あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して1年。美術展と人事労務系の記事が多め。

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壮大な懐メロ&カラオケ大会へと変質した紅白歌合戦2015~誰が為の歌番組だったのか~

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【2016年1月28日追記】

かるび(@karub_imalive)です。

正月食べ疲れで膨満感が収まらない今日このごろですが、いかがお過ごしでしょうか?そういえば、紅白歌合戦。年末年始は毎年実家の父母の元へ帰省しますので、かるびの実家では必然的に大晦日の夜は、NHKに、つまり「紅白歌合戦」に固定されます。

大体はいつもネットサーフィンなどしながら、ちらちらチェックする「ながら見」になります。子供を寝かしつけるために、見てない時間なんかもあったりして。

ですが、今年はなんだか大トリが近藤真彦と松田聖子の組み合わせだったことを筆頭に、なんか今までとは違うものを感じていました。ずっともやもやしてるのも何なので、せっかくなので分析して、ブログ記事にしちゃえ、ってことで、ちょっと今年の・・・というより去年の紅白歌合戦2015について感想を書いてみたいと思います。

感じた違和感その1:最新の持ち歌を歌わない歌手が多い

まず、違和感その1として、演歌歌手を筆頭として、最新の持ち歌を歌わず、過去に売れた思いきり古い曲ばっかり歌ってたことです。

出場して歌えば、音源は一定数売れるんだろうから、せっかくの晴れ舞台で今年出した新曲とか歌いたいんだろうに。くやしいだろうな~、とやや同情しながら見てました。小林幸子の「千本桜」なんかは新ジャンルへの挑戦、ネットとの融合、、、みたいな感じで良かったのですが、例えば石川さゆりとか、ここ数年「天城越え」と「津軽海峡・冬景色」ばかり歌ってるような印象があります。上手だけど、若干食傷気味。

ヒット曲に恵まれなかった、というのはわかります。和田アキ子などは、毎年「売れてないのになんで出るんだ?」って12月になると騒がれますよね。ただ、だからといってデビュー曲や30年前の曲を歌うのはどうなのでしょう??

感じた違和感2:カバー曲が多い

歌い始める前の冒頭で説明したもの、特に説明がなかったものも含め、誰かのうんと古いカバー曲を歌っている(歌わされている?)印象がありました。天童よしみなんかは、毎年のように美空ひばりをいろんな理由をつけて歌わされているような気がしますが、それ以外の伍代夏子、藤あや子ら、演歌のベテラン勢までカバー曲を歌っていたのはびっくりしました。きっと複雑な思いで歌っているのだろうな、と思わず深読み。

感じた違和感3:昔の曲を歌いに来ている歌手が多い

ここ数年歌手として定期的にシングルを出してなかったり、今年パッと期間限定で復活したような歌手が、昔の代表曲を歌うケースが本当に多かったです。特に大トリを含めた最後の11時台は、もうほとんどがこんな感じでした。NOKKO声出てなかったな~。

感じた違和感4:メドレー多くない?!

また、メドレー形式で代表曲をサビの部分だけ、持ち時間の尺いっぱい使って3,4曲歌うスタイルも、特に今年多かったイメージがあります。昔って、こんなにメドレーばっかりでしたっけ?すっかり、メドレーを見ても特別感はなくなってしまいました。これについては、ネットでメドレーについてがっつり分析している記事があったので貼っておきます。

実際に30年前と比較して調べてみた

で、この違和感ってどうなんだろう?と思って、ちょうど正月ヒマだったこともあり、2015年度の出場者と1985年度の出場者を見比べてみました。(1985年度を選んだのは比較検討としてキリが良かったので)

それがこちらです。

1985年(第36回)の出場者

まず、1985年の出場者一覧です。アイドルと演歌歌手しかいない(笑)そして、今より若干コンパクトな番組構成だったので、出場者数も数組少ないです。

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どうでしょうか?1985年度の紅白歌合戦では、アイドルも演歌歌手も、一部を除いてほぼ全員がその年の代表曲を紅白で披露しています。カバー曲に至っては、わずか1曲。*1*2

今と全く違う歌番組だったことがわかります。その年の代表的な売れ線の歌手が、大切にしてきた年度代表曲を披露しあう。そんなイメージでしょうか。

1985年度の紅白歌合戦の視聴率は、66%でした。当時のニューミュージックやフォーク勢を除いた、いわゆるアイドルや演歌歌手の活動の総決算として、国民全員にお披露目する非常に重要な歌番組だったことがわかります。競馬で言うとG1レース、野球で言うと日本シリーズ、みたいな感じ。

いわば、年末の総決算的な国民的歌番組だったんだ、ということが言えるでしょうか? 

一方で、2015年度の方を見てみたいと思います。

2015年度(第66回)の全出場者

こちらが、2015年度の出場者一覧表。

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1985年度が、整然とその年の代表曲で並んでいたのに対して、2015年度は冒頭で書いたように、もう何でもありです(笑)

まず、メドレーは全7組。福山とアイドル勢ですね。そして、カバーも5曲ありました。徳永英明なんかは、もう紅白はカバー要員としてカウントされてるんでしょうか。

なんだか、カラオケ大会(2重の意味で。AKBとか歌ってないし)みたいだなぁと。

そして、一番驚いたのは、2015年にリリースした曲を歌っていたのは、全52組中23組しかいなかったこと。全体の40%強の歌手しか、今年リリースした勝負曲を歌えていないんですね。で、あとのメンバーは代わりに’70年代、'80年代(美輪明宏は60年代)の古い持ち歌=ナツメロや、カバー曲を歌っていました。

どうしてこんなに紅白は変わったのか?

ここからは引用も含めた仮説になります。いくつか順番に挙げてみたいと思います。

1,みんなの価値観が多様化し、ヒット曲らしいヒット曲がなくなった

1985年当時は、TBS系列の「歌のベストテン」、日テレ系列の「トップテン」など、テレビ、ラジオでランキング形式の歌番組が非常に権威を持っていました。歌手達は、これら番組で上位へランクインし、年末の「レコード大賞」を筆頭とした賞レースで権威づけし、その総仕上げとして紅白に出る。そして、受け手側の聴衆も、ランキングや賞レース結果を概ね重く見ていた時代でした。

あれから30年。この間に賞レースやランキング生番組は全部なくなり、残っているMステ等の歌番組も苦戦中です。消費者から見て、どれがヒット曲なのかさっぱりわからない状態です。というより、ヒットしてるかどうかは、音楽を取捨選択する際の重要事項ですらなくなりました。

こちらのコラムでも星井七億氏がこんな分析をしています。

本当にオワコン? ネット世代における「紅白歌合戦」の存在意義 - ねとらぼ

情報を得る手段や選択できる音楽が限られていた大衆が流行の音楽を周囲と共有するためにテレビやラジオを頼っていた時代、紅白歌合戦に出る、レコード大賞を取るということはミュージシャンにとっての栄誉であり、流行を映す鏡であり、リスナーの大衆にとってチェックしておくべき音楽の指針として働きましたが、趣味や嗜好の多様化によって流行の音楽を追う必要性がなくなり、ネットに触れれば自分の好みにマッチした音楽へすぐにアクセスできるようになった現在、テレビの前に座りテレビがこれぞと言って箔(はく)を付けた箔をつけた音楽を流してくれるのを待つ必要がなくなりました。リスナーが大衆音楽に権威を求めなくなり、共有の手段は動画サイトへと移り変わり、テレビやラジオは音楽の世界において影響力を失っていきます。

 これじゃ、紅白のコンセプトも変えていかなきゃ持ちませんよね。

2,これに伴い、出場者側からの紅白への要請事項が変わっていく

ここは、星井氏のコラムの分析が鋭いな、と思ったのでそのまま転載します。権威付けに使えなくても、出場へ至るためのストーリーとセットなら、まだまだ重みを持つものだ、という分析ですね。 

繰り返しますが、紅白はもうそれ単体で権威たることはできなくなっています。ですが、視聴者からの関心が薄れつつあるにも関わらず「紅白歌合戦に出られることは誉れである」というイメージだけは残り続けているので、紅白歌合戦という存在は個々のアーティストが持つ小さな物語を演出する小道具として利用されるようになりました

今年で言うと、復活した「レベッカ」や星井氏のコラムで取り上げられた「ももクロ」の紅白卒業や、アニメからのスピンアウトした「ラブライブ=μ's」などは、背後に紅白出場を組み込んだストーリーを消費者に提示して販促につなげていきそうです。

3,演歌を聞く人がいなくなり、代わってナツメロ需要が増えた

統計データが見つからなかったので、体感的な話になります。昔、かるびが幼稚園~小学生の頃=1980年台は、40代以上の大人は良く演歌をカラオケレパートリーにしていたと思います。父の会社の慰安旅行や、親戚のホームパーティで出てくるレーザーディスクやカセットテープのカラオケでは、実に演歌が多かったです。

だけど、今の団塊世代以下で、カラオケに行って演歌をガンガン歌う人ってほとんどいないんじゃないでしょうか?普通にコブクロとか歌ってますし。

Wikipediaの記事では、「この節には独自研究が含まれているおそれがあります。」とのカッコ書き付きですが、興味深い分析記事がありましたので、引用したいと思います。

演歌 - Wikipedia

現在、60代後半〜70代以上の高年齢層限定のジャンルという認識が強いのは否めず、若い世代のファンが圧倒的に少ない。(中略)

有線などでの小ヒットはあるものの、大泉逸郎『孫』、氷川きよし『箱根八里の半次郎』以来世間を揺るがす程の大ヒットはなく、全体的な低迷が続いている。 
また、1960年代以降に洋楽のロックや日本製のフォークやニューミュージック、アイドル歌謡などを聴いていた戦後生まれの世代が中年層になっても演歌に移行せず、ロック・フォークなどを聴き続けている者が多いことから、演歌ファンの高齢化が顕著になっている。

 これに変わり、相変わらず紅白のメイン視聴者層である中高年以上をターゲットとして、視聴率を稼ぎたいNHKが打ち出したのが、

・カラオケ的な曲を一杯並べて

・70年台~80年台のナツメロ推し

ということだったんだろうかなと思いました。NHKもターゲットにピッタリ寄り添う形で番組編成を考えた結果、こうなったんだろうなと思います。

また、こんな意見もあります。【2016年1月28日追記】

そう、我々が20代~30代あたりまでの若い時に聞いていた音楽が、詳細の「演歌」的なカテゴリになっていくのですね。

まとめ

再度書きますが、紅白歌合戦の大トリを務めたのは、近藤真彦と松田聖子。共に、80年台前半の大ヒット曲を歌ってくれました。'81年、’82年といえばかるびはまだ6歳、7歳の頃です。とは言え、もうブラウン管テレビで親と一緒に見てましたので、よく知っています。当時両親がよく「ギンギラギンに~」と口ずさんでいました。

そういえば、総合司会も黒柳徹子でした。NHKは、戦後70周年の総決算に、NHKの顔として総合司会に抜擢した、と説明していましたが、あれはもうどう見ても「歌のベストテン」しか連想できませんでした。久米宏もなんなら呼んで来て欲しかった。

やはり年末年始、チャンネル権を持っているのは家父長層である、中高年層なのでしょう。NHKも、大看板番組を少しでも盛り立てようと、変わりゆく環境、嗜好の中で懸命に50代、60代にフィットする番組作りを探っているのだな、と妙に感心しました。というところで、終わりにしたいと思います。

それではまた。

かるび

PS、来年はピンクレディが再復活すると予想・・・

PS2、id:pbncさん、id:yas-malさん、id:kazkaz03さん、id:ata00000さん、データ誤り、引用等についてのご指摘ありがとうございました。修正いたしました。最後データ仕上げたのが朝4時でフラフラだったので、見なおして愕然。眠い時にアップした記事は間違い多いです、、、

*1:後日、研ナオコはこの曲は嫌いだったと何度かぼやいたとか・・・

*2:シブがき隊は、リリース予定の曲を紅白で初披露したとか。よって、1986年リリースとしてます