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あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して3ヶ月。無職または専業主夫で、ブログ書いてます。美術展と人事労務系の記事が多め。

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【ネタバレ有】「美女と野獣(2017実写)」感想・考察とあらすじ徹底解説!/大満足!完璧なリメイクで進化した傑作映画!

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【2017年4月27日更新】

かるび(@karub_imalive)です。

4月21日に封切られたエマ・ワトソン主演のディズニー実写版「美女と野獣」(2017)を見てきました。大満足の傑作でした!!

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、ほぼ全編にわたってストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承下さい。

1.実写映画「美女と野獣(2017)」の基本情報

<映画「美女と野獣」予告動画>

動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】ビル・コンドン(「ゴッド・アンド・モンスター」他)
【配給】ディズニー
【時間】130分
【原作】アニメ版「美女と野獣」

アニメ版で約90分だった上映時間は、新しいエピソードや曲を盛り込んで、約1.5倍弱の130分となりました。メガホンを取ったのは、「ゴッド・アンド・モンスター」で第75回アカデミー賞脚色賞を受賞し、ミュージカル映画「シカゴ」「ドリームガールズ」などを手掛けたベテラン、ビル・コンドン監督。

今作「美女と野獣」では、特に衣装や美術、演出系の項目でアカデミー賞や各種賞レースにノミネートされる可能性も十分ありそうです。

2.実写版「美女と野獣」の主要登場人物~エマ・ワトソンなどイギリス人が多数起用されたの豪華俳優陣~

起用されたキャスト陣は、エマ・ワトソンを筆頭に豪華なメンバーが揃いました。オリジナルの舞台がフランスだからなのか、「美女と野獣」ではイギリス人俳優が話すイギリス英語がヨーロッパの香りもして、作品の世界観にぴったりフィットしていました。

ベル(エマ・ワトソン/吹替:昆夏美)
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主演に大抜擢されたのは、「ハリーポッター」シリーズのハーマイオニー役で映画ファンが幼少時から成長を見守ってきたエマ・ワトソン。生まれはパリ、育ったのはイギリスという彼女のイギリス英語は、こういう童話ファンタジーでは本当にフィットしますね。ヨーロピアンで優雅な雰囲気にあった適役でした。

野獣(ダン・スティーヴンス/吹替:山崎育三郎)f:id:hisatsugu79:20170421191131j:plain

知的で温和な優男というイメージと顔立ちが似ていることから、ライアン・ゴズリングといつも間違えてしまいます。(僕だけ?)彼の持つ独特の知的なイメージは2017年バージョンの野獣に「知性」という新たな意外性を根付かせることに成功しています。こんなカッコしてますが、素顔は本当にイケメンなんですよね!

ガストン(ルーク・エヴァンズ/吹替:吉原光夫)f:id:hisatsugu79:20170421191159j:plain

昨年10月にスマッシュ・ヒットした「ガール・オン・ザ・トレイン」では次第に壊れていくマッチョな上流家庭の夫を好演していましたが、今回のガストン役ではマッチョなのは変わらず、一転しておバカでナルシストな悪役。本職と間違うくらい歌が上手なのも驚きでした。

モーリス(ケビン・クライン/吹替:村井國夫)f:id:hisatsugu79:20170421191207j:plain

本作ではむしろ少数派なアメリカ人で、もともとは舞台俳優から映画へと転身してきました。活躍のピークは80年代~90年代で、1988年には『ワンダとダイヤと優しい奴ら』でアカデミー助演男優賞を受賞している実力派です。今作でも1曲歌うシーンがありました。

ルミエール(ユアン・マクレガー/吹替:成河)f:id:hisatsugu79:20170421192246j:plain

現在「T2 トレインスポッティング」が公開中ですが、それ以前にも代表作「スターウォーズ」シリーズのオビ=ワン役を筆頭に、イケメン俳優ながら多岐にわたる役で大活躍中のユアン・マクレガー。今作ではこてこてのイギリス英語丸出しでテンションの高いコミカルな演技が素晴らしかったです。

コグスワース(イアン・マッケラン/吹替:小倉久寛)f:id:hisatsugu79:20170422020053j:plain

「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズと「X-MEN」シリーズで知られる大ベテランのイギリス人俳優。もう77歳なのにまだまだ現役とは恐れ入る限りです。

ポット夫人(エマ・トンプソン/吹替:岩崎宏美)f:id:hisatsugu79:20170421191243j:plain

こちらもバリバリのイギリス人俳優。1993年にアカデミー賞主演女優賞を獲得した「ハワーズ・エンド」や「日の名残り」などイギリス映画らしい湿っぽい叙情性の高い映画で見事な演技を見せたベテラン女優です。エマ・ワトソンとはハリーポッターシリーズからの共演ですね。

ル・フウ(ジョシュ・ギャッド/吹替:藤井隆)f:id:hisatsugu79:20170421191858j:plain
「アナと雪の女王」でのオラフ役で一躍世界的に有名になった俳優。そう言えば、顔もどことなくオラフっぽい。今回も、91年のアニメ版では端役だったル・フウを魅力的なキャラに変える、存在感のある演技を見せてくれています。本職だけあって、歌も非常に上手でした。

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3.結末までの詳細なあらすじを徹底紹介!(※ネタバレ注)

3-1.王子にかけられた魔女の呪い

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昔、フランスのある森の中の城に住む一人の王子がいた。その日も、王子は着飾って将来の妃選びのため、盛大な宴会を催していた。宴もたけなわとなった時、王子の元にあるみすぼらしい格好の老婆が現れ、一輪のバラと引き換えに、一晩泊めてほしいと懇願した。王子は、汚らしい老婆を一蹴すると、その老婆は美しい魔女へと姿を変えた。

驚いた王子は、改めてその魔女に謝罪し、急に丁寧に接しようとしたが、魔女は王子と城全体に魔法をかけ、王子を醜い野獣に、城の家臣たちを家具や小物に変えてしまった。また、城はおどろおどろしい牢獄のような姿に変わってしまった。

やがて、人々は城と王子のことを忘れ去ったが、王子の元には魔女が持ち込んだ一輪のバラが残された。最後の花びらが散ってしまう前に、再び真実の愛を獲得することができたら、かけられた魔法は解け、王子と城は元の姿に戻るというのだ。そうでなければ彼は永遠に野獣として過ごさなければならない。

3-2.平凡な村で暮らすベルの日常に訪れた突然の変化

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ベルはフランスの片田舎の村で父、モーリスと二人で平凡な毎日を暮らしていた。いつの日か冒険を夢見る聡明なベルにとって、毎日の村での決まりきった生活は退屈そのものだった。朝になると、彼女は村で日用品を買い求めると、村の教会の図書館から本を借りては読みふけるのが決まりだった。ベルにとって、まだ見ぬ新しい想像の世界へと連れて行ってくれる読書は、退屈な毎日の中で唯一の気晴らしだった。

しかし、他の女性達とは全く違うベルのことを村人たちは、「変わり者」扱いしたので、ベルはいつも村の中で友人もおらず浮いていた。

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最近、ベルは頻繁に村一番の人気者、ガストンからしつこくつきまとわれていた。幼い頃から目立ちたがり屋で派手好きなガストンは、大人になって戦争で大活躍して、英雄として村に帰ってきていた。

その日も、ガストンは相棒のル・フウを引き連れてベルにしつこく迫っていたが、ベルはそんなガストンが好きではなかったので、サッと交わして家の中へ入っていった。他の村の女性たちからはちやほやされ続けているガストンにとって、そんなベルのつれない態度は逆に新鮮で、ベルへの気持ちが更に高まっていくのだった。

ベルがその日家に戻ると、父、モーリスが自作のオルゴールを売りに市場へでかけるところだった。父は、画家であり、村ではオルゴール製作の職人として生計を立てていた。父を送り出すと、ベルは洗濯をしながら村の女の子に字の読み方を教えていた。

それを見ていた村の学校の校長は、「女に読み書きは必要ない!」とあからさまに嫌な顔をして、集まってきた村人たちと一緒になってベルの邪魔をするのだった。そして、またもガストンに絡まれるベルだったが、つれなくガストンの求婚への誘いを断って家の中に逃げ込んだ。

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ベルは、村で変人扱いされ、村の平凡な生活に飽き飽きしていた。今日借りてきた本のように、どこか新しい場所へ冒険に出て、王子のような男性に出会う日を夢見ていた。

一方、行商へと旅立った父モーリスは、道中急に天候が悪化し、6月なのに雪に見舞われた。悪いことに、オオカミの群れに遭遇してしまった。モーリスは愛馬フィリップと懸命に逃げたが、気づいたら見慣れぬ古城の中に迷い込んでいた。

誰もいない城の中で少し暖を取ったが、確かに人の気配はあるのに誰もいない妙な雰囲気に、モーリスは気味が悪くなって城を出ようとした。城を出る際、庭に咲いていた白いバラを摘んで帰ろうとしたところを、野獣に捕まり、牢に入れられてしまったのだった。

愛馬フィリップは、主人のピンチを伝えようと、ベルの元へと懸命に戻った。自宅に空馬の状態で帰ったフィリップを見て、ベルは父を救出しようとフィリップと古城へと向かうのだった。

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古城の中に入ったベルは、父のうめき声を頼りに、古城の中をどんどん進んでいき、牢の所にたどり着いた。城の中は他にも人の気配がしたが、母親譲りの怖いものなしの性格を受け継いだベルは全く物怖じしないのだった。

ベルが父モーリスの入っている牢にたどり着くと、そこに野獣が現れた。野獣と交渉して、1分だけ牢に入る父親と話をさせてもらい、ベルは野獣によって牢の扉を閉められる前に、父を牢の外へ押し出して自分が身代わりとなって囚われることを選んだ。

ほどなくして、ベルは家具に変えられてしまった家臣たち(置き時計のコグスワース、蝋燭台のルミエール)に導かれ、牢から出て寝室に移動した。寝室では、やはり衣装ダンスのガルドローブが話しかけてきたのだった。驚きの連続だったが、一方でベルはどうやって脱出しようか冷静に考えていた。

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一方、ベルから完璧に振られたガストンは、夜になって居酒屋で次の作戦をねっていた。村の誰よりも勇敢で、美形だと讃えられているのに、ベルには全く通用しない。悩んでいたところ、居酒屋へモーリスが飛び込んできた。

モーリスは、6月なのに雪の中、森の古城に娘のベルが囚われてしまったので、助けてほしいと酒場に集まった村人たちに声をかけていった。村人全員がまともに取り合わず相手にしない中、ガストンは、モーリスに貸しを作ることでベルを手に入れられるのではないかと考え、モーリスと一緒に森の古城へ向かうことにした。

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古城では、家臣たちに説得され、野獣はベルを迎えての初めての夕食に、ベルを誘い出そうとしていた。しかし、不器用で粗野な彼は気持ちを上手く伝えられず、冷え切ったベルの気持ちをほぐすことはできなかった。野獣は、もう食べさすな!と言い残して去っていったが、その後ポット夫人やチップなどに和まされ、ベルは一人でディナーを取ることになった。その日、ルミエール達は、ベルを懸命にもてなすのだった。

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ディナーが終わると、「決して覗くな」と言われた西の塔がどうしても見てみたくなったベルは、こっそりと西の塔の野獣の部屋へと入っていった。そこで、透明の「ベル」の中に入ったバラを見ていたら、そこに野獣がやってきて、物凄い剣幕で怒りだした。

恐れと怒りのあまり、その場を逃げ出してそのまま馬に乗って城を脱出したベルだったが、途中でオオカミの群れに捕まってしまう。そこへ追いかけてきた野獣が間一髪のところでベルを救い出した。ベルを救出する際にひどくケガをして動けなくなった野獣を看病するため、ベルは城ヘと一旦戻ることにした。

一方、ガストン、ル・フウとモーリスは、ベルのとらわれている城を目指して森の中を彷徨っていた。見つからないことに業を煮やし、非礼な振る舞いをしたガストンに対して、モーリスは「娘はやらん」と断言した。怒ったガストンは、モーリスを沿道の木にくくりつけて、村へと帰っていった。

3-3.野獣との二人きりの囚われの日々

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負傷した野獣を看病して以来、ベルの中で野獣に対して持っていた印象が少しずつ変わり始めた。傷の癒えた野獣は、ベルに図書室を案内し、また食事も二人一緒に摂ることも嫌ではなくなった。彼らは毎日城で雪合戦をしたり、語らったり楽しく毎日を過ごすようになり、恋愛に近い友情が生まれていた。

また、ベルはなぜ彼らが野獣や家具になったんか、ポット夫人から一部始終の事情を聴くことができた。ベルは、彼らの力になってあげたいとも思うようになっていた。

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ある日、野獣はベルに魔女が置いていった魔法の本を見せた。その本を使うと、好きな時間の好きな場所に飛んでいけるという。ベルは、彼女が生まれた家を願い、その瞬間パリの生家へと瞬間移動していた。そこでベルが見たものは、疫病で亡くなろうとしている母親と、生前に永遠の別離を選ばなければならなかった悲しい父モーリスの姿だった。彼女は、部屋に落ちていたバラのガラガラを拾って元の世界へと帰った。

村では、アガットに助けられたモーリスが5日振りに酒場に顔を出して、ガストンに講義しようとした。ガストンは、逆にモーリスを精神病だと決めつけ、酒場の雰囲気が騒然とした雰囲気となっていた。

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一方、野獣はベルをその晩の舞踏会に誘っていた。お互い正装をして、雰囲気が高まったところでベルに愛を告白しようと計画していた。ダンス自体はムードも良く終わったが、終わった後、ベルは複雑な気持ちだった。野獣の遠慮がちな愛の告白に対して、「好きだけど自由がないままでは難しい」と答えた。ベルは、父モーリスのことがどうしても気になっていた。

野獣は、ベルを安心させようとモーリスの場所がいつでも確認できる魔法の手鏡をベルに渡した。ベルが覗き込むと、ちょうどモーリスが村の酒場で村人たちから責め立てられているところだった。それを見た野獣はベルを囚われの身から解放し、村へと帰らせた。そして、それが意味することは、野獣は永遠に野獣のまま人間に戻れないということを意味していた。苦渋の決断だったが、ベルの気持ちを最優先した結論だった。

3-4.ガストンの襲撃と、二人の真実の愛

一目散に村へと戻ったベルは、モーリスと合流してガストンや村人たちに父モーリスの言っていることが正しく、野獣は森の中の城に確かにいると説明した。しかし、それは逆効果になってしまった。ガストンは、ベルも馬車の中に閉じ込めてしまい、野獣を討伐するために村人を連れて古城へと向かっていった。

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ベルは自分の行動により野獣と部下たちを危機に追いやったことを悔い、馬車の中で父親と少し話すと、村人達を追って再び古城へと向かった。

一方、意気揚々と古城に侵入したガストンと村人たちは、入口の大広間で家具や小物たちの思わぬ奇襲攻撃を受けた。大半の村人たちは戦意喪失して逃げ出したが、ガストンは西の塔にいる野獣の元へ向かった。傷心状態で無抵抗だった野獣に対してガストンが最初の1発を発泡した丁度その時、ベルが古城へと帰ってきた。

ベルの帰還を受けて、正気に戻った野獣はガストンと戦い、一時は戦いで圧倒して命乞いを受けたガストンを許して釈放した時、後ろから撃たれて死んでしまった。悲嘆に暮れるベルと、家具達。その時、最後のバラの1枚が落ち、家具たちも一斉に動かないアンティークになってしまった。ガストンは、古城が崩壊していく中、足場が滑って地面に墜落していった。

しかし、ベルが野獣にキスをすると、その時奇跡が起こった。城の中にいて状況を見ていたアガットが魔女に変身し、野獣と部下たち、城にかかっていた呪いの魔法を解いたのだ。野獣は、心優しい王子の姿へと変わり、家具となっていた野獣の部下たちも元の姿へと戻っていった。

改めて別の日、森の城の中では村人たちも招待した舞踏会が開かれていた。そして、真ん中にいたのはベルと若き王子だった。彼らは、それ以来末永く仲良く幸せな日々を過ごしたのだった。

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4.ストーリーの感想や評価(※ネタバレ注)

4-1.ディズニーアニメ版「美女と野獣」を正常進化させた忠実なリメイク作品

1991年、ディズニーアニメ作品として当時の大ヒットを記録したアニメ版「美女と野獣」でのファンタジックなイメージが、さらにゴージャスな雰囲気で実写リメイクされた作品になりました。

日本より先に公開された海外では、すでに2つの作品の予告編を見比べる秀逸なYoutube動画なども出回っていますが、今回の実写化において、アニメ作品と同じ場面が多数収録されていることがわかります。

<映画「美女と野獣」比較動画>

動画がスタートしない方はこちらをクリック

また、前回のアニメ版の骨格は楽曲も含めてそのまま全部活かされました。そして、アニメ版より40分増えた上映時間は、物語の世界観を深め、各キャラクターを活き活きと描き、心情表現を深掘りするために使われました。

例えば、軍隊帰りでエネルギーを持て余すガストン、冷酷な父に育てられ、心を閉ざしていった野獣、幼少時パリで悲劇的な別離を経験した父モーリスなど、各キャラクターのディテールが掘り下げられています。他には、家族や大切な人への純粋な「愛」を象徴する、キーアイテムとなる「バラの花」が様々なエピソードで追加・強調されたほか、アニメ版で指摘されていたストーリー上の強引な点・不自然な点が修復されていたのも良かったです。

極めつけは、物語全体で登場する魔女の存在です。冒頭からラストまで貧しい浮浪者アガットに扮した魔女は、じっと物言わず語り部として物語全体を観察者として見つめ続けるのです。

このように、本作はキャラクター描写の深掘りと印象深いエピソードを追加し、2017年時点で考えられる最新の映像技術を駆使して、ディズニーらしい世界観満載で正常進化させたマイナーアップデートと捉えるのが良いでしょう。

4-2.とにかく全てがファンタジックで美しい映像や音楽

冒頭の舞踏会から、村の日常風景、ガストンの酒場シーン、城内での家具や食器のダンスなど、全ての場面で1991年アニメ版を遥かに凌駕する驚異的なレベルアップを感じました。巨額の費用をかけて作り込んだセットや、考え抜かれたベル達の衣装と、洗練されたVFX/CGは、どれを取っても惚れ惚れするレベルです。

巨大セットで再現された村の風景f:id:hisatsugu79:20170422023217j:plain

そして、今回ちゃんと主役のエマ・ワトソンが数曲で歌っているじゃないですか!もちろん、プロのシンガーではないので、エマの歌声は平板で頼りないですが(※強烈な音程・音質補正を入れているという指摘もかなりある)、当初予定されていなかった地声での歌唱は良かったと思います。

そして、前作で一躍世界的に有名な歌姫となったセリーヌ・ディオンの歌う「How does a moment last forever/時は永遠に」や、ラストでアリアナ・グランデとジョン・レジェンドのデュエット「Beauty and the Beast/美女と野獣」を筆頭に、さらに強化されたミュージカル仕立ての演出も良かったです!

との映像、どの曲を取っても、そのまんまディズニーランドで普通に流れてそうなファンタジックでディズニー的なセンスに満ちた映像・音楽表現に酔いしれてください!

4-3.表面的なものにとらわれず物事の本質を見つめ続けることの難しさ

ヴィルヌーヴ村の大多数の村人たちは、粗野で獰猛な外見の下に隠れる野獣の繊細さ・純粋さや、一見風変わりに見えるベルが持つ知性や進取性、積極性について認めようとせず、よく考えず「自分たちとは違う」だけで簡単に排除し、表面上「外見が美しく」「強そうな」ガストンに簡単に扇動されてしまいます。

ベルや野獣をありのままに見て理解していたのは、牧師や(魔女の)アガット、モーリスくらいのもので、その他大多数の村人たちは最後まで心が曇ったまま、本質を見ようともしていません。ガストンに煽られた村人たちが野獣の城へと押しかける際の曲「夜襲の歌」で少し気づきかけているル・フウのセリフに、こうあります。

野獣が走り回っている
それは間違いない
でも違う化物が放たれているのが怖い

この「違う化物」とは、人物や物事の本質を見ようとせず、盲目のまま誤った行動を取るガストンでありそれに追随する村人たちのことであり、心が醜く曇り、『野獣』化しているのは実は村人たちの方なのですよね。

映画を見ていて、「うわぁー、自分もこの村人たちのような行動を取っていることって結構あるよなぁ」と身につまされる思いがしました。 

5.伏線や設定などの考察・解説(※ネタバレ注)

5-1.「美女と野獣」の原作ってあるの?

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ディズニー版「美女と野獣」は、「アラジン」「ピノキオ」「ラプンツェル」など他の童話ベースのディズニー映画同様、童話原作の原型を留めないほど改変が施された上で製作されています。原作というより原案レベルですね。

本作の直接のベースは、1991年版のディズニーアニメ映画「美女と野獣」ですが、その1991年版がベースにしたのは、1940年にウォルト・ディズニーがヨーロッパ旅行に行った際に現地で購入したシャルル・ペローの童話集の中に入っていたフランス民話「美女と野獣」でした。

そのペローの童話集によると、もともとの原作は毎晩主人公たちが晩餐を共にするうちに、仲良くなり結婚するという素朴な異種婚姻譚だったそうです。1940年に一旦映画化が企画されるも、ストーリーが地味すぎてボツになり、そのままお蔵入り。その50年後、1991年になって大幅にストーリーが強化されたアニメ版で初めて陽の目を見て、それが大ヒットします。そこからさらに25年。満を持してアニメ版のコンセプトをキープしたまま、実写版が製作されたのです。

昔から社会情勢・時代の流れに合わせ、原型のストーリーに大幅に脚色をして、童話をディズニー流のファンタジーとして語り直してきたディズニーの柔軟性が発揮されていますよね。

5-2.なぜベルはバラを父親に毎回お土産としてせがんだのか

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ベルにとって、「バラ」は彼女が物心つく前に亡くなった母親との絆をつなぐ象徴だったからですね。野獣と一緒に魔女の残したツールを使って、彼女が生まれたパリの生家へとジャンプしたベルは、不治の伝染病にかかった母を残して、モーリスがまだ幼子だったベルを連れて田舎の村へと去ったことを理解します。

その時、パリの部屋に母の遺品として残されていたのも、バラの花のガラガラでした。心の奥底にあった幼い時の記憶から、ベルは無意識に「バラ」の中に母親の思い出を見ていたのかもしれませんね。

5-3.ベルが進取的で自立した強い女性として描かれた

「アナと雪の女王」「モアナと伝説の海」「ズートピア」等、近年のディズニー映画では、ヒロインは自立して自ら行動する活発な女性像が好まれて描かれています。本作もその流れを踏襲し、ベルは前作よりさらに(母親譲りの)勇敢で知的な女性として描かれました。例えば以下のエピソードなどを見るとそれが一目瞭然です。

・読書をするだけでなく、女の子に読み方を教えている
・馬を使い、洗濯を半自動化させる親譲りの「発明」をしている
・牢に入る時、父を突き飛ばして自ら身代わりとなる
・囚われた初日、衣類を結んで窓から脱出を試みている
・野獣の求婚に対して「嬉しいけど自由がないのはムリ」とハッキリ言う

まだ探せばありますが、従来のステレオタイプな「お姫様像」を完全に脱し、自分からどんどん行動するし、自己主張もハッキリしています。

子供に字の読み方を教えるベルf:id:hisatsugu79:20170422022249j:plain

特に、牢に入る時に自ら囚われに行く展開は、前作までに評論家から指摘されていた「野獣との恋愛はいわゆる『ストックホルム症候群』での心理作用に過ぎない」という批判も的外れにさせる力強さがありました。

6.1991年アニメ版との主な違い

本作は、1991年版をベースにしつつ、実写版ならではの新たな伏線・ストーリーの追加や設定変更が効果的に図られました。以下、主な相違点をまとめておきますね。

6-1.ベルの父モーリスのキャラ変更

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1991年版ではマッドサイエンティスト的な3枚目キャラだったモーリスですが、今作では発明家/オルゴール職人でもあり、画家でもあるという、レオナルド・ダ・ヴィンチ的な万能な芸術家として描かれていました。妻との別離以来、筆を取っていなかったようですが、ラストシーンの舞踏会では画家として参加していました。

6-2.魔女=アガットの存在感が大幅アップ

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1991年版では、冒頭のナレーション部分のみの登場にとどまった魔女は、今作では映画冒頭から出てきます。序盤から最終盤まで物乞いの中年女性アガットに扮して村人の中に紛れ込んでおり、ガストンにはめられたモーリスをさりげなく助けたり、最後に自ら現れて魔法を解除するなど、大幅に存在感がアップしました。

基本的には魔法をかけた王子を「観察者」として見守る中立的な役割なのでほぼ無表情なのですが、映画をよーく見ていると、アガットの表情が一瞬映し出されるカットがかなりありますよ。

ちなみに、「Once upon a time・・・」で始まる字幕版のナレーションは、アガット=魔女の声です。彼女は最初から最後まで劇中では何もしませんが、物語の語り部なんですね。

6-3.ル・フウが人間味あふれる「ゲイ」的なキャラとして描かれた

ガストンの腰巾着的相棒、ル・フウが今作では非常に実在感のあるキャラクターとして描かれました。誰よりもガストンの近くにいて、他の村人達と違い、ガストンの行動を時に批判的な目で観察できる冷静な視点を持っているけれど、なんとなく流されて彼に迎合しつづけ、最後にはガストンに踏み台にされて裏切られてしまいます。彼の中に社会の縮図や人間の愛すべき弱さを感じて、憎めない気持ちにさせられます。オラフを弱くしたようなキャラとでもいうべきでしょうか?

面白かったのは、彼が時折ガストンに対して恋心があるような、「ゲイ」なのではないかと思わせる表情や演技を見せていたこと。後半、ガストンから逃れて自由になった彼は、自分の信念に基づいた行動を選択できるようになりますが、最後の舞踏会では男性のパートナーを見つけていました。

欧米でのインタビューではこのことについて質問されたビル・コンドン監督は、正式に「ゲイとして連想されるように描いた」と答えています。そうであれば、ディズニー映画史上初めてLGBTQ系の人物が描かれたことになります。

ちなみに、マレーシアでは実際にル・フウのゲイ的なキャラ設定に対して当局の検閲が入り、これに対してディズニー側はマレーシア国内での公開を見送っています。

6-4.さらに強化されたミュージカル要素

1991年アニメ版で使用された劇中歌は全て使われた上、新たに3曲さらに加わりました。もう、劇中は歌ってばっかりです。予習復習にサントラ購入が必至ですね(笑)

野獣の城の小物や道具たちが全員で歌う「Days in the sun/デイズ・イン・ザ・サン」、城から去ったベルを思って切なく歌い上げる「Evermore/ひそかな夢」、エンディング他劇中で計3回かかる「How does a moment last forever/時は永遠に」と、ミュージカル要素がさらに強化されています。 

7.まとめ

おとぎ話は、世代によって語り方がどんどん変わっていきますが、2017年のディズニー実写版「美女と野獣」は、18世紀のフランス民話の時代から連綿と語り継がれてきた伝統のストーリーに、見事に新たな魂を吹き込んで見せました。

最新の映像・音声技術と練り込まれた脚本で魅力的な面が沢山詰まった2017年版の「美女と野獣」、是非劇場でチェックしてみてくださいね。凄い作品です!

それではまた。
かるび

他にもレビュー書いてます!
【映画レビュー】2017年4月現在上映中映画の感想記事一覧

8.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

アニメ版「美女と野獣」DVD

本作の原点とも言える、1991年アニメ版「美女と野獣」。今見てもそれほど古さを感じさせない高い完成度です。実写版を見た後、合わせてチェックするとキャラクターの違いや時代性が感じられて面白いですよ。2017年の再発売版では、インタビューやメイキング映像が満載でした。僕も買いましたが、子供と何度も見返しました!

実写版「美女と野獣」オリジナルサウンドトラック

本作を名作へと押し上げている要素の一つは、非常に完成度の高い劇中歌。スタジオ内で録音された曲目だけでなく、中にはキャスト陣がセット内で歌ったテイクがそのまま採用された曲もあるとのこと。ヴォーカルも良いのですが、バックのオーケストラの演奏も素晴らしいですね。ディズニーらしい魅力に溢れ、合計19曲もヴォーカルが入った強力盤です。

Disney「BEAUTY AND THE BEAST」スペシャルブック

今回の映画を記念して発売された「美女と野獣」のすべてを特集したムック本。監督やキャストへのインタビュー、メイキング特集、各キャラクターの徹底解説など、映画に関してファンが知りたい内容をコンパクトにまとめてくれています!

ディズニー映画は、全部まとめてU-NEXTで!

上記でオススメした関連作品以外にも、ディズニー映画作品を一気に楽しむには、ビデオ・オンデマンドが一番時間をお金を節約できるベストなサービスだと思います。今回の「美女と野獣」の公開を記念して、U-NEXTに大幅にラインナップが強化されました。映画作品だけで、なんと54作品が見れるようになっています!これは便利!

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