かるび(@karub_imalive)です。
前作「みたむらくん」がヒットしたギャグ漫画家、えりちんによるヤングアニマル誌第2弾作品、「描かないマンガ家」全7巻を一気読みしました。
これが、非常に面白かった。それだけじゃなくて、個人的に非常に心に刺さる教訓を含んだ漫画でした。今日は、その感想を少し書いてみたいと思います。感想というより後半から自分語りになっている点と、構成上、少しだけネタバレがあるのでご注意ください。
1,異色のマンガ家ものマンガ
このジャンル、古くは藤子不二雄の「まんが道」や最近だと大場つぐみ/小畑健「バクマン」、ハロルド作石「RiN」など色々ありますよね。これら漫画家マンガは、通常は、最終目標が、厳しい競争や試練を乗り越えてプロ漫画家として大成することです。よって、主人公がマンガ家としての成功を目指して努力する、切磋琢磨する、という割とストレートで前向きなテーマで描かれることが多いですよね。
この「描かないマンガ家」はそれら通常の漫画家マンガとは対照的なストーリーです。タイトル通り、主人公がひたすらマンガを描かない漫画家漫画なのです。あの手この手で結局描かずにお茶を濁すという・・・。その斬新さがツボにはまり、1巻から一気にその日のうちに通読してしまいました。
2,あらすじ
前半3巻終わりまでは、主にギャグ漫画として、マンガ家「ワナビー」としてのマンガ専門学校に通う主人公とその仲間のドタバタ劇を描きます。そして、4巻頃から、少しずつストーリーが動き出します。プロマンガ編として、一転してシリアスな展開になっていきます。
出だしはこんな感じ。主人公は、第3のマンガ家=描かないマンガ家、渡部勇大26歳(ペンネーム:器根田 刃)。
主人公は、自称、漫画家。通っているマンガ専門学校で課題が出ようが、友人が漫画家にデビューして先を越していこうが、夜な夜なファミレスでダメ友人たちとくだらない評論ばかりして、ちっとも描こうとしません。
第1話から、小沢くんという仲間が、唐突に専門学校を辞めます。クラスからのマンガ家デビューが決まったのです。これに対して、「これくらいなら俺だって描けるよ」とか「プロは甘くないんだから・・・」となんだかんだ自分に言い訳をしてやり過ごしました。
それでも、仲間からマンガの進捗状況を聞かれると、少しは危機感を覚えて、何度かは机には向かうのですが・・・
結局は、やっぱり些細な日常事に気を取られ、マンガを描かないのでした(笑)ブログを更新しているというのがブロガーとしては何とも(笑)
あるいは、もっともそうな言い訳をして、やっぱり描きません。
こういったギャグ漫画テイストが、大体3巻位まで続きます。これだけダメキャラなのに、同期の女子仲間からはなぜか不思議と一目置かれていたり、まぁまぁモテたりっていうのは読み手を微妙に安心させる設定でもあります(笑)
しかし、4巻に入り、だんだん流れはシリアスになっていきます。月日は流れるうちに、専門学校の仲間たちは、描こうともしない主人公とは対照的に、みんな漫画家や専門家として結果を出し始めます。主人公の器根田、あせります。
このあたりは、結構共感できる人も多いのではないかなと思います。やるのかやらないのか、うだうだしているうちに、仲間にどんどん先を越されて焦った思い出って、一つくらいはあったりしませんか?かるびは、いっぱいあります。故にこの漫画は心が痛い・・・
そして、最後に主人公がどうなってしまうのかは、最終巻まで是非読んでみてください。サクセスストーリーでよくあるような派手な大逆転劇ではありませんが、土壇場で自分の愚かさに気づき、プライドを捨ててマンガに取り組み始めます。これが、実に物語が終わる3話前だという(笑)
これ以上はネタバレになるので、割愛~。
3,そういえばブログはじめるのに12年もかかった
そう、この漫画、自分にとっては結構痛い急所をついてくるマンガなのです。それは何かって言うと、自分の一番悪い欠点「何でも決断を先延ばしにすること」を見せられているようだからです。
例を挙げてみます。たとえば、このブログ「あいむあらいぶ」開設のことです。「ブロブ、始めてみようかな」、と思い立ってから、実に12年越しでようやく行動に移したのです。
少し昔の話をさせてください。かるびはもともと20代前半のころからインターネットが大好きで、2ch全盛時代や「侍魂」「ちゆ12歳」といったテキストサイト時代から、ひたすら「読み手」としてインターネット文化に触れてきました。故に、インターネットは本当に大好きなんです。
20代後半の頃は趣味の「ヘヴィメタル」「ハードロック」でネットの掲示板にかなり頻繁に出入りしたり、オフ会に出たり、CDレビューを有力なサイトに寄稿してたりもしました。28歳の時の結婚式にはネットで親しくしていたメタラーさんを10名ほど招待したくらいですから。
その際に、ネットで知り合った複数のメタラーさんから、「かるびもホームページ作ったらいいのに」と言われていました。やれば、ある程度は趣味ならコンテンツを出せる自信はあったのですが、結局やらずじまいでした。
勇気がなかったり、面倒だったり。「仕事が忙しいからまたあとで」とか自分にもっともらしい言い訳をしてたのですね。
その後、2012年頃はFacebookにはまりました。こちらも半年ほどやりこんで、Facebook上でも友人が沢山出来ました。1000人弱位?この時も、親しくしていたFacebook仲間から、投稿がまぁまぁ面白いし、ブログ開設しないの?開設したら儲かるよと言われました。しかし、これも上記と同様の理由で結局やらず。
そして、迎えた2015年。40歳になりました。キリのいい大台というやつです。これをきっかけに、「え?もう40歳?人生早すぎ」と、自分自身衝撃を受けてしまったんですね。40歳といえば、もう折り返し地点です。(人生80年ならね)
なんか、さほどやりたくない、つまらない仕事ばっかりして、やりたいことは先延ばしの人生で・・・。それで、本当にいいのかな?!と。30歳の大台になった時は「まだまだ、ふーん」と思っていたのですが、40歳の節目を迎え、急にかなり焦りを感じてしまいました。やっとリアルに自分のいけてなさを実感したんです。
恐らく、ここで何もしなけりゃもうダメになってしまいそうだ、と思い、ええい!と勢いで会社の退職とブログ開設を同時に決意しました。まぁ退職はおまけです(笑)
ということで、「ああ、やってみたいな」と思ってから、実際にブログ開設するまでに、うだうだしていた期間があまりにも長かった。干支が一回りしました。我ながら、優柔不断でイケてなかったと思います。
まとめ
このマンガの主人公、器根田刃も、心の奥底ではマンガを描き、プロマンガ家になりたいはずでした。しかし、つまらないプライドや怠慢、傲慢、恐れから、ひたすら自分にその場その場で言い訳をして、マンガを描かずにずるずる3年近く経過し、29歳に。
でもね、こういうのって、とにかく最初の一歩を踏み出すのが大事なんですよね。一旦描き始めてしまえば、その過程でさらにつらいことは起こりえるけれど、やっているときは夢中なので、結構どうとでもなるものですよね。やるだけですから。主人公の器根田も、最終的には36歳で漫画家デビューすることになります。そういう意味では、なんとかギリギリハッピーエンドでした。
かるびも、12年間うだうだした割には、昨年9月下旬にブログを開設してからは、遅筆ではあるものの、ここまでなんとか3ヶ月半継続することができています。
しんどい時や、失敗する恐れなんかも常にありますが、その恐れすらも抱いたまま、目的地まで飛び続けることが何よりも大事なんだなと、実感できました。
この漫画は、純粋にギャグ漫画として楽しむこともできますが、かるびにとっては非常に重たい問いを改めて問いかけてくれた、非常に学びの多いマンガでした。
優柔不断で、やりたいことを先延ばしにするクセのある人は、これを読むと目が覚めるきっかけになるかもしれませんね。
それではまた。
かるび
まとめ買いがお薦め!(僕は一気読みでした!)