あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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江戸東京博物館 ダ・ヴィンチ展「レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の挑戦」を見てきたよ

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かるび(@karub_imalive)です。

ダ・ヴィンチ展。ちょっと美術館や博物館に行く習慣がある人なら、もう「またかよ」って思う位あちこちで開催されているわけです。

大阪だと、グランフロント大阪でこんなのも開催中ですね。

今日取り上げるのは、この1月から東京江戸博物館で始まった「特別展 レオナルド・ダ・ヴィンチー天才の挑戦」。絵画を中心として、その素描や発明品や設計図など、あれこれと展示してくれてます。

というか、ダ・ヴィンチ展っていつもこんな感じですね。絵だけじゃなくて、それ以外の素描や設計図らしきものやコンセプトの解説なども一杯。あと、同時代のフォロワーさんの絵画なんかもあって、割とごった煮状態。

いや、悪くはないんですよ。今回も「糸巻きの聖母」が日本初上陸となるなど、目玉は頑張って持ってきてくれてるんです。だから、この「糸巻きの聖母」1枚でも1,500円は惜しくはないと思います。

数年前に別のダ・ヴィンチの企画展に行った時も感じたのですが、絵は意外に少ない。それほど沢山描いてないのと、数少ない絵は、世界中で引っ張りだこになっているので、有名絵画が一同に会した大回顧展はなかなか開けないのでしょうね。

正直、直前に見たボッティチェリ展ほどの感慨はありませんでした。手放しで「すごくよかった!」というわけでもなかったけど、良かったのもありました。ということで、少し辛口レビューになりますが、良かった点とちょっと残念だった点を取り混ぜてレビューしてみたいと思います。

混雑ぶりをチェック

行ったのは、1月17日(日)午後15時頃。公開初週の最初の休日だったので、これはやばいだろうなーと思って心配していましたが、あっさり入れました。

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誰も並んでません。

それでも、一つの絵に、数人程度は人だかりができるくらいにはそこそこ人がいましたので、全く入っていないわけではありません。入り口で、さくっと音声ガイドも調達して、早速入っていきます。

ちなみに、音声ガイドは俳優の生瀬勝久が務めています。声が渋かった。
音声ガイド・グッズ・カタログ | 特別展 レオナルド・ダ・ヴィンチ

ハイライトは「糸巻きの聖母」

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さて、展示会は終盤に飾ってある、この「糸巻きの聖母」がハイライトでした。まぁ、ぶっちゃけ今回はこれ1枚のために開催されたようなものです。それだけ、今回の展示では存在感が際立っていました。

本作品は、1501年、ダ・ヴィンチが画家として円熟期を迎えていた時の作品で、ダ・ヴィンチ自身が開発したぼかしの技法「スフマート」を駆使して描かれた柔らかいタッチが白眉です。赤ちゃんのイエスが手に持っていて凝視している棒、これが「糸巻き棒」なので、「糸巻きの聖母」と名付けられました。

イタリア人にしか見えない人物像(笑)

そういえば、ダ・ヴィンチの絵画って、誰も突っ込まないのですが、なんか顔つきがイタリア人そのものじゃないですか?マリアにしてもイエスにしても、元々は中東系の顔立ちのはず。なのに、ダ・ヴィンチの描く人物って、どれもこれも、どう見てもイタリア人なんですよね。

例えば、これとかもそう。

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左は、有名な「洗礼者聖ヨハネ」。ダ・ヴィンチが「モナ・リザ」同様、生涯肌身離さず手元に置いていた絵画です。対して、右側は、イタリアを代表するメロディック・メタルバンドRhapsody of Fireのヴォーカル、ファビオ・リオーネです。

どうですか?うーん、似てません??(笑)

レオナルデスキ=フォロワーたち

ダ・ヴィンチは、画家としてデビューした当初は、フィレンツェでボッティチェリやミケランジェロら同様、ルネサンスの中心の街で工房を開いていました。ダ・ヴィンチほどの人材でも、当時芽が出なかったって、フィレンツェの当時のレベル、恐るべしですね。

そこで、当時フィレンツェの支配者だったメディチ家は、更にその権勢を伸ばすため、1482年にダ・ヴィンチをミラノに派遣します。メディチ家が当時力を入れていたのが、他都市への芸術家の派遣。(なんか派遣会社みたいですが/笑)ダ・ヴィンチも、このままフィレンツェでくすぶってても・・・ということで、この話は本人にとっても渡りに船だったようです。

そこから、ダ・ヴィンチのレジェンドが始まります。以降、亡くなるまでの間、ミラノとフランスを行ったり来たりする生活でした。そのミラノ時代に、工房の弟子を含めフォロワーさんが一杯現れました。ダ・ヴィンチを慕い、絵画的な影響を大きく受けた弟子やファンたちのことを、「レオナルデスキ」といいます。

レオナルデスキたちは、ダ・ヴィンチの作風を真似るだけでなく、全く同じ構図やモチーフで、大胆にもパク・・・いや、模写した作品を沢山残しています。

例えば、上でイタリア人と一緒に紹介した「聖ヨハネ」にもう一度登場してもらいましょう。

まず、これがオリジナル。まぁ、いい感じです。

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 フォロワーその1。作者不詳。

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背景が明るくなりました。まぁまぁよく描けてる感じ?ですが、左手の指の描写とかは微妙に少し描ききれていないみたいです。ちなみに、この作品は今回の展示会ではなく、2013年東京都美術館「ダ・ヴィンチ 天才の肖像」展で来たものです。作者不詳。

さらに、これはどうでしょうか?ん??なんか違和感が?

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よく見ると、上げてる腕が違いますね??雰囲気は似ており、この画家の意地なのか、敢えて少し変えてみたのか、なかなか興味深いところです。

・・・といった感じで、今回の展示会では(でも?)、このレオナルデスキ達の絵画も合わせてたくさん紹介されています。正直な所、ダ・ヴィンチに比較すると、素人が見ても、明らかに「あれ、これ厳しくね?・・・」とわかる作品ばかりでした(笑)それが却ってこの時代におけるダ・ヴィンチの天才性・偉大さを印象づけています。

絵画だけにとどまらないダ・ヴィンチの天才性

ダ・ヴィンチは、絵画だけでなく、あらゆる分野で優れた業績を残しています。今回の展示でもう一つの目玉とされていたのが、10数枚の「鳥の飛翔に関する手稿」。ダ・ヴィンチが書き留めていたノートです。

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軍事家でもあったダ・ヴィンチは、情報セキュリティにも配慮し、この手稿をなんと鏡文字で左右反転させて記録しています。説明では、「左利きだから」とありましたが、だからといって鏡のような反転文字を自由に書けるって、尋常じゃありませんね。どれだけ手間かけたんだ、って感じですが、それだけ関係ない人に読まれたくなかったのでしょうね。

博物館内では、こんな感じでまとまって陳列されています。

日本語対訳などもありましたが、書かれている内容やそれぞれの作図が意図するところがサッパリわからず。まぁ、「鳥のように外をとびたいんや!」という気持ちはよーくわかりました。そして、ダ・ヴィンチさえの天才でも、存命中にはついに飛行機は実現せず、ライト兄弟までその後数世紀を要します。

まとめ

見どころは、「糸巻きの聖母」。これがダントツです。ストレートに言うと、その他展示物は、「糸巻きの聖母」だけで困っちゃうから、とりあえず一緒に持ってきました。展示会サブタイトルに、「天才」とつけとけばOKだろう(笑)という感じです。

レオナルデスキ達の絵画は、正直笑っちゃうレベルのものも展示されており、展示物全てが感動的でハイレベル、というわけではありませんでした。でも、とにかくダ・ヴィンチがとてつもない天才である、ということがわかっただけでもまぁ良かったかなと思います。今のところ、結構すいているみたいなので、もし興味があれば是非足を運んでみてくださいね!

それではまた。

かるび

PS 最近、美術館系のネタが続いていますが、2016年1月はこんなのにも行きました。春先はどこの展覧会行こう?という人は是非参考にして頂ければと思います! 

さらに、行きたい美術展のまとめなんかも書いてます~。エントリ公約通り、行きたいところは全部行く予定ですよ?!