あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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’17新卒採用がスタート。Fラン大学生が一発逆転する方法を人事目線で考えてみた!

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かるび(@karub_imalive)です。

今年も2017年度新卒採用がいよいよ始まりますね。というか建前としては3月1日からスタートなのですが、すでにもう始まっている模様。ところで、3週間ほど前に、こんな記事を書きましたが、沢山の方に読んで頂けて光栄でした。

ここでの結論としては、結局、学歴偏重型の新卒一括採用システムっていうのはすぐにはなくならずに、ダラダラ続きそうだね、っていう話で終わりました。

現状何もしなければ、圧倒的に高学歴の学生にとって有利な仕組みであることは、今年も全く変わりません。先日の日経に、こんな記事が掲載されていました。

センセーショナルなタイトルですが、去年のダラダラ続いた就活から一転して、今年は短期決戦となる予定です。(3月解禁、6月内定出し)そんなわけで、今年の’17採用での経団連が取り決めた採用解禁日は3月1日ですが、経団連加入企業ですらほとんど無視。裏でコソコソ、あの手この手で有力大学の学生を「1dayインターンシップ」や「就職懇談会」といった名目で引き入れて、実質的な選考をスタートさせています。

勝負は始まる前からついている

そして、記事内にもありますが、こういったリクルーターや人事、特定業者から声がかかり、青田買いの現場に入ることができる学生は、東大や早慶上智といった難関校だけ、と決まっています。(実際、上記記事を読んでみてください。難関校のケースしか挙げられていませんから)もう、あからさますぎて笑ってしまいますね。

そう、勝負は、始まる前からついているのです。

早慶上智・東大クラスのいわゆる「特A」大学に属する学生は、青田買いにシークレットセミナー、面接フィルターと、何重ものバリアに守られ、最初から最後まで有利に就活を戦えるのです。

その反面、MARCHクラス以下の学生は、最初からハンデを負った状態で望まなければならない。

ここに対して、何か手立てはないのか?どうすれば、一発逆転が望めるのか?あるいはどうすれば幸せな就職活動を送ることができるのか?

そんな疑問を、毎年僕の会社に来てくれるインターンシップ生から繰り返し繰り返し聞かれます。これに対して、人事目線から見えているいろんな秘策を話しているのですが、本エントリではその内容を少し書いてみたいと思います。

注意:ここからは若干えげつない話になりますので、心象を悪くされる方もいるかと思います。予めご了承ください・・・

前提として、ゲーム的割り切りと大局観を身につける

新卒採用っていうのは、広義では「学生」が「社会人」になる際の一括採用機会のことを指します。チャンスは各自1回しかないように思われるけど、実は、留学したり、大学院へ進学したり、卒業してから受け直すなど、最大3回位まではチャレンジできるのです。

最近だと、リーマンショックの時期に、文科省が内定率を高めるため苦心してひねり出した定義変更「既卒3年目までの未就業者は新卒扱い」も、ある程度は浸透しているので、「新卒」でいられる時期は、確実に長くなっているのです。

この期間を使って、王道の就活も試しつつ、ゲリラ的にいろんな手段を使った総合戦で就活を勝ち抜こう、というのが下位大学の学生の取りうる最善の手段となります。

また、就活を進めていく中で、あからさまな学歴差別を感じたり、お祈りメールが多数届いたりで心が折れるようなイベントも多数あります。上位大学の学生ですら、心を病む学生は結構います。

このトラップを避けるためにも、就職活動はあくまで「ゲーム」であり、たとえ失敗したとしても、死ぬわけではない。思い切り最後まで楽しんで取り組む、というメンタリティが必要だと思います。

学歴フィルターの攻略法

就活で一番の山になるのが、学歴フィルターの存在です。大手都市銀行や総合商社、マスコミ、運輸等、応募者も多く、学生人気ランキングに載るような有名なBtoC系企業の場合、学歴フィルターがあからさまに存在します。

この時、受けたい会社の学歴フィルターに自分の所属する大学が引っかかっているか確認するには、単純に自学のキャリアセンターでOB名簿をめくれば一発でわかります。過去10年位を遡って、1人も採用実績がない場合は、残念ながらフィルタで弾かれているということ。正攻法でエントリーシートを出しても、まずお祈りメールが来ます。

では、そういう時の手立てはどうすればいいのか。取りうる対策としては、以下の7つが有力です。

1,諦めてフィルターのない優良企業を探す

これが一番です。東証へ上場している企業は現在1500社程ありますが、大半の企業は学生が聞いたこともない会社ばかりです。すなわち、第1には、自分自身が聞いたことのない会社から、いい会社を単純に探していくのがいいでしょう。そして、第2には、CMなどで見聞きしたことのないBtoBの会社を選ぶこと。

BtoBの会社では、例えばものづくりで言うと電子部品や化学系の上流企業や、素材系メーカー。このあたりは、学生が来てくれないけど経営は盤石な優良企業がひしめいています。会社四季報でこういう隠れた優良企業を片っ端から探して受けることを推奨しています。フィルターはあっても機能していないか、全くありませんから。不人気企業の採用担当はつらい、、、

2,大学院での仕切り直しはものすごく有効

例えば、現在、早慶上智・東大以外の学校に通っているけれど、大手都市銀行3行のいずれか(赤・緑・青)にどうしても入りたいとします。通常は、学閥・学歴フィルタによって高確率でお祈りメールが来ますので、大学卒業=学士での入社をあきらめて、大学院卒業=修士でチャレンジするという手が有効です。

東大や東工大、慶応や早稲田などの大学院を受けましょう。大学入試よりも遥かに難易度は下がります。例えば、これで首尾よく慶応大学院に行けたとしたら、最終学歴は、慶応大学修士となり、見事に2年後、修士枠として正面から選考機会を獲得することができる、という塩梅です。

実際に、学歴フィルタを設けている難関企業の何割かはこの方法で夢を追い求めて学歴をアップさせた人で占められています。これぞ学歴ロンダリングであります。

3,留学する

これは学歴ロンダリングと同じ理屈です。英語圏の大学で、1年間なり2年間なり行ってきて英語力とコミュニケーション能力を磨くと効果あり。その際に、ちゃんと英語を覚えてTOEICなりTOEFL、IELTSなりの点数を履歴書にかけるようにパワーアップしましょう。正面から挑んでもいいし、あるいは留学生枠を活用してもいいでしょう。海外現地や、日本人の帰国者向けに開催される日本人合同企業説明会などが多数開催されており、すなわちそれは早慶東大生とは「別枠」の留学生採用枠が用意されているということを意味します。

4,資格を取得する

これは留学や大学院よりは弱くなります。が、他学生との差別化は確実に図れますので、これら資格を持っていると、学歴フィルタを突破できる可能性が高まります。人事目線で見て、これは通しておきたい、という資格を記載しておきますね。

  • TOEIC900点以上/英検準1級以上
  • 日商簿記2級以上
  • 各種士業資格(社労士、宅建など)
  • 基本情報処理技術者

今も昔も、会計・IT・英語の3大スキルはレバレッジが利きやすいビジネススキルですが、就活でも有利に働きます。ただし、当たり前ですが、なぜこの資格を取得したのか、という質問には自然な形で受け答えができないといけません。上記は、第2新卒や中途でもかなり有効です。

5,飛び道具作戦(個性をアピール)

資格も学歴もなければ、あとは自分の意外性をアピールする一手です。上場企業の人材採用における共通課題の一つとして「人材の多様性の確保」があります。ダイバーシティ、とか言われますね。

優良企業であればあるほど、LGBT等も含め、多様な人材を揃えることと企業業績は正の相関があることに気づき始めています。

では、この多様性とは何か。

それは、ひとりひとりの個性の広がりです。個性というのは、突き詰めると他者との差異であり、そこに個性=価値の源泉があるわけです。

よって、ここをいやというほど詰めて、人事にアピールするのです。

具体的には、採用選考において、人がやらないことをやってみるということです。例えば、面接の場で、履歴書以外の書類を持参する学生は100人に1人以下です。エントリーシート以外に、自分が大学生活や課外活動で培ってきた技能をアピールできるドキュメントや画像、動画などをまとめて面接の場で提示できるようにしましょう。それだけで、確実に面接担当から覚えてもらえるようになり、次の面接へすすめる可能性が高まります。

その他、色々なアピール方法があると思いますが、是非いろいろ考えてみて、如何にリクルーターや面接担当の記憶に残るようにアピールするか、腐心してみてください。これも、新卒だけでなく中途でも相当使えます。

6,コネ入社

実はこれが最強。コネ入社が問題となるのは官公庁や自治体、公共性の高い一部の企業のみであり、大半の企業では、コネ入社なんて日常茶飯事です。というか、人事の本音では、コネでもなんでもいいから優秀な学生に来てほしい。頼むからいい人来て(笑)

僕が最初に入社した化学メーカーは、不人気すぎて女性事務職は全員取引先の社長の娘でした。顔入社ではないです(笑)そして、僕が今在籍している中堅Sierでも、社員紹介入社は新卒・中途を問わず、入社支度金を出すなど、非常に重視しています。

だから、何かのご縁で、親戚や両親から「お前、この◯◯という会社紹介できるけど、いってみるか」と紹介された会社が、行きたい会社なら、ためらわずにコネを使って入社しましょう。

コネ入社をすると、その事実は何故か色々なルートからもれてしまい、最初は同期の間で少し肩身の狭い思いをしますが、それは最初だけ。会社に入ってしまえば実力次第ですから、関係ありません。是非使えるコネがあるのであれば、それは大手を振って使えばいいでしょう。少なくとも人事や役員はコネで取ったことなんてすぐに忘れます。

7,中途選考で狙う方法

新卒でご縁がなければ、中途でリベンジする手も有力です。

一旦新卒では周辺の業種や、下位の下請けなどに入社して修行をしておいてから、実力をつけた後に満を持して転職する。僕の妻がそんな感じで、新卒の際は普通のA社に入り、中途で少しブランド力のあるB社に入ってから、超有力企業の現在のC社に入りました。おかげで年収は僕の2倍です(T_T) いわば、わらしべ長者的なキャリア構築に成功したのです。よって、新卒でダメだった場合は、中途で実力をつけてから門戸を叩くという方法が通用する業界は結構あります。

そして、就職せず夢を追う生き方もある

単純にあきらめたり、ニート、フリーターになれ、というわけではありません。就職する以外でも、必ず道はあります。思い切って、会社を起こしたり、夢にかけるのもいいと思います。

仮に、会社を起こして失敗したとします。でも、その時に身ひとつあれば、挽回が利く状況になってきているように感じられるのです。

これだけ少子高齢化が進行した現在、ある程度コネなしで普通に転職活動ができる年齢の限界点は、リーマン・ショック後は40代前半位まで上がってきています。自分もオッサンですが、ブースで話してるとオッサンばっかり来ます(笑)そして、普通に内定を取っていく。

20代、30代前半は夢を追って失敗しても、その凝縮した失敗経験を活かし、別の何かの業種で正社員になって安定的な立場でリセットして稼ぐ、という非常プランも戦略としてありえます。

また、有力アフィリエイターの付利意雷布亜さんがこんな優れたエントリを残してくれました。差別化を図り、ブログやソーシャルで戦略を立ててアピールすることで、いくらでも可能性は広がりうるということ。一括新卒採用で例え失敗したとしても、いくらでも敗者復活の道はあるんだ、ということが示唆されています。

まとめ

戦後、官民一体となって作り上げてきた日本的雇用慣行から派生した、新卒一括採用、及び学歴でのフィルタリングは、2017年度新卒採用も残念ながらまだまだしっかり機能しています。ただし、10年前や15年前と違う点は、女性・高齢者活用に代表される人材の多様化と少子高齢化進行のダブルパンチにより、その抜け穴が広がりつつあるということ。

必ずしも、新卒採用で難関企業に内定を取ることがゴール、というわけではありませんが、いくらでもやりようはあるんだよ、ということを、現役採用担当の目線から少し語ってみました。

それではまた。

かるび