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あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して3ヶ月。無職または専業主夫で、ブログ書いてます。美術展と人事労務系の記事が多め。

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【ネタバレ有】映画「PとJK」感想とあらすじ・伏線の徹底解説/脚本に難ありの中途半端な作品でした・・・

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かるび(@karub_imalive)です。

3月27日にリリースされた少女マンガ原作の実写映画「PとJK」を見てきました。同じ週に、同じスイーツ系では「ひるなかの流星」も上映される中、結構お客さんが入っている印象。

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、ほぼ全編にわたってストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承下さい。

1.映画「PとJK」の基本情報

<映画「PとJK」公式予告動画>

動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】廣木隆一(「オオカミ少女と黒王子」「ストロボ・エッジ」)
【配給】松竹
【時間】124分
【原作】三次マキ「PとJK」(2017/3時点で既刊9巻)

原作は、別冊フレンドにて現在も大人気連載継続中。映画では、原作第1巻~第4巻あたりまでのエピソードを集中的に拾いつつ、クライマックス直前からは映画オリジナルのストーリーが用意されています。

2.主要登場人物とキャスト 

佐賀野功太(亀梨和也)
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函館市内での派出所で勤務する口下手でクソ真面目な警官を演じるのは、今回が意外にも恋愛映画では初主演となるそうです。代表作は「ごくせん」や「野ブタをプロデュース。」といった若い時のイメージが強く、今回映画内で学ラン姿になるところは、当時の面影を少しだけ残していました。(ほんの少しだけね)

本谷歌子(土屋太鳳)
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ヒロイン役は、恋愛映画では「Orange」「青空エール」などヒット作が続いている土屋太鳳。今年も「PとJK」に続き、「兄に愛されすぎて困ってます」「トリガール!」「8年越しの花嫁」など公開予定作品がずらり。「まれ」での主演以来、確実に演技力も向上して順調ですね。

大神平助(高杉真宙)
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場合によっては主役二人を食うくらいの非常にインパクトの強い好演が光った今作。今作で初めてまともに彼の演技を見ましたが、主役以上の強烈な存在感をこの作品で残しており、感銘を受けました。若干20歳になったばかりだそうですが、今後確実に表舞台に出てきそうな楽しみな若手俳優です。

矢口三門(玉城ティナ)
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「オオカミ少女と黒王子」以来、廣木隆一監督作品で連続して起用されている他、今年も「サクラダリセット」「暗黒女子」など、2017年4月には同時に上映されている3つの作品にそれぞれ出演を果たすなど、売れっ子若手俳優になりました。

永倉二郎(西畑大吾)
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関西ジャニーズJrのメンバーで、今回映画初出演なのだそうです。パンフレットには、配役が決まってからかなり役作りに気合を入れたエピソードが書かれていました。今回はモブに毛が生えた程度の役割だったので、次回作以降が勝負ですね。悪くはなかったと思います。

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3.結末までの詳しいあらすじ(※ネタバレ注意)

3-1.功太との出会い、そして突然のプロポーズ

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カコ(本谷歌子)は、函館で暮らす高校2年生。その日、夕方から親友のミカド(矢口三門)に誘われ、人数合わせのためにミカドの姉が参加する合コンに22歳の女子大生という設定で無理やり参加させられていた。

宴会が進み、カコとミカドが男性陣からお酒を注がれ、飲むわけにもいかず困っている時、それを影で見ていた男性が突然現れ、二人分の酒を代わりに飲んでくれたのだ。それが、カコにとって初めて功太(佐賀野功太)と出会ったきっかけだった。

合コン終了後、カコは終電があるため2次会を断って、功太にお礼だけ言って帰ろうとしたら、功太が送ってくれることになった。功太に手を取られ、走って近くの市電の駅まで向かったが、終電をタッチの差で逃してしまう。

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二人は、少し息を整えるために歩きながら色々話し、良い雰囲気となったが、うっかりカコが16歳であることを打ち明けてしまうと、「クソガキ!早く家に帰れ!」と、急に功太の態度が厳しい口調に豹変した。ロマンチックな雰囲気から急転して叱られたカコは、狼狽して路地裏へと一人走って行った。

しかし、路地裏でたむろしていた地元のヤンキーに絡まれてしまう。そこへ、追いついてきた功太は、カコを庇ってヤンキーたちと対決する。その場には功太が常日頃から何度も問題児として指導していた大神平助の姿もあった。功太は、警察手帳を取り出して、救援を要請するも、劣勢になる。スケボーで殴られそうになった平助をかばい、カコは額に大怪我をして、そのショックから気を失ってしまった。

その夜、カコの両親に事情を説明し、両親が帰宅しても、功太は一人病院に残ってカコに付き添っていた。やがて、カコが目覚めると、功太は、カコに向き合って改めて「君とは付き合えない。なぜなら女子高生と警官という立場の違いがあるから」と説明した。

カコは、「子供扱いしないで!」と憤慨し、功太を帰らせようとするが、功太は部屋から出る寸前に、「カコちゃん、結婚しようか」とぼそっとつぶやくのだった。

退院後、しばらくするとカコは学校にも通い始めた。大神は、自宅謹慎処分になったという。そして、功太は結婚を申し出るために本谷家に改まって挨拶に来た。カコの両親は突然の結婚話に面食らってしまい、結局その日は何の進展もなく功太は本谷家を後にした。帰り道、功太はカコと次の日曜日にデートの約束をした。

そして、日曜日、ふたりは海沿いのカフェまでドライブに出かけ、改めてそこで警官らしく、功太はカコに防犯ベルをプレゼントした。

しばらくして、功太はカコの父ともじっくり二人きりで話し合い、最終的にはカコの高校卒業後まで、「通い婚」「子作りは禁止」という条件で、結婚への承諾を得たのだった。

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別の日、功太はカコにエンゲージリングを手渡し、観覧車の上であらためてカコにプロポーズしてから、二人の結婚生活が始まった。翌朝以降、カコは朝方に功太の家に立ち寄って、朝ごはんを作ってから学校へと通うことになった。エンゲージリングは、ネックレスにして肌身離さず身につけることにした。

二人の結婚は、親族とミカド、功太の勤務する派出所の上司など、必要最低限の周知にとどめ、学校では秘密にしていた。休日は、洗濯、そうじ、食事など、一通りの家事をしっかりとこなしつつ、手の空いた時は夜勤用の弁当も作って職場に届けるなど、精力的に妻としての務めを果たそうとするカコだった。

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しかし、功太とカコの生活は、しばしばすれ違いになることも多かった。特に夜勤明けに帰ってきた時、疲れてフラフラになった功太は、いつにもまして無口で不機嫌になるのだった。

また、彼らは知り合って電撃的に結婚したため、お互いの過去についてよく知らなかった。カコは、派出所で功太の上司、山本から功太の高校時代の悲しい逸話を聞かされた。功太の父も警官だったが、連続殺人事件の捜査中、功太の目の前で犯人に刺され、殉職したのだった。

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ある日、買い物中にバイト中の大神と偶然出会い、大神と話し込んでいる所を功太に見られ、二人きりになった時にカコは功太から「人を見る目がまだない!」と叱責され、二人は結婚後初めて喧嘩をした。

3-2.文化祭の準備、大神との交流

秋になると、学校では学園祭の準備が始まった。停学中だった大神も復帰し、カコはクラスで何かと浮き気味な大神を衣装デザイン係に誘ってみた。

大神は、生活で大きな問題を抱えていた。母親の愛人からの度重なるDVと、借金の肩代わりで、いつも生傷が絶えない毎日だったので、学校どころではなかったのだ。それでも、大神はカコやミカド、二郎らと交流する中で、少しずつ心を開くようになっていた。

一方、文化祭の準備期間中は、カコと功太は完全にすれ違い生活になっており、物理的に何日も会えない日が続いていた。カコは学園祭の準備で忙しく、功太はハードな夜勤シフトで家に帰れなかったのだ。功太は、ある日勤務の合間を縫って、学校近くに車を停めて、カコと話をした。

すれ違い生活のストレスや、不器用で口下手な功太とのコミュニケーション不足もあって、カコは功太との結婚生活に自信をなくしていた。その日も、結局署から功太に連絡が入り、打ち解けた話をすることができなかった。

学園祭の前日、大神は朝から母の愛人に酷いDVを受け、学校にさえ行けない状況だった。近所の通報を受けて、功太が家の中に踏み込むと、家の中はめちゃめちゃに荒れてしまっていた。功太は、事情聴取のため大神の母の愛人を署へと連行した。

一方、朝から学校に来ない大神を心配したカコ、ミカド、二郎は、放課後になってから大神の家を見に行くことに。三人は、荒れ放題の家から出てきた大神を気遣い、部屋の後片付けを手伝いながら、翌日の学園祭は必ず来てほしいと念押しした。

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学園祭の当日、功太はお忍びでカコの学校にきていたが、ミカドに見つかってしまい、学ランに着替えさせられてしまった。その格好のまま、カッパ姿のカコとしばらく校内デートを楽しんだ二人。

3-3.二人の結婚生活の危機

夕方になり、大神の昔のヤンキー仲間が、大神を呼び出そうと学園祭に乱入してくる。彼らは大神が見つからなかったので、替わりにカコを拉致して彼らのたまり場となっているバーへ拉致してしまう。

カコが連れ去られたことに気づいた大神と功太は、ヤンキー仲間のたまり場へと移動して、カコを救出しようとした。功太が現場に到着すると、バーの出入り口付近で他の警察メンバーも、功太の合図でいつでも突入できる体制を整えていた。

カコも防犯ブザーを鳴らして助けを呼んだが、功太の突入合図が遅れたことで、ヤンキー仲間を警察部隊が全員取り押さえる前に、功太はヤンキーの一人に腹を刺されてしまった。

その後、病院で付きそうカコに、ミカドたちも駆けつけてくれた。結局、その日は徹夜で看病して、功太の目が覚めたのは明け方近くだった。

目が覚めた功太に対して、不安と混乱が収まらないカコは、功太を責めてしまった。そして、「重すぎる。もう結婚生活を続けられない」と言い残して、エンゲージリングをベッドサイドに置いて、病室を後にした。

それからしばらく、カコの両親は何も言わなかったが、カコは普通の高校生活に戻っていた。そして、功太もまた以前のように一人暮らしに戻っていた。

二人がもう一度復縁するきっかけになったのは、功太が防犯対策の講演会で、カコの高校を訪問したときだった。体育館で行われた講演会終了前の自由質問タイムの時に、ミカドが「なぜ敢えて危険な警察官を続けているのか」という質問に対して、功太が「ある大事な人から、命を大切にすることを学んだ」と答えると、カコは涙が止まらなくなった。

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講演終了後、どちらともなく体育館へと戻ってきて、熱く抱き合った二人。二人の間にわだかまりはなくなっていた。二人は、そのまま学校を出てパトカーで家路に着いた。

そして、別のある日。ふたりは、2回目のデートで行った遊園地の観覧車の中にいた。功太は再度プロポーズし、エンゲージリングをカコの指にはめた。熱く何度もキスをして愛情を確かめる二人だった。

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4.感想や評価(※ネタバレ有注意)

2017年に入って以来、全国50館以上で上映された恋愛映画は全部見ているのですが、率直に言うと、「PとJK」は今年の恋愛映画の中では期待はずれな作品のうちの一つでした。良いところも散見されましたが、脚本がとにかく酷い出来だったように思います。特に、同時に封切りとなった「ひるなかの流星」が予想外に良かっただけに、その後の落差も大きく感じました(以下、厳し目の意見が続きますが、何卒ご容赦くださいませ)

4-1.まず、主役のビジュアル面が老けすぎなのでは・・・

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今作の主人公、佐賀野功太と本谷歌子の映画内での年齢は、それぞれ映画スタート時点で26歳と16歳。ですが、亀梨和也と土屋太鳳の実年齢は、それぞれ32歳と22歳と、設定年齢を上回り過ぎているように思います。

土屋太鳳は可愛いんだけど、すでに「高校生」として見るのは厳しい感じ。「大学生」っていうのなら、ものすごくリアルな感じがします。若さや幼さを醸し出す演技力で大部分カバーはしていたけど、やっぱりアップになるとJKのコスプレをしているみたいだったかな。。。(このあと、5月に公開される「兄に愛されすぎて困ってます」もJKの役だったような/笑)

さらに、主演の亀梨和也も、確かにイケメンなのですが、20代中盤の若手警察官としては少々ビジュアル的に落ち着きすぎている感じがしました。亀梨は真面目な素のキャラを活かして、もうスイーツ映画を卒業して、先輩の岡田准一のような立ち位置でもう少し本格派を目指したほうがいいように思います。

と言った具合に、まず主役二人の見た目からして、モヤモヤしてしまって映画に没入出来ない感じでした。

4-2.脚本が酷くて、感情移入するのが非常に難しかった

最大の問題は、ストーリーの構成がちぐはぐで、雑な描写が散見された残念な脚本です。映画撮影開始時点で刊行されていた原作1巻~4巻あたりからのエピソードを、時系列を組み直して採用し、クライマックス部分にはオリジナルストーリーが組まれていました。

まず、最初に「アレッ」と思わされるのが、功太がカコに出会った「その日」に「結婚しよう」と思いつきで提案しちゃうことです。原作でもここは一応4話分=1巻分の分量を割いて丁寧に描写していっているのに、流石に出会って数時間後の結婚申込は「なんか早すぎるよな」を通り越して、サイコパス的なヤバさしか残りません。しかも、功太が強くカコに一目惚れし、雷に打たれたように瞬時に惹かれてしまうような描写もないのです・・・。少なくともここで、まず違和感が残ってしまいます。

さらに、通常の恋愛過程を飛ばして結婚生活に入ったからなのか、お互いの仲が深まっていく過程で、二人だけのドキッとするような象徴的な恋愛シーンが少なかったのも不満が残りました。(両親から自制するように釘刺しされてるし)

功太のパンツを干すシーン
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省略された恋愛シーンの代わりに多めに描かれたのは「スレ違いの結婚生活」でした・・・。家での半同棲生活は、土屋太鳳がニヤニヤしながら家事をこなすシーンで終わっていきますし、中盤以降は二人の生活時間帯がずれてしまい、クライマックスに向けて二人の葛藤、違和感が溜まっていくだけのつらい展開しかありません・・・。

しかも、中盤以降は、大神君という不良少年が前景に出てきて、ストーリーが二人の関係性から、高校生同士の「絆」や男同士の「友情」といったテーマへと拡散してしまうのです。主役二人よりも、大神君が話の中心になってしまい、功太とカコの関係性は、いちいち功太⇔大神、カコ⇔大神と、大神を介して間接的にしか描かれなくなっていくのはどうなんでしょうか?

映画タイトル「PとJK」とある通り、警官と女子高生が出会って唐突に結婚したことで生じる、様々な障害や問題をバシッと据えたほうが良かったです。結婚生活における意識の格差や世間の風当たり、「結婚」後から深まる恋愛感情や、二人の心境変化など、主題として描くべき二人のテーマはいくらでもあると思うのですが、どうもテーマが絞りきれていないというか・・・。

極めつけは、クライマックス直前からの、原作にはないオリジナル脚本部分です。この時のカコの心境に、どうしても感情移入できませんでした。

自らの不注意から拉致されたカコを決死の思いで、傷つきながら救出した夫に対して、夫がまだ瀕死状態で病院のベッドで弱っている時に「もうこんなの無理、重すぎる」と言って、結婚指輪をその場に置いて出ていくヒロインってどうなんでしょう?

非常識なのか、不思議ちゃんなのかわかりませんが、それまでの忍耐強さや芯の強さは一体どこへ行ってしまったの?という突然の豹変ぶりに頭の中が????という感じでした。そして、翌日から普通に自宅で朝飯を食べて学校に通学している娘の異変に対して、カコの両親が一言も口を出さないのはなぜ?いつでも大人がフォローできるように、高校卒業まで通い婚にしたはずなのに。娘の夫が重傷を負い、娘が落ち込んでいる時に両親が無策なまま黙って下を向いている様子が描かれたシーンは、あまりに見当違いだったと思います。

そして、トドメは最後のフラッシュモブ。「Marry You」って、Youtubeで良くある結婚式のフラッシュモブ動画そのまんまやん!(笑)

キャスト陣のアドリブに任せた「計算のない」疑似結婚式的な学校内での長回しのフラッシュモブは、悪くは無いんだけど中途半端なんです。全てを逆転してカタルシスを解放していくシーンを意図しているのなら、もっと徹底的に作り込んだ画面構成にしたほうが良かったかな・・・。最近だと「ラ・ラ・ランド」や「ハルチカ」のミュージカルシーンなどでの映画的に計算された映像美を見た後だと、ちょっと物足りなく感じました。

あと、ミュージカル的/フラッシュモブ的に二人の前途を祝するような大団円のラストシーンを撮るのなら、学校の生徒だけでなく、出演者全員が画面に出てなきゃ様式的にも足りてないんじゃないのかなと思います。警察官の同僚たち、二人の親族、引っ越していった大神などが普通にその場にいなかったのも何とも中途半端でした。

4-3.数少ない良かった点は、ご当地の映像美

広木監督の代名詞とも言うべき、クレーンカメラなどを駆使した、遠くからの「引きの長回し撮影」は、今回も健在です。冒頭シーンから、函館の町並みや夜景、観光スポットが引きで美しく描かれます。

金森赤レンガ倉庫
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また、学校での様々なシーンも素晴らしかったです。学園祭でのクレーンカメラを使った100名くらいの大規模な吹奏楽バンドの演奏シーン(すでに主人公がどこにいるかわからず、ウォーリーをさがせ状態/笑)や、スカイランタンを飛ばすシーン、オレンジ色に彩られた町の明かりが美しい夜の函館の街並み、クラシカルな洋風の木造校舎など、まるで印象派が描いた風景画のような映像が満載でした。

レトロな洋風建築の校舎(ロケ地:遺愛学院)
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限られた予算の中で映像的に特徴を出していくためには、地方の魅力をたっぷり引き出すご当地タイアップはこれからも絶対有効だと思いますし、今回は函館の良さを徹底的に掘り下げたのは素直に良かったと思います。

4-4.演技力は全体的に問題なし

スイーツ恋愛もの映画では、誰か一人か二人くらいはセリフ回しすら怪しい、下手糞な俳優さんがテスト登用されることも日常茶飯時ですが、今作に限って言うと、目につくような極端にダメな俳優さんはいませんでした。

土屋太鳳は色々キャラ設定や脚本、演出に問題がある中、与えられた役割で精一杯良い演技ができてましたし、傷つき繊細で多感な大神を演じた高杉真宙も主役以上に存在感を放っていました。映画の出来は今ひとつでしたが、俳優陣は少なくともしっかりやれていたと思います。

5.伏線や設定などの解説(※ネタバレ有注意)

映画では説明が省略されたため、今ひとつストーリー的に強引さを感じた部分がありましたが、ノベライズや原作を読むと、映画ではっきりしなかった伏線部分が見えてきます。ここでは、映画で今ひとつ分かりづらかったストーリーのポイントを簡単に解説してみたいと思います。

5-1.なぜ不良仲間達はカコを拉致したのか?

クライマックス直前のオリジナルストーリーに入っていく部分ですが、学園祭でカコを拉致したのは、大神が映画冒頭で夜の街でつるんでいた不良グループのメンバーでした。彼らのターゲットはカコではなく大神でした。

事件後、カコへの罪悪感と好意から、不良グループから距離を置き、更生しかけていた大神に「ヤキを入れる」ため、彼らは学園祭に来て大神を探したのですが、見つからなかった。そこで、大神をおびき寄せるためのエサとして、カコを替わりに拉致したということですね。

ちなみに、原作だと大神は学園祭とは別の機会に、自分自身でカタをつけに行き、ボコボコに殴られながらも、過去の自分に決別した描写がありました。

5-2.なぜ大神は「大神サン」と敬語で呼ばれているのか

映画中、しっかりとした説明がなかったのですが、映画冒頭の事件で無期停学となってしまったため、出席日数が足りず留年したため、高校2年生のままだったのです。だから、年齢的にはカコやミカドの1年上の「先輩」にあたるのですよね。(それでもミカドからは「オオカミ」呼ばわりされていましたが/笑)

5-3.功太はなぜそこまで大神に対して思い入れを持って接するのか?

原作や映画冒頭のシーンでも、功太が大神に対して補導・生活指導を日常的に行っていることが描かれますが、功太はその他不良グループのメンバーより、功太に対して特別な思いを持って、踏み込んで指導をしています。

これは、功太にとって大神が、過去の「自分」を見ているようで、他人事のように思えないからなのですね。功太と大神は、以下の点で共通点がありました。

・口下手で、誤解されやすい性格である
・早くから父親を亡くしている
・高校生の時に荒れた毎日を過ごしていた
・身の回りに犯罪者との関わりがあった
→功太は父を刺殺した連続殺人犯、大神は母の内縁の夫DV男(前科持ち)

功太の過去のエピソードと、大神の置かれた現状は完全に相似形であり、功太は大神に対して一種父親目線で関わることで、過去の自分ともう一度向き合わされる試練にも直面しているのですよね。

原作を丹念に読むとわかるこうした事情も、映画では功太が父親とやりあう場面の回想シーンなどが省略されたため、映画ではわかりにくくなってしまっています。

6.まとめ

映画の出来栄えについては正直不満はあるのですが、原作は好評連載中で、こちらはどんどん彼らを取り巻く新しいストーリーも日々生まれていっています。ひょっとしたら、少し映画化するのが早すぎたのかもしれません。

ベテランの廣木監督にしては少々雑な作品になってしまいましたが、風光明媚な函館の風景や学園祭でのリアルな雰囲気は良かったと思います。またレンタルで出た時にもう一度見返してみようかな・・・

それではまた。
かるび 

他にもレビュー書いてます!
【映画レビュー】2017年3月現在上映中映画の感想記事一覧

7.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

マンガ原作「PとJK」

映画で拾いきれていない二人だけのエピソードも満載ですし、功太の過去やミカドと二郎のサイドストーリーも良い感じ。原作未読の方は、是非口直しにおすすめです!Kindleなら、現在1巻と2巻が無料となっており、既刊9巻をKindleで全巻まとめ読みしても約2,800円と非常にお得。大人買いは、こちらからどうぞ!→Kindleで全巻まとめ買いする

ノベライズスピンオフ「PとJK」

原作では収録しきれなかったストーリーも含め、功太の荒れていた高校時代のエピソードが大きく2編収録されています。功太の父親をめぐる過去の話と、功太の高校時代に友人以上恋愛未満に発展した、西倉あやとの交流が情感豊かに描かれます。これが原作以上に泣ける!これは映画封切に合わせた、ファン向けのサプライズなスピンオフでした!おすすめです。