あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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プラド美術館展(2018)は名作ぞろい!ベラスケスやスペイン絵画の巨匠作品を徹底解説!【美術展感想・レビュー】

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【2018年3月17日最終更新】

かるび(@karub_imalive)です。 

2018年上半期で、個人的に必ず見ておきたかった展覧会の一つ「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」がスタートしました!国立西洋美術館の広い展示空間を埋め尽くした迫力満点のスペイン絵画は、期待通りの珠玉の作品ばかりでした。

早速行ってきましたので、詳細な感想や見どころを書いてみたいと思います。

※なお、本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

1.プラド美術館展とはどんな展覧会なの?

▶プラド美術館展の公式紹介動画
※画像をクリックすると動画がスタートします


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「プラド美術館展」と聞いて、「あぁ、過去何度か見たことがあるよね」という熱心なアートファンの方もいらっしゃるかもしれませんね。というのも、「プラド美術館展」は、ここ20年ほど読売新聞社が継続的に企画してきた展覧会だからです。

例えば、過去では

2002年「プラド美術館展 スペイン王室コレクションの美と栄光」
2006年「プラド美術館展 スペインの誇り 巨匠たちの殿堂」
2011年「プラド美術館所蔵 ゴヤ―光と影展」
2015年「プラド美術館展― スペイン宮廷 美への情熱」

と、ほぼ4年に1回のペースで、毎回サブテーマを決めて様々な美術館で開催されてきました。特に、プラド美術館が保有する「小品絵画」に絞って開催された、2015年に三菱一号館美術館で開催された前回展は、まだ記憶に新しいところかもしれません。

▼前回2015年の展覧会ポスター
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そして、今回開催されるプラド美術館展は、サブタイトルに「ベラスケス」と入っている通り、スペイン絵画黄金時代を象徴する世界的な巨匠、ベラスケスの作品7点を軸に、ムリーリョ、スルバラン、リベーラ他同時代の著名な画家の作品群や、彼らに深い影響を与えたティツィアーノ、ルーベンスといったイタリア、フランドル絵画の巨匠たちの作品、約70点を紹介する大型の企画展となりました。

音声ガイドは及川光博が担当!

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そして、今回音声ガイドを担当するのは、タレント・俳優の及川光博さん。プラド美術館展の公式ホームページには、すでに7つも展覧会PR動画がアップされており、やる気満々です!(※ちなみに、会期終了までさらに3つ追加されるとのこと)

僕も行く前に全部チェックしましたが、毎回1分~2分程度の中で、展覧会の見どころや初心者でもわかる簡単な解説をしてくれているので、楽しく予習するにはピッタリでした。こういった予告動画って、映画ではよく見かけますが、アートの展覧会では非常に珍しく、画期的だったんじゃないかなぁと思います。ブログ内でも、いくつか貼っておきますので、もしよければチェックしてみてくださいね。

2.展覧会に行く前の予備知識を簡単に紹介!

さて、ここでは本展「プラド美術館展」をフルに楽しむための最低限の予習項目として

「プラド美術館とは?」
「ベラスケスって誰なの?」
「ベラスケスの絵画の革新性とは?」

という3点を簡単に説明しておきますね。最低限、このあたりを押さえておくだけで、本展をしっかり楽しめるようになりますから。

予備知識①:プラド美術館とは?

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ベラスケス門 (c) Museo Nacional del Prado

プラド美術館は、1819年、スペインの首都・マドリードにて開館しました。その前身は、18世紀後半、カルロス3世によって自然科学博物館として建設された建物でした。16世紀~17世紀のスペイン王室コレクションを核として、伝統的な西洋絵画を約7,000点保有する、世界でも屈指の大コレクションを保有する著名な美術館です。

スペイン絵画全盛期に活躍したベラスケス、ムリーリョ、リベーラ、スルバラン等の作品を中心に、ハプスブルクとブルボン両王朝が収集してきたイタリア・フランス・フランドル地方の巨匠たちの作品も多数保有しています。

▶及川光博が紹介!プラド美術館とは?
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予備知識②:ベラスケスって誰なの?

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引用:Wikipediaより

ディエゴ・ロドリゲス・デ・シルバ・イ・ベラスケス(1599-1660)は、西洋美術史上最重要の画家の一人です。国王フェリペ4世の家族をウィットに富んだ構図とメタファーを散りばめて描いた代表作「ラス・メニーナス」をはじめ、肖像画を中心に数々の名作を生みだしてきました。

生涯の総作品数は約120点と意外に少なめ。同時代の巨匠たちに比べるとかなりの寡作と言えます。20代半ばでフェリペ4世の宮廷画家として絶大な信頼を得てからは、宮廷内で出世を続け、壮年期~晩年にかけては、宮廷内の様々な政務を担当する中で多忙を極めたためと言われています。

予備知識③ベラスケスの絵画の革新性とは?

ところで大高保二郎・川瀬佑介著「もっと知りたいベラスケスー生涯と作品」によると、ベラスケスの絵画芸術には、3つの革新性があるとされています。

◯描く対象に向けたまなざしの「無差別さ」
階級・身分に関係なく、モデルと率直に向き合い、外見だけでなく、心の内面(人間性)までも鮮やかに浮かび上がらせた写実性
(例:「バリェーカスの少年」)

◯雰囲気のリアリズム
重要性や遠近に応じて、大胆に取捨選択された描写方法。印象派を先取りしたかのような、大胆で荒い筆使いや色彩のグラデーション
(例:「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」)

◯複数の視線と寓意を重層的に含んだ絵画空間
単なる写実性を超え、作品内に巧みに虚構性や暗喩的な概念を持たせ、徹底的に計算された構図やコンセプト
(例:「ラス・メニーナス」※本展不出展)

 

国内の展覧会では過去最多の7点が来日しているベラスケスの絵画作品。同時代の巨匠たちの作品と比較しながら、じっくり見ていきたいですね。 ちなみに、ミッチーの動画でも、さくっと「ベラスケスって誰?」っていうのをユーモアたっぷりに解説してくれていますよ!

▶及川光博が紹介!ベラスケスって誰?
※画像をクリックすると動画がスタートします


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3.「プラド美術館展」の5つのみどころ、内容を紹介!

見どころ1:とにかくデカい!選び抜かれた迫力あるスペイン王室コレクション!

まず、部屋に入ると驚かされるのが、とにかく一枚一枚の絵が「デカい」のです。中小規模の美術館では搬入することすら難しそうな大判の絵画群が、次から次へと現れてくるため、その大きさに圧倒されるんですよね。 

左:ジュゼペ・デ・リベーラ「聖ペテロの解放」
右:マッシモ・スタンツィォーネ「洗礼者聖ヨハネの斬首」f:id:hisatsugu79:20180305092104j:plain
左:1639年/右:1635年頃 共にマドリード、プラド美術館蔵

左:ジュゼペ・デ・リベーラ「女の戦い」
中:ジョヴァンニ・ランフランコ
「ローマ皇帝のために生贄を捧げる神官」
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左:1636年/中:1635年頃 共にマドリード、プラド美術館蔵

中には、この宗教画のように1枚でまるまる天井まで届きそうなものもありました!照明も程よく落とされ、荘厳な雰囲気の中で宗教画を味わえる贅沢な空間をぜひ味わってみて下さい。

▼フアン・バウティスタ・マイーノ「聖霊降臨」
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1615-20年 マドリード、プラド美術館蔵

また、大きさを活かしたユニークな作品もありました。例えば、下記の作品などはどうでしょうか?横一面に「ウォーリーを探せ」的なノリで無数の人物が描かれた作品です。

▼デニス・ファン・アルスロート
「ブリュッセルの
オメガングもしくは鸚鵡の祝祭:
 職業組合の行列」

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1616年 マドリード、プラド美術館蔵

また、「顔」だけを大きくクローズアップした、超巨大で奇抜な肖像画も印象に残りました。目の前に立つととにかくインパクトが凄いですよ。

▼ビセンテ・カルドゥーチョに帰属「巨大な男性頭部」f:id:hisatsugu79:20180305092704j:plain
1634年頃 マドリード、プラド美術館蔵

見どころ2:巨匠、ベラスケスの珠玉の7枚!

展覧会で展示されている約70点の作品のうち、特にしっかり足を止めてじっくり見ておきたいのが、ベラスケスの描いた珠玉の作品群です。何点か、僕の気に入った作品をこちらで紹介しておきますね。

▼ディエゴ・ベラスケス
「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」
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1635年頃 マドリード、プラド美術館蔵 © Museo Nacional del Prado

展覧会のポスターにもなっているバルタサール・カルロス王子が6歳の時の肖像画。離れた下方から見上げることを前提に、王子のまたがる馬の馬体が実物以上にボリューム感たっぷりに描かれています。また、背景に採用されたマドリード郊外のグアダラマ山脈の風景は、印象派のタッチを先取りしたような粗いタッチで描かれているのも見逃せないポイント!

大高保二郎・川瀬佑介著「もっと知りたいベラスケスー生涯と作品」によると、19世紀中盤で印象派のさきがけとなったエドゥアール・マネも、こうしたベラスケスの絵画を見て、

彼こそ、画家たちの画家なのです。彼は私を驚かせたのではなく、私を虜にしたのです。(1865年9月3日、マネのファンタン=ラトゥール宛て書簡)※「もっと知りたいベラスケス」表紙より引用

と激賞したのだとか。 

▼ディエゴ・ベラスケス「バリェーカスの少年」
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1635-45年 マドリード、プラド美術館蔵 © Museo Nacional del Prado

中世ヨーロッパの王宮では、一種の「癒やし」を求めるため、道化師や手足の不自由な「矮人(わいじん)」を側近として置く風習がありました。有り体に言うと、彼らは人間というより貴族にとってペットみたいな存在だったようです。宮廷画家だったベラスケスもまた、彼らを題材にいくつかの肖像画を残しましたが、そのうちの1点が来日しています。

他の作家たちと比べ、ベラスケスは必要以上に矮人をデフォルメしたり貴族の引き立て役として描いたりせず、見えた対象を見えたままリアルに描きました。そして、彼らの見せた一瞬の表情から、人間としての尊厳や品位、純朴さをきっちり写し取っているのが凄いのです。 

この1枚は本当に深い、考えさせられる作品でした。

▼ディエゴ・ベラスケス「東方三博士の礼拝」
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1619年 マドリード、プラド美術館蔵 © Museo Nacional del Prado

弱冠20歳のベラスケスが、修行時代に製作した初期の傑作。ベツレヘムの馬小屋で生まれたキリストを「礼拝」するために東方からやって来た博士たち、という伝統的な聖書の主題を描きました。聖母マリアは自らの妻:フアナ・パチェーコを、博士には自分自身や師のパチェーコを、そして、イエスには娘のフランシスカをモデルにしたと言われます。 聖人を神がかった大仰な存在として描くのではなく、敢えて卑近なモデルに置き換えて描くところに、実直なベラスケスらしさがしっかり出ていると感じました。

見どころ3:ベラスケスのライバル?!スペイン黄金時代を飾った巨匠たちの作品も!

スペイン絵画の黄金時代は、世界史の中でスペインが覇権を握っていた16世紀後半~17世紀とほぼ重複していますが、この時期には、ベラスケス以外にも多数の巨匠たちが活動しました。本展では、ベラスケスと同時代の作家の作品もたっぷり楽しめます。

▼フランシスコ・デ・スルバラン
「磔刑のキリストと画家」
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1650年頃 マドリード、プラド美術館蔵 © Museo Nacional del Prado

スルバランは、ベラスケスより少し先輩格にあたるスペイン絵画黄金時代を担った作家の一人です。色彩感を抑え、まるで彫刻作品のようにリアルに描いた磔刑にされたキリスト像。見ているだけでぐぐっと気が引き締まる思いがします。

▼ジュゼペ・デ・リベーラ
「聖ペテロの解放」
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1639年 マドリード、プラド美術館蔵 © Museo Nacional del Prado

明暗がはっきりした荘厳な宗教画を得意として、キャリア中期にイタリアへと渡り、死ぬまでスペインへと戻ることはなかったリベーラ。僕のイメージでは、どちらかというと「カラヴァッジョの後輩」だと思っていましたが、こうしてスペインの画家たちの作品群と並ぶと、全く違和感ありません。スペインらしさがしっかり感じられたのでした。プラド美術館でも、スペイン出身画家として、多数の作品を保有しているそうです。

▼バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
「小鳥のいる聖家族」
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1650年頃 マドリード、プラド美術館蔵 © Museo Nacional del Prado

本作は、聖書では示されないイエスの幼年時代の日常の一コマを描いた構図ですが、まず釘付けになったのが、イエスの父・ヨセフの大きな存在感とイケメンパパぶり!よくあるマリアとイエス・・・じゃなくて、ヨセフが主役で、マリアとイエスはこの絵では完全に脇役なんですよね?!

スペイン・バロック絵画においては、特にヨセフを慎み深く模範的な父親として描出することが多かったといいますが、本作を見て、自分もこんな父親になれているかなぁ(いやなれてない)となぜか反省したい気分になったのでした^_^;

見どころ4:「ボデゴン」というスペイン絵画独自のジャンル

▶及川光博が紹介!「ボデゴン」とは?
※画像をクリックすると動画がスタートします


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スペインでは、風俗画の一種として、静物画のことを「ボデゴン」と呼んでいるそうです。 主に飲食物と人物が一緒に描かれることが多かったのがスペイン静物画=ボデゴンの特徴です。スペインワインを飲んでると、よく『ボデガ・◯◯』とかっていうワイナリーの名前を冠した銘柄が出てきますが、この「ボデゴン」という言葉は、「ボデガ」=「酒蔵」に由来があるようです。

たとえば、この左の作品!

▼アレハンドロ・デ・ロアルテ「鳥売りの女」
(※右側はトマス・イエペス「卓上の2つの果物皿」1642年)
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1626年、両作品ともマドリード、プラド美術館蔵

広場の家畜を扱う露店で、少年がフードを被った女性の売り子からニワトリを買う場面を写し取った作品。画面を埋め尽くさんばかりに(あくまで食材として)描かれたトリたちと、人物が一緒に描かれていますね。庶民の慎ましい生活風景の一場面として非常に印象に残りました。

見どころ5:スペイン以外にも巨匠の作品続々!

フェリペ4世をはじめ、スペイン王室が収集してきたコレクションの中には、イタリアやフランドル地方の巨匠たちの作品も多数含まれています。特にフランドル地方の作家の作品が多いのは、この時代、同地方がハプスブルク家の統治影響下にあったことも大きいのだとか。

▼ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
「音楽にくつろぐヴィーナス」
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1550年頃 マドリード、プラド美術館蔵 © Museo Nacional del Prado

一時期、スペインの宮廷にも出入りしていたティツィアーノも、名作をいくつも残しています。本展では、名作「ウルビーノのビーナス」と構図が似た「音楽にくつろぐヴィーナス」という、オルガン奏者と一緒に描かれた作品が展示されました。我々鑑賞者を意味すると言われる、画面左に描かれたオルガン奏者の「目線」の方向が気になりました(笑)

▼ペーテル・パウル・ルーベンス
「聖アンナのいる聖家族」
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1630年頃 マドリード、プラド美術館蔵 © Museo Nacional del Prado

ルーベンスもまた、フェリペ4世統治下のスペインと関わりの深い画家でした。1628年、外交使節としてスペイン王宮を訪問した際、ルーベンスとベラスケスは出会い、親交を結んだそうです。実際、ルーベンスのアドバイスを得て、ベラスケスはイタリアへと絵画修業のため留学し、その後のキャリアで大きく画風を変化させています。

本展では、ルーベンスの良作が2作品来ています。2018年秋に上野で開催される「ルーベンス展」の予習としても、ここはじっくり見ておきたいところです!

4.洗練されたグッズコーナーは見どころたっぷり!

企画展示室を出て、エスカレーターで上がったところに設けられたグッズコーナーでは、他展よりも商品点数を絞り込まれ、厳選された商品群とスッキリしたディスプレイが印象的でした。

▼通常版と小型版の2種類用意された公式図録f:id:hisatsugu79:20180304021117j:plain

まず、これはいいな、と思ったのが、「通常版」と「小型版」の2種類が用意された公式図録です。今回の「通常版」は、作品点数は約70点と少なめながら、超大ボリュームで物凄いクオリティです。特に、冒頭から書き下ろされた約60ページもの論文は、くらくらするほど素晴らしかった(笑)

したがって、マニアならまず「通常版」を絶対買ってほしいところですが、とは言え、相当な重さがあるわけです。そこで、今回ダイジェスト版として用意された「小型版」が素晴らしかったのです。解説を簡略化し、ハンディサイズに縮められた「小型版」なら寝る前にベッド脇で気軽に読めます。これはなかなかいい配慮でした。

▼スペインワイン!
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そして、やっぱりスペインといえばスペインワイン!ポスターにも選ばれたバルタサール・カルロス王子の絵がラベルの展覧会限定赤ワインはおすすめです!レジ脇にはハモンセラーノ(生ハム)も置いてあるので、美術館を出たら上野公園で即飲めます(笑)

▼店長イチオシ!「トートバッグ」f:id:hisatsugu79:20180304021125j:plain
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そして、店長さんの一押しオススメだったのが、この数種類用意された、ベラスケスの絵画を拡大プリントした特製トートバッグです。メイドインジャパンでの安心クオリティ。縫製や丈夫さが、そのへんのオマケで無料で配られているものとは全く違いました。単なるお土産品ではなく、実用として長く何年でも使えるクオリティの高いトートバッグでした。特に、画家の筆触までクリアにわかる精巧なプリントもおすすめポイントです。

▼定番グッズももちろんあります!
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もちろん、マグネット、一筆箋、クリアファイル、チケットホルダー、絵葉書等、展覧会の定番グッズも一通りちゃんと揃っていますので、ご安心を! 

5.混雑状況と所要時間目安

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過去4回の展覧会では、合計180万人超を動員している実績のある「プラド美術館展」。いずれの回もかなりの来場者数を記録しているため、東京展に関して言えば、ゴールデンウィーク直前あたりから混雑するでしょう。ひょっとしたら、最盛期となるゴールデンウィークや、会期終了1週間前あたりは、相当混雑することも考えられますので、

・会期前半中に行く!
・夜間開館日を狙う!(夜桜もきれいだし)

このどちらかがおすすめです!是非早めにチェックしてみて下さい!

6.関連書籍・資料などの紹介

本展に関連する書籍では、上記で紹介した「図録」が素晴らしい出来なのですが、それ以外の副読本となると、以下の2点がダントツでおすすめです。2冊とも実際に買ってみましたが、展覧会で特集されているベラスケスやスペイン王室が収集したコレクションの中核となった画家たちについて深く学べる良書でした。

ダントツで読みやすい!「ベラスケスとプラド美術館展の名画」

わかりやすさでは、本書がNo.1でした。本展と完全に連動する形で新たに編集・出版されたムック本なので、展覧会で出展されている作品が明示されているのが何よりも嬉しいところ。また、さまざまな図解やイラストで、簡潔にベラスケスやプラド美術館の保有する作品群について解説してくれているため、特に初心者・入門者に優しい作りになっています。

東京美術社の定番ムック!「もっと知りたいベラスケス」

そして、もう1冊オススメしたいのが、東京美術から出版されている定番の「もっと知りたい~」シリーズ。ムック本の形式をとりますが、内容は硬派で中級者~上級者でも納得の情報量・クオリティが確保されているのが嬉しいところ。特に、本展を監修したスペイン近世絵画のスペシャリスト、国立西洋美術館・主任研究員の川瀬佑介氏が執筆しているのは頼もしいです。

ベラスケスの生涯を時系列でたどりながら、その画業や画風の変遷、代表作品を一つ一つ丁寧に解説してくれています。今回の展覧会に来ていないベラスケスの代表作「ラス・メニーナス」「ブレダの開城」「教皇インノケンティウス10世」「アラクネの寓話」など、体系的に網羅されているため、これ1冊あればベラスケスについてはガッツリ学べます!

7.感想・まとめ

実は、今回の展覧会で初めてベラスケスをはじめとしたスペイン絵画の巨匠たちの作品をじっくり深く見ることができました。僕自身の思い込みとして、16世紀~17世紀頃のマニエリスム~バロック期は、イタリア・フランス・オランダ(フランドル)以外はあまり見るべきものはないのかなと勝手に決めつけていたのですが、それは全くの浅はかな誤りでした^_^;

今回の展覧会で出展されている、ベラスケスを始めとした最盛期のスペインの巨匠たちのハイレベルな作品群を見て、もっと深くスペイン絵画について学びたいなと思うようになりましたし、じっくり絵画を見ることによって体系的な知識を身につける機会にもなりました。

代表作「ラス・メニーナス」をはじめ、ベラスケス作品約120点のうち約4割を保有するプラド美術館が、一度に7点以上のベラスケス作品を海外に貸し出すことは非常にまれなこととされています。今回の展覧会では、その上限とされる「7点」が厳選されて日本に来ているのです。これって、凄いことですよね?ベラスケス作品がこんなにまとまって1つの企画展で見れる機会は今後めったに無いと思われます。是非、この機会を見逃さずに国立西洋美術館に足を運んでみてくださいね。面白いので、ミッチーの動画で予習もぜひ!

それではまた。
かるび

展覧会開催情報

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「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」
◯美術館・所在地
国立西洋美術館
〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7
◯最寄り駅
JR上野駅下車(公園口出口)徒歩1分
京成電鉄京成上野駅下車 徒歩7分
東京メトロ銀座線、日比谷線上野駅下車 徒歩8分
◯会期・開館時間
2018年2月24日(土)~5月27日(日)
午前9時30分~午後5時30分(入館は閉館30分前まで)
※毎週金・土曜日:午前9時30分~午後8時まで
◯休館日
毎週月曜日
※3月26日(月)と4月30日(月)は開館
◯観覧料
一般1600円/大学生1200円/高校生800円
※中学生以下無料
◯公式HP
・国立西洋美術館HP
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2018prado.html
・展覧会専用特設ページ
http://prado2018.yomiuri.co.jp

◯Twitter
 https://twitter.com/prado_2018

 ◯巡回先
兵庫県立美術館
2018年6月13日(水)~10月14日(日)