あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と人事労務系の記事が多め。

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日本画の教科書(東京編)@山種美術館/近代日本画の流れがわかる素晴らしい企画展!【展覧会感想】

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【2017年4月7日更新】

かるび(@karub_imalive)です。

4月16日まで山種美術館で開催中の「日本画の教科書ー東京編ー」に行ってきました。竹内栖鳳や上村松園らが堪能できた「日本画の教科書ー京都編ー」に続く連続企画展となります。

創立50週年を企画した記念展のラストを飾るにふさわしい展覧会でした。簡単ではありますが、少し紹介してみたいと思います。

※なお、本エントリで掲載している写真は、あらかじめ山種美術館様の許可を得て撮影したものとなります。
※掲載の出品作品は、全て山種美術館様所蔵のものとなります。

「日本画の教科書ー東京編ー」展とは

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近現代の日本画は、主に「東京」と「京都」を中心として、それぞれ著名画家たちが集まり、「画壇」をゆるやかに形成していました。京都は、伝統的に江戸時代から絵師たちが活躍していましたし、東京では明治期以降、「文展」に始まり、「院展」「日展」などの日本画系の作家グループが形成されていきます。

本展では、山種美術館が所蔵する膨大な近現代日本画コレクションの中から、文字通り「教科書」にも取り上げられたことのあるような、作家や作品を特集した企画展です。前期の「京都編」、そして今回の「東京編」と地域別に2回に分けて開催されました。まさに近現代日本画を精力的に収集してきた山種美術館ならではの力の入った企画展であります。

印象に残った作品をいくつか紹介します

東山魁夷「秋彩」

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まず、1周ぐるっと展示を見た時に、一番印象深かったのが東山魁夷が京都の四季を描いた3作品。川端康成と親交が深かった東山魁夷は、彼の晩年、「失われゆく京都の美」を作品として残したいという強い想いに共鳴します。川端康成から言われた「古き良き京都が残っているうちに描いておいてください」という言葉に後押しされ、一連の京都シリーズを描きました。

この作品は、東山魁夷独特の「青」で表現された京都の山林に「黄」「赤」の紅葉が映える単純な画面構成ながら、ずっと見ていたいなと思わされる一枚でした。

東山魁夷「年暮る」

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こちらも京都の街並みを描き出した作品。山種美術館の所蔵品の中でも非常に人気の高い1枚だそうで、冬になると毎年いつも「『年暮る』は展示してますか」という問い合わせが結構あるそうです。

残念ながら、こうした古い町並みは、川端の予言通り現在の京都市内では見ることができなくなってしまっていますね。だからこそ貴重な1枚と言えると思います。

渡辺省亭「月に千鳥」

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続いて、2017年3月からSNSでアートファンの間で話題沸騰中の渡辺省亭。山種美術館では本展で2枚展示されていますが、いずれも非常に良い出来でした。僕もミーハーなので、今日はこれを一番楽しみにしていたと言っても過言ではありません(笑)

本作は、少し雲に覆われた満月の夜、鳥が飛んで行く瞬間を捉えた絵ですが、寂寥感溢れる味わい深い作品でした。

渡辺省亭「葡萄」

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渡辺省亭の作品は、「動物」+「果物」の組み合わせの花鳥画が非常に多いイメージです。本作は、山葡萄のツルにねずみがじゃれている構図でした。「渡辺省亭」展でも、うさぎ、すずめ、にわとり、犬など、動物はなんでも描きましたが、日本画で「ねずみ」をモチーフに使っている作品は珍しいような。

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安田靫彦「出陣の舞」

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2016年に東京国立近代美術館で開催された「安田靫彦展」でも出展されていた、彼が得意とした歴史モノの代表作。これから「桶狭間の戦い」に臨む織田信長が、「人生50年~~」と敦盛を舞う有名なシーンを描いた作品ですね。信長らしい派手で明るい着物が意外に春らしくて今の時期に合うと思うんですよね。歴史の教科書や資料集で見たような気もします。

横山大観「心神」

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山種美術館の創始者、山崎種二が美術館を開設したのは、横山大観から「お金もうけも結構だが、一つ世の中のためになるようなこともやっておいたらどうですか」と勧められたことがきっかけでした。山崎種二は、美術館創設を祝して、大観から彼が大切に手元に置いていた本作品を譲り受けたそうです。いわば、本作品は山種美術館にとってそのルーツを象徴するような記念碑的な大事な作品なのですよね。

写実的で、遠くから見ても近くから眺めても見飽きない、「日本人の心」を描いたような傑作だと思います。

落合朗風「エバ」

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画面が緑青色で埋め尽くされ、その中でたたずむエヴァ(イブ)を描いた、西洋の人類創生のストーリーからモチーフを取った面白い作品。学芸員さんもおっしゃっていましたが、肌は白いのに顔つきが純和風ではなく、インド人のような風貌であることから、屏風全体から日本画離れしたエキゾチックな雰囲気が漂います。

なお、落合朗風は、42歳で惜しくも昭和初期に早逝するのですが、その才能は藤田嗣治をして「惜しい人材を亡くした」と嘆かしめたほど、当時将来を嘱望されていた有望な日本画家だったそうです。

今回の展覧会のなかで、ひときわ異彩を放つ目につく作品でした。

速水御舟「昆虫二題」(左「粧蛾舞戯」右「葉蔭魔手」)

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昨年秋、山種美術館で大好評に終わった「速水御舟展」でも出品されていた作品。

左側の「粧蛾舞戯」は、彼の代表作「炎舞」を強く想起させる作品ですね。

夜の赤い炎に集まっていく蛾たちと、ヤツデに絡まるクモの巣が大きくなっていく様子は、あらゆる意味で対になっていて、上手な連作だなと感嘆させられます。

本作品は、山種美術館の代表的な作品でもあり、定期的に開催される速水御舟展でも頻繁に取り上げられています。

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展覧会が終わったらカフェがおすすめ!

山種美術館の企画展では、毎回その展示作品にちなんだ期間限定の和菓子スイーツを5種類用意されており、お茶やコーヒーと一緒に優雅な時間を過ごすことができます。

今回は、この5種類です。

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企画展を見終わった後、心に残った展示内容や、その時の充足感って、いつまでも忘れたくないですよね?そんな時、おすすめなのが「併設カフェでの一服」です。

山種美術館の喫茶スペースは、本当に雰囲気が良いのです。そのカフェで、展示にちなんだお菓子を味わいながら展示の感想をゆっくりと振り返ると、本当によく記憶に定着します!是非一度お試しください!

ちょうど、僕がフォローさせていただいているブロガーの方が、非常に素晴らしい写真をアップされていましたので、こちらで実物を御覧ください!

なお、山種美術館のカフェについては、日本で一番展覧会に詳しいブロガー、Takさん@青い日記帳の著作「カフェのある美術館」でも取り上げられています。こちらもおすすめです。

まとめ

会期も残り3週間近くとなりましたが、もっと早くから行っておけばよかった!と後悔しました。前回の「京都編」も凄く良かったですが、企画展「日本画の教科書」では美術館の保有する代表作が惜しげもなくバンバン展示されていました。

アートファンに優しい、行き届いた環境で思う存分楽しめる良い美術館なので、時間があれば是非行ってみてください!桜をモチーフにした日本画も沢山ありますよ!

それではまた。
かるび

混雑状況と所要時間

山種美術館では、毎回それほど混雑を心配せずにゆっくりと見ることができます。展示点数は全部で47点とそれほど多くはないため、所要時間は、60分~90分ほど見ておけばよいでしょう。見終わった後は、是非カフェでゆっくりする時間も残しておいてくださいね!

展覧会開催情報

◯美術館・所在地
山種美術館
〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-12-36
◯最寄り駅
JR恵比寿駅西口・東京メトロ日比谷線恵比寿駅 2番出口より徒歩約10分
JR渋谷駅15番/16番出口から徒歩約15分
恵比寿駅前より日赤医療センター前行都バス(学06番)に乗車、「広尾高校前」下車徒歩1分(降車停留所③、乗車停留所④)
渋谷駅東口ターミナルより日赤医療センター前行都バス(学03番)に乗車、「東4丁目」下車徒歩2分(降車停留所①、乗車停留所②)
◯会期・開館時間・休館日
2017年2月16日~4月16日(月曜日定休)
10時00分~17時00分(入場は30分前まで)
◯公式HP
http://www.yamatane-museum.jp/index.html
◯Twitter
https://twitter.com/yamatanemuseum
◯その他TV出演等