かるび(@karub_imalive)です。
本日、ヴァーチャル・リアリティから着想を得た映画「VRミッション:25」の試写会@北とぴあに当選したので、行ってきました。海外ではいくつかの国で公開済みです。ネット上の評判はかなり低評価だったのでどうなのか心配でしたが、せっかく当選したので張り切って行ってきました。公開前なので、ネタバレ無しで感想を書いてみたいと思います。(公開後、あらすじ等を追記予定)
1.映画の基本情報
<オフィシャル予告動画>
【監督】チャールズ・バーカー
【公式】映画「VR ミッション:25」公式サイト
【Twitter】VR ミッション:25 (@vrmission25) | Twitter
2.主要登場人物とキャスト
(引用:オフィシャル予告編より)
いずれも聞いたことのない無名の俳優さんでしたが、黒人、アラブ系、東欧系、女性キャラなど、様々な人種で構成されています。ヴァーチャル・リアリティの脱出ゲームに巻き込まれるプレーヤーの8人については、オンライン上のハンドルネームで呼ばれるので、いちおうセットで書いておきますね。
Max Deacon:カール (Soxx_1)
Morfydd Clark:シェリー(Mustang67)
Ali Cook :エドワード (Da_Chief)
Parker Sawyer:アンドレ (Str8_Shoot3r)
Tom Benedict Knight:マルコ (xxAtla5xx)
Boris Ler :ザヒド (T3rrorist#1)
Douggie McMeekin:アダム (Reap3r_2000)
Adriana Randall:テイラー (SlayerGirl)
3.簡単なあらすじ(ネタバレ無し)
世界中の上級オンラインゲーマー達に届いた、新型ヴァーチャル・リアリティ(以下VRと省略)ゲームの秘密のベータ版テストへの招待状。これに応じて、ニューヨークのとあるビルの25階に集められた8人のオンラインゲーマーたち。
部屋に入り、ガイド音声に従ってモーション・キャプチャースーツを着込み、ヘルメットのバイザーを下ろすと、そこは本物そっくりの超リアルな仮想空間でシューティング・アクションゲームのフィールドが広がっていた。
(引用:オフィシャル予告編より)
そこにやってきたVRゲーム内の鬼軍曹から、ゲーム開始の説明がある。「館内に入り込んだロシアのテロリストを倒し、ビルから脱出せよ。」ナイフや機関銃、手榴弾が与えられ、そのリアルな質感に興奮覚めやらぬ中、喜々としてゲームをはじめる8人。しかし、敵から被弾した際の痛みやケガはゲーム中だけのものでなく、リアルとも連動する設定であることがわかってくる。すなわち、戦闘中、敵から撃たれてゲーム中で死亡すれば、現実でも死んでしまうのだ。
スーツを脱いで逃げ出そうとするも、スーツは固く体に固定され、しかもビル内は密閉されて、ゲーム中では鬼軍曹が見張っている。何者かの仕掛けたワナであることに気づき、戦慄する8人。しかし、ゲーム内のミッションを完遂し、クリアすることでしか抜け出せないことを悟り、命がけの恐怖のVRゲームが始まるのであった・・・。
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4.映画の感想やみどころ
4-1.随所で「低予算映画」とわかってしまう・・・
試写会が当たってから慌てて真面目に調べたところ、今作はハリウッドものではなく、イギリス映画でした。でも舞台はニューヨークなので、主要キャスト9人は、いずれもアメリカ人か、イギリス訛りを矯正したイギリス人の俳優でしょうか?
そして、俳優さんはいずれも聞いたことのない無名の新人クラスであり、監督も今作が初めてに近いキャリアであるとのこと。
映画中でも、窓の外にヘリコプターが少し飛来するくらいのもので、派手な爆発やカーチェイス、特撮シーンなどもありません。ビルのスタート地点である25階から、1階ずつフロアを下りながら、敵を倒しつつ館内からの脱出を図るという、あぁ、低予算映画なんだな、っていうのがわかっちゃう感じ。
(引用:海外版予告より)
ちなみに、本国イギリスをはじめ、海外での公開タイトルは、「The Call Up」といい、和訳すると、「招集」とか「徴兵」、また、コンピュータのディスプレイへの「呼び出し」という意味もあり、英語の原題のほうがしっくりくるような。日本公開タイトルの「VRミッション:25」にわざわざ変えなくても良かったんじゃないかなぁと思います。
この「25」っていう数字は、殺人ゲームへ招待された8人がビル内でのゲームをスタートするフロアが25階であることや、ゲーム内のミッションの回数を指しているんだけど、ちょっと弱いかもしれないです。
4-2.他のSF作品との類似性が結構指摘されている
この映画では、ヴァーチャルへ完全没入し、ヴァーチャルゲーム上での五感やダメージが、リアルの肉体にも反映されるという設定を前提として、ストーリーが進んでいきます。
こちらのレビューでも指摘されていましたが、VR専用のスーツを来て仮想現実空間でリアルなサバイバルゲームが始まるのが、「GANTZ」の世界観と非常に似ているんですよね。
また、AR(拡張現実)上でファンタジックなストーリーが展開するアニメやゲームなどのシリーズ「ソードアート・オンライン」にもコンセプトが似ているかも。
あまり書くとネタバレになってしまいますが、ストーリーが進行するにつれ、8人全員が生き残れるわけではありません。仮想空間上で敵に倒されたり、究極の非日常空間下で仲間割れの結果互いに殺し合った仲間たちが、ひとり、またひとりと死んでいくサバイバルゲームでもあるわけで、そのあたりの命の軽さは「バトル・ロワイヤル」や「王様ゲーム」を想起させました。
4-3.ゲームバランスはかなり難易度が高いように思う
用意されたVRゲームでは、25Fからワンフロアずつ戦闘があり、1Fの出口を目指して見えないテロリスト達と戦うのですが、ゲームをワンフロアずつクリアして、次のフロアに着くと、武器や回復用のポーションが部屋に置いてあるのです。
このあたりの設定は、良くも悪くも主人公たちがゲーム空間に確かにいるんだ、というリアリティを上手く醸成するナイスアイデアだと思いましたが、ちょっとバランスが悪くないでしょうか?
武器弾薬はふんだんに用意され、敵と戦う際の弾切れは心配の必要がないのに、被弾した際の回復用ポーション(注射器状の容器に入っている)が少なすぎなんじゃないかと思います。死んだらコンティニューできないんだから、もうちょっと用意しといてやれよと・・・。
4-4.心理描写はやや弱め
基本的には、上記で説明した通り、超リアルな仮想空間で展開される脱出サバイバルアクション映画なわけですが、アクション面は、設定が面白いため結構楽しめます。単調に戦うだけでなく、あれこれと仕掛けが用意されているため、戦闘シーンはハラハラして面白かった。ゲーム音楽のような劇伴も効果的でした。
その反面、心理描写がやや弱かったと思います。
90分と非常にコンパクトに収められた映画の中で、VRゲームに参加した8人のキャラクターのまず顔と名前が一致しない(笑)しかも、後半からハンドルネームと本名の両方が入り乱れるのは辟易しました。
家でせんべい食べながらDVD見てるんだったら巻き戻してチェックできますが、映画館ではそうは行きません。「誰がやったんだ!」「アトラスか!」とか言われても、えーと、アトラスって誰だったっけ?みたいな。(僕が頭悪いだけかもしれませんが^_^;)
また、ゲーム内では、否応なく全員が生き残るために見えない敵と強制的に戦わされるその極限状態での恐怖心が引き起こす様々な心理的反応が見どころ・・・のはずです。
たとえば、途中で抜け駆けしようとしたキャラクターと回復ポーションや武器の取り合いで仲違いしたり、自己犠牲を払っても仲間のためにポーションを回してやったり、こんなはずじゃなかった~とうろたえる奴がいたりしますよね?
本作でも、戦闘の合間合間でこういった極限状況下での8人それぞれの心理状態が描かれていきますが、扱う人数の多さや、俳優の演技力がもう一つなことから、ややステレオタイプな感じに見えてしまいました。「まぁ、そこ喧嘩して一人くらいきっと仲間割れで殺されたりするんだよね?」とか、先回りして展開が少し読めてしまう感じ。尺が短い中、8人もの大人数を独創的、かつ丁寧に描き分けるのはやっぱりムリでしょ・・・。
4-5.ラストは秀逸
しかし、平板な展開にやや中だるみしたあと、VRゲームが終わるラストシーンはひねってあって良かったです。ハッピーエンドではなかったけれど、よく工夫され練り込まれたエンディングは、痛快で意外性のある決着の付け方でした。
なんとなくどこかで既視感がある心理表現にやや食傷気味になってきたところで、最後のシーンでぴしっと締まって、見終わった後の感想は「うん、まぁまぁだったかな」とそれなりに良い感触で家路につくことができました。
5.まとめ
IMDbや、Rotten Tomatoesなど、海外の大手映画レビューサイトでの評判がかなり悪いためか、公開される映画館が極端に少くやや寂しい状況です。(特に東北地方は放映館数ゼロ)VRゲームを元に着想したアイデアや、エンディングのひねりは、低予算ながらちゃんとした娯楽作品として鑑賞に耐えうる出来だと思います。個人的には、結構満足しました。
それではまた。
かるび