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あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して3ヶ月。無職または専業主夫で、ブログ書いてます。美術展と人事労務系の記事が多め。

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「屏風にあそぶ春のしつらえ」展@泉屋博古館分館は春らしい展示が印象的でした!

アート
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かるび(@karub_imalive)です。

2月25日からスタートする泉屋博古館分館での展覧会「屏風にあそぶ春のしつらえー茶道具とおもてなしのうつわ」のブロガー内覧会に当選したので、行ってきました。住友財閥のオーナー家が収集した日本の絵画や伝統工芸品を展示公開している「渋い」美術館です。

簡単ではありますが、以下、感想とみどころを書いてみたいと思います。

※なお、ブログ内での画像は、主催者の許可を得て撮影したものです

1.混雑状況と所要時間目安

今回の展覧会は、特に動けなくなるほど混雑することはなさそうです。展示作品は約60点なので、1時間ほどあれば、ザーッと見ることは可能。ただし、膨大な人物が丁寧に描かれた、「ウォーリーを探せ」状態な、展覧会の一番の目玉展示「二条城行幸図屏風」を丹念に見るなら、90分~120分ほど見ておきたいところです。

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2.泉屋博古館とは?

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(引用:Wikipediaより)

日本には、コレクター達が設立したたくさんの私立美術館があります。中でも、その収蔵品のコレクションが充実していて、運営が安定しているのは「旧財閥系」の設立した美術館です。パッと挙げてみると・・・

・三菱一号館美術館(三菱系)
・三井記念美術館(三井系)
・泉屋博古館/分館(住友系)
・東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館 (旧安田系)

と、明治維新以降、名だたる財閥系企業、はみんなちゃんと自前の系列美術館を持っているわけです。

今回行ってきた、泉屋博古館(せんおくはくこかん)分館は、特に日本の伝統的な美術に造詣が深かった住友財閥の第15代当主「住友春翠」及び、その子、住友寛一のコレクションを核として、これまで住友家が収集してきた美術品を展示する美術館です。

東京の「分館」は、南北線が開通して、六本木一丁目駅前の複合施設「泉ガーデン」の構内に2002年にオープンしました。駅から徒歩1分と恵まれた立地で、しかも大通りから離れた、閑静な環境の中にたたずむ小規模な美術館です。

美術館の「泉屋」というのは、元々住友家が江戸時代につけていた屋号です。住友家は江戸初期から、大坂を拠点に銅山開発や銅の精錬・輸出を手がけてきました。そのためか、本館は京都にあって、本館と分館はコレクションを共有しているため、しばしば企画展を連携して開催することもあります。

所蔵品には、絵画では円山応挙や伊藤若冲、与謝蕪村など、江戸期以降明治・大正といった近代までの名だたる画家たちの作品がハイライトです。工芸作品では、殷周時代の中国の青銅器に始まり、中国の有名な古窯の各種うつわ、仁清や乾山といった江戸期の巨匠工芸家作品、宮川香山、板谷波山らの明治大正期の超絶技巧系作品など、非常に多岐にわたります。

住友春翠は、生前、尾形乾山の食器や野々村仁清のうつわを惜しげもなく財閥主催の茶会や食事会で頻繁に使っているんですよね。いいな~。

3.「屏風にあそぶ春のしつらえ ―茶道具とおもてなしのうつわ」展とは?

展覧会名のタイトル(長い!)が示すとおり、今回の展覧会で目玉となる大型作品は、屏風「二条城行幸図屏風」や「四季草花図屏風」などの屏風絵でした。屏風に描かれた春の草花や人々の装いから、春の訪れを楽しめます。また、一緒に展示されている絵画の作品群は、春らしく桜が満開な絵が多く展示されていました。

副題にある通り、今回の展覧会では、泉屋博古館が収集した非常に貴重な「お茶会」用の茶道具が沢山展示されています。特に、2017年上半期は、東京国立博物館で開催される「特別展 茶の湯」(2017年4月~)や、東京国立近代美術館での「茶碗の中の宇宙展」(2017年3月~)など日本の伝統文化「茶道」に関する注目の展覧会が多く開催されますがが、その予習にもぴったりな展覧会だと思います。

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4.展覧会のみどころ

せっかくなので、今回のブロガー内覧会で説明してくださった学芸員の方に、ずばり展覧会の見どころはどこなのか?聞いてみました。

おすすめポイント1:寛永文化の優れた作品群の展示

今回の展示では、17世紀前半の、いわゆる「寛永文化」に関する作品群がジャンル横断的に特集されています。寛永文化とは何か・・・というと、ちょっとWikipediaから抜粋してみます。

寛永文化(かんえいぶんか)とは、16世紀の桃山文化と17世紀後半の元禄文化に挟まれた17世紀前半(江戸時代初期)の文化。寛永年間を中心として、慶長あるいは元和から寛文年間の約80年前後の時期を指す。

美術館に通って日本美術を見ていくとわかるのですが、日本美術の作品は、江戸時代後期の18世紀後半頃から一気にクオリティも上がり、作品数が増えていきます。それ以前の江戸初期や、それ以前の桃山時代以前になると、戦乱の世の中で消失したものが多いのか、一気に数が減っていきますし、残っていたとしても、保存状態が悪いものが多いのですよね。

そんな中、今回の泉屋博古館分館で展示されている作品群は、17世紀前半の寛永文化に関する屏風や茶器などの貴重なコレクションが中心です。しかも、結構保存状態が良いものが多いのです!

宮川長春「遊女図鑑」
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まず、17世紀後半に活躍した、浮世絵師宮川長春の絵巻物。ものすごい鮮明で、17世紀の作品とは思えない保存状態の良さです。華やかな遊女たちの服装が印象的でした。

二条城行幸図屏風(作者不明)
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目玉となる「二条城行幸図屏風」は、17世紀前半の作品とは思えないほど良好な状態で、非常に貴重な作品でした。寛永3年(1626年)、上洛中の徳川秀忠、徳川家光の招待で、後水尾天皇が二条城に行幸した時のシーンを描いた作品。

長らく学芸員さんのお話では、作品の性格上、一度製作されてからほとんど使われた形跡がなく、18世紀から住友家の蔵の中に眠っていたため、これだけ良好な保存状態を保つことができたのだろう、という見解でした。今回は、5年ぶりの展示となります。

見どころは、何と言っても描きこまれた3200名という膨大な人数と、彼らの服装です。公家・武家・商人・農民と、その服装はきっちりと描き分けられ、寛永期のそれぞれの階層の人々の服装が忠実に反映されているといいます。

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なお、正面のロビーに、「二条城行幸図屏風」を詳細に解説したビデオ動画が放映されていますので、見終わった後は、こちらもチェックすると良いかもしれません。

さらに、野々村仁清の茶器「唐物十九種茶入」「白鶴香合」「鶏撮丸香炉」なども非常に見応えがありました。

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おすすめポイント2:初公開!菊池容斎「桜図」

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実は恥ずかしながら、菊池容斎の作品は今回が初見だったのですが、彼は狩野派や琳派、円山四条派など、当時確立していた様々な日本絵画の流派をすべて吸収し、その上で自分自身の独自の画風を打ち立てた日本画家でした。

菊池容斎77歳の時の自画像
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(引用:Wikipediaより)

菊池容斎は非常に長命で、江戸後期の1788年に生まれ、亡くなった明治時代前期の1878年まで多数の弟子を育て、特に孫弟子には速水御舟や今村紫紅といった明治期に活躍した日本画家も多数輩出しました。

今回出典された「桜図」は、画面中央に大きく桜の巨木がどーんと描かれた華やかな作品となりました。花びら1枚まで丁寧に描きこまれていて、繊細で技巧的です。春らしさ全開の素晴らしい絵画でした。

なお、本作品は、2002年に住友家からコレクションを一括寄付されて以来、今回が初公開となるそうです。

おすすめポイント3:超絶技巧な工芸品の数々

泉屋博古館では、明治期の、いわゆる「超絶技巧」系な工芸作品も精力的に収集しており、今回も幾つかはほれぼれするような工芸品が展示されていました。

なかでも、二代目川嶋甚兵衛による「猟犬図額」は凄い作品!

川嶋甚兵衛「猟犬図額」
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写真だとわかりづらいのですが、一見絵画風に見えて、実は「川嶋織」と呼ばれる織物でできているのです。数千種類の糸を使って表現された超絶技巧作品なのですが、川島織物内に後継者がおらず、現在これを再現するのは残念ながら不可能なのだそうです。

伝佐々木庄次郎「半磁器桜花模様花瓶」
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また、伝佐々木庄次郎「半磁器桜花模様花瓶」も、桜の花びらが白い半磁器に丁寧に彫りつけられている華やかな作品でした。

5.まとめ

泉屋博古館分館での「屏風にあそぶ春のしつらえ ―茶道具とおもてなしのうつわ」展は、春の訪れを感じさせる華やかな作品がジャンル横断的に展示された展覧会です。是非チェックしてみてくださいね。

それではまた。
かるび

関連書籍

二条城行幸図屏風を保有する泉屋博古館から出版された、この屏風絵を掘り下げて研究・解説した本。カラー拡大写真満載で、マニアックでわかりやすい!一般の書店にあまり置いていないので、会場で買うか通販で手に入れる感じになると思います。

展覧会開催情報

「屏風にあそぶ春のしつらえ ―茶道具とおもてなしのうつわ」展は、2017年2月25日からGW明けの5月7日までの開催。前後期で、かなりの数の展示品が展示替えとなります。

◯所在地
泉屋博古館分館
〒106-0032 東京都港区六本木1丁目5-1
◯最寄り駅
地下鉄南北線「六本木一丁目駅から徒歩5分程度

◯展覧会会期

屏風にあそぶ春のしつらえ ―茶道具とおもてなしのうつわ
2017年2月25日(土)-5月7日(日)
《前期》2月25日(土)-3月26日(日)
《後期》3月30日(木)-5月7日(日) 

◯開館時間・休館日

午前10時00分~午後5時00分(入館は4時30分まで)

月曜休館 、3/21、3/27-29(展示替のため)
◯公式HP
http://www.sen-oku.or.jp/tokyo/