あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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歴史とアートの街・両国に刀剣博物館が移転リニューアルオープン!

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かるび(@karub_imalive)です。

結婚を機に、かれこれ15年ほど江東区と墨田区、中央区のちょうど境目のあたりにずーっと住んでいます。最近、徒歩圏内にある両国界隈に「すみだ北斎美術館」ができたことをきっかけに、急に墨田区が「アートの街」みたいな雰囲気になってきた感触があるのですが、この1月に入り、その動きが加速した感があります。

というのも旧安田庭園の敷地内に新たに「刀剣博物館」が新宿から移転・リニューアルオープンしたからなんです。これで、両国駅周辺には「江戸東京博物館」「すみだ北斎美術館」「相撲博物館」「東京都復興記念館」とあわせて、中規模以上の博物館・美術館系の施設は実に5つ目なんですよね。アートファンの僕としては、本当に嬉しい限りであります。

ということで、この「刀剣博物館」について、早速見てまいりましたので、写真付きで簡単にレポートしてみたいと思います。
(※館内は、一部作品を除き写真撮り放題です)

1.リニューアルした「刀剣博物館」とは?

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旧刀剣博物館引用:Wikipediaより)

刀剣博物館は、日本刀を収集・保存して、日本刀文化を幅広く普及させるために、日本美術刀剣協会によって設立された博物館で、元々は昭和43年に東京・代々木で開設されました。

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旧安田庭園の模型。右上の建物が「刀剣博物館」
引用:Wikipediaより)

やがて、施設の老朽化等により4~5年ほど前から移転が検討され、今回2018年1月に、隅田川沿いの旧安田庭園という史跡の中に、新築の建物を建て直してリニューアルオープンとなりました。(とは言っても、そこまでそこまで大きな建物ではなく、博物館自体は中規模クラスのアットホームな感じの建物でした)

2.建物の中をざっくり紹介!

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ということで、早速ですが、ざっくり建物の中を紹介したいと思います。まず、入り口の雰囲気はこんな感じです。

▼すっきりしたエントランスf:id:hisatsugu79:20180125163014j:plain

設計はベテラン建築家・槇文彦氏の槇総合計画事務所で、施工は戸田建設が担当しました。博物館とか美術館が新築されると、「誰が設計したのか」建物クラスタの人たちはまず建物に興味が行くようで、当日も外観や建物の内装をチェックしている人をちらほら見かけました。

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まず、エントランスを入ってすぐのところにお祝いの花輪が沢山。意外なことにアート関係者の名前はほとんどなく、たたらで有名な奥出雲町長をはじめ、刀剣界の方々のお名前が多そうな感じでした。刀剣の世界はまだまだ工芸や日本美術とは別扱いということなんでしょうか?

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その反対側には、刀剣博物館にゆかりのある、二人の功労者と思しき男性のブロンズ胸像が建っていました。

▼エントランス近辺
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そのまま入っていくと、まず受付があって、そこで入場券を購入します。受付の奥にはグッズコーナーがあって、書籍を中心にお土産などが置いてありました。そして、同じく1Fの奥の方には「カフェ」スペースがあります。

▼カフェスペース
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「カフェ」に入ってみると、喫茶店などはなく、飲料系の自販機と机・椅子が置かれているだけでした。カフェというよりは、休憩スペースって言う感じです。ちょっとした打合せなんかにも使えそう。

▼資料・映像コーナー
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さらに、別の小部屋には、日本刀についての資料・映像コーナーと、刀剣博物館ができる前に旧安田庭園敷地内に建っていた「両国公会堂」の模型や解説パネルなどもありました。半分は墨田区のPRコーナーといった感じの趣ですね。

▼資料コーナー。日本刀の基礎知識が整理されているf:id:hisatsugu79:20180125164427j:plain

1Fには、コイン式ロッカースペースも完備していたので、こちらで荷物を預けて、展示スペースへと階段で上がることにします。

▼コインロッカー
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3.屋上庭園が気持ちいい!

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2Fは職員が詰める事務所スペースで、一般鑑賞者は出入り禁止なので、そのまま3Fまで上がっていきました。3Fには、企画展の展示スペースがあるのですが、その前に、屋上テラスへの出入り口を見つけたので、ちょっと外へ出てみました。

▼開放的な屋上テラス
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▼奥に見える緑の屋根は両国国技館f:id:hisatsugu79:20180125165013j:plain

すると、結構こんな感じで気持ちいいのですよね。眼下には旧安田庭園が見下ろせるようになっており、あたりを見回すと、首都高7号線や、江戸東京博物館と両国国技館の大きな建物が見えます。これは、春のさくらの時期には、お花見企画とか捗りそうな気がします。

4.展示スペースでは、企画展を実施中

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そして、満を持して展示スペースへ。移転こけら落としとなるリニューアルオープン後の企画展第1弾は、「現代刀職展ー今に伝わるいにしえの技」ということで、新作の名刀や、刀剣研磨の技術発表会的な位置づけの展覧会でした。(※会期:2018年3月25日まで)

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現代の日本における刀工たちの優れた業績を評価し、優秀作品を展示する企画展でした。日展や院展みたいな感じで、刀剣の世界にもこういった品評会のような企画があるんですね。

通路を通って展示スペースに出ると、こんな感じです。

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天井は割りと高めで、圧迫感のない展示スペースには結構好感が持てました。室内の照明もいい感じ。光を落とし気味にしつつ、展示品に変な影とかもつかないように計算された上品なライティングが良かったです。特に、一つ一つの作品が非常に微妙な違いや、刀身の繊細なデザインを細かく見ていく刀剣だからこそ、ライティングは非常に重要ですよね。このあたりがちゃんとしていたのは良かったです。

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高松宮記念賞「太刀 銘 善博」(久保善博氏製作)

展示品は、刀剣制作部門、刀剣研磨部門、そして鍔や鞘などの刀装具部門に細かく分かれて展示されており、優秀作品には「優秀賞」「努力賞」「入選」等、ラベル表示されていました。

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また、これも日展や院展と同じですが、超ベテランのレジェンド級の刀工たちは、無鑑査で作品を出せるようなシステムになっているようです。確かに、Netflixの刀剣映画に出てくる刀匠の作品も無鑑査出品されていました。

正直、初心者向けの解説パネル等はそこまで徹底されていないのですが、その代わりに非常に充実していたのが、説明員さんを沢山配置していたことです。僕が行ってきた初日は、5名ほどいたでしょうか?

▼腕章を付けた説明員さんが色々と解説してくれますf:id:hisatsugu79:20180125170519j:plain

僕は、刀剣については本当にド素人であり、刀身の各パーツの呼び方すらおぼつかないので、説明員さんにあれこれ質問攻めにしましたが、非常に快く回答してくれました。

これは非常にありがたい!正直、刀剣ってどれ見ても同じに見えたりするのですが、ベテランの鑑賞者の手にかかると、見た瞬間に産地や刀匠、生産時期がわかるのだそうです。(僕もハードロック・ヘヴィメタルなら聞いた瞬間にだいたいバンドの母国や制作時期がわかるという、隠れた(?)特技があるのですが、それと同じようなものでしょうか)

話を聞きながら1つずつ見ていくと、確かに一つ一つ確固たる時代や刀匠による個性の違いがあるんですよね。「気楽に好き、嫌いなど、自分の好みで見てもらって全然いいんですよ」なんて励ましていただけました。

▼ずらっと並ぶ刀剣。素人には全部同じに見えるが・・・f:id:hisatsugu79:20180125170613j:plain

この日は、重要文化財や国宝級のお宝こそありませんでしたが、現代の刀匠が制作した新作に混じって、普通に鎌倉時代・室町時代の「古刀」が沢山展示されていました。

思わず「日本刀ってほんとうに長持ちですよね。」ってバカな質問を説明員さんにしてしまったのですが、「いえいえ、適当に扱っていたら、普通に錆びてダメになります。良い刀は、武士のステータスに直結したので、家宝として代々大切に扱われてきたということなんですよ」と・・・。

なるほど。しかし、それにしても平安時代・鎌倉時代に制作された刀が、職人さんによって研磨され、傷・サビ一つ無いピカピカの状態で展示されているのを見ると、日本刀の凄さがよくわかります。

刀剣博物館に行ったら、是非説明員さんに色々聞いてみてくださいね!

5.グッズコーナーもあります

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さて、一旦展示を見終わったら、再び1Fに降りてきて、グッズコーナーを下見してみます。開館したばかりなので、正直なところグッズコーナーはまだまだな感じ。それでも刀剣に関する書籍やDVDはかなり充実していました。

▼書籍はまずまずマニアックな品揃え!f:id:hisatsugu79:20180125170824j:plain

▼激レア?刀匠や名剣を特集したDVDも!f:id:hisatsugu79:20180125170901j:plain

また、移転オープンを記念して、クッキーなども販売されていました。せっかくなので二つほど買って帰ることにいたしました。

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変わったお土産としては、日本刀を作る原材料である最高級の鋼鉄「玉鋼」のかけらです。たたら製法で精錬された鉄の中でも最高級な品質のものを「玉鋼」と呼ぶそうですね。木箱に入っていると、急に何か神聖なお守りのように思えてきます。(で、結構高いのです!)

▼珍しい?!玉鋼のお土産
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今回は開館直後だったため、まだグッズは少なめでしたが、今後、もう少しグッズ類が充実してくると良いなぁと思います。(刀剣乱舞とコラボしたオリジナルグッズとか置けば、バカ売れすると思う・・・)

6.気になる混雑状況は?

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さて、気になる混雑状況ですが、結論としてはそれほど気にしなくても良いかもしれません。オープン初日は金曜日だったのですが、閉館時間になって受付の人に聞いてみたら、「今日は約200名位の来客です」とのこと。思ったより少ない・・・。なので、キャパシティ的には全然余裕があります。

まだ開館したてなので、地元への告知や駅・周辺地域への案内板の設置も終わっていませんし、お客さんが本格的に足を運ぶようになるのはこれからなのかもしれませんね。

「相撲が終わったら、そのまま刀剣博物館に流れてこないかな」なんて職員の方もおっしゃってましたが、両国国技館、江戸東京博物館のすぐ裏側と非常に好立地なので、相撲や江戸博、旧安田庭園の散策とハシゴして一気に見て回るのもいいかもしれません。

7.まとめ

ということで、気軽に行ってみた初日の感想をまとめてみました。土日には、実際に刀剣を手にとって鑑賞できるイベントや、ホールでクラシックの演奏イベントがあったりと、様々な工夫も打ち出していくようです。気軽に刀剣に親しめるアットホームな博物館として今後の発展に期待したいです!刀剣ファン、アートファンの皆様、是非いちど行ってみてくださいね!

それではまた。
かるび

博物館情報と2018年~2019年の年間展示予定

◯美術館・所在地・連絡先
刀剣博物館
〒130-0015 東京都墨田区横網1-12-9
◯最寄り駅
JR総武線両国駅西口徒歩7分
大江戸線両国駅A1出口から徒歩5分
都営バス・墨田区内循環バス「旧安田庭園・同愛記念病院」徒歩1分
◯公式HP
http://www.touken.or.jp/museum
◯休館日
月曜日・展示替期間・年末年始
(※月曜日が祝日の場合開館、翌火曜日休館)
◯開館時間
9:30~17:30(最終入館:17時)
◯2018年~2019年にかけての企画展予定
■2017現代刀職展ー今に伝わるいにしえの技ー
2018年1月19日(金)~3月25日(日)
■第63回重要刀剣等新指定展
2018年4月10日(火)~5月20日(日)
■第25回特別重要刀剣等新指定展
2018年6月5日(火)~7月16日(月)
■2018現代刀職展
2018年7月24日(火)~9月30日(日)
■企画展「諸国漫遊ー多彩なるお国拵と日本刀五ヶ伝を巡る旅」
2018年10月18日(木)~12月16日(日)
■特別展筑前左文字の名刀
2019年1月12日(土)~2月11日(月)
■第64回重要刀剣等新指定展
2019年2月26日(火)~3月31日(日)