あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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売り手市場な新卒採用についてニトリの失敗ケースから考察してみた

かるびです。こんばんは。

 

今日はダイエットの話でも書こうかなと思ってYahoo見ていたら、こんな記事が配信されていたので、やはり仕事柄気になってこちらを取り上げようかと思います。

toyokeizai.net

一応アンケートの結果らしいですが、星の数ほどある企業の中から、面接対応・説明会などすべてにおいて学生からワースト評価を食らってしまったニトリですが、いや、これ採用担当者にはキツい記事ですね。

 

ニトリの社風はテレビで見る通りカリスマ社長のトップダウン・ワンマン経営なのでしょうから、社内に変わったブラックな制度や独自会社ルールなんかはあるんでしょうが、それにしてもここよりもたぶんよっぽど説明会や採用面接でブラックで厳しい雰囲気が感じられる会社は山ほどありますし、採用の現場で仕事をしてる自分としては、なんでここで「ニトリ」なんだろう?と首をひねらざるを得ないです。

 

いずれにしてもこの記事が社長の目に入ったら採用チームどうなっちゃうんでしょうか。同じようなオーナー系中小企業の採用担当としては同情を禁じえません・・・

 

さて、ここからが本題ですが、この記事でニトリが叩かれていた点は大きく3つ。

ほぼ採用活動における全プロセスにダメ出しされてます。

 

・採用ホームページがわかりにくい。(ちなみにこれ)

「あまり情報が掲載されていなかった」

「具体性がなく白々しく感じた」

 

・企業説明会での社員の対応が悪い。

「淡々と話すだけでとても眠かった」

「ただ手元の資料を読み上げているだけだった」

「社員の顔が疲れ切っていた」

「社員が面倒くさそうに対応していた。やる気が感じられなかった」

 

・面接対応が悪い

「学生より面接官が熱弁する時間が長かった」

「終始、目を合わせてもらえなかった」

「おかしな対応が多かった。圧迫のようだった」

 

もう、散々ですね。

自分もアンケートでこんなに書かれたらへこんでしばらく立ち直れません、きっと。

 

しかしこれ、少なくとも天変地異や恐慌レベルの不況が来ない限りは、今後少子高齢化と人口減少による絶対的な労働力不足から、新卒就活生=売り手側に有利な傾向が永続化して固定されるのは目に見えていますし、これに加えて企業行動に厳しいコンプライアンス重視の世論の流れもあるため、企業側としては「何を生意気な!?大した実力もないのにごちゃごちゃ言うな!」といった開き直った強気姿勢は絶対に取れません。

 

ニトリに寄せられたこれらの問題点は、本当に現場でそうだったのかどうかはわかりません。たとえば、「いい人材を採用しなくては」と肩に力が入りすぎて、説明会でついついしゃべりすぎたり、面接の場で学生に印象付けるため、気が付いたら自分のほうがぺらぺらしゃべっていたり、というところから学生側に

 

「淡々と話すだけでとても眠かった」

「ただ手元の資料を読み上げているだけだった」

「学生より面接官が熱弁する時間が長かった」

「おかしな対応が多かった。圧迫のようだった」

  

と取られてしまうことは往々にしてあることです。採用担当なら1回どころか何回も失敗した経験があるはず。

 

よって、採用ホームページの出来不出来はともかくとして、説明会の対応、面接での対応については反面教師として自社の採用選考を見直す際のいい素材になるかもしれません。つまり、これと逆のことをしろ!ってことですよね。

 

採用選考で学生側の好感度を上げるのはそれほど難しくない

実は、これについては今年の春先に自社で出展した、とある有料の学生とのグループディスカッション形式での合同企業説明会で、ある実験をしてみたことがあります。

 

それは、各セッションで、極力自社説明を簡素化し、残り全部の持ち時間を全て学生との雑談を中心としたコミュニケーションに当ててみる、という試みです。

 

合同企業説明会では、その後の自社説明会へ一人でも多く引き込みたい思惑から、どの会社も自社説明に力が入りますが、不特定多数の学生と接触する中でどうしても学生側の声を十分聞く前にセッションの時間切れになってしまい、その後の自社採用選考へうまくつながりにくいことが悩みです。イベント終了後、「そういえばあんまり学生の印象がよくわからなかったな」ということはよくあります。

 

そこで、その合同企業説明会では、思い切って会社説明はほぼ省略し、学生一人一人と顔が見えるトークを行い、学生の気持ちに寄り添うような雰囲気づくりにとにかく腐心してみました。

 

その結果、学生に対して会社情報はほとんど伝えず、事実上どんな会社なのか説明をしなかったにもかかわらず、その後の自社説明会への参加率が過去最高に高まったのです。

 

この試みから学んだ点として、学生の好感度を上げ自社に振り向いてもらうためには、自社のアピールをするよりも学生一人一人と向き合って、丁寧にコミュニケーションを心がけるほうが効果的だ、という点でした。人間として普遍的に持っている「承認要求」をしっかり満たしてあげることで、学生側の評価が、「働きやすそうな会社だ」「雰囲気がいい会社だ」と自然に向上してくるんですよね。

 

今回のニトリのケースは、記事に若干作為的な悪意を感じるほどに、どうしてこんなに評価が悪くなってしまったのかは現場にいないのでわかりませんが、少なくとも言えるのは、きっと学生側に寄り添うような丁寧なコミュニケーションが採用選考の場で徹底されていなかったのだろうな、ということです。

 

 学生側も長引く就活で今年度は大変だったと思いますが、企業側の採用選考もますます要求されているコミュニケーションレベルが上がってきている昨今、ニトリには是非これを機に採用現場でのコミュニケーションのあり方を見直して、来期選考では評価を取り戻してほしいですね。

 

それではまた!

 

かるび