あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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【ネタバレあり徹底解説】映画「ミックス。」 レビュー・感想と10の疑問点を考察!/笑って泣ける!大人向けの王道スポ根ラブコメ作品!

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【2017年11月4日最終更新】

かるび(@karub_imalive)です。

10月21日に公開されたスポ根恋愛コメディ映画「ミックス。」を見てきました。昨年のTBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の特大ヒットで、俳優としても別格の雰囲気が漂ってきた新垣結衣をフィーチャーした話題作です。

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、後半部分でストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承ください。できれば、映画鑑賞後にご覧頂ければ幸いです。

1.映画「ミックス!」の予告動画・基本情報

▶映画「ミックス。」公式予告動画
※画像をクリックすると動画がスタートします


動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】石川淳一(「エイプリルフールズ」他)
【脚本】古沢良太(「エイプリルフールズ」ドラマ「リーガル・ハイ」他)
【配給】東宝
【時間】119分

本作でメガホンを取ったのは、フジテレビ系列で数々のドラマ演出を手がけてきた石川淳一監督。映画をへ進出したのは、2015年「エイプリルフールズ」についでこれが2本目と、意外にもキャリアは浅め。

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引用:卓球ラブコメを面白く [来阪catch] - 大阪日日新聞

だからなのか、今作でも監督としての強烈な作家性はあまり感じられません。良くも悪くも、フジテレビがこれまで手がけてきたTVドラマのようなノリの映像・演出です。それなりのクオリティの作品を、手堅く作る職人肌的な監督なのでしょうか。

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引用:画像・写真 | 古沢良太 『エイプリルフールズ』インタビュー  | ORICON NEWS

その代わり、今作で非常に色濃くでているのは、脚本家、古沢良太氏の作家性です。これでもかとばかり出てくる沢山の豪華キャスト陣、細部まで「伏線回収」に気を配る堅牢な脚本、そして時代や作品の空気にぴったりあったコメディセンスなど、本作は、これまで古沢良太氏が手がけてきた映画・ドラマの中でも、彼の個性が最前面に押し出された作品となりました。

僕は、公開後2週目に見に行ったのですが、平日昼間であるにもかかわらず、小学生(多分遠足とか参観日の代休)から中高年まで幅広い客層で、かなりのシートが埋まっていたのにはちょっとびっくりしました。最終的な興行収入は20億前後を見込めるといれれており、邦画ではこの秋最大のヒットになりそうですね。

2.映画「ミックス。」人物相関図・主要登場人物・キャスト

人物相関図

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引用:Oricon.co.jp

古沢良太脚本作品では、ドラマ・映画を問わず、とにかく驚くほど多くの登場人物が入り乱れる展開になることが多いです。今作でも、パッと見てこれだけの人物が次から次へと話の筋に絡んできます。できれば、見る前に簡単にでもいいので相関図を頭に入れておいたほうが良いでしょう。

主要登場人物

富田多満子(新垣結衣)
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引用:「ミックス。」TVCM ~オールスター編~ - YouTube
映画「恋空」で女子高生の凄絶な青春時代を演じたガッキーも、気づいたら来年30歳。しかし、相変わらずアイドル的な破壊力抜群の笑顔は健在です。今作では決して優等生ではなく、変なコスプレや変顔も披露してくれますが、だからこそたまに見せる破顔一笑なスマイルが映えています。「逃げ恥」の大成功後初めてとなる映画作品は、見事に大ヒットとなりました。

萩原久(瑛太)
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引用:「ミックス。」TVCM ~オールスター編~ - YouTube
映画「殿、利息でござる」、映画「土竜の唄香港狂騒曲」など、最近出演している作品での演技の振り幅が大きく、マルチな才能を発揮する瑛太。今作はどことなくキムタク風の哀愁漂う、犯罪歴のある元・プロボクサー。どこか表情に陰りがあったり、セリフに毒のあるキャラクターを演じさせると本当に上手ですね。なお、現在公開中の主演作品「リングサイド・ストーリー」では、プロ格闘家と言う設定ですが、元卓球選手という経歴なのも面白いです。

吉岡弥生(広末涼子)
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引用:「ミックス。」予告 - YouTube
映画で見たのは本当に久々ですが、率直な印象では「年取ったな・・・」という感じ。ただ、加齢を逆手に取って、元ヤンキーの土着性とか人懐こさを見事に演じきったプロ意識が感じられて、画面を通して抜群の存在感が伝わってきました。夫の前で無理やり作った窮屈そうな良妻ぶりも見どころです。

江島晃彦(瀬戸康史)
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引用:「ミックス。」予告 - YouTube
爽やかなイケメンでありながら、芯がなく、恋人も行き方も周りに流されがちな本作での瑛太の恋のライバル役。設定が軽すぎて、後半で何を言っても本気で言っているように聞こえません(笑)現在大ヒット中の映画「ナラタージュ」でもちょっとだけ出演中。

小笠原愛莉(永野芽郁)
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引用:「ミックス。」予告 - YouTube
春休み映画「ひるなかの流星」では現役女子高生として恋に悩む主人公を熱演してヒット、そして2018年上半期の朝の連ドラ小説「半分、青い」でも主演に抜擢されるなど、2017年は快進撃が続きました。「ピーチガール」に続いて、2作連続で割りとストレートな「悪役」系での配役です。

落合元信(遠藤憲一)
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引用:「ミックス。」予告 - YouTube
よく強面で・・・と紹介されますが、最近ではドラマ「ドクターX」シリーズでのバカっぽい外科副部長役を筆頭に、「土竜の唄」シリーズなど、コメディ・リリーフ的なオジサンの役が増えている印象。映画「妖怪ウォッチ」の人面犬も強烈でした。最近では役者のリストに名前があると、ついどんな役か期待して見てしまいます(笑)

楊(蒼井優)
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引用:「ミックス。」予告 - YouTube
一昔前のステレオタイプ的な中国人をオーバーアクションで熱演した蒼井優。練習シーンの「チョレイ~~~」「立てこのゴミクズ!」が最高でした(笑)個性的な悪女役を主演として務めた映画「彼女がその名を知らない鳥たち」が同日公開となった裏で、このマンガ的な配役です。器用ですよね~。しかも、映画を監修した卓球コーチの指導でメキメキ腕前を上げ、コーチからは「もし小学生からやっていたら、日本代表クラスになれたかも」とお墨付きをもらったのだとか・・・。

その他、田中美佐子、小日向文世、真木よう子、吉田鋼太郎、生瀬勝久、池上季実子、など、チョイ役・脇役で、他の作品ならそれぞれ単体で主演を張れる主力クラスの俳優が惜しげもなく投入されています。

3.途中までの簡単なあらすじ

富田多満子(新垣結衣)は、元天才卓球少女だった。有名な卓球選手として活躍し、引退後は自ら地元に立ち上げたフラワー卓球クラブを経営していた母・富田華子(真木よう子)から英才教育を受けたのだが、多満子はどうしても卓球が好きになれなかった。そのため、母がガンで他界すると、多満子は高校・大学と普通の学生時代を送り、OLとして横浜の会社に勤めながら普通の幸せを願っていた。

会社に卓球部が創設されると、入部してきたのは幼いときから憧れだった江島晃彦(瀬戸康史)。二人は程無くして付き合うことになったが、その半年後、新入社員として卓球部に入部してきた美人卓球選手、小笠原愛莉(永野芽郁)に江島を寝取られてしまった。

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引用:「ミックス。」予告 - YouTube

失意の中、田舎へ逃げ帰り、無気力でどん底だった多満子は、幼い時からのクラブの常連、吉岡弥生(広末涼子)に促されるままフラワー卓球クラブの臨時コーチを務めることになった。母の存命中は隆盛を誇ったクラブも、15年後、在籍者はわずか5名に減ってしまっており、クラブの存続も今や風前の灯火だった。

しかし、江島と愛莉の仲良さそうな姿に発奮した多満子は、クラブの仲間に「全日本選手権へのミックス・ダブルスでの出場」を提案し、再びクラブを盛り上げようと呼びかける。しかし、急仕上げで臨んだ1回目の日本選手権神奈川県予選大会は、全員1セットも取れずに敗退することになった。

多満子は、元・プロボクサーで、妻と別居中の萩原(瑛太)とコンビを組み、2年目の巻き返しを図って猛練習を開始した。萩原との出会いは、電車の中で最悪のシチュエーションとなったが、二人は公私ともに絆を深めていく。果たして、フラワー卓球クラブは奇跡の全日本選手権本戦出場を勝ち取ることができるだろうか?

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4.映画「ミックス。」の感想・評価

ベタな王道スイーツ映画的展開だけど、大笑いできて泣ける良い作品!

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引用:「ミックス。」予告 - YouTube 

本作を見終わって思ったのは、決して優等生的なキャラ作りではないものの、新垣結衣のアイドル的な可愛さが丁寧にクローズアップされた、オーソドックスでわかりやすい王道恋愛スポ根映画だったなーということ。

最初から最後まで、ストーリーの状況説明から主人公の心情まではセリフで全部ベタベタ説明されますし、映像的なひねりや作家性・個性はあまり感じられません。映画と言うより、TVドラマの2時間もの長編特番や、三木孝浩監督の得意とするスイーツ恋愛映画寄りの作りだったかなと。

逆に、作家性の強い作品が好きな目の肥えた映画ファンからは「これ、わざわざ映画にする必要あるの?」「TVドラマでいいじゃん」等々、いかにも文句を言われそうな感じだな~というのが客観的な感想でした。

・・・。

・・・。

でもね、個人的には結構楽しめたし、面白かったんですよね。

何が良かったかというと、ベタな演出だけど、「大笑いできて泣ける要素もある」という点で、「笑い」と「涙」の落差で感情を大きく揺さぶられる作品だったことなんですよね。見終わった後、いろんな感情をいっぺんに味わい尽くして、「あー映画見たなぁ~」と程よくカタルシスを得られる作品でした。スッキリしましたよ(笑)

キャスト陣のお祭り的無駄遣いが凄い

本作はベタなスポ根&恋愛の王道アイドルコメディ映画ですが、この作品をTVドラマではなく「映画」たらしめている一つの要素としては、「馬鹿みたいにゴージャスな俳優陣の起用」が挙げられます。上記に掲載した「人物相関図」を見ていただいてもわかりますが、まず、出演者の大半が、他のドラマや映画では、普通に「主演クラス」を張れる豪華キャストばかりであるということです。

例えば、女優を例に取ってみると、主演:新垣結衣の回りを固めるのは、広末涼子、蒼井優、永野芽郁、田中美佐子、真木よう子、etc・・・。この人達って、他の映画では普通に「主演女優」として「キレイ」な役で出た実績がある人ばかりですよね。

それなのに、この「ミックス。」では誰もがクセのある三枚目的な描かれ方で「落とされ」、主演の新垣結衣の引き立て役に回ります。

例えば、蒼井優の演じるテンプレ的中国人とか、やたら厚化粧でケバい永野芽郁、もともとの性格を10倍くらいきつくしたようなスパルタママの真木よう子、品のないマイルドヤンキーな広末涼子など。。、下手したら俳優としてのイメージが変わりかねないリスクもある崩され方です。

男優陣も、吉田鋼太郎、遠藤憲一、小日向文世、生瀬勝久など、50代後半以上の超ベテランが揃いも揃って変なキャラばっかりやらされてます(笑)

このように、120分間、清々しいまでに実力派俳優を3枚目に貶して、どっかんどっかん濃いキャラを立てて画面を埋め尽くしたのは、映画ならではの「祝祭感」が感じられて、凄く良かったです(笑)

新垣結衣のいつもと違う多彩な表情が楽しめた映画!

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引用:「ミックス。」特報2 - YouTube

今作を見る前までは「20代後半、地味なOLが無職になる、彼氏なし」っていう設定を見て、「これって逃げ恥とキャラ完全に被ってるよね?二番煎じ?」っていうのが率直な感想でした。でも、映画を見てみたら、実際はかなり違っていました。

女子力が高く、家事や料理が完璧だった「逃げ恥」とは違い、今作で演じる多満子は卓球から引退した15年間、料理も家事も仕事も不器用で中途半端。卓球に替わる「普通」の意味や感覚がつかめず、自分の居場所をずーっと探し続けている感じのキャラクターです。

ここでも古沢良太は容赦ないですね。ガッキーのキラースマイルはちゃんと残しつつも、それは決めポーズに温存され、決して連発はしてくれません。その代わり、脚本に沿ってこれまでの新垣結衣のイメージを壊しかねないコスプレや顔芸を、惜しげもなく披露させます。恐らくもう2度とやらないだろうと思われる貴重なショットも多数ありました(笑)

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この中のどれがガッキーなのか全くわからない
引用:「ミックス。」TVCM ~テンション編~ - YouTube

極めつけは、これ。オカマコーチ、ジェーン・エスメラルダとの対戦中、「しゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃ~」って言いながら顔芸を披露するシーンですが、さすがに本人も「これってやる意味あるのかな」と戸惑ったそうです(笑)


via GIFMAGAZINE

多満子の成長と恋が成就するラストシーンは涙なしでは見れませんでした

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引用:「ミックス。」特報1 - YouTube

ガッキーの「アイドル顔」以外の様々な表情が楽しめる本作ですが、それでも最後はきっちり涙と感動で締めくくってくれました。

母親の行き過ぎた英才教育により、すっかり卓球のことが嫌になった多満子。その反動で、卓球とは関わりのない普通の人生を探すものの、生来不器用な多満子は、何をやっても中途半端で回りから浮いてしまいます。

中学生で「卓球」から離れ、それ以降ずーっと漂流したまま、自分の生き方が定まらなかった多満子にとって、人生を教えてくれたのはやっぱり「卓球」だったんです。全日本神奈川予選の決勝で、皆の期待を背負って江島・愛莉ペアとの決勝戦を戦う中で、無心になって極限まで集中した時、試合のマッチポイントにさしかかり、多満子は初めて自分の人生がどうあるべきなのか気づきます。

クライマックスの多満子のモノローグで、多満子は「私が輝くのは、周りを照らすため・・・みんなを輝かせるため・・・そうでしょう?」と、自分の心の中の母親に語りかけました。自分自身のあるべき姿がようやくわかった瞬間でした。そして、自分らしくあるためにも、目の前のパートナー、萩原と一緒にいることが必要なんだ!とわかった瞬間、彼女の10年以上にわたる苦悩は終わりを告げました。

僕もそうでしたが、人生において自分のやりたいことや、自分の存在意義がわからなくて、自分探しをする人ってものすごく多いですよね。旅に出たり、修行をしたり・・・。でも、往々にして多満子のように、本当に大事なものは、案外目の前に落ちているのかもしれません。

多満子の場合、それは紛れもなく「卓球」が教えてくれたのでした。

卓球の「球(たま)」にかけて「多満子(たまこ)」と名付けられた子供は、卓球を通して「くの人をたす」存在になったのですね。実は、この世に生を受け、母親から名前をもらった時から、多満子の歩むべき道はすでに決まっていたのです。素敵な話ですよね。思わず感動してしまいました。

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5.映画「ミックス。」をより楽しく味わうための10の疑問点・トリビア~伏線・設定を徹底考察!~

本作をより深く楽しむため、ストーリーや設定のポイントや、トリビアについて、もう少し深く考察してみました。内容上、映画を1度見終わった人向けのコンテンツとなりますので、ここからはネタバレ要素が強めに入ります。予めご了承下さい。

疑問点1:フラワー卓球クラブが目指した「全日本卓球選手権」とはどんな大会なの?

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引用:全日本卓球2017 | 天皇杯・皇后杯 平成28年度 全日本卓球選手権大会

全日本卓球選手権とは、実在する卓球の全国大会の名称です。正式には「天皇杯・皇后杯 平成28年度全日本卓球選手権大会」と呼ばれ、毎年1月中旬の7日間、東京・千駄ヶ谷の東京体育館で男女別シングルス、ダブルス、男女混合ダブルスの試合などが行われます。

その出場権を得るための予選は、各都道府県別で戦われ、映画内では「神奈川県予選」を2度戦うことになりました。最近は空前の卓球ブームということもあって、1月の全国大会の観客者数は毎年うなぎのぼりだということです。来年、見に行ってみようかな。

疑問点2:タイトル「ミックス。」の意味とは?

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引用:「ミックス。」予告 - YouTube

本作の映画タイトル「ミックス。」は、直接的には男女ペアで交互に打ち合う、卓球の「男女混合ダブルス」競技のことを指しています。

でも、それ以外にもこの映画を象徴するような言葉として、重層的に意味付けがされている秀逸なタイトルなんですよね。

例えば、本作では2時間のドラマの枠内に大量の登場人物が出演し、主演の二人を中心として、多様な人間模様が混じり合った群像劇として成立しています。そういう意味で、「ミックス。」とは、個性的でキャラの立った人々が、一つの大きなストーリーの中で影響しあい、成長していくその人間模様を端的に表した言葉としても解釈できそうです。

それ以外にも、この映画で扱っているコンテンツが、「コメディ」「スポ根」「恋愛」と、様々なジャンルをミックスしたバランスの下で製作されているという自己言及的な意味合いもありますね。

疑問点3:キャスト陣は、映画内で本当に卓球をプレーしているの?

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引用:映画パンフレットより

もちろん、卓球台を行き交う大半の白球シーンはCGで処理されています。試合中のラリーは、細かく割ったカットを編集でつないで、玉を打っているようにCGで補足的な処理をしています。

ただし、映画中での彼らのラケットの振り方や持ちから、動き方などの動作は(玉は打っていないとしても)コーチの指導の下、きっちり選手らしい動きを模していますし、特に蒼井優や瑛太などは上達が早く、実際に玉を打ったカットをそのまま採用しているシーンもそれなりにあるようです。

ちなみに、今作で起用された撮影監督、佐光朗氏は、邦画で有名な卓球映画「ピンポン」(2002)の撮影も手がけ、同年のアカデミー賞優秀撮影賞を受賞しています。今作では、15年前のノウハウを活かして、非常にスピード感あふれるリアルな質感の競技シーンが製作されました。

疑問点4:多満子の父は何をしている人なの?母との馴れ初めは?

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引用:「ミックス。」特報1 - YouTube

多満子の父は、亡き妻、華子から「フラワー卓球クラブ」の経営を引き継ぎつつ、メインの生計は個人タクシー運転手として立てています。非常に雑ですが、友人の連帯保証人となったことで、一応借金がある設定でした(笑)

ノベライズによると、亡き妻、華子との出会いは、華子が若い頃、神奈川で催されたある全国大会で遅刻しかけた時、会場の最寄り駅から抜け道を駆使して会場入りを間に合わせたことが最初の縁となりました。その後食事に行ったことをきっかけに、二人は結婚して、多満子が生まれたのでした。

疑問点5:四川料理店「楊々苑」の中国人、張と楊ってどんな人なの?

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引用:「ミックス。」予告 - YouTube

張と楊は、元々は中国のナショナルチームに所属したエリート選手でした。しかし内部競争に破れ、強化指定を外れたことから卓球に見切りをつけ、日本へと渡ってきて田舎町で中華料理店を開いたのでした。ノベライズの設定によると、二人は料理店を経営する傍ら、宇宙工学を学ぶため日本の大学院へと通っていて、いずれは本国へ帰って研究者になりたい・・・という設定になっています。(現実には、留学ビザではアルバイトぐらいしかできないはずですが・・・^_^;)

疑問点6:落合夫婦には、一人息子がいた?

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泣きながら必死で食らいつく落合夫婦
引用:「ミックス。」予告 - YouTube

映画オリジナルの設定として、落合夫婦にはかつて亡くなった、健くんという、卓球部だった高校生の一人息子がいました。(死因は明かされていません)落合夫婦が卓球を始めたのは、一人息子を失った悲しみを乗り越えるため、無念の死を遂げた息子の思いに応えるためだったのでしょう。(ちなみに、ノベライズでは子供がいないのは同じですが、子作りに励む落合夫婦のコミカルな様子が描かれます)

疑問点7:広末涼子がドラマで髪を赤くするのは実は2度目?

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ドラマ「聖者の行進」土屋ありす役(1998年頃!)
引用:http://www.tbscontents.com/en/program/whenthesaintsgomarchingin

日本選手権の大会開始前、広末涼子が演じる弥生が、トイレでヤンキーだった若い時の髪型に戻して気合を入れるシーンがありました。妙に既視感があるな・・・と思ったら1998年のTBS系TVドラマ「聖者の行進」での不良少女役を思い出しました。この時も、髪を赤く染めていたんですよね。

暴力描写のあまりの激しさに、当時スポンサーだった製薬企業が、放送途中でスポンサーを降りるなど、当時話題となった野島伸司脚本の大ヒットドラマです。の当時、髪を赤くして不良少女を演じた広末涼子は、かなり話題になりましたね。

疑問点8:途中で出てきたオカマの卓球コーチの正体は?

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引用:「ミックス。」予告 - YouTube

物語中盤にワンシーンだけ出てくる、謎のオカマファッションの男は、ジェーン・エスメラルダという名前の卓球コーチです。生瀬勝久が自ら手を上げて配役を希望したそうです・・・。映画では、彼女は卓球教室を経営していることになっています(笑)

ノベライズでは、ジェーン・エスメラルダは、駅前商店街のゲイバー「モンロー」のママを務めており、まだ男性だった若い時、国体で卓球選手として出場した経験もあったと説明されていますね。

疑問点9:当初は幻の必殺技を繰り出す予定だった?


引用:Amazon.co.jp

短時間で大量のキャストのキャラクターを引き立たせるため、多少強引なコメディ演出も目立った本作ですが、当初脚本では、必殺技を繰り出したり、幻の魔球を打つシーンも考えられていたとか。

それを裏付けるように、10月30日にKindleで発売された脚本の付録では、最終稿からカットされた多満子と萩原の修行シーンが収録されています。山中奥深くのロッジに住む卓球仙人を訪れた多満子と萩原は、謎の老人から、相手のコートでバウンドが変わり、ネットへとバックスピンがかかる魔球を繰り出すサーブを教わるのです。もし現実に映像化されていたら、結構笑えるシーンになっていたかも・・・(笑)

疑問点10:映画に出演していた現役の卓球選手が出演していた?

今回驚きだったのが、卓球の現役トップ選手たちがちょっとずつカメオ出演していたこと。卓球協会、ブームに乗って普及活動に本気出してきたな・・・と思って見ていました。出演者は全部で6人でしたが、映画パンフレットで出演シーンとともに紹介されています。中でも、石川佳純の可愛さは異常ですね、、、ガッキーと並んだオフショットで全然負けてないような気がします。個人的には、「チョレイー!!」の掛け声で一躍有名になったの張本くんを出してほしかったかなと思います。

▼吉村真晴&浜本由惟(弥生&優馬ペアとの対戦)
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引用:映画パンフレットより

写真左側の吉村真晴は、2017年のドイツワールドカップの混合ダブルスで、石川佳純と組んで優勝した選手ですね。

▼木造勇人&伊藤美誠(落合夫婦ペアとの対戦)
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引用:映画パンフレットより

▼水谷隼&石川佳純(江島の出たパーティシーン)
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引用:映画パンフレットより

6.映画パンフレットはガッキー推し全開です

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僕は、見た映画は全て無条件でパンフレットを購入する主義です。(パンフレットのクオリティは映画本編とあまり関連性がないのも面白いのですが・・^_^;)

今作は、やっぱり「ガッキー推し」っていうのがパンフレットからもよくわかりますね。ラメ加工の入った表紙・裏表紙や、写真満載の作り、競技ルールについて初心者でもわかるような説明があったり、小学生でもわかる親切設計+ガッキーを120%味わえる作りになっていました。

▼映画内の印象的な写真がたっぷり!f:id:hisatsugu79:20171104222123j:plain

▼初心者向けに、徹底的にわかりやすいルール説明も!f:id:hisatsugu79:20171104222158j:plain

Amazonでも買えるようになっているようなので、一応、リンクを貼っておきますね。

7.まとめ

難解さは全くないものの、無駄なシーンがなく、純粋に笑って泣ける、王道スポ根恋愛映画に仕上がった本作。子供から大人まで安心して幅広く楽しめる作品となりました。脚本家、古沢良太のコメディセンスが爆発した佳作だと思います。おすすめ!

それではまた。
かるび

8.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

小説「ミックス。」ーお仕事小説の名手が手がけた贅沢なノベライズ作品ー

今回のノベライズを担当するのは、山本幸久氏。単なる修行中の2流作家ではありません!山本氏は、主にライト文芸に近いタッチで、軽妙なノリのお仕事小説でスマッシュヒットを飛ばしている現役バリバリの実力派です。

さすがというか、他作品とはクオリティの違う本格的なノベライズに仕上がりました。これは文句なくおすすめ!ストーリーの大筋は同じですが、詳細はかなり独自色の強い味付けがなされていて、読み応え抜群です。映画では描ききれなかった卓球の技術論や人間関係の描写も掘り下げられており、映画と一緒に楽しめる素晴らしいノベライズ!

脚本「ミックス。」

映画「ミックス。」の最終稿がKindle化して出版されました。これは映画ファンとしては結構嬉しいかも。早速購入しました。現場ではあまり脚本に手を入れず、各役者や制作陣が、脚本を尊重し、忠実に演技をしていることがよくわかります。ラストで上述しましたが、おまけとして、最終稿前に切られた笑える未収録シーンも納められています。物語の構造や伏線・設定が細部まで把握できるので、よりディープに味わってみたい人におすすめです。

現在Huluで脚本家、古沢良太の手がけた作品がたくさん配信中!

これまでも、笑いと涙で感情が揺さぶられる、極上のエンタテイメント映画作品の脚本を多数手がけてきた古沢良太。現在、各社配信サービスの中では、Huluが一番古沢作品を多数扱っています。

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今作「ミックス。」以外にも、過去の名作がたっぷり味わえるHuluで、お試し期間を使って気軽に「無料」でチェックしてみてはいかがでしょうか。

★最初の14日間は無料!

僕は、今回映画公開前に上記作品を見返して復習するなど、Huluにはかなりお世話になりました。登録後最初の2週間は無料で視聴できるので、無料期間中に見てしまえば、実質タダで見れますよ!

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