あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

MENU

代表作続々!奥村土牛展は傑作・名作が目白押しの特別展でした!【展覧会レポート・感想】

f:id:hisatsugu79:20190222103139j:plain

かるび(@karub_imalive)です。

2019年は、広尾の丘の上に美術館が移転してちょうど10周年。山種美術館では、これを記念して年間を通じて「広尾開館10周年記念特別展」が開催されます。

その第一弾として開催されているのが、戦前~平成にかけて日本画壇で息の長い活躍をした巨匠・奥村土牛の画業を総覧できる「奥村土牛展」です。早速行ってきましたので、詳細なレポートをまとめました。

※なお、本エントリで使用した写真・画像は、予め主催者の許可を得て撮影・使用させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。また、文中で紹介させて頂いている作品は、すべて山種美術館の所蔵作品です。

1.なぜ山種美術館での「奥村土牛展」が見逃せないのか?

理由1:山種美術館は、奥村土牛の作品を135作品も所蔵している!

f:id:hisatsugu79:20190222121329j:plain

非常に長命だった奥村土牛は、最晩年となる101歳まで絵筆をふるい続けましたが、山種美術館では初期~最晩年に至るまで、土牛の作品を大量135点も所蔵しているのです。

本展では、その中から、院展出品作や人気作品を中心に、特に選りすぐった作品・資料を65点展示。まさに質・量ともに奥村土牛のベスト・オブ・ベストといった感じのラインナップになっているのです。

理由2:勝負作である「院展」出品作品が35点も一挙展示されている

f:id:hisatsugu79:20190222121307j:plain
奥村土牛《舞妓》

「新しい日本画を創造する」として明治31年、岡倉天心らによって創設され、横山大観、速水御舟、安田靫彦、小林古径ら綺羅星のごとくスター絵師達を輩出してきた名門・日本美術院。その日本美術院で毎年秋に開催される「院展」は、多くの画家にとって毎年一番の自信作をお披露目する場でした。

奥村土牛も、キャリア中期頃から毎年秋の院展にて勝負作を発表していきますが、彼のキャリア半ば以降に発表された「院展」出展作品はほぼ全て山種美術館に収蔵されています。そして、今回の「奥村土牛展」では美術館が所蔵する院展出展作品全35点が全点展示されているのです。

なぜそんなに「院展」に出品した作品を山種美術館が多数所蔵しているのか、ギャラリートークにて特別研究員さんにお聞きしたところ、「院展に出展した作品は、可能な限り山種美術館にて収蔵してもらいたいという希望が奥村土牛からもあったといいます。それは裏返すと彼ら二人の信頼関係が非常に強固なものだったともいえますね。」とのことでした。

実際、1983年に山﨑種二が療養生活を送っていた熱海の別荘で亡くなった時、当時94歳だった土牛はわざわざ遠方から種ニの横たわる枕元へかけつけ、涙を流して最後の別れを悼んだとのエピソードも残っているように、山﨑種二と奥村土牛の間には約50年にわたる親密な交流があったのです。(このエピソード、めちゃくちゃいい話ですよね?)

2.奥村土牛とは?

f:id:hisatsugu79:20190222114207j:plain
奥村土牛(展覧会場写真パネルから引用)

奥村土牛は超長命だった偉大な日本画家です。1889年(明治22年)に生まれ、101歳の天寿を全うするまで、ひたすら画業に打ち込んだ人生でした。

雅号である「土牛(とぎゅう)」を命名したのは実父。「土牛(どぎゅう)石田を耕す」という中国の唐時代の古い詩の一節にちなんで名付けられました。土牛はこの一節から『牛が石ころの多い荒れ地を根気よく耕し、やがては美田にかえるようたゆまず精進する』と心に決めて、絵の道に邁進したのですね。

f:id:hisatsugu79:20190222114229j:plain
奥村土牛《犢(こうし)》

土牛は梶田半古門下生でした。そして、生涯「師」と仰いで敬愛したのは日本美術院で安田靫彦、前田青邨とともに「院展三羽烏」と謳われた、兄弟子の小林古径。展覧会を見ると、僕のような素人でも「この花瓶のかたち、古径そっくりじゃね・・・」とわかるほど、土牛は小林古径から多大な影響を受けています。

f:id:hisatsugu79:20190222114243j:plain
奥村土牛《浄心》

例えばこちらの作品。敬愛する古径が亡くなったことをきっかけに取り組んだ中尊寺一字金輪坐像を描いた《浄心》。流れるような線描や寄り目の顔面は古径作品を彷彿とさせます。

しかし兄弟子の華々しい活躍とは裏腹に、土牛の日本画家としてのそのキャリアが花開いたのは遅く、彼が院展に初入選したのは1927年。38歳の時でした。もう軽くおっさんです。

しかし土牛はそこからが凄い。無名時代から山﨑種二の支援を受けられる幸運にも後押しされ、ひたすら画業に邁進してきた努力がとうとう実を結びます。円熟期を迎えた60代、《舞妓》《城》《那智》《鳴門》など傑作を連発。一番の代表作である《醍醐》は83歳の時に、《吉野》は88歳の時に描かれるなど、キャリア後期~晩年にかけて大ブレイクを果たしたのでした。

f:id:hisatsugu79:20190222121925j:plain
奥村土牛《白寿記念》

今回の「奥村土牛展」では、白寿(99歳)を記念して企画された展覧会のために98歳の時に描かれた《山なみ》や自らしたためた墨書《白寿記念》を第二展示室で見ることができます。90代後半にしてまだこの画力をキープしているのかと、まさに「大器晩成」とは土牛のためにある言葉だなとしみじみ思い至らされました。 

3.展覧会での6つのオススメ鑑賞ポイントとは?

本展では最初から最後まで本当に見どころたっぷりで、大満足して帰ってきたのですが、特にその中でも、見逃したくない鑑賞ポイントをいくつか絞ってまとめてみます。

鑑賞ポイント1:定番の人気作品はほぼ全て登場!

f:id:hisatsugu79:20190222111320j:plain
奥村土牛《鳴門》

前述したように、山種美術館では135点もの土牛作品を所蔵しています。年間5~6回開催される企画展・特別展でも土牛作品は代表作を中心に頻繁に展示されています。(お客さんのリクエストも多いのだとか)

f:id:hisatsugu79:20190222111402j:plain
奥村土牛《吉野》

今回の展覧会では、春を先取りできる《醍醐》《吉野》をはじめ、姫路城を個性的な視点で描いた《城》、リアルさと可愛らしさが絶妙のバランスで描かれた《舞妓》、下絵よりもぐっと進化した迫力の《鳴門》など、山種美術館が所蔵する土牛の人気作品がほぼ全部見ることができるのです。

鑑賞ポイント2:色とかたちで対象の「本質」を捉えるまなざし

丹念に土牛の作品を見ていくと、土牛が単純に「写実」を最重要視していたわけではないのだな、ということは割とすぐに気づきます。たとえば花瓶やツボは不自然に曲がってますし(笑)

僕が最初に土牛が「写実」以外の別の何かを大切にしていたのだな、と気付かされたきっかけは、姫路城の天守閣を描いた《城》という作品でした。

f:id:hisatsugu79:20190222103504j:plain
奥村土牛《城》

本作は姫路城の天守閣を下から見上げた時の印象を表現したものなんですが、なんだか遠近法が狂っていて、天守閣が大きすぎますよね。最初見た時は、恥ずかしながら「えっ、なにこれ。この作品のどこがいいの」と嘯いていたものです。正直同じ場所から写真で撮影したならば、こんな感じでは見えないはずです。

でも、実際にその後姫路城に行って、土牛が描いたであろう場所に立ってみて、姫路城の再下層部から天守閣を見上げた時に腑に落ちました。白亜に塗られた巨大な建物が迫りくる圧迫感や異物感。これを土牛は表現したかったのかと。

つまり、土牛は写真みたいに写実一辺倒を目指すのではなくて、描く対象物のエッセンスを強調して描くことに腐心していたんだということに気付かされたのです。

f:id:hisatsugu79:20190222110201j:plain
奥村土牛《軍鶏》

動物もそうです。例えばこの「軍鶏」なども、鶏というよりも、馬や牛並みに強調され、不格好にも見えるほど大きく足腰が描かれています。軍鶏ってこんなに足太いのか?と思って、先日国立科学博物館で軍鶏の剥製を見てきたのですが、ここまで太くはありませんでした(笑)

このように、土牛は見たものをそのまま写実的に描くのではなく、「色」や「かたち」を工夫することにより、ある意味写真以上に描く対象の本質を捉えようと努めていたのですね。実際、展覧会場の解説パネルには「修行時代、兄弟子の小林古径から作品集をもらって熟読し、セザンヌや後期印象派の印象を受けた」と書かれていました。 特にセザンヌの影響が強く出ている作品がこちら。

f:id:hisatsugu79:20190222110343j:plain
奥村土牛《雪の山》

よーく近づいてみてみると、筆を置くタッチやストロークには、確かにセザンヌ的なリズム感が感じられます。写真だとどうしてもボケちゃう部分なので、ぜひ美術館で現物をかぶりつきでチェックしてみてください!

鑑賞ポイント3:動物たちがあざといくらいにかわいい!

f:id:hisatsugu79:20190222110505j:plain
奥村土牛《春光》

土牛作品を丹念に見ていくと気づくのが、(《軍鶏》など一部の例外を除いて)動物たちに向けられた愛おしむようなまなざしです。鹿やウサギなどの草食動物を描く時、必要以上にかわいいのです(笑)

f:id:hisatsugu79:20190222124539j:plain
奥村土牛《兎》部分拡大図

実際、土牛は動物を描く時「温かな情味が大切」と語っており、小動物たちの「可愛さ」に着目して、実物よりも愛くるしいフォルムになるように計算して描いている感じなんですよね。ぜひ、「眼」をはじめとした、動物たちの味わい深い表情に注目して見てください。

f:id:hisatsugu79:20190222110524j:plain
ヤ◯ザの親分のような貫禄が!

ちなみに、こちらがグラサンをかけた円熟期の土牛先生。・・・。白黒写真からは、昭和の任侠団体トップのようなコワモテオーラが全開ですが、動物たちにそそぐ慈しむような眼差しは間違いなく本物なのです。

鑑賞ポイント4:写実的に描かれたリアルな植物 

とはいえ、土牛は画力に自信がなかったから写実的に描くことを避けていたわけではないんです。それがよく分かるのが、60代頃までのキャリア中期に描かれた写実的な植物画の作品群です。

f:id:hisatsugu79:20190222110818j:plain
奥村土牛《花菖蒲》

f:id:hisatsugu79:20190222110854j:plain
奥村土牛《花菖蒲》部分拡大図

こちらの花菖蒲は、茎から下こそ尾形光琳の「燕子花図屏風」のような琳派的なデフォルメ感がありますが、花そのものは非常に精巧に描かれており、土牛の鋭い観察眼と高い写実力を示していると感じました。

f:id:hisatsugu79:20190222110758j:plain
奥村土牛《ほゝづき》部分拡大図

さらにこちら。十八番の「たらしこみ」を縦横無尽に駆使し、熟れて色づくほおづきの葉の絶妙のグラデーション。まさに日本画を観る醍醐味をたっぷり味あわせて頂きました。

鑑賞ポイント5:下絵と実物を比べる楽しみ

本展では、《鳴門》《城》《那智》といった代表作については、下絵も一緒に展示されています。土牛は、作品制作に取り掛かる際、まず現地に何度も赴いてその場でスケッチを描いてから、それを元に作品制作に取り掛かることが多かったみたいです。

ギャラリートークでは、「作家によっては、下絵>>>作品となる残念なケースも結構あるけれど、土牛の場合は下絵よりも本作品のほうが断然良くなっていることが多いです」との解説があり、「どれどれ・・・」と見てみると、確かに!

f:id:hisatsugu79:20190222112916j:plain
奥村土牛《那智瀧(画稿)》

f:id:hisatsugu79:20190222112904j:plain
奥村土牛《那智》

これは凄い。下絵《那智瀧(画稿)》自体も素朴な良さが味わえますが、このスケッチを元に制作された作品《那智》は迫力満点の大パノラマ画面が楽しめる大作へと大化けしています。この下絵と本作品の違いを楽しむのも、豊富に土牛作品を収蔵する山種美術館ならではの展覧会の面白さだと思います。

鑑賞ポイント6:キャリア中期~晩年にかけて変化していく作風

本展は回顧展らしく、おおむね描かれた年代順に作品が並んでいます。展示室も折り返しを過ぎて後半に入って80代頃の作品から、徐々に作風に変化が見られるようになります。それがよく分かるのがこちらの作品《海》。

f:id:hisatsugu79:20190222122008j:plain
奥村土牛《海》

画面からは余計なオブジェクトが消され、水平線一杯に広がる海と岸壁に打ち寄せる波が、清らかで温かみのある色調で描かれています。

たらしこみによるにじみの偶然性を画面内で最大限生かしつつ、従来より抽象性が増した画面を見ていると、老境を迎え、肩から余計な力が抜けて、より純粋に絵を描くことを楽しんでいるような土牛の心境が感じられました。

f:id:hisatsugu79:20190222140137j:plain
奥村土牛《海》部分拡大図

しかも、画面をよく見ると、なにかマス目のような線が見えますよね。解説によると、下地に恐らくプラチナ箔を貼ってから、その上に描いているのだそうです。80代を過ぎてもなお、新しい表現に挑戦し続けていた土牛のチャレンジ精神がよくわかる作品でした。

f:id:hisatsugu79:20190222111129j:plain
奥村土牛《山中湖富士》

こちらは93歳の時の作品。空の水色や、たなびく雲を突き抜けて顔をだす富士山の清冽な「群青」には、まさに土牛の特徴がしっかり出ていますよね。横山大観の描く富士山と並べて鑑賞してみたいなぁと思いました。

f:id:hisatsugu79:20190222122316j:plain
奥村土牛《山なみ》

そしてこちらが最晩年中の最晩年、土牛98歳の時に描かれた、富士山を想起させる山の風景。真っ白に雪をかぶり、空と山の境目に金色のオーラをまとう山は、「白寿」を目前に控えた土牛自身を表しているのでしょうか? 

ちなみに、本作制作時に「今までにやったことのないことをしているんです」と力強いコメントが残されています。まさに恐るべきチャレンジ精神。100歳を目前にして、なおも新境地を開拓しようと挑戦し続けていた土牛の情熱には頭が下がります。 

4.その他非常に良かった作品をピックアップ!

その他にも、沢山の作品に目を惹かれました。せっかくなのでもう少しだけ作品を紹介してみたいと思います。

白と灰色で表現された「雨」に注目したい《雨趣》

f:id:hisatsugu79:20190222111208j:plain
奥村土牛《雨趣》

こちらは展示されている作品の中では最も古い作品の一つ。面白かったのが「雨」の表現です。写真ではよく見えないのですが、「白」と「灰色」の2色を使って表されているんです。これは珍しいなと・・・。初夏の昼時に、雨で煙るじとっとした空気感も非常に味わい深く、タイトル通り《雨趣》をたっぷり楽しめました。

精緻に描かれた枇杷とコケシのような少女の対比が面白い《枇杷と少女》

f:id:hisatsugu79:20190222113342j:plain
奥村土牛《枇杷と少女》

この作品でまず目が行くのが、生い茂った枇杷の木のいきいきとした質感や、葉の一枚一枚やオレンジの実の質感まで細かく写実的に描かれた枇杷の木です。 

f:id:hisatsugu79:20190222113427j:plain
奥村土牛《枇杷と少女》部分拡大図

岩絵の具を盛り上げて立体的に表現された歯の表面に走る葉脈や、絵の具のグラデーションが美しい枇杷の実など、ほれぼれするような作品です。

しかし、その一方で、左下に描かれた所在なさ気な少女がまさに対比的で面白かったのです。

f:id:hisatsugu79:20190222112628j:plain
奥村土牛《枇杷と少女》部分拡大図

しかもこのおかっぱ頭の少女、美少女・・・というより、丸顔や顔にちょこんとついた各パーツを見ていると、まるでコケシのようです。コケシにじっとこっちを見られているような、そんな不思議な感覚が残る作品でした。

身近なモチーフを写生に基づき描いた《花》

f:id:hisatsugu79:20190222111221j:plain
奥村土牛《花》

アサガオをはじめ、3種類の夏の草花を丹念に描いた作品。動物などはかなりデフォルメして描く事が多い土牛ですが、植物を描いた作品(特に花の部分)では対象物の細部まで丁寧に描写した作品も多く、自分好みの作品がいくつもありました。本作はその中でも一番目を惹かれました。

f:id:hisatsugu79:20190222111233j:plain
奥村土牛《花》部分拡大図

本作は、花弁だけでなく、花芯や弁ひとつひとつまで丁寧に描かれており、非常に気に入った作品の一つでした。疎開先の信州を引き払い、西永福に新居を構えた昭和26年の自庭を描いたものです。街中にはまだ戦災の爪痕が残る中、庭の片隅に見事に咲いた芙蓉・百合・朝顔を見て、嬉しくなって気合を入れて写生したのでしょうね。

入り口最初に掛けられた一番人気の《醍醐》

f:id:hisatsugu79:20190222111428j:plain
奥村土牛《醍醐》

本作は2018年では「桜」をテーマとした企画展「桜 さくら SAKURA 2018」でも出展されていた、土牛作品の中で最も人気の高い作品の一つ。本展では展覧会場の入口部分に大きく展示されています。

f:id:hisatsugu79:20190222112505j:plain
醍醐寺境内(2018年10月撮影)

昨年、ちょうど京都に遊びに行った時、この土牛の《醍醐》が描かれた醍醐寺に行ってみようと急遽思い立って行ってみた(京博から調子に乗ってタクシーに飛び乗ったら3500円もかかりました・・・OTL)のですが、行ってみたら現地には本当に土牛の描いたような情景が広がっていて感激でした。これぞ聖地巡礼の醍醐味。今度はぜひ桜の季節に再訪したいと思います。 

5.春を先取りできる華やかなグッズも注目

今回目立ったのは、土牛の描いた「桜」をモチーフとした、「春」を先取りできそうな華やかなグッズ類です。

たとえば、「醍醐」「吉野」をモチーフとしたグリーティングカード。部屋に飾れば室内がパッと明るくなりそう。

f:id:hisatsugu79:20190222102817j:plainf:id:hisatsugu79:20190222102801j:plain

もう少し本格的に飾りたい人のために《醍醐》については色紙も制作されています。

f:id:hisatsugu79:20190222102844j:plain

また、今回展に合わせて制作された新作のハガキ《紅白梅》《早春》《枇杷と少女》《あけび》の4種類。いずれもかなり売れているようですよ。

f:id:hisatsugu79:20190222120316j:plain

この写真を撮った時、「あれっ。なんだろうこれ・・・」と目が行ったのが、ハガキを自立させるために使われていた「マグネットカードスタンド」です。

これも実はグッズでした。

f:id:hisatsugu79:20190222120514j:plain

使い方は簡単。マグネットカードスタンドの「花」と「茎」の間にハガキを挟むだけでOKです。磁力でハガキを固定してくれます。 

f:id:hisatsugu79:20190222102945j:plain

これはなかなかいいですよね。カードをしっかり挟み込んで支えつつ、見た目も美しい優れものです。 

そして、今回展で制作されたオリジナルグッズでおすすめなのがこちら。祇園辻利とコラボして制作された「宇治茶 抹茶あられセット」です。中には、煎茶、ほうじ茶のティーバッグが2回分ずつ、6枚入りの抹茶あられが2箱入っています。

f:id:hisatsugu79:20190222112741j:plainf:id:hisatsugu79:20190222112721j:plain

こんな感じでコンパクトな箱に入っていますので、自宅で使うだけでなくちょっとした贈り物にぴったりですよね。

また、展覧会に出品された土牛作品にちなんだ、青山の和菓子匠「菊家」とのコラボ和菓子もいつものように5種類ちゃんと用意されています。

f:id:hisatsugu79:20190222103048j:plain

「Cafe椿」の店員さんに聞いてみたのですが、これらの和菓子は賞味期限が短めなので、営業日はほぼ毎朝軽トラでフレッシュな状態の商品が山種美術館に必要な分だけ届くのだそうです。(週1くらいで入荷して、あとは冷蔵庫に入れておくのかと思ってました・・・)だからお土産用の「持ち帰り」もOKになっているのですね。新鮮なできたての和菓子、本当においしいのでおすすめです。

【★追加情報★】
山種美術館の方からお聞きしました。3月1日~3月3日までは、ひなまつり限定和菓子も予定されているそうです!

6.混雑状況と所要時間目安

f:id:hisatsugu79:20190222103107j:plain

ここまで2回足を運びましたが、いずれも快適に観ることができました。山種美術館の場合、お客さんに主婦層が多いのか、日中は混雑していても閉館前は他館よりも顕著にお客さんがスーッと引いて行く傾向にあるので、じっくり空間を独り占めしたいなら15時30分以降がおすすめ。

特に16時30分を過ぎてからの閉館30分前は、静かに作品に向き合いたい人にはパラダイスのような空間となります(笑)ぜひ、来館時間に一工夫して快適な鑑賞を楽しんでみてください!

7.まとめ

f:id:hisatsugu79:20190222124354j:plain
奥村土牛《あけび》部分図

その名の通り「牛」のような確実な歩みで、遅咲きながら息の長い活躍で日本美術史に足跡を残した巨匠・奥村土牛。

兄弟子・小林古径から受け継いだしなやかな線描、絵の具のにじみの偶然性を活用した「たらしこみ」の趣ある風情、明るく穏やかな色使い、動植物に対する慈愛あふれるまなざしなど、バラエティに富んだ作品群で奥村土牛の個性をたっぷり感じられる素晴らしい展覧会でした。

個人的には上半期ベスト10に入るかな。オススメなのでぜひ足を運んでみてください!

それではまた。
かるび 

展覧会開催情報

◯展覧会名
【山種美術館 広尾開館10周年記念特別展】
生誕130年記念 奥村土牛
◯美術館・所在地
山種美術館
〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-12-36
◯最寄り駅
JR恵比寿駅西口・東京メトロ日比谷線恵比寿駅 2番出口より徒歩約10分
JR渋谷駅15番/16番出口から徒歩約15分
恵比寿駅前より日赤医療センター前行都バス(学06番)に乗車、「広尾高校前」下車徒歩1分
渋谷駅東口ターミナルより日赤医療センター前行都バス(学03番)に乗車、「東4丁目」下車徒歩2分
◯会期・開館時間
開催中~3月31日(日)
10時00分~17時00分(入場は30分前まで)
◯休館日
毎週月曜日
◯公式HP
◯公式Twitter