あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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若手芸術家達の登竜門!「DOMANI・明日」展で13人の現代アート作家の作品を楽しんできました!

かるび(@karub_imalive)です。

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最近、美術館の企画展に飽き足らず、よくグループ展に行くようになりました。巨匠たちの作品もいいですが、幅広くたくさんの作品に触れたいなと思い、相変わらず美術館に通っています。

最近は日展に、そして僕の父が会員になっている大潮展とか、伝統的なものから、東京都美術館で開催中の「都美セレクション」を見て回っています。

すでに評判が確立されたアーティストと違い、グループ展や美術団体の展覧会は上手なのから残念なものまで玉石混交ですが、アートシーンの裾野の広さを感じられるのですよね。

今日は、文化庁主導で、現代アートの若手作家を支援する目的で毎年この時期に開催されている「DOMANI・明日展/(ドマーニ・明日展)」のプレス向け内覧会に参加させていただきましたので、ちょっと感想レポートを書いてみたいと思います。

1.ドマーニ・明日展とは?

文化庁が若手芸術家の海外修行をバックアップする「新進芸術家海外研修制度」を立ち上げて今年で49年目。海外で活動したい若手芸術家の費用面を国がバックアップする制度です。そんな国の費用援助を受けるからには、集大成として、成果発表会をやらなきゃね!ということで、毎年この時期に「ドマーニ・明日」展と題して、十数人の若手芸術家たちのグループ展が開催されるのです。

留学生の派遣先f:id:hisatsugu79:20161210231417j:plain

ドマーニ展自体、今年で第19回目となるのですが、上記の写真の通り、ここ最近は留学先もヨーロッパ一辺倒ではなく、世界中の各地へ拡散しています。また、成果として発表される素材も、現代アートの最新シーンを反映し、絵画、写真、映像、インスタレーション、工芸作品、メディアアートなど多種多様にわたります。

なんだかんだで、現在の第一線で活躍する日本の現代アートの巨匠たちの多くも、長いキャリアのどこかでは、こうした国のバックアップを得て活動をした若い時代がありました。

こうした若手主体のグループ展は、将来ブレイクしそうな隠れた原石を発掘するという意味合いで、ある意味マニアックな楽しみのある展覧会だと思います。観覧料金も1000円と安めですし、是非ダリ展などとセットで見て回るのも面白いと思います。

2.今回出展している芸術家達

下記のリンクで、今回参加している13名のアーティスト達の簡単なプロフィールがまとめてあります。絵画、陶芸、メディアアート、ビデオアート、インスタレーション等々、幅広いジャンルに渡っていますよ。

3.展覧会は一部を除き撮影自由

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展覧会は、一部を除いて撮影は自由となっています。これから少しでも多くの人の目に触れられるべき若手芸術家の作品は、インターネットでこうしたアートファンの手によって拡散されてナンボだと思うので、ガンガン撮影して広まってくれればいいなぁと思います。

4.特に面白かった展示

総勢13名の個性的な作品群を見て、特に印象深かった作品や、あるいは個人的にこれは面白かったな、と思えた人の作品をいくつかピックアップしてみたいと思います。

4-1.曽谷朝絵

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内覧会が始まった時点では、まだ製作途中だったインスタレーション。ビビッドな色合いの様々な図柄が部屋いっぱいに広がるにぎやかさが良かったです。

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他にも、優しい色合いの宇宙的/あるいはスピリチュアルなイメージも想起させる抽象画は見飽きなくて、不思議とずっと見ていたいような感覚になりました。リラクゼーション音楽などのCDジャケットデザインにフィットしそうな作品群です。目に優しい雰囲気の作風なので、病院やリラクゼーションスペースのインテリアとしても良さそう。

4-2.松井えり菜

若手の中でも割と有名な現代アーティスト。変顔でドアップな自画像を宇宙的な背景にのせて描く不思議な作風が印象的で覚えていたのですが、今回の展覧会で初めてじっくり見ることが出来てよかったです。知名度の高さもあり、一番部屋の中が盛り上がっていたように思います。

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出品された作品中、最大の作品。宇宙空間に動物達と、それに取り巻かれるように作家本人の自画像がドカーンと描かれた大作。絵画から飛び出しそうなくらい主張の強い自画像です。肖像画って、普通は実物よりも見栄え良く描かれるのが通例なのに、この人の場合はなぜか実物より見栄えが悪くなるという風変わりな作風です。

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こちらはつながってます・・・。多少不謹慎かもしれませんが、昔話題になった「ベトちゃんドクちゃん」を想起させました。これもなかなかに迫力のある絵です。

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そして、最後は(恐らく)作家自身の顔面を切り取った巨大な能面のようなリンゴです。ダリ展でもこんな感じの工芸がありましたが、インパクトはこちらのほうが強烈でした。

4-3.金子富之

作りこみの緻密さ・丁寧さで言えば今回の展覧会でNo.1だった金子富之。カンボジアに留学し、現地でインスパイアされた仏教美術などの東洋的なモチーフで細かく描きこんだ作品群が非常に良かったです。

現地で知り合った高僧から、「陰」と「陽」両方の要素を絵画内に閉じ込められると絵に深みが出るとアドバイスされた内容がよく反映され、神聖すぎず邪悪的過ぎず、迫力がある中にも、不思議なトーンに落ち着いた作品でした。

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一番気に入ったのは、配色を抑え、ほぼ白黒の巨大な作品。羅漢なのか妖怪なのか定かではない迫力ある顔面が、作品の中央にどーんと並びます。

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顔の部分のアップ。見てくださいこの凄みのある表情。眼力が凄い!

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4-4.保科晶子

陶芸ではなく、焼かずに「粘土」での作品を出展した保科晶子。時間や記憶、感情など移ろいやすく微妙な思いや概念を、作品を制作しながら再確認するプロセスこそが、彼女の芸術活動なのだそうです。粘土ならではの手作り感のあたたかみや、素朴さにひかれるものがありました。

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粘土で形作った子供服。衣服のしわやクシャッとした感じが粘土の質感で上手に表現されていて、脱いだばっかりのぬくもりが伝わってくるようでした。もこもこした厚手の子供服のあたたかみや安心感がよく表現されています。

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2016年の最新作。この白いレースは、立体感や質感など、細部までリアルに表現されていた労作。これも良かった。

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部屋いっぱいに広げられた「モノリス」という作品は、まさに墓標。作者自身の思い出や記憶を一つ一つ形や色が異なる粘土ブロックに閉じ込めたそうで、制作当初は留学先のパリ郊外のアパートで展覧会が開かれました。

墓標、というより、超古代遺跡の古代人の出土品みたいな面白さがあって、味わい深かったです。もう少し館内が暗いほうがよりリアルさが出てよかったかなとは思います。

4-5.平川祐樹

「時間」の本質を追い求めて作品制作を続ける平川祐樹。真っ暗な空間の中で白黒をベースとした静かな映像作品の展示が印象的でした。しばらく椅子に座ってゆっくり鑑賞したい作品群です。

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10枚程度並べたパネルに、横倒しにした火をつけたローソクが燃えて短くなっていく様子をエンドレスで時間差をつけて展示した作品。照明を落とし、真っ暗な中、ちろちろとローソクが短くなっていく様は、古典落語の「死神」のように人間一人ひとりの命の残り時間を見ているようでした。燃え尽きると、また動画が復活するあたりも「輪廻転生」を見ているようで面白かったです。

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写真ではわかりづらいですが、実際には下から天井に投影された映像を映し出しています。映像自体も下から森の中の木々が風にゆれる様子を放映した白黒動画で、静かな空間の中、禅的な幽玄さが良かったです。(長く見てると、ちょっと首が痛くなりましたが・・・/笑)

4-6.南隆雄

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暗くした部屋の中で、プロジェクターで大判のスクリーンに映し出された、特殊加工された映像です。「黄色」「青」「水色」「白」「黒」の5色で映し出された映像はこれまでありそうでなかった感触。心地よい感じはあまりないのですが(笑)、変に近未来的なステレオタイプ的な感じでもなく、独創的でよかったです。

持っていったカメラがイケてなくてちゃんと採れてなかったのですが、この裏に展示された影絵も素朴で暖かい感じがして素晴らしいと思いました。

 5.まとめ

この他にもまだまだたくさん作品が出展されています。是非、足を運んでみて、好みの作家さんを見つけてみてくださいね。特に、去年は会期終了10日前に早々に図録が売り切れる盛況ぶりでしたので、早めに年内に行かれることをオススメします。国立新美術館は年末年始のお休みが長いので、開館日に気をつけてお出かけくださいね。

それではまた。
かるび 

展覧会開催情報

「第19回 ドマーニ・明日」展

◯展覧会場
国立新美術館・2F企画室
◯会期
2016年12月10日(土)~2017年2月5日(日)
◯開館時間
午前10時~午後6時、毎週金曜日・土曜日は午後8時まで

◯休館日
毎週火曜日
年末年始休み(12月20日~2017年1月10日)

◯公式HP
http://domani-ten.com/
◯Twitter
https://twitter.com/HokusaiMuseum
◯最寄り駅
地下鉄乃木坂駅6番出口直結/六本木駅徒歩5分

◯周辺地図

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