あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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やりたい仕事が見つからない?なら適当にどこかに就職してから始めたらいいと思うんです

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かるび(@karub_imalive)です。

毎年春先になると、学生の新規購読者層を狙い「就活」記事が激増する日経新聞ですが、今年は特に多い印象です。発行部数そんなに減ってるのかな、と勘ぐりつつ、今年は特にブログを書き始めたということもあり、おかげさまで毎日のように楽しくチェックしております。

さて、そんな中、一昨日の日経新聞電子版で、こんな記事がありました。

就職・転職業界では有名な曽和利光さんのオーソドックスな正攻法的アドバイス。曰く、「現場で働いている人のナマの声を中心に色々話を聞いてみよう」とのことです。

せやな。いや、本当にそのとおりだとは思うんです。僕も「うんうん、地味に良記事だな」とこれブクマしたのですが、違和感がちょっとあり、まてよ、と思い直しました。

その違和感とは何かというと・・・。

話を聞いてもやりたい仕事が見つかるとは限らない

やりたい仕事とか行きたい会社って、人に聞いたからってやっぱり簡単に見つからないよな、、、と。それは、僕自身の遠い昔の就活のことを思い出したからです。

ちょっと昔話になります。

僕の大学時代は、割と根を詰めて取り組んだ受験勉強の反動で、方向性を見失った5年間だったんですよね。(4年間+1年の留年期間)ここにポエムを詳述してますので、もしお時間があれば見てください(^^)

大学受験終了後は、モラトリアム時期というより、完全に「何がやりたいのか」「どんな仕事がしたいのか」さっぱりわかりませんでした。大学1年生の後期から、それなりに楽しめたサークル活動(英語系)はともかくとして、学業は全く興味がわかず。経済学部だったのに、ミクロ経済と統計学がまるっきりわからない。もちろん、ゼミにも入りませんでした。

自分は何がしたいのか、何ができるのか全く見当もつかない。こんな悩みを漠然と抱えながらも、あっという間に留年1年を挟み、5年目の春がやってきて、就活の時期になりました。この就活の時期には「自分は何がしたいのか」探るため、OB訪問とか、すでに就職内定済の友人の話なども必死に聞いてはみました。けど、それでもわからなかったんですね。曽和さん、重症患者がここにいたんですよ。誰かに話を聞いたくらいじゃダメだったんです。

そして、本当に何をしたいのか、何でこれから就活とかするのか、全くつかめないままタイムオーバーとなり、惰性でとりあえず就職活動へと流れこみました。親を心配させたくなかったから、フリーターになることはあんまり念頭になかったのです。

面接では、やりたくもないのに文系の定番とも言える自己アピール「御社で企画提案型営業をやりたいです」なんてやってました。今思い出しても恥ずかしい。でも、当時は必死でした。こんな歯の浮くようなセリフでも言わなけりゃ、自己アピールをひねり出すこともできなかったからです。

選考を受けた殆どの会社では、そんな志の低さというか偽物の志望動機を見破られて手痛く面接で落とされていましたが、内定をもらった会社は、最終が集団面接だったことと、人事部長が僕と同じ大学出身だったことだったからなのか、何とか内定をゲットしました。最後は学閥かよ、、、しょうもないです、ほんとに。

以上振り返ると、自分にとって、やりたい仕事なんて簡単には見つからないものでした。

やりたいことがどうしても見つからない時の突破口って?

じゃあ、やりたい仕事が見つからない場合はどうしたらいいのか?それは、人生をかけた長期戦として、与えられた仕事をこなしながら見つける努力を続けるしかない、と思います。言い換えると、やりたいことを自分独力で見つけようとするのではなく、他人や環境の手に委ね、偶然との出会いの中でセレンディピティを見出す作戦で行こうというわけですね。

まずは適当でもなんでもいいので、ある仕事に就いてみる。そして、その与えられた仕事を実際に経験し、こなしていく中で、自分自身の手応えや、素養を確認していけば、時間はかかるけど、徐々に方向性が見えてくるものだと思うんです。

再び自分語りになりますが、僕はこれまで社会人として17年間働いてくる中で、大きく4つ、細かくは8つの職種を経験してきました。最初は新卒で内定した会社で経理職。次に転職した会社でシステムエンジニア、そのあと営業職、営業事務職そして最後に採用や教育といった人材開発職。それからついでに、意識は低かったですが会社経営にもタッチしました。

さすがにこれだけやれば、自分のやりたい方向性や、向いている仕事はハッキリ出てきます。僕の場合は、こんな感じでした。

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簡単に振り返って自己分析してみると、就職して17年間、まぁいろんなことをやらされってきたんだなぁと。基本的には、2社目で業界未経験からSEへの転職を決めた時以外は、ほとんど会社の言うママに仕事をしてきた結果です。

でも、これだけやれば、それなりに傾向は見えてくるものです。適性はあるけど、やりたくない職種、逆に、適性はないけど、やりたい職種。そして、適性も自分の方向性も合致している職種。さまざまあります。

上図だと、自分の場合はプロジェクト管理や経営などは割と得意。でも興味が向かないんです。少なくとも今は。逆に、SEの開発職なんかは、才能はないことはわかっているんだけど、やっている分には楽しい。成果は出ないだろうけど、また復帰してもいいかななんて思えたりもします。

そんな中、僕にとって人材開発職は、天職みたいなものになりました。特に採用業務などでは、不思議とプランニング段階ではやるべきことは自然に見えてきますし、仕事をやっている時も楽しいし、成果も上がる。ちょうど自分の進みたい方向性と適性がガッチリ噛み合った理想的な仕事です。

納得行く仕事にたどり着くまでに10年かかった

僕の場合は、1999年4月に就職して、2006年春に、ようやく会社から「採用」業務をやるように指示を受け3年位やってみたところで、「ああこれが天職っぽい仕事かなぁ」と思えるようになりました。仕事をしていて、初めて楽しくやれて、かつ人からも評価されるようになった手応えがありました。

このように、たとえ与えられた仕事を受動的にやっていたとしても、その仕事に対して合う/合わないを丁寧に見ていけば、必ず少しずつ方向性を修正していくうちに、他人にも評価され、かつ自分でもしっくりくる仕事は見つかるはずです。時間はかかるけど、必ず何らかの答えや、方向性は見えてくるはずです。

やりたいかどうかより、得意かどうか、評価されているかどうか

また、自分自身がどんな仕事をやりたいんだろうか?と自分目線で考えることを一旦放棄してみるのも有効です。逆に、他人から見て、自分の必要とされる分野はなんなのだろうか?という他人目線の観点で考えてみると、意外とやるべきことが見えてきます。

例えば、僕の場合は、キーワードとしては「パソコンスキル」と「採用スキル」でした。このスキル2つは、人と比べて特段努力しなくても、気がついたら他の人達よりも上達が速いみたいなのです。

特に、Web上での活動や他人との柔らかいコミュニケーションに関しては、割と努力っぽい努力をしなくても、それなりに何故か形になってしまうという。

特段ガツガツ頑張らなくても、割とこの分野では、自分には素養があるようだ。そんな手応えこそが、他人視点から見た、自分自身の価値、存在意義の源泉になるのです。少なくともこの観点で自分の仕事を寄せていけば、評価も上がりやすく、承認欲求はびんびん満たせるはず。

やりたいことがないのであれば、こうしたアプローチも有効だと思います。

ケンタッキーフライドチキンのおじいさんは65年間こじらせた

自分の場合は約10年間で「天職」的なものに出会えましたが、有名人で特に長く迷い続けた人はいるのかな?と思って、ちょっとネットで調べてみたら、ちょうどいいサンプルがありました。彼です。

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そう、カーネル・サンダース。割と有名な逸話になりますが、彼は65歳でやっと「ケンタッキー・フライドチキン」を立ち上げて、人生の最後の土壇場でビジネスに大成功しました。でも、それまでの彼の人生は、転職と起業を何十回と繰り返しては失敗してきた人生でした。

もう、色々こじらせまくり。何をやってもまぁまぁなところまで行っては、最終的に失敗する、その連続で気づいたら65歳になっていたのです。65歳にして、一文無し。そこからのフライドチキン屋さんでの大逆転劇でした。

ほんと、よーやるなぁと思いますが、兎にも角にも彼の仕事を通じた自分探しは、65年間かかったわけですよね。それまで色んな試行錯誤をして重ねてきた経験が、人生最終盤で一気に結実したわけです。

そう、自分探しには時間をかけてもいいんだよ。ってことですね。

まとめ

40歳にしてやりたいことができた、って以前のエントリにも書いたのですが、そう、40歳にしてやっと明確に、自主的に仕事の方向性も含め、「これがやりたい」っていうのができてきたんです。

やりたい仕事だって、見つからなければとりあえずやってみれば、そのうち見えてくるんだな、っていうのが今この年齢にして腑に落ちた。その気づきをおすそ分けしたくて、このエントリを書いてみました。

人生は長いのです。あせらずいきましょうよ。ね。

それではまた。
かるび