あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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「読む」箱根駅伝!箱根駅伝を10倍楽しむ書籍(ガイドブック・新書・小説・マンガ)を一挙紹介!

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【2016年12月31日最終更新】
かるび(@karub_imalive)です。

さて、今年も箱根駅伝の季節がやってきました!毎年、実家でゴロっとしながらダラダラみつつ、4日以降は往路・復路ともに自宅で録画した映像をえんえんと1月末頃まで復習する毎日です。

でも、僕にとって一番面白いのは、駅伝本番が始まる前の順位予想やオーダー予想なんですよね。誰が何区を走って、区間賞は誰が取るのか、往路はどこが優勝するのか?そのあたりを考える時間が実に楽しいです。また、12月になると、毎年箱根駅伝に関する様々な関連書籍も一斉に各社からリリースされますので、これを一通りチェックするのもマニアとしてはまたたまらない作業なのです。

このエントリでは、箱根駅伝をより楽しむための関連書籍について、「読む箱根駅伝」というコンセプトで、今年リリースされたものを中心に、僕のおすすめを紹介していきたいと思います。

それでは早速行ってみましょう。

1.駅伝監督本

箱根駅伝では、毎年のように11月末頃から、有力大学の監督が「監督本」をリリースします。マニアとしては、これをチェックするのが非常に楽しいのです。その学校の監督じゃないと知り得ない現役・OB選手の素顔や、選手の育成方法、チームの指導法などが満載ですから。

ここでは、特に僕が読んで面白かったな、と思った監督本を紹介したいと思います。

1-1.「勝ち続ける理由」原晋@青山学院大学

昨年度は、出雲・箱根を制し、今年もここまで出雲・全日本を連勝して3冠に王手を掛けた青山学院大学。マスコミ向けの露出が増え、さらにビッグマウスが冴え渡る原監督ですが、本業を決して疎かにせず、さらにその指導の方法論に磨きを掛けていることがよくわかる一冊。2015年~2016年に青学がどう動き、何を強化してきたかもかなり詳細に書かれており、まさに勝者の余裕を感じさせる本でした。

別エントリでもレビューしていますので、もし良ければこちらもご覧ください。

この記事もいかがですか?
【書評】原晋「勝ち続ける理由」/青学が強くなった理由が惜しみなく公開された良書!

 

1-2.「駅伝・駒澤大はなぜ、あの声でスイッチが入るのか」大八木弘明@駒澤大学

駒沢大学といえば、監督車から聞こえてくる強烈な「だみ声のハッパ」が箱根駅伝の風物詩となった、有名な大八木弘明監督。しかし、この本を読み解くと、そのマイルドヤンキーで強面の風貌とは裏腹に、選手に寄り添い、住み込みで緻密で的確な指導を継続していることがよくわかります。長年、結果を残し続けている大八木監督の「原点」がわかる本です。

1-3.「その1秒をけずりだせ」酒井俊幸@東洋大学

部員の起こした不祥事の責任を取って急遽退任した前任の川嶋監督の後を引き継いで、すぐに箱根で結果を出した酒井監督。山の神・柏原竜二~設楽兄弟で箱根駅伝を席捲した黄金時代に出版されました。現役時代は三流選手だった酒井監督が、基本を大切にした丁寧な指導と大胆な抜擢で東洋大を常勝軍団に育て上げた手腕がまとめられています。当時まだ無名だった口町くんのスナップ写真での幼い笑顔が素敵(笑)

1-4.「「脱管理」のチームづくり」岩本真弥@世羅高校

2007年以降、チーム指導で徹底したスポ根的指導をやめ、「脱管理」にカジを切った世羅高校の岩本監督。従来から180度変化させた、生徒の「自主性」を信じた指導方法が身を結び、2015年の高校駅伝で男女アベック優勝を果たすまでのプロセスを振り返ります。世羅高校OBである青学の原監督との対談も見どころ。

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2.ガイドブック

ここ数年、毎年のようにガイドブックが各社から出てきますが、特に今年はガイドブックが非常に充実しています。今年も、すべて目についたものだけで5冊買いましたが、中でもこれは良かったな、というガイドブック上位3誌を紹介したいと思います。

2-1.「箱根駅伝 公式ガイドブック2017」

月間陸上競技の増刊号で、箱根駅伝の公式ガイドブックという位置づけです。時期的には各大学の出走候補者エントリー16名が確定してからの掲載のため、1冊だけ購入するならこれが一番良いと思います。詳細なコースガイドも役に立ちます。ただし結構売り切れがちなので、ネット書店になければリアル書店で入手するしかないかも。

2-2.「箱根駅伝2017 完全ガイド」

陸上競技マガジンの増刊特集号。大学駅伝特集ムックを季刊ペースで出しているだけあって、各大学への取材の精度の高さと学生のキャンパス内での練習風景写真、各大学戦力分析はこのガイドが一番。ライターの分析記事も詳細で、読み応えがあります。おすすめできるガイド本。

2-3.「箱根駅伝2017 出場20校名鑑」

他の特集ムックより一回り小さいB5サイズの週刊誌版で白黒ベースですが、カタログとしての利便性に加え、名鑑以外にコラムが29本もあり、読み物としての面白さが際立ちます。500円とダントツに安いですし、複数買うなら2冊めはこれがいいかも。

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3.箱根駅伝論評本・ノンフィクション

スポーツ記者や熱心なライターが書いた箱根駅伝についての論評・分析本、ドキュメンタリーにも読み応えのある書籍が多いです。最近は主に「新書」形式が多く、忙しい社会人でもサラッと読めるものが増えてきていますね。内容は、競技のあり方の是非を問うもの、マラソン競技と絡めた分析、詳細なレース分析、駅伝選手達のエピソード、サイドストーリーを集めたドキュメンタリー、歴史本など、とにかくバラエティに富んでいます。ここでは、特にここ2~3年僕が読んだ中で、これは良かった!と思う論評・分析本を紹介したいと思います。

3-1.新・箱根駅伝

「世界に通用するマラソン選手を育てる」その大義名分の下、往路の山登り最終5区が最長区間23.2Kmになってから、過去11回中、5区で区間賞を獲った大学が7回優勝するなど、事実上「山を制する大学」が箱根駅伝を制してきました。2017年度から、5区が第81回大会までの20.8Kmになり、その分4区が18.5Kmから20.9Kmへと増えることになりました。

本書では、そのコース距離変更の影響による箱根の戦い方・見どころや、有力選手の動向などをじっくり論じています。著者、酒井政人氏は、実際に箱根駅伝経験者でもあり、個人的に一番信頼している書き手なので、出版された時速攻で購入しました。

3-2.箱根駅伝ナイン・ストーリーズ

2000年代中盤から、毎年のように箱根駅伝に関する書籍を出版してきた生島淳氏が2015年秋に出版した箱根駅伝のサイドストーリー。力の抜けた、でもちょっと切なくなるエピソードは、何度も読み返してしまいました。こちらも、過去にブログで書評を書いていますので、もし良ければご覧ください。

この記事もいかがですか?
【書評】箱根駅伝 ナイン・ストーリーズ ちょっと切なくてあたたまる小話が詰まってました

 

3-3.駅伝がマラソンをダメにした

2016年現在、箱根駅伝は、陸上長距離選手にとっての「甲子園」みたいな存在となっています。長距離ランナーのほぼ全員が、箱根駅伝にあこがれ、箱根で走ることを陸上人生の第一目標に置きすぎることで生じる様々な弊害について問題提起した著作。割と脇の甘い論調で、タイトルの過激さから賛否両論がありましたが、箱根駅伝の是非について正面から問うた力作だと思います。やや古くなりましたが、駅伝ウォッチャーなら外せない一冊。

3-4.駅伝日本一 運命のたすきをつなげ

一介の公立高校に過ぎなかった西脇工業高校に赴任した渡辺監督が、学内で駅伝チームを立ち上げ、チームを高校駅伝で日本一に導くまでのプロセスを追った短いドキュメンタリーの書籍化。マンガみたいな展開の実話に、読んでいて胸が熱くなります。

3-5.第93回箱根駅伝~熱き戦いの軌跡~6強と青山学院包囲網!

箱根駅伝のファンで、毎年Kindleで本を出版するほどマニアックに分析し、箱根を語り尽くすのが好きな堤智樹氏。区間別のコース紹介と、大学別の分析、当日の予想オーダーまで、コンパクトにまとめられています。Kindle Unlimited加入者は、無料で読めますよ!

4.箱根駅伝についての小説

箱根駅伝人気が高まるにつれて、ノンフィクションだけでなく、小説でも優れたものが沢山出版されるようになりました。小説は大学だけでなく、中学や高校モノもかなり多いですね。

4-1.「冬の喝采」/黒木亮

大学2年から駅伝競技を始め、箱根駅伝を早稲田の名物監督、中村清監督の下で、世界の瀬古と一緒に走った著者が、ランニングに明け暮れた大学時代を自伝的に綴る長編小説。スポ根はマンガだけの世界ではなく、リアルにあったんですねぇ!世界の瀬古を鍛え上げた鬼監督の罵声や奇人ぶりも見どころ(笑)駅伝競技中の臨場感や、主人公の心理表現は、競技経験者ならではの鬼気迫るものがあります。Kindle Unlimited加入者は上巻が無料で読めます。

4-2.「チーム」/堂場瞬一

箱根駅伝で毎年予選落ちしたチームからの選抜メンバーを集めた「学連選抜」チームに着目して描かれた小説。予選会から本番までの「学連選抜」チームに関わる人達の心境と、最初完全にバラバラだった個人個人が、監督の指導の下、次第にチームとしてまとまっていくプロセスが見どころの傑作です!

4-3.「駅伝激走宇宙人」/つるみ犬丸

「山中鹿介」という戦国武将のような名前の宇宙人が幼馴染の駅伝チームに助っ人として参加するぶっ飛んだ設定は、青春小説なのかSFなのかよくわからないジャンル。でも、特殊能力もチートもハーレムもなくて、純粋に高校生が駅伝競技で切磋琢磨する姿を描いた地に足のついた展開は、以外にも駅伝ファンの心をつかむ良作でした。

4-4.「あと少し、もう少し」/瀬尾まいこ

2017年に「僕らのごはんは未来で待ってる」で映画化も決定している瀬尾まいこが描く、中学生の駅伝青春ストーリー。メンバー集めから始まり、力を合わせて地区大会突破を目指すところまでを、キャラの個性豊かに瀬尾まいこが描きました。これも映像化に向いた作品かも。

4-5.「駅伝ランナー」/佐藤いつ子

駅伝好きの父親から半強制的(?)に駅伝競技に巻き込まれ、やがて駅伝の魅力に引き込まれ、箱根を目標にして成長していく主人公の走哉を中心に、小中学生の揺れやすい心情を描いた傑作。現在、3作目まで継続している人気シリーズ。おすすめ!

4-6.「陸王」/池井戸潤

行田の地下足袋を手がける中小企業が、新規事業としてランニングシューズを作りに乗り出す物語。大手からの嫌がらせや経営危機を機転と工夫で乗り越え、足の故障に悩む元箱根駅伝ランナーと開発を進めて、プロジェクトを成功させる、池井戸節が冴え渡る勧善懲悪もの。「下町ロケット」ランニングシューズ版です。おすすめ!

5.箱根駅伝マンガ

5-1.「足の裏のイーリス」

月間ヒーローズで連載され、単行本発売がギリギリギ2017年の箱根駅伝に間に合った本作。中学3年生で身長144cmと伸び悩みんだ主人公、園田 学が、これで陸上最後の挑戦と決めて臨んだ中学最後の記録会で1位になったことをきっかけに、仲間を見つけて駅伝の素晴らしさに惹かれて高校駅伝で開花していく(であろう)青春ストーリー。これからが楽しみな新作!

5-2.「ハコネのネコハ」

高校時代、箱根駅伝に魅せられた太一が、扁平足を治して晴れて、あこがれの葉山先輩が活躍する城海大学駅伝部へ「一般組」として入部し、箱根駅伝本戦出場を目指す青春ストーリー。実力差を埋めようと、オーバーワークでたびたびダウンする太一。なかなか浮上のきっかけをつかめない中、「扁平足」の治療の副産物として、人と違う太一の筋肉の付き方が意外な活路につながっていきます・・・。

5-3.「TRUST!」

前作「マラソンマン」で好評だった井上氏が描いた駅伝モノマンガ。長距離ランナーの両親から受け継いだ才能はあるが、その一方で病気で思うように走れない主人公、颯の駅伝青春ストーリー。惜しくも打ち切りとなりましたが、熱いストーリーでした。

5-4.「かなたかける」

自身も箱根ランナーだった高橋しん氏の最新作。都会からの転校生桜庭かなたが、仲間とともに駅伝を目指すストーリー。年内で小学生編が終了し、今後大学まで続いていく大河的な長編になりそうです。

5-5.「風が強く吹いている」

三浦しをん氏の原作小説をマンガ化した作品。膝の故障でくすぶっていた灰二が、天才ランナー、カケルと出会い、本格的に箱根駅伝を目指すストーリー。作画レベルも高く、マンガならではの表現力で、作品の魅力を引き出しています。映画化もされて、話題になりましたね。只今絶版になっており、せめて電子書籍化してほしいところです・・・

5-6.「奈緒子」

波切島の野生児、壱岐雄介と、東京から引っ越してきた篠宮奈緒子を中心とした、陸上ものヒューマンドラマ。短距離から始まり、駅伝、マラソンとオールラウンドに超人的な活躍を見せる壱岐雄介の現実離れしたバケモノぶりは思わず笑ってしまいますが、(マラソンを2時間2分で走るとか!?)長く続いただけあって、話はやや重いですが、このジャンルでは一番のデキだと思います。こちらも、電子書籍化が待たれるところ。

5-7.「サブテン」

試合でのケガで投げられなくなった失意の野球少年が、新たに高校駅伝で全国出場を目指して頑張る青春ストーリー。テンポも作画も良かったのに、2巻で打ち切りとなってしまう残念な展開ですが、個人的には楽しめた作品でした。電子書籍でサクッと2巻完結で読めるおすすめ作品。

まとめ

毎年12月になったら、なんだかんだで駅伝関係の書籍を大量に買っていたら、いつのまにかマンガ、小説、新書と、かなりたまってきました。今まで読んだ中で、個人的にこれは良かったな、と思った箱根駅伝関連書籍をまとめておすすめとして紹介しましたが、興味を持てそうなものがあれば、是非手にとって見てくださいね。
それではまた。
かるび 

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