あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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【ネタバレ有】「ドクターストレンジ」感想とあらすじ・伏線の徹底解説!大迫力VFXの映像美に見惚れる大作映画!【Q&Aまとめ】

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【2017年2月14日更新】
かるび(@karub_imalive)です。

美麗でファンタジックな予告動画を見て以来、これは絶対行きたい!と心に決めていたドクター・ストレンジ。気合いを入れて初日に見てきました。いや~よかった~。

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※後半部分は、かなりのネタバレ部分を含みますので、何卒ご了承下さい。

1.映画「ドクターストレンジ」の基本情報

<「ドクターストレンジ」予告動画を見る!>

動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】(「デビルズ・ノット」「フッテージ」)
【配給】ディズニー
【時間】115分
【原作】MARVEL「ドクター・ストレンジ」シリーズ

本作品は、アベンジャーズなどの「マーベル・シネマティック・ユニバース」シリーズ12作目となる最新作。(以下、「MCU」と省略)原作のマーベルアメコミ「ドクター・ストレンジ」シリーズは意外に古く、その起源は1960年代に遡ります。

これまでなぜか実写化されなかったのが不思議なくらい、封切り後すぐに世界中で大人気となった本作。主人公のドクター・ストレンジが魔術師になるまでの前日譚から、最初の強敵と戦うところまでを描きます。

2.映画「ドクター・ストレンジ」の主要登場人物とキャスト

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ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)
物語の主人公。優秀なエリート外科医だったが、交通事故で外科医の命でもある両手の感覚を失い、悲嘆に暮れる。なんとか両手を取り戻そうとあがいた結果、エンシェント・ワンの率いるチベットのカマー・タージへとたどり着き、彼の本当の冒険が始まる・・・

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クリスティーン・パーマー(レイチェル・マクアダムス)
ストレンジの同僚にして恋人未満。プライドが高く高慢なストレンジが、唯一心を許し、密かに想いを寄せる相手だが、事故後、彼の元を去る。映画「サウスポー」でのヒロイン役以来、久々に見ました。もう何気に40前の女優ですが、年齢を感じさせない若さはさすが!

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モルド(キウェテル・イジョフォー)
エンシェント・ワンの忠実な弟子として、カマー・タージで修行に励む。ストレンジの修行、成長を助け、彼の良きパートナーとして共に悪に立ち向かう。演じるキウェテル・イジョフォーは、「オデッセイ」「シークレット・アイズ」など、昨年ハリウッド映画でよく目にしました。最近、大きくジャンプアップした印象があります。

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ウォン(ベネディクト・ウォン
カマー・タージの図書館の守護者。魔術体系について、膨大な知識を持っている。悩めるストレンジに助言をして、彼の成長を助ける。アジア系の容貌を活かし、ここ最近は大作映画での東洋人系としての脇役が多い印象ですが、彼もキウェテル・イジョフォー同様、「オデッセイ」に出ていましたね。

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カエシリウス(マッツ・ミケルセン)
本作の悪役。かつては、カマー・タージでエンシェント・ワンに従って修行を積んでいたが、闇の魔術に魅せられてダークサイドに落ちる。闇の魔術の力で、世界を破滅に追い込もうとして、ストレンジたちと対決する。

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エンシェント・ワン(ティルダ・スウィントン)
カマー・タージの指導者。長年、神秘の力の守護者として秘密を守り続けたが、ストレンジが現れた時、魔術の継承者として彼を見出し、鍛え上げる。

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3.ラスト・結末までの詳しいあらすじ(※ネタバレ注意)

序章~外科医ドクター・ストレンジの挫折

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スティーブン・ストレンジ医師は、天才医師だった。同僚のクリスティーン・パーマー医師から頭に弾丸が入った脳死患者の難しいケースを依頼されても、難なく手術を成功させる腕前を持っている。故に、高慢で唯我独尊な一面もあった。

そんな彼に大きな挫折を与えたのが、その日手術後に晩餐会に向かう途中で遭遇した自動車事故だった。一命は取り留めたものの、外科医の生命線とも言える両手の神経機能をほぼ失ってしまったストレンジ。

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最先端の医療方法など、最善を尽くして懸命に様々な手を尽くすも、回復せず自暴自棄になったストレンジ。全ての財産を失った上、最後まで勇気づけてくれたクリスティーンにも辛く当たり、唯一心を許せる彼女も彼の元を去った。

ストレンジの旅立ち~カマー・タージへ~

しかし、リハビリ担当医から紹介された半身不随の患者が奇跡的に治癒したジョナサン・パングボーンと会い、彼がかつていたというネパール、カトマンズのカマー・タージという奥地へと旅立った。

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道中、物騒な街中で盗賊に遭遇するも、カマー・タージの男の手引で、無事にカマー・タージへたどり着いた。ストレンジはそこでまずエンシェント・ワンと名乗る女性の導師と対面し、両手の治療を頼んだ。エンシェント・ワンは、自分の内面を見つめ直して治せと答えた。

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期待していた治療が受けられないと悟り、ストレンジは、エンシェント・ワンに食ってかかるが、エンシェント・ワンは、ストレンジに多元宇宙のイメージを見せ、彼の心の内面にある恐怖を浮かび上がらせた。そのイメージに圧倒されたストレンジは、その場で弟子入りを懇願した。

闇の魔術に魅せられ、ダークサイドに落ちて去っていったかつての弟子カエシリウスと、その高慢な姿勢がダブってみえた。彼女は悩んだものの、最終的に、弟子、モルドの推薦もあり、ストレンジを受け入れて修行させることにした。

飲み込みが早く、勉強熱心なストレンジは、修行と並行してカマー・タージの図書館でも熱心に勉強に取り組んだ。図書館の守護、ウォンは彼に読むべき魔法の本をアドバイスしつつも、奥のエンシェント・ワンだけが立ち入る専用エリアには入らないように警告した。カエシリウスがいくつかのページを持ち去った本があるが、それには決して手を触れてはならないと。

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エンシェント・ワンは、仲間たちと熱心に修行に励んだが、成果が上がらないストレンジに荒療治として、彼を生命の危険もあるエベレストの頂上へテレポートさせた。心配するモルドが見守る中、リミットである30分以内に呪文の詠唱に成功したストレンジは、なんとかカマー・タージへ戻ってきた。

これを機に、ストレンジは書物から「アストラル投射」による幽体離脱をマスターし、エンシェント・ワンからミラー次元の活用法についても学び、自分のモノにしていった。

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また、モルドはストレンジに「レリック」と呼ばれる古代から伝わる道具に魔法を宿らせて戦う、魔法戦闘のスキルについてもトレーニングを授けるのだった。

禁断の魔術習得と、ヴィラン、カエシリウスとの戦い

ある眠れない日の深夜、ストレンジはウォン不在の図書館で閲覧を禁じられた「カリオストロの書」を読み進め、アガモットの眼を使い、時間を戻してカエシリウスに持ち去られたページを復元することに成功した。そして、時間を巻き戻す魔法を自分自身で習得したのだった。

そこへ戻ってきたウォンは、ストレンジを戒め、時間を操作するという自然の摂理に背いた魔法は使ってはいけない、アヴェンジャーズが物理的な脅威から世界を守る一方で、我々は魔法の脅威から世界を守らなければならない、と諭すのだった。

ストレンジはウォンに連れられ、3つの「サンクタム」と言われる時空間のゲートについて教えられた。世界には、ニューヨーク、ロンドン、香港の3つの「サンクタム」が存在し、それぞれが魔術師のマスター達によって守られているのだ。

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そこに、カエシリウスがサンクタムから突然乱入してきた。その弾みで、ストレンジとモルドは、ロンドンサンクタムへと押し出された。ストレンジは必死に戦い、カエシリウスの部下達を倒すと、カエシリウスとの一騎打ちになったが、まだ上手く魔法を使えないストレンジは防戦一方となった。その時、部屋に保管されていたレリックの一つである、「浮遊マント」がストレンジを守り、カエシリウスを動けなくした。

囚われたカエシリウスはストレンジに、真の敵は永遠の存在になろうとする人間を阻む「時間」であり、「時間」を超越する暗黒次元こそ、人間を真の幸福に導く目指すべき目標なのだ、と語った。暗黒次元からドラマムゥを召喚し、パワーを引き出そうというのだ。また、エンシェント・ワンが不老長寿でいられるのも、彼女が秘密裏に暗黒次元から力を得ている何よりの証拠であり、彼女は偽善者だ、と断じた。

ストレンジが聞き入っていると、そこに後ろからカエシリウスの弟子がストレンジの胸を貫いた。咄嗟の機転でニューヨークへテレポートし、ストレンジが以前勤務していた病院でクリスティーンの緊急手術を受けた。

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クリスティーンの手術中、アストラル次元へと抜け出したストレンジは、病院内でカエシリウスの部下とアストラル体のまま戦い、なんとか倒すことに成功した。

以前とは違うストレンジの言動や服装にとまどうクリスティーンを尻目に、再びロンドンサンクタムへと戻ったストレンジは、アストラル次元で倒したカエシリウスの部下が、物理次元で死んで倒れているのを発見して、愕然とした。

エンシェント・ワンの死とストレンジの成長

そこへ、モルドとエンシェント・ワンが追いついてきた。「浮遊マント」を身に着け、レリックを使いこなせるようになったストレンジに「マスター」の称号を与えた。そして、カエシリウスに備え、ロンドンと香港のサンクタムを守るように指示を出した。ストレンジは、不服そうに受け入れた。そして、エンシェント・ワンに、なぜ暗黒次元から力を得ているのか問いただしたが、エンシェント・ワンははぐらかすのだった。

カエシリウスが戻ってきた。ストレンジは、その場で全員をミラー次元へと引き込んだ。カエシリウスとエンシェント・ワンの間で激しい戦闘が繰り広げられたが、最後にはエンシェント・ワンはカエシリウスにやられ、ミラー次元を出て現実世界へと落下して瀕死の大怪我を負った。

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そのまま、病院のERへ連れていき、ストレンジ自らオペを開始しようとしたが、手が動かない。すると、エンシェント・ワンはアストラル体となって、離れた隣の部屋へ移動した。同じく、ストレンジもアストラル体となって彼女を追った。

エンシェント・ワンが暗黒次元からパワーを得ているのは、破滅的な未来を救うためにやっていることだが、救っても救っても状況は良くならないとストレンジに話した。また、彼の中に可能性を感じている、とも伝えた。その可能性を閉ざしているのが、傲慢な姿勢と恐怖心なのだという。彼女は、死ぬ前に、自分自身を救えるのは自分の内なる力であり、ストレンジに闇の支配者、ドルマムゥを止めるように伝えた。

エンシェント・ワンが死ぬと、改めてストレンジはクリスティーンに過去の謝罪と別れを告げた。人類のために戦う、と決めたのだ。彼は、キスをして魔術でテレポートして病院から立ち去った。

暗黒次元の支配者ドルマムゥとの最終対決

香港サンクタムでは、ウォンがカエシリウスの襲来に備えて守りを固めていたが、カエシリウスは既に香港に到着しており、すぐに対決が始まった。一方、ストレンジは一旦カトマンズのサンクタム・サンクトラムに戻り、エンシェント・ワンを失い、意気消沈するモルドを説得して、共に香港サンクトラムへ向かった。

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しかし、二人が到着した頃には、すでに香港サンクタムは暗黒次元に飲み込まれ始めていたので、ストレンジは奥の手として時間を戻す呪文を唱えて街を修復した。そして、そのままドルマムゥの元に向かった。

ストレンジは、暗黒次元に到達すると、再度時間を戻す呪文を唱え、彼とドルマムゥを永遠に時間のループの中に閉じ込めた。ドルマムゥは、ストレンジを赤子の手を捻るように殺し続けたが、殺しても殺しても、時間が戻るのだった。ストレンジは、最終的にカエシリウス達の地球からの永久追放と引き換えに、呪文を解除した。

エピローグ~モルドが去り、物語は続編へ

戦いが終わり、ストレンジは、香港サンクタムから戻ると、「アガモットの眼」を図書館の元の場所に返却した。ウォンは、ストレンジを新たにサンクタムの守護者に命じた。

しかし、香港で時間を大きく戻すなど、自然の摂理に反した魔術の使用は、必ず副作用があるはずだから、俺は別の道を行くと言い残して、モルドはカマー・タージを去った。

ストレンジは、久々に自宅に戻り、一息をつき、次の戦いに備えて、魔術師としての自分の運命を静かに受け入れていた。クリスティーンからもらった、今はもう動かない時計を大切そうに腕にはめた。そして、ふと自分の手を見ると、知らない間に手の神経が元に戻り、昔のように動かせるように回復していたのだった。

MCU恒例エンドロール~次回続編予告

<エンドロール1:MCU次作品の予告>
ストレンジの元に来客が来ていた。「マイティソー」のソーだ。彼がビールを飲み干すと、ストレンジは魔術を使い、ビールを再度充填するのだった。ソーは、弟のロキとともに、父、オーディンを探しにニューヨークに来たのだという。ストレンジは、喜んでソーの父親探しのサポートをすると申し出た。

<エンドロール2:ドクターストレンジシリーズの続編予告>
カトマンズを離れ、一人になったモルドは、かつての同僚、ジョナサン・パングドールの工場を訪れていた。そこで、パングドールを魔術で再び半身不随にして現場を立ち去った。この世界には魔法使いが多すぎるのが全ての間違いの元であり、これから魔法使いたちを一人ひとり探し出すのだ、と不穏なコメントを残して消えていった。

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4.感想や評価(※ネタバレ有注意)

4-1.マーベル作品では初の「魔法」ジャンルが新鮮!

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「アイアンマン」「ハルク」「キャプテン・アメリカ」「マイティ・ソー」など、過去のMCU作品マーベルのヒーロー物シリーズでは、コンセプトは少しずつ違うものの、肉体的な戦闘や、物理的な攻撃で相手をスカッと倒す!というのが定番でした。でも、ストレンジは肉体的な戦闘ではなく、大規模な火力や念力といった「魔術」で敵と戦い、また悪役も闇の魔術で対抗しました。

途中、図書館の守護、ウォンのセリフで、「アベンジャーズが物理的な脅威から世界を守る一方で、我々は魔法の脅威から世界を守らなければならない」とあったように、マーベル・シネマティック・ユニバースの世界でのユニークな立ち位置が良くわかります。

ただ、全部(波動拳みたいな)魔法を打ち合って対決する、より魔法寄りの「ファンタビ」「ハリポタ」シリーズに比べると、アクション要素がより強めでした。身振りにより魔法円を作り出し、その魔法円が作り出した武器でカンフーばりに近接戦闘で戦うシーンは、真新しさを感じました。

4-2.圧巻だった、時空間の狭間にある多元宇宙の描写

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途中、ビルや道路が曲がったり、都市が4次元空間のように歪んだり、クライマックスで世界が巻き戻りながら、その同じ空間上で戦うシーンはもちろん見応え抜群でした。でも、僕が感じたVFX/CGでのハイライトは、序盤で、カルマ・タージで初めてエンシェント・ワンと出会ったストレンジが、多元宇宙の中でさまようシーンです。悪も善も、光も闇も、上下左右など全て統合し、複合的に折り重なる様々な次元の中を高速でさまよう映像が圧巻!

まさにアート的な異次元空間であり、ブラックホールや別次元を映像で表現した映画の中では、歴代最高クラスの仕上がりなんじゃないのかな思います。映画館の大スクリーンでこれが見れただけでも、1800円は払う価値があったなと思いました。凄い映像だった・・・。

4-3.「マトリクス」「インセプション」からのオマージュ

物語序盤で、ストレンジが異世界=カマー・タージへたどり着き、そこで師の元、中華的な環境での修行の結果、覚醒する、という流れは、映画「マトリクス」の序盤にそっくり。途中まで、モルドがモーフィアスにしか見えませんでした。

また、ストレンジがニューヨークに戻ってきてから、魔法で現実の物理世界がぐにゃぐにゃ曲がっていくシーンは、映画「インセプション」にコンセプトが非常に似ています。特に、ビルが倒れ込むシーンはそのものでした。

実は、スコット・デリクソン監督も特にこの2つの映画マトリクス」「インセプション」に影響を受けて作った、とインタビューでも語っており、やはり・・・と頷きました。この2作が好きな人は、非常に懐かしい気持ちにもなるんじゃないでしょうか。

その他、マントの襟を立てる仕草が、同じくベネディクト・カンバーバッチが主演を務める海外ドラマSHERLOCKでの仕草そのままだったり、マントの動きはディズニー映画アラジンの 魔法のじゅうたんのようだったりとか、ラストシーンで何度も時間が巻き戻り、ストレンジがドルマムゥに殺され続けるシーンは、映画オールユーニードイズキルそのものでした。探せばまだまだトリビア的なオマージュがありそうです。

4-4.腕力ではなく、機転と工夫で敵を倒したオッサンのニューヒーロー

本作は、一見時間を戻す最強魔法を身につけたストレンジが無双したように見えますが、冷静に見ると、全く物理的にまともに戦ってないし、実は薄氷の勝利だったんですよね。実際、彼が倒したのは、カエシリウスの部下わずか1名だけ。

ミラー次元ではカエシリウスから逃げ回っただけですし、途中カエシリウスを捕まえたのもストレンジではなく、マントのおかげでした(笑)そして、最終決戦では唯一覚えた闇の時間魔法をうまく応用し、「交渉」して追い払っただけでした。派手なVFXの視覚効果で、無双したように見えますが、決して敵を倒してないんです!

しかも、カマー・タージで入門して、魔法を覚えたのは中年になってから。西洋医学と唯物論で凝り固まった頭をリセットして、40すぎのオッサンが仲間との修行で遅れを取るシーンは、結構涙ぐましいものがありました。

このように、遅咲きデビューの魔術師が、その場の機転(下手したらペテン的なタイムループ)で乗り切り、世界を救ったという成功譚は、何歳になってもキャリアをやり直し、工夫一つで大きな業績を残すことができるんだという、自信を与えてくれるメッセージも含まれていたと思います。

5.伏線や設定などの解説(Q&A形式で記載)

映画上映自体は、わずか2時間弱の短い時間でしたが、アメコミシリーズから通算して50年以上の歴史がある「ドクターストレンジ」の世界観は、非常に緻密に構築されています。映画中、SF/ファンタジー系の耳慣れない固有名詞が沢山出てきましたので、簡潔にQ&A形式で解説をまとめておきたいと思います。

Q:カマー・タージって?
A:ネパールのカトマンズにある魔術師たちが修行をする彼らの本拠地。原作ではチベットでしたので、若干変更が入っています。

Q:多元宇宙って?
A:人類の住む宇宙とは異なる物理法則や異なる次元にある宇宙。魔術師は、様々なタイプの違う宇宙にアクセスし、エネルギーを引き出して魔法を発動する。

Q:暗黒次元とは?
A:ラスボス、ドルマムゥが支配する、時間や生死のない闇の次元。暗黒次元から闇のパワーを取り出せる魔術師は、不老不死を手に入れることができる。

Q:ミラー次元とは?
A:現実と隣り合わせにある、鏡写しの世界。暗黒次元のエネルギーから成り立ち、空間や物質が自由に折れ曲がる。カエシリウスやエンシェント・ワンは、闇のパワーを使い、この世界を縦横無尽に操ることができる。

Q:アストラル次元とは?
A:幽体離脱した思念体や魂だけの状態で存在する次元。3次元の現実と折り重なって存在しているが、カベなどはすり抜けてしまう。魔術師は、アストラル投射によりアストラル体として活動が可能。

Q:この世界では魔法はどうやって発動するの?
A:呪文を唱えて思考に集中し、異次元の力を引き出して「エルドリッチ・ライト」という輝く光で魔法円を作り出すことでそれぞれの魔法が発動する。

Q:スリング・リングとは?
A:指につけるアクセサリーで、魔術師が装備して円を描くと時空にゲートウェイを開き、瞬時にどんな場所にも移動できる。どこでもドア的な便利な道具。

Q:レリックとは?
A:古代より伝わり、魔力を封印されたアイテム。多様なレリックが地上に存在するが、マスターがサンクタム内で丁寧に管理している。ストレンジが身につける「浮遊マント」や、クライマックスで使う「アガモットの目」もレリックの一つ。

Q:カリオストロの書とは?
A:時間を逆行させる闇の魔術が記載された研究書。映画冒頭でカエシリウスが記載箇所を破いて奪い去った。

Q:アガモットの目とは?
A:時空を操る力を持つ「石」を収めたレリック。魔法が発動すると、目が緑色に光りだし、時空が歪む。MCUシリーズで出現した新たな「インフィニティ・ストーン」の一種である

Q:ソーサラー・スプリーム(至高の魔術師)とは?
A:当代最高の魔術師に与えられる称号。初代は、「アガモット」が務め、現在はエンシェント・ワンが務めている。アメコミ版では、エンシェント・ワンからドクターストレンジに称号が引き継がれる。

Q:サンクタム・サンクトラムとは?
A:闇の勢力から地球を守るために置かれた、魔術師達の最重要防御拠点。香港、ロンドン、ニューヨークの3箇所に設置されており、カエシリウスはここを陥落させるために執拗に付け狙った。

Q:浮遊マントとは?
A:きまぐれだが、一度気に入れば、その持ち主を強力なパワーで守る。まとった者は空が飛べるようになる「レリック」である。ストレンジがクライマックスで空を飛べたのも浮遊マントによるものだった。

Q:なぜカエシリウスはカリオストロの書を破いて持ち去ったの?
A:カエシリウスの目指す「不老不死」「永遠の命」に不可欠な闇属性の時間を操る魔術を極める必要があったため。

Q:なぜエンシェント・ワンは暗黒次元の力を使っていたの?
A:時空を操ることで、闇の勢力から宇宙を守るためだった。光、闇の両属性を併せ持つことで、最高の魔力で闇に立向う必要があると考えていた。

Q:アベンジャーズってなに?
A:マーベル・シネマティック・ユニバース(ドクターストレンジのいる世界)で活躍する正義の戦士たち。「アイアンマン」「キャプテン・アメリカ」「ソー」「ハルク」らを中心として、主に地球の物理次元での防衛に尽力する。 なお、アメコミ世界では、ドクター・ストレンジをリーダーとする「ディフェンダーズ」というチームも存在する。

5-2.ドクター・ストレンジの自動車事故は「暗殺」だったのか?

これは、映画パンフに匂わせる記述があるのですが、ドクター・ストレンジの存在は、「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」の中で、悪のヒドラ党にとっての暗殺対象リストに入っていました。

ストレンジが運転中に、急に不用意に落雷の直撃を受けた女性患者の脳スキャン写真が彼の携帯電話に送付されてきましたが、この女性は今後MCUシリーズで登場するらしい?と言われています。彼はどこかで監視されていて、不注意から事故を誘発するよう仕組まれていたのかもしれません。

5-3.ドクターストレンジシリーズの映画続編はあるのか?

すでにアメリカ本国を始め、世界各国で大成功を収めた本作。この大成功を受けて、他のマーベルシリーズ同様、基本的にはシリーズ化を前提として順調に製作が進みそうです。

エンドロールで、公然と「続編へ続く!」と出ていましたし、マーベル映画で定番となったエンドロール後の次回予告編その2で、モルドが新たな悪役になる気配をぷんぷん漂わせて終わりました。これは、普通に「ドクター・ストレンジ2」を期待しても良いでしょう!

ただし、ベネディクト・カンバーバッチは2018年5月リリースの「Avengers 3: Infinity War Part I」(原題)にストレンジ役として出演するので、「ドクター・ストレンジ2」は最速でも2019年以降が濃厚かと思います。

6.原作アメコミ版との大きな相違点

本作は、土台として1960年代に出版され、2010年代にリメイクされたマーベルコミック「ドクター・ストレンジ」シリーズをベースにしていますが、結構設定が変更されています。大きく違う点に触れておきます。

6-1.モルドがアメコミでは悪役だった!

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(Wikipediaより)

映画版では、マトリクスのモーフィアスみたいな頼れる兄貴分として、ストレンジの覚醒と成長を促してくれる善良で強力な見方として描かれますが、アメコミシリーズではモルドは悪役です。

エンシェント・ワンの一番弟子として自負心が強すぎた結果、突然現れてエンシェント・ワンに見込まれ、自らの後継者として育成されたストレンジに嫉妬して、ダークサイドに落ちてしまうのです。雑誌「PEN+」の監督へのインタビュー記事では、「意外性を出したくて、映画版ではモルドの役どころを大きくチェンジした」と語っています。

ただし、2作目ではアメコミ・オリジナル同様、悪役となってどこかの段階で散っていくのではないでしょうか?

6-2.エンシェント・ワンの性別と年齢が全く違う!

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(Wikipediaより)

アメコミ版では、長いあごひげの老人で、いわゆる、ザ・魔法使いのおじいさんといった雰囲気の長老ですが、今作では髪を全部そった、年齢不詳のケルト出身の女性キャラでした。この変更は、いわゆるステレオタイプな「魔法使いの長老」像から離れるという意味で悪くはなかったかなと思います。

他にもレビュー書いてます!
【映画レビュー】2017年2月現在上映中映画の感想記事一覧

7.まとめ

アメコミの世界ですし、時間的にも110分前後と凝縮しているので、ところどころで御都合主義的な展開も目立ちますが、これだけ美麗な映像と、背景にしっかりした世界観を見せられると、満足です。娯楽映画としては、非常に見応えがある作品でした。ぜひ3Dで楽しんでみてください!
それではまた。
かるび

8.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

8-1.マーベル作品を楽しむなら、U-NEXTがおすすめ!

これからも、ドクターストレンジはマーベル作品や、派生するドラマ作品での出演が増えそう。そこで、来年、2018年リリースの「Avengers 3: Infinity War Part I」に備えるためにも、マーベルの過去作品を見ておくと、より楽しめると思います!現在、U-NEXTでほぼ全部のマーベル映画作品を見れるほか、ドラマ「エージェント・オブ・シールド」シリーズ、「エージェント・カーター」シリーズなどもラインナップされています。

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8-3.ドクター・ストレンジ:プレリュード

マーベル・スタジオが、新たにアメコミ原作の映画シリーズ第1作を公開した際に必ず発売される公式関連コミック「プレリュード」シリーズの新作。ストレンジが魔法修行に入る前の前日譚となる3作品に加え、映画が影響を受けた新旧の「ドクターストレンジ」アメコミ作品が掲載されています。コミックならまずここからが良いと思います。

8-4.ドクター・ストレンジ:シーズンワン

こちらは映画「ドクター・ストレンジ」と同じ時間軸でドルマムゥ+モルドと対決し、その後、「ディフェンダーズ」というストレンジを中心として集まったチームでの活躍を描くまでの作品。映画と違い、モルドが悪役だったり、エンシェント・ワンが長老然とした老人だったり、ドルマムゥの造形がより人間らしかったりと、相違点がかなりあるのも面白い!