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あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して3ヶ月。無職または専業主夫で、ブログ書いてます。美術展と人事労務系の記事が多め。

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【ネタバレ有】「一週間フレンズ」感想とあらすじ・伏線の徹底解説!/脚本にやや難ありか?「記憶障害」王道ラブコメ青春映画でした!【いちフレ】

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【2017年3月16日更新】

かるび(@karub_imalive)です。

2月18日に公開された青春恋愛映画「一週間フレンズ。」(通称「いちフレ」)を見てきました。マンガ原作からアニメ化もされてヒットした、一風変わった「記憶障害」を持つヒロインをめぐる切ないストーリーです。

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、ほぼ全編にわたってストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承下さい。

1.映画「1週間フレンズ。」の基本情報

<映画「一週間フレンズ。」予告動画>

動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】村上正典(「電車男」「赤い糸」Huluドラマ「代償」)
【配給】松竹
【時間】120分
【原作】葉月抹茶:コミック版「一週間フレンズ。」

原作漫画、アニメ化を経て、企画された今回の映画。メディアミックスとしてやり尽くした、いわば最終段階での実写映画製作です。

なお、アニメ版同様、スキマスイッチが特別に映画用にアレンジしたテーマソング「奏」をバックにした予告動画ロングバージョンもあります。合わせて見ておくといいかも。(しれっとラストシーンまで見せちゃってるけど/笑)

2.映画「一週間フレンズ」の主要登場人物とキャスト

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(引用:映画「一週間フレンズ。」公式サイトより)

キャスト陣では、主人公の長谷祐樹、藤宮香織をはじめとしてほぼ全員が程度の差はあれ、キャラの性格や設定に手が加えられています。また、「記憶障害」をリアルに見せるためか、原作ではほとんど空気な感じだった医者や両親、先生など、作品内で「大人たち」が多めに登場してきています。(居なくても良かったけど・・・)さらに、映画だけのオリジナルキャラとして、近藤まゆという女の子が追加されました。 

長谷祐樹(山崎賢人)

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主人公。恋愛青春映画は、昨年10月リリースの「四月は君の嘘」以来4ヶ月ぶり。そう言えば年末の「妖怪ウォッチ」でもエンマ大王役で出ていましたね。ここ最近、役柄もかっこいいだけのヒーローだけでなく、多彩な配役が回ってくるようになりました。

藤宮香織(川口春奈) 

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一旦大切な存在や友人として認識すると、豹変したように人懐っこく振る舞う原作とは違い、落ち着いた繊細な感情表現が良かったです。村上正典監督のインタビューでもありましたが、映画中でたまに繰り出す「笑顔」が素晴らしく魅力的でした。 
桐生将吾(松尾太陽)
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祐樹の親友である将吾役は、映画初起用となった松尾太陽。一見ぶっきらぼうですが、主人公、祐樹を影で色々サポートする役柄です。イケメンなんですが、演技は・・・もう一つかなりヤバかっただったかも。

九条一(上杉柊平)
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マンガ原作では、香織を媒介として、主人公の祐樹とも次第に「男の友情」が育まれていきますが、映画版では(彼には彼の事情があるにせよ)、ステレオタイプ的に悪役一辺倒な、いけ好かないやつとして描かれています。

山岸沙希(高橋春織)
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祐樹の幼馴染でしっかりものという映画独自設定。主演以外の脇役の中では、この高橋春織が一番存在感があって、好演だったと思います。将吾といい感じになった原作と違い、その視線はずっと祐樹に向けられています。でも祐樹もこんなかわいい幼馴染がいるのに贅沢ですね・・・。

近藤まゆ(古畑星夏)
映画内でのオリジナルキャラ。中学時代、香織と九条との間で三角関係となる。

藤宮志穂(国生さゆり)
香織の母親役。服の上からでもふくよかでお腹が出ているのがわかるくらい、すっかりおばちゃん役が似合うようになりました・・・
井上潤(戸次 重幸)
青春映画やスイーツ系映画で、チョイ役として出演する先生や父母役で、本当によく見かけるTEAM NACSメンバー。今作でも安定の人畜無害な感じの先生役です(笑)

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3.映画「いちフレ」結末までの詳しいあらすじ(※ネタバレ)

3-1.長谷祐樹と藤宮香織の出会い

高校1年生が終わる3学期、長谷祐樹は親友の桐生将吾と学校の図書室にいた。将吾が真面目に勉強に打ち込む中、祐樹は1冊の本を見つけた。誰も借りなそうな難解な分厚い本「アンリ・ミショー全集」を取り出すと、これを借りることにした。マンガ研究会に所属する祐樹は、パラパラマンガを書き込むのに適した本を探していたのだ。

祐樹が藤宮香織と出会ったのは、その日の図書室だった。彼女が落とした図書カードを偶然拾い、さらに帰りの電車も偶然一緒の車両に乗りあわせ、借りた本を座席に置き忘れた祐樹に、本を渡してくれたのだ。その別れ際に見せた彼女の笑顔が忘れられなかった。

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次に祐樹が香織と会ったのは、高校2年となって、新しいクラスで一緒になった初日だった。放課後、祐樹は香織に「友だちになってください」と伝えたが、きっぱりと拒絶されたのだった。

友人に聞くと、彼女は高校1年生の秋に転入してきて以来、誰とも積極的に口を聞こうとせず、いつも一人でいるのだという。それでも、諦めきれず、どうしても近づきたいい祐樹は、放課後やランチの機会に、彼女のところへ行って、友達になってくださいと繰り返し話しかけた。しかし、香織からの返事はいつもつれなかった。

そんな祐樹を見ていた担任の井上は、香織が過去のトラウマが原因と思われる「解離性健忘症」という、一種の記憶障害を抱えていることを祐樹にそっと伝え、コミュニケーションのとり方についてアドバイスをした。

香織は、両親と定期的に医師の精密検査を受けており、日常生活には支障はなく、両親の顔などは正常に認識できるのだが、月曜日になる度に、友人との記憶だけをすべて失ってしまう、という特殊な記憶障害を患っているのだった。

香織がなぜクラスで孤立し、誰とも話ができないのか理解した祐樹は、この状況を打開し、何とか藤宮と友人になるにはどうしたらいいかずっと思案していたが、ある時、古文の授業中で紀貫之「土佐日記」の授業を受けている時、彼女との「交換日記」をスタートする、というアイデアが思い浮かんだ。

3-2.交換日記を機に、関係を深める2人

すぐに、幼馴染の沙希と一緒に近所の文房具屋で水玉のノートと、水色・ピンクのペンを購入し、次の昼休みに香織に「交換日記をしよう」と持ちかけてみた。

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当惑した香織は、一旦はノートを突き返すも、度重なる祐樹の押しに負けて、ノートを受け取ってしまった。人がいない所でこっそり見てみると、月曜日~金曜日の日記が簡単ではあるが、書かれている。

この日、帰宅した後母親に交換日記のことを聞き、久々に過去の自分の思い出の品をあけてみる香織だった。

翌日、香織は屋上に祐樹を呼び出し、一週間で友人との記憶が消えてしまう自分の記憶障害について話し、迷惑をかけたくないから友人にはなれない、と言って、ノートとペンを祐樹に返した。祐樹は、なおも「友人になってくれ」と頼み込んだが、香織に断られ続けた。

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しかし、そんな頑固な香織も、ある放課後の下校時刻に、急な雨が降ってきた時に祐樹がカサを貸したことで、とうとう根負けして交換日記に応じることを了承した。ただし、1週間で記憶がリセットされてしまうので、金曜日の夜に香織が家に日記を持って帰り、月曜日の朝に読み返してから登校することで、祐樹のことを忘れないようにしたい、と香織から提案があった。

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交換日記は、二人の間柄を友人関係に変えただけでなく、香織の心境も大きく変えることになった。将吾や沙希など、祐樹の友人たちとも友達になったのだった。

夏休みになり、祐樹は、香織、将吾、沙希と、近くの川沿いで行われる、夜にランタンを飛ばす「天燈祭り」に出かけることにした。人出も多く、人混みの中で将吾、沙希とバラバラになってしまった香織と祐樹は、二人きりでランタンが飛ぶ幻想的な風景を楽しんだ。まるでデートのようだった。

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沙希、将吾を見つけ、合流出来た時、香織に見知らぬ他校の女の子が話しかけてきた。その女の子は、中学で同じクラスだった近藤まゆと名乗ったが、記憶障害の香織には、誰なのかわからなかった。さらに、見知らぬ男が突然香織に向かって、「裏切り者」と突然つぶやいた。

それを聞いた香織は、急に呼吸が荒くなり、その場で倒れてしまった。祐樹は、彼女を介抱し、急いで病院に連れて行った。なぜか、その男も病院についてきて、目を覚ました香織は、男を見て「はじめ君」と名前を覚えていたのだった。

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香織の両親も急ぎ病院にかけつけ、祐樹は、香織の不安定な精神状態を憂慮した父から、「もう娘には近付かないでくれ」と釘を刺されるのだった。

しかし、どうしても諦めきれない祐樹は、あれ以来交換日記が途絶えてしまった香織の家に直接出向き、交換日記だけ手渡すのだった。帰り道、追いかけてきた香織の母と少し話をしたが、母親は祐樹を応援してくれているようだった。

3-3.明らかになった香織の過去と九条一の登場

二学期になり、祐樹のクラスに九条一という転入生が入ってきた。夏休み、香織に暴言を吐き、香織を精神的に不安定にさせたその男だった。九条は、香織のことが「大嫌いだ」と言うが、裏がありそうだった。

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やがて、学園祭シーズンが近づき、準備が大詰めとなった日。香織と祐樹は、キャンプファイヤー用の出し物(ドミノ)を倒してしまい、大騒ぎする周囲をよそに、二人で図書室に逃げ込んだ。いい雰囲気になる二人。しかし、そこへ九条がやってきて香織を非難した。

その時、香織は部分的に九条との昔の思い出を思い出した。九条が札幌へ引っ越す前日、最後にもう一度会おうと約束していたが、結局九条の前に現れなかった香織。それを非難する九条だったが、香織はその日、確かに待ち合わせ場所まではたどりついたことまでを思い出した。だが、その先を思い出す前に、頭が割れるように痛くなり、ダウンしてしまった。

学園祭当日。クラスで出展していた模擬店で祐樹と九条が呼び込みをしていると、先日河川敷で会った近藤まゆがやってきて、香織の記憶障害について、過去の一件について謝りたいという。九条と祐樹は、香織とまゆをつれて屋上で話をすることにした。

まゆは、中学時代に九条に片思いをしていたが、九条は香織のことが好きだった。九条は香織を呼び出して、気持ちを伝えたが、香織はまゆのことを思い、返事を保留していた。しかし、2人で会っていたところを別のクラスメイトに見られてしまい、香織はクラスで浮いてしまっていた。

そして、それが決定的になったのが、九条が転校する前に香織を呼び出した夜のこと。香織が九条のところに駆け寄るその直前、それを偶然見ていたまゆや友人が、「抜け駆けしないで」と香織を責め立てた。それを聞いて、とうとう心が耐えられなくなった香織は、公園と反対の道路に飛び出してしまい、車にはねられた時に、その時のトラウマから「友人」について忘れてしまう、特殊な記憶障害になってしまったのだった。

その事実を聞いた香織は、ふたたび頭を抱え、うずくまってしまう。必死に祐樹が介抱する中、香織は「一君に会いたい・・・」と祐樹の腕の中ではっきりとつぶやいた。

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落ち込んだ祐樹は、キャンプファイヤーの中に交換日記を投げ入れて焼き捨ててしまい、次の月曜日には、当然一のことは覚えていても祐樹のことは全く覚えていなかった。

3-4.香織に忘れ去られる祐樹、そして卒業式の奇跡

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冬になり、すっかり香織は九条と恋人のように付き合うようになっていた。祐樹は、沙希から告白されたが、沙希と付き合う気にはなれなかった。

そして、高校3年生になり、祐樹と香織は違うクラスになると、二人には全く接点がないまま、あっというまに卒業式の日を迎えた。

卒業式の当日、祐樹はせめての思い出作りのため、香織と卒業アルバムにメッセージ交換をした。祐樹は、メッセージにイラストを添えて「また笑顔が見れて良かったです」と書き込んだ。香織と祐樹は、メッセージを交換し終えると、何事もなく別れたのだった。

帰ろうとした時、香織は図書室から未返却の本がある、と呼び出された。結局それは勘違いで、本は別の図書委員が持っていたのだが、その本に書き込まれていた落書きを見た図書委員に、落書きはいけませんね、と注意をされた。

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香織は不思議に思ってその本「アンリ・ミショー全集」をめくってみると、貸出カードには「長谷祐樹」と埋め尽くされており、そのマンガは、先程メッセージ交換をした祐樹のものだった。そのパラパラマンガは、祐樹が香織と高2の春に出会い、そして学園祭の日までのハイライトが描かれていた。

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その時、香織は全てを思い出した。そして、祐樹にもう一度会いたい、と心から強く思い、学校中を探し回った。そして、祐樹はいつもの学校の屋上にいた。

香織は、祐樹に近づいていき、「私と友だちになってください」と祐樹に手を差し出した。祐樹は驚きつつも、嬉しいような泣きたいような気持ちで、手を握り返した。

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4.映画「一週間フレンズ。」の感想や評価(※ネタバレ)

大抵のスイーツ系恋愛作品は、多少のできの悪さには目をつぶって、楽しく見れてしまうのですが、今作は、映画を見ていてどうしてもアラ目につきました。ちょっと否定的な感想が多くなりますが、ご了承ください。

4-1.原作、アニメ版とはほぼ別物の作品だけど、これはこれでありかなと思った

すでにマンガ原作とアニメ版が完結した後に、製作された今回の実写映画。真新しさを確保するためなのか、あるいはアニメ12話分を凝縮する映画の「尺」の調整のためなのか、ストーリーの大きな流れは同じですが、詳細なプロットの中身や、設定、キャラの性格などは、かなり大幅に手を加えられていました。

最初映画を見てすぐは、「原作」じゃなくてもうこれは「原案」レベルの改変なので、どうなんだろうか?と見ていました。ただ、実写映画で原作やアニメの「絵柄」や牧歌的な雰囲気を100%そのまま再現したら、それはそれで少しボケてしまうような気もします。あのふわっとした、葉月抹茶の独特な世界観は、マンガならではの表現であり、実写だと弱すぎるかもしれません。

原作ファンはちょっとがっかりかもしれないですが、限られた尺の中で、内容を凝縮してインパクトを出しつつ、実写映画の特性を最大限生かした作品にするのであれば、忠実に原作の雰囲気や流れをムリにトレースするよりは、思い切って色々変えてみたのはありだったかな、と感じました。

4-2.大根役者?それとも監督指示?演技ヤバい役者が多すぎ・・・

原作に大ナタを振るうところまでは良しとしましょう。ただし、どうしても気になったのは、キャスト陣の演技力です。低予算のスイーツ映画なのでしょうがないのかもしれませんが、今作では「学芸会レベルの」メンバーが何人かいたのには閉口しました。

主演の男女は、凄く上手!という感動はなかったにせよ、キャリアも豊富に重ねてきているの二人なので、順当に良かったと思います。ひたむきで純粋かつお調子者な三枚目風演技が新境地だった山崎賢人や、物憂げな表情が多い中、時折見せる笑顔に破壊力があった川口春奈はまずまず。

でも、桐生将吾役の、松尾太陽・・・。ちょっと酷すぎるような。滑舌も悪いし棒セリフだし、これでよくOKテイク出しましたね。パンフを見ると、今回が初めて映画単独出演なのだそうで・・・(-_-;) 頼むからもうちょっと演技を練習してきてくれ!!

それから、藤宮志穂役の国生さゆり!何年芸能人やってるんですかこの人・・・。動揺する娘や祐樹をフォローする大事な「大人」役なのに、棒演技ぶりが目立って、画面に集中しづらかったです。

村上正典監督がメガホンを取った、Huluで現在配信中のサスペンスドラマ「代償」でも、小栗旬のセリフが普段より何となく棒読み気味に聞こえますし、この映画全体を通しても、戸次重幸や甲本雅裕などベテラン勢までなんとなくセリフが棒気味だったので、ひょっとしたら村上正典監督の好みなんでしょうか?とにかく、映画中、俳優のヘタな演技にイラッとさせられる場面が多かったです。

4-3.脚本にもかなり難がある作品

さらに、脚本も少しツッコミどころが多いです。一番気になったのは、高2秋~高3までの1年半、ほとんど没交渉に陥った二人が、突然復活するのは(ドラマチックですが)いくらなんでもムリがあるんじゃないかということ。

香織は九条と1年半、ほぼ恋人のような状態を続け、祐樹と過ごした半年間の3倍の時間を九条と一緒にいたはずなのに、香織は、パラパラマンガを見ただけでスイッチが入って、その場で準彼氏の大事な存在である九条を捨てて、突然祐樹の元に走っちゃいますかね普通??

卒業式というハレの場が、特別感情が高まる「非日常」的な特別な機会であるということを考えたとしても、祐樹と声を交わしただけで目が覚めたかのように行動し、九条も九条で、「いけば・・・」とか簡単に悟ったように祐樹のもとに行かせてしまうのはちょっと都合が良い描写だったような気がします。

また、香織の人物造形もこれでいいのだろうか?と甚だ疑問でした。可愛いのはいいとしても、性格に難がありすぎるのでは?

祐樹に抱きしめられている時に「はじめくんに会いたい」と言い放ち、祐樹の心を凍えさせ、卒業式にはその逆の仕打ちを九条に食らわす香織は、客観的に見るとかなり自分勝手で嫌なヤツになっちゃうんじゃないでしょうか?

1年半のブランクを置き、卒業式でサプライズのように決着させたのは、映画ならではの劇的な効果を狙ってのことだと理解しましたが、だとしても、その割には高2の秋~高3の終わりまでの描写がわずか2シーン(クラス替えと沙希の告白)しかありません。これでは、祐樹と香織を隔てた時間の長さや重み、あきらめつつも香織のことを信じて待ち続けた祐樹のじれったさ、といった「タメ」を鑑賞者に感じさせることが全くできていないと思います。別れていた1年間を雑に飛ばしすぎたから、「えっ、祐樹は高3の1年間、フラれてしょげているうちに終わってしまったの?」というダメ男的な印象しか鑑賞者に与えていないような気がします。

4-4.高校生に見えない主人公たち

さらにもう1点あるちょっとした不満としては、主要なキャラクターが全員高校生に見えないことです。山崎賢人、川口春奈はともに22歳と、主演二人からしてすでに実年齢では大学4年生なのですが・・・そして、一番ムリがあったのは、九条一役の上杉柊平。映画公開時ですでに24歳!!

当然、全く17歳には見えません。

もっとも、ほとんどのスイーツ系映画は同じような状況で、今度5月に同じ松竹から公開される「ピーチガール」主演の山本美月は25歳なのに女子高生役をやる(しかも茶髪ヤンキー風)ですし、このあと2017年に土屋太鳳が主演を務める同系統の映画は2本とも女子高生役バリバリで出演しますから・・・

4-5.良かった点:小道具の工夫や画面の華やかさはこの作品の最大のみどころ!

以上、色々と目についた不満はあったのですが、この映画でハッキリ良かった点もありました。それは、小道具や画面の華やかさです。

まず、パラパラマンガ。なんで祐樹はマンガ研究会所属なんだろう?と不思議に思いましたが、ラストでパラパラ見せるための設定だったわけですね。これは、ややあざとい感じでしたが、斬新で良かったと思います。また、直接ストーリーには関係ありませんでしたが、エンドロールを中心として時折挟まれた黒板アートもキレイでよかったです。

桜のシーン。春らしく明るい画面も良い!
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ものすごい絵になるS字カーブでの桜満開なシーンf:id:hisatsugu79:20170221000647j:plain

さらに、主人公の祐樹のピュアで一途な心境を表していたかのようなキレイで温かみのある画面の雰囲気も良かったです。春の桜が満開になるシーン、卒業式のシーン、学園祭での凝りまくったドミノ倒しのセット(壁ドンしようとしたら、ドミノを倒しちゃうという・・・)、そして台湾の天燈祭りから着想を得たと思われる、ランタンが空中を浮遊する縁日の幻想的な場面など、見どころが多かったです。

5.伏線や設定などの解説(※ネタバレ有注意)

5-1.香織の病気「解離性健忘」とはどんな病気なのか?

解離性健忘とは、いわゆる「記憶喪失」症状を表す病名のことです。心に強い心的外傷を負ったイベントの前後について、忘れてしまう症状ですが、実際の症例としては個人差があります。

日常生活が破綻するほど何も覚えていない重度のものから、ある時期のある事項のみ選択的に忘れてしまうものまで、様々な症例があるそうです。

月曜日になったら友人についてのことだけ定期的に全て忘れてしまう、というのはさすがにファンタジー的な設定ですよね。

ちなみに、マンガ原作では、香織の症状がより詳細に描かれています。月曜日になったら全て忘れてしまうのですが、強い感情を伴った出来事は、出来事自体は忘れていても、その時に感じていた感情は思い出すことができるようです。

原作では症状はもう少し一進一退となりますが、症状が改善してくると、その出来事に付随した「感情」を手がかりに、全部思い出せるようになったりとか、将吾のことだけ全部覚えていたりとか、ストーリーの進行に応じて、細かく香織の症状も変化していきました。

5-2.なぜ香織は記憶障害になってしまったのか?その理由とは?

香織が記憶障害になった主原因は、中学時代、九条一にかかわる親友との三角関係が決定的にこじれ、香織の心が耐えられなくなった精神的トラウマでした。その前段階から、九条から告白され、二人で会っていたところを見たクラスメイトの女子から避けられるようになっていましたが、九条が札幌へ発つ前日、二人で待ち合わせしたところを再度親友の近藤まゆに見られてしまいます。その場でまゆから、「抜け駆けしないで」と強く詰られたことから、動転してしまい、その直後に遭った交通事故をきっかけとして、記憶障害を発症したのです。

5-3.なぜ九条は香織意外に「一」と下の名前で呼ばれるのが嫌なのか?

これは、原作マンガで説明されています。九条は子供の時、自分の名前が「一」と横棒一本だけっていうのがかっこ悪く思え、名前を書くのが楽でいいよな、と言われるのが嫌だったと語っています。

しかし、自分で嫌だと思っていたその名前を、初めて褒めてくれたのが香織でした。だから、他の女子が「はじめ」と下の名前で呼ぶのは嫌っていても、香織にだけは呼ばれても平気である、というわけですね。

5-4.天燈祭りって本当にある祭りなの?

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高校2年の夏休み、祐樹、香織、沙希、将吾の4人で出かけた「天燈祭り」。ランタンが空中に浮かぶ幻想的なシーンが印象的でしたが、この「天燈祭り」は、実際に台湾で毎年行われている名物のお祭りです。

ネットで調べると沢山出てきますが、毎年、旧暦の正月(旧正月)の頃、台湾の山里深い平渓というところで、平渓天燈祭(天燈節)というランタンを飛ばすお祭りをやっています。近年は、冬の時期の台湾への観光ツアーでも名物となっているようですね。

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(引用:eiga.comより)

また、アニメ映画では、ディズニーの「塔の上のラプンツェル」で使われています。行方不明で亡くなったと思われた主人公、ラプンツェルを鎮魂するため、彼女の両親(国王と女王)は、毎年、年1回ラプンツェルの誕生日にフライングランタンを飛ばす行事を行っていました。非常に幻想的な風景で、ラストシーンの感動につながっていきましたね。

5-5.アニメ版の主演声優、雨宮天と山谷祥生がゲスト出演していた?

アニメ版の香織役を務めた雨宮天と、祐樹役を務めた山谷祥生が、卒業式の最終シーンでそれぞれ音声出演しました。具体的には、雨宮天が構内アナウンス、山谷祥生が卒業式のアナウンスでの登場でした

事前に、この二人が登場するらしい、と聞いていましたが、終わってからパンフレットに書いてあったのを見て、初めて気づきました・・・。

5-6.原作・TVアニメ・映画でラストシーンが全部違う!

どのバージョンも、最後に祐樹と香織が向き合って、「友だちになってください」と言うシーンでエンディングとなります。これは、ストーリー冒頭での祐樹の「僕と友達になってください」というシーンと呼応しているのですが、面白かったのは、(多分意図的なのですが)三者三様で全部違っていることでした。

漫画原作版
祐樹が、もう一度香織に「友だちになってください」と手を差し出す

TVアニメ版
お互いが、お互いに「友だちになってください」と言い合う

映画版
香織から、祐樹に「友だちになってください」と手を差し出す

その他、各バージョンで沙希の立ち位置や性格が全く違っていたり、エンディングの時期がバラバラだったりと、それぞれ少しずつ3媒体を確認して行くと面白いですね!

6.まとめ

個人的には脚本やキャストについては、正直な所少し改善点は多いですが、「月曜日になったら全てを忘れてしまう」という設定は面白いですし、TVアニメ版、マンガ原作と大きく変更されたプロット、ラストシーンは新鮮で良かったです。

また、映画で良かったな~と思った方は、是非マンガ原作とアニメを試してみてください。新しい感動が待っているはずです。

それではまた。
かるび 

他にもレビュー書いてます!
【映画レビュー】2017年2月現在上映中映画の感想記事一覧

7.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

先行する原作マンガ版、アニメ版、そして映画に合わせて製作されたノベライズ版と、様々な形でちょっとずつ違うストーリーが楽しめる「一週間フレンズ。」映画公開に合わせて、一通り全部見てみました!

映画ノベライズ「一週間フレンズ。」

実写映画に基づいて、シナリオを忠実にノベライズした作品。映画そのものです。映画を見た後読み返すと、映画の各場面がいきいきとよみがえってきます。小説で文面を追っていくと、何度も何度も香織に冷たくされても、ひたむきに向かっていく祐樹がより頑張っている必死な感じが伝わってきます。

マンガ原作「一週間フレンズ。」

累計170万部を売り上げたベストセラーとなった原作。ほのぼのとした絵柄、ピュアで互いを思いやる主人公たちの心情を詳細に描いた傑作です。映画では悪役然として描かれた九条一も、マンガでは祐樹と仲良くなり、最後には自ら身を引きつつ、香織を中心とした仲良し5人組になっていきました。ファンタジックな絵柄に反して、地に足の着いた現実感のある心理描写や、キャラクターの心情表現は、読めば読むほどしっくりくるようになりました。おすすめ。

アニメ版「一週間フレンズ。」

映画公開に合わせて発売された、全12話と豪華特典が大盛りのブルーレイBOX。【仕様・封入特典】が多数のお得な特別バージョンです。途中まではマンガ原作と同じ展開ですが、後半からアニメオリジナルな展開に突入します。また、沙希と将吾の恋愛模様にもかなりのウェイトが割かれるのもみどころです。

また、アニメ版は、Amazonビデオでも全話見れるようになっています。(U-NEXT版見放題は、2/28終了予定)Amazonビデオでは、第1話は無料、残り11話は1話216円(税込)で視聴できます。僕はこちらで今回映画前に全話チェックしました!最終第12話の高2冬休みの初詣で、祐樹と香織がお互いへの好意を確かめ合うシーン~香織によるエンディング「奏」フルコーラスの流れは何度見ても泣けます!

その他の映画「一週間フレンズ。」関連グッズなど

その他、Amazonや楽天などで、沢山の「一週間フレンズ。」関連作品がリリースされています。格安のマンガ全巻セットを探したり、レアな関連グッズなどもここから検索できます。下記のリンクからそれぞれのサイトに飛べるようになっていますので、もしよければご活用ください!

Amazon・楽天「一週間フレンズ関連グッズ」コーナー
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