あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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【ネタバレ有】「キングコング 髑髏島の巨神」感想とあらすじ・伏線の徹底解説/怪獣映画の面白さが詰まった映画!

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【2017年4月4日更新】

かるび(@karub_imalive)です。
3月25日に12年ぶりにリメイクされた「キングコング 髑髏島の巨神(どくろとうのきょじん)」を見てきました。前作より約4倍の大きさにスケールアップしたコングが、画面上で大暴れする凄い作品となりました。

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、ほぼ全編にわたってストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承下さい。

1.映画「キング・コング 髑髏島の巨神」の基本情報

<映画「キングコング」公式予告動画>

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【監督】ジョーダン・ボート=ロバーツ
【配給】ワーナー・ブラザーズ
【時間】118分

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(引用:eiga.comより)

大規模なブロックバスター作品では初メガホンとなる、若干32才のジョーダン・ボート=ロバーツ監督。先日、「ラ・ラ・ランド」で2017年度のアカデミー賞に輝いたデイミアン・チャゼル監督同様、気鋭の若手新監督となります。

3月25日、ロバーツ監督や俳優陣が映画の魅力を語ったメイキングシーンが満載の6分間の特別予告映像も解禁されました。こちらを見てから映画館へいくと、より見どころや映画の魅力が事前に予習できます。これはおすすめ動画です!

<映画「キングコング」特別予告編>

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2.映画「キングコング」主要登場人物とキャスト

ジェームズ・コンラッド(トム・ヒドルストン)f:id:hisatsugu79:20170326133401j:plain

元SAS大尉で、ベトナムでは米軍の仕事を請け負うフリーランスの傭兵稼業でその名を知られていたコンラッド。ハイリスクな今回のミッションに対して、サバイバル術と追跡技術に優れた彼に白羽の矢が立ちます。しかし、マイティ・ソーでのなよっとした「悪役」ぶりが頭にありましたが、日焼けした精悍な顔つきは別人みたいです。好演でした。

メイソン・ウィーバー(フリー・ラーソン)f:id:hisatsugu79:20170326133034j:plain

ベトナムで活動していた反戦カメラマン。戦争行為を正当化する政府の悪行を暴こうと活動していたが、髑髏島の調査ミッションには裏があると踏み、コネを駆使して「アテネ」号に乗り込む。今作のヒロイン。

過去のキングコング作品では、映画監督やカメラマンなど、コングの「映像」を捉えようと追いかける役割の人物が必ず描かれますが、今作ではヒロイン自らが務めることになりました。

ハンク・マーロウ(ジョン・C・ライリー)f:id:hisatsugu79:20170326133309j:plain

太平洋戦争中に墜落した戦闘機「P-51」のパイロット。共に墜落した日本人兵とは髑髏島で「義兄弟」と呼ばれる程の絆となり、何度も脱出を試みるが、過去8回は失敗。今回、コンラッドたちと出会って島での案内役として重要な役割を果たします。

ビル・ランダ(ジョン・グッドマン)f:id:hisatsugu79:20170326133100j:plain

政府特殊研究機関「モナーク」の主要メンバー。早くから髑髏島に目をつけ、渡航のチャンスを伺うが、上院議員に何度も陳情に行かなければならないなど、決して「モナーク」は政府内で強い力を持つ組織ではないのも妙に生々しい感じ。部下のブルックスやサンと張り切って髑髏島への調査に参加するが・・・。

プレストン・パッカード(サミュエル・L・ジャクソンf:id:hisatsugu79:20170326133351j:plain

ベトナム戦争で活躍した現場の鬼士官。戦場にいる時でしか自分の存在意義を感じられず、戦争終了後燃え尽きていたところに、上官から髑髏島の調査ミッションを与えられました。髑髏島では、多数の部下を殺されたコングへの復讐に異様な執着を見せます。

ちなみに、サミュエル・L・ジャクソンが出演した際、劇中で吐く有名なキメ台詞「Mother F**ker」は、結局言い終えることが出来ませんでした(笑)

サン(ジン・ティエン)
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モナークの生物学者。今回の髑髏島渡航メンバーで唯一のアジア系。非常に童顔な顔立ちながら、モナークで慣れているのか化物にもそれほど動じない姿が印象的。演じたジン・ティエンは、4月15日公開の「グレート・ウォール」でも出演予定で、今年ハリウッドで大ブレイク中の期待の新星です。

ヒューストン・ブルックス(コリー・ホーキンズ)f:id:hisatsugu79:20170326133241j:plain

モナークの地質学者。地球空洞説を提唱し、ランダの目に止まりモナークに加入することになった。髑髏島の地質調査を行い、自身の説の正しさを立証しました。

その他にも一杯いますが、詳細はオフィシャルHPやパンフレットにしっかり記載されていますので、是非チェックしてみてください。

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3.結末までの詳しいあらすじ(※ネタバレ注意)

3-1.ベトナム戦争の終結後、髑髏島への旅立つ一行

1944年の太平洋戦争末期、P-51戦闘機のパイロットだったハンク・マーロウは日本のゼロ戦との戦闘で相討ちとなり、日本人パイロット、グンペイ・イカリとともに見知らぬ島へパラシュートで不時着した。島への着陸後も肉弾戦で殺し合いを続けた二人だったが、夢中で戦っていたその時、二人の元に超巨大な類人猿が姿を現したー。

時は過ぎ、1973年。東西冷戦のさなか、ベトナム戦争が終結したばかりのワシントンで、政府の特殊研究機関「モナーク」の中心人物であるビル・ランダは、幼馴染の上院議員に必死にロビー活動を行っていた。長年の悲願だった髑髏島での地質研究に、予算をつけ、陸軍とランドサットの協力を仰ぐためだ。

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その必要性を必死で訴え、何とか予算を勝ち取ったランダとその部下のブルックスは、バンコクで、元SAS大尉でサバイバル術のスペシャリスト、ジェームズ・コンラッドをスカウトした。さらに、米軍からはプレストン・パッカード大佐率いる攻撃ヘリ部隊「スカイデビルズ」の協力を得られることになった。

一方、ベトナム戦争での反戦カメラマンとして現地滞在中だったメイソン・ウィーバーは、独自の情報源から、髑髏島上陸計画の存在を掴んでいた。何らかの秘密が隠されていると踏んだウィーバーは、従軍カメラマンとして本計画に紛れ込むことに成功した。

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やがて、必要な人材と物資を積み込んだ護衛艦「アテナ号」は、髑髏島への調査航海に出発した。何日かの準備とミーティングを経て、髑髏島にはパッカード率いる攻撃ヘリ部隊で上陸し、そこでサイズミック・チャージ(起振弾)を島に投下して得られたデータを測定することで、髑髏島の地下空間の地質を徹底的に調査することになった。

3-2.キングコングとの邂逅と、島での危険な逃避行

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サイズミック・チャージは実質上「爆弾」と変わりなく、大規模な森林火事や生態系への悪影響をもたらす可能性があったが、彼らは強行することに決定した。

そして、決行当日。パッカード率いる上陸ヘリ部隊は、髑髏島の周囲を取り巻く低気圧の嵐を何とか無事に乗り切り、島に降り立つことができた。準備を行い、サイズミックチャージを投下すると、樹海は火の海になった。

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その時、30メートルをゆうに超える黒い巨大な類人猿が現れ、ヘリコプターに攻撃を加えてきた。パッカード率いる「スカイデビルズ」は類人猿を取り囲んで必死で攻撃したが、圧倒的な力の前に、敢えなく全機墜落させられてしまう。この時点で、パッカードは半数近くの兵士を失い、生き残った隊員もバラバラになってしまった。

生存者は、コンラッドのグループとパッカードのグループに分断されてしまった。それぞれ連絡が取れないまま、まとまって行動を取ることになっていく。

生き残ったコンラッドとウィーバー、サンやブルックスらは、早々に調査を諦め、コンラッドをリーダーとして3日後に落ち合う予定だった島の北岸を目指すことにした。

一方、ランダはパッカードらヘリ部隊組と合流した。パッカードは、ランダが特殊機関「モナーク」の研究員であり、髑髏島での真の目的は地質調査だけでなく「巨大陸生生命体」を追うことでもあったことを聞き出した。パッカードは、ランダを連れてともかくこの島から脱出しようと、行動をはじめるのだった。

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コンラッド組は、移動中に沼地に巨大な水牛「スケル・バッファロー」と遭遇した。大人しい性格なのか、コンラッドたちを襲ってくることはなかった。さらに歩いて行くと、コンラッド達は原住民の集落を発見した。石造りの建造物に見たこともない言語が記されている。気がついたらあっという間にコンラッド達は原住民の集団に取り囲まれてしまっていた。

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銃を構え、一触即発に思われたその時、原住民の中から西洋人と思しき老人が現れ、コンラッドたちを制止した。彼の名はマーロウ。1944年に髑髏島に不時着し、以後原住民と平和に暮らしていたのだった。コンラッド達は、一旦マーロウの案内で原住民の集落に移動した。

一方、コンラッドともパッカードとも離れたところで、チャップマンは不時着して道に迷っていた。チャップマンの眼の前にコングが現れて、先程の戦闘で傷ついた体を洗うと、海底から巨大なイカとタコの合いの子のようなモンスター、「リバー・デビル」を掴んで、格闘の末コングに食べられてしまった。チャップマンはただ隠れて見ているしかなかった。

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原住民の集落に着くと、ウィーバーは夢中になって彼らを撮影した。そして、マーロウからコングの話や、コングの天敵「スカル・クロウラー」、そしてその親玉「スカル・デビル」の話を聞いた。そして、マーロウは、コンラッド達と一緒にこの島の北岸から脱出し、アメリカに戻ることを決意した。マーロウが密かに製作していた脱出用の船「グレイ・フォックス号」に乗って、原住民に別れを告げて島の北岸を目指すことになった。

道中、船から離れてヘリコプターの残骸に引っかかって動けずにいた巨大な水牛をみつけたウィーバーは、皆の反対を振り切って、残骸を退けようとした。すると、そこへコングが現れ、水牛の上にあった残骸を取り除き、ウィーバーには危害を与えずにそのまま去っていった。

一方、チャップマンは墜落したヘリコプターの側を離れて、仲間と合流しようとジャングルの中を歩いていた。倒木に座り休憩していたら、それは完璧に木の擬態をした巨大なナナフシ「スポア・マンティス」だった。逃げ惑い、追い詰められて死を覚悟して戦おうと身構えた時、ナナフシはカサカサと逃げていった。その時、ちょうどパッカードからの無線がつながり、チャップマンは応答したが、その後すぐに後ろから音も立てずやってきた凶悪なモンスター「スカル・クローラー」に一瞬で飲み込まれてしまったのだった。

コンラッド達は、順調に川を下り、島の北岸を目指していた。怪物たちもいなくなり、落ち着いたかに思えたその時、翼長が3メートル近くもある怪鳥に突然ニエヴスが襲われ、空中に連れ去られ、バラバラに引き裂かれて殺されてしまった。一瞬の出来事だった。

その直後、ちょうどコンラッド達はパッカードのグループと連絡が取れるようになった。近くにいることが判明し、彼らは何とか合流し、ひとまとまりになって島の北岸を目指すことになった。

3-3.スカル・クロウラーとの死闘、島からの脱出

部下思いのパッカードは、チャップマンの救出にこだわり、チャップマンのヘリが墜落した現場へ向かうことにした。コンラッドは、チャップマンはもう死んでいると主張したが、ヘリに残された武器弾薬を回収したいと言って、パッカードは譲らなかった。

すると、巨大なガイコツが2体放置された空き地に出た。マーロウ曰く、コングの両親の骨なのだという。スカル・クロウラーに殺されたのだ。

その時、ちょうどスカル・クロウラーがどこからともなく現れた。コングの親の骨の後ろに隠れて身を潜めていたが、ランダが、カメラのフラッシュを誤って光らせた瞬間、一瞬で飲み込まれてしまった。全員で応戦し、何とか倒すことはできたが、さらに奥地に進むことは危険が伴うため、コンラッドは船のところまで戻り、パッカードとその部下のみチャップマンの墜落場所へ行くことになった。

パッカードは、部下を多数コングに殺されたため、コングへの復讐に燃えていた。チャップマンの墜落したヘリから、多数の武器弾薬を回収すると、コングをおびき寄せて殺す準備を進めた。

それを遠目からみていたコンラッドとマーロウは、パッカードを制止するためパッカードのところへ向かった。コンラッドは、パッカードを説得しようとしたが、パッカードは聞く耳を持たなかった。

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そこへ、ちょうどスカル・クロウラーが巨大化した成体、通称「スカル・デビル」がコングのところへ向かってきた。パッカード以外は全員四散して逃げたが、パッカードはあくまでコングを殺そうと現場に火をつけ、コングを焼き殺そうとした。しかし、パッカードは敢えなくコングに踏み潰されて死亡した。

パッカードの部下、コールが腰にダイナマイトを巻き付け、自爆してスカル・デビルを殺そうと身構えたが、スカル・デビルは、長い尾でコールを叩きつけ、自爆させなかった。

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その後、コングが彼らの元にやってきて、スカル・デビルと死闘を繰り広げた。ウィーバーやコンラッド達のアシストもあり、コングは何とかスカル・デビルを倒すことができた。戦闘後、ウィーバーとコンラッドはコングと触れ合った。気持ちが通じた瞬間だった。コングは、静かに彼らの元を去っていった。

こうして、スカル・デビルを倒した一行は、無事に島の北岸で船のクルーと合流を果たすことができた。残ったメンバーは、わずか8人だった。

3-4.エピローグ(エンドロール)

アメリカへ帰ると、マーロウは残した家族の元へ向かい、息子や妻と28年ぶりの再会を果たした。やってみたかった野球観戦を思う存分楽しむのだった。

一方、ウィーバーとコンラッドは、帰国後すぐに当局に拘束されて尋問を受けた。髑髏島で見聞きしたことをしゃべるつもりはなかった。疲労困憊しきったところで、部屋にブルックスとサンが入ってきた。

ブルックスは、スパイごっこを謝罪し、ウィーバーとコンラッドにモナークの活動内容を説明して、髑髏島以外にも沢山の「コング」が存在することを示唆した。プロジェクタに映し出された髑髏島の洞窟壁画のスライドには、コングに似た、巨大なトカゲや有翼獣、蛾のような怪獣、三つ首のドラゴンのようなモンスターなど、様々な姿が映っていたのだった。

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4.感想や評価(※ネタバレ有注意)

4-1.怪獣はフルCGだけど、ロケ地は全部本物!

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(引用:eiga.comより)

キングコングをはじめ、今作で登場する髑髏島の怪獣たちは、オールCGで製作されましたが、ロケ地は本物感にこだわり、丹念なリサーチを経てオーストラリア、ニュージーランド、ベトナムなど、各地で怪獣の生息しそうな島が選ばれました。僕の感想を一言に集約するならば、来日時のインタビューで監督が言った

「本作では美しさと怖さを同時に味わえる」

という一言につきるかな、と思います。手付かずの自然が残る雄大な景色は、素晴らしい映像美と、化物たちの恐ろしさが見事に共存しています。

4-2.冒頭からオマージュの連続

上映前に、過去の関連作品をいくつか復習してから臨んだのですが、今作では様々な作品へのオマージュが盛り沢山!島へ向かう戦闘ヘリの編隊シーンは、監督も名言する通りフランシス・コッポラ監督の名作「地獄の黙示録」を強く想起させますし、稲妻と風雨の巨大低気圧の中を抜けて髑髏島へ向かうシーンは「天空の城ラピュタ」そのものです。

さらに、大型船に乗り込んで髑髏島へ向かう設定や、髑髏島周辺が悪天候だったり、コングと触れ合うのは必ずヒロインであったり、異形の原住民が出て来るところなど、キングコング過去作での重要な物語構造はきちんとそのまま骨格として残されていました。怪獣モノの伝統や様式美を確実に引き継いで抑えた堅実なリメイク作品でもありました。

4-3.中盤以降は休む暇もなくハイテンションに怪獣が出続ける!

そして、中盤以降は息をつく暇もなく怪獣が出続けます。しかもライオンやトラといった、ジャングルに普通にいそうな猛獣ではなく、巨大で異形の怪物たちのオンパレード!人間たちにほとんど反撃する隙を与えず、圧倒的な力で血も出ないうちに瞬殺していくシーンは圧巻でした。

4-4.神がかったコングの強さが圧巻!

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今作は、コングや化け物たちの存在は「良い意味で」現実感がなく、ファンタジックな神話的世界を覗いているような手触りがあります。

1976年のリメイクでは米軍に通常兵器で倒され、2005年の2度目のリメイクでは、囚われたコングがニューヨークの劇場で見世物になってしまう展開に、ややスケール感の物足りなさを感じていました。

しかし、今作でのコングは「けもの」というより「獣神」「幻獣」といった神秘的な雰囲気を漂わせます。まず、何と言ってもその巨大で現実離れした体躯に圧倒されます。

過去作品のコングとの比較f:id:hisatsugu79:20170326171149j:plain
(引用:映画パンフレットより)

さらに、コングを取り巻く諸設定も現実離れしています。髑髏島が実は古代の巨大生物たちが生息する巨大な地下空間への入口につながっているという「地球空洞化」説や、原住民がコングを崇め描いた、神秘的なモンスターたちの洞窟壁画なども良かったです。

また、一度戦闘が始まると無類の強さを発揮するのですが、無闇矢鱈に殺戮をせず、守るべき存在と敵をハッキリ意識的に区別するシーンが複数回描かれ、コングが単なる「獣」ではなく、高度な「知性」を備えた存在であることが強く示唆された描写も良かったです。

5.出てきた怪獣たちを紹介!

スケル・バッファロー

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本作で唯一戦闘にならず、平和的な出会いとなった髑髏島の巨大生物。ウィーバーが沼地で墜落したヘリの下敷きになっているスケル・バッファローを助けようとしたシーンをコングが目撃したことで、コンラッド達は以降コングから守ってもらえるようになりました。

バンブー・スパイダー

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高足を持つ巨大なクモ型化物。竹林に突如出現し、隊員たちを襲いました。ちなみに、パンフレットによると、モデルとなったのは六本木ヒルズの玄関口に設置された巨大なクモの現代アートのインスタレーションなのではないかと言われています。

スポア・マンティス

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朽ちた巨大な倒木に完璧に擬態する巨大な昆虫系化物。これだけ大きくて強ければ擬態する必要などまるで無いような気もしますが、その後スカル・クロウラーと出会ったスポア・マンティスはカサカサと逃げていきました。化物達の中では、序列的にはそれほど強くない模様。

リバー・デビル

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タコとイカの合いの子のような巨大な水棲生物の化物。川場に降りてきたコングの昼飯として捕食されていました。

スカル・クローラー(小)

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チャップマンを一瞬で飲み込み、コンラッドたちを追いかけ回した数メートル級の異形の幼体。誰かれ構わず捕食しようとする攻撃性や、醜さ満点の造形は圧巻でした。主人公たちの前でグロく未消化の残骸を吐き出すシーンは気持ち悪かった(笑)

スカル・デビル(スカル・クロウラー)

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クライマックスで地底から這い出てきたスカル・クロウラーの大物で、通称「スカル・デビル」。コングの両親をも食い尽くした強い攻撃力と、30m級の巨大さは、ラスボス感満載でした。獰猛なだけでなく、知性もある難敵です。

6.伏線や設定などの解説(※ネタバレ有注意)

6-1.「モナーク」とはどんな組織なのか

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(引用:http://www.cosmicbooknews.com/sites/default/files/king-kong-skull-island-tom-hiddleston-monarch.jpg

未確認巨大陸生生命体(MUTO)を調査・捜索するために1946年、トルーマン大統領が設立した政府の秘密特殊機関です。地質学者ヒューストン・ブルックスの提唱する「地球空洞説」に基づき、髑髏島の地下空間には広大な地底世界が広がっているという仮説を検証するため、ランドサットやパッカード率いるアメリカ陸軍攻撃ヘリ部隊「スカイデビルズ」に協力を要請して、調査を行いました。

2014年の「GODZILLA」でも、将来のシリーズ化を念頭にこの「モナーク」が出てきていましたね。

6-2.イカリグンペイとマーロウの関係、イカリグンペイはなぜ死んだのか

スラップ奏法でエレキギターを弾きこなす侍ギタリストMIYAVIが演じた「イカリグンペイ」は、冒頭の1944年、太平洋戦争下でマーロウと死闘を演じてから、28年後にコンラッドら調査隊がやってくるまでの間に、スカル・クロウラーに飲み込まれて死んでいます。

ノベライズ版に詳細な説明がありますが、原住民を助けるために洞窟に入りこんだ時、グンペイは洞窟に落ちた原住民ともども犠牲になりました。マーロウは、島へ上陸後、グンペイとすぐに兄弟のように仲良くなり、互いに言葉を教えあっていました。

マーロウがスカル・クロウラーに立ち向かう時使った日本刀はグンペイの形見ですし、「不名誉よりも死を」というセリフは、明らかに彼から教わった日本語ですね。

6-3.地球空洞説って何?

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(引用:Wikipediaより)

髑髏島での起振弾による地質調査により、髑髏島の地下空間は「空洞」であることが立証され、ブルックスが信奉する「地球空洞説」が裏付けられたというのが本作でのストーリーでした。

折しも1973年は、その数年前に世界を揺るがしたベストセラー『空洞地球――史上最大の地埋学的発見』で、リチャード・バード少将という探検家が、1947年に南極探検飛行の最中に地球内部の空洞へ迷いこみ、氷原のあるはずの場所に緑あふれる谷間を発見したと発表されました。(ネットで探すと地底内部の写真まで見つかります・・・)

19世紀頃から繰り返し唱えられてきた誤った理論であり、現代では疑似科学・オカルトとして扱われていますが、1970年代に流行していたUFOや超能力と言ったオカルトブームの文脈で、普通に信じていた人も多かったネタでした。空洞地球から巨大生物達が再びやってくる!という設定は着目点として非常に面白いですよね。

6-4.渡辺謙も続投決定!エンドロールでの続編への伏線と「モンスターバース」構想

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(引用:Twitterより)

エンドロールでは、主役の男女2名(ウィーバーとコンラッド)がモナークへと拉致され、「この世にはコング」だけではなく他にも「コング」は一杯いる!と伝えられ、キングギドラ、モスラ、ゴジラ、ラドンと思しきスライドを見せられました。

これは間違いなく続編への流れと思われます。怪獣系作品を手がける「レジェンダリー・ピクチャーズ」が構想する「モンスターバース」構想の枠組みの中で、2014年の「GODZILLA」を皮切りに、「キングコング」「ゴジラ」を軸として、マーベルの「マーベル・シネマティック・ユニバース」のように、過去の特撮怪獣たちが一連のストーリーの中で入り混じって出演する世界が次回作以降で描かれるのでしょう。

現在、この「モンスターバース」構想では、2014年の「GODZILLA」を準備作として、今作からストーリーを共有する以下の3部作が予定されています。

2017年:「キングコング 髑髏島の巨神」
2019年:「ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ(原題訳)」
2020年:「ゴジラ対キングコング(原題訳)」

そして、「キングコング」と「ゴジラ」の世界観に橋渡しをするのがこの政府の秘密組織「モナーク」メンバーということですね。今作でランダは死んでしまったので、髑髏島からの生還者であるサン、ブルックスに、コンラッドとウィーバーを加えて話が進んでいくのでしょうか?現実的な話、東宝やワーナー、ユニバーサルなどとライセンス関係が複雑に絡み合ってそうなので、頑張ってスケジュール通り実現してほしいです(笑)

【3月28日続報】
2019年の「ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ」では、2014年の「GODZILLA」に引き続き、芹沢猪四郎博士に渡辺謙の起用が決定しました。

また、ジョーダン=ボート・ロバーツ監督は、ジョン・C・ライリー扮するハンク・マーロウを主演とする今回の「キングコング髑髏島の巨神」のスピンオフ作品を構想中であることも明らかにしました。

どんどん「モンスターバース」の世界が広がっていきますね。今後が楽しみです。

7.映画パンフレットが超おすすめ!

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通常よりお値段は少し張りますが、今作は何と言っても映画パンフレットの出来が良い!おすすめポイントは「情報量の濃さ」です。通常のパンフに比べ、マニアのツボをつく徹底的なマニアックな解説が大盛り!

怪獣同士の派手なアクションの裏で、綿密に作り込まれた世界観や設定、トリビアや関連作品リストなど、余すことなくマニアックに掲載されています。僕は毎回美術館に行ったら図録や音声ガイド、映画ではパンフレットやノベライズ作品を楽しみにしているのですが、今回のパンフは今年No.1の出来栄えでした!是非購入してみてください!

8.まとめ

正直、この映画を見るまでは少し怪獣映画は苦手だったのですが、今作のしっかりした設定やストーリーの作り込み、過去作品へのリスペクトと新しいチャレンジのバランス感などが素晴らしく、普通に見て楽しい120分でした。本当に食わず嫌いはよくないなと感じました。

初回は時間の都合上2Dしか見れなかったので、もう1回3Dでガッツリ楽しんでこようと思います。お勧め!

それではまた。
かるび

他にもレビュー書いてます!
【映画レビュー】2017年3月現在上映中映画の感想記事一覧

9.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

映画ノベライズ「キングコング 髑髏島の巨神」

映画の公式ノベライズ作品。忠実にシナリオを再現するだけでなく、映画ではわかりづらかった各主要キャラの心情表現や省略された設定、背景のエピソードなどもしっかり描かれています。読んで非常に満足度の高かったノベライズ作品でした。

キングコング:髑髏島の巨神 メイキングブック

映画パンフレットだけでもかなり楽しめますが、このメイキングブックは、もう一段深く掘り下げて特集しています。各種怪獣やセットの設定、小物類や美術に至るまで詳細にそのビジュアル面を掘り下げて特集したファン垂涎の設定資料集でした。これを読むと、年々怪獣モノジャンルが進化していることがよくわかりました。

映画「地獄の黙示録」

今作は、年代設定やヘリコプターの爆撃シーン、主人公達の名前(「マーロウ」「コンラッド」)、精神性など、幅広く「地獄の黙示録」や、「地獄の黙示録」のさらに元ネタとなる19世紀末、イギリスのベストセラー小説「ハート・オブ・ダークネス(闇の奥)」の強い影響下にて製作されました。

「キングコング」「地獄の黙示録」「ハート・オブ・ダークネス」に共通する、西洋文明の住人が、未開の奥地に住む異文化の原住民で隠遁生活を行う西洋人に出会う物語構造に着目して、ルーツを辿ってみるのも面白いですね。

キングコングの過去作品は、まとめてU-NEXTで!

キングコングの過去作品が一番沢山見れるのは、U-NEXT!現在、評価の高い1933年、2005年の作品を含め、3作品が「見放題」!さらに、ゴジラ関連では最新の「シン・ゴジラ」以外の日米での32作品が全て「見放題」となっています。

★キングコング&ゴジラはほぼ全部見放題!f:id:hisatsugu79:20170326180429j:plainf:id:hisatsugu79:20170326180458j:plain

現在、僕はU-NEXT、Hulu、AmazonPrimeとオンデマンドサービスに3社加入しているのですが、キングコングやゴジラなどの怪獣映画はU-NEXTが一番品ぞろえが良く、オトクでした。

加入初月は無料。見放題以外の有料作品も、毎月自動的に付与される1000ポイントを使えば、3本まで無料で見れるようになっています。国内最大120,000点の品揃えは映画ファンにはたまりません!

今作で、怪獣映画の楽しさに惹かれた人は、お金を節約してガッツリ堪能できるU-NEXTがおすすめです!

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