【2017年12月25日最終更新】
かるび(@karub_imalive)です。
12月22日にNetflix配信限定の映画作品「ブライト」を見ました。ネトフリに加入したのは今年の9月だったのですが、リアルタイムで配信されてきたコンテンツをその日のうちにすぐに見たのは、これが初めてです。
主演にウィル・スミスを迎え、Netflix史上最高額となる9,000万ドルが制作費として投入された本作。劇場で公開されず、自宅で見るブロックバスター配信作品とはいかなるものだったのか?早速ですが、感想・考察等を織り交ぜた映画レビューを書いてみたいと思います。
※本エントリは、後半部分でストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が一部含まれますので、何卒ご了承ください。できれば、映画鑑賞後にご覧頂ければ幸いです。
- 1.映画「ブライト(Bright)」の予告動画・基本情報
- 2.映画「ブライト」主要登場人物・キャスト
- 3.途中までの簡単なあらすじ
- 4.ネットフリックス映画「ブライト」のレビュー(感想・評価)
- 5.映画「ブライト」に関する10の疑問点~伏線・設定を徹底考察!~
- 6.まとめ
- 映画「ブライト」に関連する書籍・CD等の紹介
1.映画「ブライト(Bright)」の予告動画・基本情報
【監督】デヴィッド・エアー(「エンドオブウォッチ」「スーサイド・スクワッド」)
【配給】Netflix配信
【時間】117分
引用:Wikipediaより
本作でメガホンを取ったのは、前作「スーサイド・スクワッド」でコアなファンから散々な評価をもらってしまい、捲土重来に燃えるデヴィッド・エアー監督。脚本家として活動を開始した初期から監督業へと主軸を移した近年まで、一貫してロサンゼルスの下町地区を中心とした刑事アクションストーリーを得意としています。
過去作では、例えば、低予算ながら圧倒的なリアリティで絶賛されたバディもの刑事アクション映画「エンド・オブ・ウォッチ」、若き日のジェレミー・レナーやコリン・ファレルを配し、警察特殊部隊による激しいアクションの連続が魅力の「S.W.A.T」(脚本担当)など、力作ぞろいです。
本作は、Netflixで過去最大となる約100億円の制作費を投入して制作されました。制作現場は、ほぼデヴィッド・エアー監督にフリーハンドで任され、作家性を自由に発揮できる理想的な環境が整っていたようです。編集段階でモメにモメた「スーサイド・スクワッド」より格段にやりやすかったようですね。
引用:Bright (2017) - Rotten Tomatoes
12月22日に世界100カ国以上で一斉に配信が開始されると、配信作品としては異例の反響を呼んでいますが、批評家の評価はかなり辛めな反面、一般視聴者からはかなりの高評価と、意見が割れています。映画産業の構造を壊しかねない本格的な作品だけに、無意識に敵対的な姿勢を取るプロの評論家が多かったのかもしれません。
2.映画「ブライト」主要登場人物・キャスト
ダリル・ウォード(ウィル・スミス)
引用:アクション超大作『ブライト』予告編 - YouTube
デヴィッド・エアー監督とのコンビは、「スーサイド・スクワッド」以来2作連続となります。主役なのにあまり元気がなかった前作とは違い、本作ではのびのびと演技できていましたし、来日時の舞台挨拶も終始ハイテンションでした。鬱で泣き虫キャラを演じた、これまでのウィル・スミスらしからぬ配役が印象的だった「素晴らしきかな人生」(2017)もおすすめです。
ニック・ジャコビー(ジョエル・エドガートン)
引用:アクション超大作『ブライト』予告編 - YouTube
「スター・ウォーズ」プリクエルシリーズでのオーウェン役で知名度を上げると、2015年頃から年間4~5本のハイペースで歴史ものからアクションまで、幅広く渋めの作品に出演歴を重ね、順調にキャリアを積んできています。今作では、実際の顔がわからなくなるくらいの分厚い特殊メイクでオークの新人警官に扮しています。
レイラ(ノオミ・ラパス)
引用:アクション超大作『ブライト』予告編 - YouTube
本作でのヴィラン役。10代の頃から武術をたしなんでいるため、撮影中は極力スタントダブルを使わず、自分で演じることも多かったといいます。現在、ちょうど1人7役に挑戦した「セブン・シスターズ」が小規模公開ながら好評を博しています。
ティッカ(ルーシー・フライ)
引用:アクション超大作『ブライト』予告編 - YouTube
オーストラリア出身の若手俳優。同国TV作品で人気になり、最近ではハリウッド作品出演にも積極的に進出しているそうです。代表作に「ヴァンパイア・アカデミー」。僕も含め、日本人にとっては、恐らく本作で初めて彼女のことを知る人が多いかと思います。
3.途中までの簡単なあらすじ
常に死の危険と隣り合わせの街、ロサンゼルスのサウスセントラル。ロサンゼルス市警で長年ベテラン捜査員として勤め上げてきたダリル・ウォードは、ここ最近、オーク種族から初の警察官へと登用された新米捜査員ニック・ジャコビーとコンビを組むようになっていた。
嫌われ者のオークであるニックには仲間内からの風当たりも強かったが、先日の対オーク犯罪組織への捜査で、ウォードを危険な目に合わせた上、わざと犯人を逃したという疑惑も生まれていた。普段はただ職務に忠実で、余計な差別意識など持ちあわせていなかったウォードも、さすがにニックとのコンビに嫌気が差しはじめていた。
ある夜、巡回中の二人に、エイブラムス邸で騒ぎが起こっていると本部から連絡が入り、二人は現場へ急行する。立てこもり犯を射殺して、室内へと入ったウォードたちは魔法の達人「ブライト」が魔法の杖「ワンド」を使った手口と見られる奇妙な猟奇殺人の痕跡を見つけ、「ワンド」を持つティッカというエルフを保護するのだった。ティッカは、元々ダークロードの復活を狙う「インファーニ」と呼ばれるエルフ達の仲間だったが、怖くなって組織を逃げ出してきたのだった。
事件のカギを握るのは、普段ウォードたちには最も円通り「魔法」の力を持つ1つのワンドの存在だった。「ブライト」以外の人間がそれに触れただけで、瞬時に灰になって消滅する程の恐ろしい力を秘める一方、その不思議な魔法の力を求める者は後を絶たなかった。
ワンドを集めて、力を手にしようとする人間の犯罪集団「アルタミラ」、伝説の「ダークロード」の復活を目指すダーク・エルフたち、その動きを封じようとする魔法捜査官など、様々な利害関係者が入り乱れ、ワンド争奪戦は熾烈を極めていく。その中で、ウォードたちはティッカの願いを聞き入れ、意外な行動に出るのだったー。
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4.ネットフリックス映画「ブライト」のレビュー(感想・評価)
1本の映画として見ると「ダメ」だけど、ドラマの第1話としてなら許容範囲
まず、本作を見終わって1回目の感想は「あーあ、なんだか色々とっちらかったまま終わってしまったなー」ということ。
まず、見始めて数分で、世界観を理解・把握するのに苦労することに気づきます。Netflix公開作品ということもあり、視聴前に世界観や設定などを予習できる情報が極端に少なかった割には、映画が始まった途端、矢継ぎ早に説明される内容に、理解が追いつかないままストーリーが先へ先へと進んでいく感じ。最初から数作単位でのシリーズ化を前提に、映画冒頭からがっちり設定や伏線の説明が入ってくる感じですね。
過去作を復習するとわかるのですが、デヴィッド・エアー監督の刑事モノ作品は、たいていストーリー構成に黄金パターンがあります。危険と隣り合わせの日常業務をこなす中、主人公たちがある事件に遭遇・解決することで、思いがけずに、社会全体にインパクトを与えるような大きな事件へと否応なく巻き込まれているという展開になることが多いのです。
今回も日常業務をこなす中で偶然事件が起こる
引用:アクション超大作『ブライト』予告編 - YouTube
そして、今回も、途中まではテンプレート通りの展開となりました。本作では、ウォードとニックが伝説の魔法の杖「ワンド」を事件現場で偶然拾ってしまうところから、ストーリーが大きく変化していくことになります。
ただ、そこからの把握がちょっと難しくなっていきました。現実世界での刑事捜査であれば、細かい前提知識は不要なので、すぐに核心部分へ入っていけたのでしょうが、本作で描かれるのは、魔法と伝説が息づく世界です。麻薬捜査やギャングとの銃撃戦の代わりに、異種族間でのワンドの争奪戦が描かれるのです。
キーアイテム「ワンド」を偶然手にしたウォード達は、「インファーニ」「フォグティース」「アルタミラ」「光の盾」「魔法捜査官」など、まるで、吸い寄せられるかのように「ワンド」に群がってくるそれぞれの種族の男たちに翻弄されていきます。このあたりの展開は目まぐるしすぎて、ついていけません(笑)誰がアルタミラで誰がフォグティースなの?光の盾って、道具じゃなくて秘密組織の名前だったの??・・・等々、頭ごちゃごちゃの状態でも、ストーリーはどんどん進んでいくんです^_^;
これら一連の状況が、何も情報を与えられないまま、現場で捜査を行わざるを得ないLAPDの末端ヒラ捜査員から見た視点で終始描かれるので、劇中のウォード同様、視聴者もまた何が起こっているのか全体像がつかめず、消化不良な宙吊り状態に置かれます。
逃げて、襲撃されて、撃退して、また逃げて、襲撃されて・・・という展開を3回ほど繰り返す中で、少しずつ手がかりを得てストーリーの核心へと近づいていくんですが、この間、各種設定・伏線等がセリフの中で断続的に明らかにされていきます。なので、主演二人のバディ・ムービーとして掛け合いを楽しむとかそういう余裕がまったくなくて、ひたすらプロットや登場人物を理解することだけで一杯一杯になってしまいました。
恐らく、これが映画館での上映だったら、きっと映画が終わったときに「全然わからんかった~」とか憤っていたと思います。劇場で完結する1本の独立した映画として見てみると、これでは、ご都合主義的に情報を詰めすぎたB級映画に見えてしまいます。
ただし!本作が通常の映画作品と違うのは、いつでも好きなだけ無料で見返せるということです。PCを開けば、いつでもNetflix上で半永久的に配信公開されているんですよね?!だから、内容がわからなかったら(面白いと思えるのであれば)、愚直に何度でも遡ってチェックすればいいんですよね。
2度目を見返した時、メモを取りながら見たのですが、取ったメモは全部でA4のノートで4枚にもなるなど、通常の映画の倍以上のボリュームになりました。やっぱり詰め込みすぎですね(笑)しかし、後から何度も見返してみると、ちゃんと世界観を伝えるための鍵となる情報は、映画内できちんとセリフとして誰かが言うようになっているんですよね。説明はしてくれていたんだけど、僕の理解力が追いついてないだけでした(笑)
このように、本作が「ネットフリックス配信」という特性を活かして、後から「見返される」ことを前提に最適化された連続ドラマの第一話である、と視点を変えて考えてみれば、本作について不満はありません。むしろ、ありったけ提示された謎や疑問点に対して、映像を見ながら少しずつ自力で紐解いていく楽しみ方もあるのかなと思います。要するに通常の「映画」として見なければ、あんまり腹も立たないということで・・・^_^;
抑制的ではあったけど、最低限ちゃんと表現されていたバディ感
上述したように、本作はシリーズ第1作目として、世界観の構築やストーリーの全体像を見せることを優先させています。そのため、視聴者の意識が二人の掛け合いや絆の深まりに目が向きづらくなっているので、「相棒もの刑事映画」としては少し見劣りする感覚があります。
ただ、よく見てみると、対照的な性格の凸凹コンビとして、ディテールに至るまでちゃんと設定は一通り作り込まれているんですよね。
本作では、信頼関係が「マイナス」の状態からようやく「ややプラス」の状態に戻した程度であり、バディものムービーとしての醍醐味が本格的に味わえるようになるのは、2作目以降になるのではないでしょうか?
そういえば、他作品に目を向けてみても、例えば、メル・ギブソンとダニー・グローヴァーの名作シリーズ「リーサル・ウェポン」シリーズでも、1作目の段階ではそこまで強い「バディ感」は感じられません。二人の絶妙なケミストリーが心地よくなっていくのは、2作目以降です。
バディもの映画としても、正念場となるのは2作目以降かな・・・という感想です。設定はよくできているので、次作ではもっとこの二人の関係を掘り下げて描いてくれればと思います。
ディストピア感のある階級社会描写は秀逸!
主演二人のバディ感はもう一つ感じられなかった本作ですが、その反面非常によく描けていたと思うのは、オーク・人間・エルフが危ういバランス感でギリギリ均衡を保っている、階級社会のもたらす不安定で不穏な雰囲気です。
2000年前、農民出身のジラクがダークロードを倒して以来、各種族は何とか平穏に暮らしてきたはずなのですが、ロサンゼルスは、経済格差や外見・容姿の違いから、互いへのリスペクトをとっくに失い、種族別の階層社会を形成しているのですが、このあたりの設定は実にうまく出来ていると思いました。
社会の最上階層でリッチなエルフたち
引用:アクション超大作『ブライト』予告編 - YouTube
最上階層のエルフは、高級車を乗り回し、高所得者層限定の居住区に住む一方で、最下層のオークは、サウス・セントラルの猥雑で汚いストリートで昼間から暇そうに歩き回っているところが描かれます。肉屋とか掃除夫とか、人の嫌がる仕事をやっているシーンもありましたよね。
そして、支配階層であるエルフは非常に巧妙な情報統制と愚民政策を進めており「魔法」の存在を徹底的に隠すことで、人間とオークへの支配を強化しようとしていました。一方で、最下層のオークたちは、古くからの預言を信じて救世主が現れることを信じています。そんな中、この階層社会からも外れた闇の存在が、世界を巨大な魔法の力で破滅させるような陰謀を画策している・・・
といったように、ディストピア一歩手前の階級社会における、何か「大きな事件が起きそうな」崩壊前夜の空気感を特徴的に描いた、劇中の映像表現や美術・セットなどは非常に良かったと思います。このあたりは、何度も見返すことで、じわじわと良さがわかってきました。
また、本作では、そんな階層社会で「あからさまな」くらい激しい人種差別が蔓延しており、どんなに鈍感な鑑賞者でも、アメリカを始め世界中で根強く残る人種差別問題を想起せざるを得ません。しかも、主人公のニックは、徹底的に忌み嫌われるオークの中でも、人間との混血種として、彼らの「強さ」の象徴であるキバを持たないという外見上の特徴があるんですよね。このため、種族内でも「ラウンドティース」(歯が丸いやつ)と言われて差別を受けるという二重の差別を受ける最下層の存在です。それにもかかわらず、ニックは劇中で決して実直さを失わず、純粋な心を保持しています。そんなニックの姿に勇気づけられる人も多いのではないでしょうか?
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5.映画「ブライト」に関する10の疑問点~伏線・設定を徹底考察!~
ストーリーや設定について、本作をより深く理解するために要点となりそうなポイントについて、考察や情報をまとめています。内容上、映画を1度見終わった人向けのコンテンツとなりますので、ここからはネタバレ要素が強めに入ります。予めご了承下さい。
疑問点1:世界を構成する3種類の種族やクリーチャーを徹底解説!
映画内で付加された一番のファンタジー要素としては、ロサンゼルスの人間社会が、人間だけでなく、亜人であるオーク・エルフと合わせ、3種族で構成されていたことです。その見どころは、この3種類には、単に外見上の違いがあるだけでなく、一種のカースト制度のように厳然たる階級社会を形成していたことです。階級順に紹介しますね。
★ロサンゼルスの階層社会(再掲)
色白で長身、耳が尖っているのが特徴。「ワンド」を使い、魔法を使える「ブライト」の大半を輩出することから、世界の支配層・特権階級を占める。エルフ専用居住地区があり、皆一様にリッチである。
◯人間
ロサンゼルス市内では一番の多数派民族だが、中間層として日々慎ましく生きている存在。ロサンゼルス警察の捜査員は、全員人間でした。
◯オーク
力が強い代わりに俊敏さには欠ける。容姿の醜さから、社会的・経済的に差別を受け、社会の最下層として扱われる。「クランの掟」と呼ばれるほど同族意識が強く、団結と勇気ある行動を好む。
その他、クリーチャーとしては、フェアリーやドラゴンの姿が画面上では確認できました。(特にドラゴンは一瞬だけ映ります)映画内での「フェアリー」の扱われ方は酷かったですね。亜人種でもなく、単なる害獣として忌み嫌われ、ハエのような扱いを受けていて可愛そうでした・・・
また、本作の世界には、この3種類以外も含めて、全部で9つの種族が存在するようです。明確にセリフとして言及されたのは、マイアミには「ドワーフ」という種族も住んでいるということです。第2作目以降で、他の種族も多数で出てくるのでしょうね。
疑問点2:2000年前、世界に何が起こったのか?ダークロードの正体とは?
引用:映画「ブライト」本編より
2000年前、ダークロードという悪のエルフが、闇の魔法の力で人間やオークなどの他種族を抑制・支配していました。これに対して立ち上がったのが、伝説のオーク、ジラクです。元々田舎の農民だった彼は、9つの種族をまとめ上げ、魔法の力でダークロードを倒して平和な世の中を作りました。この勇気をたたえ、オークたちは彼を「純血種」として認め、リスペクトするようになったのです。
疑問点3:タイトルの「ブライト」の意味とは?
引用:ウィル・スミス主演!『ブライト』新予告編 - YouTube
「ブライト(Bright)」とは、直訳すると「明るい、賢い、頭脳明晰だ」という意味になりますが、本作の中では、「ワンド」を使いこなせるくらい魔法力の強い「選ばれし者」を指す呼称です。世界中のほとんどの「ブライト」はエルフであり、人間では100万人に1人くらいしか「ブライト」はいないとされています。
「ブライト」であるかどうかは、ワンドに触ってみるとわかります。通常の人間がワンドに直接触れると、ワンドの持つ強大な魔力の作用で、周囲を巻き込んで大爆発してしまいます。「ブライト」だけが、ワンドに直接触れることができるのです。
ちなみに、本作終了時までに「ブライト」であることが判明しているのは、レイラ・ティッカ、そしてウォードの3人です。
疑問点4:「ワンド」はどのようにして、何のために使うのか?
引用:ウィル・スミス主演!『ブライト』新予告編 - YouTube
まるでライトセーバーのように青白く光る杖「ワンド」ですが、劇中でティッカが使うシーンから分かる通り、基本的な使い方は「ブライト」が手に持って、何らかの呪文を詠唱することで、様々な魔法効果を発動するための杖なのですね。本作で確認できた魔法は、以下の2通り。
・他人を生き返らせる(呪文名は不明)
・火の玉で攻撃する「ヴァイクワラス」
また、元の持ち主からあまりに離れてしまうと、ワンド本体から「拘束の呪文」が自ら発動されることで、事実上、他人がワンドを持ってどこかへ逃げることができない仕様になっているようです。
疑問点5:「預言書」の存在とは?
本作では、映画冒頭からいきなりその一節が紹介されるなど、映画全体で様々な登場人物たちが、「預言書」の存在をほのめかします。ウォードは最後まで全く気にもかけませんが、「魔法」の存在を信じるエルフやオーク達、「光の盾」のメンバー達の間では、「預言書」の記載内容は基本的な教養となっていそうです。
面白かったのは、一旦フォグティースのボスに殺害されたニックが、ワンドの力で生き返ったシーンです。ニックの復活を目の当たりにしたギャングのオークたちは、預言書の記述通りだとして、以後ニックを純血種として崇め、最大限の敬意を払うようになるんですよね。
ジラクとダークロードの戦いを描いている?
引用:「ブライト」本編より
また、映画冒頭のいくつかのグラフィックアートは、預言書の内容を象徴的に描いたシーンであると思われます。是非、何度も見返して味わってみてくださいね。
疑問点6:「インファーニ」は何をしようとしていたのか?
引用:「ブライト」本編より
「インファーニ」はエルフ族の中でも「反逆したエルフ(Renegade Elves)」と呼ばれ、いわゆる階層社会からは外れた秘密結社的な魔法組織です。階層社会上層部に君臨する普通のエルフたちが、情報統制を勧め、預言書と魔法を否定することで社会を支配しようとする中、彼らは、多数派のエルフとは真逆のアプローチを取ろうとしています。つまり、預言書の内容を具現化するため、ワンドを3つ集めることでダークサイドに落ちたいにしえのエルフ「ダークロード」を復活させることで、社会を転覆させようとしているのです。
彼らは選ばれし魔法使い「ブライト」を多数抱え、100年前には同じ地下組織「イルミナティ」を壊滅に追い込んだほどの実力を持ちます。そのため、連邦政府からも目をつけられており、政府の魔法捜査官たちと水面下で数十年間抗争を続けています。
疑問点7:魔法捜査官は何をしている組織なのか?
引用:映画「ブライト」本編より
ほとんど説明がなく、謎が多い組織でしたが、本作内で明らかにされたこととしては、表向きは「連邦捜査官」と呼ばれていたことから、彼らは地元ロサンゼルス警察の人間ではなく、FBIに所属するのでしょう。警察手帳には「Magic Task Force」(魔法特殊部隊)と書かれており、組織内では「魔法捜査官」と呼ばれていました。
彼らの主な活動目的は、「ワンド」を回収し、悪意ある勢力が「魔法」の力を乱用し、社会の秩序を乱さないようにすることでした。そのため、彼らは20年以上「インファーニ」を摘発するため、レイラを追っていました。
ウォード達の活躍もあって、世界に3つあるとされる「ワンド」のうち、1つはウォード経由で「魔法捜査官」が回収したわけですが、その事実は一切大衆の前では隠蔽され、明らかにされませんでした。恐らく、表向きの活動目的以外にも、真の存在理由が次作以降で明らかになってくるものだと思われます。(案外、ダークロードとずぶずぶにつながっていたりして・・・)
疑問点8:謎の組織「光の盾」とはどんな組織なのか?
「光の盾」とは、インファーニに対抗して、ダーク・ロードの復活を阻止しようと活動している地下組織です。町中の交差点のど真ん中で、狂人のような騒ぎを起こしてわざと捕まり、魔法捜査官と接触したサーリングという人物は、「光の盾」の一種の使者(メッセンジャー)的な人物です。
引用:「ブライト」本編より
その構成員は、後頭部に「焼き印」のような印を刻印され、いにしえから伝わる「預言書」に沿って、ダーク・ロードに対抗し得る人物を探し出し、支援することが主な活動目的なのでしょう。インファーニから逃げ出したティッカが保護を求めて頼りにしたのもこの「光の盾」でした。
まだ、サーリング以外の構成員や、サーリング自身の経歴も全く不明であり、魔法捜査官やインファーニ、ダークロードとどういった因縁・関係があるのかも明らかになっていません。これらの解明は次作以降へと持ち越されました。
疑問点9:ラストシーン・結末の考察~次作への伏線は?
「ワンド」で魔法を発動し、反逆したエルフ・レイラを何とか倒すことができたウォード達。しかし、魔法が効きすぎて、炎に包まれたエイブラムス邸の中で何とか助け出され、ギリギリ生き残った二人は、入院を余儀なくされました。入院中、魔法捜査官達と面会したウォードたちは、「ワンド」を引き渡すこと、魔法の存在を一切口外しないことを条件に、捜査中に同僚を殺害した件を不問に付され、表彰されることになりました。
その表彰式に紛れ込んでいたのは、エイブラムス邸以来行方不明となっていたティッカでしたが、意味ありげに二人に視線を目配せしてすぐに群衆の中に消えていきました。恐らく第2作目も、主演二人とティッカが中心となってストーリーが進んでいくものと思われます。
ここで思い出したのが、映画の序盤で出てきた「光の盾」の関係者、サーリングが警察署へ搬送中の車中後部座席からニックに語った伝言です。
「昔を思い出せ、伝統を忘れるな。預言はお前を選んだ。相棒は祝福を受ける。自分が何者かを知れ。クランの掟がお前を救う」
ストーリーが終わってみれば、この「預言」が見事に成就する形となっていました。ニックは復活し、その勇気をたたえられて英雄となりましたし、その相棒ウォードは、「ワンド」を使える100万人に1人の選ばれし「ブライト」だったのです。
第2作目からは、名も無き一般人だったウォードとニックのコンビが、「ブライト」「純血のヒーロー」となって、預言に「選ばれし英雄」として復活したダーク・ロードと対決していくことになるのでしょうか?
疑問点10:続編の展開を予想する~未回収となった設定・伏線から考える~
ところで、すでに本作のリリースされた12月22日には、NETFLIXが次作に向けて早々に予算を確保し、ウィル・スミスら主演男優に対して出演契約を済ませたことを明らかになりました。デヴィッド・エアー監督も、本作を「スターウォーズ」のような壮大なストーリーにしたい、と野望を持っているようですね。
本作で未回収となった主な伏線や設定を記載しておきますね。
銃で撃たれて致命傷を食らっても、すぐに復活する生命力の強さから、きっと死んでいないと予想・・・
・残り2つのワンドはどこにあり、誰が持っているのか?
3つ集まらないと復活しないダークロードですが、恐らく次作でダークロードが一旦復活することになるのでは?と予想。残り2つのワンドも(色違いのライトセーバーみたいに)きっと次作で出てくると予想。
・なぜウォードは「ブライト」となれたのか?
人類の場合、100万人に1人しか存在しないと言われる「選ばれし者」である「ブライト」にウォードがなぜなれたのか、もう少し説明がありそうですね。
・光の盾とは一体どんな組織でどんな活動をしているのか?
サーリング以外のメンバーは?また、サーリングが持っていた「剣」はどんな意味があったのでしょうか?
・魔法捜査官たちの真の目的は?
1作目では、謎の多かった彼らの存在理由や活動目的。より詳細な描写が待たれます。
・インファーニの次の手は?どう巻き返してくるのか?
レイラとその部下の暗殺者達を失ったインファーニですが、そもそも他に構成員がどれだけいるのか、どんなメンバーがいるのか謎だらけです。
・「ワンド」を使って発動できる他の魔法は?
本作ではわずか3つしか出てきませんでした。次作では存分に「ワンド」のポテンシャルが発揮されるところを見てみたいものです。
6.まとめ
従来の「映画作品」としてではなく、あくまでNetflixで配信される他のドラマ作品と同じように楽しむのであれば、本作はそのシリーズ作品第一弾として、まずまずの出来だったのではないかなと思いました。次作で壮大なストーリーがいよいよ動き出すと思いますので、引き続き、追いかけてみたいと思います。
それではまた。
かるび
映画「ブライト」に関連する書籍・CD等の紹介
オリジナル・サウンドトラックが発売中!
本作では、ロサンゼルスの荒れ果てたサウス・セントラルにピッタリ合ったようなヒップホップやラップ系の音楽が使用されています。その選び抜かれた楽曲は非常に作品の雰囲気に遭っていましたが、「オリジナル・サウンドトラック」としてCD化されて発売されています。