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あいむあらいぶ

東京の中堅Sierを退職して3ヶ月。無職または専業主夫で、ブログ書いてます。美術展と人事労務系の記事が多め。

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【美術展感想】大原美術館コレクション展を見てきました(国立新美術館)

趣味
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かるび(@karub_imalive)です。

今年は、芸術に一杯触れるぞ~ってことで、美術展をできるだけ多く回ろうと思っています。昨日は、国立新美術館で開催されていた、「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」に行ってきましたので、その感想を書いてみたいと思います。

大原美術館コレクション展とは

岡山県倉敷市に、大原美術館という中国地方最大級の私設美術館があります。現在のクラボウ、クラレ、中国電力などを創立した、大原財閥の創始者、大原孫三郎が1930年に設立しました。大原美術館は、日本初の近代西洋美術館として有名で、戦前は、日本のルーブルと呼ばれていました。

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(引用元:Wikipedia)

その大原美術館の膨大なコレクションの中から、特に著名で貴重な西洋画など数十点を東京新国立美術館に持ってきて紹介したのが、今回の展示会。作品リストPDFは、こちらからDLできます。

この展示会では、東洋・中国美術品から西洋絵画、大正~昭和初期の日本人洋画家の絵画、陶磁器類、版画、そして現代絵画まで、様々なコレクションが飾られていました。

当日の混雑状況

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日曜日の朝一の開門すぐの10時すぎに到着したのですが、ご覧のとおり朝一でしたので、ほとんどまだ人が入館していません。

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入口前もこんな感じ。

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それでも、見終わった13時ごろには、ロビーは人でごった返していましたので、会期終了前の土日などは、かなりの混雑になるのでしょうね。土日に行くなら、とにかく朝一番が良いと思います。

音声ガイドについて

いつもの通り、入り口で音声ガイドも借ります。有料なので、借りている人はいつもそれほど見ないですが、僕は余すことなく観たいので、迷わずいつも借りるようにしています。520円でした。

音声ガイドは、女性のナレーターに加え、男性はなんとピースの又吉直樹。

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(引用元:音声ガイドのご案内 | Hajimari 2016

まぁ又吉の音声は全20ガイド中、半分もなかったような気がします。最近、文化人っぽい仕事が増えてますよね。ただ、中途半端に関西弁でやられても、なんとなくしっくり来なかったような(^_^;)

児島虎次郎という凄腕キュレーター(兼画家)

大原美術館建設前の1910年頃、日本では西洋画家は数えるほどしかいませんでした。実業家として早々と成功した大原孫三郎がまず手をつけたのが、自らがパトロンとなって、優秀な芸術家を育成する事業です。大原は、これは!という芸術家に対して、ヨーロッパへの留学費用を肩代わりし、芸術家育成を進めます。

その大原とわずか1歳違いで、大原孫三郎に見出されたのが、児島虎次郎。大原の援助で、西洋画家としてフランスに留学して腕を磨きます。と、同時に後の大原美術館のキュレーターとして、現地で買い付けにも大活躍しました。

特に圧巻なのは、現地で、モネ、ドガ、ロートレック、マティスら印象派を中心に、ビッグネームから臆せずガンガン直接買い付けをしている点。ロダンとも親交が厚かったようで、ロダンから買い付けた(意味不明な)小さな彫刻もありました。

また、児島虎次郎自身も、昭和初期を代表する西洋画家でした。日本でも、過去に個別展が開かれたこともあります。そして、今回展示されていた児島の作品はこちら。

「和服を着たベルギーの少女」(1911) 

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圧巻でした。独特の筆使いで、近くで見ると油絵の具が立体的に浮いており、離れてみると、特に少女の着物が映えています。不思議な魅力を持った絵でした。是非生で見て欲しいです。

色んな展示があり、勉強になった

お椀とか陶磁器とかも、迫力があって良かったものは多かったです。が、正直、何がどういいのか言語化してまだ説明できるレベルではないので、泣く泣く割愛。というか、陶磁器やお皿を見て「こっ、これは!!うむぅー」と唸れるようになりたい(*´∀`*)

また、最終セクションでは、現代美術にも力をいれていました。展示スペースは一番が大きかったのですが、何を意味してるのかサッパリわからず、客は割と素通りしてました(笑)

一応手元に取ったメモを見返すと「アンフォルメル運動」に影響を受けた様々な絵画・・・が飾ってあったらしい(T_T) この辺はもう少し勉強せねば・・・。

また、日本の西洋美術の草創期に立ち上がった美術館なので、当時の日本人トップ画家達の絵画がかなり充実していました。印象派やフォービズム・キュビズム、戦時中など一通り揃っています。時系列に見ていくと、日本の洋画が発展していく様子が分かりました。

特に良かった西洋画を紹介

さて、ここからは、特に良かった西洋画を中心に、印象深かった絵画をいくつか紹介していきます。

1,エル=グレコ「受胎告知」

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今回展示の一番の目玉とされている1枚。文句無しに存在感がありました。

何でも縦長に人物を買いちゃうギリシャ人のスペインで活躍した有名画家、エル=グレコ。世界的に有名ですね。この絵画は、前に紹介した児島虎次郎が、パリの画廊で一目ボレして買い付けた作品です。当時の金額で、200,000フラン≒30,000円なので、現代だと約1億5千万円でしょうか?!

流石に高すぎて、虎次郎もその場で即決購入はできませんでした。そこで、虎次郎は大原孫三郎に電信で「カネオクレ」と送ります。無事、60日後に、孫三郎から「グレコカエ、カネオクル」と連絡が来て、無事買い付けできました。

今だったら、この手のやり取りはその場でスカイプとかで一瞬でカタがつきますが、当時はこんな簡単なやり取りをするだけで、60日かかる時代だったのですね。時代を感じさせます。

2,ドガ「赤い衣装をつけた三人の踊り子」

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ロリコンで、踊り子マニアのドガ。練習シーンを丹念に観察して描いたと言われます。抽象的で暗めの背景の中、踊り子がクローズアップされる構図。どこからどう見てもドガらしいタッチの絵画です。

3,ピサロ「りんご採り」

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こちらも、虎次郎が直接買い付けした1枚。ピサロは、生涯印象派的な絵を描き続け、ブレなかった画家ですが、その画家人生の中で、一時期だけ「点描画法」にハマった時期がありました。これはその時期の絵画です。こうやってJpeg画像で見るとあまりわかりませんが、絵の前に立つと点描技法がどんなものなのか、よくわかります。

ちなみにこれ、当時の価格で画商から提示された価格が1枚45,000円。当時の価格で1億円程度と言われています。

4,ルノワール「泉による女」

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虎次郎同様、大原孫三郎の支援で、パリに留学していた満谷国四郎が直接ルノワールに製作依頼をした1品。依頼時、すでにルノワールは重いリューマチで筆もちゃんと持てない状態だったのですが、無理を承知で頼み込んで書いてもらった一作です。そして安定の裸婦像(笑)

なんでも、日本に輸入する際に税関で止められないように、当初は完全に裸婦だったところを、下半身に布を描き足して配慮してくれたという逸話が残っています。

5,モネ「睡蓮」

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こちらはモネの晩年作。児島虎次郎が、直接買い付けにジヴェルニーのモネの御殿に三顧の礼で通いつめ、ボタンの苗木をお土産に持参して落としたという逸話があります。晩年のモネの中ではわかりやすく、優しい光にあふれた作品です。

6,藤田嗣治「舞踏会の朝」

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パリに渡って昭和初期に最も成功した西洋画家、藤田嗣治。「素晴らしき乳白色の地」と褒め称えられた、日本画の画法も融合させた新鮮な作風が、現地で受けました。最終的に「レオノーレ・フジタ」と名乗り、フランス人に帰化しています。しかし舞踏会の朝になぜみんな裸なのか、、、。印象派とかその辺りの人は、すぐに裸婦像を描きたがります┐(´д`)┌ヤレヤレ

7,安井曽太郎「外房風景」

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(引用元:http://blogs.yahoo.co.jp/yahagi1999/GALLERY/show_image.html?id=18745404&no=5

デッサンの神と呼ばれた日本の近代洋画の巨匠、安井曽太郎が描いた海辺の寒村の風景。これが一番気に入りました。画像にすると大したことないのですが、目の前で見ると、リアル感が全然違います。

房総半島や伊豆半島って、この絵の構図のように、山が背後にすぐ迫る、漁港がある狭い港町が多いんですよね。太陽が眩しくて明るいんだけど、どことなく郷愁やな一抹の寂しさが漂う、そんな風景画でした。

ちなみに、この絵のモデルとなった風景は、こちらで描かれています。

鴨川行ったら、今度ここに泊まってみよう。

まとめ

こういう◯◯美術館展、っていう企画は色々ありますが、絵だけじゃなく、古代東洋美術から陶磁器、皿、現代美術まで、幅広く集めた作品展は珍しいと思います。全部見て回るのに2時間以上かかって、へとへとになりました。

いつの時代も共通して、美術品の収集はお金持ちの趣味であり、権力や富の象徴ですね。しかし、メディチ家にしてもこの大原孫三郎にしても、彼らが道楽で集めた美術品がこうしてずっと後の世代まで残り、人々の心を豊かにし続けているという事実は、素直に凄いことだと思います。

特に、この大原美術館は、東京でも大阪でもなく、一地方都市である倉敷市にあるっていうのもいいですね。是非、今度中国地方に観光に行った際は、大塚美術館と共に行ってみたい美術館となりました。

それではまた。

かるび

PS

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