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あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して3ヶ月。無職または専業主夫で、ブログ書いてます。美術展と人事労務系の記事が多め。

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【ネタバレ有】映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の感想とあらすじ・伏線の徹底解説!/何度リピートしても楽しめる名作ライト文芸の映画化!【ぼく明日】

映画
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【2016年12月30日更新】
かるび(@karub_imalive)です。

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12月17日公開となった映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(略称「ぼく明日」)を見てきました。2015年の大ベストセラーで、ライト文芸の代表的作品となった七月隆文の原作に沿って忠実に映画化された作品です。1年前、偶然に帰省中の新幹線のキヨスクで購入して、シンプルながら非常に心動かされ、映画化されると聞いて、非常に楽しみにしていました。

「僕は明日、昨日の君とデートする」、通称「ぼく明日」、早速初日に気合を入れて見てきましたので、以下感想を書いてみたいと思います。

※後半部分は、かなりのネタバレ部分を含みますので、何卒ご了承下さい。

1.映画の基本情報

<”ぼく明日”の予告編動画はこちら>

動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】三木孝浩(「アオハライド」「青空エール」)
【原作】七月隆文「ぼくは明日、昨日のきみとデートする
【主題歌】back number「ハッピーエンド

若者の恋愛映画では手堅く興収実績を残してきた三木孝浩監督を起用。主題歌も、back numberのおしゃれで切ないラブソングを起用し、雰囲気を盛り上げています。 

2.主要登場人物とキャスト

”ぼく明日”は原作を含め、主人公の二人にフォーカスして描ききった作品です。他作品に比べ、主人公の男女二人以外では、驚くほど重要な登場人物が少ないのが特徴です。キャストは、いわゆる恋愛スイーツ系映画ではいつもの常連となったメンバーで固めてられています。

南山高寿(福士蒼汰)
これまでは無理やり?高校生を演じることも多かったですが、今回は年相応な大学生役。この手の恋愛映画には欠かせない旬の俳優です。
福寿愛美(小松菜奈)
ロングランヒット中の「溺れるナイフ」に続いてのヒロイン役。舌足らずで清楚な感じの雰囲気は原作通りのイメージでした。
上村正一(東出昌大)
美大での高寿の親友。・・・というにはやや年を取りすぎているような気もしますが、まぁ青臭い感じは良かったです。原作よりもかなり出演場面が多かったので、東出ファンには朗報かも。

3.映画の見どころ(ネタバレ無し)

3-1.30日間しか会うことのできない男女の限られた切ない出会い

あるシンプルな「SF的設定」のせいで、5年に一度、「30日間」しか会うことができないという制約つきの状況下、二人の時間の濃密な特別感をしっかり味わえる作品。「そんなわけないじゃん」と言わず、物語中盤で明かされる「時間」に関するファンタジー的な設定を「そういうものなんだ」と受け入れて作品に入り込めば、凄く感情移入できて楽しめます。

3-2.冬の京都の街中の日常風景が楽しめる「観光映画」的側面も

ロケは、原作通りほぼ全編を通して冬の京都が舞台です。といっても、有名寺社やベタな観光地ではなく、地元の人たちが日常的にデートで使うような少しおしゃれなスポットを巡ります。特に、映画でのキーポイントになる宝ヶ池は、行ったことなかったけど映画を見てから行きたくなりました。

3-3.「2周目以降」のほうがより「泣ける」映画

タイムパラドックス的なSFファンタジー物は、2度目以降に違った角度から作品を味わえることが多いですが、本作品も2周目以降、ヒロインの「愛美」の視点で改めて見直すとさらに泣ける映画です。原作を読んだり、ネタバレしてからの2周目以降が、するめのように美味しいストーリーなのです。

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4.結末までの簡単なあらすじ(※ネタバレ有注意)

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ある冬の終わりの日。南山高寿は、大学へ向かう叡山電車の中で、文庫本を読む若い女性に雷に打たれたように一目惚れした。しばらくチラチラ見ていたが、宝ヶ池駅で下車する彼女を追って、「メアドを教えてください」と話しかけた。

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彼女の名前は、福寿愛美。お互い自己紹介しあい、二人とも20歳と同い年であることがわかった。しばらく駅のホームで話をしたあと、愛美が「もういかなきゃ」と席を立った。高寿は、「また会えるかな」と聞いたが、愛美は、なぜか泣きながら「また会えるよ」「また明日ね!」と言って、去っていった。

高寿は、京都の北東部にある、木野美大のカートゥーン学部に在籍している。翌日、大学の授業の課題のため、動物園でキリンを描いていたら、後ろから愛美が現れた。驚いた高寿だったが、愛美は高寿の後ろから高寿の描いているキリンの絵を見て「教室に張り出されるやつだ」と予言めいたことを言った。

そのまま、高寿と愛美は宝ヶ池に出かけた。高寿は、5歳の時に宝ヶ池で溺れ、死にかけたことがある。その時、見ず知らずの女性に助け出された思い出を愛美に話すと、愛美も5歳のときに偶然死にかけたことがある、と高寿に話した。

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その後、連絡先を教え合い、自宅に戻ると、ルームメイトで親友の上山正一が待っていた。上山にここまでの経緯を話すと、脈があるからすぐに電話して、デートのアポを取れという上山。強引な上山に押され、その場で愛美に連絡し、翌日も会えることになった。二人して喜ぶ上山と高寿。

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出会って3日目、たっぷりデートコースを下見して三条大橋で待ち合わせると、時間通り愛美は現れた。街歩き、映画、喫茶店、食べ歩きなど、予習した通り一通り楽しみつつ、愛美の意外な一面も見えた一日だった。夜になり、公園のイルミネーションの前で、高寿は正式に「付き合って下さい」と愛美に告白する。愛美は、少し涙ぐんで「よろしくお願いします」と返答した。

次の日、高寿は上山の家を出て一人暮らしをするため引っ越し作業をしていたが、そこへ愛美が遊びに来た。上山に挨拶する愛美。一通り搬入が終わると、上山はそそくさと帰宅した。名字を呼びあうのは「潤いがない」という愛美。その日から、「えみちゃん」「たかとしくん」と下の名で呼びあうことになった。また、何故か涙ぐむ愛美。

愛美は、引っ越しのダンボールの中から、古い小箱を見つける。高寿に聞いたら、高寿が10歳の時、たこ焼き屋で出会った女性から「持っておいて欲しい」と預けられた不思議な小箱だという。カギがかかっており、開けることができないようになっている。

また、別の箱からは高寿が小学校の頃から大切に保管してきたマンガを書いたノートが大量に出てきた。昔から絵を描くことが好きだった高寿に、感銘を受けた愛美だった。

やがて夜になり、駅まで愛美を送るため、駅へ戻る道のりで二人は初めて手をつないだ。また愛美は涙ぐんだ。

こうして、恋人らしくなった二人は、毎日のようにデートをした。ある日、愛美が高寿の家に来て、手料理としてビーフシチューを振る舞うことになった。一口食べて、実家のビーフシチューに味がそっくりだと感心する高寿に、隠し味としてチョコレートを入れたことを告げる高寿。

それを聞いて、少し驚く高寿だった。なぜなら、実家で母親が作るビーフシチューにも、隠し味としてチョコレートを入れているからだ。前にも同じようなことがあった。キリンを描いたクロッキーを見た愛美が「教室に張り出されるやつだ」と予言めいたことをつぶやいたことがあったが、その後本当にその作品が教室に張り出されたからだ。「私が未来のことがわかるっていったらどうする?」と愛美から言われ、少し困惑する高寿。

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付き合って15日目。今日も愛美は高寿の自宅に来た。愛美に散髪してもらう高寿だったが、話しているうちに、「えみちゃん」ではなく「えみ」と自然に呼び捨てにする高寿。これをきっかけに、ふたりは「えみ」「たかとし」と呼び合う恋人同士になったが、その時も愛美は涙ぐんだ。

その夜、いい雰囲気になる二人。満月の夜、二人は初めて結ばれた。終わった後、やはり愛美は泣いていた。愛美の門限である12時が近づいてきたので、いつものように駅まで送り、自宅に帰ると、見たことのない水色の手帳が部屋に残されていた。

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愛美の忘れ物かと思い、中を見てみると、そこには日付の時系列が逆向きに書かれた変な内容のメモ書きがしてあった。意味がわからず呆然としていると、そこに愛美から電話がかかってくる。愛美は、高寿に重大な隠し事をしているので、翌日6時に大学の教室で秘密を打ち明けたいと言う。その際、愛美は例の小箱を持ってきて欲しいと高寿に告げた。

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翌日、訝しげに思いつつ、大学へ行くと愛美はすでに待っていた。愛美が話すには「私は高寿の世界とは時間が逆向きに進むとなりの世界から来た」「5年に1度、30日間だけ会うことができる」とにわかには信じがたいことを言う愛美。つまり、現在は20歳同士の二人が次に会えるのは、高寿が25歳、愛美が15歳の時だということだ。

狐につままれたようでいる高寿に、小箱を開けようと告げる愛美。高寿が錠前のついた小箱を差し出すと、なぜかカギを持っていた愛美。カギを回して開けると、中からは高寿、愛美、高寿の両親の4名で撮影した写真が出てきた。両親に会わせたこともないのになぜーーー?混乱する高寿に、これは、高寿にとっては2週間後、つまり、愛美にとっては2週間前に撮影した写真だと告げる愛美。

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そして、5歳の時に宝ヶ池で溺れた高寿を助け出したのは、35歳の愛美だった。そして、10際の時にたこ焼き屋で小箱を高寿に渡したのも、30歳となった愛美だったのだ。その事実を、愛美は15歳の時に25歳の高寿から聞かされていたのだった。

翌日。出会って19日目、前日に愛美から告げられた二人の関係を上手く消化できない高寿は、それ以来、デートにいっても上の空だった。彼女は、予め決められたことをメモ帳に書かれたシナリオ通り演じているだけで、そこにどんな意味があるのか?メモ帳通りになぜ行動しなきゃいけないのか?

そして、何よりも、高寿は、過去を共有できない恋愛関係に虚しさを感じていた。思い出を共有できないのであれば、なぜ一緒にいるのか?目の前の愛美は、昨日の愛美とは違うのだ。すれ違っているだけの人間関係なんて一緒にいる分つらくなるだけなんじゃないか。

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高寿は、愛美の静止を振り切って、デート中に帰宅してしまった。

その夜、コインランドリーで悶々とし、上山からもアドバイスを受けたが、釈然としない高寿。その時、高寿は初めて、愛美がこれまでよく二人の関係が深まる節目で泣いていたことを思い出した。あれは嬉し涙なのではなく、愛美にとってはどんどん恋人関係ではなくなっていく最後の機会だった。愛美は、寂しさから泣いていたのだ。自分だけでなく愛美もまた辛さを感じていたのだと。

時間はもう1時を回っていたが、愛美にすぐに電話して謝罪した。愛美にとっては「明日」デート中にひどい事を言ってしまうが、許して欲しい。自分はもう辛さを乗り越えたと。

翌日、仲直りした二人。愛美は5歳のとき初めて「となりの世界」から遊びに来た時、お祭りの屋台の爆発に巻き込まれそうになった際、35歳の高寿に命を助けてもらったこと、そして、その時に子供ながら運命の人はこの人だ、と直感したことを高寿に告げた。だから、今のあなたに会いたいからこそ、毎日決められた運命を受け入れることもできるのだと。

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それ以降、二人は残された時間を慈しむように毎日二人だけの時間を楽しんだ。色々なところにいったり、高寿の大学の仲間とのバーベキューも楽しんだ。「僕たちはすれちがってない。端と端を結んだ輪になって、ひとつにつながっているんだ。二人で一つの命なんだ」と高寿が言うと、愛美は、それを、数日後、初めて高寿に会いにくる愛美を勇気づけるために改めて話してあげて欲しい、と高寿に頼んだ。

29日目。この日は、高寿は、枚方の実家に愛美を連れて行った。驚く両親。その晩、両親と愛美、高寿の4人で夕飯をともにしたが、実家の母が振る舞ったのは、隠し味にチョコレートを入れた馴染みのビーフシチューだった。そして、4人で記念写真も撮った。(あとで小箱に入れるため)

30日目。いよいよ高寿にとっては30日目となった。高寿は、大学のアトリエで愛美と会うことにした。高寿にとっては最終日だが、愛美にとっては初日。愛美は、敬語だった。25歳になった高寿から30日間の大まかな内容を事前に聞いていた愛美だったが、改めて記憶が鮮明な今の高寿に、何があったのか聞く愛美だった。

愛美との思い出をたどるうち、楽しく自分が30日間過ごせてきたのは、愛美の懸命な努力と高寿への深い配慮があったからだということに改めて気付かされた高寿。

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そして、いよいよ別れ際。23時57分。最後に、高寿はもう一度数日前に愛美から頼まれた言葉を優しく愛美に語りかけた。「僕たちはすれちがってない。端と端を結んだ輪になって、ひとつにつながっているんだ。二人で一つの命なんだ」

24時ぴったりに、愛美は消えていなくなった。

その後、高寿は25歳になった。15歳の愛美と再開する高寿。高寿は、5年前に渾身の真心を込めて描いた20際の愛美の肖像画を、15歳の愛美にプレゼントした。

(30日目の愛美に視点が変わる)

愛美はこれまでの高寿との楽しかった思い出を振り返っていた。最後の日。まだ高寿が引越しする前の高寿の部屋に立ち寄った愛美。思い出の詰まったドアを見上げ、泣きそうになるのをこらえる。そして、いよいよ電車に乗り込んだ。高寿に見つけてもらうために、メモに書いた最後のシナリオをこなすのだった。

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5.感想や評価(※ネタバレ有注意)

5-1.デートシーンなど二人の表情が自然で良かった

映画は、大半の時間が二人きりのシーンで、しかも顔のアップばかり(もちろん耐えられる素材ではありますが/笑)。撮影中の自然体な雰囲気作りに注力してきたと三木監督が明らかにするように、二人の空気感が非常にカジュアルな素の感じで出ていたのが良かったです。二人きりのデートシーンは、アドリブで演じた箇所も多かったそうですが、原作で表現された世界観に近い映像に仕上がっていました。

メチャクチャ上手だ!ってわけでもなかったですが、恋愛経験が初めて同士の奥手な二人らしさはよくニュアンスとして出ていたと思います。 

5-2.「また会えるよ」と言って別れる切なさ

二人が会える期間は、5年に1回で、MAX30日間。時間が流れる方向が逆方向なので、一方が「別れ」となる節目では、もう一方は「出会い」が始まるわけです。ふたりとも、このあとに、お互いが楽しい時間を過ごせるよう、「また会えるよ」と言葉を残して別れるシーンが非常に切なかったです。

5-3.切ない恋愛を通じて高寿が成長していくストーリーでもあった

お互いに会える30日間で、15日目に二人の関係についての真実を告げられ、一度絶望しかけるも、高寿は立ち直ります。でも、その時点ではまだ「自分」の気持ちの整理ができただけであり、愛美がどういう思いで毎日接してくれているかまでは気が回らなかった高寿。30日目(愛美の初日)に絵を描こうとした時点でも、朝の時点では、その動機は「自分の思い出のため」でした。

しかし、20歳になって高寿と会う初日の愛美に、高寿が過ごしてきた30日間を語る中で、ようやく愛美の「涙の意味」を知り、愛美の深いやさしさを理解できた高寿。喪失感を乗り越え、30日目にして土壇場で相手を純粋に思って行動できるようになった、高寿の内面の成長がきちんと描かれたのは非常に良かったと思います。

5-4.関西弁が一切出てこないのは少し残念な点だった

高寿は少なくとも5歳の時に阪神大震災に遭っており(原作)、そのまま関西在住なら、親友の上山、高寿の両親も含め、全員標準語なのはどうなのか?という気もします。原作小説も標準語なので合わせたのだと思いますが、唯一この点だけが少し個人的には残念な点でした。まぁ、自分が関西出身なのと、同時上映された映画「古都」はバリバリ効かせすぎなくらい関西弁だったので、ちょっと違和感を感じただけなのですが(笑)

6.伏線や設定などの解説(※ネタバレ有注意、映画上映終了後にできればお読み下さい)

6-1.木野美大のモデルは?

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(引用:京都精華大学HP)

高寿と親友の丸丸が通う京都市の北東、叡山電鉄沿いにある「木野美大」のモデルは、京都精華大学です。日本で唯一の「マンガ学部」がある芸術系の大学です。京都精華大学の住所番地に含まれる「木野」という地名から名づけられたのでしょうか?ちなみに、京都精華大学は、原作者の七月隆文氏の母校でもあります。

6-2.愛美が住む「となりの世界」とは何か?また、愛美はなぜメールや携帯を使わないのか?

「となりの世界」の住人である愛美は、高寿の世界とは逆方向に時間が進む世界に住んでいます。原作小説で明らかにされていますが、2つの世界の出入り口である「宝ヶ池」を通して5年に1回、愛美の方から高寿の世界に30日間(原作は40日間)だけ来ることができます。(高寿側からは行けない、一方通行)その際、世界の矛盾を防ぐため、メールや携帯は当局から禁止されているのです。

6-3.愛美の心情に寄り添ってリピートすることで、2回目以降がさらに切ない映画!

初めて会った時、初めてデートした時、初めて結ばれた時、色々な機会ですぐに愛美は泣いてしまいます。これは愛美が泣き上戸なのではなく、あらかじめ起こるシナリオを全て把握している愛美にとっては、20歳の高寿との様々な節目節目の出来事が人生で「最後」の出来事だとわかっているからです。これは、映画中、自力で高寿に気づかせる演出を取っていましたね。

これを踏まえて、是非この映画をリピートしてみてください!2回目以降見る時、愛美の視点に立って、彼女の心情に寄り添いながら見ることで、切なさが何倍にも増幅します!この映画が素晴らしいのは、高寿、愛美両者どちらからの視点で物語に没入しても、そこに切ない感動があるからだと思います。

6-4.高寿の父親と高寿の関係がギクシャクしていたのはなぜ?

原作小説では「父親とはいつも喧嘩が絶えない」とさらっと描かれていました。高寿が実家を出て京都市内に住んでいたのは、大学近辺に近いからという生活・勉学上の利便性だけでなく、頑固な父親に対して反発して一人暮らしを始めた経緯があったためです。温厚そうな高寿にしては意外な気もしますね。

6-5.二人が出会った他のタイムラインの時系列まとめ

20歳同士で出会った二人は、無事に30日間の恋人になれました。時間が逆に流れていく二人は、その他の時間軸でも会いますが、少し整理しておきたいと思います。(小説、映画から抜粋)

愛美5歳、高寿35歳(映画、小説)
夏休み、愛美が両親と「となりの世界」の神社のお祭りへ出かけた時、屋台のガス爆発に巻き込まれる寸前に高寿に助けられる。そこで、運命の出会いを感じる愛美。

愛美10歳、高寿30歳(小説のみ)
愛美、高寿と初デート。高寿から互いの幼少時の危機にお互いを助け出す逸話を聞く。原作小説では、1行だけサラッと書かれています。

愛美15歳、高寿25歳(映画、小説)
高寿は愛美に5年後に二人は恋人同士になることを告げ、20歳の時に起こる大まかなイベントを教える。愛美、メモに取りまとめる。また、高寿、20歳のときの愛美の肖像画をプレゼントする。小説では、会話中にシンプルに出てくるくだりをしっかり映像化してくれたのは、原作ファンとしては嬉しかった!

愛美30歳、高寿10歳(映画、小説)
高寿のサッカーの帰りに愛美が現れ、一緒にたこ焼きを食べる。思い出の写真の入った箱を高寿に10年後に開けるように言って手渡す。原作では、愛美は女優になっている。

愛美35歳、高寿5歳(映画、小説)
【原作】震災で高寿の自宅が火事になり、部屋に取り残された高寿を愛美が救い出す。
【映画】家族と遊びに来ていた高寿が宝ヶ池で溺れた時、愛美が高寿を救い出す。

7.原作小説との相違点(※ネタバレ有注意)

7-1.原作では描かれていた将来の二人のキャリア

20歳同士の限られた40日間(原作)を過ごした後、愛美は女優に、高寿はクリエイターになります。二人の人生において一番大切な40日間は、二人のその後の人生にも多大な影響を与えたのでしょう。

20歳の冬にお互いが出会った時、初めて二人の関係の真実と驚愕の出来事を知った高寿と、幼少の頃から経緯やシナリオをすでに知り、高寿の世界に来て、逆向きの時間軸で、決められた運命を受け入れ、完璧に「演じた」愛美。

高寿は、時間軸を超えて絡み合った因果関係や運命的な出会いの奥深さから触発されてクリエイターへの志望が深まったのでしょうし、大切な相手のために脚本通り特別な二人の30日間を演じきった経験は、愛美に俳優になる自信を与えたのかな、と思うと非常に感慨深いものがありました。

映画でも、その後の二人のキャリアを匂わすレベルでもいいから、なんとか詰め込んでほしかったエピソードでした。

7-2.映画で追加された特別な仕掛け

映画では、原作にはない特別な仕掛けが2つ用意されていました。

・高寿の家で出された、隠し味にチョコレートを入れる「家庭の味」を、高寿に手料理として振る舞う愛美のエピソード
・15歳の愛美に25歳となった高寿が大切な二人の思い出である20歳の愛美の肖像画をプレゼントしたエピソード

この2つは、二人の優しさや思いの深さを効果的に表現した素晴らしいシナリオでした。原作ファンにはサプライズとなって、非常に良かった! 

8.まとめ

原作小説を直前に5回読み返し、コミックも購入して予習はバッチリで臨んだ今回。ブログに書くから、泣かずに冷静にメモを取ろう!と思っていたのですが、ムリでした、、、。

かけがえのない二人だけの貴重な時間ははかなく、二人の時間軸は一瞬ですれ違っていきました。しかし、大切なものを失う大きな喪失感を経験する代わりに、高寿と愛美はふたりの大切な時間を何よりも大切にしようと決意し、相手を思いやる優しさを獲得していきました。決して相手につらい別れの涙をみせないよう、必死で頑張る健気な二人の演技が素晴らしかった。

切なくて、心が優しい気持ちになる、素晴らしい映画です。是非、映画館の大画面で二人の表情を楽しんでみて下さい。

それではまた。
かるび

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【映画レビュー】2016-2017年末年始に上映中の映画感想記事まとめ

9.映画をより楽しむためのおすすめ関連書籍など

本作品は、まず原作小説がブレイクし、映画化が決まると同時にコミカライズ企画も進んでいきました。良くあるメディアミックス戦略ですね。わかっていても全部買ってしまうという・・・せっかくなので、全部紹介します(笑)!!

9-1.原作小説「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」

映画から入った人は、是非まず原作小説に目を通してみて下さい!150万部売れるだけの理由がわかります。とにかく、何度読んでも新たな発見があり、リピートする時は愛美の目線で読むと、すごく新鮮です。ロケハンがしっかりした情景描写も見どころ。

9-2.マンガ版「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」

現在Webで連載中。映画がDVDになる頃に、最終巻が出そうなスケジュール感で連載が進んでいます。今のところ、原作小説に忠実な流れですが、クライマックスにかけて一捻りオリジナルのエピソードを期待しています!そしてこちらも泣けます・・・(^^)

9-3.七月隆文のお勧めの書籍!

元々バリバリ男子向けラノベ作家として小説家のキャリアをスタートさせた七月隆文ですが、最近のライト文芸路線をもっと突き進んで欲しいです。特に、この2冊は七月隆文の「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の次に読んでほしい本です!

四国の瀬戸内地方、今治を舞台に、特定の人にしか羽が見えない天使の女の子が転校してくる話。中盤以降一気に加速して、異世界的で深刻な展開と、ドロっとした四角関係の恋愛模様が同時進行するファンタジックなライト文芸。表紙を「君の名は。」作画監督の田中将賀が担当したのも要注目です。

イケメン男子と普通の女子高生がケーキ屋のバイトを縁として交流を深め、学園内でヒロインに仕掛けられた嫌がらせの謎解きをするお仕事小説/キャラ文芸をミックスさせたような作品。コミカライズも決まり、連載が開始されていますが、恐らくシリーズ物になる気配です。軽快なタッチでスイスイ気持ちよく読める作品です。

七月隆文が若い時に発表した恋愛小説の連作短編集を、リライトして10年ぶりに出版した作品。6年前に死んだ初恋の幼なじみ、桃香の幽霊が突然見えるようになった主人公、明が、この世に思いを残して亡くなった思春期の少女たちと交流する切ないストーリー。血のつながらない妹、柚(ゆず)からの恋心にはなぜか鈍感な王道設定も良いです(笑)現在、「君にさよならを言わない2」まで出版されています。