あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と人事労務系の記事が多め。

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現代アートド素人がガラクタの山に圧倒された!村上隆のスーパーフラット・コレクション(横浜美術館)

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かるび(@karub_imalive)です。

今日は、久々に現代アートの展示会に行ってきた感想を書いてみたいと思います。

僕は、現代アートには割と苦手意識があって、普段どうしても現代アートの展示会には関心が向きません。事前予備知識なしに見ても、大方意味不明ですし。

よって、今までも、僕と現代アートとの接点は偶然の出会いに限られてきました。観光・旅行先などで雨が降ったりして、アウトドアで活動できない時の時間つぶしなどで、たまたま現地にあった美術館に入った時に、なんとなく目に入ってくる。みたいな。箱根のポーラ美術館、彫刻の森美術館、裏磐梯の諸橋近代美術館とかは何度か行きました。雨宿り目的で。

で、展示会を見終わると、「もう、ダリとかマティスとかピカソとか意味わからん!」と毒づいて終わるという、そんな感じ。

でも、今年は1年間、美術展には行きまくる!と個人的に年次目標を立てたこともあり、何とか現代アートにも挑戦したいな、と思うようになりました。

ちょうど、横浜と六本木で村上隆の展示会が同時開催されているという状況で、村上自身が「日本で展示会をやるのはこれでしばらく打ち止めにする」と宣言しているし、日本で見られるうちに行こうかな~、でもどうせ行ってもイミフだしどうしよっかな~と逡巡する毎日でした。

そんな中、巡回していたブログでいい感じのエントリをみつけちゃいました。
一つは、最近美術展の感想を参考に拝読させていただいている、在華坊さんのこの記事です。

休日は、いくつもマイナー・メジャーを問わず美術展をさらっとハシゴして年パスも駆使する在華坊さんの記事は、いつもながら読み応えがありました。

そしてもう一つは、はてブでもバズってた、浅田彰の熱の入った10,000字ツンデレレビューです。長いって!自分も人のこと言えないけどな!

http://realkyoto.jp/blog/asada-akira_160129/

この2つの記事を見て、うん、まぁわかんなくても、これをきっかけに、今後こそ正面から現代アートに向き合ってみるか!と、気持ちを新たに家族3人で首都高を飛ばして行ってきたのです。(横浜美術館は地下駐車場が129台あるんです)

しかし、村上隆の展示会に6歳の子供を連れて行くという暴挙。子供は甘くなかったです(笑)
危惧していたことですが、「パパぁ~、はやくかえろうよぉ~」と何度もせかされ、落ち着いて見てられません。その上、目の前には意味のわからないガラクタが。半分頭をやられながら朦朧として回ったので、結論としては、全然理解できませんでした。

それでも、家に帰ってから必死にネットとかで復習して、何とか全体像が見え始めたので、以下、かなり無理やりですが現代アート歴3日のド素人が、短めに感想を書いてみたいと思います。

村上隆って誰?

村上春樹は知ってるけど、村上隆って誰よ?って人結構いません?自分はちょっと前までそうでした。村上龍の誤植だと思ってた時もあります。

村上隆 - Wikipedia

村上隆は、世界でも評価を受けている日本で最も成功した現代アートの巨匠です。主に欧米の美術展を主戦場に、欧米的感覚の作風をベースとして日本的な「スーパーフラット」(超平面的)画風やポップカルチャーを取り込んだ、独自のセンスの作品群が欧米で大ヒット。

特に数年前、過激な「My lonesome cowboy」が1600万ドルで売れたり、ルイ・ヴィトンとのデザインコラボで商業的な成功を収めるなど、ニュースにもなったほどでした。

村上隆が成功した要因は、いわゆる芸術家として優れているだけでなく、コレクターや経営者、教育者として経営センス・営業センスにも優れていたこともあると言われています。

ネット記事で読みましたが、美術家の資産世界ランクでも、推定資産100億円とされ、裕福な芸術家ランキングで世界第6位に入るほど大成功していますね。メジャーリーガーも真っ青な稼ぎっぷりであります。

そして、村上氏の現在の風貌はこんな感じ。最近完全版が完成した「五百羅漢図」をバックに撮影された近影です。

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(引用元:www.roppongihills.com)

一時期よりさらにむさ苦しくなったような。うしろの五百羅漢に風貌が似てきたような気がします・・・

大成功して手に入った大金で、惜しげも無く芸術品を買い漁った

さて、芸術活動では大成功して大金を手にした村上ですが、そのお金を何に使ったかというと、なんと惜しげも無く美術・工芸品の購入費用にあてたのです。

村上にとっては、まず芸術とは何か?」という根源的な問いがありました。それに対して、美術家として、そして画商として、また時には経営者として、いろんなスタンス・角度から「芸術」に関わろうとする村上の姿勢は、彼自身の言葉を借りると「何でも体験、体感してみないと気がすまない頭の悪さ」なんだそうです。

愚直に何でもやってみることで貪欲に「芸術」を吸収しようとする姿勢が、ここ数年の村上の怒涛のコレクション形成につながりました。

芸術作品を自分で創りだすだけじゃなくて、他人や先人の作品を鑑賞して自分の中に取り込む。その最たる形として、単に展示会で見て回るのではなく、自分で「買い手」として作品と対峙することで、作品との真剣勝負ができるという思いがありました。

まぁ、僕達も学生でカネがない頃に、レコード屋でなけなしのお小遣いで、どれ買おうか真剣にレジに行く前に悩みましたよね。それと似たような感じかと。

そして、そのコレクションは、近年高騰する現代アートを買い集めるにはあまりに財源が乏しくなった公共・中小の美術館では到達できない膨大なものになっており、ここにおいて、「近年の村上の作品群は退屈で評価できない!」とした冒頭の浅田彰も、「村上隆個人のコレクションはいいぞ」と高評価なのであります。

そこで、村上隆個展じゃなくてコレクション展につながった

で、せっかく集めた貴重な作品なんだから、皆見てってよ!ってことで、村上隆の承認要求が大爆発した村上隆が懇意にしていた横浜美術館のキュレーターと企画したのが今回のコレクション展。

主に並んでいたのは、まずは現代アート群。村上隆が特に影響を受け、関わってきた現代アート作品群が時系列に機会的に並べられていました。これが、もうガラクタにしか見えないものが沢山┐(´д`)┌ヤレヤレ

こんな切り絵みたいな奴とか、、、

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どぎつい色の金属の塊とか・・・

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中でも一番ヘンで、一番カネがかかってそうなのは美術館に入場してすぐのところに置いてあったガラクタ廃戦闘機の残骸で作られたアンゼルム・キーファー作「メルカバ」でした。これ、運んだり保管するだけでもめちゃくちゃカネがかかるんでは・・・?

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その他ハイコンテキストな現代アート群も一見無秩序に置いてあり、正直どれを見ても事前に勉強しておかないと「一体これは何なのか?」不明なものばかり。

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来たからには、必死に作品と向き合い、理解しようと努めましたが、まったく意味がわかりませんでした。ですが、結構お客さんは理解してそうな人が多くて、これまた凹まされます。

そして、次のコーナーは村上隆の「頭の中」を表現したという部屋。

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土器や東洋的な置物群、よくわからない人形など、一種夢のなかでまどろんでいるかのような混沌とした空間がありました。遠くから見ると、ゴミ屋敷的な雰囲気もあり。ミニマリストの皆さんはこれを見てどう思うんだろうなぁと思って見てました。

あぁ、まぁでも人間の夢の中ってだいたいこんな猥雑でぐちゃぐちゃした感じだよね、って無理やり理解したことにして次に進みました。

そして、最後に見たのはもう少しわかりやすい現代アート以外の日本美術品のコーナー。正直この部屋に入って、少し落ち着きました(^^)

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北大路魯山人のお皿とかの食器類とか、縄文式土器や弥生式土器、それからツボとか江戸時代の白隠禅師の掛け軸とか。この辺はまぁ唯一安心して見てられたというか。著名な作り手のものばかりで、お金かかってるな~という印象でした。

まとめ

今回、現代アートに対しては何の予備知識もなく、村上隆のコレクション展に臨んでわかったのですが、いきなり行って何もわからなかったのって、ある意味当たり前だったのだなと。

現代アートって、目の前にある意味不明な物体そのものの中に「美しいもの」を見出すんじゃなくて、その作品が成立した社会的事情、西洋美術史の中での立ち位置、作者の思想など、そういった文脈や背景知識を頭に入れた上で、作品を通して「暗喩」されている作者の主張を読み取るという作業なんですよね。印象派や写実主義的な19世紀までの芸術作品に対する鑑賞の仕方である、「あなたの見たいように見てください!」とは決定的に違うようだ、ということに気付かされました。

という事に気づいてから、冒頭で紹介した浅田彰の長文レビューを再度読みこむと、まぁ10,000字の大半は確かに村上隆を取り巻く各種コンテキストを踏まえた批評になっていて納得。カウボーイの精子のほとばしる勢いが凄い、ちゃんと肛門がついててリアリティがあって凄いとか、そんなことは一切書いてない訳で。

ということで、個人的には今回のコレクション展で、どう現代アートに挑戦していけばいいのか少し見えたのでよしとしようかな、と思います。 
それではまた。
かるび