あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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元採用担当としては、大学を辞めて起業するのは悪くない選択肢だと思うのです。

かるび(@karub_imalive)です。

さて、18歳で大学を辞めて起業する!と高らかに宣言して、燃えちゃった学生ブロガーの石田祐希さん。元エントリがアップされてから1週間が経過し、完全に周回遅れな感じですが、ようやく感想がまとまりました。

一言「元人事・採用担当」の目線で、触れておこうかなと思います。

確かにエントリ自体は痛々しい感じ。でも・・・

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話題のこのエントリ、僕も読んでみた直後の第一感は、「あーあ、こりゃまた若さ全開の香ばしいエントリやな」「きっと燃えるだろうな」という感じ。ただ、何となく批判的なコメントを残す気になれず、それなりの応援コメントを残させていただきました。

本エントリ、客観的に読み込むと、おおむね批判コメントにあった通り、フワフワしてて無知で、生意気盛りな物言いが痛々しく迫ってくる感じですよね。(ごめんなさいね石田さん、ストレートに書いて・・・)

若い人は大化けする可能性もある

でも、彼らのような若い人を批判する気にはなれないのですよね。

何故かと言うと、若い人は大化けする可能性があるからです。

僕は、2016年の5月まで、都内の中堅Sierで採用担当をやっていました。そこでは、何千人もの若い人たちと、説明会や採用面接、インターンシップ等で日常的に接してきました。結局、前職では採用担当を足掛け10年やりました。僕が採用した第1期生が10年選手になるところまで見届けて、前職を退職しました。
(※退職後の経緯はこちらとかこちらあたりのエントリをご参照ください)

ところで、石田さんみたいな若い人、特に18歳~25歳頃までの若い人材は、新卒であろうと中途であろうと、非常に採用が難しいんです。

それはなぜなのでしょうか?

それは、若い人たちの、採用後の伸びしろが全く読めないからなんですよね。採用の仕事を通して、若い人の側にいて10年間定点観測して、よーくわかりました。

おおむね27~8歳以上の中途人材を採用する際は、採用は難しくありません。履歴書や職務経歴書を確認しながら、仕事やプライベートにおける過去の実績を丹念に聞き出していけば、おおよそ彼らの入社後のパフォーマンスのレベルは予測がつきます。そして、その予測はあまり外れることはありません。

それに対して、18歳~25、6歳頃までの人材を採用する際は、彼らがまだ「まっしろ」なので、採用後の成長曲線やキャリアの方向性に予想がつきづらいのです。

石田さんのエントリを読むとわかるのは、まだ大した人生経験がないことです。文章力の割には中身がついていってないことから、彼もまた、きっと「まっしろ」の状態なのでしょう。

採用したときは、「おぉ、これは逸材だ!」と誰もが思う人材であっても、その後の職場環境やキャリアの方向性で、あっという間に凡庸な社畜に成り下がっていく人もいれば、その逆も多数います。

石田さんみたいに、最初は血気盛んだけど空回りしてて、生意気盛りでどうにもならなそうな雰囲気を醸し出してて「こりゃだめだ!何でこんなやつを採用したんだ」って言われちゃいそうな人材でも、時に大化けして成長していくことが多々あるんです。

それは、丸くなって会社の体制側の業務指示を素直に聞く便利な人材になったからという意味で「成長した」と皮肉めいて言っているのではなく、文字通り、採用担当や周りの予想の斜め上を行く成長を見せ、人格的にも仕事面でも成長した姿を見せてくれる、、、っていうことです。

石田さんの場合、まだ18歳ですよね。だから、いい意味でも悪い意味でも可能性のかたまりなんです。今は痛々しくて周りが全く見えていなかったとしても、起業後に持ち前の無鉄砲な行動力と負けん気で、人並み以上の経験値をつけて、叩き上げて大成長する可能性だって十二分にあると思うんです。

そういう意味で、彼のような若手は素直に応援してあげたい。そう思ったのです。

たとえ起業して失敗しても、まだまだチャンスの塊であること

それともう一つ。

エントリを読んだ限りでは、現時点では、彼の起業はおそらく、前途多難で失敗する可能性もかなりあるでしょう。だって、やりたいことやその実現プロセスががさっぱり見えないですからね。ふわっとして、「ただ起業したい」って言いたかっただけなんじゃない?っていうレベルに見えます。

だとしても、彼が大学生という定番の太いレールを外れ、起業するという、つらそうな選択の中で得られる経験値っていうのは、並の大学生よりは遥かに多いハズ。

その、経験値こそが次に繋がる貴重な武器になってくると思うんですよね。

仮に、起業して数年間事業を起こして失敗したとしても、まだ20代前半です。どの会社にも就職エントリは普通にできるし、採用面接で「起業経験と失敗、その総括とそこから得られた経験」を筋道立てて説明できれば、成長分野の生きのいい若い企業であれば、高く評価して合格を出すと思います。

つまり、仮に失敗して、彼のいう「レール」に戻って会社勤めを始めたとしても、彼の前にはまだチャンスが山のように転がっているのです。

みんなの若い時はどうでしたか?僕の18歳のときは酷かったです(笑)

さらにもう一つ。

僕自身が18歳のときは、石田さんより遥かにダメなやつだったからです。

大学にはなんとか現役で入りましたが、そこで燃え尽きて方向感をなくし、2年次の時に留年しました。なのに学費も仕送りも親にベッタリ甘え、朝寝て夜起き、授業もバイトもしないでパチンコ三昧でしたから。ゼミすら入らなかった。

就職活動も、内定こそ普通にもらえましたが、会社では学生気分が抜けきらず、他の同期と友達にもなれず、人前では緊張してまともに挨拶すらできませんでした。最初の2年くらいは明らかに使い物になってなかった自覚があります。

そんな昔の自分から比べたら、全然いけてるやん、って思えるからです。たとえ不完全であっても、ブログで自分自身の方向性だけでもしっかり宣言できるのであれば、「昔の自分よりはるかにましだよ。」って思えるのですよね。

ほんというと、羨ましい。41歳無職セミリタイア中の身としては、嫉妬するくらいその若さが羨ましいです。今、石田さんと同じ18歳に戻ったら、僕だったらどうするだろうなぁ。大学で美術史を専攻して教授を目指してもいいし、アジアやアフリカの途上国を飛び回る商社マンになるのもいいし、もちろん石田さんのようにネット系で起業するのもいい。

だから、嫉妬からネガティブな気持ちに陥らないように、敢えて自分のためにもポジティブなコメントを残した、というのもあります。

まとめ

話がずれました。まとめます。

いずれにしても、人事・採用担当の目からみたら、若くてやる気があるのはそれだけで可能性があってプラスだと思うし、失敗しても普通に就職できます。そして、就活において、若い時の起業経験は高く評価される潜在力があるんじゃないかな、と思います。

つまり、起業に成功しても失敗してもどちらに転んでもOKなのですね。

今回の記事を見て、僕も最初、反射的に「むっ」として批判的なコメントを入れるところでした。でも、上記のような理由で、どうせだったら、その若さゆえの可能性をプラスに見てあげるようにしてあげたいな、と思った次第です。若いっていいよね。

それではまた。
かるび