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あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して3ヶ月。無職または専業主夫で、ブログ書いてます。美術展と人事労務系の記事が多め。

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中間管理職の悲哀を描く「中間管理録トネガワ」をKindleで一気読みしました。面白い!

書評
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【2016年12月21日更新】
かるび(@karub_imalive)です。

以前からネットで話題になっていて、大評判な「中間管理録トネガワ」が、2016年8月に既刊も含め、1巻~4巻まで全巻Kindle化されました。僕も、遅ればせながらポチッと全巻まとめ買いしたのですが、これが面白すぎました!

今日は、この「中間管理録トネガワ」について、感想を書いていきたいと思います。

1.中間管理録トネガワとはどんなマンガなのか

もともとは、福本伸行の「賭博黙示録カイジ」でのカイジの敵役として、カイジを苦しめた帝愛グループの大幹部、利根川幸雄(以下、トネガワと省略)を取り上げたスピンオフ作品です。

本編の物語中盤までは、まるで王のように振る舞うトネガワも、実は帝愛グループのワンマンオーナー、兵藤和尊会長の前ではイチ中間管理職に過ぎないのです。

本編「カイジ」では、トネガワは「限定ジャンケン」「鉄骨渡り」「Eカード」と、カイジと死闘を繰り広げた結果、最終的にカイジに負けてしまいます。すると、怒った兵藤会長はあっさりトネガワを切り捨ててしまい、本編ではこれにてフェードアウトしていきます。

この「中間管理録トネガワ」は、そんなトネガワがまだ帝愛グループで曲がりなりにも一応幹部として地位を保っていた時期、つまりカイジと対決するカイジ本編よりも少し前の時代、トネガワが帝愛グループ幹部として権力を保持していた時代の、彼の中間管理職としての苦悩と葛藤を面白おかしく描いていきます。

2.舞台設定「帝愛グループ」は典型的なブラックオーナー企業

中間管理録トネガワが、幅広い読者から共感を呼んでいる背景には、その絶妙な舞台設定があります。彼の勤務する帝愛コンツェルンという企業は、まるで昭和の旧き良き日本の大企業そのもの。徹底的に日本企業をデフォルメして面白おかしく描き出しています。それでは、ちょっとトネガワの所属する帝愛コンツェルンを見てみましょう。

2-1:典型的な前近代的ブラック企業

帝愛コンツェルンは、非合法すれすれの高利貸し、闇金融、裏カジノなどを抱えるなんでもありの、完全に反社会的勢力とズブズブの関係にある大企業グループです。「カイジ」本編では、人の死をなんとも思わないイベントや地下強制労働で多重債務者から借金を回収するなど、人の不幸や生き血をすすって儲けることも厭わない、そんな超絶ブラック企業であります(笑)

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2-2:超ワンマン社長が仕切る、オーナー企業

そんな帝愛グループを取り仕切り、超絶ブラック企業体質な会社を作り上げたのが、帝愛コンツェルン総裁の兵藤和尊(ひょうどうかずたか)です。彼は、典型的なワンマン体質で、気分屋で言うことがコロコロ変わる理不尽極まりないボスなのです。社内は一種の恐怖政治下状態にあり、兵藤のカミナリがいつ落ちるかわからないため、同社の大幹部トネガワであっても、ビビりながら会社生活を送る毎日なのです。

兵藤会長から、電話一本で思いつきのくだらない指示を受けたりするのは、トネガワにとって日常茶飯事。でもここで手を抜くわけにはいきません。兵藤会長の指示に背いたり、機嫌を損ねたりしたら何がおこるかわかりません。どんなにつまらない指示でも全力で取り組まなければならないわけです。

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そして、極めつけは会社内に兵藤会長専用の大浴場があるという(笑)題して、「王の湯」。これは笑えました。

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2-3:長時間残業に休日出勤

そんなオーナー企業ですから、トネガワも毎日夜遅くまでガッツリ働きます。物語中のメイン舞台である「第三会議室」で開かれる企画会議は、いつも深夜までエンドレスに開催されます。効率よく定時退社・・・なんて考えは、帝愛グループには一切通用しないのです。企画書の相談のため、夜9時から「王の湯」から上がってくる会長の出待ちとか、キツすぎます・・・。

★兵藤会長の出待ちをする図
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そんなブラック企業ですから、利根川クラスの大幹部であっても、20連勤などは当たり前。羽を伸ばせるのは福岡や大阪への出張電車の中だけというタフな状況です。

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2-4:トネガワ他、社員の私生活は一切出てこない

そんなわけで、この「中間管理録トネガワ」には、トネガワやその他の社員達の私生活を描いたシーンは一切出てきません。描かれるのは、トネガワと彼の部下たちの面白おかしい社畜生活です。

彼らはいつも帝愛社内にいます。プライベートらしき風景が見えたシーンを強いて探すなら、トネガワが部下たちをねぎらうため、土日を潰して社員慰安旅行に行ったシーンくらいでしょうか、(しかしこれもほぼ仕事の一環で会社の保養所に行くという/笑)

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3.面白さのポイントは、トネガワの立ち回り

さて、そんな超絶前近代的ブラックオーナー企業で健気に中間管理職として身を捧げる主人公トネガワですが、その面白さのポイントは、なんといっても中間管理職としてのトネガワの描かれ方です。いくつか見てみましょう。

3-1.上下に挟まれる中間管理職トネガワ

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トネガワは、基本的には、仕事ができて、他の黒服(=モブキャラ)よりははるかに優秀なんです。でも、白髪も交じる初老のトネガワ。長年の過酷な労務環境の中、なんだか少し疲れも溜まっていて、初歩的なヘマもやらかしてしまいます。疲れから、ついつい会長の目の前で居眠りをしてしまったり。

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また、幹部のくせにゴマすりもいまいち上手くなく、上司である兵藤会長の言動を気にしすぎるあまり、おどおどしてしまい、兵藤会長とコミュニケーションがいまいちきちんと取れなません。出世を争うもう一人の帝愛グループの大幹部、No.2の黒崎には、会長へのお追従でいつも水をあけられてしまうのも哀しいところです。

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でも、作中では、いきあたりばったりながら、上司である会長に極限まで気を使いつつも、部下にもきちんと目配りも欠かさない。上下にしっかり配慮しつつ、神経をすり減らしつつ頑張っていて、憎めない感じもあるオジさんなのですよね。

3-2.パソコンは一切使うシーンなし

トネガワは、基本的にはオジさんなので、会議は口を出すだけで、自分では手は動かしません。だから、パソコンを触るシーンやネットで何かを検索したりするシーンは一切出てこないのがこの作品の特徴です。(かろうじて、携帯電話で理不尽な兵藤会長の指示を受けるシーンはいくつかあります。)

作中の司令室である「第三会議室」やデスクにも、一切パソコン類は置いておらず、目の前には灰皿だけ。オジさんらしくIT関係は弱そうです。作中でも、部下の黒服がパワポを使うシーンで圧倒されているところを描き出されており、非常に微笑ましいです。

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3-3.飲みニケーション、集団行動が大好き

第1巻~第3巻まで、約20話弱ある中で、合宿1回と飲み会2回、部下とサシで飲んだのが1回、飲み会を企画したが潰れたのが1回、社内接待が1回と、ひたすら社内で濃い付き合いを重ねます。まさに昭和のザ・サラリーマンという感じが面白い!

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4.良かったのはどこまでもギャグ漫画路線であるという点

最初、書店で1巻の途中まで試し読みした時は、主人公トネガワが失敗を重ねつつ、プロジェクトの成功にたどり着く中で得た学びや気づきを読者にフィードバックするような、ビジネス書的なアプローチなのかなと思っていました。

でも全く予想はいい意味でハズれました。

そんな高尚な路線ではなく、ひたすらシュールなギャグ漫画路線なのです。社内接待、出張、入社面接、インフルエンザの蔓延・・・など、身近なネタが、カイジの世界観の中で、トネガワ目線でドタバタ劇として展開されていきます。昭和の古き良きサラリーマン生活のシュールなバカバカしさが、決してキツくなりすぎず、単純にゲラゲラ笑えるレベルでテンポよく描かれます。

実際、リアルにトネガワ的なサラリーマン生活を送っている人はかなりいるはずです。そして、現実のリアルトネガワ的会社生活は結構つらいはず(笑)だからこそ、こういう後に引かないカラッとした笑いにデフォルメ・昇華されたストーリー展開は非常に良かったと思うのです。前職がオーナー企業だったので、個人的にはものすごく共感できた(笑)

5.思えば僕の最近までのサラリーマン生活はトネガワそのものだった

この「中間管理録トネガワ」は、極端に昭和の企業戦士・中間管理職をデフォルメして描いていますが、ここで描かれている中間管理職の悲哀やキツさは、「あーわかるわかる」って言える人は多いんじゃないでしょうか?

僕も、非常によくわかります。

現在、僕は、2016年5月からしばらく自主サバティカル期間中ということでお休みを頂いています(つまり無職)が、前職は、トネガワ程ではなかったですが、「オーナー独裁のワンマン中小企業」での経営幹部クラスの立ち位置だったのでした。東京のITシステム開発を手掛ける会社だったのですが、そこで営業や採用をメインで担当していました。

そして、退職する直前までの数年間は、まさにトネガワ状態。20連勤休みなし・・・やりました。普通にありました。社員旅行や管理職の合宿、社員研修、長時間残業など盛りだくさんでしたね。

また、出世しても、幹部に近づけば近づくほどオーナーに近い立ち位置になり、逆に自由がなくなっていくというパラドックスも経験しました。オーナーの鶴の一声で、休出が簡単に決まったり、理不尽な対外交渉なども沢山やらされました(笑)

トネガワもそうですね。大幹部なのに、会議では部下が寝坊しても必ず朝一で来て、夜は必ず最後まで会議室に一人残っているシーンがきっちり描かれています。そして、電話1本で兵藤会長から電話での呼び出しも・・・。共感できるところ多すぎ(笑)

6.まとめ

「中間管理録トネガワ」は、最近読んだマンガの中では、久々にお腹を抱えて笑える作品でした。購入して、読了してすぐに何度もリピートして読みかえしてしまいました。ガラパゴス的な日本企業の中間管理職の難しさや悲哀を、これだけ笑いに変えて作品に仕上げられる構成力は素晴らしいと思います。なおかつ、それでいて元の「カイジ」の作品の雰囲気も全く壊れていないという、、、

この作品は、特に今サラリーマン生活を頑張っている人にこそ、読んで欲しい傑作です。12月6日に、最新刊の4巻も紙媒体、Kindleと両方で発売されています。今の時点で、まとめ読みしてみてはいかがでしょうか?お勧めのマンガです!

【2016年12月13日追記】
最新刊の4巻が12月6日に発売となりました!相変わらずの面白さでグイグイ引き込まれました!よくもこんなに笑えるネタが次々と出てくるなと感心します!せっかくなので、中身を少しだけ紹介させて下さい。

4巻では、新キャラが登場します。兵藤会長がきまぐれに、「影武者を作れ!」とトネガワに号令。困ったトネガワでしたが、偶然入った飲み屋のマスター「まさやん」が、会長のそっくりさんでした。そして、まさやんの影武者としての特訓が始まります・・・

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また、サラリーマンでよくある休日のイベントといえば、部下の結婚式です。トネガワチームの黒服、荻野の結婚式にトネガワ率いる黒服チームで参加することになったのですが、山崎のサプライズ企画はなんと流行りのフラッシュモブ(笑)爆笑ものでした! 

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