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あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して3ヶ月。無職または専業主夫で、ブログ書いてます。美術展と人事労務系の記事が多め。

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【ネタバレ有】映画「SING シング」感想とあらすじ・伏線の徹底解説/洋楽の魅力がたっぷり詰まった長編アニメの佳作!

映画感想
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かるび(@karub_imalive)です。

3月17日にリリースされた新作「シング」を見てきました。イルミネーション・スタジオらしい軽快なテンポで進む、老若男女幅広く楽しめるコメディー作品です。早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。

※本エントリは、ほぼ全編にわたってストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承下さい。

1.映画「シング」の基本情報

<映画「シング」公式予告動画>

動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】ガース・ジェニングス(「リトル・ランボーズ」他)
【配給】東宝東和
【時間】108分
上映時間はコンパクトにまとまった108分。映画「ミニオンズ」シリーズや「ペット」ですっかり日本でも有名になったイルミネーション・エンターテイメントの制作する3DCGアニメ第3弾は、「歌」をテーマとして取り上げた作品となりました。

2016年12月のアメリカ公開を皮切りに世界中で公開され、すでに6億ドル(約720億円)以上の大成功を収めた本作。日本でも春休みを前に満を持して公開されましたが、どうなったでしょうか?

2.主要登場人物とキャスト

本作は、ズートピア同様、人間ではなく動物たちだけが暮らす世界での出来事を取り上げます。現代のアメリカ社会のメタファーとして社会での差別と偏見に焦点を当てたズートピアとは違い、「Sing シング」で取り上げられたのは個人個人のドラマ。劇場支配人のバスターを中心に、集まってきた主役たちの人生を描きます。

今作は、豪華な声優陣に注目です。字幕版、吹替版ともに、一流の俳優やシンガー、声優を起用して鉄壁の布陣。特に楽曲群では、スカーレット・ヨハンソンや長澤まさみが上手だったのが意外でした。演技だけでなく歌も上手いのですね・・・。

バスター・ムーン(マシュー・マコノヒー/内村光良)f:id:hisatsugu79:20170318185323j:plain

吹替版の内村光良は、基本的には前向きで陽性なコメディアンとして、絶妙の配役でした。声の演技も悪くなく、違和感なくスッと入っていけます。鬱陶しいほど空元気を発揮するバスターの性格をしっかり声だけで表現できていました。

字幕版のマシュー・マコノヒーも「ダラス・バイヤーズクラブ」や「インターステラー」のようなシリアスな役から、こういったアニメ声優まで、本当に多才なカメレオン俳優を発揮しています。

ロジータ(リース・ウィザースプーン/坂本真綾)f:id:hisatsugu79:20170318185405j:plain

家では子供を25匹抱え、家事育児に全く興味のない無気力な夫を抱えて孤軍奮闘する毎日。すっかり家の中で落ち着いてしまい、自信がなくいつもおろおろしているような気の弱い主婦を日米両声優とも上手に表現しています。

ちなみに、ブタは多産で、1回の出産で10匹~12匹の子供を生むので、家で25匹の子供がいるのも納得ですね。

マイク(セス・マクファーレン/山寺宏一)f:id:hisatsugu79:20170318185439j:plain

山寺宏一のほれぼれするような大人びた歌声がとにかく素敵でした。彼は本当にいい仕事をする超一流の声優ですね。最近は、主演で出るより、こういった脇役のほうがいぶし銀の活躍をする傾向にあるような気がします。

アッシュ(スカーレット・ヨハンソン/長澤まさみ)f:id:hisatsugu79:20170318185347j:plain

長澤まさみが上手だったのも驚きですが、スカーレット・ヨハンソンがもとはシンガーソングライターで、様々なアーティストとのコラボも入ったオリジナルアルバムを2枚も発表済みというのが凄い。俳優業としても歌手としても大活躍です。

ミーナ(トリ・ケリー/MISIA)f:id:hisatsugu79:20170318185452j:plain

こっちは、どう聴いてもMISIAの歌声なんですが、ソウルフルで声域の広い壮大なバラードを簡単に歌い上げてしまうMISIAはさすがの人選。というより、よくこういう役回りを引き受けたなぁとびっくりです。吹替版のハイライトは、MISIAの歌声であると言っても過言ではありません。

ジョニー(タロン・エガートン/大橋卓弥)f:id:hisatsugu79:20170318185611j:plain

目を閉じて歌唱シーンを聴くと、やっぱりスキマスイッチを連想してしまうのですが、でも大橋卓弥は昔に比べると歌唱が安定しましたね。声優としても違和感なく、多才な才能があるんだなぁと驚きました。

エディー(ジョン・C・ライリー/宮野真守)f:id:hisatsugu79:20170318185650j:plain

脇役にも日本の実力派人気声優をあてて、スキのない布陣でした。メイキングビデオで、各声優陣の中で出演できたことを一番喜んでいましたね。

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3.結末までの詳しいあらすじ(※ネタバレ注意)

3-1.バスター・ムーンの起死回生の作戦「歌のコンテスト」

経営不振で取り壊し寸前のムーン劇場。支配人で、コアラのバスター・ムーンは、6歳の時に「自分の劇場を持つ」という夢を見て以来、その夢を一旦叶えはしたが、現実は厳しく、今日も朝から未払いとなっていた費用の催促を受けていた。

ムーンは、お客さんへの対応を秘書のミス・クローリーに任せると、一旦屋根裏部屋から外へと脱出した。と、その時、劇場を救う起死回生の一手を思いついたのだ。

早速、親友のひつじのエディにプランの内容を打ち明けるのだった。バスターは、賞金つきの歌のコンテストの開催を思いついたのだった。市中に埋もれている人材をコンテストで発掘し、本物の才能を持った彼らを劇場で歌わせることにより、劇場に人を呼ぶ起爆剤としたいと考えたのだった。

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劇場へ戻ると、バスターは早速、コンテストのチラシを作ら、街中にばらまいた。手持ちの資金が900ドルちょっとだったので、「豪華賞金1000ドル」として、チラシをばらまいたのだった。しかし、この時ミス・クローリーのタイプミスによって、チラシには、「豪華賞金100,000ドル」と書かれてチラシが配布されてしまったのだった。

次の日、バスターが目覚めると、ものすごい数の候補者が劇場に列をなしていた。そこで、バスターは、コンテストの前に一旦オーディションを行い、最終候補者6名を絞り出した。

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父が営むギャング稼業から足を洗い、歌手になりたいゴリラのジョニー、パンク少女のシンガーソングライター、はりねずみのアッシュ、家事と育児に追われるブタの専業主婦ロジータ、派手好きなハツカネズミのシンガーのマイク、大柄でハイテンションなブタのダンサーのグンター、ラクダのピート、カエルの3人組の合計8組を登用した。

3-2.問題山積のリハーサル

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バスターは、ここでようやくチラシに記載したのが「1000ドル」ではなく「100,000ドル」であること気づいた。泣いて落ち込むミス・クローリーを慰めつつ、バスターは金策にめどをつけるため、ふたたびエディの元を訪れるのだった。

エディは金持ちの御曹司であり、彼なら資金を出せるはず。そう考えて尋ねてみたが、流石に断られてしまう。しかし、一旦プロジェクトが動き出したらやるしかない。バスターは、最終候補者たちに明日からコンテストのリハーサルを開始すると告げるのだった。

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しかし、候補者は候補者でそれぞれ問題を抱えていた。ジョニーは父の新たな強盗計画の手伝いをしなければならず、いつ父から呼ばれるかハラハラしながらの参加となった。ロジータはリハーサル中の彼女の子供達の子守と家事を何とかしなければならず、ベビーシッターに断られたので、徹夜で育児と家事をこなす機械を作って凌ぐことにした。また、アッシュは一緒にオーディションを受け、落とされた恋人ランスとの折り合いが悪くなっていた。不機嫌なランスをなだめつつの参加だった。

そして、リハーサルが始まったが、劇場内でも問題が続出するのだった。カエルの3人組は喧嘩が絶えず、リハーサル中に帰ってしまい、さらにリハーサル中に電気が切れたのだった。先月から電気代を支払っておらず、リハーサル中に止められたのだ。

屋根へ出て、電気を隣のビルから勝手に引っ張ろうとしたバスターだったが、一人では上手くできなかった。そこへ、昨日不合格にしたゾウのミーナが通りかかった。バスターは、ミーナに手伝ってもらい、何とか電源確保の応急措置を完了させた。この娘は何かと使える。そう考えたバスターは、ミーナを裏方役として急遽採用するのだった。

リハーサルが終わると、マイクは銀行に向かい、近日中に10万ドルが入ると大風呂敷を広げ、銀行でプラチナカードの発行を受けることができた。この資金をネタにさらに大儲けしてやる、と考え、先日フラれたハツカネズミのナンシーを伴って、カジノへ行くのだった。

翌日、劇場には銀行の取り立てとしてジュディスが来ていた。期日までに返せないと、土地を差し押さえるという。バスターは、ふたたびエディの家に行き、金策を相談した。すると、エディは水曜日に祖母のナナ・プードルマンと会う予定があるという。すでにエディの両親には警戒されているバスターだったが、祖母のナナにアピールすることで、資金調達できるかもしれない、そう考えたバスターは、まずナナをコンテストのリハーサルへと招待し、投資を検討してもらうことにした。

その日のリハーサルでも、トラブルが続出した。カエルの3人組は決定的に仲が悪くなり、本番出演ができなくなった。また、ラクダのピートはリハーサル中のケガで、本番出場が厳しくなったのだった。バスターは日本から来たレッサーパンダの5人組のアイドルに声をかけたり、ミーナを裏方から昇格させようとしたが、上手く行かなかった。

リハーサル終了後、アッシュが帰宅すると、同棲中のランスは、ベティという別のハリネズミの女を家に連れ込んでいた。失意と怒りで当惑したアッシュは、ランスとベティを家から追い出した。

また、ハツカネズミのマイクは、カジノで勝ちまくっていた。トランプにイカサマをして、ポーカーでマフィアのクマから金を巻き上げたのだ。イカサマが発覚したが、捕らわれる寸前に金を持って脱出することに成功したマイクだった。しかし、その後マイクは執拗にクマのマフィアから追われることになった。

そして、水曜日。バスターは、エディの祖母、ナナを訪ねて、コンテストのプランを説明し、懸命にナナを説得した。当初は難色を示していたナナだったが、バスターの熱意に負けて、劇場でのコンテストのリハーサルへ足を運んでくれることになった。

劇場へ帰ると、バスターは翌日、劇場でナナを招いて通しリハーサルをすると皆に宣言した。その日のリハーサルも、やはり問題は山積だった。彼氏と別れて傷心のアッシュ、ダンスが上手く踊れないロジータ。そして、一番の問題は、ジョニーだった。リハーサルの合間に、父の強盗を手伝うはずだったが、交通渋滞に巻き込まれ、父が収監されてしまう。

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収監された父を見舞ったジョニーは、歌手になり、コンテストで得た賞金で父親を保釈させる計画を語ったが、がっくりした父には理解されなかった。ジョニーは、いち早く父を保釈させるため、夜中に劇場に忍び込んで金を盗もうとしたが、そこでバスターのオーディションメモを見て、思い直した。ジョニーは、居合わせたミス・クローリーと夜通しピアノを練習して翌日の通しリハーサルに備えるのだった。

また、バスターは、劇場の装飾に巨大な水槽を設置して、演出を盛り上げようと考えついた。巨大な水槽のセットを作ると、その夜、ミーナとともに水道の配管を変更し、レストランからイカを盗み出した。

3-3.大失敗したリハーサル、大崩壊した劇場

そして、通しリハーサルの当日。ナナがエディと一緒に劇場にやってきた。劇場には、照明用のイカを満載した水槽の設置が完了していた。そこへ、先日マイクが金をだまし取ったギャングのクマが乗り込んできた。その場を収拾するため、マイクは勝手に賞金の入ったカバンを開けたところ、中には1000ドル弱しか入っていないことがみんなにバレてしまった。ロジータやアッシュたちも一斉にバスターに詰め寄った。

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その時、水圧に耐えかねた水槽にひびが入り、裂け目から水が出てきてしまった。劇場内は大洪水になり、人々は逃げ惑った。何とか誰一人傷つくことなく脱出したが、劇場内は水浸しでめちゃくちゃになってしまった。そして、この時のダメージが元で、倒壊してしまったのだ。こうして、ムーン劇場はコンテストを実施するまでもなく、終了してしまった。

3-4.どん底からの復活

一文無しになり、エディの家に逃れたバスターはしばらく落ち込んでいたが、やがて意を決して、亡くなった父同様、洗車業をスタートしたのだった。エディも手伝ってくれて、あっという間に洗車業は繁栄した。

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そして、バスターは、ある日劇場の跡地で一人で歌っていたミーナの歌声を聴いて、劇場を再開することを決意した。野外の即席劇場だったが、全員で今やれること準備をして臨んだのだった。

いよいよ劇場復活の日がやってきた。あの日計画したコンテストの決勝メンバーが、一人ひとり心を込めて踊り、歌っていく。コンサートスタート時は、出演メンバーの身内しかいなかった劇場だったが、プログラムが進むにつれて人がどんどん入ってきた。

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トリを務めたのは、とうとう人前で歌うことができたミーナだった。トリが終わる頃には劇場は超満員。満月の夜にムーン劇場はドラマティックに復活したのだった。

後日、この日のショーを見ていたナナの支援で、ムーン劇場が再建された。バスター・ムーンは、新しくなったムーン劇場で仲間たちと新たな決意を誓うのだった。

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4.感想や評価(※ネタバレ有注意)

4-1.ただ可愛いだけだった「ペット」からテーマ性を持たせて進化した本作

前作「ペット」は都会の高層マンションで飼われているペット達が、人間のいない間に繰り広げるドタバタ大冒険をコミカルに描いた100分弱の映画でした。ハイレベルな作画と、目まぐるしく展開するスピード感や可愛くて痛快なアクションシーンが観客を魅了する一方で、テーマ性がやや薄く、物語の意味や深みを求める人達には不評でした。

その批判を踏まえたのか、今作では、各キャラクターにしっかりとしたバックグラウンドを持たせつつ、「なぜ歌うのか」、また、歌うことによって「何が変わるのか」、各キャラクターの自己実現や成長に焦点を当てようとしていました。

見栄っ張りで適当だけど、どこまでも前向きな主人公、バスター・ムーンを筆頭に、夫の無関心により、家事育児に忙殺されて自己評価の低い主婦ロジータ、貪欲で金でしか動かないネズミのマイク、父の営むギャング稼業と自己実現の狭間で悩むゴリラのジョニー、彼氏より才能があるのは明らかなのに、彼氏に抑圧されているアッシュなど、キャラクターの魅力は素晴らしかったです。

それぞれ訳ありで問題だらけの彼らが集まり、一旦はどん底まで落ち込んだ彼らが、再び立ち上がり、ベストを尽くします。そして、野外公演を大成功させて、「歌」の力で自己実現を達成するラストシーンは非常に溜飲が下がり、観客のカタルシスを満たしてくれました。

4-2.惜しいのは、途中のプロセスの描き込みが雑だったこと

映画的な尺の長さから仕方のないことではあると思うのですが、やはり主役が何人もいれば、一人ひとりの描き込みはどうしても薄くなります。今作は、一人ひとりのキャラの魅力は確かにあるものの、キャラがちゃんと動き出しません。物語の最初と最後だけが描かれ、起承転結でいうと「承」と「転」の部分がほとんど描かれていないことが気になりました。

例えば、ロジータが自動で育児家事をする装置を徹夜で一気に製作するシーンやジョニーがほとんど素人の状態から、数日でピアノをマスターするシーン、あるいは、一度劇場が潰れ、洗車ショップを立ち上げて成功するまでのシーンなどです。相当に骨が折れそうな大変なエピソードであるにも関わらず、どのシーンも物事が達成されるまでのプロセスが描かれることなく、一瞬で御都合的に物事が成就していくのですよね。

終始こんな感じなので、なんとなく映画全体が「点」と「点」をつなぎ合わせたダイジェスト番組的なノリに見えてきてしまい、感情移入する前に映画が終わっていたという感じでした。脚本やストーリー至上主義のディズニーとはこのあたりの完成度においてまだ少し差があるのかな?というのが率直な印象です。

4-3.とは言ってもやっぱり歌の力は大きい!

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映画の中盤までは、ややブツ切れ感のあるストーリーや、秒単位で小出しに散りばめられた楽曲群にイライラさせられたのですが(きゃりーぱみゅぱみゅの曲なんて3回もあったのに全部1~2秒しかかからない)、クライマックスで5人のキャラクターが歌うシーンは圧巻でした。

ロジータ(とグンター)のダンス曲、ジョニーのR&B、アッシュのパンクロック、マイクのオールディーズ、そして最後にミーナのソウルフルなバラードが5連続で続いていく歌のシーンは、それまで何となくもやっとしていた細かいイライラを吹き飛ばしてくれました。歌そのものも良い選曲ですし、歌詞の持つ普遍的でストレートなメッセージ性は、言語のカベを超えてきちんと伝わってきます。

「君の名は。」や「アナと雪の女王」など、大ヒットする映画は、しばしば「音楽」を効果的に多用して感動を運んできてくれますが、この「SING シング」でも、「音楽」の魔法は健在だったようです。やられました(^^)

4-4.「何度でも繰り返しチャレンジすること」の大切さを教えてくれるバスター

ストーリー要素が希薄なこともあり、映画を通して主役のバスター・ムーンはほとんど成長していないように見えます。虚栄心が強くいい加減ですが、包容力があり起業家精神に溢れた彼は、物語前半も破綻後再起した時も、鬱陶しいほど情熱的でした。バスターは、成功の可能性を信じて、回りを巻き込んで打てる手を片っ端からガンガン打っていきます。

無許可で他人の電源を使ったり、差し押さえられた土地を勝手に借用したり、時には常識にとらわれず、道義的に問題のある行動でも厭わず実行する野性味も、ベンチャー起業家らしい描写でした。

冷静に見てみると、物語前半で借金まみれになったバスターが最後の大勝負として仕掛けたコンテストと、一旦破綻してからもう一度作り直した野外劇場計画には、そんなにレベル的に差がないように思えるのです。彼は破綻前のコンテストも、破綻後の野外劇場も、バスターは変わらず情熱的に取り組んでいました。

一方では大失敗し、一方では成功を収めることができた。因果関係だけ見ると、バスターの大失敗とその後の大成功を分かつポイントは、特になかったように思うのです。つまり、うまくいかない時はうまくいかないし、うまくいく時はうまくいく。やってみなければ、正直結果はどうなるかわからない。でも、チャンスをつかみたいのなら、たとえ瓦礫の中からでもいいので、何度でも立ち上がり、行動を起こさないと何事も始まらないのです。

「一勝九敗」というユニクロを興した柳井正の有名な著作があるように、優れた起業家でも、ビジネスにおいては決して百発百中で成功しているわけではないといいますよね。沢山撒いた種の中から、そのうちのたった一つでもいいから大きく育てば、それで「成功」になるわけです。

映画中、打たれても打たれてもめげずに立ち上がるバスターの不屈の精神は、何かを成し遂げようとした時に、諦めずに取り組み続ける大切さを教えてくれているような気がしました。

5.伏線や設定などの解説(※ネタバレ有注意)

5-1.きゃりーぱみゅぱみゅは3曲!全64曲も散りばめられたトラックリスト!

今作では、最初から最後までほんの数秒レベルの引用から、ワンコーラスしっかり主役級が歌い上げるものまで含めると、全部で64曲も使われていました。

映画パンフレットから、全64曲を抜き出して表にしてみましたが、こうして見てみると、クラシックからオールディーズ、R&Bやダンス・ミュージック、最近のロックまで時代を問わず様々な楽曲が使われていますよね。僕も、いくつか気に入った曲があったので、これを機に気に入ったアーティストを聴いてみたいと思います。

★映画「シング」トラックリスト
(青い背景の曲はオリジナルサウンドトラックに収録)
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この表を見て驚くのは、なんと全64曲中、きゃりーぱみゅぱみゅの曲が「にんじゃりばんばん」「きらきらキラー」「こいこいこい」と3曲も使われていることです。(全部合わせて10秒くらいだけど・・)それでも「シング」に登場するアーティストの中で、一番多く曲が使われているんですよね。凄い・・・。

5-2.ねずみのマイクの顛末について

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映画「シング」では、主役級の一人、ねずみのマイクは最後の最後まで感情移入のしにくい「悪役」キャラでした。登場シーンで、病気の喘息持ちのサルから金を恐喝し、物語前半で銀行を口先三寸でたぶらかして大金を引き出し、それで新車を買ってカジノでクマのギャングから金を騙し取ります。

さらに、劇場破綻後にバスターが声をかけた時も、ギャラがないとわかると一旦劇場を去り、観客が集まっているとわかると、虚栄心を満たすためだけに劇場に戻ってきてシナトラの「My Way」を歌いました。

このキャラ、どうなんだろう?と思っていたら、やっぱりムーン劇場再オープンのテープカットの際に、他の仲間が全員揃っていたのに彼だけいませんでしたね。代わりに、赤い車でクマのギャングと一緒に走り去っていくシーンが一瞬写りました。これは、マイクがクマに食べられて殺されてしまうことを暗示していたのでしょうか?それとも続編「シング2」で彼らが手を組んで再度一悶着を起こすのでしょうか?

どちらにしても、ねずみのマイクの末路については、様々な解釈が分かれそうなもやっとした描かれ方でしたね。個人的には続編の伏線だといいなぁと思います。

5-3.月の形と主人公たちの運命

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物語冒頭から、大洪水で建物が倒壊するまでの間、劇場のステージにかかっていた月のオブジェは、下弦の月でした。「欠けていく」下弦の三日月の形をしていて、あと数日で消えてしまう運命を暗示していたのですよね。リハーサルでイカの水槽をバックに、パッと光った下弦の月は、弱々しく不自然でした。

それとは対照的に、野外劇場でミーナが全身を震わせながら歌い上げ、セットが壊れたときにミーナのバックに出てきた月は、ちょうど「満月」でした。

このように、いわば主役を象徴する「月」の満ち欠けが効果的にストーリーの行く末を暗喩するように上手く使われていたのは感心しました。是非、チェックしてみてくださいね。

5-4.続編「Sing2/シング2」について

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エンドロール終了後、早くも「シング2」の製作が発表されました。すでに全世界での興収は600億円を超え、「ミニオンズ2」「ペット2」に続いて、「シング」もシリーズ化されることになります。全米でのリリース日は、2020年12月25日と仮決定されましたが、内容についてはまだ発表はありません。どんな内容になるのか楽しみですね。

6.まとめ

通常、吹替版は声優のみで、楽曲までは吹替えを行わない(許可が降りないらしい)ものですが、今回、世界で唯一日本だけが、セリフだけでなく劇中歌まで吹替を行うことが許されました。

MISIAや大橋卓弥など、こだわりの声優陣がすばらしい吹替版、ハリウッド俳優の意外な一面が見れる字幕版、それぞれ両方に独特の魅力があります。弱めのストーリーなど、まだまだディズニーアニメに比べると課題はありますが、しっかり楽しめる作品でした。

それではまた。
かるび 

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7.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

「SING シング」オリジナルサウンドトラック

劇中でキャストたちが歌ったすべての曲と、エンディング、ボーナストラックなど、合わせて20曲以上が収録されたオリジナルサウンドトラックは、映画を気に入った人にとってはマストアイテムだと思います!特に、日本盤は劇中で吹替された楽曲も含め全26曲と大盛りの内容になっています!【輸入盤はこちらから

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「SING シング」公式ノベライズ作品

シングの公式ノベライズも小学館文庫から発売されています。映画のセリフを忠実に興しただけでなく、小説ならではの主人公たちの心情描写などは見逃せません。僕もこれで予習復習しました!