【2017年2月5日更新】
かるび(@karub_imalive)です。
1月27日に公開された映画「マグニフィセント・セブン」を見てきました。日本の黒澤明の代表作「七人の侍」、その西部劇でのリメイク版「荒野の七人」を、50年ぶりに再度リメイクして製作された西部劇です。
VFX/CG全盛となってから、元気の良い西部劇が下火になってきた中、久々に見応えのある、骨太なハードボイルドムービーでした。早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※後半部分は、かなりのネタバレ部分を含みますので、何卒ご了承下さい。
- 1.映画「マグニフィセント・セブン」の基本情報
- 2.映画「マグニフィセント・セブン」の主要登場人物とキャスト
- 3.ラスト・結末までの詳しいあらすじ(※ネタバレ注意)
- 4.感想や評価(※ネタバレ有注意)
- 5.伏線や設定などの解説(※ネタバレ有注意)
- 6.まとめ
- 7.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など
1.映画「マグニフィセント・セブン」の基本情報
【監督】アントワーン・フークア(「イコライザー」「サウスポー」)
【配給】コロンビア/MGM
【時間】115分
本作は、日本映画の金字塔、黒澤明監督の代表作品「七人の侍」と、それをリメイクして製作されたハリウッド名作映画「荒野の七人」を元に、西部劇を現代版にアレンジして製作された、いわばリメイクのリメイク作品です。
2.映画「マグニフィセント・セブン」の主要登場人物とキャスト
タイトルである「マグニフィセント・セブン」からもわかるように、主人公は7人、プラス、ヴィランとヒロイン役をあわせた合計9人が、今作のメインキャラクターとなります。
沢山出てくるので、映画館に行って、「だれが誰だかわからない???」とならないように、できれば映画に行く前に、誰がどの名前でどんな特徴があるのか、何度か予告編動画を見ておくと良いと思います。公式サイトでも、今回特に7人中特に主要なキャラ5人にフォーカスした特別映像が公開されましたので、それぞれ貼っておきますね。
サム・チザム(デンゼル・ワシントン)
表向きは委任保安官、裏の顔は冷徹な賞金稼ぎ。家族を全員資本家に殺され、いつの日か復讐を誓っている。7人の中で最年長にして精神的な支柱として活躍する。
ジョシュ・ファラデー(クリス・プラット)
さすらいのギャンブラー。生き残るために身に着けた銃の腕前も一流。トランプで目の前の敵を欺く器用さと、いざとなった時の大胆さを併せ持つ。7人の中でもある意味もっとも西部劇における典型的なヒーロー像に近い存在。
グッドナイト・ロビショー(イーサン・ホーク)
凄腕の兵士。長い銃身の銃を扱い、南軍として従軍した南北戦争では、「死の天使」と呼ばれ恐れられた。サムとは旧知の仲で、相棒のビリーと放浪生活中だったところ、今回の用心棒にスカウトされる。
ビリー・ロックス(イ・ビョンホン)
中国から移民として渡ってきた細身の東洋人。幼い頃から差別を受け続け、身を守るためにナイフと銃を使い、アウトローになった。賞金稼ぎだったグッドナイト・ロビショーに見初められ、以来コンビを組んでいる。いつも2人セットで戦う日々の中、ロビショーについて7人の仲間に加わった。
ジャック・ホーン(ヴィンセント・ドノフリオ)
山中で狩猟をしながらクラス大きな怪力の山男。かつてクロウ族を300人殺した実績から、ガンマンからも伝説の「クロウ族キラー」として恐れられていた。手斧を軽々使いこなす怪力ながら、足跡をトラッキングする繊細な観察能力も併せ持つ。仲間になってからは、「熊」とマスコット扱いに・・・。
バスケス(マヌエル・ガルシア・ルルフォ)
メキシコ人の強盗。500ドルの賞金がかかったお尋ね者となったが、チザムに見つけられ、「仲間になれば見逃してやる」と言われ、半強制的に仲間になる。二丁拳銃の使い手。
レッドハーベスト(マーティン・センズメアー)
ネイティブ・アメリカン、コマンチ族の若者。長老から、「お前の道は違う」と言われてから、一匹狼で狩猟生活を続けていたが、狩りの途中、サムに出会いスカウトされる。動物の生レバーなど、アメリカ人とは全く違う食生活のため、ローズクリークでの食事が口に合わないと嘆いている。戦闘のたびに違う化粧で臨むなど、風貌へのこだわりは結構あるようだ。
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3.ラスト・結末までの詳しいあらすじ(※ネタバレ注意)
3-1.資本家ボーグの暴虐に対して立ち上がる有志たち
1879年、南北戦争が終結し、資本家による西部開拓が進んでいた時代。アメリカ西海岸の小さな町、ローズ・クリークでは、大資本家バーソロミュー・ボーグがなりふり構わない金鉱山開発と土地買収を進めていた。
この日、ローズ・クリークの教会での町民集会で、ボーグは暴力を背景として1家族20ドルの手切れ金で強制立ち退きを迫っていた。動揺する住民たち。保安官もボーグに買収されており、住民のために動いてくれない中、エマ・カレンの夫、マシュー・カレンが勇気をもってボーグに反論したが、あっけなく撃ち殺されてしまう。また、町の大切な結束のシンボルである教会も、見せしめのため焼かれたのだった。
このままでは町の存続が成り立たないと考えたエマは、用心棒を雇って、ボーグ達と戦ってローズクリークを守ることを思い立つ。エマは、煮え切らない町の男たちを差し置いて、かき集めた町の全財産を持って、復讐するための用心棒探しに出かけた。
3-2.サム・チザムとの出会いと用心棒の仲間集め
別の町では、黒人委任執行官、サム・チザムが周りの不穏な空気の中、酒場にてお尋ね者の「パウダーマン」についてバーテンダーに聞き込みを行っていた。酒場の男たちがサムに銃を向けると、素早く銃を抜いて、男たちとバーテンダーを撃ち殺した。バーテンダーが「パウダーマン」だったのだ。
酒場の男たちが逃げる中、ただ一人酒場に残っていたのは、流れ者のギャンブラー、ジョシュ・ファラデーだった。二人は会話を交わし、サムは酒場を去った。ファラデーも酒場を出ると、かつてイカサマキャンブルで金を騙し取った相手から銃を突きつけられたが、トランプ芸で窮地を脱出した。
一連の動きを見ていたエマは、サムに用心棒になってくれないかと懇願する。金額の少なさに最初は難色を示したサムだったが、ボーグの名前を聞いたサムは、思うところもあり結局用心棒を受けることにした。
一方、ファラデーは有り金が底をつき、借金のカタに持ち馬まで取られてしまっていた。ファラデーは、馬を取り返す金をサムに肩代わりさせる代わりに、用心棒に加わることになった。
その後、ボルケーノ・スプリングスという町に到着した一行。ビリー・ロックスという男が、ナイフで鮮やかに相手を仕留めた決闘シーンに遭遇した。ちょうどそこで、サムの旧知の凄腕ガンマン、グッドナイト・ロビショーを見かけたため、サムはグッドナイトを仲間に引き入れた。自動的に、グッドナイトの現在の相棒であるナイフ使いのビリーも仲間になった。
さらに、サムは別の町で、賞金稼ぎのお尋ね者となっているメキシコ人のバスケスを仲間に引き入れ、さらに山間部の町で、斧使いの名手、山男のジャック・ホーンにも声をかけたが、一旦は断られた。
仕方なく、5人集まったため、一旦ローズクリークへ向かった一行だったが、その道中でネイティブ・アメリカンのレッド・ハーベストという一匹狼を気脈を通じたサムは、彼も仲間に引き入れることに成功する。さらに、一行のあとをつけてきたジャック・ホーンも、仲間になるのだった。
3-3.ローズ・クリークへの帰還、ボーグとの決戦への準備
ローズクリークに帰還したエマと用心棒達だが、町の人間が一人も家から出てこない。代わりに、ボーグの手下たちと銃撃戦となり、用心棒たちは圧倒的なスキルでボーグの手下を殺して勝利を収めた。ボーグに買収された町の保安官を責め上げ、「町を掌握した」とメッセージを託し、ボーグの元へ向かわせた。
ボーグが大軍勢を連れて戻ってくると予想したサムは、町民を集めて戦う覚悟を問うた。出ていく町民たちも出る中、残って用心棒たちとともにボーグと戦うと決めた町民たちと、翌日から戦いへの準備をスタートさせた。
総力戦となるため、町の男たちにも銃やナイフの使い方を教え、戦闘訓練を行う一方、町の周りに様々な罠や爆薬などの仕掛けを張り巡らせた。
一方、サクラメントに滞在するボーグは、帰り着いた保安官からの知らせを受けて、激高した。その場で保安官を撃ち殺し、反撃の大軍勢を差し向けると決めた。
戦いが近づいたある夜、久々に男たちはつかの間の楽しい夜を過ごしていた。町民たちとも結束を高める用心棒達。心が一つになっていくのだった。
しかし、グッドナイトだけは、過去の南北戦争での心の傷が癒えず、恐怖に耐えきれず、戦いの前夜に町を抜け出すのだった。それを見ていたエマは、彼の代わりを務めたい、と気丈にサムに申し出るのだった。
3-4.ボーグ達との死闘が始まる
そして、いよいよボーグたちが大軍勢を率いて町へとやってきた。戦いの前半までは、町に張り巡らした罠や仕掛けが奏功し、用心棒達の活躍もあって、優勢に戦いを進めたサム達。前夜逃げ出したグッドナイトも、土壇場で勇気を取り戻して戦場に戻ってきた。
しかし、ボーグの秘密兵器、ガトリング・ガンが投入されると、戦局は逆転する。用心棒達の中でも、グッドナイト、ビリー、ホーンが命を落とした。ファラデーも流れ弾が脇腹に当たり、重症を負ってしまう。
死を覚悟したファラデーは、ガトリング・ガンに立ち向かうため、単騎ボーグの元に向かう。ボーグの目の前で力尽き、最後の一服に火をつけて死ぬと見せかけ、葉巻の火でダイナマイトに火をつけ、自爆するとともにガトリングガンを破壊した。
最終的に、教会でボーグと1対1で対面したサムは、ボーグを動けなくして悔悛の言葉を引き出そうとする。サムは、妹2人と両親をボーグの拷問・虐待により殺されていた積年の恨みがあるのだった。ボーグが、隙を見てサムを撃ち殺そうとした時、エマが現れ、ボーグを撃ち殺して復讐を果たしたのだった。
3-5.戦いに勝利し、町を立ち去る流れ者たち
生き残ったサム、バスケス、レッドハーベストは、エマたちへの挨拶もそこそこに、戦闘の熱が冷めやらない中、町を立ち去るのだった。戦闘で死亡した4人の用心棒達は、街を救った英雄として、夕日に映える岡の上に丁重に埋葬された。彼らの活躍は、のちに「マグニフィセント・セブン」として語り継がれるのだった。
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4.感想や評価(※ネタバレ有注意)
4-1.外見的にはより「わかりやすく」、より「世相を反映した」キャラ設定が印象的だった
リメイクの元となった作品「七人の侍」では、基本的には全員日本人の浪人で、刀使いでした。そして、「荒野の七人」でも、ほぼ白人の流れ者が中心で、一人だけ投げナイフの達人がいるくらいのバリエーションでした。
しかし、本作は、生粋のアメリカ人白人はわずか2名で、アジア系、黒人、ヒスパニック、インディアン、山の民族(?)と、外見的に非常に多種多様な構成。しかも、西部劇なのに半分以上は銃ではなく「投げナイフ」「弓矢」「斧」などの特殊スキルで戦うなど、バラエティに富んでいて、「外見的」にはキャラが見分けやすい状態。
フークア監督が黒人であること、アメリカでアジア系、ヒスパニック系の力が強くなっていること、世界市場でのビジネス上展開(特に中国)の必要性など、様々な要素が絡まっていそうですが、従来の西部劇にはない斬新な人種構成に驚きました。
4-2.物語の大枠では、先行2作品に忠実なリメイクだった
年代や場所といった舞台設定、小道具類はアレンジされていますが、村を襲う「悪者」を退治するため、流れ者を雇い、流れ者のリーダーは仲間を集め、村をまとめ上げ、「悪者」を撃退して村に平和をもたらして去っていく」というストーリーの骨格部分や流れは、かなり細かなところまで先行2作品に忠実で、原作へのリスペクトに溢れたリメイクとなりました。
映画館での客層も中年~熟年者層がかなり多く、「七人の侍」か「荒野の七人」を見たことがあって、大まかなシナリオがわかった上で来館している人が多かったのではないでしょうか?
4-3.円熟のデンゼル・ワシントン
本作のリーダーである、デンゼル・ワシントン扮するサム・チザムは、個性の強い流れ者や、弱気になりがちな村人たちをまとめ上げる、円熟したリーダー役です。
アクションで魅せるシーンは、クリス・プラット扮するNo.2のファラデー、イ・ビョンホン演じるナイフ使いのビリーがしびれるようなカッコよさを見せてくれます。その代わり、デンゼル・ワシントンは、包容力溢れる精神的な支柱として一歩退いた「静かな凄み」を溢れ出る演技で魅せてくれました。前作「イコライザー」での役柄と少し近いでしょうか?名演だったと思います。
4-4.強いヒロイン役のヘイリー・ベネットは良かったが、胸出しすぎ(笑)
今回の紅一点ヒロイン役、ヘイリー・ベネットは、女性キャラとしてスクリーンを彩るだけでなく、過去の「七人の侍」「荒野の七人」では男性が務める役回りまでこなすなど、「強い」女性として描かれていたのが印象的でした。
映画冒頭で、夫をヴィランに殺されると、用心棒集めに奔走し、男と混じって野宿までガッツリこなします。そして、戦闘が始まると女性で唯一戦闘に参加し、ユニットリーダーとして仲間を鼓舞しつつ、ヴィランを撃ち殺す最後の役割までこなしてしまいます。そういう意味では、限りなく「8人目」の用心棒といっても良かったのかも。
ただ、ちょっとかわいそうだったのは(男性としてはボーナスカットなのでしょうが)、不自然なほどやたらと胸の露出が利いた衣装だったこと。もともとこのヘイリー・ベネットという女優は、綾瀬はるかのように体型にも恵まれているのですが、映画冒頭の最初のシーンなど、半分くらい胸が見える娼婦のような服装で出てきました。
主人公が男7人で女子は彼女以外全員モブキャラな作品の構成上、女性成分が不足しがちな作品のバランスを取るために、「女」を全開に出さないと・・・という意図は感じましたが、これはやりすぎなのでは?
「荒野の七人」でのメイキング画像でも、ロケに参加した女性俳優のインタビューで「とにかく撮影現場は、男臭くて仕方なかった」と述懐しているように、物語上仕方ないのですが、女性成分が非常に少なくなるのがこの映画の唯一の欠点(?)です。
4-5.CG描写が少なく、実地でのアクション主体だったことも好感
1950年代、1960年台に製作された先行2作は、もちろんCGなどは一切使っておらず、実地のアクションだけでスリリングなアクションシーンを構成しているわけですが、今作でも、基本的にCG描写はかなり少なめ。
現地にセットを作り込んで、その中で火を起こし、ダイナマイトで爆破し、スタントマンが馬で暴れまわるシーンは、非常に派手な動きがあってよかったです。戦闘シーンは、撃ち合いだけだった「荒野の七人」から大幅にバージョンアップしています。多彩な武器での遠隔・近接戦闘のバリエーション、そしてガトリング・ガンの恐怖感が印象的でした。
4-6.願わくばもう少し「リアリティ」や「切迫感」を出してほしかった
敢えてひとつ不満な点を挙げるとするならば、流れ者達が集まって「お金」以外のために戦うリアリティをもう少し描いてほしかった。「PTSD」のような症状で銃が撃てないグッドナイト・ロビショー以外は、なぜ彼らが集まり戦うのか、もう一つ心情変化や動機が見えづらかったことが唯一の不満です。
「荒野の七人」では、当初は、金に切羽詰った流れ者たちが、当座の「生活費」20ドルのために集まりますが、共同生活を重ねる中で村人たち、7人の中で一体感が生まれ、「義」の為に戦うようになるのです。自由な生き方を享受する反面、家庭や友人もなく、自身の惨めさも達観した男たちが、一種「死に場所」を探して戦うさまが、少ないセリフの中からもしっかり感じられました。
でも、今作では用心棒代のリアルな交渉もなく、何となく人が集まり、陽気なノリのまま最後の闘いへと突入していった感があり、もう少し七人の心の内面を感じさせる描写が欲しかったです。鹿の生レバーを食べただけで、レッドハーベストが仲間になるシーンもちょっと都合が良すぎるように思えましたし。
4-7.エンドロールでの「荒野の七人」のあのメインテーマが!
そして、全て見終わったあと、エンドロールで満を持したかのように、あのエルマー・バーンスタイン作曲の「荒野の七人」メインテーマがさっそうと流れたのは嬉しいサプライズでした。生き残った3人が再び荒野へ去っていった余韻と合わせて、これは涙腺がゆるくなる憎い演出です!
<「荒野の七人」メインテーマ>
5.伏線や設定などの解説(※ネタバレ有注意)
5-1.マグニフィセント・セブンの舞台・時代背景は?
物語の年代は、西部開拓が全盛時代で、南北戦争が終結した直後の1879年。舞台は、今のカリフォルニア州にある、西海岸の小さな町、ローズ・クリーク。同名の地名はアメリカにありますが、映画のそれとは全く別物です。(実際の撮影場所は、ルイジアナ州のバトン・ルージュに建てたオープンセットで行われ、その他アメリカ南部のアリゾナ州やニューメキシコ州にまたがって行われた様子)
南北戦争は終結して奴隷解放が行われたが、特に南部での黒人に対する偏見や差別はまだ激しく、それは7人の戦闘でサムがローズクリークへ入っていくシーンで、誰も家から出てこず歓迎しようとしなかった点でも描かれていましたね。
また、イ・ビョンホン演じる中国人(韓国人ではない)も、この時期に移民として数十万人単位で連行されて、西海岸の鉱山や港湾などで低賃金で労働に従事していました。日系人の移民はもう少し後の時代です。サムが、イ・ビョンホン演じるビリーを町民に紹介する時、「上海で拾ってきた」と言っていましたね。
5-2.悪役、ボーグはどんな人物なのか?
サクラメントの大物実業家で、ロックフェラーやカーネギーのような大資本家を目指して、「略奪王」とあだ名がつくほど、金に物をいわして横暴な事業展開を図っていました。あまりにベタな悪役ぶりは、わかりやすくてよかったです(笑)
ちょうど本映画では、ローズクリークの街のハズレにある金鉱山にて採掘事業をするかたわら、事業用地確保のために、開拓定住していた農民を、暴力を背景にわずか1戸あたり20ドルで立ち退かせようとしていました。用心棒デナリを中心としたブラックストーン社を雇い、身辺警護と略奪をやらせていたので、抗議すれば、下手したらエマの夫のように殺されてしまうわけです。
ローズクリークの街を荒らし、エマの夫を殺し、教会を焼き尽くすなど、やりたい放題でしたね。詳細は描かれませんでしたが、デンゼル・ワシントン扮するサムの両親を虐殺し、姉妹を絞殺し、サムも殺されかけた過去を持つのでした。
5-3.戦闘の流れを変えたガトリング・ガン
最終決戦シーンで、当初は町中に張り巡らした罠や仕掛け、守備体形を活かした7人側が優勢でしたが、先頭途中からボーグが投入した10本のバレルを持ち、1分間に400発発射できる秘密兵器「ガトリング・ガン」が形勢を一気に引っくり返しました。教会の見張り塔はあっという間にハチの巣にされ、ビリーとグッドナイトが即死していました。映画公式パンフレットの解説では、こうあります。
南北戦争で登場したガトリング・ガンは、さしずめ当時の核兵器。主役の7名が駆使するダイナマイトは、さしずめ通常兵器のダントツにあたる。
時折映し出されたガトリングガンの黒光りする銀色の砲身のアップは、見ているだけで身が凍るような恐ろしさがありました。一つの見所だと思います。
5-4.徹底したハードボイルド路線を突き詰めたリメイク
本作は、「七人の侍」「荒野の七人」に比べると、過去2作で見られたような「恋愛」シーンや子供との交流、村の祭りのシーンなど、クライマックスに至る前に少し心が緩むような「遊び」的なシーンが殆どありません。(決戦前前夜の晩餐シーンくらい?)
「荒野の七人」「七人の侍」では、仲間のうち一番若い「新人」は村の娘と恋に落ちて、物語が終わると、村を去らずに残って娘と一緒になりますが、今回は別れ際の挨拶もそっけなく、戦闘が終わったばかりでまだ死体も片付いていない中、あっさりと町を去っていきました。まさにハードボイルドなエンドです。
映画パンフでも言及されていましたが、今作では、「七人の侍」での野武士約40名、「荒野の七人」での36名に比較すると、中隊クラスの軍隊規模を持つ数百名を相手にしなければならないから、襲撃への備えで忙しく余裕がないのでしょう。事実、過去2作では「7人」の中に新人クラスがいましたが、今回スカウトされた7人は、全員プロ中のプロばかりだったのも、それを象徴していました。
5-5.続編製作の可能性はあるのか?
1960年代に製作された「荒野の七人」は、アメリカでの公開当初は興収が伸びず、苦戦しましたが、その後拡大公開されたヨーロッパで大ヒット。それを受けて、アメリカでも人気に火が付き、最終的には大成功を収めた映画となりました。以降10年以上かけて、続編映画が3本製作され、TVドラマシリーズも製作されました。
今回のリブートでは、製作費約9,000万ドルに対して、2016年12月現在、全世界で興収総合計16,000万ドルを超えるヒットとなりました。
「荒野の七人」では、2作目は1作目同様、ユル・ブリンナーが別の町で活躍する話、3作目、4作目はキャストを一新して製作されました。今回、フークアからは続編の話は出てきていませんが、今作で生き残った3人が、続編で活躍する姿が見れる可能性はそこそこあるのではないかと予想します。
6.まとめ
豪華キャストを集め、極力CGなどの視覚効果に頼らずに製作された「マグニフィセント・セブン」は骨太の西部劇に仕上がりました。デンゼル・ワシントンのファンなら外さない堅実な良作ですし、リメイク元を知らなくても、作品単体でも見どころ沢山だったと思います。おすすめ作品です。
それではまた。
かるび
7.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など
7-1.映画「七人の侍」
東宝のエース、志村喬、三船敏郎を据えて、当時としては破格の2億円という製作費をかけて製作された3時間超の超大作。村全体を作った巨大なセット、ゴージャスなカメラワークや先進的な映像編集、実在感あるキャラクターの描き分けなどは、世界中の巨匠に多大な影響を与えました。
スピルバーグもルーカスもこれを見て育ったんですね~。映画ファンなら、必ず見ておくべき映画史に輝く金字塔的作品!最新版のブルーレイでは、映像・音声ともにクリアになっており、白黒ですがだいぶストレスもかからず見れるようになっています。フークア監督も、製作にあたり、「迷ったら『七人の侍』に立ち戻った」とインタビューで答えていますし、今作が気に入った人は、ぜひ原点である「七人の侍」をチェックしてみてください!
7-2.映画「荒野の七人」
映画「七人の侍」公開の6年後、名優ユル・ブリンナーを主役に、アメリカ西部劇としてリメイクされた本作。舞台はアメリカ南部を突き抜け、メキシコの貧しい村です。国境を超えて用心棒として盗賊と戦う男たち、かっこいい!!とても57年前の作品とは思えない普遍性のある名作です。
なお、ここから、カート・コバーンやスティーブ・マックイーンなど、当時無名だった俳優たちが名声を確立していきました。名作は役者をも育てるのですよね。エルマー・バーンスタインの有名な劇伴音楽も心地よいです。
7-3.映画「イコライザー」
アントワーン・フークア監督とデンゼル・ワシントンがタッグを組んだのは、今回が実に3度目。その前作となる「イコライザー」では、昼間はホームセンターのワーカーで、夜はホームセンター勤務のノウハウを活かして(?)DIYグッズをフル活用した一撃必殺のヒットマンを演じるデンゼル・ワシントンが見どころ。包容力溢れる大人の魅力が溢れた傑作でした。しかも、今作で活躍したヘイリー・ベネットも出演しています。
7-4.デンゼル・ワシントン主演映画は、まとめてU-NEXTで!
上記でオススメした関連作品以外にも、デンゼル・ワシントン出演作品を一気に楽しむには、ビデオ・オンデマンドが一番時間をお金を節約できるベストなサービスだと思います。僕も、今回過去作「イコライザー」他作品は、加入中のU-NEXTで視聴しました。最近、手放せない頼もしいVODサービスになりつつあります。
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