あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と人事労務系の記事が多め。

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箱根のポーラ美術館はヤバい!コスパ最強のバスツアーで、ハイクオリティな展示を1日楽しめました!

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かるび(@karub_imalive)です。

年末に、いつもお世話になっている美術ブロガーの大御所Takさん(@TakTwi)から、「こんな企画があるけど、どう?」とお誘い頂いたとある美術展の企画がありました。 

題して、「ポーラ美術館新春ギャラリートーク駅伝バスツアー!」ということで、年末、行く直前にも「申込んだよ!」とブログに内容を書いたのですが、1月8日に実際に行ってまいりました。これが、非常に有意義で楽しいバスツアーでした!

せっかくなので、簡単ではありますが、以下にレポートを書いてみたいと思います。

1.ポーラ美術館ってどこ?どんな美術館?

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ただの観光地にある一見さん相手の適当な美術館とは全く違う、本格派の美術館!

ポーラ美術館って、その名前をどこかで聞いたことがある人は意外と多いんじゃないのかなと思います。なぜなら、るるぶやまっぷるなど、伊豆箱根熱海あたりの観光ガイドを開くと、必ず載っている、そこそこ有名な観光スポットでもあるからです。

観光地って、「オルゴール美術館」とか「ステンドグラス美術館」とか「トリックアート館」とか、「テディベアミュージアム」とかやたらとあるじゃないですか。都会の真ん中ではなく、なぜわざわざ伊豆、箱根、那須、蓼科、白馬、裏磐梯とかの観光地になきゃいけないのか、さっぱりわからないわけですが、天気が悪くてハイキングができなくて、仕方なくひまつぶしのために行ってみると、「あぁ、こんなもんだよね」とガッカリして帰ってくることもしばしばあったりするわけです。

僕も、正直な所、ポーラ美術館も、いわゆる観光地によくある一見さん相手の商売をするテキトーな美術館なのだろうと思って、長らく行ったことがなかったのです。

しかし、これが完全に誤解だったのですよね。食わず嫌いとはまさにこういうことなのでしょう。数年前、観光のついでに冷やかし気分で入ったのですが、その時に、完全に認識が間違っていたことを悟らされました(笑)もっと早くから行っておけばよかったと!この美術館は、ヤバいです!

<ポーラ美術館の公式動画「秋編」>

動画がスタートしない方はこちらをクリック

何がヤバいかっていうと、その保有する美術品のクオリティと物量です。主力の近代西洋絵画を中心に、ガラス細工、日本の洋画、日本画、服飾品、化粧品類、彫刻群と多岐にわたるコレクションは、実に10,000点近くもあるのです!

しかも、しっかり美術史の流れに沿って体系的に作品が網羅されているのもまたすごい。そんじょそこらの公立美術館なんかメじゃないくらい素晴らしい作品群を持っており、開放的な館内と、広々とした展示スペースでじっくりと見せてくれるのです。

そして、ガッツリ本格的な美術知識を有したプロの学芸員さんが、しっかりと内容のある企画展を考えて練り込んでいるのも素晴らしい。後述しますが、現在実施中の企画展「ルソー、フジタ、アジェのパリ」は、自らの保有コレクションを上手く活かしながら、非常に良く考えられた企画展で素晴らしかったです。

ポーラ美術館のなりたち

ポーラ美術館の開館は、2002年。今年で開館15周年と、まだ比較的新し目の美術館です。もう名前の通りわかると思いますが、美術館の創立者は、ポーラ化粧品の2代目社長、鈴木常司(1930-2000)です。美術館の落成2年前に、惜しくも他界しました。

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(引用:ポーラ美術館企画展「鈴木常司-美へのまなざし-」PDFより)

ポーラ美術館は、現在は鈴木常司の父親が興したポーラ・オルビスホールディングスからはその運営が切り離されて公益法人化されたため、万が一会社業績が悪化しても、モネやピカソ達の珠玉の作品群が流出していく恐れはありません(笑)

それにしても出光美術館やブリジストン美術館、山種美術館などを見ていると、今現在の日本におけるアート作品の充実ぶりは、こうした昭和の名経営者がかなりの私財を投じて収集してくれていたことが本当に大きかったのだなと思わされます。ポーラの鈴木氏もまた、日本の文化面における多大な貢献をした偉人でした。

惜しむらくは、遠い!箱根の仙石原はそうそう簡単には行けません

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所蔵するコレクションの質、量ともに申し分ない一流の美術館である、ポーラ美術館。しかしポーラ美術館には1点だけ決定的な弱点があるのでした。。。

それは何か?!

遠い!!

ということです。

いくら良い作品を有するとはいえ、さすがに毎月のように気軽に箱根の山中までは簡単に行けません・・・。同じ伊豆箱根でも、箱根湯本や熱海の駅前だったらまだしも、箱根山中の仙石原までは、さすがにきつい!

もちろん、箱根は観光地としてはかなり交通手段が整備されていますから、バス、タクシー、ロープウェーなど、頑張れば日帰りで行けるは行けるのですが、かなり時間をロスしてしまうわけです。

そこで出た企画が「バスツアー」

そこで、ポーラ美術館のスタッフの方が、美術ブロガー、Takさんと考えだしたアイデアが、「バスツアー」でした。御殿場のアウトレット往復便みたいに、ちょうど土日のイベントデーに合わせて企画されたのが、冒頭で紹介した「ポーラ美術館新春ギャラリートーク駅伝」バスツアーです。

僕も、年始の3連休はちょうど予定も空いていたので(と言うか無職なのでいつも開いているのですが・・・)これはいいな!ということで速攻で応募したのでした。

バスツアーの良いところは、何と言っても自分で運転しなくてもいいところ。座って寝ているだけで現地まで行ってくれるのは、非常に楽です。若いときは自分で車を運転するのも好きでしたが、車は手が塞がっていて拘束時間が長いのが難点なのですよね。

しかも、今回の参加費用は入館料・交通費コミコミで6,000円。渋谷からの高速代、ガソリン代、または公共交通機関での往復を考えても、3~4割安いかなという感覚です。

申し込んで期待して待つこと2週間。正月が明け、当日の朝を迎えました。

参加者は全部で29名。女性客が大半でした。大型バスを手配してくださっていたので、ゆったりと座ることができました。そして、申し込んだお客さんも全員集合時間の10時までに渋谷駅待ち合わせ場所へ集合し、早速出発です。

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高速も奇跡的に空いており、15分の休憩を挟んで、なんと到着したのはわずか90分後の11時30分頃。ポーラ美術館のPRを担当している添乗員さんの独自企画として、道中クイズ大会などで盛り上げて頂き、楽しく過ごしている内にあっさり到着しました。

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早速、館内に入ると、まずはセミナー室で企画展全体の紹介と、Takさん×学芸員さんの美術館裏話トークを20分ほど拝聴してから、あとは17時まで自由行動となりました。わざわざツアー参加者向けのために、ちょっとしたイントロダクションが用意されていたりするのは心憎い演出です。素晴らしい。

ちょうど、この日は朝10時から午後15時まで、30分刻みで学芸員さん10人による「ギャラリートーク駅伝」も開催されており、かつ雨天だったこともあり、お客さんは非常に多かったです。

この日、ポーラ美術館で開催されていた展示は、企画展1展に、常設コレクション展が5展。ものすごい物量です。

レストランや軽食スペース、物販コーナー、外の遊歩道などもあったのですが、天気が悪かったこともあり、室内の展示をしっかり全力でチェックすることにしました。

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2.この日の展示内容を駆け足で紹介

上述した通り、企画展1展と常設コレクション展5展のうち、5つまで見ることができましたので、順番に簡単に紹介したいと思います。

2-1.企画展「ルソー、フジタ、写真家アジェのパリ」

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20数年間、パリ市の税官吏を勤めるかたわら、日曜画家として描いた絵画群が後に高く評価されたアンリ・ルソー。海を渡り、エコール・ド・パリの一員として戦前大成功を収めた藤田嗣治(レオナール・フジタ)、そして後に「近代写真の父」と言われた、パリの風景を撮り続けた職業写真家、ウジェーヌ・アジェ。一見何の共通点があるんだと思わされるこの3人。

アンリ・ルソー「ムーラン・ダルフォール」
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展覧会では、この3人の画業・写真を丁寧に見ながら、この3人の意外な共通点として、3人が、急激に発展し続ける近代都市、パリの「郊外」に着目して作品を作り続けた点をクローズアップしています。

藤田嗣治「パリの城門」
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また、この3人だけでなく、パリの市内風景を描いた国内外の作家の作品も取り上げられていました。活動最盛期「白の時代」の作品が素晴らしいユトリロ、フォーヴィスムを経て、独自の「枯れた」作風にたどり着いたヴラマンクや、ヴラマンクの弟子だった佐伯祐三、里見勝蔵など、見どころ満載でした。

ユトリロ「シャップ通り」f:id:hisatsugu79:20170110233629j:plain

2-2.お宝満載、西洋絵画コレクション

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おそらく、ポーラ美術館のコレクションの中で、一番わかりやすく偉容を誇るのが、日本最大の19点のコレクションを誇るモネを筆頭に、ルノワール、ピサロ、ドガなどの印象派の絵画群でしょう。

この日、出展されていた絵画群の中でも、やっぱり一番の見どころはモネの絵画だったかなと思います。多産なモネの作品群の中でも、非常に目を引くクオリティの高い作品が多かったように思います。また、ポーラ美術館の看板娘「レースの帽子の少女」もしっかりとチェックすることができました。

ルノワール「レースの帽子の少女」f:id:hisatsugu79:20170110224325j:plain

ポーラ美術館と言えば、まずこの作品。出会えて良かったです。

モネ「サン=ラザール駅の線路」f:id:hisatsugu79:20170110224415j:plain

モネ「花咲く堤、アルジャントゥイユ」f:id:hisatsugu79:20170110224606j:plain

モネ「エトルタの夕焼け」f:id:hisatsugu79:20170110224656j:plain

2-3.新規収蔵品も多数!日本洋画のコレクション

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そして、明治期以降の日本人による洋画コレクションがこれに続きました。こちらも、有名な作家の作品が沢山あります。

去年の東京国立博物館での黒田清輝展でも出ていた、黒田清輝の「野火」。明治時代にこんな挑発的なポーズでよく作品発表できたな、とその大胆な構図に目が釘付けになる作品。

黒田清輝「野火」
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そして、こちらは新規収蔵品。額縁のデザインと合わせて、セザンヌの静物画のような絶妙なバランス感に見とれてしまいました。

里見勝蔵「洋梨と葡萄」f:id:hisatsugu79:20170110225510j:plain

そして、気になった作品をもう1点。佐伯祐三の「パリの市街地」以外を描いた作品の中では、この日見たこの「滞船」が一番気に入りました。

佐伯祐三「滞船」
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2-4.超貴重なトルクメニスタンの秘宝群

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そして、ハイライトは世界3大コレクションの一角と言われるトルクメニスタンの装身具コレクション。実に10年ぶりに収蔵庫から引っ張り出されて陽の目を浴びたそうです。学芸員の方は、「たまには天日干ししなきゃ」と冗談でおっしゃってました(笑)

まるでヨロイのパーツのような、全身を着飾るとかなり重たそうな重厚な銀細工は非常に興味深かったです。

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21世紀現在でも、なんと鎖国中のトルクメニスタン。経済・文化交流が殆ど無い中、箱根山中に素晴らしい装飾品が一式揃っているのはまさに奇跡としか(笑)

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ちょうど、僕が訪れた前日に、トルクメニスタンの民族衣装をまとったキャラクターたちの人気漫画「乙嫁語り」の人気コスプレイヤーさんを招いたイベントも実施されていたようですね。

2-5.ドーム兄弟の超絶技巧ガラス工芸

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そして、最後はガラス工芸。箱根といえば、ヴェネツィアン・ガラスで有名な「箱根ガラスの森美術館」、ルネ・ラリックのコレクションが充実した「箱根ラリック美術館」などかなり充実していますが、こちらのドーム兄弟の超絶技巧ガラス工芸もまた、素晴らしい名品揃いでした。

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20世紀に入り、アール・ヌーボーが一世風靡し、一足先に「アート作品」としてガラス工芸を手がけだした彼らのライバルであるエミール・ガレを追って、彼らの工房を挙げて超絶技巧作品を生み出していったドーム兄弟。

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写真にうまく撮りきれず、まったく魅力が伝わっていないのが遺憾なのですが^_^;その名作が数十点ドドドッと堪能できたのは非常に良かったです。是非実物を見てください!

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3.ポーラ美術館を1日回って気がついた良かった点

3-1.音声ガイドが完備されている

私立美術館で、なかなか企画展ごとに音声ガイドを完備している美術館が少ない中、ポーラ美術館では、日本語、英語と両対応した音声ガイドが完備されていました。しかも、常設展・企画展合わせて貸出料が400円と格安なのはありがたかったかも。

3-2.常設展示品は、写真撮り放題!

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自館のコレクション品の展示ということもあり、常設展示コーナーに限って、写真は撮り放題なのも嬉しいところ。ブロガーとしては、自分で撮影して、記事にアップできるというメリットは何よりのモチベーションの源泉になるので、これは嬉しかったです。

ポーラ美術館の珠玉のコレクション群を、遠慮なくバチバチ撮影させていただきました!

3-3.カフェとレストランがしっかり完備している

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ポーラ美術館では、館内にレストランとカフェの2店舗を店内に常設しているのも非常にポイントが高いと思います。

展覧会の記念にいただく「ミュージアム飯」は、その展覧会内容とともに、後々まで非常に記憶に残りやすいので、特別なんですよね。特に、その時食べたご飯が美味しければ言うことなし。僕も、時間に余裕が有るときは美術館内で積極的に飲食することで、展覧会を覚えておくようにしています。

特に、ポーラ美術館の周辺は、箱根国定公園内の山中ということで何もないため、こうしたレストラン・カフェの充実は非常にありがたいところです。今回は、時間がなかったため残念ながら味わうチャンスがありませんでしたが、次回来たときは必ずレストランに立ち寄らせてもらいます!

4.帰りは大雪に見舞われましたが、無事に帰れました

そして、17時に集合。まだまだ見ていたい!と思う中、美術館の外に出てみると、なんと予想外の大雪!!箱根山中以外は、普通に雨だったのですが、ピンポイントで箱根だけ大雪になりました。これはマイカーで来てたら大変なことでした。ノーマルタイヤだから、きっと下山できなくなったと思います。

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(引用:http://www.news24.jp/

しかし、そこはツアーバス、しっかりしています。最初からスタッドレスを装備済みで、箱根山中で立ち往生する車が続出する中、危なげなくスイスイ下山することができました。

箱根を出て、渋谷の解散場所に到着したのは20時過ぎとなりました。帰りはさすがに渋滞に捕まりましたが、それでも休憩時間を含めて3時間かかるかかからないかくらいでしたので、大満足であります。今回のツアー企画、本当に参加してよかったなぁとしみじみ噛み締めながら、自宅に帰ったのでした。

5.まとめ

ポーラ美術館バスツアーに参加してみて思ったのは、やっぱり現地に行って、やりたいことが決まっているのであれば、バスツアーはコスパ最強だなということ。圧倒的に楽です。大満足でした。よく、買い物だけのために東京の主要駅⇔アウトレット間の往復バスが人気を博しているといいますが、今回その理由がよくわかりました。

現地での美術鑑賞以外で体力の消耗を最小限に抑え、展示に集中できるバスツアー、今回は単発企画ですが、是非願わくば企画展ごとにイベント等と連動する形で再度やってほしいなぁと思いました。

次回展示は3月中旬から、「ピカソとシャガール展」とのことですが、是非時間を1日取って箱根に遠征してみたいです。

それではまた。
かるび

ポーラ美術館の基本情報

◯所在地
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山 1285
◯開館時間・休館日

9時30分~17時30分(入場は30分前まで)
年中無休、ただし、2017年3月4日~3月17日は展示替のため休館
◯公式HP

http://www.polamuseum.or.jp/
◯Twitter

https://twitter.com/polamuseumofart
◯周辺地図
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