あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して3ヶ月。無職または専業主夫で、ブログ書いてます。美術展と人事労務系の記事が多め。

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【ネタバレ有】実写映画「帝一の國」感想・レビューとあらすじ徹底解説!/極上の権力闘争コメディ作品!

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かるび(@karub_imalive)です。

4月29日にリリースされた菅田将暉主演「帝一の國」を見てきました。映画をきっかけに原作にハマリ、そして封切りが楽しみだった作品です。早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。


※本エントリは、ほぼ全編にわたってストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承下さい。

1.映画「帝一の国」の基本情報

<映画「帝一の國」予告動画>

動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】永井聡(「世界から猫が消えたなら」「ジャッジ!」)
【配給】東宝
【時間】118分
【原作】古屋兎丸「帝一の國」

2.映画「帝一の國」の 主要登場人物とキャスト

本作で早くも2017年主演作は2作目となる菅田将暉を中心に、イケメン男優をずらっと6名並べた男子校映画。出演者の男女比は100:1以上!圧倒的に男臭い映画であります。 

赤場帝一(菅田将暉)
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映画化が決まる前から原作の大ファンで、自ら積極的に「帝一」役を志願して主演をゲットしたのだとか。2017年も「キセキ」の大ヒットや、夏公開アニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」、芥川賞作品「火花」主演など、注目作が目白押し。「2017年は仕事を少しセーブします」って言ってましたが、まったくそんな気配はありません(笑)

東郷菊馬(野村周平)
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いつもの2枚目な役柄と違い、珍しく3枚目の悪役キャラが回ってきましたが、原作の菊馬のイメージがよくハマっていました。素の時のキャラに実は近いのではないでしょうか?

榊原光明(志尊淳)
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オネエキャラまではいかないものの、中性的であり、実質上本作のヒロイン役(笑)従来ならこういった役は千葉雄大に回ってきたのでしょうが、さすがに世代交代ということでしょうか?舞台系の方が出演頻度は高かったイメージですが、2016年「疾風ロンド」2017年「サバイバルファミリー」に出演するなど、映画出演が増えてきていますね。

氷室ローランド(間宮祥太朗)
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質実剛健な私立高校で、こういう茶髪&ロンゲは一発で生徒指導の対象になるんじゃないかと思いますが、今作では割りと菊馬と並んでの「悪役」的立ち位置。海帝高校の伝統に則って陰謀・賄賂なんでもありの権力闘争を繰り広げます。

大鷹弾(竹内涼真)
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登場人物の中で、唯一まともな感覚を持つ好青年。素のままで演じるだけで、この中にはいれば良いやつに見えますね。彼の見せ場だけは、まるで普通のアイドル/ヒーロー映画のようなシーンに仕上がっています。(笑)GW中は、「LAST COP ザ・ムービー」と2本同時公開となっており、ファンにはたまりませんね。

森園億人(千葉雄大)
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もう28歳になるのに、まったく制服姿に違和感がない安定の童顔っぷりは今作でも健在。2017年に入り、現在公開中の「リライフ ReLIFE」「暗黒女子」や、近日公開の「兄に愛されすぎて困ってます」でも高校生役を演じるなど相変わらず「学生」役でひっぱりだこです。

白鳥美美子(永野芽郁)
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主演作「ひるなかの流星」が予想以上のヒットに恵まれ、確かな演技力と表情のかわいさで、注目度急上昇中の旬の若手俳優。2017年で出演待機作として「ピーチガール」「ミックス。」なども目白押し。これでまだ17歳っていうのが驚きで、大化けして第二の広瀬すずになれるかどうか今年は勝負の年ですね。それにしても、見るたびに「のん(能年玲奈)」に似てるなーと思うのは僕だけでしょうか?本作での彼女の見どころはズバリ「エンドロール」です!終わっても席を立たないようにしてください(笑)

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3.結末までのあらすじ紹介(※ネタバレ注)

帝一、海帝高校に入学する

4月。中高一貫制の名門私立高校「海帝高校」の高校1年生になった赤場帝一は、入学式で生徒会長の堂山圭吾の歓迎スピーチに感動していた。帝一は、この時早くも3年生になったら海帝高校の生徒会長に立候補することを心に決めていた。

海帝高校は、元々は海軍兵訓練学校として創設され、現在では数多くの政治家や官僚、財界トップなど、日本のエリート層を輩出する日本屈指の名門校だ。そして、海帝高校の中でも選ばれたエリートが目指すのは、将来を約束されている「生徒会」入りであり、その頂点に立つのが「生徒会長」なのだった。

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帝一は、海帝高校に最優秀の成績で入学した実績から、新入生代表挨拶を任されていた。そして、心の中で誓った。「僕は作る。僕の国を。」

帝一の父、赤羽譲介もまた、海帝高校の出身者だった。譲介には、高校時代に、東郷菊馬の父である東郷卯三郎と生徒会長選を戦い、一票差で敗れた苦い思い出があった。この時の勝敗が、彼ら2人が政界入りしてからのキャリアに決定的な差をつけたのだった。共に同期で通産省に入省した二人だったが、東郷卯三郎は現在「通産大臣」を務める一方、譲介は事務次官止まりだったからだ。

譲介は、息子に自らの夢を託そうとし、ピアノに夢中になる帝一に対して、ピアノをやめさせ、代わりにエリート教育を徹底したのだった。

帝一は、無事に入学式が終わったことを夕食の場で父、譲介に報告すると、夕食後は密かに付き合っている幼馴染、美美子の家に行き、糸電話での会話を楽しんだ。

生徒会長への第一歩、評議会入り

帝一が生徒会長へと上り詰める最初の第一歩は、生徒会長への投票権を持つ一、二年生で構成される「評議会」入りすることだ。その「評議会」に入るには、クラスでルーム長か副ルーム長に選ばれる必要があった。

帝一は、多額の寄付金と中学での生徒会長実績を買われ、難なく担任の川俣からルーム長に任命された。そして、帝一は副ルーム長に、中学以来の同志である榊原光明を指名した。一方、二組のルーム長はライバルの東郷菊馬が、そして、六組のルーム長には無名だった大鷹弾が選ばれた。

大鷹弾は、天性のカリスマ性を持つ外部入学生で、評議会の中では異色な存在だった。彼の経歴に興味を持った帝一と光明は、弾の家に遊びに行き、弾が奨学金を得た片親の苦学生であることを知った。帝一は、強烈な嫉妬と危機感を覚えていた。

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帝一は、担任の川俣にかけあい、今年度の外部入試試験問題と、大鷹弾の成績を取り寄せ、非公式ながら自分で解いてみて、その点数を比べてどちらが上なのか、父、譲介と確認してみることにした。結果としては、5教科でかろうじて2点差で帝一の成績が上回ったが、そんな帝一に、父は「つまらないプライドを満たしていないで、お前はこれから次の会長になる男を見定め、その男の犬になれ!」と叱咤するのだった。

生徒総会での攻防

評議会が始まると、帝一と光明は、さっそく翌年の生徒会長候補のピックアップを始めた。候補は3人だ。4組の本田章太、5組の森園億人、そして、大本命は金髪のハーフ、氷室ローランドだった。氷室は、今年度堂山会長を生徒会長にするための票固めをした一番の功労者だった。

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帝一は、迷いなく氷室ローランドの忠実な「犬」になることを決意した。委員会や部活の予算承認を行う生徒総会を取り仕切ることになった氷室に対して、帝一は迷いなく校旗掲揚をやらせてほしいとアピールした。

一方、菊馬も帝一と同じく、氷室に対してアピールしていた。得意の「諜報活動」で調べ上げた独自の個人情報データベースを氷室に提供したのだった。氷室は菊馬のリストを見ながら戦略を練っていたが、そんな氷室の動きは、光明の発明した盗聴器で全て帝一と光明に筒抜けだった。

生徒総会の日、帝一は裏に回り、校旗掲揚業務を順調にこなしていたが、光明からの合図で、菊馬の相棒、二四三が持ち場を離れ、校旗のワイヤーを糸のこで切ろうとしている現場を押さえた。二四三は逃げていったが、ワイヤーが切れてしまい、帝一は自分の腕で重い校旗をささえなければならなくなった。かわりにそこへ菊馬が現れて帝一を妨害する。帝一がもう少しで校旗を取り落としそうになったその時、その現場へ大鷹弾が現れ、菊馬を追い払ってくれた。そして、総会が終わるまで、二人で校旗を無事に支え続けることができた。

次期生徒会長選のスタート

そして、半年後。11月に入り、評議会では次期生徒会長候補者3名の発表があった。予想通り、本田章太、森園億人、氷室ローランドの3人だった。帝一、菊馬は氷室推し、大鷹は森園推しだった。

公約発表として体育会系優遇方針を掲げた氷室は、下馬評通り体育会系の部を中心に票を固め、派閥の力を活用して序盤は優勢な戦いを進めていた。一方、対抗馬である森園は、部員の潜在能力を加味した「期待予算制度」や生徒会長選のオープン化など、自由化路線を訴えた。

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帝一は、文化祭「海帝祭」の開会式演出の責任者に命じられた任務を活用し、この機会で氷室派の評議会員達を集めて出し物「裸太鼓」を計画した。ふんどし一丁での男らしい見栄えもさることながら、リハーサルで何度も顔合わせをするうちに、仲間の結束も促進できる妙案だった。舞台は大成功に終わった。

これに気を良くした氷室は、文化祭の当日、森園支援に回った大鷹弾に対して、彼の父の残した借金帳消しをエサに、支援を取り付けようと話を持ちかけた。弾は、一瞬心がゆらいだが、衆人環視の元、氷室を殴り、誘惑を断ち切った。

帝一の造反~マイムマイム事変~

帝一にとって大誤算になったのは、氷室の父と帝一の父が犬猿の仲だということだった。氷室の父は、外資系自動車メーカー、HMモーターズ社の役員、スティーブ・レッドフォードだった。レッドフォードの推進する日本進出に対して、禎一の父、譲介は「日本車優遇措置法」の立法化を推進し、HMモーターズの進出を阻んだが、その時HMモーターズ社で責任をとらされたのがレッドフォードだった。レッドフォードは、その時から譲介に深い恨みを抱いていた。

その事実が、菊馬の告げ口でローランドの耳に入り、帝一は氷室派にいても使い捨てにされてしまう恐れが高まったのだ。光明の仕掛けた盗聴器で氷室の動きを探ると、氷室はまさに帝一を捨て駒にしようとしていた。

帝一は、父、譲介とも相談して、思い切って森園陣営に造反する大勝負に出た。森園の前で深々と土下座しこれまでの非礼を詫びるとともに、大鷹弾のとりなしもあって、帝一は無事森園陣営に付くことができた。

帝一の造反で一瞬氷室陣営に混乱が生じたが、氷室はこれ以後「実弾」=賄賂でさらに地盤固めを強引に進めていった。しかし、帝一は父の「実弾を使うのではなく、錦の御旗を立てることが再重要だ」というアドバイスに従い、ある放課後、イベントを仕掛けた。

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それが、後に海帝高校の歴史に刻まれた「マイムマイム事変」だった。音楽放送を全校に流し、帝一や弾ら、数名で校庭でマイムマイムを踊っていると、不思議と次々と生徒達がその環の中に加わった。そして、その真中には森園億人が立つ形にして、自然と森園への支持があつまるような流れができていた。

一方、実弾を配りだした氷室陣営には、金の亡者となった部員達が集まりだし、もらっていないメンバーは逆に不満を貯めていった。金の力の限界だった。こうして、選挙前に森園陣営は氷室陣営と5分5分の勝負へと持ち込んだのだった。

父、赤場譲介の失脚、失意の帝一

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しかし、次に菊馬が繰り出した謀略は、通産大臣の父、東郷卯三郎の力を使い、帝一の父、赤場譲介を収賄容疑で収監させることだった。この一件により、森薗派と帝一のイメージダウンは免れず、森薗次期生徒会長とその後の帝一の生徒会長就任が遠のいた。帝一は譲介と拘置所で面会し、父譲介を激しく責め立てた。

帝一が父親に従い、海帝高校の生徒会長を目指したのは、彼の国を作れば、幼い時に父から禁じられたピアノを自由に弾けるようになると考えたからなのだった。ただそれだけのために自分の国を作る、という目標を掲げ、困難に耐えてやってきたが、帝一の張り詰めた心は折れてしまった。

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そのまま会長選まで、帝一は学校を休み、家に引きこもってしまった。会長選当日、帝一の元に大鷹弾と光明、そして最後に美美子がやってきて、帝一を懸命に説得した。その甲斐があって、帝一は会長選の日、学校へと向かった。

森薗新体制の誕生

しかし、評議会室に行く途中で、帝一の前に菊馬が立ちはだかり、彼の投票を阻もうとした。菊間は、幼少時から美美子を取られ、成績やピアノでも歯が立たなかった帝一への積年の嫉妬と恨みをぶつけ、殴りかかってきた。

帝一も応戦し、評議会室へ向かおうとしたが、二人が校庭で乱闘をしているうちに帝一は「棄権」扱いとなってしまった。

一方、会長選は氷室の腹心、駒が造反したり、大鷹が白票を投じたりというサプライズも挟みつつ、最終的に30対30の同点となり、ルールに基づいて、生徒会長裁定により森薗が次期生徒会長に指名された。

帝一の生徒会長選挙~エピローグ

それから1年。いよいよ帝一にとっての生徒会長選挙がやってきた。森薗の制度改革により、立候補を済ませた大鷹、菊馬、帝一の3人が立候補し、全校生徒での投票が行われたが、菊馬がまず13票しか取れず脱落し、勝負は大鷹と帝一の2名に絞られた。

菊馬は自身の当選をあきらめ、帝一陣営へと自ら投票したことによりこの時点で1票差で帝一が勝てそうな気配だった。しかし、投票締め切り1秒前になり、帝一自身が大鷹へと投票先を変えたため、次期生徒会長は1票差で大鷹に決まった。締め切り数秒前になって、菊馬が大鷹陣営へ投票先を変える動きを見せていたため、帝一はとっさの判断で、自身の負けが避けられないのであれば、「負けた」のではなく「勝ちを譲った」形にしたのだ。

こうして、帝一の会長選挙は終わったが、帝一は夢を諦めてはいなかった。それは、評議会本部室で次期生徒会長に就任する大鷹を祝してピアノ演奏を務めた曲目「マリオネット(操り人形)」に現れていた。帝一は、これまで封印してきたピアノを活き活きと演奏しながら「君たちのことだよ」と心の中でつぶやいた。 

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4.ストーリーの感想や評価(※ネタバレ注)

菅田将輝の怪演と多芸ぶりが圧巻!

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予告編を見て最初に「テンション高っ!」と驚いたのですが、映画が始まってみると、ほぼ全編予告編通りのハイテンションぶりでした。映画製作が決まった時、自ら主演を志願しただけあって、原作での帝一がそのまんま実写化されたような、菅田将暉のキレキレの演技が印象的でした!さすがカメレオン俳優と言われるだけありますね。

さらに驚いたのが、劇中で菅田将輝が見せてくれた数々の芸達者ぶり!まず、ラップを歌いながら自宅で試験問題を解くシーン。今年2月に公開された、GReeeeNをモデルにした映画「キセキーあの日のソビト」で身につけた特殊スキルがさらっと炸裂!

その次はふんどし一丁での裸太鼓!「ワイルドスピードICEBREAK」を見たばっかりだったので、体つきは貧弱に見えてしまったのですが(笑)、仲間たちと非常にタイトできびきびした動きを披露しています。息を合わせての練習は大変だっただろうな~。

さらに、トドメはピアノ!原作で、帝一はピアノ好きであるという設定だったので、どうするのかな?と思っていたら、ちゃんと自分で弾きこなしていました!ローデ「マリオネット」はともかく、よりによって超絶技巧なフランツ・リスト「ため息」を弾きこなしています。プロ意識高い!彼の役者魂を感じました。

原作ファンに違和感のないキャラや再現された独特な世界観

菅田将輝扮する主人公、帝一以外にも、3枚目の卑劣な悪ガキ東郷菊馬や、中性的なかわいさ爆発な榊原光明、学園で唯一のまともな好青年、大鷹弾など主演たちがそれぞれマンガからそのまま飛び出てきたかのような原作に忠実な役作りは非常に良かったです。

氷室ローランド。金髪でロンゲ!
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そして、原作が持っている「男版宝塚」のような耽美的でホモソーシャルな世界観まで、きっちりと計算されているんですよね。氷室ローランドの不自然なほど明るい金髪や、口紅や化粧まで作り込んだ光明の外見は、明らかに過剰な感じなんだけど、それが原作の雰囲気にぴったり寄り添ったテイストになっていました。

海帝高校という一種の「白い巨塔」的な特殊な閉鎖社会で、過剰なまでに時代錯誤で、旧海軍仕込みの大仰にデフォルメされたパフォーマンスが最初から最後まで通して高いテンションで実写で再現されているので、それを見ているだけでも楽しいです!

原作より強めなBL要素!

本作で取り扱う舞台が男子校であるため、とにかく画面内には大量のエキストラを含めて、画面上を若い男子が縦横無尽に埋め尽くしております(笑)そして、男同士でマイムマイムは踊るわ、ふんどし一丁で裸太鼓は披露するわでやりたい放題の、まさに「男の楽園」的な海帝高校!

ファン待望?の裸太鼓シーン
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さらに、ルーム長と副ルーム長がいつも二人でワンセットとして描かれるのも、狙っているとしか。。。特に、「ローランド×駒」「帝一×光明」はもう少しで一線を超えそうな危うさがあります(笑)

一応、原作は少年誌なので、男同士の性的な関係はなく、あくまでホモソーシャルな男同士の連帯や友情が中心なのですが、この映画に「女性」が入るスキはありません(笑)たとえば、帝一の彼女として、永野芽郁扮する美美子(これまた見事にステレオタイプな深層令嬢)がヒロインとしているはいるんですが、本作での扱いはとにかく酷いです(笑)

深夜に糸電話で毎日話すのですが、帝一は基本的に美美子の話をあんまり真面目に聞いていません。クライマックス直前でそれでも帝一に気づきを与え、帝一を立ち直らせるのですが、帝一が最後に抱きつくのは美美子ではなく光明だったという・・・。

弾と帝一と美美子が三角関係となり、美美子の気を引こうとあれこれ帝一がもがく原作と違い、本作ではあからさまに光明>>>>美美子なんですよね。あ、でもマンガ版でもやっぱり光明のほうが彼にとって大切な存在なのかも。

マンガでは「光明」はこんな立ち位置
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大人の権力闘争や政治家たちへのひねりの利いた風刺

そして、男がいっぱい集まれば、自然と誰がボス猿になるのか争い出すのは古今東西、どんな集団にもありがちな状況。今作では、特に日本の大企業内や政治家の不毛な権力闘争や、抗争に夢中になる男たちを、ユーモアたっぷりに皮肉っています。

冒頭10分から、勝手にライバル心を燃やして、父親を動かし文化庁を工作して、モンゴメリの展覧会までえさにして、帝一が先生から取り寄せたのは、外部生の入試問題でした(笑)大鷹は全く気にしていないし、誰からも頼まれていないのに、帝一は一人大鷹へのライバル心を空回りさせ、徹夜で入試問題を解いて、大鷹との点数を父親と二人で比較します。不毛すぎる!!

ここの長回しのシーンは、序盤最大の見どころなのですが、菅田将輝の過剰な演技と、やってることのバカバカしさの両面でメチャ笑えました!

ワイロを渡そうとする氷室ローランドf:id:hisatsugu79:20170501163844j:plain

さらに、たかが高校の生徒会長選挙なのに「実弾」が飛び交い、「埋蔵金」の空手形で説得工作をして、父親たち=外部のしがらみも絡んで身動きが取れなくなって・・・と、まさに今の日本の政治状況そのまんまですよね。

そして、極めつけは、「どんな国をつくるの?」と美美子に聞かれた帝一のリアクション。美美子に急に聞かれても、帝一は確たる考えを持っておらず、答えられませんでした。(強いて言うならピアノを自由に弾ける国?)これって、まさにポスト獲得が独り歩きして自己目的化し、手段と目的が逆転しがちな日本の大企業や政界での権力争いそのものですよね。「政権を取ったけど、何をしていいかわかりませんでした!」みたいな・・・。

このあたりの描写は非常に見ていて痛快です。単にこの映画が若い人だけでなく、幅広い年齢層に楽しめる作品なんだなと思わせられるポイントでした。

惜しいのは、帝一の「成長」についての描写不足

今作は、設定も各俳優の演技も、非常にコミカルでよくまとまっていて良かったのですが、1点惜しいな、と思ったのは、ンガ原作映画によくある「尺不足に由来する心情描写不足」という問題です。

クライマックス寸前、父、譲介は、中央政界で失脚し、収賄容疑で収監されてしまいます。これを受け、絶望した帝一は父を責めて部屋に引きこもって出てこなくなります。そこから帝一は見舞いに来てくれた美美子の一言で立ち直り、行く手に立ちはだかった菊馬との殴り合いの喧嘩を経て、そこから復活・成長してクライマックスでの委員長への立候補へつながっていくのですが、そのプロセスが少し性急すぎて、ちょっと置いて行かれてしまいました。

映画オリジナル「菊馬と殴り合うシーン」f:id:hisatsugu79:20170501163931j:plain

それまでほとんどまともにとりあっていなかった美美子の話を一言聞いただけで、帝一がすぐ立ち直るのも変ですし、菊馬と延々殴り合いをしただけで決定的に成長のきっかけを掴めたとは思えないのですが・・・。(自分の本当にやりたいことに素直になる、という意味では良かったですが)

あるいは、その後父親と和解しているシーンも見当たりませんし、それまで功利主義的で独善的だった帝一が「仲間」や「友情」の大切さを学んでいる描写がないのが一番気になりました。

原作ではこのあたりは綺麗に表現されているところですが、どうしても14巻分を2時間に収める時に、細かい心情表現が雑になってこぼれ落ちてしまうのは致し方ないところでしょうか。少し惜しいポイントに思えました。 

5.伏線や設定などの考察・解説(※ネタバレ注)

「帝一」という名前にこめられた意味とは?

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宿敵、東郷卯三郎(菊馬の父)に生徒会選挙で1票差で敗れ、その後のキャリアでも差をつけられてしまった赤場譲介(帝一の父)が、子供には「海帝高校」で「一番」になってほしいという意味を込めて名付けました。すごい執念ですよね・・・。

帝一が2年生~3年生に至るまで、映画で飛ばされた出来事

3年生になって、森薗新体制になった生徒会で、帝一は菊馬、光明、二四三(菊馬の片腕)と共に副会長就任&執行部入りを果たします。森薗は、生徒会長選の候補者指名制から立候補制に変え、1年生~3年生までの全生徒の投票で次期会長を選ぶ、より「民主的」な制度に変えました。

会長選は、蒜山、裕次郎という1年生の有力メンバーと組んだ菊馬が優勢に選挙活動を進めます。帝一はその過程で様々な出来事から成長を重ね、一旦会長選を降り、大鷹陣営の参謀として菊馬を倒すため選挙活動を戦います。しかし、結局直前で大鷹らの勧めにより、土壇場で会長選へと再立候補を決め、会長選は大鷹、菊馬、帝一の三つ巴の争いになりました。また、光明は蒜山に洗脳され、土壇場で洗脳が解けるまで菊馬サイドのブレーンになってしまいます。

ここまでのプロセスが、漫画版では多数の個性的な1年生のルーム長達とともに描かれますが、映画では放映時間の問題から全てカットされていました。

帝一が副委員長になってからの後日談について

生徒会執行部の最後の仕事として、次期会長選の選挙管理を行うことになった帝一たちは、中間アンケートの結果、裏で菊馬と校長の暗躍により、菊馬の傀儡である守旧派の永福吉祥が不自然に票を伸ばしている事に気づきます。森薗の改革が反故にされ、学校の体質が元に戻されることを懸念した帝一は、氷室や森薗らOBたちの力も借りて、校長と菊馬の陰謀を打ち砕きます。

自由化された海帝高校には、大学へのコネ進学のルートが消滅しており、帝一と大鷹は東都大を自力で入試を受けて進学し、美美子は花園女子大へ内部進学、光明は父の町工場を継ぎました。ちなみに、菊馬は東都大を目指して浪人中です。

マンガ版との主な相違点

原作では普通にピアノを弾いている
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マンガ原作版では、帝一は家で度々自分のためにショパンを弾いており、妹や恋人の美美子は、時折それを聞くのを楽しみにしています。

学校での先生の良心、黒坂先生
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海帝高校の極端な権力闘争体質や閉鎖的な密室談合政治を「狂ってる」と見抜き、大鷹弾の後押しをして現体制に異を唱える黒坂先生という若い女の先生が原作では登場しています。

海帝高校のルーム長夏合宿

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海帝高校の夏休み中に、各学年のルーム長・副ルーム長を集めて行われるサバイバル夏合宿。海底の生徒会活動は一種の「戦争」であり、この「戦争」を勝ち抜くために日本で失われた「大和魂」を養成するとして、評議会顧問の川俣主催により行われました。

その他、多数のサブキャラたちが登場
映画では省略された帝一の多数の同級生・下級生がマンガ原作では描かれますが、特にぶっ飛んでいるのが下級生たち。揃いも揃ってこんなのがルーム長に選ばれるか普通?!っていう変わり者たちが大活躍します。

6.まとめ

男性アイドル系青春映画として、コメディ映画として、原作のエッセンスを上手く取り込んだ楽しい映画になりました。原作キャラがそのまま画面上で動いている感じや、笑えるパートとはっとさせられるパートがしっかり両方とも入っているバランスの良い作品だったと思います。面白かったです!

それではまた。
かるび

 

他にもレビュー書いてます!
【映画レビュー】2017年4月現在上映中映画の感想記事一覧

7.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

映画ノベライズ(マンガ番外編おまけ付き)

映画のノベライズ作品。映画でカットされた幾つかのシーンも入っていますし、映画エンディング後の帝一の「その後」について、原作マンガで発表された大ボリューム50ページほどの「番外編」読み切りも巻末に収められています。これは買ってよかった!

原作マンガ「帝一の国」

映画化が決まってから遡って読んだのですが、久々に物凄く面白くて一気読みして、何度も読み返してしまった作品。後半になるにしたがって、各キャラクターがどんどん躍動し、斜め上から予想外の展開に目が離せなくなりました。よく物語が破綻せず、いい感じで収束できたな・・・と(笑)映画を気に入った人は、マンガ原作は絶対気にいると思いますよ!超おすすめ!

SODA PLUS Vol.2 (ぴあMOOK)

主演6人に絞って、グループインタビューや現場でのメイキングオフショット、座談会、カラーグラビア、監督へのインタビュー、など総力62ページの大特集。SODAは品切れ絶版になるのが早いので、お早めに!

「帝一の國」スピンオフドラマは、フジテレビ・オンデマンドで![AD]

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これら5作品は6月末に別途DVD化もされる予定ですが、もう一度すぐに見たい!という人や、見逃した人のために、FOD(フジテレビ・オンデマンド)で現在配信されていました!

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