あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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【ネタバレ有】映画「ReLIFE リライフ」感想・考察とあらすじの徹底解説!/定番タイムリープ青春恋愛映画の佳作!

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【2017年4月25日更新】

かるび(@karub_imalive)です。

4月15日に封切りとなった人気Webコミックの実写版「ReLIFE リライフ」を見てきました。原作コミック、アニメの大ヒットを受けての実写化。僕自身、会社を辞めて脱サラした経験もあり、今回の実写化は楽しみにしていました。

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、ほぼ全編にわたってストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承下さい。

1.映画「Relifeリライフ」の基本情報

<映画「ReLIFEリライフ」予告動画>

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【監督】古澤健(「今日、恋をはじめます」「クローバー」)
【配給】松竹
【時間】119分
【原作】夜宵草「ReLIFE」

今年に入って「一週間フレンズ」「PとJK」、さらに2017年待機作では「ピーチガール」「兄に愛されすぎて困ってます」と青春恋愛スイーツ系映画を乱発気味の松竹ですが、今作もどちらかというとスイーツ系にカテゴライズされる高校生の学園・タイムリープ・恋愛ストーリー。

王道中の王道、定番中の定番となりつつあるジャンルですが、本作では青春恋愛映画でのキラキラした画面づくりには定評のある古澤健監督がメガホンを取りました。古澤監督は、このあと2017年にスイーツの待機作が「恋と嘘」「一礼して、キス」と秋に2本待機していますね。とりあえずスイーツ大好きなのでJKJCのいない時にコソコソ見に行きます(笑)

2.映画「Relifeリライフ」の 主要登場人物とキャスト

メインキャストは高校生の同じクラスメイトの6名。青春恋愛映画というジャンル上、主役俳優人は若手オンリーですが、演技に難のある演者もおらず、若手主体の青春映画としては違和感なく最後まで見れるレベルでした。

海崎新太(中川大志)
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「真田丸」での演技が好評で、今年は早くも「きょうののキラ君」に続いて主演が2回めとなった中川大志。18歳にして、「国宝級イケメン」と呼ばれるようになった彼ですが、割りと老け顔なんですよね。今作ではそれが奏功し、実年齢より高い27歳も違和感なく演じられていました。

日代千鶴(平祐奈)
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永野芽郁と並んで2017年にブレイク必至の若手女優ですが、今年はすでに4月の時点で「サクラダリセット」「キセキ-あの日のソビト」「今日のキラ君」に続いて早くも4作目の出演です。まだそこまでキレキレの演技という感じはしませんが、真面目に役作りをこなしている印象は見ていて好感が持てます。

大神和臣(高杉真宙)
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現在上映中の「PとJK」では主役を食う熱演を見せ、優等生も不良っぽい役も器用に色々こなせるオールラウンダーの若手俳優。舞台挨拶は彼のファンが一番多かったのではないでしょうか?今回は、「すこしちゃらい優等生」役ですが、原作のイメージ通りよくハマっていました。

狩生玲奈(池田エライザ)f:id:hisatsugu79:20170419141744j:plain

今年かなり推されている若手女優で、本作の後も「トリガール」、主演を務める「一礼して、キス」など、現在撮影中の待機作も目白押し。モデル系の女優は演技が怪しい人が多いですが、特に違和感はありませんでした。しかしハーフ系のモデル上がりも、藤田ニコルや玉城ティナなど、同世代のライバルも多そうですね・・・。

小野屋杏(岡崎紗絵)
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こちらもモデル上がりの女優で、2015年の「脳漿炸裂ガール」以来、映画は2作目の出演。明るく天真爛漫な感じの雰囲気は、原作やアニメのイメージと近く、こちらも違和感は特にありませんでした。

夜明了(千葉雄大)
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童顔なためか、学生姿が全く違和感なく、実年齢ではすでに28歳であるにも関わらず、出演メンバーの誰よりも、高校生姿がしっくりくる千葉雄大。飄々としたS体質の夜明の軽妙な演技は漫画原作のイメージ通りで、絶妙のキャスティングでした。

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3.結末までのあらすじ紹介(※ネタバレ注)

3-1.「リライフ」生活のスタート

海崎新太27歳。2浪してやっと大学を卒業したが、新卒で入社した会社を5ヶ月で退職し、今はしがないニートに逆戻り。なんとか次の会社に入るために就職活動を続けていたが、新卒ですぐに退職してしまった経歴を警戒され、次がなかなか決まらないで焦る日々だった。

大学の仲間たちは、すでに新たな就職先で充実した社会人生活を送っていることもあり、新太は仲間にも「もう会社を辞めた」とは言えなかった。仲間の前ではわざとスーツで働いているフリをして同窓会に参加して、酔って疲れて帰宅の途にあったその夜、新太はリライフ研究所のの夜明了に出会ったのだった。

「人生、やり直してみませんか?」と声を掛けられ、説明されたのは、社会復帰のための1年間限定の「リライフ」プログラム。対象者は、怪しげな錠剤を飲んで、高校生活をもう1年やり直し、自分自身を見つめ直すのだという。

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「リライフ」プログラムへの参加中は、光熱費、食費、家賃を全て研究所が賄ってくれるという好条件もあり、親からの仕送りを切られて金銭的にピンチになっている新太には渡りに船だった。酔った勢いで、そのまま渡された錠剤を飲んで翌日起きて、鏡を見ると夜明の言った通り、本当に高校生に戻っていた。

こうした、海崎新太の青葉学園3年6組の学生生活が始まったが、彼の学園生活は、初日から波乱含みだった。青葉学園は、進学校なので新学期の初日からいきなりテストがあったのだが、新太は筆箱を家に忘れ、それを探していたらバッグからタバコがこぼれ落ちたのだった。担任に早速叱られたが、前の席に座っていた大神和臣がなんとかとりなしてくれた。また、筆記用具は隣の席の狩生玲奈が貸してくれたので、なんとかなったのだが、肝心のテストの出来はボロボロなのだった。そして、なぜかクラスには夜明の姿もあった。

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昼食休憩で、早速食堂で夜明を捕まえた新太は、夜明から、さらなるルールとして、リライフ終了後は、みんなの新太に対する記憶は消えてしまうが、新太の中では記憶は残り続ける。そして、誰かに「リライフ」のことを話たり、正体がバレたらその時点で実験終了となると説明を受けた。

その時、同じクラスの日代千鶴が、食堂でお金を忘れて困っていたので、おせっかいな新太はその女の子に1000円札を渡してやった。

放課後、職員室でタバコ所持の件についてクラスの担任、天津に叱られたが、新太の実年齢より若い25才の天津がしっかり教師を務めている姿に、新太は前職でお世話になった女性の佐伯先輩のことを思い出していた。佐伯先輩は、職場で陰湿な仲間のいじめにも関わらず、ガッツあふれる女性だった。

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下校時、下駄箱のところで日代とばったり出くわした新太は、彼女と一緒に下校することにした。コミュニケーションが苦手で、笑顔もうまく作れないけれど、「今年こそ変わりたい、友達がほしい」と真剣な日代に少し好意を持ち、携帯番号を教えあった。

一方、夜明了は、リライフ研究所に戻って日報を書いていた。日報では、新太は「被験者No.002」とあったが、夜明は「被験者No.001」についても動向をチェックしていたのだった。

翌日、前日に実施されたテストの結果が返され、そのテストで男女クラス1位になったペアが、自動的に学級委員に選ばれる仕組みで、選ばれたペアは、制服に「シルバーピン」を付け、その学期中は交通費や学食費が免除になる恩恵を受けられた。密かに大神に思いを寄せる狩生は、大神と学級委員になりたかったが、今回は大神と日代に決定した。悔しがる狩生。

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一方、新太と小野屋杏は、敢えなく初回のテストから散々な点数をとってしまい、合格点が取れるまで追試を受ける羽目になった。テスト対策は、大神が親切にも面倒を見てくれることになり、新太は自宅で小野屋、大神、日代と勉強会を度々開催するのだった。

その後も、狩生は日代と目を合わせる度にバカにされた用な顔をされ、とうとうある日イライラが溜まってしまい、夜遅く職員室に部活の鍵を返した際に、職員室にいた日代のカバンを持ち去ろうとしてしまう。しかし、その場を立ち去る前に、同じく居残り勉強をしていた新太とばったり出くわし、そのまま階段に二人もつれて倒れ込んでしまう。

保健室で手当を受けながら、カバンについて詰められた狩生は、新太に「困らせてやろうと思ってやった」と素直に打ち明けた。新太は、「人と比べることだけが結果じゃないんだ。頑張ることをあきらめるな」と優しくさとし、先に保健室を後にした。

下駄箱の前で、新太は日代と出会ったが、日代のためにも、直接日代が狩生に「カバン」の件を聞くようにアドバイスをした。そして、新太が帰った後、待っていた日代は玄関に現れた狩生に話しかけた。狩生は、日代の勝ち誇った顔が好きになれないと告げたが、日代が単に不器用なだけであったとわかり、謝罪して友人になったのだった。

3-2.日代のことが気になりだした新太

夏休みになり、相変わらず補修三昧の新太だったが、小野屋の発案で彼らは8月20日に夏祭りに行くことになった。新太は、その日亡くなった前職の先輩の命日だったので、家でゆっくりしていたかったのだが、日代からのLINEに促され、後から出かけていった。日代達女性陣は、この日のために浴衣だった。

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たこ焼きを買いに行くと、急な夕立に襲われた。神社で雨宿りをしていたが、やがてこらえきれなくなった大神は、その場で突然狩生に告白した。嬉しいやら恥ずかしいやらで反応に困った狩生は、そのまま雨の中走り出してしまい、つられて全員走り出してしまった。この時、振り向いた日代の表情に、惚れてしまった新太だった。

そして、2学期が始まったが、9月に入って早々に、新太は夏風邪をこじらせて家で寝ていた。心配した日代が自宅まで来て看病してくれたが、相変わらずぎこちないふるまいに苦笑する新太だった。日代に進路の話を聴くと、日代は、新太に「留学するかもしれません」と寂しそうに答えた。

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秋の目玉は学園祭だった。彼ら5人は、出し物として小野屋の所属する軽音部の演奏にあわせて、メイド喫茶の店員のコスプレをして踊ることになった。不器用な日代も、必死で振付を練習し、わざわざ新太に動画を送ってチェックを求めるのだった。

そして、学園祭の当日。小野屋のバンドに合わせて演奏が始まったが、途中で他校のマナーの悪い高校生がステージの前に出て、日代にセクハラをしようとしたので、新太は演奏中に彼らと喧嘩になってしまった。

学園祭終了後、日代は「暴力はいけない」と新太をたしなめたが、新太はとっさに非白に対して「好きだから」(守りたかった)と日代につげた。しかし、日代は「恋人にはなれない」と答え、逃げるようにその場を後にした。

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学園祭でみんなに迷惑をかけ、日代に断られ、流石に落ち込んだ新太は、その晩夜明にリライフの途中中断を相談するが、夜明は新太に対して再考を促し、週末に亡くなった職場の佐伯先輩の墓参りに行くことを提案した。

墓参りに行き、物思いにふけっていた新太だったが、そこに佐伯先輩の妹と偶然出会った。とっさのことに、兄がお世話になったとごまかした新太だったが、佐伯先輩の妹から、姉の死因は自殺ではなく事故だったこと、生前、姉が新太から元気をもらっていたことを聞かされた。その言葉に大いに救われ、新太は残り少ない学生生活を続けることを決意した。

翌日、新太は夜明も含め、仲間5人に仲間内だけでの日帰り「卒業旅行」を提案した。気まずくなっていた日代にもしっかり声をかけ、全員と約束をした。

3-3.新太の成長と「リライフ」の卒業

そして、12月。新太以外のメンバーは、学内推薦入試試験を受ける中、新太は試験後に行く「卒業旅行」の案を取りまとめていた。

一方、夜明は街を見下ろせる小高い丘の上で、密かに日代と面談をしていた。日代は、夜明に対して「私以外の別の人に初めて興味を持った。これが恋なんだなと実感した。海崎さんに出会えてよかった」と2年目のリライフを振り返った。そう、被験者No.001は、日代のことだったのだ。リライフ1年目にめぼしい成果を出せなかった日代は、夜明に特別措置として2年目の続行を直訴し、今年2年目に賭けていたのだった。

夜明は、日代と新太、つまり被験者同士が両思いとなっていたが、リライフ終了後にお互いがお互いの記憶をなくしてしまうのかどうか、気をもんでいた。前例がないからわからないし、何もしてやれないのがもどかしかった。

学内推薦入試の結果が出た。仲間は全員無事に進学を決定していた。そして、いよいよ修学旅行の日がやってきた。意外に几帳面な新太は、分単位で予定を詰め込んでいた。遊園地、牧場と回り、たっぷり楽しんだ後で、最後は夕日の映える海岸を全員で心ゆくまで眺めた。

夜になり、バス亭でバスを待っていた6人だったが、日代と新太が忘れ物を探しているうちに、他の4人はバスで行ってしまった。二人きりにしてくれたのだ。新太は、日代に対してもう一度「好きだ」と告げ、「日代のことを忘れない」と告げた。日代も「私も好きです」と伝え、二人は星空が輝く月明かりの下、キスをした。

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そして、卒業式が終わり、「リライフ」終了後、他の4人の記憶から消えてしまう新太は、最後にみんなに心からの礼と言葉を贈り、そして最後はみんなで涙の別れを果たしたのだった。一人になった時、新太は夜明から「赤色のカプセル」を受け取り、翌日には28歳に戻っていた。夜明は、約束通り就職先を斡旋すると声を賭けたが、新太は「自分の力でやってみる」とその申し出を断った。

そして、新太は翌日から教員試験の勉強を始めた。猛勉強の甲斐あって、彼は志望先の青葉高校の教員として合格することができた。早速教員として担任を持ち、つい先日まで通っていた学校で、今度は教壇に立つのだ。

ある日、新太が職員室から戻ってくると、自席に新人と思しき若い女性の教員が座っていた。(28歳に戻った日代)世話好きの新太は、早速その女性教師に校内を案内しようと彼女を連れて歩き出したが、どこかで会ったことがあるような気がしていた。そこで、歩きながら彼女に聞いてみることにした。するとその女性教師も同時に「あのーーー」と尋ねてきたのだった。 

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4.ストーリーの感想や考察・解説(※ネタバレ注)

4-1.ひねりの利いた学園青春モノ+タイムリープ

「君の名は。」や「Orange」「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」などに代表される、最近流行の男女の出会う学園ストーリーとタイムスリップを組み合わせたライトなSFタッチの青春恋愛系映画が本当に増えています。2017年公開映画でも「君と100回目の恋」や「サクラダリセット」などがこのジャンルです。

すっかり使い古された感のあるタイムリープ系青春映画ですが、それでもヒットする作品は設定に真新しさがあり、少しずつひねりが利かせてあるものです。

本作では、単に時間を戻すのではなく、見た目のみ10年前に戻して、時間軸はそのままに、実世界の別の環境で人生をやり直すというありそうでなかった設定。一度社会人になった主人公が、社会人としての自意識・視点を持ったまま、改めて高校生活をリアルに追体験するという、ありそうでなかったひとひねりが素晴らしいのです。

だから、この作品は主人公と同世代の10代も楽しめるし、すでに社会人になった20代、30代も、リアルに自分自身と主人公を置き換えて、親近感を持って画面に入っていけるのですよね。(え、僕は40代ですが・・・大丈夫でした/笑)

しかも、リライフが終わったら物語の時間軸はそのままで、自分と関わった人たちの記憶だけがリセットされるという、いわば疑似「記憶障害」要素も加わり、ストーリーにフックや緊迫感を持たせやすくなっているのも良かったです。

4-2.キラキラしたアイドル系俳優たちがフレッシュな感じで良い!

今年だけですでに「1週間フレンズ」「君と100回目の恋」「今日のキラ君」「ひるなかの流星」「PとJK」「ぼくらのごはんは明日で待ってる」「ハルチカ」「チアダン」など、既に8作品青春恋愛モノを見てきました。(多すぎですよねこのジャンル・・・)その中でも、今作が、一番画面内に高校生活のキラキラとした楽しさが画面中に充満していました。

夕日を眺めるシーン
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クライマックスで、仲間だけで行った修学旅行で夕日を眺めるシーンや、卒業式の日に泣きじゃくるシーン、学園祭の準備を張り切るシーン、、、映画1本の中に、ほぼ学校生活の1年分の行事のエッセンスがこれでもかというほど満載に詰め込まれていて、見ているだけで懐かしい気持ちにさせられます。

極めつけは、夏祭りのシーンです。リア充の青春といえば夏祭りは外せないわけですが、急な夕立にみんなで神社の軒先で雨宿りをしていた時、急に大神が雨の中に出ていって、みんながいる前で狩生に告白するんですよね。うわー。そして嬉しさと恥ずかしさがごちゃごちゃになってこらえきれなくなった狩生は雨の中走り出ていき、それを全員で若さを爆発させて追いかけて走る・・・。やりすぎな演出に苦笑せざるを得ませんでしたが、でもこれがザ・青春映画っていう感じでいいんですよねぇ~。

<映画「リライフ」夏祭りの場面!>

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見ているこっちが恥ずかしくなるような、あざといくらいやりすぎなキラキラ感は、まさに古澤監督の持ち味だなぁと思います。クサいけど名シーンでした。

4-3.タイムリープの細かい設定やロジックに目を向けさせない好演出

「リライフ」を支える「若返り」の仕組みは、非常に単純です。「青いカプセル」を飲むと若返り、「赤いカプセル」を飲むと元に戻る。しかし、冷静になって考えてみると、ロジック的には非常に危ういものがあります。

原作やアニメも含め、作品内で一体どうやって「カプセル」を飲むだけで若返ることができるのか、あるいは「リライフ研究所の」真の目的は何なのか、なぜ「リライフ」終了とともに関わった友人達の被験者に対する記憶が消えてしまうのか、一切説明がないわけです。

ですが、本作で大事なのは、そのSF的設定の実在感やリアルさを問うことではなく、その設定の下、「リライフ」で設けられた仕組みの中で、被験者や関わった友人達がどのように振る舞い、どのように成長していくか?ということです。

あくまで主人公たちの交流や葛藤にうまく焦点が当たったシナリオのおかげで、鑑賞者にあまり細かいところまで詮索させないような作りだったのは上手いなぁと感心しました。

4-4.テーマも分かりやすく、普遍的なメッセージだったのも良かった

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(引用:オフィシャルパンフレットより)

今作のテーマは、「今を大切に生きること」。これでもかとばかりストレートなセリフで繰り返し繰り返し説明されます。日本映画特有の悪癖ではあるけれど、今作は対象となる年齢層もかなり下の方まで広そうなので、致し方ないところでしょうか。映画では、「リライフ」で人生をやり直す新太がクラスメイトの問題解決や期限付きの交流を通じて「今この一瞬を味わい、全力で楽しみ」ながら、仲間と共に成長していきます。

でもまぁ凄く分かるんですよね。精神年齢は27才の新太が「大人の視点」を持ったまま、時間の有限性を強く意識させられ、1年間期間限定でピュアな高校生たちとの交流を体験したことで、どうしたって「今、この一瞬を味わいながら生きる大切さ」を強く実感せざるを得ないんです。

大人がこの映画を見ると、高校時代や大学時代は今にして思うと特別な時期だったんだなっていう新太の説教臭いセリフに共感できるし、映画と同世代か、それより下の年齢層には、強いメッセージとして届くのですよね。

また、本作はタイトルが示すとおり、一度人生に失敗しかけた新太が人生をやり直す強力な再生のストーリーです。1年間の「リライフ」生活のあと、やりたいことを見つけて、自分の力で踏み出していく姿は、たった今人生の岐路に立っている受験生や就活中の大学生などにも、背中を強く押してくれる作品になったと思います。僕も、失敗続きの就活中にこういう映画と出会いたかったです(笑)

気分が落ち込んだ時や、やりたいことがわからなくなった時、手元に置いといて何度も見返して勇気をもらえる作品だと思いました。

4-5.ラストシーンは「君の名は」オマージュ?

そして、映画オリジナルのあのラストシーンは、映画「君の名は」のラストシーンそのものでしたね。青葉学園の教師として再び出会った二人が「あの!」って目を合わせるところで余韻を残して終わるところは、既視感ありまくり(笑)

そういえば、映画冒頭で夜明と新太が出会った急な階段の場面も、昼夜の違い等はありますが、「君の名は」のラストシーンの場面と似ていますね。階段での出会いは、人生の運命を変える出会いの一種の暗喩なのでしょうね。

5.原作/アニメとの設定の違いについて

5-1.映画では省略された主要メンバー

本作は、やはり映画の尺の問題から、原作やアニメの主要キャラが3人省略されました。致し方ないところですね。省略された主要メンバーは以下の3人。

玉来ほのか
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原作では、バレー部のキャプテン。中学時代から別々の学校で狩生とライバルだったが、高校で同じクラスになり、狩生とはバレー部のキャプテン&副キャプテンとして親友になる。マイペースでおっとりした性格。

犬飼暁
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朝地と同じく、幼少時からほのかの幼馴染。ほのかのことを「たま」と呼んでおり、片思い中。しかし、マイペースなほのかは全く暁の気持ちには気づいていない。

朝地信長
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暁といつもセットでつるんでいるほのかの幼馴染。ガタイが良く、頼りがいがありそうだが、おとなしく夜は弱くすぐに寝てしまうオッサン体質。

特にほのかは原作でしっかりキャラも立っていたし、原作ファンとしてはモブ的な扱いでもいいから出演シーンを用意しておいてほしかったかもしれません。

5-2.小野屋杏についてのキャラ設定変更

原作・アニメでの小野屋杏の役割は、夜明了同様、「リライフ」研究所でのサポート課スタッフでした。2学期から夜明了に代わり、特に日代のサポートを担当していくことになりますが、映画では軽音部に所属する完全に普通の高校生として描かれました。

原作・アニメでは、割りとやりすぎなくらい夜明・小野屋が四六時中新太と日代を見守る、「サポート課から見た大人視点」でも物語が描かれます。しかし、尺の短い映画でそれをやると焦点がボケてしまう恐れもあるため、本作ではあくまで海崎新太の成長譚をメインとして描かれました。それもあって、サポートメンバーは二人も要らないという判断から一般の高校生へと設定変更されたのでしょうね。これは好判断でした。

5-3.カプセルの取り扱いについて

さらに、原作とアニメでは、サポート課経由で「研究所」に申請をすれば、「リライフ」期間中に何度でも年齢を戻したり、また高校生に戻ったりできました。例えば、原作とアニメでは、亡くなった先輩の墓参りに行く際、17歳のままで誰かに会ったら困るから、という理由で、一度カプセルを飲んで大人に戻ってから墓参りへ向かいます。映画では、「弟」ということにして強引に乗り切っていましたね。

5-4.各メディアミックスでのストーリーの進行状況

原作マンガとアニメ、映画ではストーリーの進行状況にばらつきがありました。結果的には最後発で制作された映画が一番早く完結してしまいました。それぞれまとめるとこんな感じ。(4月18日現在)

原作マンガ・・・学園祭まで終了。ゆっくり進行中
アニメ・・・1学期まで終了。第2期は2学期からスタート?
映画・・・卒業式とともに「リライフ」終了。28歳へと戻る
部隊・・・卒業式までを描き「リライフ」終了。
ノベライズ・・・現在1学期まで終了。

6.まとめ

10代から30代ぐらいまで、幅広い年齢層が共感して楽しめる、SF要素が少し入った青春恋愛映画でした。主人公、新太の成長と人生の再出発に自分自身の希望を重ねて見ても良いですし、単純に恋愛ストーリーとして限られた時間の中でお互いを思いやる主人公の二人に共感しても良いと思います。色々な楽しみ方ができる楽しい作品でした。

それではまた。
かるび

他にもレビュー書いてます!
【映画レビュー】2017年4月現在上映中映画の感想記事一覧

7.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

原作マンガ「Relife」(全7巻)

映画で初めて見た人や、アニメと映画だけしか見ていないという方は、是非、この原点とも言うべき原作漫画版がおすすめです!主人公の新太だけでなく、サポート課の2名やサブキャラたちの悩みや恋愛などもしっかり描きこまれ、気がついたら読み進める手が止まらなくなる作品。僕ももう3回読み返しましたが、読み返すときはいつも一気読みになってしまいます(笑)

ちなみに、まとめて全巻購入するときは、「漫画全巻ドットコム」という便利なサイトもありますね。品揃えが良いので、僕もちょくちょくここで最近購入しています。

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原作アニメ「Relife」

ちなみに、Amazonプライム加入者は、アニメ版第1期が見放題になっていますので、DVD/ブルーレイで買い揃えるより遥かにお得ですね。(未加入の方はこちらに仮入会のリンクを置いておきますね)

「Relife」フォトブック

主役の中川大志をはじめ、千葉雄大、高杉真宙ら、若手人気俳優のオフショットやロケ中のメイキング写真、インタビューなど、出演俳優陣のファンとしては必携の一冊です。本作には、本当に写真映えするメンツが揃いましたね!