あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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宇宙と芸術展@森美術館は、宇宙好きの人に幅広く楽しめる良い展示会でした!

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かるび(@karub_imalive)です。

夏休みになって、各地で子供から大人まで楽しめる色々な展示会が活発に開催されていますね。僕もいくつか行きましたが、7月30日に開幕された森美術館での「宇宙と芸術展-かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボー」が、出色の出来でした。科学、美術、歴史、エンターテイメントを融合させたような総合的な展示会として、非常に印象深かったです。今日はこれについて書いてみたいと思います。

1.混雑状況と所要時間目安

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僕が行ってきたのは8月4日です。会期5日目で始まったばかりでしたので、結構空いていました。

夏休み中で、同じ森美術館の敷地内で開催されている「ジブリの大博覧会」が並んで混雑しているのとは対照的。会期が2017年1月9日(月)までのロングラン開催であることも影響していると思います。冬場までは多分余裕で入れるでしょう。

展示品はそこまで多くはないですが、体験型コンテンツや動きを楽しむインスタレーションが多く、じっくり見ようと思ったら2時間は確保したほうがいいと思います。僕も終盤のチームラボ出展作品は3周しましたし、見終わるまで2時間30分かかりました。

2.音声ガイドは篠原ともえ、チームラボの猪子寿之

最近、マルチタレントやデザイナーとして文化人的な立ち位置での活躍が目立つ、篠原ともえが起用されています。こういった多様で意外性のあるコンテンツにはぴったりの人選ですね。音声も落ち着いていて違和感がなかったです。(※どうしても若かりし頃のハチャメチャなイメージがあるのですよね・・)

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そして、今回の展示会のサブタイトルにもある通り、展示会終盤に、スーパー技術者クリエイター集団「チームラボ」からの出展があります。その解説音声として、制作者代表として、チームラボ代表の猪子寿之氏が、肉声でポイントを解説しています。

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3.宇宙と芸術展のコンセプト(夏休みの自由研究向き!)

今回展示会のコンセプトは、展示会の序文挨拶の言葉を引用すると、「人類が続けてきた宇宙の探求を、芸術史・文化史的な視点で振り返る展覧会」です。

宇宙に関する芸術性が感じられるありとあらゆる歴史資料や美術品、現代美術等を総力で集め、ごった煮にしたクロスオーバーなコンテンツ群は、圧巻です。ほんとによく集めたな・・・と。

仏教的宇宙観を強く感じさせられる東洋の曼荼羅、宇宙人説もあるかぐや姫の竹取物語絵巻、ダ・ヴィンチ、ケプラーなどの天文機材、資料、書籍、現代美術の大型インスタレーション、写真・映像作品、最新の宇宙開発構想(3Dプリンターで制作されたシェルター模型や宇宙服など)、スペースシャトルの模型など、色々なものが次から次へと出てきます。

様々な切り口から「宇宙」と「芸術」について展示されていますので、夏休みの自由研究のネタ作りのきっかけとしてもいいかもしれません。

4.写真撮影OKな展示が多い

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進行していくと細かく注意事項が掲示されていますが、写真撮影OKな展示品が多いです。自撮り棒やフラッシュはダメですが、これは嬉しい措置ですね。

5.一番のお気に入り作品はチームラボ「追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして衝突して咲いていく - Light in Space」

チームラボが得意とする3Dでのデジタル・インスタレーションで、展示会終盤のメインコンテンツです。中華・東洋風のアップテンポの音楽に合わせ、擬似3D空間で八咫烏(やたがらす)が宇宙空間を縦横無尽に飛び回ります。

凄いのは、これがあらかじめ用意された映像ではなく、プログラムで制御され、その場で空間の中を飛び回る八咫烏が、鑑賞者に当たるとその場で「花」になって散ってしまうなど、1回1回違う映像作品として変化する点です。(といっても、映像に圧倒されてみんな座り込んでみてましたが/笑)

チームラボのサイトにあるYoutube動画を見ても凄いな、と思いますが、これは実際に見てもらわないと本当の凄さは伝わりにくいです。壁の四方に立体的な映像が凄いスピード感が展開され、体感的に宇宙空間に置かれたような擬似的な感覚を強く伴う凄い映像体験でした。

また、八咫烏の描き出す機影が、東洋美術の水墨画等での筆使いのようなスタイルで描きこまれており、きっちり「アートとの融合」も意識されて制作されているのも良かったと思います。

6.その他気になった展示

6-1.歴史の偉人達の原稿や書籍類

レオナルド・ダ・ヴィンチ「アトランティコ手稿」f:id:hisatsugu79:20160806141742p:plain
(引用:http://www.mori.art.museum/contents/universe_art/work.html

★アイザック・ニュートン「プリンキピア」f:id:hisatsugu79:20160806142139j:plain

ルネサンス期以降、西欧では急速に自然科学が発達していきますが、当時の科学者たちが遺したその手稿や初版本などが展示されていました。

一番印象的なのは、やっぱり鏡文字で書かれたレオナルド・ダ・ヴィンチの手稿「アトランティコ手稿」。ここでは、太陽・月・地球の関係をダ・ヴィンチが観察・分析した内容の手書きの原稿が出品されています。

その他にも、ニュートン「プリンキピア」、コペルニクス「天球の回転について」、ケプラー「新天文学」、ガリレイ「星界の報告」などの初版本が展示されていて、偉大な人たちの研究の足跡を感じることができました。

6-2.空山 基「セクシーロボット」

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世界的に有名な空山基氏の「セクシーロボット」。最初見た時、妙な既視感が・・・と思ったら、個人的に、数年前にAerosmithのアルバム「Just Push Play」のジャケットで散々見ていたのでした。最初にジャケット見た時は斬新なデザインに「なんだこれ・・・」と度肝を抜かれたのを思い出しましたが、こうして3Dの彫像として目の前で見れるとは思いませんでした(笑)

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6-3.竹取物語絵巻

お爺さんが竹やぶで拾ってきた竹から生まれたかぐや姫。やがて成長すると、絶世の美女へと成長し、天皇を初めあらゆる男から求婚されますが、これを断り、生まれ故郷の月へと帰っていくという、古代の元祖SF絵巻物です。

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(引用:国立国会図書館デジタルコレクション - 竹取物語

上記の画像は、上中下巻に別れた絵巻物の下巻のクライマックス、月へと帰るかぐや姫を迎えに来たシーンですが、古代の日本人が想像した宇宙船の姿が微笑ましくて非常に良かったです。

6-4.ビョーン・ダーレム「ブラックホール(M-領域)」

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ビヨーン・ダーレムが制作した、宇宙をテーマとした現代アート。

この巨大な木組みの作品は、ブラックホールと多次元宇宙を表現しているそうです。全部で9つの輪っかが折り重なっているのは次元や銀河系の様子をを表しており、これが、どこにでも手に入るような身近な素材である、木材と蛍光灯をシンプルに組み合わせて不思議な雰囲気を醸し出しているのも良かったです。

6-5.万寿堂「小笠原越中守知行所着舟」(うつろ舟)

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江戸時代後期の1803年、常陸国(現在の茨城県神栖市近辺)にUFO状の不思議な物体が漂着したといううわさ話を元に、その様子を当時の絵師がまとめた資料。

実話かどうか定かではないですが、江戸時代の絵師がUFOを描くとこうなるのかも?と思わされた面白い資料でした。

グッズ販売では、このUFOに似た丼「うつろ舟どんぶり」なども置いてあって面白かったです。

★グッズ「うつろ舟どんぶり」f:id:hisatsugu79:20160806143526p:plain
(引用:グッズ | 宇宙と芸術展 | 森美術館

7.まとめ

宇宙をテーマにした美術展は本当に珍しいですが、色々な切り口から宇宙と芸術を捉えるためのヒントにあふれた非常に面白い展示会でした。「宇宙」という、人工知能やバイオテクノロジーなどと同じく最先端分野を俯瞰して様々な角度から学ぶには、非常に良い入り口となりうる展示だと思います。

今回の展示会は、時期柄なのか、子供連れや外国人も非常に目立ちました。東京以外に巡回しないようですが、会期も長いので是非東京に来る機会があればおすすめです。

それではまた。
かるび

展示会情報、役に立つ書籍類等

開催情報
会期: 2016年7月30日~2017年1月9日
会場:森美術館(六本木ヒルズ) 
公式HP:http://www.mori.art.museum/contents/universe_art/index.html
Twitter:https://twitter.com/mori_art_museum
Instagram:https://www.instagram.com/moriartmuseum/

そして、書籍類の紹介ですが、まずは森美術館から出版された、ほぼ公式ガイドブックと言うべき大型本。展覧会の図録的位置づけとして出版されています。

つづいて、チームラボやその代表猪子寿之とはどんな人なのか?分かり易く特集した本がこちら。先日は、NHKのプロフェッショナルでも特集されていましたね。