【2018年4月20日最終更新】
かるび(@karub_imalive)です。
ハリウッド発のロボットものブロックバスター映画「パシフィック・リム」の5年ぶりの続編となる「パシフィック・リム:アップライジング」が公開されました。前作は、日本人にとって非常に親しみやすい作品でした。劇中で出てくる巨大怪獣が「KAIJU」と日本語読みで呼ばれるなど、日本の古き良き特撮映画へのオマージュにあふれていました。また、小学生だった芦田愛菜がハリウッドデビューを果たしたり、菊地凛子が重要な配役をもらっていたりと、日本人キャストの存在感も目立ちました。
当然、続編としての本作も、公開前から熱心なファンを中心に非常に注目されていましたが、果たして出来や満足度はどうだったのでしょうか?早速ですが、感想・考察等を織り交ぜた映画レビューを書いてみたいと思います。
※本エントリは、後半部分でストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が一部含まれますので、何卒ご了承ください。できれば、映画鑑賞後にご覧頂ければ幸いです。
- 1.映画「パシフィック・リム2」の予告動画・基本情報
- 2.主要登場人物・キャスト
- 3.途中までの簡単なあらすじ(前作のおさらい含め)
- 4.映画内容の簡単なレビュー!(感想・評価含め)
- 5.本作で登場する「イェーガー」を一挙紹介!
- 6.映画「パシフィック・リム:アップライジング」に関する11の疑問点~伏線・設定を徹底考察!(※強くネタバレが入ります)~
- 疑問点1:映画タイトル「パシフィック・リム:アップライジング」の意味とは?
- 疑問点2:主人公ジェイクとマコや父親との関係は?
- 疑問点3:前作のヒーロー、ローリーはどこに行ってしまったの?
- 疑問点4:怪獣(KAIJU)達はどこからやってくるのか?怪獣を操っているのは?
- 疑問点5:謎のイェーガー、オブシディアン・フューリーとは?なぜ現れたのか?
- 疑問点6:シャオ産業とはどんな会社なのか?
- 疑問点7:マコのダイイング・メッセージが指し示したシベリアの廃工場には何があったのか?
- 疑問点8:ニュートン・ガイズラー博士(ニュート)に何が起こっていたのか?
- 疑問点9:なぜ怪獣は日本近海に現れ、富士山を目指したのか?
- 疑問点10:ラストシーン・結末の考察
- 疑問点11:続編はあるの?
- 7.映画パンフレットも買ってみた!
- 8.まとめ
- 9.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など
1.映画「パシフィック・リム2」の予告動画・基本情報
【監督】スティーヴン・S・デナイト(TVドラマ「デアデビル」他)
【配給】東宝東和
【時間】111分
さて、本作でメガホンを取ったのは、前作ギレルモ・デル・トロ監督ではありません。実は、当初2作目も監督を務める予定だったギレルモ監督ですが、同時期に2018年度アカデミー賞作品賞を獲得した「シェイプ・オブ・ウォーター」の撮影で多忙になってしまったのです。そのため、自身はプロデューサーへと退き、代役として白羽の矢が立てられたのがTVドラマ畑で実績のあるスティーヴン・S・デナイト監督。
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』特別映像/アマーラ
いくつかのインタビュー記事や動画でも答えている通り、この人も幼少時に日本のポップカルチャーに強い影響を受けて育った人らしく、第2作目を監督すると決まった時、決戦の舞台はゴジラやウルトラマンといった過去の特撮映画へのオマージュとして「東京」にする!と決めていたそうです。(おまけに戦場には巨大ガンダム像まで出てくる始末・・・^_^;)
富士山や東京が戦いの舞台になる他、日本人俳優も前回の菊地凛子に加え、千葉真一の息子、新田真剣佑も起用され、かつてないほど日本人には馴染み深い作品となりました。かつて予告編では「主役級なのか?!」と日本人をぬか喜びさせ、実際に封切られてみれば、「What do we gonna do ?」のセリフ一言を残して死んでいった「バイオハザード・ザ・ファイナル」のローラの二の舞にならなきゃいいけど?と思っていたら、そこまで酷くはなく、そこそこセリフはもらっていましたね。
2.主要登場人物・キャスト
ジェイク・ペントコスト(ジョン・ボイエガ)
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』本編抜粋映像/次世代イェーガーが一挙に登場!
メインキャストのみならず、自ら売り込んでプロデューサーも兼任するなど、制作面でもアイデアを出して全面的に本作に関わりました。映画「スター・ウォーズ フォースの覚醒」でデビューしたてのひよっこだった頃とは違い、だいぶスターらしい貫禄がついて来ましたね。
ネイサン・ランバート(スコット・イーストウッド)
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』特別映像/団結編
映画「硫黄島からの手紙」で父、クリント・イーストウッドの監督作品でデビューして以来、順調にキャリアを重ね、年を追うごとに活躍の幅が広がる充実ぶりは凄いの一言。映画「スーサイド・スクワッド」ではアメコミ映画へとデビューし、さらに映画「ワイルド・スピード アイスブレイク」では、亡きポール・ウォーカーの立ち位置(イケメン白人俳優)として抜擢され、その知名度はいよいよ世界的なものとなっていますね。
アマーラ・ナマーニ(ケイリー・スピーニー)
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』特別映像/アマーラ
元々シンガーソングライターとしての活動が先行していましたが、若干20歳ながら、オーディションを経て、本作での主演級に大抜擢されました。本作での演技で「強さ」と「繊細さ」をしっかり感じさせてくれた女性像を演じたその存在感は天性のものが感じられました。2018年にはハリウッド映画4作品で出演が決まっているなど、将来が楽しみな新人女優です。
森マコ(菊地凛子)
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』日本先行解禁映像
2006年、映画「バベル」での海外映画出演が高く評価されたことにより、国内だけでなく海外映画のオーディションも積極的にこなす異色の経歴の持ち主。人気米ドラマ「ウエストワールド」シーズン2でも出演するなど、染谷将太との間に子供が生まれた後も、休みを取らず積極的に女優として活動継続中です。(夫も映画「空海」で海外進出成功しましたしね。そういえば・・・)
リーウェン・シャオ(ジン・ティエン)
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』新着映像
ここ数作、レジェンダリー・ピクチャーズが制作する映画でほぼ中国人俳優として皆勤賞となる活躍を見せる、ジン・ティエン。「グレート・ウォール」「キングコング髑髏島の巨神」に続き、抜擢3作目となります。今作では、前半と後半でまるで別人物のような変わりようがちょっとおもしろい演出でした。
ニュートン・ガイズラー博士(チャーリー・デイ)
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』新着映像
前作「パシフィック・リム」から継続して出演する3名の主役級俳優のうちの一人。今作ではコミック・リリーフ的な立ち位置から、一転して狂気のマッド・サイエンティスト的な悪役キャラへと後半徐々に変身。難しい役どころでした。
リョーイチ(新田真剣佑)
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』特別映像/団結編
18歳までハリウッド在住だけあって、英語力には何の不安もないという意外な「強み」が活かされた今回の配役。すでに日本では、映画・ドラマと引っ張りだことなり、人気若手俳優の一角へと上り詰めましたが、今回のチャンスをきっかけに、頑張って海外進出してほしいですね。独特の憂いを帯びた表情、個人的には結構好きです。
3.途中までの簡単なあらすじ(前作のおさらい含め)
2013年、突如太平洋の深海に異次元からの「裂け目」(ブリーチ)が現れ、「KAIJU」と名付けられた巨大怪獣生命体が、世界各国の大都市を襲撃するようになった。これに対して、世界は環太平洋防衛軍(PPDC)を組織し、KAIJUに対抗すべく、神経同調システムにより、2人1組でパイロットの脳波を同期して戦う巨大人形兵器「イェーガー」の開発に成功する。
KAIJUとの戦いにピリオドを打ったのは、かつての戦闘で兄を失ったローリー・ベケットと彼の新相棒・森マコだった。彼らの乗るイェーガー「ジプシー・デンジャー」は、マコの養父で司令官だったスタッカー・ペントコストの捨て身の支援も実り、見事にKAIJUと、KAIJUを操る異星人「プリカーサー」を「裂け目」の深遠で撃退し、地球に暫くの平和をもたらしたのだった。
KAIJUとの最後の激闘から10年。
激闘で命を落とし、世界的英雄となったスタッカー・ペントコストの息子・ジェイクは、一時期PPDCにてイェーガー・パイロットの候補生として父親譲りの高い適性・能力を示していたが、訓練から脱落し、荒れ果てた街で違法なイェーガー・パーツの不法転売に手を染めていた。
しかし、ある日無人倉庫で、手作りの小型イェーガー「スクラッパー」を造っていた戦災孤児アマーラと出会ったことで、ジェイクの運命は大きく変転することになる。違法行為を咎められ、アマーラと共にPPDC施設に逮捕勾留されたジェイクは、10年前の最後の戦闘後、PPDC長官に上り詰めていた義姉・森マコの手引きにより、再びPPDCの主力シャッタードームである中国・モユラン基地内で、若きパイロット候補生たちの教官として従事することになった。アマーラも、パイロット適性を認められ、訓練に参加することとなるのだった。
同時期、PPDCでは新世代のイェーガーとして遠隔操作により無人で駆動するドローン・イェーガーの導入が検討中だった。天才女性科学者、リーウェン・シャオが率いる中国の有力な軍需企業、シャオ産業は、かつてPPDCに勤務していた科学者・ニュートン・ガイズラー博士を傍らに引き連れ、社長自らPPDC評議会の開催地・シドニーで、激しい売り込みを展開していた。
そんな折り、同僚のネイサン・ランバートとイェーガー「ジプシー・アベンジャー」に乗り込み、共に評議会の警備に当たっていたジェイクは、海中から浮上した正体不明の未登録イェーガー「オブシディアン・フューリー」の襲撃を受ける。必死で防戦し、なんとか撃退に成功したが、シドニー市民に多数の犠牲を出し、ヘリコプターに搭乗していた森マコは命を落とすことになった。
襲撃後、森マコがPPDCへ送信しようとしていたダイイング・メッセージを解析したPPDC本部は、彼女が示唆したPPDCの廃基地・シベリアのセヴェルナヤ・セムリャ基地へジェイク達を派遣した。すると、そこに再びオブシディアン・フューリーが現れ、激しい戦闘になるのだった。
なんとか戦闘に勝利したジェイクたちがモユラン基地へと戻ると、PPDC評議会の決定を受け、世界各国へ配備されたシャオ産業のドローン・イェーガーが突如の変調をきたし、暴走してしまう。暴走したドローン・イェーガーは、太平洋の深海に閉じられていたはずの異次元との裂け目を再び開いてしまい、日本近海にカテゴリー4以上の巨大KAIJUが3体出現した。
東京を目指し、進撃するKAIJUたち。これを食い止めるため、PPDCは、ジェイクやアマーラ達、訓練生全員を投入して、現存する対KAIJU戦闘用イェーガー4体全てを出動させ、KAIJUとの決戦に挑むのだったーーー。
4.映画内容の簡単なレビュー!(感想・評価含め)
良い意味でも堅実にキープコンセプト的な作品だった
1960年代、1970年代の古き良き日本の特撮怪獣映画のノリを、ギレルモ・デル・トロ監督が圧倒的な予算とVFX技術で、ハリウッド実写映画として現代に蘇らせた傑作だった前作。アクションが凄いだけの単なる怪獣映画、ロボット映画とは一線を画した点が、この映画の奥深さでした。ギレルモ・デル・トロ監督の「人種的多様性」への目配せと「力を合わせて団結する」大切さをテーマに、あくまで「人間」描写に焦点が当てられ、登場人物ひとりひとりのこまやかな心情描写・キャラ設定の作り込みこそが、評価の広がったポイントでもありました。
今作は、急遽製作直前になって監督が交代となったためか、基本的にはロボットや怪獣のアートワーク、ストーリーの骨格や作品のテーマをほぼそのまま継承し、手堅く製作された印象があります。
とはいえ、前作から10年が経過したことを示すため、イェーガーのデザインは大幅に洗練され、エヴァに似たスマートな体格のものから、前作の主役機「ジプシー・デンジャー」の後継機種まで色々用意されていました。コン=ポッド内のインターフェースや、各機種の外観上のバージョンアップもしっかり図られています。
▼コン=ポッド内の操作インターフェースはより洗練された
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』海外版予告
また、怪獣とロボットのハイブリッド型イェーガーを登場させ、「イェーガーVSイェーガー」という新たな対決構図を演出したり、一度倒されたKAIJUが合体して巨大化して復活するシーンなどは、第2作目として、最大限製作者のイマジネーションを飛躍させて描かれた面白い展開だと感じました。(恐らく元ネタは色々あったのでしょうけど)
▼無機質な怖さを感じさせたハイブリッド型イェーガー
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』新着映像
そして、登場人物の人間関係やキャラ設定も、よく見ると前作とほとんど同じです。
前作で主役となったローリーとマコは、共に、大切な人をKAIJUに目の前で殺されてしまったトラウマを抱えていました。ローリーは、KAIJUとの戦闘で兄を亡くし、マコは目の前でKAIJUに両親を殺害されたのでした。そして、それを乗り越えるためにイェーガーに乗り、ブレイン・ハンドシェイクでお互いの心の中をドリフト(≒共有)して支え合って敵を倒す・・・という流れでした。
今作では、ジェイクとアマーラがローリーとマコに代わってメインのイェーガー・パイロットとして登場しますが、表面上、登場の仕方は違っているものの、やはりジェイクは親をKAIJUとの戦いによって失い、アマーラは両親を目の前でKAIJUに殺害されているという・・・そして、案の定ブレイン・ハンドシェイクをしてみれば、1度目はトラウマによってうまくイェーガーと同期できず、挫折しかけるものの、使命感とお互いを思いやる気持ちによって心の傷を乗り越え・・・という流れは、そのまんま前作と同じなのです。
このように、あらゆる面で想定範囲に収まるマイナーチェンジにとどまり、鑑賞者に「サプライズ」的な新鮮さをもたらす演出がもう1歩出なかったかな、という印象です。すでに1作目で色々完成度の高い作品だったので、手堅いと言えば手堅い造りなのでしょうが、欲を言えばあと一工夫、何かひねりが欲しかったです。
ツッコミどころを笑って見逃せるかどうかで評価が決まる?!
ビッグバジェットな超大作エンタメアクション作品であっても、メカや武器などの設定はしっかり作り込まれていたとしても、全体のストーリーが大味だったり、現実感の感じられないマンガ的なご都合展開だったりすることはよくありますよね。(最近だと「ワイルドスピード8」とか・・・)
本作も、まずロボットやKAIJUのアクションシーンありきで製作されたからなのか、前作以上に強引、かつ失笑してツッコミを入れたくなるようなご都合展開がかなりあります。一例を挙げてみると、たとえば・・・
→品行方正とは程遠く、実戦経験もないのになぜ教官に抜擢??
・PPDCの評議会があるのに、PPDC長官であるマコが、なぜかヘリで議会の様子を監視している(結果オブシディアン・フューリーに殺害される)
→PPDC長官なのに、本会議場にいなくていいの?
・巨大企業であるシャオ産業の社長が、物語後半では会社も放り出して一エンジニアとして楽しそうにPPDC内で作業をしている
→ドローン・イェーガー配備失敗の後始末はしなくていいの?
・富士山の頂上にマグマがたまっている。今にも噴火しそう
→富士山って休火山じゃなかったでしたっけ、そもそも・・・
これ以外にも、キリがないほど荒っぽい描写があって、本当に今作はツッコミどころが多くて、何度も映画上映中に笑ってしまいました。恐らく映画に「リアリティ」や裏付けをしっかり求めてしまう人は、現実離れした本作のプロットにイライラするでしょうし、逆にこれらを笑って許せるならば、楽しめるのではないかなと思います。
僕個人としては、ストーリーや心情描写では若干雑なところが目についたものの、VFX技術やCG、特撮、セットの高いレベルでの融合や大音響(音圧高めでしたね)には見るべき点が多々あると感じられたため、何度か失笑しつつも、映画館の大スクリーンで見るならば、見ておいて損はない作品であると感じました。少なくとも、豊富な制作費でここまでゴージャスな画面を作れる映画はそうそうないと思いますし、ポップコーン映画の大作としては、十分及第点だったと思います。
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5.本作で登場する「イェーガー」を一挙紹介!
作品をより楽しむためには、特に本作でPPDC(環太平洋防衛軍)がKAIJU対策のために投入した4機の戦闘用イェーガーをチェックしておくと良いでしょう。そこで、ここでは4機の特徴とパイロットをそれぞれ紹介します。(紹介用に編集された公式動画もありますので、こちらもはっておきますね)
本作での主役!「ジプシー・アベンジャー」
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』本編抜粋映像/次世代イェーガーが一挙に登場!
ジェイクがかつてPPDCに在籍した際に割り当てられた訓練機でもある。両腕にチェーン・ソード、右腕には重力スリングを装備する、第6世代のエース的なイェーガー。ジェイクとネイサン・ランバートが搭乗。
▼両腕にチエーン・ソードを装備
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』海外版予告
▼重力スリングで敵へ致命的な一撃を与えられる
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』新着映像
エヴァに似てる?「セイバー・アテナ」
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』本編抜粋映像/次世代イェーガーが一挙に登場!
全イェーガー中、一番細身で、高い敏捷度を誇る。生物と同じスピードで動けるように設計され、ツインプラズマソードで速攻攻撃を仕掛ける。乗組員は、リョーイチ、レナータ。
▼ツインプラズマソード
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』新着映像
3人乗りの実験的な機体「ブレーサー・フェニックス」
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』本編抜粋映像/次世代イェーガーが一挙に登場!
3人乗りのコン=ポッドを持つ実験的な機体。一人が補助制御室へ移動し、トラック大のレールガン、ボルテックス・キャノンを1分間に100発の割合で連射できる。また、巨大なモーニングスター・ハンドで敵を打ち砕く。乗組員は、アマーラ、ヴィクトリア、ジナイ。
▼迫力あるモーニングスター・ハンド
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』新着映像
ちょっと存在感薄かった?「ガーディアン・ブラーボ」
グラフェン・アークウィップという強力な帯電したムチで遠隔攻撃を得意とする。一撃で、平均的な稲妻とほぼ同じ量の電流を敵に与えることができる。乗組員は、スレシュとイリヤ。
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6.映画「パシフィック・リム:アップライジング」に関する11の疑問点~伏線・設定を徹底考察!(※強くネタバレが入ります)~
ストーリーや設定について、本作をより深く理解するために要点となりそうなポイントについて、考察や情報をまとめています。内容上、映画を1度見終わった人向けのコンテンツとなりますので、ここからはネタバレ要素が強めに入ります。予めご了承下さい。
疑問点1:映画タイトル「パシフィック・リム:アップライジング」の意味とは?
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』特別映像/団結編
映画のタイトル「パシフィック・リム」とは、直訳すると「環太平洋」という意味です。太平洋の海底に「裂け目」を開き、異次元から「KAIJU」を送り込んでくる異星人「プリカーサー」に対して、中国・ロシア・日本・アメリカ・インドといった環太平洋21カ国の国々が、PPDC(環太平洋防衛軍)を結成し、人種や立場の違いを乗り越えて一致団結し、世界を救う、というテーマにピッタリのタイトルですよね。
次に「アップライジング」とは、直訳すると「反乱」とか「暴動」という意味ですね。10年前、一度は人類に抑え込まれたプリカーサー&KAIJUが、ニュートン博士の心の弱さにつけこみ、KAIJU復活の先導役をさせて再び東京で暴れまわる様子を表現しているのでしょう。あるいは、ニュートン博士がたった一人で人類に対して起こした「反乱」と見ることもできますね。
疑問点2:主人公ジェイクとマコや父親との関係は?
ジェイクは、2025年に敵KAIJUとの戦いの際に海底で自ら犠牲となって落命した伝説の英雄、スタッカー・ペントコストの一人息子です。父・スタッカーは、同じく戦場で知り合った遺児・森マコを引き取り、自らの養女としたため、ジェイクとマコは義兄弟という関係になります。ジェイクと父親、スタッカーの関係は、必ずしも良好ではありませんでした。スタッカーが任務で忙殺されていたことや、養女マコをよりかわいがったためです。ジェイクは、一度は父親に追いつくためにPPDCの訓練生になったが、その後辞めて、行方をくらましてしまうのでした。(前作では全く登場せずジェイクの存在への言及がなかったことをある程度説明できる)
疑問点3:前作のヒーロー、ローリーはどこに行ってしまったの?
引用:映画「パシフィック・リム」一場面より
映画内での言及はありませんでしたが、ローリー・ベケットは、前作「パシフィック・リム」で世界を救った際、次元の裂け目で長時間活動をしたことで、強い放射線を浴び、後遺症としてガンを発症し、翌年2026年に死亡したのでした。
直接的には、ローリーを演じたチャーリー・ハナムのスケジュールがどうしても抑えられなかったため、脚本上彼の役柄が削除されたことによるようです。(インデペンデンス・デイ:リサージェンスで、前作で準主役だったウィル・スミスの扱いがひどかったのを思い出させました・・・)
疑問点4:怪獣(KAIJU)達はどこからやってくるのか?怪獣を操っているのは?
引用:映画「パシフィック・リム」一場面より
異次元の世界に生息しているKAIJUは太平洋にランダムに出現する次元の裂け目を通って、毎回出現するのです。その怪獣をマインドコントロールして操っているのは、プリカーサーと呼ばれる異次元に住むエイリアンでした。
▼プリカーサーはこんな顔をしてました
引用:映画「パシフィック・リム」一場面より
彼らは、KAIJUを先兵として操り、異次元からやってきては居住可能な星を征服し、環境を彼らの住みやすいようにテラフォーミングした上で、徹底的に資源を食い尽くしたら、また別の星を征服する・・・というサイクルを繰り返していました。
地球も、以前恐竜時代に一度彼らの征服ターゲットになったのですが、その時は地球の大気組成が彼らプリカーサーに適合せず、一旦彼らは地球から撤退していったのでした。(恐竜絶滅の原因?!)
疑問点5:謎のイェーガー、オブシディアン・フューリーとは?なぜ現れたのか?
ジプシー・アベンジャーと比較的体格・武器が似ている謎の未登録イェーガー「オブシディアン・フューリー」は、シャオ産業で研究者として働いているニュートン博士によって密かに開発された、KAIJUとイェーガーのハイブリッドロボット第1号機でした。
ニュートン博士は、2022年に閉鎖されたシベリアのセヴェルナヤ・ゼムリャ諸島にあるシベリアのPPDCの廃工場を使って、オブシディアン・フューリー他、ハイブリッドロボットを密かに開発していましたが、森マコに気づかれてしまったのです。だから、シドニーで森マコを殺害し、PPDCのチームが同工場の存在に気づいた際、彼らに先回りして工場を破壊し、証拠の隠蔽を図ろうとしたのです。
疑問点6:シャオ産業とはどんな会社なのか?
シャオ産業を率いる若き女社長、リーウェン・シャオは元コンピュータ技術者からイェーガー設計へと転身し、自ら「シャオ・インダストリー」を興しました。
▼ドローン・イェーガー工場の様子
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』新着映像
彼女は、様々なイェーガーをデザインする過程で、PPDCからニュートン博士を始めとして優秀な技術者を何名も引き抜き、コスト削減と人命尊重が可能な、遠隔捜査で動くドローン・イェーガーの開発に成功し、PPDCへと売り込みをかけていたのでした。
ちなみに、アマーラが手作りで開発した小型イェーガー、スクラッパーは、シャオ産業のパーツや技術を多数採用していました。そのため、アマーラはモユラン基地へ運び込まれた「オブシディアン・フューリー」のパーツを見て、すぐにシャオ産業の機体であることを見抜けたのです。
疑問点7:マコのダイイング・メッセージが指し示したシベリアの廃工場には何があったのか?
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』特別映像/進化の証&魂の継承
上述したように、シベリアのPPDC廃工場には、ニュートン博士の開発したKAIJUの第2の脳とイェーガーを組み合わせたハイブリッド型のドローン・イェーガーや、戦闘で倒された3体のKAIJUの死体を自らの身体を接着素材として接合し、メガKAIJUを作り上げるためのサイボーグ、リッパーが保管されていました。
3体のKAIJUの死体をつなぐ工作用サイボーグ「リッパー」
引用:『パシフィック・リム:アップライジング』新着映像
疑問点8:ニュートン・ガイズラー博士(ニュート)に何が起こっていたのか?
引用:映画「パシフィック・リム」一場面より
前作「パシフィック・リム」で好奇心を抑えられなかったニュートン博士は、倒したKAIJUの第2の脳とブレイン・ハンドシェイクを繰り返し、KAIJUの正体や、それらを操るプリカーサーの存在、そして太平洋の「裂け目」の仕組みについて解明しました。
その後、KAIJUの襲来がなくなってからも、彼は密かに自宅にKAIJUの脳を持ち込み、「アリス」と名付けて、定期的にブレイン・ハンドシェイクを繰り返していました。しかしこれがプリカーサーに反撃のチャンスを与えることになったのですね。ニュートン博士の功名心と好奇心を巧く利用し、彼の意識を乗っ取ることに成功したプリカーサーは、シャオ産業のリソースを使って、世界中に配備したドローン・イェーガーにKAIJUの第2の脳を植え付けて、来るべき時に備えていたのです。
疑問点9:なぜ怪獣は日本近海に現れ、富士山を目指したのか?
ニュートン博士が発動した秘密コマンドによって、その体内に仕込んだKAIJUの脳を起動させ、プリカーサーが乗っ取ったドローン・イェーガーは10年前にローリー・ベケットが閉じた「裂け目」を再度開くことに成功します。
これにより、KAIJUが3体、異次元から送り込まれて地球上へと出現したのです。なお、KAIJUは日本近海に現れ、東京で3体が合体しその上で富士山の火口を目指すプランが組まれていました。富士山の溶岩に含まれるレアアースと、KAIJUの体液が富士山の火口内で反応した時、そこで発生した超大質量のエネルギーは、世界中の活火山の噴火を誘発するはずでした。これにより、大量の火山灰、二酸化炭素濃度の上昇など急激な気候変化を起こし、プリカーサーが定住するにふさわしい地球環境を作り出す「テラフォーミング」を一気に進めようというのがプリカーサーの真の狙いだったのです。
ちなみに、最初から超巨大KAIJUを出現させず、カテゴリーⅣ2体と、カテゴリーⅤ1体に分けてKAIJUを出現させた理由は、超巨大KAIJUのサイズでは、大きすぎて異次元からの裂け目を通過することができなかったからです。
疑問点10:ラストシーン・結末の考察
訓練生の搭乗する3機のイェーガーは、いずれも超巨大KAIJUによって大破し、操縦不能に陥りました。残ったジプシー・アベンジャーを放置して、超巨大KAIJUは富士山を目指しましたが、ジプシー・アベンジャーは、KAIJUの体液を混合して作ったロケットで、宇宙空間まで上昇し、そこから一気に降下し、富士山の8合目あたりまで上ってきた超巨大KAIJUへ捨て身の体当たりをすることで、かろうじてKAIJUが富士山の火口へ飛び込むことを阻止することができたのでした。(捨て身の攻撃でKAIJUと同士討ちで終わる結末も前作同様でした)
大気圏に再突入する時、機体が空気との摩擦熱で真っ赤になっていましたが、確かジプシー・アベンジャーの頭部って穴が空いてたんじゃなかったかな・・・ジェイクとアマーラ、これ大丈夫なのかな?普通、焼け死ぬよね・・・と思って見ていましたが、そこは映画の世界。二人はケロッとして無事にシャオの手引きによって脱出ポッドからジプシー・アベンジャーを抜け出し、無傷で富士山麓の雪景色の草原に降り立ったのでした。
ちなみに、エンドロールでは、拘束したニュートン博士と対面したジェイクは、人類代表として、ニュートン博士を操るプリカーサーに対して、本格的な宣戦布告をするシーンで終わりますが、これは大いに続編への含みをもたせる終わり方でしたね。
疑問点11:続編はあるの?
いくつかの報道によると、まだ構想段階ですが、スティーヴン・S・デナイト監督は、次回作があるとすれば、1つは、「プリカーサーがなぜ地球を征服したいのか」という、異星人の行動原理に焦点を当てた作品になるかもしれない、と語っています。今度は人類の側からプリカーサーの住む異次元へと遠征するのであれば、もはや1,2とは違うテイストのSF映画になりそうですよね。
あるいは、パシフィック・リムの世界が、レジェンダリー映画の「モンスターバース」に合流する流れもありそうです。「GODZILLA」で始まり、「キングコング 髑髏島の巨神」で第2作が製作されたモンスターバースでは、現在、第4作「ゴジラVSキングコング」までの製作が決定しています。果たして、第5作目以降でKAIJUもゴジラやキングコングと同じフィールドに立つ日が来るのでしょうか??!
7.映画パンフレットも買ってみた!
恐らくこの後にしっかりした設定資料集やアートワーク資料集が発売されるので、そっちを買おうかと思ったのですが、やはり物欲に負けて買ってしまいました(笑)
内容は、この後に発売される公式「アート&メイキング」でマニアックな設定情報等を掲載しているからか、思っていたよりあっさり目な感じ。でも、ビジュアル面でのハイライトとなる4体のイェーガー、本編で登場するKAIJU3体がきっちり紹介されるなど、基本事項はちゃんと抑えられていました。また、日本のロボットアニメからの影響を分析した尾崎一男氏、最新のVFX事情についての解説した大口孝之氏の各コラムは、内容が充実しており読み応え抜群でした。熱心なファンなら買って損なしだと思います。
▼イェーガーの登場シーンやイラストが充実!
▼3体のKAIJUについても特集されています!
▼今回のパンフはコラム2本が非常に秀逸!
欲を言えば、もう少し価格をアップしてもいいので設定資料イラストなどをたっぷりつけてほしかった感はありますが、前述したようにコラムの読み応えが素晴らしく、総合判断としては「買ってよかったな」と思えるパンフレットでした。 調べてみたら、Amazon等で買えるようになっているみたいなので、リンクを置いておきますね。
8.まとめ
5年間の熟成を経て、メカや怪獣のアートワークや、アクションシーンの作り込みはギレルモ・デル・トロ監督の残したDNAを受け継ぎ、作品世界の正統派的な発展・拡大を図ろうとした本作。その反面、ストーリー構成や心情表現、人間側のキャラ設定などは、若干物足りなさも感じられました。
とはいえ、やはり迫力ある映像と音響が保証された映画館の大画面で鑑賞するとなると、「まぁ細かいところはいいか」と思えたのも確か。いわゆる、家族でも子供連れでも楽しめる、ポップコーン映画として、気楽に楽しめる娯楽映画としては、全然アリだと思います。新田真剣佑も頑張ってたし、僕は子供をつれて2回目リピート行く予定です!
それではまた。
かるび
9.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など
ノベライズ版「パシフィックリム:アップライジング」
本編内容を忠実にノベライズ化した作品。概して洋書のノベライズはハズレが少なく、映画と並行して読むことで、作品の世界観をぐっと深く感じられるようになる事が多いのですが、本作も非常にハイクオリティなノベライズです。110分と比較的コンパクトにまとめられた映画内ではどうしても欠落しがちな、詳細な状況説明や主人公たちの心情変化など、小説ならではの描写に大納得の作品でした。これは文句なくおすすめ!
パシフィック・リム:アップライジング アート&メイキング
マニア必見の本作公式の設定資料集。前作「パシフィック・リム」で3000部限定発売された際は、瞬殺するほどの大人気となった資料集ですが、今回も相当な人気が予想されます。実際、まだ発売前なのに4月17日時点で、すでにAmazonの同カテゴリにて「ベストセラー」マークがついていました!僕も予約しました!!
怪獣映画の金字塔!「パシフィック・リム」1作目
ハリウッド発の実写版怪獣映画として、世界中の映画ファン・特撮ファンを唸らせ、怪獣映画の金字塔となった前作。怪獣やロボット、物語の背景設定の作り込みも凄いですが、従来のハリウッド作品と違い、多種多様な人種で構成されたヒーローチームが、力を合わせて団結するまでのストーリーの描きこみも見事。DVD/ブルーレイの特典映像でのギレルモ・デル・トロ監督のメイキングコメントからは、ストーリーや日本の特撮映画・アニメへの深い造詣が感じられ、こちらも必見です。
Amazonに「パシフィックリム:アップライジングの特設サイト」が開設!
ここ近年の映画作品の中では、「スター・ウォーズ」シリーズや「ハリーポッター」シリーズと同じくらい映画関連の派生商品が発売されています。そのためか、Amazon内では、特設ページが開設され、盛り上がっています!