あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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音声ガイドで上坂すみれのロシア愛が聞ける?!プーシキン美術館展の意外な見どころを紹介します!

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かるび(@karub_imalive)です。

2018年は、西洋美術展の当たり年なんでしょうか。次から次へと力の入った展覧会が開かれており、あれこれ本当に目移りしてしまいます。(とはいえ結局全部行くんですが・・・^_^)

たとえば、上半期で見ると現在開催中の「史上の印象派展 ビュールレ・コレクション」(国立新美術館)「プラド美術館展」(国立西洋美術館)「ブリューゲル展」(東京都美術館)など、どれも非常に素晴らしい展覧会揃いです。 

そんな中、4月14日からまた新たに一つ、西洋美術ファンなら絶対に見逃せない大型の企画展「プーシキン美術館展」がスタートするのです。

詳細は、4月14日以降、展覧会の感想レポートをアップする予定ですが、待ちきれない感じなので、少し事前に調べた範囲で見どころを紹介してみたいと思います!

※なお、本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

プーシキン美術館展とは?

ロシアには、エルミタージュ美術館、ロシア美術館、トレチャコフ美術館など、国際的にも有名な美術館がいくつもありますが、プーシキン美術館もそのうちの一つです。

プーシキン・・・というのは、ロシアの地名ではなくて、19世紀に活躍した、ロシア史上最高の詩人・作家の一人とされるアレクサンドル・プーシキンの名前から取られているのですね。

▼プーシキン美術館f:id:hisatsugu79:20180327234714j:plain
引用:Wikipediaより

プーシキン美術館の特徴は、なんと言っても非常に充実したフランス絵画のコレクションです特に印象派、ポスト印象派の絵画群の充実ぶりは世界的にも有名です。

実は、日本でプーシキン美術館展が開催されるのは2005年、2013年に続いて今回が3回目なのです。毎回、少しずつサブテーマを変えながら実施されてきましたが、今回は、サブタイトルに「旅する風景画」とあるように、「風景画」特集です。

約10万点の所属作品の中から、17世紀~20世紀のフランス近代風景画65点が厳選されて来日する予定で、絵画を通してヨーロッパ各地の様々な風光明媚な風景をじっくり味わっちゃおうと言う企画展なのです。

▼ルノワール「ジャンヌ・サマリーの肖像」f:id:hisatsugu79:20180327234908j:plain
引用:Wikipediaより

さて、前々回の展覧会では、マティス「金魚」が、前回はルノワール「ジャンヌ・サマリーの肖像」が目玉でしたが、今回のプーシキン美術館展のは一番の目玉作品は何なのでしょうか?

今回の目玉作品はこれ!モネ「草上の昼食」

モネやルノワールら、印象派の画家たちの精神的な支柱だったエドゥアール・マネ。彼が1863年のサロンに出品し(※結果は落選)、西洋美術史に残る歴史的な問題作となった「草上の昼食」という作品をご存知でしょうか?

▼エドゥアール・マネ「草上の昼食」f:id:hisatsugu79:20180327235024j:plain
引用:Wikipediaより

今となってはどうということのない普通の油絵に見えますが、1863年当時、「現実の裸体の女性」を絵の中に堂々と登場させるのは、大変画期な試みであり、センセーショナルな反響を生んだのです。

この作品に触発されて、若きモネが描いた作品があったんですね。それが今回出品されるクロード・モネ「草上の昼食」です。とりあえずヌードの婦人は絵の中にいませんが(笑)、映画に出てきそうな上流階級の貴族たちが優雅に郊外で食事を楽しむ図が非常にまぶしい絵画に仕上がっています。モネが26歳の時に描かれた作品でした。

▼クロード・モネ「草上の昼食」1866年f:id:hisatsugu79:20180327234211j:plain
© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

その他の注目作は?

プーシキン美術館の一番の強みは、印象派・ポスト印象派の絵画群だと言われますが、今回の展覧会では、17世紀~20世紀に至るまで、様々な時代で活躍した巨匠たちの風景画がバランスよく出品されています。むしろ、サンプルとして公開されている画像を見る限り、典型的な印象派絵画はそれほど多くなく、「風景」をテーマとして、フランス近代絵画史を俯瞰するようなイメージでしょうか。ちゃんと1点1点観ていけば、かなり勉強になる感じです。

たとえば、こんな感じの作品が出ています。

▼ユベール・ロベール「水に囲まれた神殿」1780年代f:id:hisatsugu79:20180327234243j:plain
© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

いつ見ても古代ローマ、ギリシャ神殿風の廃墟の建物をモチーフとした風景画がすばらしい17世紀フランスを代表する風景画家ユベール・ロベール。僕の大好きな作家の一人です!

▼アルフレッド・シスレー
「霜の降りる朝、ルーヴシエンヌ」1873年
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© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

もちろん、典型的な印象派の作家もきっちり押さえられています。のどかな田舎の風景を描く名手・シスレーの作品。いつ見ても和みます。

▼アンリ・ルソー「馬を襲うジャガー」1910年f:id:hisatsugu79:20180327234302j:plain
© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

パリにいながらにして、熱帯のジャングルを描いた作品。緑一色の中、真ん中で得体の知れない動物を捕食した白馬にどうしても目が行きますね。ところで馬って肉食でしたっけ・・・(笑)不思議な絵です。是非実物をもっとしっかり観たい!

▼アンドレ・ドラン「港に並ぶヨット」1905年f:id:hisatsugu79:20180327235357j:plain
© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

後期印象派からフォーヴィスムへと移行期にあるアンドレ・ドランの風景画。印象派からさらに色使いが自由奔放になり、人物や物体の大きさ、遠近法も大きく歪んでいます。 

大のロシア好き、声優・上坂すみれの担当する「音声ガイド」が要注目!

僕は毎回美術展に行くと、必ずと行っていいほど音声ガイドを借りることにしているのですが、今回の音声ガイドは最強に期待できそうなのです。

なぜなら、今回のナビゲーターは、贅沢な二人体制だからです!!

美術館に足を運ぶ40代~60代のアートファンには、水谷豊さんの渋いナレーションでがっちり心をつかみつつ、声優の上坂すみれさんを起用して、従来のアートファン以外にも幅広くアピールしていこう、という戦略でしょうか。

役割分担としては、水谷さんが各作品の解説を担当し、上坂さんがロシアやプーシキン美術館に関するコラムを担当しているのだそうです。その収録分数は、他の展覧会で収通常収録される25分~35分を大きく越えて、約1時間程度の超大ボリュームとなっているらしいです。これは聴き応えありますね?!

▼上坂すみれさん収録風景f:id:hisatsugu79:20180328001936j:plain

実は、今回、上坂さんの音声ガイドの収録現場を少しだけ覗かせて頂き、収録後のインタビュー現場も拝見したのですが、上坂さんのロシア愛、ソ連愛はハンパなかったです。

「ロシアのアヴァンギャルド芸術が好き」
「ソ連時代のプロパガンダポスターが好き」
「ロトチェンコの作品やマヤコフスキーの詞が好き」

と、ロシア・ソ連関係の話になったら、マニアックな話が止まらない上坂さん、さすがでした。(というか結構予習していったにも関わらず、ロシア・ソ連関係のトークになると、高度すぎて話についていけなかった・・・^_^;)

また、モネ「草上の昼食」には、

こういう柔らかい陽射しが当たる、「針葉樹」ではない森っていうのが、ロシアではすごく少ないんですよね。だから、この作品を買った人は、こうやって上着を脱いでゴロゴロできるなんていいなーって感じてたと思うんです。また、女性のお洋服なんかもすごくかわいくて、当時の人々の遊びの楽しさがすごく伝わってくる感じが良かったです。

と、ロシア人コレクターがなぜこの作品を購入したのか、ユニークな分析が非常に印象的でしたし、同様に、ルソー「馬を襲うジャガー」に対しても、

このルソーの絵(「アンリ・ルソー《馬を襲うジャガー》」を指して)も「青空」とか「緑」とか「熱帯」とか、ロシアではなかなか見られないようなものにあこがれてコレクターが買ったんだろうなって思えるんです。こういった、ロシア人がなぜこの絵を気に入ったんだろうか?という背景が感じられる作品が、特にオススメです!

と、徹頭徹尾「ロシア人目線」の観点からお気に入りの絵画を熱く語っていたのが印象的でした。(またロシア大好きな上坂さんが言うと、妙に説得力があるんですよね)面白い視点を持っているんだなぁ~と、本当に感服いたしました。

▼ロシア愛があふれていたインタビュー
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そして、上坂さんファンにも満足できるように、通常のコラム以外にも、個性大爆発のマニアックな「シークレットコラム」も用意されているとのこと。どんな内容になっているのか、期待して待ちたいと思います。

まとめ

関係者のご厚意で、アート関連の音声収録現場に同席させていただいたこともあり、今回は特に「音声ガイド」が期待できそうなプーシキン美術館について、見どころを簡単にまとめてみました。開幕まであと2週間ちょっとに迫ったプーシキン美術館展。音声ガイドとともに展覧会を回るのが今から楽しみです。

それではまた。
かるび

関連書籍の紹介

時空旅人増刊「プーシキン美術館展」

公式図録とは別に、プーシキン美術館展のスタートに合わせて、「時空旅人」から特集本が発売される予定です。展覧会に出品される絵画と連動して印象派についてじっくり掘り下げてくれているようなので、副読本としてぴったりかも。

DVDボックス・プーシキン美術館

プーシキン美術館の保有する代表的な芸術作品を、4枚のDVDに収めたDVD-BOX。合計260分超収録されていますが、定価19,440円→3,998円と、元値の約8割引きで買えるので、非常にお得。今後もたびたび日本でプーシキン美術館展が開催される(かもしれない)ので、永久保存版として抑えておくのもいいかもしれません。

展覧会開催情報

◯展覧会開催場所・所在地
東京都美術館
〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
◯アクセス
・JR「上野駅」公園口より徒歩7分
・東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」7番出口より徒歩10分
・京成電鉄「京成上野駅」より徒歩10分
◯会期・開館時間
2018年4月14日(土)~7月8日(日)
9時30分~17時30分(入館は閉館30分前まで)
※毎週金曜日は20時まで
◯休館日
毎週月曜日(※ただし4月30日は開室)
◯観覧料
一般1600円(1400円)/大学生・専門学校生1300円(1100円)
高校生800円(600円)/65歳以上1000円(800円)
※カッコ内は団体料金・前売料金
※前売は、4月13日(金)まで販売中
※中学生以下無料
◯公式HP
・東京都美術館HP
 http://www.tobikan.jp/
・展覧会専用特設ページ
http://pushkin2018.jp/

◯Twitter
 https://twitter.com/pushkin2018