦場で手榴弾を蹴り飛ばして左足を負傷した際、映画ではすぐに担架で運ばれていきましたが、史実は違っています。

実際は、デズモンドは負傷してから自分で止血・手当して約5時間その場で待機していました。ようやく来てくれた担架でしたが、いったん別の負傷兵に譲り、さらに次の担架が来るのを待っていた時、日本兵に狙撃され、左腕に重傷を負ってしまいます。そこで、ハクソーリッジの入り口あたりの救護テントへ自力で約350メートルを這っていき、一命を取り留めたという、より激しいエピソードが残っていたのでした。

疑問点6:デズモンドのその後はどうだったのか?

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引用:CMOHS.org - Private First Class DOSS, DESMOND T., U.S. Army

ハクソーリッジで負傷して、療養に集中していたデズモンドは、1946年になると結核に罹患していたことが判明して、除隊されます。そこから約5年半、結核の治療にあたりますが、服用した抗生物質の副作用で、片肺と肋骨5本を摘出せざるを得なかったそうです。片肺を失って満足に動けない中、彼は正規の仕事には就かず、教会関連の活動に従事しました。

そして、彼もまた父親同様、戦後のPTSDでしばらく悩まされ、それが原因で一時期一人息子のトムと疎遠な仲になってしまった時期もありました。戦後、伝説的な英雄となったあとも、除隊後のその後の人生では、一筋縄ではいかない苦労や試練があったようですね。

6.まとめ

凄惨な沖縄戦でのデズモンド・ドスの活躍を最大限情感豊かに描き出すため、その幼年時代から妻、ドロシーとの出会い、ブートキャンプでの葛藤まで、巧妙に伏線を織り込んでクライマックスへつなげっていったムダのない描写は見事でした。139分と長尺な映画でしたが、最後までぐいぐい画面に引き込まれた素晴らしい作品です。

是非映画館の大画面で味わってみてください!

7.「ハクソーリッジ」をより楽しむためのおすすめ関連映画など

映画「プライベート・ライアン」

「ハクソーリッジ」同様、第2次世界大戦をテーマとした戦争映画です。冒頭25分間のノルマンディ上陸作戦での残虐な戦闘シーンの克明な描写により、世界の戦争映画における金字塔に輝いた大傑作。約20年前の作品ですが、今見てもリアルさと迫力が凄いです。未見なら是非!

映画「硫黄島からの手紙」

こちらは、同じハクソーリッジ同様、太平洋戦争末期の、沖縄本土作戦の前哨戦となった1945年2月の硫黄島上陸作戦を日本側の視点で扱った戦争映画。クリント・イーストウッド監督が、主要キャストをオール日本人俳優で描いたハリウッド作品で、さすがのクオリティです。

映画「ブレイブハート」

メル・ギブソン監督の監督第2作にしてアカデミー賞作品賞に輝いた名作中の名作。中世のスコットランド独立戦争を描いた大河ロマン作品ですが、マイノリティへの迫害、イエス=キリストに重ね合わせ、主人公を殉教者的に描いている点、痛そうな残虐描写などは、本作「ハクソーリッジ」とかなりの点で共通点があります。主人公とヒロインが運命的でピュアな恋に落ちるのもいいですね!

メル・ギブソン出演作品は、まとめてU-NEXTで!

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俳優や監督として、長年活躍してきたメル・ギブソンは、作品も多数。彼がかかわった作品をまとめて一気に楽しむには、ビデオ・オンデマンドが一番時間をお金を節約できるベストなサービスだと思います。

現在、僕はU-NEXT、Hulu、ツタヤ、AmazonPrime、FODと色々なオンデマンドサービスに加入中ですが、メル・ギブソン出演作品はU-NEXTがNo.1の品揃えでした。初期~最新まで13作品が網羅され、そのうち9作品は「見放題」でチェックすることが出来ます。こうメル・ギブソンは、干されるまではかっこいい主役が多いのに、一端干されてからは悪役ばかりなんですねぇ、、、そして、監督作品はどれも筋金入りの「痛そう」な作品が揃っています(笑)

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