あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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【ネタバレ有】映画「兄に愛されすぎて困ってます(兄こま)」 感想・レビューとあらすじ徹底解説/予想外に楽しめたコメディ作品!

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【2017年12月8日最終更新】

かるび(@karub_imalive)です。

6月30日に封切られた映画「兄に愛されすぎて困ってます」を見てきました。同名で現在Sho-Comiで連載中の人気漫画(通称「兄こま」)を実写映画化した作品です。

映画公開前に、TVの深夜番組帯で映画の前日譚(プロローグ)が全5回で放送されましたが、非常にコミックテイストで軽妙なタッチが楽しいドラマです。ドラマの振り切ったテンションをそのまま映画化されてるといいな、と楽しみにしていました。

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、ほぼ全編にわたってストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承ください。できれば、映画鑑賞後にご覧頂ければ幸いです。

1.映画「兄に愛されすぎて困ってます」の基本情報

<映画「兄こま」予告動画>
※下記画像をクリックすると動画がスタートします

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【監督】河合勇人(「俺物語」「チアダン!」)
【配給】松竹
【時間】99分
【原作】夜神里奈「兄に愛されすぎて困ってます」

すでにTVドラマ版を土台にしているため、ストーリー序盤10分はTVドラマの復習を兼ねて非常に快速で飛ばしていきます。それ以降が映画オリジナルの展開となりますが、メインイベントをひとつだけに思い切って絞り込み、ダラダラせずに100分弱にまとめられました。

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引用:https://mainichi.jp/articles/20170316/dde/012/200/004000c

メガホンを取ったのは、「俺物語!!」「チアダン」など、ここ数年はひたすら恋愛青春映画に特化して、斬新な発想と実験的な映像表現で頭角を表してきた河合勇人監督。TVドラマに近いポップなノリで、小学生から大人まで幅広い鑑賞者向けの作品を作り上げることに定評があります。

原作は、少女系月刊誌では一番過激な「Sho-Comi」をベースにしているからか、小悪魔的なキャラクターがわりと際どい恋愛を展開します。(エロいシーンも結構有り/笑)これに対して、映画版では「チアダン」のように、小学生でも親と安心して映画館に来れるように配慮したのか、コミカルでライトな仕上がりになりました。

ちなみに、主題歌は主演、片寄涼太の属するGENERATIONS from EXILE TRIBE。フルコーラスの曲に乗せて、ロングバージョンの予告編も以下の通り公開されています。ストーリーにぴったりあったしっとりしたバラード系の曲ですね。時間のある方は是非!

<映画主題歌「空」>
※下記画像をクリックすると動画がスタートします

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2.映画「兄こま」の 主要登場人物とキャスト

せとか+主要キャラ3人は、ほぼ原作の設定通りでしたが、残念ながら原作で一番ぶっ飛んだ女装キャラ「千夏」は、大野いと演じる「千雪」へと変更されました。さらに、予告編では完全に伏せられていた教育実習生の矢高北斗(井上裕介)が参戦。ちょっとしたサプライズになりました。ちなみに、原作者の夜神里奈によると「せとか」「はるか」という名前はみかんのブランドから命名したそうです。

橘せとか(土屋太鳳)
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(C)2017「兄こま」製作委員会
今年は青春恋愛映画に出ずっぱりとなった土屋太鳳。さすがにコスプレっぽくなってきたし、「PとJK」と本作「兄こま」さすがに女子校生役は打ち止めでしょうか?!秋からは9月1日には大学生を演じる「トリガール!」、12月には「8年越しの花嫁」と年齢相応な役が続きます。

橘はるか(片寄涼太)
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(C)2017「兄こま」製作委員会
EXILEグループの中高生への人気を背景に、今作で映画初出演&初主演となった大抜擢。今年の青春映画での主演男優はEXILE系とジャニーズ系でほぼ二分されている印象ですが、GENERATIONSからは、白濱亜嵐が「ひるなかの流星」で主演をゲットしていますね。白濱亜嵐同様、筋肉を落とし、胸板を薄くして3ヶ月間で8キロ絞って役作りに臨んだ苦労話も。

芹川高嶺(千葉雄大)
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(C)2017「兄こま」製作委員会
高校生もこなせる「童顔」を武器に、それなりに安定した演技力を買われ、ドラマに映画に今年は大活躍中。上半期に出演した映画だけでも「ReLIFE!」「暗黒女子」「帝一の国」など、前半から出ずっぱりです。

美丘千秋(草川拓弥)
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(C)2017「兄こま」製作委員会
アイドルユニット、超特急のメンバー。映画作品への出演歴は「ウルトラマン銀河」シリーズと、超特急のチアダンス映画「サイドライン」のみで、いわゆる本格的な映画での配役はほぼ初めての抜擢。本作ではイケメン3番手として配役されていますね。

芹川国光(杉野遥亮)
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(C)2017「兄こま」製作委員会
今年になって、映画「キセキ」や本作、秋には「覆面系ノイズ」など絶賛売り出し中の若手俳優。FINEBOYSのオーディションを経てモデルから俳優へと転身しました。坂口健太郎にちょっと似ていますね。主役の恋愛に絡む役ではないですが、最新の予告動画ではモブから「イケメン」集団の末席に昇格してました(笑)しかし「キセキ」見てたけど全く気づかなかった・・・(汗) 

矢高北斗(井上裕介/NON-STYLE)f:id:hisatsugu79:20170630164826j:plain
引用:映画パンフレットより

予告編や公式ノベライズで一切出てこないため、ドラマ版最終話だけの友情出演かと思ったら、映画本編で「キモ系イケメン教師」としてしつこく出てくるサプライズ出演!映画を見てもらえるとわかりますが、これが予想外に笑えます!そして、男子生徒から「キモい」と言われる一方で女子生徒から「かっこいい」と声がかかる絶妙のバランス感もいい!

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3.結末までの簡単なあらすじ紹介

告白12連敗中のせとかに突然やってきたモテ期 

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(C)2017「兄こま」製作委員会

橘せとか17歳。現在彼氏いない歴17年、振られた相手は12人。振られる度に、「もう2度と恋なんてしない!」と決意するのだが、生まれつきの恋愛体質なのか、すぐにまた誰かを好きになってしまう。

しかし、今日の朝は違っていた。通学バスの中で剣道部の鈴木先輩から告白されたのだ。しかし、告白された瞬間、それをまるでどこかで聞いていたかのように、バスの外から兄に邪魔されてしまった。

せとかには、はるかというイケメン長身の兄がいる。なぜか、兄は兄妹という枠を超えて、せとかに愛情を注ぐのだった。実のところ、せとかは非モテ女子というわけではない。せとかに近づく男はみな、兄、はるかがみな片っ端から脅して追い払ってしまうので結果として彼氏ができないのだ。

せとかは、そんな兄の過剰なまでの好意が近頃うっとうしかった。

しかし、鈴木先輩はせとかに告白しておきながら、他にも付き合っている女が二人いることを隠していた。遊びだったのだ。このように、せとかが好きになった男は、揃いも揃って性格や行動に問題を抱えている人が多い。だから、兄としては、近づいてくる男がせとかを不幸にするのが許せなかったのだ。

せとかは、日頃の強引な干渉は、兄の気遣いによるものだと知って、兄に改めて感謝するのだった。

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(C)2017「兄こま」製作委員会

しかし、そんなせとかに突然のモテ期がやってきた。その一人目の王子様が、親友の千雪の兄、千秋だった。千秋は、聖リヲレウス学園の3年生で、ホスト系のイケメン男子だ。千秋との出会いは全くの偶然だった。 千秋とは1日デートを楽しんだが、その別れ際、遊びでないとつきあえない、と突き放されてしまう。

そして、もうひとりは同級生の国光の兄、高嶺だ。高嶺はせとかの初恋の人で、小学生時代にバレンタインデーで玉砕した苦い思い出がある。留学期間が終わり、日本に帰ってきていたのだ。ある日、突然学校に車で乗り付けて、デートに誘われるのだった。

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(C)2017「兄こま」製作委員会

しかし、そのデートも、高嶺がエレナという別の女と別れるための当て馬として利用されただけだった。さらに、後日ケガをしたはるかが入院した病院で、せとかは勤務中の高嶺が廊下で見知らぬ女医と熱いキスをしているところを偶然見てしまう。

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(C)2017「兄こま」製作委員会

初恋の人である高嶺のキスシーンはショックだった。せとかは、自宅に帰ると兄にあたりちらすのだった。しかし、どういうわけかこの二人がせとかに対して「遊び」ではなく本気でアプローチしてくるようになったのだ。

別の日、学校の図書館にいたせとかに、突然千秋が訪ねてきた。現在付き合っている別の10人の女性全員と別れてきたから、付き合ってほしいという。急に言われ、しどろもどろとなるせとか。すると、なぜか高嶺も現れて、前日とは一転してせとかに熱心にアプローチをかけてきた。さらに、前日から教育実習生として赴任してきた英語教師、矢高北斗まで、せとかに色目を使ってくる始末だ。

一度に3人にちやほやされて完全に浮かれていたせとかだったが、クラスへの移動中、誤って階段から足を踏み外してしまう。危ない!と思った時、受け止めてくれたのは矢高だった。そのまませとかは生徒が見ている前で矢高にお姫様抱っこをされて、保健室へ連れて行かれた。下校時刻になると、今度は千秋が校門のまで愛犬を連れて待っていた。完全にモテ期が到来していた。

その日、自宅に帰ったせとかが兄とじゃれあっていると、今度は高嶺が自宅へとやってきた。高嶺は、せとかの顔が急に見たくなって来たのだという。

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(C)2017「兄こま」製作委員会

高嶺は、せとかを外させ、はるかと2人きりになると、はるかに対して「妹に惚れているだろう」と迫った。動揺するはるか。

実は、はるかとせとかは血がつながっていない兄妹だったのだ。はるかはそのことを1年前、偶然に両親の携帯電話のメッセージを見て知ったばかりだった。そして、高嶺はそのことを既に知っていた。はるかは、高嶺に「せとかを女として好きだ」と本音を語った。

思い出の夏祭り

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(C)2017「兄こま」製作委員会

夏になり、週末の土曜日、織姫神社の夏祭りに高嶺、千秋の両方から誘いがあった。せとかは、兄、はるかと一緒に出かけ、現地で4人で落ち合った。じゃんけんの結果、せとかは、一人ずつ時間を区切って祭りでデートすることになった。制限時間は一人15分ずつだ。

最初のデートは千秋だった。千秋は、どんな自分を見せても変わらないで接してくれるせとかが好きになってしまったのだという。千秋とは金魚すくいを楽しんだ。

2番目は兄、はるかとのデートだ。はるかとせとかは毎年この夏祭りに来ている。思い出話に花を咲かせた二人だった。はるかは、せとかに「このままバックレよう」と言ったが、高嶺から遮られるのだった。せとかは、これまでに見たことのないような兄の表情に少し戸惑った。

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(C)2017「兄こま」製作委員会

最後は、高嶺だ。高嶺は、せとかを神社の社殿に連れてきてお参りをすると、顔を上げた時にすかさずせとかにキスをした。せとかは、高嶺にキスをされたことで、初恋以来ずっと高嶺のことが特別な存在なんだとわかったような気がした。

デートが終わり、祭りから帰ろうとした時、またもせとかは階段から落ちそうになる。せとかをかばって、はるかは負傷してしまう。幸い、側にいた高嶺がきちんと処置し、念のため病院で手当を受けることになった。病院から出てくると、せとかは病院へ駆けつけてくれた千秋を誘って、夜道を歩きながら千秋に「付き合えない」と断わった。

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(C)2017「兄こま」製作委員会

家に帰ってきてボーッとしていたせとかに対して、はるかは気持ちが抑えきれなくなってきていた。風呂に入ろうとしたところ、怪我したはるかの代わりにせとかが背中を流してくれることになった。そして風呂上がりに、せとかははるかを後ろから羽交い締めにして抱きしめた。はるかが「行くなよ、高嶺のところなんか。誰にも渡したくない」と迫ったところで、父、孝太郎が帰宅してきた。せとかは、突然迫ってきたはるかにドキドキしていた。

高嶺と付き合い始めたせとか

次の日、学校に行くと、朝から学校に高嶺がスポーツカーで現れた。「好きだ」と言われ、このままドライブデートへと誘われたせとか。せとかの気持ちを踏まえ、はるかは、高嶺がせとかを連れて行くのを黙って見送ることにした。高校卒業までは兄妹でいると決めているはるかには、高嶺とせとかのデートを断る理由がなかったからだ。それ以来、はるかはせとかを見ると苦しくなるので、学校や自宅などで、せとかを微妙に避けるようになった。せとかは、そんな兄の変化に気づき、高嶺といてもどこか心に引っかかるものを感じるようになっていた。

しかし、ある日せとかが高嶺とデートに来た時、高嶺はせとかに対して「俺とはるかは両立できないよ」と迫ってきた。そして、「はるかとせとかは血がつながっておらず、実の兄妹ではない」とせとかに告げた。混乱するせとか。

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(C)2017「兄こま」製作委員会

せとかは自宅に帰ると、すぐにはるかに確かめた。血がつながっていなくても兄妹・家族であることには何の代わりもない、とはるかは守ってくれたが、せとかは、兄のことを以前のように兄妹ではなく、一人の男性として見えるようになっていた。

翌日、学校では矢高の教育実習最終日だった。矢高に呼び出され、「たとえ誰かを傷つけたとしても、そこから二人で始めればいい」という言葉を聞き、せとかは決心がついた。高嶺に断りを入れて、兄とやり直そう。せとかは、国光の自転車を借りると、高嶺に指定された地元の教会に来た。

すると、そこにはなぜかはるかと高嶺がいた。はるかは、せとかに対して「好きだ」と伝えた。せとかが高嶺を見ると、高嶺は「心の中、100%俺じゃない女は俺の彼女失格だ。せとか、お前はもういらない」とせとかを振ってくれた。こうして、せとかとはるかは兄妹で結ばれることになった。二人は、あらためてその場でお互いの気持を確認し、キスをした。

結ばれたせとかとはるか~エピローグ

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(C)2017「兄こま」製作委員会

数週間後、両親が揃った時、二人は「俺たち、つきあうことにした」と両親に向かって宣言した。「お前に親父を呼ばれる筋合いはない!」と錯乱気味の父、孝太郎に苦笑いする家族だった。

そして、久しぶりに二人一緒の帰り道。はるかは、せとかに対して「お前の初恋の相手は高嶺じゃない。俺だ」と言い張った。幼稚園の時、「お兄と結婚する」と言っていたことをはるかは覚えていた。せとかは覚えていなかったが、そのことに少し拗ねる兄が大きな子供みたいで可愛く思えるせとかだった。

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4.映画「兄に愛されすぎて困ってます」の感想・評価

極端にコミカルで軽妙なタッチが楽しかった

自分以外は全員イケメンで、しかも全員から告白された上、血のつながらない、頭脳明晰・料理上手・長身美男子でシスコンの兄と一つ屋根の下で同居という、少女漫画原作モノの中でもそうとうぶっ飛んだ現実感のない設定の本作。

そんな中、土屋太鳳と千葉雄大以外は、芸人も含め、ほぼ芝居の経験がゼロの素人俳優たち。彼らを主演に据えて低予算で撮影に臨まなきゃいけないと・・・

これは条件的にかなりつらそうだな・・・と思って見ていたのですが、作品を鑑賞してみて、予想以上の完成度にびっくり。河合監督の確かな手腕に納得です。思い切ってリアリティーへのこだわりを捨て、ひたすらポップでライトな路線に振り切って仕上がっていました。実写映画なんだけど、ほぼマンガを読んでいるような気楽な感じなんですよね。楽しさが前面に出た作品になり、役者の足りない力量を上手くカバーできていたと思います。

過去作「俺物語」「チアダン」もそうでしたが、河合勇人監督の作品は、変な効果音を入れたり、画面を揺らしたり、色んな角度から撮ったりと、非常に実験的。今作も、TVドラマのようにテロップを入れたり画面を分割したり、主人公が鑑賞者に話しかけてきたり、いわゆる伝統的な映画表現にこだわらない自由な発想は見ていてほんとに楽しいのです。スイーツ映画版の「デッドプール」と言ったら言い過ぎかな・・・

メリハリの良い進行と場面転換

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(C)2017「兄こま」製作委員会

そして、ストーリーを詰めすぎず、メインイベントを「夏祭り」1本に絞り込んで、上映時間を100分以内にコンパクトにまとめあげたのも潔くて良かったです。基本はドタバタ恋愛コメディなんですが、その中できっちり泣けるシーン、恋愛シーンを要所要所に配置するメリハリの良さも目立ちました。

特にコミカルな所でしっかり笑えるよう、イケメン系俳優では絶対に出来ないようなコメディリリーフ的な役回りにお笑い芸人(NON-STYLEの井上裕介)を使ったのも思い切った策で非常に斬新でした。映画館で何度も声を上げて笑ってしまいました!

これにより、笑えるパートとシリアスなパートの落差が非常に大きくなって、ラストの感動シーンが非常に生きたんですよね。(ちょうど、「俺物語」で主人公二人の間の勘違いがこれでもかと積み重なって、最後に一気に両思いになるという、「タメ」が解放される爽快感もこれに近かった)

恋愛シーンはイケメン+土屋太鳳で大満足!サービスカットも満載!

そして、肝心の恋愛シーンは、(NON-STYLEの井上裕介は微妙だったけど/笑)、全員がそれぞれにしっかり見せ場がありました。やっぱりこのあたりはイケメン+美女の組み合わせなので、アップにしっかり耐えるカットが多いですね。キスシーンも多め(千葉雄大3回、片寄涼太3回)でしたし、「壁ドン」「床ドン」「バックハグ」「お姫様抱っこ」「風呂場」「車」「夏祭り」「階段落ち」など、いわゆる恋愛青春映画での基本シチュエーションはほぼ網羅していたかと思います(笑)是非堪能してみて下さい!

いろいろ見どころ満載の恋愛シーン!f:id:hisatsugu79:20170630191229j:plainf:id:hisatsugu79:20170630191250j:plainf:id:hisatsugu79:20170630191330j:plainf:id:hisatsugu79:20170630191643j:plain
(C)2017「兄こま」製作委員会

願わくばもう少し初主演組を減らしてほしい

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(C)2017「兄こま」製作委員会

最後にひとつだけ苦言を呈するなら、さすがに今作で実質上映画デビューとなるメンバーが主演級に3人もいた(片寄涼太、杉野遥亮、草川拓弥)のはキツかったです。編集や映像表現でかなりの部分はカバーできていましたが、それでも演技は学芸会レベルと言われても仕方ない場面がありました。

初主演組3人に引きずられたのか千葉雄大もセリフがいつもより棒気味でしたし、土屋太鳳がいなければ大変なことになってたと思います・・・

この手の映画はイケメン系俳優の登竜門的存在ではあるので、あれこれ言うのは野暮なのかもしれませんが、クランクインまで準備期間は結構あったようなので、もう少し頑張って演技練習/演技指導をしてほしかったなぁとは思います。

5.「兄こま」をもっと楽しむために知っておきたい8つの疑問点~伏線・設定を徹底考察!~

疑問点1:橘家に母親がなぜいないのか?

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(C)2017「兄こま」製作委員会

せとか達の母は、仙台に単身赴任しているのでいなかったのです。(エピローグで、自宅に帰ってきた母親は、仙台土産をバーッと机に広げています)母親が不在な分、家事は二人で分担しており、例えば、食事は兄、はるかの担当ですね。海が見える絶景の庭付き一戸建てに住めるのは、両親がバリバリ働いているからなのでしょうね。

疑問点2:なぜはるかはいつもヘッドフォンを首からかけているのか?

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(C)2017「兄こま」製作委員会

これはマンガ原作で作者より明かされているのですが、はるかは、せとかと血がつながっていないと知ってから、せとかへの思いが抑えられなくなっていきます。父親との約束で、高校卒業まではその事実をせとかへ明かせない=兄妹の一線を超えてはならないという戒めから、耳を塞ぎ、できるだけせとかの声を聞かないようにすることで、平常心を保とうとしているのですね。

TVドラマ版で、部屋にエロ本がいっぱい隠してあったシーンが出てきましたが、これも同じ理屈で、せとか以外の女性に何とか気をそらすためでした。健気ですね。。。

疑問点3:せとかがこれまで振られてきた12人の男性内訳とは?

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(C)2017「兄こま」製作委員会

これはパンフレットにも明記されていますが、以下の12人でした。

・初恋の人・・・高嶺
・小学校5年生・・・クラスメイトの小沢くん
・中学校3年生・・・山田先輩
・将棋部・・・滝沢先輩(実はゲイ。はるかが本命
・剣道部・・・鈴木くん(三股かけていた)
・サッカー部・・・中西くん
・バレー部・・・永谷くん
・卓球部・・・荒井先輩
・野球部・・・木下くん(印象薄くすぐ忘れた)
・カフェ店員・・・タカトさん(遊びまくっている)
・テニス部・・・早川先輩(有名なヤリ◯ン)
・バスケ部・・・あきらくん

これだけ告白しまくって、せとか自身にビッチだとかなんとか噂が立たないのも凄いと思いますが、、、はるかが滝沢先輩を懲らしめようと将棋部へ行ったら、将棋盤を挟んではるかが逆に滝沢先輩から告白されてしまうシーン、最高に笑えました。

疑問点4:せとかと千秋はどうやって出会ったのか?

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(C)2017「兄こま」製作委員会

映画版では、二人が出会うシーンは省略されていました。先行するTVドラマ版で詳細が描かれましたが、二人は偶然街で出会いました。せとかが放課後に兄と立ち寄った海沿いのドーナツ屋で、はぐれた犬を捕まえると、その飼主が千秋だったのです。何かお礼をしたい、という千秋に、せとかは「1日、私の彼氏になってもらえますか」と思わず口走りますが、千秋は快く1日デートにOKしてくれました。

ちなみに、デートにも兄が尾行してきて、デートの終盤に暴漢が突然せとかを襲ってきた際、後をつけてきたはるかが現れ、暴漢を追い払っています。階段落ちを救ったり、暴漢から守ったり、お兄さん大変です・・・

疑問点5:はるかはなぜ兄妹で血がつながっていないとわかったのか?

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(C)2017「兄こま」製作委員会

酔って帰宅した父、孝太郎がソファーで寝落ちした時、単身赴任している母とのLINEのメッセージのやりとりを、たまたまはるかが見てしまったことで発覚しました。はるかは、孝太郎から改めて話を聞き、せとかが1歳の時、養子として引き取ったとの簡単な説明を受けました。ちなみに、なぜ引き取ったのかその理由は明らかにされていませんが、せとかの旧姓は「高尾」です。(マンガ原作より)

疑問点6:高嶺は、なぜせとかとはるかが血がつながっていないと知っていたのか?

高嶺の両親とはるかの両親は仲が良かったため、高嶺は、はるかの両親がはじめてせとかを連れて自宅に遊びに来た時のことを覚えていたためです。高嶺は、せとか、はるかよりも少し年齢が上なので、突然自宅に現れたせとかが「養子」であることをすぐに理解したのでしょうね。 

疑問点7:原作マンガと違う点は?

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実写映画「兄に愛されすぎて困ってます」は、ここ最近では珍しいほど原作の設定が大幅に変更されています。比較的連載が始まったばかりの頃に映画化が決定され、最初からオリジナル脚本での撮影を余儀なくされたのかもしれません。原作から大きく変更された点を、簡単にまとめてみたいと思います。

1.せとかの養子問題について
原作では、主人公を含め家族全員がせとかが「養子」であることを理解しているが、映画版ではラスト直前までせとかだけがその事実を知らない。

2.せとかとはるかの関係性について
原作では、1巻の最初からはるかはせとかと恋人になる気満々で、すぐに告白する。せとかも、兄の告白を受け入れるまである程度時間はかかるものの、最終的にはOKしている。映画では両思いになったところで終わるが、原作では両思いになってからがストーリーの本番である。

3.千秋の兄妹について
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引用:コミック第4.5巻より

映画版では、千秋の妹は「千雪」で、せとかの親友でした。しかし、原作で千秋は妹ではなく、「千夏」という弟がいます。この弟、ワケあっていつも女装をしている女装男子なのです。そして、千夏も途中からせとか争奪戦に加わってくるイケメンズ軍団の一人になるのです!さすがにこのぶっ飛んだ設定は映画では再現不可だったのでしょうね。(若い時の山崎賢人や志尊淳、佐藤勝利、山下智久あたりならできたかも?)

4.高嶺の年齢やせとかの関係について
映画版では少し年齢の離れた幼馴染という設定ですが、原作ではわずか1歳差。聖レヲリウス学園に通い、医学部を目指す高校3年生です。原作では、せとかと幼い時結婚の約束をしたエピソードもあります。

疑問点8:TVドラマ版はどんな感じだったの?

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(C)2017「兄こま」製作委員会

映画公開の3ヶ月前、日テレ系の深夜枠で主要登場人物たちの前日譚(プリクウェル)にあたるTVドラマ版が放映されていました。映画の冒頭10分程度を全5話100分かけて丁寧に描いていく「ディレクターズカット版」のようなものですね。簡単にあらすじを紹介すると、以下のような感じです。

第1話
せとかの告白がいつも上手くいかないのは兄が裏で妨害していたと判明。兄に怒るせとかだったが、実は告白した男はみな問題だらけだった。実は兄に守られていたとわかり、兄に感謝するせとかだった。

第2話
親友の千雪のイケメンホスト系美男子、美丘千秋と偶然の出会いから1日デートを楽しんだせとかだったが、結局遊びで終わる。落ち込むひまもなく、今度は初恋の高嶺から突然デートに誘われるのだった。

第3話
他の女と別れるため、高嶺にも都合よく使われたせとか。妹を心配したはるかはその晩、高嶺と久々に再会して対決するが、高嶺から「妹に恋しているだろ」と指摘され、動揺するのだった。

第4話
学校で階段から落ちて怪我をしたはるかと国光。手当のため入院すると、そこは高嶺の働く病院だった。見舞いに来たせとかに対して、高嶺は本気の告白をする。初恋の相手からの告白に動揺するせとかだった。

第5話
はるかは父、孝太郎からせとかとは血の繋がらない兄妹であることを知った。翌日学校の図書室で、せとかは、本気になった高嶺、千秋、そして教育実習生からもアプローチされ、突然のモテ期がやってきたのだった。

映画を見て気に入った人は、ドラマ版を見て、もう一度映画を見ると確実に主人公たちにより感情移入できると思います!

上記のように、Amazonや楽天でDVD/ブルーレイが入手できるのですが、お金を節約するのであれば、Huluでの配信を見たほうが大きく安上がりです!僕は、今回Huluで映画公開前に2回ずつ予習してから映画に臨みました!登録後最初の2週間は無料で視聴できるので、無料期間中に見てしまえば、実質タダで見れますね!

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6.まとめ

女性のわがままな願望をそのまま映画にしたような、現実離れしたコミカルな作品でしたが、却ってコメディに徹した作りは非常に楽しめました。後味も良かったし、楽しん作品だったと思います!

それではまた。
かるび

7.映画をより楽しむためのおすすめ関連書籍

原作マンガ「兄に愛されすぎて困ってます」

現在、全7巻まで刊行されています。設定は原作と結構違いますが、せとかがモテまくる無双状態なのは変わりません。映画は兄妹が付き合うまでの過程を描いていますが、マンガでは付き合ってからの危うい関係性をしっかり描きます。少女コミックですが何かとサービスカットも多数あり(笑)

ブルーレイは2018年1月12日発売!

映画のDVD/ブルーレイが2018年1月10日に発売されます。オススメは、豪華特典がついてくる初回限定盤です。本編以外に、もう1枚、メイキングや特典映像、さらにブックレット等がついてきます!限定版なので、売り切れないうちに早めの予約をどうぞ! 

ノベライズ版「兄に愛されすぎて困ってます」

映画を忠実にノベライズ化した小説。映画の各場面で、主人公たちがどういう気持ちでいたのか、心情表現がわかりやすく説明されているので、映画を見た後に読み込むと、より映画の世界観に入っていけます!字体も読みやすかった!