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あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して3ヶ月。無職または専業主夫で、ブログ書いてます。美術展と人事労務系の記事が多め。

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マラソンは終わってしまうのか?~暗黒時代だからこそ、オリンピック代表には若手抜擢を!~

陸上
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かるび(@karub_imalive)です。

いよいよ夏のオリンピックも半年前と近づいてきて、男女ともマラソンの代表選考が佳境に入ってきました。そんな中、男子選考レース第2弾であり最大の山場だった東京マラソンが終わりました。今日はその感想と今後の展望について少し書いてみたいと思います。

東京マラソン2016は厳しい結果となった

結果は、日本人選手にとっては惨憺たる有様でした。
ちょっと簡単にレースを振り返ってみましょう。

レースは、序盤からケニア人・エチオピア人による「ケニエチ]軍団が第1集団を作ると、5キロ過ぎから、代表選考を視野に入れた日本人選手は牽制しあって追随しません。唯一ついていったのは旭化成の村山謙太のみ。

そのまま、日本人の集団は20キロすぎにはすでに先頭と2分差程度離されてしまいます。結果として、村山を除いた日本人選手全員が、トップのアフリカ勢とは一度も競り合うこともなく、敗れ去ることとなりました。

日本人トップは、8位に入ったヤクルトの高宮祐樹。

陸連からは、これまでの実績から格下選手と見られていた選手です。実業団の本命ランナーたちが総崩れになる中、マイペースでスイスイ走っていたらいつの間にか自己ベストが出て、日本人1位になった、そんな印象です。本人的には120点の出来だったと思いますが、代表選考を行う成績としてはタイムは平凡な2時感10分57秒でした。

気温が高めで気候コンディションがベストではなかったにせよ、東京コースは屈指の高速コースです。序盤は下りから入るし、アップダウンは35キロ付近の隅田川にかかる佃大橋だけしかありません。実際、コンディションも絶好だった2014年には日本人も4名が2時間10分を切っています。

であるのに、今回のレースは日本陸連がリオ派遣標準タイムとして設定した2時間6分30秒に届く選手がいなかったばかりか、一流ランナーの証でもある「サブテン」、2時間10分を切れた選手さえ1人もいなかったという惨状でした。

日本男子のマラソン界を簡単に振り返る

さて、今の30代以上の方はリアルタイムでテレビにかじりついて応援した経験もおありかと思いますが、かつては、マラソンが日本のお家芸としてもてはやされた時代もありました。

まだアフリカ勢が台頭していなかったこともあって、80年代~90年代中盤頃までは、毎シーズン誰かしらの日本人選手が世界中のマラソン界の話題の中心に上がっていたものです。80年代の瀬古利彦・中山竹通をはじめ、宗兄弟、谷口浩美、森下広一、そして90年代にも、やや知名度は落ちますが藤田敦史や佐藤敦之など、世界一線級のランナーがいました。そして、2001年には高岡寿成が2時間6分16秒の日本記録を打ち立てます

しかしその後、日本の男子マラソン界は世界との差を広げられる一方となっていきました。箱根駅伝や実業団駅伝レースの盛り上がりなどから、長期間で緻密な体調管理が必要なマラソンよりも、10キロ~20キロ程度の中距離が主戦場となる駅伝に選手のプライオリティが移ってしまったことも遠因かもしれません。

そして、とうとう2009年~2010年には年間を通して日本人で内外のマラソン公式大会で2時間10分を切った選手が、延べ1名だけという非常事態に。暗黒時代が訪れることになりました。アマチュアの裾野は確実に広がり、市民マラソンブームが起きる一方で、トップ選手の成績が振るわない不思議な状況となりました。

2011年~2013年頃は、少し持ち直して川内優輝や中本健太郎などが、コンスタントに2時間10分を切ったり、高速コースである東京マラソンでは2014年にサブテンを達成した実業団選手が4名出るなど、マラソン復活の手応えを感じかけていました。

再び日本マラソン男子は暗黒時代に入ったのか

しかし2014年。再び日本男子チームは暗転し始めます。2013年あたりの成功で手応えを感じた日本陸連は、これからはオールジャパンで強化だ!ということで、2014年4月に鳴り物入りで「ナショナルチーム」を結成して、9名の強化選手を選抜しました。

ここで上げ潮ムードに入るのかと思ったのですが、ここからどうも雲行きが怪しくなりました。実業団チームを中心に、第1期ナショナルチームに選抜された選手が、揃いもそろって大コケしてしまいます。

まず、メンバーの半数が故障中で、2014-2015シーズンの世界大会選考対象レースに一切エントリできませんでした。また、レースに参加できた選手もそろって全員凡走してしまいます。夏の強化合宿は一体何だったんだ。

川内優輝も一度はこのナショナルチームメンバーに選ばれますが、フォロー体制やコミュニケーション不足に由来する不信感から、2015年夏にメンバー組み換えを行った第2期発足を前に、同じく打診のあった佐野広明とともにメンバー入りを辞退します。

2015-2016シーズンもここまで低調

そして今期。今期のマラソン界は、なんといってもオリンピックの選考レースが話題の中心です。リオ選考レース第1弾は、2015年12月の福岡国際。瀬古利彦が世界へ羽ばたくきっかけとなった老舗国際レースです。当日はほぼベストコンディションで、良い記録も期待されました。

しかしフタを開けてみたら優勝はおろか、ナショナルチームから外され、一般参加で選考レースに臨んでいた佐々木悟が2時間8分台56秒で3位入賞できたことぐらい。佐々木自身2度めのサブテン達成となり、これが同時に自己新記録にもなりました。

その反面、ナショナルチームメンバーやメンバーを外れた川内は、2時間10分を切れずに凡走してしまいました。

そして東京マラソンも前述のとおり。実業団ランナーから見るべき記録を残した選手はいませんでした。残り選考レースは、今週末3月6日に行われるびわ湖毎日マラソンのみとなります。

陸連の選考も迷走中

正直、派遣標準タイムの2時間6分30秒に対して、ここまで誰ひとりとして達成できないどころか、影も踏めない状態が続いています。一応、福岡・東京・びわ湖の各選考レース上位3名の中から選抜するというルールにはなっていますが、今の状態だと正直な所誰を選んだら良いのかわからない状態ではあります。

陸連も選考基準は設けているものの、その想定は、あくまで好記録が多数出た場合の選抜のための基準であり、低レベルの中から抜擢するために作った基準ではないため、中の人はかなり悩ましい状況にはあるかと思われます。

明るい兆しは、学生初マラソン勢が頑張ったこと

そんな中、明るい兆しも出てきました。

タイムこそ2時間11分台以降だったのですが、今回のレースで松村、宇賀地、今井ら有力実業団選手が総崩れになる中、学生の初マラソン勢が日本人2位、3位、4位を占めたことは、快挙でした。

下田裕太選手(青山学院大学/2年生)

まず、日本人2位となった下田裕太(P)は、とうとう箱根駅伝以来、全国区にその香ばしい趣味がみつかってしまいました(笑)箱根駅伝にも出場した後、40キロ走を2回流しただけで本番に臨み、自分のペースで走り切った上、ゴールした後もまだ少し余力が見えるなど、底知れない可能性を感じます。

一色恭志選手(青山学院大学/3年生)

同3位の一色恭志もゴール後「35キロ過ぎからは死ぬかと思いました」と話したとおり最後はバテましたが、駅伝で見せるクールな表情そのままに初マラソンを2時間11分台でまとめきりました。いつも上位で堅実にハイレベルな走りを見せる駅伝時の走りそのままの落ち着きは、初マラソンとは思えませんでした。あとは、競った時勝ちきる力がつけば鬼に金棒です。

服部勇馬選手(東洋大学/4年生)

同4位の服部勇馬は今年の東洋大学キャプテン。35キロを過ぎてからの5キロ15分を切る猛スパートには鳥肌モノでした。これを初マラソンの学生がやるか・・・とハラハラしながら見ていましたが、40キロすぎに仕掛けすぎた反動で足が止まりました。仕方ない。攻めた結果です。最後は上述の青学勢2名に抜かれていしまいましたが、ガッツあふれる非常に良い走りだったと思います。

また、その他報道こそされませんでしたが、青学勢の橋本峻選手や渡辺利典選手、城西大の菊地聡之ら、初挑戦で2時間15分前後で走り切り、学生の勢いを感じることができました。

タイムが出ないなら将来性での選考をしよう!

あくまで3月6日のびわ湖が終わらないとわかりませんが、きっとまた今回もマラソン代表選考は揉めると思います。過去は、ハイレベルな中で選びきれずに悩ましい結果になることが多かったですが、今回は「誰も選べなくて納得感のある選考ができない」という特殊な状況になりつつあります。

今回、びわ湖毎日マラソンには実業団の有力選手が大挙して登録しているので、誰かしらは納得の行くタイムで走ってくれるとは思います。いやそう思いたい。

でも、もしそれでも選考に悩むようなら、思い切ってリオは大舞台の経験の場と割り切り、東京日本人2位の下田裕太か、東京日本人3位の一色恭志を出しておくべきだと思います。

下田Pも、レース後翌日に、なんと寮の自室でインタビューされた時にしっかりとアピールしていました。なんだその後ろのシャツは・・・

曰く、「2枠にするくらいなら僕にください!」と。

こういう時に臆さずにアピールできる度胸は青学の原監督イズムが浸透しているなぁと思います。つまらない陸連のメンツで選手の出場枠を減らすのではなく、是非若手の将来性に1枠投資してあげてください。

まとめ

全ては週末のびわ湖毎日マラソンの結果次第だと思いますが、これもダメなら今期は3季ぶりに2時間10分を切った選手が佐々木悟1名となり、2009~2010年シーズン以来の厳しい暗黒時代の再来になるかと思います。

一方で目を転じてみると、アマチュアランナーによる市民マラソン参加者数はうなぎのぼりとなっており、勝負と関係ないところでは、健康ブームと合わせてかつてない盛り上がりを見せています。また、学生の中長距離ランナーの層も箱根駅伝のスピード化により、レベルアップ著しい状況です。周りの追い風は吹いているんですよね。

東京オリンピックまであと4年。今回の東京マラソンで好走した選手たちがちょうど油の乗り切る2020年には、ぜひともマラソンお家芸復活!となるところをまた観たいものですね。

それではまた。

かるび