あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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良著!『カフェのある美術館』はアートファン必読の美術館ガイドでした!

【2017年4月6日更新】

かるび(@karub_imalive)です。

美術館を本格的に回り始めて1年が経過しました。気がついたら早いもので、東京・南関東の美術館を中心に、旅行先に行ったものも含めて、去年は結局100展以上の展覧会を回りました。

これまでは、闇雲に「良さそうだな!」と思ったら、とりあえず何も考えずにお目当ての展示を目指して行ってみる!というスタイルで美術館にガンガン行っていました。

でも、最近は、雰囲気のいい美術館に行きたい!という要求が自分の中で高まってきています。展覧会って、結構消耗するんですよね。終わった後、ゆっくりとコーヒーを飲みながらくつろぐのも、展覧会の楽しみ方の一つなんだな、と実感する今日このごろ。

でも、「雰囲気のいい美術館」と言っても、ネットなどでHPなどを見て調べるのは限界があります。正直なところ、現地に行ってみないと美術館の良し悪しはよくわかりません。自分の住居近辺の南関東ならまだしも、それ以外の地域は、どこがオススメなのかもよくわかっていません。

そんな中、いつも覗かせて勉強させて頂いている美術ブロガーの大御所、青い日記帳のTakさん@taktwi)が出版した美術館ガイド「素敵な時間を楽しむ カフェのある美術館」が僕のニーズに合ったベストな1冊となり、かつ、内容も非常に素晴らしかったので、少し紹介してみたいと思います。

「カフェ」に着目したコンパクトな美術館ガイド

この本は、全国津々浦々の全ての美術館を網羅したいわゆる「図鑑的な」ガイドではありません。全国の数ある美術館の中から、特に、併設されている「カフェ」が素晴らしい25箇所の美術館を、東北~九州まで幅広くほぼ全国に渡って厳選したテーマ別ガイドです。

まえがきにはこうあります。

一昔前までの美術館のカフェは、おまけ的な存在でお世辞にもおしゃれな空間とは言えませんでした。ところが今ではカフェを目当てに美術館に行く人もいるほど、注目を集める場所になってきています。[・・・]俗世とかけ離れたある種の非日常的な空間でゆったりとした時間を過ごせることが、美術館の大きな魅力のひとつです。そこに素敵なカフェがあればその時間はさらに有意義なものとなります。せっかく美術館に行くのなら、そこにあるカフェでくつろぎながら感動を反芻する時間を持ちたいものです。

そうなんですよね。ここ10年ほどで、ようやく日本でも併設されたカフェやレストランのクオリティが一流と言える素晴らしい美術館が、かなり増えてきました。

このタイミングで、「カフェ」に着目した美術館ガイドの決定版が、いわば鑑賞者の代表である「アートブロガーの第一人者」の手によってまとめられた、ということに非常に意義があると思います。

素晴らしいカフェがある美術館は、良い美術館である

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(引用:MOA美術館HPより)

美術館に良し悪しなんてあるのだろうか?展示さえ良ければまぁハコは二の次でいいんじゃないか?・・・美術館を回り始めた時は、そう思っていたのですが、たくさん美術館を回るうちに、本当に良い美術館に出会った時に、衝撃を受けました。

例えば、山種美術館。渋谷から徒歩20分、汗だくになって丘の上に到着すると、美術館の中は別世界で、夏冬通して快適な館内に、本当に癒されます。鑑賞者に優しい照明、行き届いた音声ガイドサービス、SNSアップOKの写真コーナー、そして何と言っても落ち着いた雰囲気の優雅なカフェ・・・

あるいは、最近8年ぶりに訪問した箱根のポーラ美術館。国立公園の大自然と一体化した施設、地元の食材をふんだんに取り入れた料理に定評があるレストランに、ホッと一息つけるカフェが1つずつあり、森林浴を楽しめる整備された森の小道・・・。めちゃくちゃ癒やされます。

といった具合に、さすがにこれだけ闇雲に展覧会に行っていると、行く先々の美術館の良し悪しがわかるようになってきたのです。

良い美術館の定義は、人によって、いろいろな判断基準があると思います。僕が感じる「良い美術館」の条件のうち、一番外せない要素であると最近強く感じるようになったのが、「良いカフェが併設されていること」なんです。

試しに、思い返してみてほしいのですが、良いカフェを併設している美術館は、大抵カフェだけでなく、美術館全体の雰囲気も素晴らしいことが多いのではないでしょうか?

美術館を設計する際に、重要なのは、作品を展示・保存する優れた展示環境だけでなく、鑑賞者の満足もしっかり考慮されていることです。疲れた鑑賞者を癒やすスペースや、作品を鑑賞した後に、ゆっくり考えをまとめたり、見たばかりの作品について友人と語り合う空間が設けられていることは、良い美術館にとっての必須条件になってくると思うんです。

その受け皿となるのが、まさに「カフェ」であり、「レストラン」なのであり、ゆえに、優れた「カフェ」がある美術館は、例外なく鑑賞者の満足度を高めてくれる良い美術館だといえると思うのです。

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「カフェのある美術館」の3つのおすすめポイント

おすすめポイント1:最強のアートブロガーが監修した安心感

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(引用:Twitterプロフ画像より。フェルメール!)

アートファンや美術業界の人なら、知らない人はいないという、美術ブロガーの草分け的存在であるブログ「青い日記帳」主催のTakさん(@taktwi)は、普通に仕事をしながら、もう20年以上、コンスタントに月20件以上の展覧会に通い詰めるという、アートへの並外れた情熱を持った方です。

最近、「青い日記帳」経由で開催されるブロガー内覧会や、美術館ツアーに参加させて頂き、ちょくちょくお話する機会があるのですが、話をさせて頂くたびにその博識ぶりと知見の深さは身をもって体感しています。本来は天上人のような人なのに、何を質問しても、「あー、あれはねぇ・・・^_^」と気さくに即答で教えていただける素敵な方ですし!

そんなTakさんが、過去20年のキャリアの中で、自分の足で見て回り、全国から選びぬいた「カフェが素晴らしい美術館」を厳選したガイドブックなので、全面的に信用がおけるのです。

実際、この本の中で紹介されている幾つかの美術館には僕も足を運んでいますが、どれも素晴らしいな、と思った「当たり」ばかりでしたから。

おすすめポイント2:見やすいデザインと、優れた携帯性

こうしたガイド本の命は、結局は実用性だと思うんです。家でパラパラ見ながら、「今度はここに行ってみよう!」と思い立ったら、そのガイドを1冊持っていくだけで、美術館の概要や場所、連絡先、外観などが全部わかる、というのが理想です。

この本は、あまり欲張りすぎずに、全国25箇所(+おまけ)に掲載施設を厳選しているので、その分一つ一つの施設について最大5ページを割いて、フルカラーで贅沢に写真を満載し、美術館の魅力を最大限引き出しています。ベッドサイドに置いといて、寝る前などに今度はどこに行こうかな~などとパラパラ眺めてもいいですね。

写真が満載で読みやすい紙面f:id:hisatsugu79:20170221235103j:plain

また、A5で140ページ弱と、コンパクトにまとまっているので軽く、旅行先にも持っていくことができるのも気に入ったポイントです。

おすすめポイント3:美術館の紹介記事の確かさ

単に美麗な写真を撮って、それをうまく編集するだけなら、旅行会社のライターさんでもできると思うんです。美術館からもらった資料とかをコピペしてまとめればいい話ですから。

でも、このガイドブックの良いところは、実際にTakさんを始めとしたアートライターの取材陣が、丁寧に現地で体験した感想をベースに、

・この美術館は、館内・屋外を含めて何が見どころなのか
・見ておくべき代表的な所蔵作品や、美術館の専門分野は何なのか
・併設されるカフェのおすすめメニュー

これらの情報が、実にコンパクトに無駄なく収められているんですよね。このバランスの良さは、「るるぶ」や「まっぷる」のような旅行会社では出せないクオリティだと感じました。自信を持っておすすめできるポイントです。

まとめ

今回購入した「素敵な時間を楽しむ カフェのある美術館」で特集されている25箇所の美術館の中には、まだ僕も行ったことのない美術館がたくさんありました。今年は、地域芸術祭や旅行のついでに、各地域の美術館にも沢山立ち寄りたいと考えていますが、その時にこの本をお供にしたいと思っています。

素晴らしいガイドブックです。
全てのアートファンにおすすめの一冊でした。

【2017年4月6日更新】

先日、3月31日に「カフェのある美術館」発売を記念したトークイベントが、東京の「カフェ6次元」@荻窪にて開催されましたので、行ってきました。簡単ではありますが、その時のレポートもアップしましたので、もしよければチェックしてみてくださいね。 

それではまた。
かるび