【2018年11月11日最終更新】
かるび(@karub_imalive)です。
10月も後半になり、ようやく秋らしさ全開になってきました。秋といえばやはり芸術の秋。2018年秋も、首都圏・関西圏を中心に、過去最強クラスの西洋美術の名画・名作が続々と日本に上陸してきます!もちろん、それを迎え撃つ日本美術のラインナップも超豪華!国宝級の仏教美術はもちろん、日本美術史における巨匠たちをフィーチャーした展覧会が開かれる予定です。
そこで、本エントリでは、2018年秋~冬にかけて行われる各種展覧会の中から、”これは絶対見逃したくない”展覧会約20展を、簡単な見どころと開催情報を含めてまとめてみました。
それでは、順番にみていきましょう!
- 2018年下半期に観ておきたい展覧会ベスト20!
- 1.フェルメール展(東京・大阪)
- 2.ルーベンス展(東京/国立西洋美術館)
- 3.ムンク展(東京/東京都美術館)
- 4.京のかたな展(京都/京都国立博物館)
- 5.ボナール展(東京/国立新美術館)
- 6.プラド美術館展(神戸/兵庫県立美術館)【終了】
- 7.プーシキン美術館展(大阪/国立国際美術館)【終了】
- 8.東山魁夷展(東京/国立新美術館)
- 9.快慶・定慶展(東京/東京国立博物館)
- 10.醍醐寺展(東京/サントリー美術館)
- 11.フィリップス・コレクション展(東京/三菱一号館美術館)
- 12.雲谷等顔展(山口/山口県立美術館)
- 13.江戸絵画の文雅展(東京/出光美術館)
- 14.太陽の塔展(大阪/あべのハルカス美術館)【終了】
- 15.正倉院展(奈良/奈良国立博物館)
- 16.千の技術博展(東京/国立科学博物館)
- 17.バレル・コレクション展(福岡/福岡県立美術館)
- 18.カール・ラーション展(東京/東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館)
- 19.ロマンティック・ロシア展(東京/Bunkamura・ザ・ミュージアム)
- 20.横山華山展(東京/ステーションギャラリー)
- 21.狩野芳崖と四天王展(東京/泉屋博古館分館)【終了】
- 22.国宝、日本の美をめぐる 東京国立博物館名品展(大分/大分県立美術館)
- まとめ
- おまけ:展覧会まとめ本も紹介!
2018年下半期に観ておきたい展覧会ベスト20!
1.フェルメール展(東京・大阪)
この秋何があっても外せない、注目度No.1の美術展がこの「フェルメール展」。なぜなら、世界中にわずか30点ちょっとしか現存しないフェルメール作品から、実に約1/4にあたる8点が、東京に集結するからです!これは日本の美術展の歴史の中でも、ちょっとした「事件」レベルの画期的なできごとであり、まさに正真正銘の過去最高の「フェルメール展」なのです。関係者の努力に頭が下がります。
しかし、東京展の会場は狭い上野の森美術館。人気展の場合、数時間レベルの行列がすぐにできてしまいます。期間中、絶望的な厳しさの混雑が見込まれるだろうと思っていたら、主催者側がうまく解決してくれました。つまり、日時指定制チケット(音声ガイド付き、2500円)となったのです。これなら並ばなくてすみます。ホッ。
しばらくこの規模のフェルメール展はできないと思いますので、少しでも絵に興味があるなら、絶対見ておいたほうがいいと思います!会社をズル休みしても駆けつける価値はあります!!
フェルメール展の展覧会感想レビュー、書いてみました!フェルメール作品だけでなく、それ以外の作家の作品も粒ぞろいです!
2.ルーベンス展(東京/国立西洋美術館)
カラヴァッジョ、フェルメール、レンブラント、ベラスケスらと並ぶ、17世紀頃のバロック期における西洋美術の巨匠・ルーベンス。ウルトラマリンブルーの「青」を多用し、静かであっさりしたフェルメールと比べると、ルーベンスは「こってり」とした、いかにもなザ・西洋絵画という感じの作風。
上昇感のある派手な構図の宗教画、程よく肉付きの余ったリアルな男女の裸体像、ねじれた複雑なモチーフ、大迫力な画面など、バロック期の特徴に加え、ルーベンスの作品にはどれも強烈な個性が見て取れます。
今回の展覧会では、ルーベンスとイタリアの関係性に着目し、彼が作風のよりどころとした15世紀頃のイタリア絵画や彫刻などを見ながら、ルーベンスの作風のルーツを楽しむことができます。作品を集めて物量で勝負するタイプの回顧展というより、テーマがハッキリした真面目な展覧会といえそう。初心者から上級者まで、幅広く楽しめる、まさに王道の西洋絵画展だと思います。
ルーベンス展、がっつりレポート記事を書きました!もしよろしければ見てやってくださいませ!
3.ムンク展(東京/東京都美術館)
ムンクの最高傑作《叫び》がついに来日!もちろん、それだけではありません!オスロ市立ムンク美術館が誇る世界最大のコレクションを中心に、約60点の油彩画に版画などを加えた約100点が展示されます。企画展示室のすべてがムンク作品で埋め尽くされる、正真正銘ムンクの大回顧展なのです。
名画・ムンク《叫び》(1910年版)が初来日!巨匠・ムンクの代表作を中心に、作品100点を通して、画業を振り返る大回顧展。多数描かれた自画像やカラフルな肖像画、晩年の、北欧情緒漂う明るい風景画など、見どころ満載。《叫び》は特設コーナーができていて、大混雑しています。2018年秋、フェルメール展を凌ぐ人気展になっています! 展覧会レポートも書きましたので、もしよろしければ是非御覧ください!
4.京のかたな展(京都/京都国立博物館)
ここ数年、オンラインゲーム「刀剣乱舞」の影響で、空前の刀剣ブームが続いています。そんな中、国宝級のアイテムが多数出展される、2018年最大級の刀剣展が、京都国立博物館で開催されます。美しいだけでなく、歴史ロマンがたっぷり詰まった国宝・重文クラスの刀剣をたっぷり楽しめそう。
展覧会初日などは、通常はあまり博物館で見かけないようなクラスタの人たちが、何時間もかけて入館待ち行列を作ったり、特設テントでのグッズを奪うように買い漁るのではないかと予想されます。僕も行く予定ですが、混雑が怖い・・・(笑)
9月29日、展覧会に行ってきました。僕のブログと、和樂オンラインマガジン「INTOJAPAN」でレビュー記事を書きましたので、もしよろしければご覧くださいませ。
5.ボナール展(東京/国立新美術館)
19世紀末~20世紀初頭にパリを中心として活躍した「ナビ派」というグループがいます。その中でも、印象派に近い独特の色彩感覚を持ち、「日本かぶれのナビ」と呼ばれるほど日本美術から多大な影響を受けたボナール。色彩感覚に優れ、妙な可愛さも併せ持つ、ボナールの個性的な作品は、日本でも熱心なファンが多いようです。
特に、オルセー美術館と深いパイプを持つ三菱一号館美術館などが、たびたびナビ派のアーティストの展覧会を重ねてきたことから、ボナールを含めた「ナビ派」絵師たちの人気も近年急上昇中です。
首都圏では「フェルメール」「ルーベンス」「ムンク」といった巨匠の展覧会が開かれる裏開催的な位置づけになりますが、アートファンなら間違いなく抑えておきたい展覧会です。
結構手こずったのですが、ようやく感想レビュー書きました!もしよろしければ覗いてみてくださいね。
6.プラド美術館展(神戸/兵庫県立美術館)【終了】
スペインが誇る美の殿堂「プラド美術館」から、スペイン絵画黄金期にあたる17世紀の作品を中心に、たっぷりと近代西洋絵画を楽しむことができる展覧会です。目玉は、なんと言っても巨匠・ベラスケスの作品が一挙7点もそろったこと。
バロック絵画らしい激しい動きのあるシーンや、モデルが見せる一瞬のハッとするような表情を、まるでスナップ写真のように生き生きと描いたベラスケスの肖像画は、絶対に見逃せません!また、ベラスケスと親交のあったルーベンスの作品も出展されていますので、10月中旬から始まる「ルーベンス展」とセットで観ると、より楽しめますね。
プラド美術館展は、こちらで東京展のレビューを書いています。もし良ければ、参考にしてくださいね。
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7.プーシキン美術館展(大阪/国立国際美術館)【終了】
17世紀頃から20世紀前半まで、フランスを代表する近代の画家たちが手がけた美しい風景画が勢揃い!(・・・ロシアの美術館なのに)大人気のマネ、モネ、セザンヌら印象派の作品を中心に、各世代の巨匠たちの作品がずらーっと並んでいるので、フランスの近代美術史もこの展覧会で学べてしまいます。
また、本展は、大のロシア好きで知られる人気声優・上坂すみれが音声ガイドを担当。会場に行かないとわからないシークレット・トラックなども含め、収録時間は1時間以上ある、超特大ボリュームの音声ガイドは必聴です!東京で見逃した方も、まだまだやってますので大阪で是非!
東京展開催中に、上坂すみれの音声ガイド収録現場を取材した記事を書いています。もしよければ、覗いて見てくださいね。
8.東山魁夷展(東京/国立新美術館)
近現代日本画の巨匠の中では、随一の人気・知名度を誇る東山魁夷。毎年のようにどこかで東山魁夷展が開催されていますが、今回の「東山魁夷展」は特別!巨大な展示室でスケール感の大きな回顧展となっています。
展示は、教科書にも載っている超名作《道》から始まり、東山魁夷がお気に入りだった古都・京都や、風情あふれる北欧の風景画と続きます。
クライマックスは、魁夷が唐招提寺御影堂周囲の襖に描いた、一連の障壁画群!天井が高く、開放感のある国立新美術館ならではの空間を活かして、ダイナミックな再現展示になっていました。
こちらは展示期間が36日間と短いので、興味のある方はお急ぎくださいね。下記でレビューも書いていますので、もしよければチェックしてみてください!
9.快慶・定慶展(東京/東京国立博物館)
大報恩寺ってちょっと聞き慣れないお寺ですよね。地元では、「大報恩寺」という名前よりも「千本釈迦堂」という名前で親しまれているカジュアルなお寺です。
が、その宝物館には、とんでもないお宝が!!快慶の代表作である《十代弟子像》、慶派仏師の重鎮、定慶の傑作《六観音菩薩像》など、鎌倉時代を代表するような錚々たる美仏たちが眠っているんですが、今回の「快慶・定慶展」では、その宝物館の主要なお宝がほぼ全部東京国立博物館に来るんです!特に《十大弟子像》は、2017年の「快慶展」でも出展されていなかった作品。仏像好きなら絶対見逃せません!
短いですが、このPR動画は必見ですよ!
また、先日2回目もじっくり見てきましたので、感想レポートを書きました!大報恩寺現地にも行ってきた写真も掲載しています!もしよければ、チェックしてみてくださいね。
10.醍醐寺展(東京/サントリー美術館)
2018年1月には「仁和寺展」、2019年1月からは「東寺展」など、真言宗系の大型仏教美術展が東京で相次いで開かれています。もちろん、真言宗のもう一つの雄、醍醐寺も負けてはいません。
特に近年、醍醐寺は寺宝を国内外の展覧会で積極的に披露してくれるようになりました。今回、サントリー美術館で開催される醍醐寺展も、2016年から中国数都市で開催した展覧会の日本帰国凱旋展となります。出展される国宝・重要文化財は仏像・仏画・経典をはじめ、軽く100点以上。仏像ファン、仏教美術ファンは絶対外せない展覧会です!
素晴らしい展覧会でしたので、気合いを入れて寺宝をたくさん紹介するレビューを書いてみました。もしよろしければ是非!
11.フィリップス・コレクション展(東京/三菱一号館美術館)
20世紀初頭に美術品を蒐集した世界有数の大コレクター、ダンカン・フィリップスが築き上げた西洋美術の大コレクションが、2011年の展覧会以来、7年ぶりに再び上陸します!
チラシに「全員巨匠!」と謳われているのは誇張でもなんでもなく、モネ、ルノワールといった印象派から、ゴッホ、ゴーギャン、ピカソ、ブラック、ジャコメッティ、ルソーといった19世紀後半~20世紀前半に活躍した近代西洋絵画で活躍した巨匠達の作品が大挙して来日。三菱一号館美術館の壁面を埋め尽くします。西洋絵画好きにはたまらない展覧会になりそう。
12.雲谷等顔展(山口/山口県立美術館)
巨匠・雪舟の系譜を引く水墨画の名手・雲谷等顔の没後400年を記念して開催中の大回顧展。国内外から集められた屏風絵などの傑作が、広々とした展示空間で披露されています。新発見・初公開を含む82件もの大量出展は日本画マニア必見の充実ぶり!!
地方開催のため大きな話題にはなっていないのですが、特設サイトもしっかり用意され、非常にクオリティの高い展覧会です。デリケートな日本画なので、巡回もなくわずか1ヶ月ちょっとの短期間開催です!僕も時間があけば遠征したい!
13.江戸絵画の文雅展(東京/出光美術館)
開催前は公開されている情報が少なくノーマークだったのですが、行ってみてそのクオリティの高さにびっくり。「江戸絵画の文雅」と銘打たれた本展は、18世紀を中心に風景画・花鳥画・浮世絵など様々なジャンルで活躍した絵師たちの作品約50点を大特集。
戦乱が終わり平和な世の中になった18世紀頃には、江戸や京都・大坂を中心に都市文化が発達。幕府や各藩での御用絵師以外に町絵師や文人たちも自由に作品を残し、大衆から受容される時代に花開いた様々な江戸絵画を俯瞰できる展覧会です。池大雅×与謝蕪村の文人画を皮切りに、琳派や浮世絵など、様々なジャンルの優品を楽しむことができました。日本美術好きの方にはオススメできる展覧会です!
出光美術館で11月3日から始まった「江戸絵画の文雅」展、日本絵画好きなら相当楽しめる良い展覧会でした。与謝蕪村&池大雅の文人画ツートップを中心に、琳派や浮世絵など、18世紀に活躍した絵師達の作品約50点を展示。じわじわ良さが身に染みる与謝蕪村の国宝「夜色楼台図」18日迄期間限定展示です! pic.twitter.com/dXofuqJVul
— かるび@アート&映画! (@karub_imalive) 2018年11月7日
上記Tweetで書いたように、特に11月18日までの期間限定で展示されている国宝・与謝蕪村《夜色楼台図》は必見!夜に雪がしんしんと降りしきる京都・東山を寂寥感たっぷりに描いた傑作でした。
14.太陽の塔展(大阪/あべのハルカス美術館)【終了】
2018年3月に内装をリニューアルし、復活した太陽の塔。岡本太郎にゆかりの深い全国の美術館や、TVでの特集番組が組まれたりしました。今回開催される「太陽の塔」展は、万博記念公園のお膝元、大阪の美術館で開催されるとあって、特に力が入っています。
単に当時の写真や映像資料をバラバラ並べる展覧会ではなく、1970年当時、実際に地下部分で展示されていた作品や、直径11mの初代「黄金の顔」が美術館内で実物展示されるなど、スケール感が凄い!1970年当時に持っていた作品群のエネルギーを感じ取れるような構成になっていそうです。
15.正倉院展(奈良/奈良国立博物館)
毎年、10月末から11月初旬の約3週間だけ限定開催される「正倉院展」。第70回となる今回は、各倉庫から56点が展示。うち、10点は初公開作品となります。1300年前の螺鈿手箱や、麻製品など、どれを見ても国宝級。
ただし、会期が短く、遠方からツアーバスでやってくる固定ファンが大挙して押し寄せるので、行列・混雑は覚悟が必要。見終わったら、常設展示「なら仏像館」でもいくつか国宝を楽しむことができますよ!
16.千の技術博展(東京/国立科学博物館)
明治~昭和初期にかけて、猛烈に発展した科学技術。手工業からはじまり、製糸や紡績での徹底的な機械化を経て、そこから自動車や家電など、ハイレベルな産業技術を集積して日本は世界に冠たる技術立国へと成長していきました。
今回の展覧会では、明治期以降、日本の発展を支え、産業発展を象徴付けるような産業技術遺産が実に約600点出展されています!むき出しで、複雑に絡み合った動力機構や丁寧に動態展示され(ているであろう)展示品は、アート作品そのものですよね。
10月末に早速行ってきたのですが、わりと親しみやすい懐かしの家電製品や情報機器などもずらーっと並んでいて、行けば必ず興味が持てるような展示をいくつも見つけることができます!結構空いているので、穴場的展覧会かも。
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17.バレル・コレクション展(福岡/福岡県立美術館)
19世紀、イギリス・グラスゴーを拠点に、海運業で巨万の富を築いたウィリアム・バレル。生前、彼がヨーロッパ全土から広く蒐集した西洋美術コレクションが、初来日します!展示作品は100%すべて初来日作品というレアさがたまりません!
展覧会のメインディッシュとなるのは、カミーユ・コロー、クールベ、ブーダンといった写実主義から、マネ、ルノワール~ゴッホに至る印象派・後期印象派作品。初心者でもしっかり楽しめますね。
その一方で、マニア向けにはイギリス・スコットランド作家の作品、全盛期の17世紀オランダ絵画なども出展されるので、目の肥えた西洋絵画ファンこそ足を運ぶべき展覧会と言えるかも。
その後、2019年に愛媛(愛媛県立美術館)、東京(Bunkamura・ザ・ミュージアム)へと巡回予定です。
18.カール・ラーション展(東京/東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館)
スウェーデンで国民的人気を博する画家・カール・ラーション。今回の展覧会では、カール・ラーションの絵画だけでなく、彼が楽しんだ北欧・スウェーデンの生活文化が合わせて取り上げられています。
ここ数年、デザインやファッション、陶芸など、様々なテーマを切り口として各展覧会で北欧の豊かな生活文化が紹介されてきましたが、今回のカール・ラーション展でも、19世紀の国民的画家が暮らしの中で楽しんできた様々な芸術を楽しめそうです。 地味に見えますが、こういう展覧会が意外な掘り出し物だったりするんです。個人的には楽しみにしています!
19.ロマンティック・ロシア展(東京/Bunkamura・ザ・ミュージアム)
ロシアの美術館を特集した西洋美術展は、たいてい、ロマノフ王朝あたりがヨーロッパ各地から集めた近代西洋絵画の展覧会に落ち着きがち。ロシアの美術館展なのに、ロシア人の作品は出展ゼロ、ということもよくあります(笑)
ですが、今回の「ロマンティックロシア」はちょっと違います。ロシア絵画の殿堂、トレチャコフ美術館が保有する、ロシア人によるロシア絵画の名作だけが日本にやってくるのです!19世紀後半から20世紀初頭にかけて描かれた、ロシア人作家による風景画、風俗画、人物画、静物画を、ロマンたっぷりに魅せてくれると思います。この秋激戦となる首都圏での西洋美術展においては、割りとダークホース的な位置づけの展覧会ですが、これは楽しみ!
20.横山華山展(東京/ステーションギャラリー)
横山大観・・・かと思ったら、横山華山。誰それ・・・って感じですが、江戸後期、京都で活躍した当時は、バリバリ人気絵師だったようなのです。ですが、今は完全に無名。つまり、時が経ち、歴史に埋没して忘れ去られてしまった、知る人ぞ知る実力派絵師の回顧展を開催することで、再び再評価してみようよ!っていう意欲的な展覧会ということですよね。
HPを見ると、曾我蕭白に傾倒し、岸駒(虎の絵で有名)、呉春(四条派の祖)などに師事し、独自の作風を打ち立てたのだとか。
本展では、ボストン美術館など、海外の美術館で所蔵されている作品も里帰りし、彼の師・曾我蕭白の作品なども含め、約100点が展示されるそうです。日本美術好きなら見逃せない、横山華山初の大規模回顧展です!
嬉しいことに、東京展のあとは、宮城県美術館(2019年4月20日~6月23日)、京都文化博物館(2019年7月2日~8月17日)にもそれぞれ巡回予定。
21.狩野芳崖と四天王展(東京/泉屋博古館分館)【終了】
幕末~明治期に日本美術界の中心人物として活躍し、《五百羅漢図》や《悲母観音》など傑作が残した狩野芳崖。彼には、四天王と言われる4人の有能な門下生がいました。ですが、師匠・芳崖の死をきっかけに、中央画壇から疎遠になってゆき、日本美術史の中で埋もれていきました。
今回の展覧会では、狩野芳崖や、橋本雅邦、横山大観ら、明治期以降に日本美術院で活躍した明治期の巨匠達の作品をフィーチャーしつつ、芳崖の4人の弟子の画業の謎にも迫ろう、という意欲的なコンセプトで構成されています。
会場が狭いので、前後期でほぼ展示が総入れ替えとなります。是非2回通いましょう!もちろん、名作《悲母観音》は、後期日程で出展されますよ!
★9月15日、展覧会に行った感想レポートを書きました。もしよろしければ御覧ください!
22.国宝、日本の美をめぐる 東京国立博物館名品展(大分/大分県立美術館)
この秋、大分市を中心に「にっぽん芸術科学祭」というアートイベントが開催されます。期間中は、現代美術作家アニッシュ・カプーアの個展など、芸術祭の期間内にいくつかの展覧会やイベントが地域内で開催される予定。この「国宝、日本の美をめぐる」も、芸術祭の目玉イベントの一つで、大分県立美術館で3週間限定で開催。
東京国立博物館から、国宝・重要文化財16点を含む、絵画や工芸など、日本美術の名品44点が展示されます。このイベントのあと、国東半島の国宝石仏群を一緒に見て回っても風情があっていいですね!
まとめ
美術館・博物館の展覧会が盛り上がる春期・秋期には、各館でもイチオシの企画展で勝負してくる傾向にありますが、2018年秋期は、特に西洋美術が出揃った感があります。フェルメールを筆頭に、ルーベンス、ムンク、ボナールと近代絵画の巨匠が揃いましたし、フィリップス・コレクション、バレル・コレクションなど、海外の有力な私立美術館からも、お宝が多数来日します。
僕も、ここに挙げた20の展覧会は、必ず行く予定です!極力このブログで感想レポートも順次アップしていきますね!
それではまた。
かるび
おまけ:展覧会まとめ本も紹介!
秋・冬の展覧会から名画を網羅!「日経おとなのOFF 2018年7月号」
ほぼ1冊全部、2018年の夏~秋にかけて企画展で楽しめる「名画」を大特集。「名画」解説とともに、誌面で紹介された作品を見ることができる企画展も関連付けて紹介されています。その他、「怖い絵」で有名な中野京子氏による大塚国際美術館のレポートや、かんたんにおさらいできる西洋美術史特集も良かった!さらに、付録に万年筆がついてきます!
2018年秋・冬の展覧会を網羅!「美術展ぴあ2018秋冬」
ここ2~3年、非常に美術展特集に力をいれているぴあから、2018年秋・冬に開催される全国の展覧会情報をまとめたムック本が出ました。情報の密度・精度では本誌が一番です。でも表紙にもある通り、「絶対に観たい美術展112」って、そんなに見れませんから(笑)特集の読み応えより、情報密度の濃さを優先して作られた、ぴあらしいムック本。買って損なしです。
旅やグルメと一緒に楽しむアート特集が嬉しい!「OZ magazine2018年9月号」
美術鑑賞が終わったら、お腹もすくし、遠征したら疲れるから泊まっていきたいですよね。アートを中心に、関連する旅行ネタ、グルメネタが非常に充実しているのがOZmagazineの9月号。2018年秋に開催される地域芸術祭についての記事も充実しています!