【2016年9月20日更新】
かるび(@karub_imalive)です。
先日、連載40周年を迎え、コミック200巻を達成した「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が、満を持して連載終了となるアナウンスがありました。それと同時に発表されたのが、この「こち亀展」の開催。東京を皮切りに、全国へ巡回予定とのことです。今日、9月14日が東京展の初日でしたので、混雑必至を覚悟の上、朝から行ってきた感想レポートを書いてみたいと思います。
1.混雑状況と所要時間
僕が会場となる日本橋高島屋に到着したのは、朝10時20分。朝一で、すでにこの絶望的に見える行列。おそらく、初日なので物販に命をかけたせどりや転売の人たちもかなりいるんでしょう・・・。
一瞬萎えましたが、気持ちを強く持って10時30分と同時に、入場。3箇所の入り口で、エスカレーターと階段を乗り継いで、8Fの特設展示会会場へ。
チケットを持っていなかったので、ここで一旦チケット購入のために並ぶことになりました。そこで待つこと10分、ようやくチケットを購入して入場です。
なお、会期が短いため、特に土日や連休中は大混雑は避けられないと予想します。しかし、前売り券はどうもないみたいです。招待券などをヤフオクや金券ショップで見かけたらすかさずゲットしましょう。
当日のチケット売り場はありますが、1名体制なので、処理が追いつかず渋滞必至です。入場よりチケット売り場が行列するパターンですね・・・。
所要時間は、入場やグッズで混雑して時間を食うため、並ぶ時間を含めて2時間~3時間は念のため確保しておきたいところ。展覧会の内容量が非常に多く、空いている時間に展示だけ見るとしても90分は空けておきたいです。
【2016年9月20日追記】
やはり連休中は、入場制限がかかるほどの混雑だったようです。
こち亀展きたけど、8階でやってるけど4階までまで降りてきて並んでる、なかなかすごい混雑
— 梅入 (@umeiri) 2016年9月18日
行く前にTwitterで状況を検索検索してから行ったほうがいいかもしれませんね。9月22日や25日、26日は物凄い混雑が予想されますので、お気をつけて。
2.入り口付近の様子と客層など
さて、いよいよ入場すると、入口の前には出版社や広告代理店など、名だたる企業のお祝いの花輪がありました。
入り口を過ぎると、展示会場内は意外なことにぎゅうぎゅう詰めまではいかず、まろやかに混雑している程度。物販は秒速で大混雑となっていましたが、展示会本体はそうでもないって・・・どんだけせどり屋さん多いんでしょうか(笑)
客層は、さすが国民的ギャグ漫画だけあって、老若男女幅広く来ています。サラリーマン風の人、ふらっと入ってきたおばさま達、大学生のカップルなど、これだけ一つの展覧会で客層が見事に分散しているのは久々です。
また、初日なので新聞記者やカメラが来ていました。僕も、メモを一生懸命に取っていたら朝日新聞の記者に質問されました・・・。
3.展覧会のコンセプトと展示の構成
今回の展覧会は、こち亀40周年&コミックス200巻という節目を記念して、秋本治の画業を振り返る回顧展です。物凄い量の原画、40年の歴史を感じさせる年表や人物関係図、40年から選りすぐった神回の原画や模型展示など、豊富なコンテンツで非常に見応えがありました。
中の展示物は大半が撮影不可なのですが、一部写真撮影が可能なコーナーがあります。写真の可否は、展示会場内で案内があります。
入り口から順番に、こんな感じの構成でした。
既刊全199巻のコミック単行本の展示(撮影禁止)
★会場イメージ図
(引用:http://www.j-kochikame.com/exhibit/)
棚一面にズラーっと並んだのは壮観でした。100巻を過ぎて、登場人物がどんどん増えだした頃から、表紙にも色々遊びが出てきて、並べるとすごくカラフルで明るいのが印象的でした。
連載の節目となった少年ジャンプ(未使用)の展示
連載第一号である、1976年の42号は、巻頭カラーでもなんでもなくて、巻頭カラー特集となったのは、同年50号が初めてだったみたいです。その後、連載500回とか30周年とか巻頭記念号が飾られていました。
アニメ放映時のビデオ(VHS)や、過去に発売した記念限定グッズ
過去に数年間だけ、アニメ放映していたことがありましたよね。リアルタイムで見ていましたが、個人的にはアニメよりマンガの原作のほうがパワーと緊迫感が合ったかなと思います。懐かしい・・・
キャラクター別のよりぬき原画の展示(両津、中川、麗子、大原部長)
両津はご存知安定のハチャメチャぶりで、原画でもひたすら滅茶苦茶(笑)面白かったのは、脇を固める3名の準主役。ごくたまに狂気の顔を見せる中川や、盆栽、ゴルフ、古城など自分の趣味が絡むと自分に甘いダメオヤジになる大原部長の人間臭さが印象深かったです。また、麗子は予想通りサービスカットがいくつかありました(笑)
秋本治のマンガ制作シーンと仕事道具類
スタジオで実際にマンガを描いているシーン(ペン入れなど)のビデオ動画をメインに、作画資料(警察の絵本やパンフレット)、取材道具(カメラ、ビデオカメラ一式)、ネームや両津の自宅、派出所内の設定資料集などが固めて展示してありました。
ガジェットオタクな両津を描くだけあって、カメラ類はペン型カメラなど珍しいタイプも展示されていたのが印象的です。
神回原画セレクション
連載40年、全200巻の中から、特に読者からの支持が熱い「神回」2話分の原画を展示していました。ちょっと紹介したいと思います。
・擬宝珠家の新しい息吹きの巻(126巻第8話/2001年)
(引用:https://itunes.apple.com/jp/book/kochi-gui-dao-an-nei-2/id584468382?mt=11)
両津が出入りする寿司屋「超神田寿司」を経営する擬宝珠家の末娘だったレモンに妹が生まれた日を描いた回です。突然産気づいた母、桔梗を介抱するためレモンがおばあさんの夏春都(げぱると)を呼びに行く話ですが、レモンのあどけなくも必死な表情がなんとも感動的な一話。この会の両津は完全に脇役でした。
生まれた子供は、後日少年ジャンプ誌上で公募されましたが、全部で9786通の応募があり、秋本治が「蜜柑(みかん)」を選んで決定となったそうです。他の候補として「たんぽぽ」「まりも」「らいむ」「さんご」「きらら」なんかも印象に残ったと述懐されていました。
・勝鬨橋ひらけの巻(71巻第9話/1990年)
(引用:http://www.j-kochikame.com/special/map/tukishima/)
連載700回を記念して描かれた昭和40年、両津が中学生の時のエピソード。隅田川河口にかかる勝鬨橋(かちどきばし)は、架橋された当初は、海運交通に便宜を図るため、橋の真ん中を開けられる跳ね橋として造られました。やがて道路網が発達し、陸上運送がメインになると、開かずの可動橋となって今日に至ります。(実際に機能は残っていると言います)
作品上では、橋を跳ね上げる最後の機会を見逃した、両津の中学生のクラスの同級生、純との心温まる交流を描きます。
純は容姿端麗で優等生だけど、体が弱く、学校を休みがち。ある日、もう橋が開かないことを聞くと、純はショックで寝込んでしまいます。お見舞いに行った純の家で、純が北海道に転校になったことを聞かされた両津は、何とか純にもう一度橋が空いたところを見せたいと、勝鬨橋の可動橋操作室に忍び込んで、無理やり橋をあけてしまいます。
純は、その一部始終を見ることができて、両津の思いは遂げられますが、係員に見つかってしまいます。そこで、両津と仲間たちは、隅田川に飛び込んで逃げて一見落着、というホロリとさせられるいい話。
こちらは、原画と一緒に、勝鬨橋の実際の縮小模型が飾ってありました。ひょっとしたら、この秋の聖地巡礼場所になるかも?
年表コーナー
連載の始まった1976年から2016年までの40年間を、それぞれの連載で取り上げたネタと時事ネタを絡ませて紹介していました。40年の間に、幅広く社会・時事ネタもマンガの中に盛り込まれていて、時代とともにマンガの中のキャラクターの持ち物や生活様式、両津の暴れ方も変わっていったんだなぁと実感。
扉絵原画紹介(亀さんぽ~両さんが見つけた風景の巻)
こちらは、全200巻の連載の中で、下町の深川・本所エリアを中心に、風景とともに両津を描いた連載時の「扉絵」原画を紹介するコーナーがありました。例えば、吾妻橋(82巻-1話)、白鬚橋(82巻-7話)、浅草寺境内(72巻-4話)、金町浄水場(150巻-8話)など。同じ深川地区に住む自分に馴染みの深い情景ばかりだったので、少しぐっとくるものがありました。
記念撮影コーナー(派出所)
マンガに出てくる派出所を模したセットの前で、記念撮影ができるようになっています。派出所の中は、原画で埋め尽くされています。
突入!!こち亀衝撃ワールドの巻
こち亀の特徴である、「毎回のオチ」「両津の金と欲」「祭り」をテーマとした3つの特集展示では、実際に見て触って、写真撮影がOKなエリアに指定されています。それぞれ、
「これぞこち亀!恒例エンディング傑作選」
「総決算?!両津の「金と欲」40年」
「みんなでかつげ!こち亀祭り!!」
とタイトルがついています。
順番に見ていきましょう。
「これぞこち亀!恒例エンディング傑作選」
この部屋では、ひたすらオチのコマの原画が壁じゅうに展示されています。カベをちょっと拡大してみると、こんな感じ。オチのハチャメチャな収束が「こち亀」の一つの魅力ですが、こうして並べてみるとオチのページの破天荒ぶりが凄いことになっています(笑)
つづいて、「金と欲」コーナーを見てみましょう。
「総決算?!両津の「金と欲」40年」
拡大してみると、両津の足元には札束が(笑)
そして、両脇の天井にぶら下がっているのは、各話で両津が背負った借金(賠償金?)の金額を1話ごとにまとめた一覧です。数字がなんかおかしい回がありますね(笑)そして、たまに大儲けもする?
結果として、両津が200巻で出してきた合計被害総額は-1,663兆円ととんでもない金額に(笑)よく集計したな~。
最後に、祭りの部屋に移動します。三社祭や神田明神のお祭りを描いた風景の原画が、壁一面に展示されています。
「みんなでかつげ!こち亀祭り!!」
裏側はこんな感じ。
神田明神奉納こち亀絵巻
神田明神遷座400年、こち亀連載40周年を記念して、「こち亀」をテーマに描かれ、神田明神に奉納されたばかりの全長8メートルの大判のマンガ絵巻が、展覧会へ出品されました。大判の原画17枚を、劣化に強いアクリル絵の具で描き、工房で特装するなど、通常連載の傍ら、1年間かけてじっくり制作されたそうです。その製作シーンのドキュメンタリー映像が展覧会場で公開されていますよ。
こち亀絵巻(神田明神奉納時の写真)
(上記2枚の引用:http://mantan-web.jp/)
描きおろし作品「想い出」の巻
フライヤーにも書かれていた、展覧会場だけで読める秋本治の描きおろし作品。これが出口前の最後のメインディッシュでした。
内容をさわりだけネタバレすると、ある日突然失踪した両津をめぐって脇役たちがドタバタする話です。ほろっとする、でもあっさり爽やかな読後感でした。是非、会場でゆっくり読んでみてください!
4.グッズコーナー
展示を抜けると、グッズコーナーは山のように人だかりが。また、レジを待つ列は8Fのレジを先頭に、階段を下がっていって、最後尾が3F(!)という長蛇の列でした。ざっと100メートルくらい階段を巻いていたと思います。
気を取り直して、どんなものがあるか見てみましょう。
クッキーやポスター、Tシャツ、クリアファイル、単行本など各種色々取り揃えていました。せどりが第一波で来たあとも、品切れになっているアイテムがなかったところから見て、かなり潤沢に準備しているような感じです。
5.まとめ
さすがに連載40年分、原画は3万枚を超えるとあって、凄いコンテンツ量でした。連載終了とともに、満を持して開催された展覧会は大混雑での幕開けとなりました。そして幅広い層の来場者が示す通り、様々な年齢層の人々が一度はどこかで読みふけってハマったことがあるのが「こち亀」の凄さなんだと思います。
これをきっかけに、また読み返してみようかなという人も多いでしょうね。僕も、ミーハーながらちょうど読んでいない時期の分を跡追いしてみようかなと思います。
それではまた。
かるび
開催情報
展覧会名:「こち亀展」
開催場所:日本橋高島屋8Fホール
入場時間:午前10時30分~午後7時、最終日午後5時30分迄
入場料:一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料
会期: 【東京】2016年9月14日~9月26日(月)
※大阪は12月中旬~1月初旬で大丸心斎橋14Fにて開催決定
※その他主要都市への巡回は調整中
公式HP:http://www.j-kochikame.com/exhibit/
【20160916追記】
会場では置いていなかった200巻特装版
展示会場で、何人かが特装版の最終巻200巻は置いてありますか?と監視員に聞いている人を見かけました。発売日は9月17日となっているため、初日では置いていなかったですが、17日以降は置かれるんじゃないでしょうか?
Amazonのリンクは、多分転売屋さんの出品だろうな~。推奨しませんが、参考までに該当リンクを置いておきますね。