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あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して3ヶ月。無職または専業主夫で、ブログ書いてます。美術展と人事労務系の記事が多め。

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【ネタバレ有】映画「僕らのごはんは明日で待ってる」の感想とあらすじの解説!/じわじわ心にしみわたる良作恋愛映画!【ぼくごは】

映画感想
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【2017年1月25日最終更新】

かるび(@karub_imalive)です。

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映画「僕らのご飯は明日で待ってる」(通称「ぼくごは」)を見てきました。ほぼ主役男女2名しか出てこない、いわゆる「恋愛スイーツ系」ではありますが、流行りの壁ドン、アゴクイなどもなく、落ち着いた雰囲気の恋愛映画でした。

早速初日に気合を入れてみてきましたので、以下感想を書いてみたいと思います。
※後半部分は、かなりのネタバレ部分を含みますので、何卒ご了承下さい。

1.映画の基本情報

<「ぼくごは」予告動画を見る>

動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】市井昌秀(「ハルチカ」「箱入り息子の恋」)
【原作】瀬尾まいこ(「あと少し、もう少し
【主題歌】ケツメイシ「僕らのために...」

ケツメイシの映画主題歌「僕らのために...」のPVでも、映画の大学生時代の衣装で新木優子が上村小春役でコラボ出演しています。映画にぴったりあった、少し切ない楽曲でした。PV冒頭のシーンは、映画鑑賞後に見ると「あれっ?」と少し驚きますよ。

<ケツメイシMV「僕らのために...」>

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2.主要登場人物とキャスト

高校時代から社会人になるまでの数年間、ほぼ主役の二人だけのやり取りで映画が進んでいきます。原作で出てくる脇役の二人は映画だとルックス的にも存在感的にもかなり薄めでした(笑)

上村小春(新木優子)
2016年11月封切り「聖の青春」で古本屋店員役にて出演。また、2016年11月に映画「インターン!」で主演したが、全く話題にならなかったこともあり、本作が事実上のちゃんとした映画での主演作になる。
葉山亮太(中島裕翔)
中島裕翔も本作が映画初主演となる。ネガティブ寄りの奥手な男子だが、割りと素に近いのではと思わされるものがあった。
鈴原えみり(美山加恋)
大学時代、小春と別れた葉山が一瞬だけ合コンで出会って付き合った彼女。押しが強く、ぐいぐい葉山へアピールするが・・・。
塚原優介(岡山天音)
大学時代のクラスの友人。講義ノートを葉山から借りたことをきっかけに、葉山の親友となる。
山崎喜美子(片桐はいり)
小春の入院中、同室のルームメイトだったおばちゃん役。コミカルな好演。

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3.結末までの詳細なあらすじ(※ネタバレ有注意)

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高校3年生になった葉山亮太は、中学生の時に兄を病死で亡くして以来、高校に入ってからは暗くふさぎ込むことが多かった。今日も一人窓際の席でたそがれていたら、いきなりクラスの学級委員、上村小春から呼び止められた。

小春いわく、体育祭でのクラス対抗リレーで、米俵ジャンプをやる人がいないので、小春と一緒に出てくれという。しぶしぶ承知し、練習を重ねて本番を迎えることになった。

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練習の甲斐あって、本番の米俵ジャンプはうまくいき、亮太と小春のクラスの所属する「赤組」は見事体育祭で優勝した。クラス全員が優勝して大騒ぎする中、小春は、亮太に告白する。

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小春からの突然の告白に驚く亮太に、「体育祭が終わったら告白しようと決めていた」と話す小春。その場で即OKの返事を出せなかった亮太だったが、その後小春が気になり、小春のインフルエンザの時には家まで見舞いに行くなど、自然な成り行きでつきあうことになるのだった。

高校卒業後、小春は保育士を目指して女子短大に、亮太は4年制大学と別々の進路に進むことになった。高校では暗く人気のなかった亮太も、大学ではその人の良さから、なぜかあだなが「イエス」と呼ばれた亮太。

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暗く内省的でクヨクヨしがちな亮太に対して、思い切りが良く、サバサバ前向きな小春。対照的な二人だったが、進路は別々になっても交際は順調につづいていた。小春の好物、ケンタッキー・フライドチキンを、高校卒業後一人暮らしを始めた亮太の自宅で作ってみたり、二人のお気に入りのスポット、デパートの屋上でよく将来についてかたりあったりした。

短大卒業後、小春は保育士として保育園に就職した。亮太は就活を続け、秋には無事内定。内定をきっかけに、小春の祖母(小春は両親がいない)に小春との仲を認めてもらおうと、あいさつにった亮太だったが、祖母からはあまり良い手応えを得られなかった。

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少しした後、小春は亮太にファミレスで突然別れ話を切り出した。突然のことに理由の説明を求めたが要領を得ず、落ち込む亮太。(あとで、交際に対して祖母の反対があったと判明)しかし、すぐに親友の塚原と出席した合コンをきっかけに、大学の後輩、鈴原えみりと付き合い出す亮太だった。

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えみりは超積極的で、小春より料理も上手で献身的な女性だったが、亮太はどうしても小春を忘れられない。迷ったが、えみりとの交際を短期間で終わらせた。

えみりと別れ、改めて小春に復縁を迫るが、冷たく断られてしまう亮太だった。

大学を卒業し、仕事に実が入らない日が続いた亮太だったが、ある日、通勤途中で通る小春が勤める保育園に、小春の姿が見えないことに気づく。小春の同僚から、小春の入院先を聞いた亮太は、病院へ向かうも、小春からは冷たくされてしまう。

小春の病状は、子宮筋腫だった。悪性(ガン)の恐れもあるため、子宮の全摘手術が避けられない状況となったが、両親がおらず、子供と幸せな家庭を作りたいと願う小春にとって、手術は非常につらい決断となった。

夜になり、小春が寝静まった後、再び病室へ現れた亮太は、同室で入院中の山崎さんから「もっと青臭くアプローチすれば」と応援された。

その後、小春へどう接すればよいかわからなくなっていた亮太だったが、いつも二人で行っていたデパートの屋上の望遠鏡で、入院中の病院の屋上で一人泣いている小春を発見してしまう。

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それを見て、いてもたってもいられなくなった亮太は、いつも二人で良く通ったケンタッキーのカーネル・サンダース像を抱えて、小春の病室へ向かい、もう一度小春に「そばにいさせてほしい」と泣きながら訴えるのだった。

そして、手術当日。小春の祖母からも信任を得て、始終付き添う亮太だった。小春の手術は成功し、二人は復縁した。そして、小春は無事に退院できることになった。

退院後、最初の食事で、ようやく「小春」「亮太」と下の名前で呼び合う仲になった二人。しみじみ食事を味わいつつ、亮太は小春にキスをするのだった。 

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4.感想や解説、評価(※ネタバレ有注意)

4-1.あっさり風味で地に足の着いた「普通の」恋愛映画

小春、亮太ともに「普通」のありきたりな若者であり、彼らの高校~大学~社会人になるまでの7年間を実直に描いた作品でした。恋愛映画でありながら、ベタベタしたシーンがほとんどありません。壁ドン・床ドン・顎クイのような少女マンガ的様式美もなければ、過激なラブシーンらしきもの見当たりません。

二人の濃密な絡みを敢えて挙げるとすれば、最後のライトなキスシーンと、亮太の家でハグするくらいのもの。その進捗の遅さとピュアな(それとも奥手なのか?)感じはあだち充のマンガキャラのようです。

4-2.意外に笑えるシーンが多い

恋愛描写はアッサリしていた反面、お笑い要素はやや高めなのが印象的でした。元お笑い芸人を志していた市井監督らしく、要所要所でくすっと笑えるコミカルなシーンが含まれているのも良かったです。後半の片桐はいりとのやり取りや、バイト先でのおしぼり工場の作業シーンなどは、声を上げて笑ってしまいました。

4-3.中島裕翔は普通に好演だった

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封切り初日朝一なのに、妙に制服姿の女子高生が多いのはなんでだろう?と不思議に思っていたのですが、すぐわかりました。主演の中島裕翔のファンなのでしょうね。

初主演抜擢で、どうなんだろう?と思っていた演技でしたが、おそらく彼が素で持っているであろう影の部分や暗さを上手く活かした「地」を活かした好演だったと思いました。ものすごい上手!というわけではなかったですが、すでにTVドラマ等では何作もキャリアがありますし、無難にしっかり演じられていたと思います。上手すぎない演技も、奥手でややコミュ障気味な亮太にはぴったりはまったかなと。

4-4.ヒロイン役の新木優子も頑張っていた

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どっちかというと、今回の映画はヒロインの新木優子を見たくて行ってみたという側面が強かったです。少し前に封切られた映画「聖の青春」で画面越しに非常に存在感が伝わってきた女優さんだったので、主演でどうなるのか見てみたい!(かわいいし)と期待していたのです。

★参考記事★
【映画レビュー】映画「聖の青春」の感想と解説

公式サイトでは単に「超ポジティブ女子」と説明が単純化されていますが、ヒロインの上村小春は、非常に演じるのが難しいキャラだと思います。

なぜなら、小春は単純に明るく元気なだけでなく、その反面、理屈っぽくて、自分ひとりで納得して面倒事は避けがちになるなど、個性的なひと癖も持ち合わせているからです。原作のエキセントリックで長めの奇特なセリフから、下手したら「棒演技になるかもな~」と危惧していましたが、あまり違和感はなかったです。難しい役どころをしっかりこなした好演技でした。

4-5.ストーリー全体を通して丁寧に描かれた亮太と小春の成長

恋愛要素がアッサリ目の反面、目立ったのは二人の内面の葛藤と、それを克服して成長した姿が描かれていたことでした。兄の死を消化できず、中学生以来、内気でたそがれていた亮太は、正反対の小春と出会い、明るくポジティブになりました。大学入学後も相変わらず自分のことでしか悩めなかったのが、小春を本気で好きになり、はじめて「誰か(小春)のために」行動することもできるようになっていましたね。

また、他人の目を気にして、面倒事から逃げたり、自分の気持はを後回しにしがちな小春も、泥臭く迫ってくる亮太に感化され、最後には自分の気持ちに素直になって亮太と復縁を果たしました。

「ぼくごは」は、7年間かけて二人の成長譚を描いたストーリーでもあったのだなと実感しました。

4-6.「ごはん」との関連性をもう少し強く打ち出してくれるとうれしかった

原作でもそうですが、「食べ物」「飲み物」はストーリーで頻繁に登場するものの、あくまで脇役という印象。二人の絆にとってキーワードとなる「ケンタッキー・フライドチキン」「ポカリスエット」「お米」などの食材はあるものの、ストーリーの決定的な核ではなく、あくまで味付けという程度で使われているのですよね。

これみよがしにあざとく美味しそうに食べるシーンまではいらないけれど、映画ではもう少し印象に残る「ごはん」系の強いエピソードがあったほうが締まったかなと思いました。(でも、米袋ジャンプで始まり、米を食べながら終わるのは一貫性があってよかったと思う)

5.原作小説版との主な相違点(※ネタバレ有注意)

5-1.最大の違いは、大学卒業以後の二人の関係

原作小説では、大学卒業後に亮太と小春は復縁し、そのまま結婚して2年が経過します。そこで小春は子宮筋腫に罹患してそれを克服する流れとなり、将来の家庭計画について葛藤しつつも、ガッチリ人生のパートナーとして安定した関係の下、二人は手術を乗り越えていきます。

映画では、尺の関係上大学卒業後すぐにクライマックスへと向かっていきますが、それがかえってメリハリがついて話にまとまりが出た感じ。手術を乗り越える過程で同時に二人の絆もぐんと深まり、一気に終盤へ加速する感覚は、原作よりも展開的にはスリリングで面白くなったと思いました。

5-2.その他小さな相違点まとめ

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その他、ストーリーには影響しない範囲で目立った原作と映画版の違いを上げておきたいと思います。

・原作では祖母・祖父と住んでいる
・原作では小春に「亮太」と呼ばれず「イエス」と呼ばれている
・デパート屋上での描写は映画オリジナル
・カーネルサンダースの病室持ち込みは映画オリジナル
・原作では退院時、山崎さんに80種類のふりかけを買ってきてプレゼントする

6.まとめ

最近特に増えてきた邦画のスイーツ系恋愛映画。この映画も、基本的には亮太と小春の二人だけの世界を描いていますが、いわゆるベタベタ・コテコテの少女漫画系とは一線を画し、原作の世界観に忠実な、地に足のついた表現は好感が持てました。

正月疲れで、心落ち着きたいこの時期、七草粥のようにアッサリした、でも深い味わいのようなサッパリした恋愛映画です。年末ではなく、年始のこの時期に見ることができてホッとした映画でした。おすすめ。

それではまた。
かるび

他にもレビュー書いてます!
【映画レビュー】2017年1月現在上映中映画の感想記事一覧

7.映画をより楽しむためのおすすめ関連書籍など

7-1.コミカライズ「僕らのごはんは明日で待ってる」

映画製作に伴い、小説からコミカライズされた本作品。小説を忠実に再現していて好感が持てます。小説より絵で入りたいぜ!という人はこちらがおすすめ。Kindleだと分冊版で出ています。

7-2.原作小説「僕らのごはんは明日で待ってる」

僕が一番「面白い!」と感じた原作小説のポイントは、小春の個性的な台詞回しです。饒舌で、やたら数字も入って具体的かつ論理的な説明でユーモラスに話す小春は、「ポジティブ系女子」というよりは、超個性的な不思議キャラのようです。

こんな会話、現実的にはあんまりないだろうなと思いつつも、亮太と小春の一風変わったやり取りがすごく楽しめました。亮太と小春の会話シーンは非常に個性的な筆致でおすすめポイントでもあります。力のある作家さんですし、映画が気に入ったら原作小説は是非読んでみてください!