あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と映画にがっつりはまり、丸一日かけて長文書くのが日課になってます・・・

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シンプルでユーモラス!熊谷守一展はゆるい癒やし系美術展でした!(東京国立近代美術館)【展覧会レビュー・感想】

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【2018年1月11日最終更新】

かるび(@karub_imalive)です。 

12月1日から東京国立近代美術館で「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」展が開催中です。2018年3月21日まで、約3ヶ月半にわたるロングラン開催となる、熊谷守一の大回顧展となります。

今回、僕は熊谷守一の作品をまとまって観ることができたのですが、ラッキーなことに取材することができましたので、11月30日に実施された内覧会の様子をレポートしたいと思います!

※なお、本エントリで使用した写真は、予め主催者の許可を得て撮影させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

1.熊谷守一展の概要について

熊谷守一って誰なの?

さて、この仙人のようなお爺さんが、熊谷守一(くまがいもりかず)という個性的な画家です。非常に長命な画家で、明治時代後期から活躍し、亡くなった1977年まで、約70年間も絵を描き続けたレジェンド級の画家です。(図録見るとわかるんですが、若い時はヤバいほどイケメンです)

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熊谷守一は、1880年、現在の岐阜県中津川市で、紡績工場を営む実業家の裕福な家庭に生まれました。美術の道を志して上京し、東京美術学校では同期に和田三造、青木繁ら、のちに明治~昭和画壇で名を馳せた画家たちが多数在籍する中、見事主席で卒業します。

若い時は、厚塗り・コテコテの西洋絵画風の油絵を好んで描いていた守一ですが、試行錯誤と研究を重ねる中、1930年代後半頃から、明るい色彩とはっきりした形を特徴とする、シンプルな画風へと変わっていきました。

あごひげを思いっきり伸ばしたエキセントリックな風貌や、東京・豊島区の自宅の敷地から30年以上一切出ることなく、引きこもって画業に専念した世捨て人のような振る舞いから、晩年は「仙人」と呼ばれました。

▼東京・豊島区の熊谷守一自宅
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伸び放題の樹木でジャングル化した敷地
引用:https://www.youtube.com/watch?v=1P1FCZOi7cc

昼間は自宅の庭で1日中アリや石ころをぼーっと観察していたり、長年連れ添った奥さんと囲碁を楽しんだりした後、夜になると一転して厳しい画家らしい顔つきになり、アトリエに篭りきりになって1日1時間~2時間絵を描く毎日だったそうです。

老境にさしかかり、絵画的な技巧を捨てて、平面的でシンプルな「色とかたち」の世界を追求した熊谷守一。完成したその唯一無二の作風からは、自身の人柄を反映してか独特のユーモアや温かみが感じられ、熱心なファンを獲得してきました。

今回の熊谷守一展は何が凄いのか?

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今回、東京国立近代美術館で開催中の「熊谷守一展」(正式名称:「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」)は、そんな守一の没後40周年を記念して、キャリア初期から最晩年まで、250点以上の絵画作品や資料を全国から集め、一挙に展示した画期的な展覧会となります。

生前に守一の理解者・パトロンとして彼を支え続けた木村定三氏の個人コレクションを始め、普段は個人蔵として美術館で見ることの出来ない作品も貸し出されており、東京でこれまで開催された他の熊谷守一展とは、質・量ともに別格の大回顧展となりました。

今回の回顧展は、単に作品やその制作過程を見て学ぶだけでなく、彼が送ってきた意外性あふれる人生そのものを深く理解するヒントもたくさん用意されています。是非、解説パネルや参考資料をガッツリ読みこんで、楽しんでみてくださいね。

詳細な解説パネルも勉強になって良い!

今回の展覧会は、解説パネルの充実ぶりがやばいです!もともと、東京国立近代美術館は、企画展でしっかり解説をつけてくれる展覧会が多かったのですが、今回の展示は非常に親切な作りになっていました。

回顧展らしく、作品の並びや章立ては、基本的に制作された年代順にシンプルにならんでいるのですが、章立てごとに、ちゃんと日本語・英語・中国語・ハングルの4ヶ国語で細かく解説を入れてくれているのです。インバウンド対応もばっちり!素晴らしい。

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そして、個別の作品展示でも解説パネルは充実。過剰かな?と思えるくらい真面目につけてくれているので、「熊谷守一って誰よ?」っていう全くの初心者でも、ゼロからしっかり学べるのは本当に嬉しい!

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音声ガイドを展覧会のお供にどうぞ!

さらに、音声ガイドを担当するのは、2018年5月に上映公開となる熊谷守一の自伝映画「モリのいる場所」で、主役の老夫婦を演じる山崎努&樹木希林です。この渋い映画内での老年カップルが、映画の雰囲気そのままに、作品解説をしてくれるんです!

これは、まるで映画の中に入りこんだような臨場感が得られて良かった!特に、途中から熊谷守一本人が喋ってるのかと錯覚してしまうほど、役に入り込んだ山崎努のナレーションが素晴らしかったです。

▼音声ガイドは絶対おすすめ!雰囲気出てます!
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▼音声ガイド実機
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2.展覧会の5つの見どころ・要注目ポイント

注目点1:画風の変遷が一目瞭然!初期から最晩年まで大特集!

本展覧会では、最初から順番に見ていくことで、自然に熊谷守一の画風の変遷を感じられるように構成されています。そして、その変貌ぶりは、驚くほどのものでした。

まず、初期の作品を見てみましょう。

▼轢死(1908)
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▼左:蝋燭(1909)/右:ランプ(1910頃)f:id:hisatsugu79:20171213013724j:plain

初期の作品は、非常に暗いタッチで描かれています。というか、初期の代表作「轢死」などは、劣化も進んじゃってほとんど茶色一色ですよね・・・。夜型の守一は、毎晩暗闇の中、ランプや蝋燭の小さな灯り頼りに絵の修業に励んでいたようで、この時期の修行時代の絵画は、「光と闇」の対比を描くものが多かったです。絵の具の劣化で退色が進み、いい具合に枯れていますよね。 どことなく、フランスのジョルジュ・ラ・トゥールやカラヴァッジョの作品を連想させるものがありました。

参考:ラ・トゥールの作品
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引用:Wikipediaより

東京美術学校を卒業すると、守一は二科会に所属して活動を続けます。この時期は、荒々しいタッチの風景画や、裸婦像を、光と影のコントラストが目立つような構図で描くことが多くなりました。

▼左:向日葵と女(1924)/右:ひまわり(1928)f:id:hisatsugu79:20171213013522j:plain

この間、私生活では結婚し、次々と5人もの子供を設けますが、うち2人は早逝し、さらに戦後に1人失ってしまいます。経済的な困窮が続く中、自らの画風を模索する先の見えない毎日で、暗いトーンの作品が続きます。

守一がブレイクしたのは1940年前後。パトロンである木村定三との出会いや、平面的で、明るくシンプルな色彩と構図で構成される「モリカズ」様式を確立することができたのです。

▼左:山道(1961)/右:雨乞だな(1961)
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この時期は、まだ足が丈夫だった時代に旅先でスケッチした素描を元に描き起こした風景画や、自宅の庭先で観察した生活風景や身近な自然がモチーフとして採用されることが多くなっていきます。

▼左:夕映(1970)/中:朝のはぢまり(1969)
▼右:朝の日輪(1955)
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そして、これが本展を締めくくった「日輪」シリーズです。日中・いろいろなタイミングで頭上の太陽を見上げた時に感じたその時々の印象を、抽象画のようにまとめ上げた作品。描かれた時期はそれぞれ違っていますが、並べると印象派の連作のようです。

こういう円環系のシンプルな図像を描いたからと言って、悟りを得たかのように「生」に執着を失ったわけではなく、その最晩年期にも、

「もっと生きていたいことは生きていたい。みなさんにさよならするのはまだまだ、ごめん蒙りたい」

と語り、亡くなるまで絵画や身近な自然現象への飽くなき探究心を持ち続けていたそうです。

注目点2:赤い輪郭線をチェック!シンプルな絵に絶妙なアクセントに!

描写対象を極限までシンプルに捉え、平面的で明るい「モリカズ様式」において、深みを与えるためのアクセントが、守一独特の「赤い輪郭線」です。特に、画風が確立しはじめた1940年代からは、かなりの作品の中で多用されています。今回見て回る時は一つのチェックポイントになるかと思います。

たとえば、このポスターにも選ばれた猫の絵をみてみましょう。

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拡大接写してみると、、、ほら!太めの輪郭線で、大胆に猫の顔や体がしっかりと縁取られていますよね?

▼上記ポスターを拡大
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 他にも、こんな感じで、かなり大胆に極太の輪郭線で描かれた作品もありました。右側のノーマルタイプと隣り合わせで展示されており、見比べてみると面白いですね。

▼左:水仙(1956)/右:水仙(1956)f:id:hisatsugu79:20171213013905j:plain

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注目点3:シンプルだけど深みと癒やしが感じられる不思議な画風

熊谷守一の作品は、一見シンプルで平板に見える中にも、計算しつくされた色と形の効果によって、絶妙の落ち着きが絵画全体にもたらされています。それが妙に心地よく感じられ、いつまでも見ていたいと思えるような作品も多かったです。

たとえば、このおもちと玉子の作品。日常風景をサクッと切り取ったようですが、味わい深い面白さと妙な癒され感があります。

▼左:伸餅(のしもち)(1949)/右:たまご(1959)f:id:hisatsugu79:20171213013552j:plain

その他にも、たくさんの面白い作品がありますので、是非自分だけの一枚を見つけてくださいね。

▼左:蝶(1957頃)/右:シヂミ蝶(1959頃)f:id:hisatsugu79:20171213014829j:plain

▼左:樽枯葉(1961)/右:雪(1959)f:id:hisatsugu79:20171213014518j:plain

注目点4:猫一列展示も?同じ画題でいくつも量産した守一

▼左:鬼百合に揚羽蝶(1960)
▼右:鬼百合に揚羽蝶(1959)f:id:hisatsugu79:20171213014701j:plain

熊谷守一は、自己の作風を確立してからというものの、一つの同じスケッチから、何作もの同じタイトル・構図の作品を作り続けることも多かったです。

その理由や目的は一つではなく、いろいろな要因が絡み合っていました。

例えば、モネの連作「ルーアン大聖堂」のように、少しずつ時間や天候を変えて光の変化を描き分ける試みのためであったり、「何枚も描く中から、良いものが生まれる」という自身の信念によるものでもありました。また、時にはコレクターから、同じ絵を注文されることもしばしばあったのだといいます。

特に後半の展示では、2枚1組、3枚1組として連作のように同じ構図・タイトルの絵画がまとめられていますので、是非見比べて楽しんでみてくださいね。

▼左:猫(1963)/右:三毛猫(1959)f:id:hisatsugu79:20171213014949j:plain

なお、今回圧巻なのは、「猫」の絵です。守一が描いた「猫」の絵12枚を、一つの壁一面を使って集中比較展示を行う工夫が面白かったです!是非ここは見逃さずに見ていってくださいね。

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注目点5:絵画だけじゃない!珍しい水墨画や書、彫刻もあるよ!

本展では、絵画だけでなく、キャリア中期から手がけ始めた水墨画や書、彫刻や仕事道具、日記など多彩な作品・資料が集められています。

中でも、オススメは水墨画と書です。ずっと西洋画を極めてきているのですが、水墨画もうまい具合に力が抜けていて、僧侶の描いた「禅画」のような雰囲気がありました。

左:枯れ木に鵜(1949)/右:観世音菩薩(1940)f:id:hisatsugu79:20171213011646j:plain

そして、守一の独特の、癒やされるようなやわらかいひらがなが、これまた味わい深いのですよね~。決して「売り物」として描いた本気の作品ではないのでしょうけど、力の抜け具合が気に入りました・・・。

▼左:からす(1950)/右:ほとけさま(1950)f:id:hisatsugu79:20171213012034j:plain

 彼が生前絵を描くのに使った道具箱も展示されていました。意外にコンパクトで、種類も最小限です。きっと、一つの物を大切にして使ってきたのでしょうね・・・。

▼熊谷守一の絵画道具箱セットf:id:hisatsugu79:20171213011820j:plain

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3.グッズコーナーを簡単に紹介! 

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さて、展覧会の出口を出ると、すぐ横に設置されているのがグッズコーナー。今回の展覧会のために用意されたオリジナルグッズや、過去に「熊谷守一展」の企画展を開催した他の美術館で制作された「地元色」の強いグッズも用意されています。

とりあえず、まずはこれ、公式図録がおすすめです。

▼公式図録(2,500円)
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今回の公式図録は、4号での小品が多い熊谷守一の作品群を反映してか、A4よりも小さなコンパクトなサイズになりました。今回出展されている約250点以上の作品集と解説・コラム等が収められています。

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展覧会のキャプションや解説パネルで取り上げられた解説文は、全て図録に収められていました。熊谷守一の画業を俯瞰する画集の決定版として、保存版として購入するのもいいですね。

つづいては、グッズコーナー。守一の生まれ故郷、岐阜県にちなんだお菓子が充実していました。

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この、「ちこり茶」などは、最近注目されている「ちこり」の知る人ぞ知る一大産地となっている中津川市らしいグッズですね。

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もちろん、その他クリアファイル、絵葉書、チケットホルダー、ノート、一筆箋など、どの展覧会に言っても制作されているオリジナルグッズは、しっかりと揃っています。熊谷守一の作風を反映してか、穏やかな中間色で彩られたグッズが多かったイメージです。

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4.混雑状況と所要時間目安

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今回の展覧会は、会期も長く、開催施設も十分大きいため、会期終了直前の土日以外は、そこまで混雑を気にする必要はなさそうです。展示点数が約250点と多めなので、一通り見て回るために必要な時間は、90分~120分は見ておいたほうが良いでしょう。併設されている東京都近代美術館の常設コレクション(MOMATコレクション展)も回るなら、休憩時間も含めて半日は空けておいてくださいね。

5.自伝映画「モリのいる場所」も2018年5月に公開予定!

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さらに、2018年5月には、熊谷守一の自伝的映画「モリのいる場所」が、主演・山崎努で公開決定となりました!オフィシャルサイト上でまだ予告動画は設置されていないものの、すでに撮影・編集も一通り終えて、マスコミ向けの試写会がスタートしています。

「モリのいる場所」とは、もちろん熊谷守一が老年期以降、30年以上仙人のように篭った東京・豊島区の自宅を指しています。もともと個人的に熊谷守一のファンだった山崎努に、沖田修一監督が主演として声をかけたのがきっかけだったのだとか。沖田修一監督といえば、過去作「南極料理人」や「横道世之介」など、温かみのあるコメディタッチの演出が印象的でした。今回も、きっと熊谷守一の世俗離れして飄々とした生き様にぴったりフィットした作品を作ってくれそうで、期待しています。

6.まとめ

世俗的な成功には興味をくれず、自分自身に素直にマイペースな生き方を貫く一方、作品制作においては非常に探究心旺盛で、ストイックに自らの画風を追い求めた熊谷守一。今回の展覧会では、ひとつひとつの作品や資料を丁寧に見ていくことで、様々な画題で、年代別に整理された作品群や画風の変遷、さらには、守一が絵画に対して向き合う姿勢や、その個性的な生き様までしっかりと学ぶことができました。

まさに、大回顧展にふさわしい総合的に深く掘り下げられた展覧会です。是非、5月公開の自伝映画「モリのいる場所」とセットでチェックしてみてくださいね!

それではまた。
かるび

参考:関連書籍・資料などの紹介

定番ムック「もっと知りたい熊谷守一」

展覧会のタイミングに合わせて東京美術から企画・出版された、定番の初心者向けA4ムックの決定版です。展覧会同様、キャリア初期から最晩年まで、熊谷守一の画業全般を美麗なカラー印刷の作品画像とわかりやすい解説で読み解くことができます。薄いから、持ち運びもしやすいのがいいですね!おすすめです!

長く読み継がれている自叙伝「へたも絵のうち」

熊谷守一が日経朝刊に連載した「私の履歴書」が好評だったため、書籍としてまとめられた自叙伝的な一冊です。口述したものをライターがまとめる形式だからか非常に読みやすく、また面白いエピソードも満載。映画化もこの本が元となって制作された部分も大きいのでしょうね。

Amazonでベストセラーに!熊谷守一画文集「ひとりたのしむ」

そして、現在Amazonの「画集」ランキングで「ベストセラー」となっている最新版の画文集。上述した通り、今回の展覧会では守一の「書」も展示されていますが、これが絵画作品同様、絶妙な「味」のある字体なんですよね。本作を見ながら、バッチリ人柄が出ているなぁと感心しました・・・。

展覧会開催情報

◯美術館・所在地
東京国立近代美術館
〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1
◯最寄り駅
東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分
◯会期
2017年12月1日~3月21日
◯休館日
月曜日(ただし1月8日、2月12日は開館)
年末年始(12月28日~1月1日)
1月9日(火)、2月13日(火)
◯開館時間
10時~17時(最終入場は30分前まで)
ただし金・土は20時まで営業延長
◯公式HP
 
http://kumagai2017.exhn.jp/
◯Twitter
 https://twitter.com/MOMAT60th